2012 年 2012 巻 p. 371-398
2年目の第2期スシロ・バンバン・ユドヨノ政権は,与党・民主主義者党内で発生した汚職疑惑に悩まされた。東南アジア競技大会選手宿舎建設をめぐる汚職事件で党の会計部長が国外逃亡の末に逮捕されたが,アナス・ウルバニングルム党首を含む複数の党幹部の関与も取り沙汰されており,汚職撲滅に真剣に取り組むという大統領に対する国民のイメージが大きく損なわれた。ユドヨノ大統領は,低下した支持率の挽回と残りの任期における政策実行力向上を図るため,10月に内閣改造を行った。閣僚人事では連立政党間のバランスを崩すような人事は行われなかったが,ユドヨノは副大臣に任命した多数の中堅官僚や学者に政策の実行部隊としての働きを期待している。2011年は,信教の自由や所有権など国民の権利が侵害される事件が発生した。これが今すぐに政治の安定を脅かすことはないが,多様な社会における民主主義の確立が困難な課題であることを示した。
経済は,2010年に引き続き順調であった。内需と資源・一次産品輸出の伸びが経済成長を牽引した結果,実質国内総生産(GDP)は前年比6.5%の伸びとなった。年後半は欧州経済危機によって世界経済の見通しが不透明になったことを受けて,インドネシア経済への影響を心配する声が強まったが,内需と投資が順調に伸び,経済全体を支えた。継続的なインドネシアのソブリン信用格付けの引き上げによって,インドネシアに対する国際的な信用度が高まり,年前半まで海外からの資本流入が続いた。今後も経済成長率を1~3%上乗せするための政策として,政府は5月に「インドネシア経済開発加速・拡大マスタープラン2011~2025年」を発表した。インフラ整備を柱とするこの政策の実行に不可欠な土地収用法は,年末にようやく国会で可決された。順調に経済が成長するなか,国民の生活を守る社会保障制度の整備も求められており,国会では社会保障庁(BPJS)法案も成立した。
ユドヨノ大統領は,2009年7月の大統領選挙で圧勝して再選を果たしたが,閣僚や与党・民主主義者党関係者の汚職疑惑が大きく報道されるなど,第2期政権の2年目に入るとその人気に陰りが見え始めた。支持率が50%を下回ったという世論調査の結果が発表され,政府内外から内閣改造を期待する声が4月頃からあがり始めた。しかし,結局,ユドヨノ大統領が内閣改造を実施したのは10月19日であった。今回の内閣改造は,支持率の低迷を挽回したいという大統領の意図が背景にあったともいわれているが,ユドヨノ大統領は,大臣のパフォーマンスをしっかりと見極めたうえで,残りの任期でいかに政権の実績を上げていくかを考え,第2期政権発足2年を機に内閣改造を行ったと考えられる。
今回の内閣改造の対象となったのは,全38ポストのうち,12ポストである。そのうち新たに任命された大臣が7人,残りの5人は閣内での異動である。
なかでももっとも驚きをもって受け止められたのが,商業相の交代であった。経済学者でもあるマリ・パンゲストゥが,観光・文化省から組織改編した観光・創造経済相に異動し,後任には実業界出身のギタ・ウィルヤワン投資調整庁(BKPM)長官が就任した。この背景には,自由貿易推進派のマリに対して,ASEAN・中国FTA締結後の中国製品の大量流入や農産品の輸入増加などに危機感を抱くほかの閣僚や業界団体から批判が強まっていたことがあったとみられている。マリの異動は,2010年5月に,センチュリー銀行の救済策をめぐる閣内の対立や,議会からのバッシングを受けてスリ・ムルヤニ蔵相が辞任したのに続き,重要経済閣僚からテクノクラートが外されたことを意味している。
これによって,商業相と工業相の両経済関係閣僚には実業家が登用されることになった。海洋・漁業相にも,実業家で,アブリザル・バクリ・ゴルカル党党首に近いチチップ・スタルジョが新たに任命された。民主化後,政界における実業家の比重は高まる傾向にある。マクロ経済の安定や自由貿易を重視するテクノクラートが閣内から去り,財界の利害を反映する閣僚が増えたことが経済政策にどのような影響を及ぼすのか,注目される。
