抄録
わが国の内水面漁業では大型定置網(張網)の内部での外来種チャネルキャットフィッシュによる小型魚類・エビ類の食害は深刻な問題として認識されている。張網への本種の侵入を防止するグリッドの取り付けが魚類・エビ類に及ぼす影響を把握するため、2015年10月から2017年9月にかけて霞ヶ浦(西浦)の沿岸帯の張網内においてグリッド有りと無しの袋網を用いた採集調査を実施した。調査期間中に採集されたチャネルキャットフィッシュは計926個体(体長3.8–69.0 cm)であった。本種の体長10 cm未満の個体はグリッド有りと無しの両方で多く、また、体長20 cmよりも大きな個体はグリッド無しのみで多く採集された。水産有用種を含む多くの小型魚類やエビ類はグリッド無しよりも有りで多く採集されたが、ギンブナなどの大型魚類を含む一部の水産有用種はグリッド無しの方が多く採集された。したがって、本研究のグリッドはチャネルキャットフィッシュの大型個体の侵入防止には有効であるものの、漁獲対象となる他魚種の大きさに応じて使い分けることが望まれる。