アーカイブズ学研究
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〈企画研究会:公文書管理法がもたらすアーカイブズ学の課題~“レコードスケジュール”を中心に〉
韓国公共機関におけるレコードスケジュールの構成と記録管理基準表開発方法の理解
任 眞嬉崔 誠姫
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2010 年 13 巻 p. 31-52

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抄録

本稿では韓国の公共機関が公共記録物を管理する過程において、必須ツールであるレコードスケジュールを、どのように適用しているかを紹介している。韓国の中央行政機関を中心に、レコードスケジュールの中心的役割を担う政府機能分類体系(BRM, Business Reference Model)を紹介し、記録管理基準表の開発手順と方法を提示し、大統領秘書室での先進的なレコードスケジュール適用事例等を提示した。

2007年に改正された韓国の公共記録物管理法令は、政府で主導し開発したBRM と各機関別に開発した記録管理基準表を中心としてレコードスケジュールを構成するよう定めている。韓国のBRM は保存期間のGRS(General Records Schedule)の役割を遂行するだけでなく、記録の分類体系が受容されることにより記録管理と密接な連関関係を帯びている。記録管理基準表は詳細な記録管理基準値を定義した、高度な機関別GRS であるといえる。

記録管理基準表には、記録物に対する数種類の統制及び管理基準値を設定することができる。機関の業務及び記録の特性を反映し、管理上の必要に合わせて適切な基準値を開発するためには、コンサルティング技法を根拠とした精巧な手順と方法論の樹立が必要である。本稿では韓国の公共機関を対象として遂行したプロジェクトの経験を合わせ、記録管理基準表開発の手順と方法を提示した。

韓国の公共記録物管理体系は、デジタルな方法を中心に設計されている。レコードスケジュールで核心となる保存期間もまた、情報システムの情報参照と連動構造を通じ成り立っている。現行の記録管理基準表の典型であった大統領秘書室の記録管理基準テンプレートは業務管理システムと緊密に連携し、動的に運用されるレコードスケジュールの先進事例をあらわしている。

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© 2010 日本アーカイブズ学会
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