エネルギー・鉱物資源相は,行政手腕に関して評価の低かった民主主義者党幹部のダルウィン・サレが更迭され,第1次ユドヨノ政権発足以来7年間文化・観光相を務めていた同党のジェロ・ワチックが異動してきた。重要ポストであるエネ鉱相を与党が保持したまま政策パフォーマンスの向上を狙った人事だと思われるが,新大臣の手腕は未知数である。
国営企業担当相には,健康問題から辞任したムスタファ・アブバカルにかわり,国営電力会社PLN社長のダーラン・イスカンが抜擢された。ダーランは,新聞記者出身でジャワ・ポス・グループ代表を務めていたが,企業経営手腕の高さを買われてPLNの立て直しをユドヨノ大統領から託されていた人物である。今回は,さらに国営企業全体の立て直しを任されることになった。
その他,行政手腕の評価が低かったり,女性スキャンダルなどの問題を抱えていたりした閣僚(法務・人権相,運輸相,国民住宅担当相)が交替している。ただし,汚職疑惑のあるアンディ・マラランゲン青年・スポーツ担当相とムハイミン・イスカンダル労働力・移住相は留任した。ユドヨノ大統領は,汚職撲滅を進めるにしても司法プロセスへの介入は行わないという基本姿勢をとっており,現役閣僚の汚職疑惑についても司法判断を待つとして,今回は2人を更迭しなかった。
今回の内閣改造については,「連立政党のバランス重視」,「適材適所ではない」などの批判が国内からはあがっており,概して評価は低い。政策の実効性を向上させるには不十分だと落胆する声も多い。
連立政党のバランスが本当に重視されたのかを理解するために,まず,閣僚の出身組織を見てみる。全38ポストのうち,政党政治家が18人(民主主義者党5人,福祉正義党3人,国民信託党3人,ゴルカル党3人,開発統一党2人,民族覚醒党2人),官僚出身者が6人,学者が6人,民間出身者が4人,国軍出身者が3人である(後任未定のBKPM長官を除く)。第2期政権発足時には政党政治家が20人を占めていたが,今回の内閣改造で2人減り,かわって民間出身者が登用された。2004年に発足した第1期ユドヨノ政権の任期中に実施された2度の内閣改造では,政党政治家が(37ポスト中)12人から19人へと増えたことと比較すれば,「連立相手への配慮が優先された」という批判は的を射ていない。
閣僚ポストを減らされたのは,与党・民主主義者党と福祉正義党である。福祉正義党は,連立政権に参加しながら,国会では政府の政策に反対したり政権批判を続けたりしていたことから,大臣ポストをひとつ減らされた。ただし,ユドヨノ大統領は,自党の大臣ポストもひとつ削って,バランスを取った。一方,ゴルカル党は,内閣改造前から1ポスト増を要求し,アブリザル・バクリ党首に近い実業家のチチップ・スタルジョの入閣を画策していた。しかし,その要求は受け入れられず,チチップの入閣が実現したかわりに,ファデル・ムハンマド海洋・漁業相が解任された。
このように政党政治家の閣僚ポストが2つ減らされてはいるが,より専門家を増やして政策の実行力を向上させるべきという声を反映させることもできていない。しかし,それを実現したとしても,政権の実行力が確実に向上する保証はない。なぜなら,ユドヨノの与党・民主主義者党は国会議席のわずか4分の1をおさえているにすぎず,国会で法案を通すためには他党の協力が欠かせないからである。国会での法案審議など,政局運営において他党の協力を得るためには,政権に参加している連立相手に対して政治的な配慮をすることは不可欠である。
連立相手に対する政治的配慮を欠くことなく政策の実行力を上げるために,今回の内閣改造で任命されたのが副大臣である。副大臣は,2009年11月と2010年1月に,担当分野に明るくない大臣を補佐するため主要8省に実務官僚が任命されていたが,今回新たに13人の副大臣が任命され,総勢19人の体制となった。
