1980 年 43 巻 5 号 p. 423-436
マウス脾臓と腸間膜リンパ節, 腸骨リンパ節, 腋窩リンパ節および膝窩リンパ節において, 妊娠および授乳の及ぼす影響を定性ならびに定量形態学的に観察した.
妊娠期脾臓重量は増加し, 妊娠15日でピークに達する. 分娩後, 重量は次第に減少し, 分娩後20日で正常に復する. 妊娠期において, 赤・白両脾髄の体積はともに増大する. 分娩後, 白脾髄の体積は急速に正常値に復する. 赤脾髄の体積は授乳群において一般に高値をとるのに対して, 非授乳群で急速に減少する. 妊娠期の脾髄には形質細胞が増加し, しばしばラッセル小体を有する. 形質細胞は白脾髄では縁帯および動脈周囲域に多数集積し, 分娩後急速に減少する.
腸間膜リンパ節は妊娠期に軽度ながら有意の重量増加を示すが, 分娩後は授乳, 非授乳両群ともに重量を減少する. 妊娠とともに, 髄質は増大し, とくに髄索は多数の形質細胞によって満たされる. 形質細胞は妊娠10∼15日で旁皮質にも群在する. 細胞は分娩後急速に減少する. 形質細胞は妊娠期に腸骨リンパ節においても増加するが, 増加は腋窩および膝窩リンパ節では認められない.
成績をとくに妊娠における免疫反応と関連して考察した.