抄録
マウスの副腎を2%オスミウム酸に40°Cで40-48時間浸漬した. その結果, マウスの副腎皮質全層の細胞のゴルジ装置は, 他の器官の細胞と同じように, 外帯 (cis側) の1-3層の層板の内腔と, cis側のゴルジ小胞において陽性を示すが, 特記すべきことは, ゴルジ装置の他に管状の滑面小胞体の全内腔が強染することである. さらに核膜腔と層板小体の内腔も強い陽性を呈するが, このことは層板小体の起源が滑面小胞体であるという説を裏書きするものである. なお滑面小胞体が強陽性を示す事実は, 副腎皮質細胞において合成されたステロイドホルモンが, 滑面小胞体腔内に局在する可能性を暗示するものと思われる.