これまで副大臣には幹部官僚のみが任命できるとされていたが,ユドヨノ大統領は,今回の人事にあわせて,学者などの専門家の任命も可能にするよう大統領令を改正した。その結果,19人の副大臣のうち10人が幹部官僚,8人が学者となった(さらに,国軍出身者が1人)。最年少のデニ・インドラヤナ法務・人権副大臣(38歳)や,商業副大臣から異動したマヘンドラ・シレガル大蔵副大臣(41歳)など,若手の学者や優秀な中堅官僚らが大胆に登用されている。
この副大臣増員に対しては,「焼け太りだ」,「大臣との調整がうまくいかないのではないか」,「実質的な権限はないのではないか」など,否定的な見方が多い。ユドヨノ大統領としては,連立政党に配慮せざるをえない閣僚人事に対して,有能な幹部官僚や学者を副大臣として任命し,政策の実行部隊とする意図があったのではないかと思われる。2014年の任期切れまで残り3年となった第2期ユドヨノ政権にとって,彼ら副大臣の働きが政権の実績づくりの鍵となるだろう。
与党民主主義者党の汚職疑惑ユドヨノ大統領は,「公正で民主的な社会の実現」を政権公約のひとつに掲げ,政権発足以来,積極的に汚職の撲滅に取り組んできた。捜査,逮捕,公訴の権限を与えられている汚職撲滅委員会(KPK)が次々と事件を摘発し,その取り組みは一定の成果をあげてきた。汚職撲滅委員会が2004年から2010年の間に公訴した汚職事件は196件にのぼり,逮捕者数も,国会議員43人,県知事・市長22人を含む245人に達している。
しかし,ユドヨノにとってジレンマなのは,汚職撲滅に取り組めば取り組むほど,新たな汚職事件が次から次へと明るみに出てきてしまうことである。2011年には,与党・民主主義者党内で党幹部を巻き込む汚職事件が発生し,政権の評価にも大きな打撃を与えることになった。それが,民主主義者党の国会議員で同党会計部長のムハマド・ナザルディンが関与した2011年東南アジア競技大会選手宿舎建設をめぐる汚職疑惑である。
この事件は,選手宿舎建設プロジェクトを落札した建設会社から賄賂を受け取った青年・スポーツ担当国務相府次官が4月21日に汚職撲滅委員会によって現行犯逮捕されたことから明るみになった。ナザルディンは,この建設会社がプロジェクトを落札できるよう次官に働きかけ,落札の見返りとして,自ら所有するプルマイ・グループ社がこの建設会社から落札金額の一部を受け取っていたとされている。ナザルディンとプルマイ社は,このほかにも,国営電力会社PLNや国家教育省,保健省などの政府調達プロジェクトにおける汚職にも関与しているといわれている。
さらに,これらの汚職によって得られた資金が民主主義者党内にも流れていたという疑惑が浮上している。2010年の党大会で行われた党首選では,激しく支持を争ったアナス・ウルバニングルム党首とアンディ・マラランゲン青年・スポーツ担当国務相の両陣営にナザルディンの企業から献金がなされていたという証言もある。ナザルディンは,党首選ではアナスの選挙対策チームの一員として活動し,アナスの党首就任後に党の会計部長に任命されるなど,両者は近い関係にあった。ナザルディンは,自身の関与した汚職事件ではアナスが背後で指示を出していたと証言しており,事件は与党党首を巻き込んだ一大スキャンダルへと発展しつつある。アナスはその疑惑を強く否定しているが,ポスト・ユドヨノの党の看板であるアナスのイメージにこの汚職疑惑が与えたダメージは極めて大きい。
汚職撲滅委員会は,6月30日にナザルディンを東南アジア競技大会宿舎建設プロジェクトの汚職事件の容疑者に指定した。しかし,ナザルディンは,汚職撲滅委員会が国外出国禁止令を出す前日の5月23日から海外へと逃亡し,容疑者に指定された時点ではすでに所在がわからなくなっていた。8月7日になって,ナザルディンは,南アメリカのコロンビアで現地警察当局により拘束され,帰国した13日に汚職撲滅委員会によって逮捕された。うまいタイミングで出国し,長期にわたって逃亡が可能だったのは,汚職撲滅委員会や警察,外交当局などの関係者がナザルディンから賄賂を受け取っていたからではないかとの疑惑まで浮上するなど,この事件の余波がどこまで広がるのか予断を許さない。
この汚職事件には,民主主義者党関係者やほかの政党の国会議員も多数関与しているとみられている。青年・スポーツ政策を所管する国会の第10委員会では,民主主義者党のアンジェリナ・ソンダク議員が賄賂を受け取ったうえで,委員会内で根回しをしたといわれている(アンジェリナ議員は,2012年2月3日に汚職撲滅委員会によって容疑者に指定された)。また,国会の予算委員会における根回しでは,闘争民主党のワヤン・コステル議員が関与しているといわれている。
与党民主主義者党の幹部を巻き込む汚職疑惑が明らかになったことは,汚職撲滅を政権の成果としたいユドヨノ大統領に対する評価を下げることにつながっている。ユドヨノの任期が切れる2014年以降も政権与党の座を維持したい民主主義者党にとってもこの事件の影響は大きい。1998年の民主化運動では学生活動家として活躍し,次世代の政治指導者として期待されていたアナスの政治的キャリアに傷がついただけでなく,2004年,2009年と清新さを打ち出して選挙での支持を広げてきた民主主義者党のイメージもこの事件によって大きく崩れた。2012年に入ってから発表された世論調査でも,民主主義者党の支持率は2年前に比べて7ポイントも下落し,ゴルカル党と闘争民主党を下回ってしまった。2014年の選挙に向けて各党の動きが活発になるなか,今回の事件は政局の行方にも大きな影響を与えそうである。
信教の自由や所有権など国民の権利を侵害する紛争の発生現在インドネシアは,新興民主主義国の優等生であるという国際的な評価を受けている。とくに賞賛されているのは,多民族,多宗教の大国が,国家の統一を失うことなく安定的な民主主義を実現している点である。独立闘争以来,多民族共生を目指してきたインドネシアは,民主主義の時代においては,憲法で基本的人権を規定することで国民の権利を保護し,国是である「多様性のなかの統一」を実現しようとしている。しかし,その実現は容易なことではない。2011年には,国民の権利,とくに少数派の権利をいかに守っていくかという課題を突きつけるような紛争が散発的に発生した。
紛争のひとつは,宗教をめぐるものである。宗教をめぐる紛争は,異教徒間における対立に限らない。国民の約88%を占めるイスラーム教徒の間でも,多数派と少数派の間には対立が存在する。たとえば,インドネシアで多数派ムスリムが信仰するスンニ派の信徒が少数派のシーア派信徒のイスラーム寄宿学校や住宅を襲撃するという事件が2月と12月に発生している。また,急進的イスラーム主義団体から「異端宗派」として迫害を受けているイスラーム教の一派アフマディヤ信者に対する暴力事件も頻発した。なかでも2月6日にバンテン州パンデグラン県で発生したアフマディヤ信徒宅への襲撃事件では,1500人近いイスラーム急進派グループがわずか17人のアフマディヤ信者を襲い,3人が死亡している。この襲撃事件は,事前に警察や公安が情報を把握して100人以上の部隊を配置していたにもかかわらず,暴力行為を止められなかった。事件後,バンテン州警察本部長や州公安局長らは責任を問われ更迭されている。
異教徒間での対立も発生している。2011年に問題となったのは,西ジャワ州ボゴール市での教会建設問題である。この問題は,2006年にボゴール市政府が市内ヤスミン地区での教会建設に許可を与えたにもかかわらず,2008年に一転して建設許可を取り消したことが発端である。教会側はこれを不服として市を相手取って訴訟を起こし,最高裁まですべて教会側の主張が認められてきた。しかし,ボゴール市長は,2011年に最高裁の判決が出て教会側の勝訴が確定したにもかかわらず,教会建設許可の取り消しを撤回していない。7月には国家オンブズマンが市政府に対して最高裁の決定に従うように勧告を行ったが,市長はこれを完全に無視したままである。周辺住民の反対があるというのが市政府の表向きの理由であるが,市長が選挙でイスラーム主義政党である福祉正義党の支持を得る必要があったという政治的な理由も指摘されている。しかし,問題は,信教の自由という基本権が侵害され,さらに司法が基本権侵害の是正を市政府に求めたにもかかわらず,それが履行されていないという点にある。
さらに,経済問題をめぐっても住民の権利と企業活動の間で摩擦が生じている。ランプン州ムスジ県と南スマトラ州オガン・コメリン・イリル県にまたがるオイルパーム農園では,操業企業と住民との間で土地の所有権をめぐる紛争が2010年から発生しており,2011年には両者の衝突で死者が出ていることが国会で告発された。住民側は死者30人と主張しているが,政府の事実究明チームや国家人権委員会の調査では,少なくとも9人の住民が死亡しており,警察が関与している疑いもあることが指摘されている。このほかにも,西ヌサトゥンガラ州ビマ県では,金採掘企業の操業許可取り消しを求める住民と警察が衝突し,3人が死亡するという事件が12月24日に発生している。
いずれの事件でも,地元政府が住民に対する説明などの適切な対応を怠っていたり,警察当局が物理的な力を行使したりしてしまうことによって,事態が深刻な暴力的紛争に発展している。政治的には安定した民主主義の確立に成功したインドネシアであるが,多様な利害を平和的に調整して民主主義を深化させるという点ではまだまだ課題を多く抱えている。
(川村)
2011年の経済は年間を通じて順調であった。名目GDPは7427兆861億ルピア(速報値),実質成長率は6.5%であった。政府は2011年予算の前提をGDP成長率6.4%としていたが,年の前半では政府,中央銀行とも6.4%より高い6.5~6.7%の経済成長を期待していた。しかし,8月のアメリカのソブリン格付け引き下げ,ギリシャの財政問題に端を発する欧州経済危機により世界経済が不安定化したため,インドネシア経済への影響も懸念された。最終的には,当初目標より0.1ポイント高い6.5%の経済成長を達成した。
経済成長を牽引したのは,引き続き実質GDP(2000年基準)の55.6%を占める家計消費であり,経済成長への寄与度は2.7%であった。政府支出の割合は,2010年の8.5%から8.2%と若干減少したものの,成長への寄与度はゼロから微増の0.3%となった。投資の割合は24.4%となり,寄与度は2.1%であった。伸び率は前年の8.5%増から8.8%増と高くなった。とくに第4四半期は前年同期比で11.5%増と非常に高くなっている。投資調整庁によると,外国直接投資総額(実施ベース)は前年比20%増の195億ドルになった。なかでも,日本からの投資は前年比113%増の15億ドルとなった。加えて,2010年は日本の半分ほどであった韓国からの投資が2011年には12億ドルと日本とほぼ同レベルに達し,伸び率は実に270%増になるなど,外国直接投資が活発化した。
輸出が名目GDPに占める割合は前年の24.6%から26.3%と増加し,輸入は前年の22.9%から24.9%へと増加した。輸入の伸びが輸出より低かったため,純輸出(輸出マイナス輸入)の寄与度は2009年の0.9%から1.5%に上昇した。
生産部門別では,前年に引き続き運輸・通信部門の伸び率が大きく,10.7%増であった。これに次ぐ伸び率の商業部門(9.2%増)では,卸売・小売業が前年比10.0%増となり,経済成長への寄与度が1.4%ともっとも高かった。旺盛な消費を反映して宿泊業が9.0%増,飲食サービス業が4.1%増となった。サービス業部門では,寄与度はゼロであるものの,余暇・娯楽産業が8.2%成長し,個人・家庭分野が8.1%伸びるなど(寄与度0.3%),物品の購入に加えてサービスの消費が進んでおり,人々の生活が豊かになっている様子がわかる。
製造業部門も順調に成長している。実質GDPに占める割合は前年より微減の25.7%だったが,伸び率は6年ぶりに上昇に転じた前年の4.7%増をさらに上回る6.2%増となった。経済成長への寄与率も1.6%と大きかった。石油ガス製造の伸び率は0.9%減であった。石油ガス以外の製造業部門では卑金属・鉄鋼の伸び率がもっとも高く,前年の2.4%増から13.1%増に伸びた。輸送機器製造は,前年比7.0%増と依然高い伸び率だが,前年の10.4%増よりも減少した。自動車の製造台数は前年比19.3%増の83万7948台,二輪車の製造台数は前年比8.3%増の800万6293台であった。実質GDPの7.7%を占める鉱物・採石部門のうち,石油・ガス以外の割合が3.9%と伝統的な輸出品目である石油・ガスの3.8%(伸び率0.1%減)を上回り,鉱物・採石部門の主要な産業の交代が明らかになった。
輸出も前年に引き続き好調であった。輸出額は前年比29%増の2035億ドルに達し,260億ドルの貿易黒字となった。石油・ガスは前年比47.9%増の415億ドルであった。非石油・ガスで輸出額がもっとも多いのは,鉱物燃料の274億ドル(46.6%増),次に動植物油脂の217億ドル(32.8%増)であった。3番目はゴム・ゴム製品の144億ドル(53.1%増)であり,上位3品目だけで非石油ガス輸出の約4割を占める。輸入は,前年比30.8%増の1774億ドルとなり,伸び率では輸入が輸出を上回った。石油・ガスの輸入は407億ドル(48.5%増)であった。非石油・ガス輸入では,機械設備が247億ドル(23.5%増)ともっとも多く,次いで電気機器が183億ドル(16.7%増),鉄鋼が86億ドル(34.5%増)であった。2011年も国内消費の旺盛さが輸入品目に反映され,小麦などの穀物(前年比120%増,48億ドル)や砂糖・砂糖菓子(51.7%増,19億ドル)の伸びが顕著であった。
2011年の非石油ガスの輸出相手国の1位は輸出金額216億ドルの中国で,前年比53.4%増加した。日本は2位の183億ドル(前年比11.1%増)であった。非石油ガスの輸入も1位が255億ドルの中国であった。貿易収支全体は黒字であるが,対中国貿易に関しては赤字である。対中国貿易は2008年から経常的に赤字であり,輸出と輸入を合わせた貿易総額も,2010年の361億ドルから2011年の492億ドルに36.1%増加するなど,輸出・輸入とも中国への依存度が高まっている。
好景気の続く国内経済旺盛な家計消費は,過去最高を記録した自動車(前年比16.9%増,89万4164台)・二輪車(8.7%増,804万3535台)の販売台数に表れている。小売業も好調で,人々の購買意欲が直接影響する小売市場は,過去5年間右肩上がりの成長が続いている。インドネシア小売業協会によれば,旺盛な国内需要とそれに伴う店舗数の拡大により,2011年の収益は前年比20%増の120兆ルピアになるとみられている。とくに衣料品の伸びが高く,食品の伸びを抜いている。
好景気を反映して不動産価格も上昇している。ジャカルタ首都圏では,オフィスビルや高級アパートメントの価格が前年比11%上昇し,工業用地にいたっては投資ブームの影響もあって75.8%上昇した。不動産価格の上昇はジャカルタ周辺だけに限らない。たとえば,南スラウェシ州の州都マッカサルでは住居用価格が6.0%上昇しており,ジャカルタ首都圏の6.7%に並んでいる。2011年の州別GDPの成長率をみると,南スラウェシ州は7.7%成長をしていることから,地方都市もまた順調な経済成長の恩恵を受けていることがわかる。
景気のよさは失業率や貧困率の数字にも反映されている。完全失業率は前年の7.1%からさらに低下して6.6%に改善した。8月時点の失業者数は前年より62万人少ない770万人であった。失業者数は2005年から継続的に減少している。一方,就業人口も1億1737万人と前年の1億1653万人から84万人しか増加しておらず,失業率の低下は分母となる就業人口の伸びが小さかったことも影響している。貧困人口は,100万人減少して3002万人となり,貧困人口比率も0.8ポイント低下して12.5%となった。
経済成長のためのマスタープランの策定政府は5月27日に,「インドネシア経済開発加速・拡大マスタープラン2011~2025年」(MP3EI)を発表した。この基本計画のなかで政府は,2025年にはインドネシアを世界における10大経済大国とすることを目標に掲げている。2010年のインドネシアのGDPは世界17位であり,2005年の27位から5年間で10位順位を上げている。マスタープランでは2011年から2025年にかけて4012兆ルピアの投資が見積もられているが,そのうち45%はインフラ投資が占める。投資額の10%は政府が支出する予定で,残りは民間資金を含めた国内外の資金を活用する意向である。
マスタープランは「加速」と「拡大」という2方面から経済成長をとらえている。「加速」計画では,すでにある多くの開発プログラムの早期実施を促し,「拡大」計画ではインドネシアのすべての地域・経済要素をつなぎ,経済発展の効果をインドネシア全体に広げていくことを目的としている。
マスタープランは大きく3つの要素からなっている。第1の要素が,6つのインドネシア経済回廊(IEDC)の推進である。図1で示されているように,この経済回廊は,スマトラ,ジャワ,カリマンタン,スラウェシ,バリ・ヌサトゥンガラ,パプア・マルク諸島の6地区からなっている。スマトラ経済回廊は天然資源の加工およびエネルギー備蓄センター,ジャワは製造業・サービス業の供給推進地区,カリマンタンは鉱業加工およびエネルギー備蓄センター,スラウェシは農業・プランテーション・漁業・石油・ガス・鉱業の加工・生産センター,バリ・ヌサトゥンガラは観光および食糧支援のゲートウェイ,パプア・マルク諸島は食糧,漁業,エネルギー,工業の開発センターというように,すべての回廊にその地域の資源を活用した産業クラスターや経済特区をつくることが計画されている。第2の要素は,連結性の向上である。経済回廊間や開発拠点間の連結性と国内と海外の連結性を高めることが目標とされている。さらに,第3の要素として,各経済回廊における経済プログラムを実施するために人的資源・科学技術の強化が目指されている。
(出所) インドネシア共和国『インドネシア経済開発加速・拡大マスタープラン2011~2025年』46ページ。
マスタープランでは,今後の成長に重要な22の経済業種・分野が挙げられている。それらは,石炭,ニッケル,銅,ボーキサイト,石油・ガス,林業,畜産,カカオ,ゴム,パーム油,防衛装備,鉄鋼,飲食料品,繊維,海運,ICT(情報・コミュニケーション技術),輸送機器,スンダ海峡国家戦略地域,ジャボデタベク地域,食糧・農業,観光,水産業である。マスタープランでは,22の経済業種・分野ごとに現状と問題点の説明がなされ,これらの活動を促進していくために必要な政策や法令などが明示されている。さらにその業種・分野を発展させるために必要とされるインフラ整備が列記され,人材育成,技術向上についても必要なプログラムが具体的に記されている。マスタープランに挙げられた22の業種・分野のうち8つは鉱業,農産物に関するものである。石炭(世界2位の輸出),ニッケル(世界4位の埋蔵量),銅(生産5位),ボーキサイト(埋蔵量7位,生産4位),天然ガス(埋蔵量165兆立方フィート,年間生産量3兆立方フィート),ゴム(生産2位),カカオ(生産2位),パーム油(輸出1位)などインドネシアが抱える豊富な天然資源は経済の潜在力である。今後は,生産性を高め,採掘・収穫から川下まで国内で資源加工の流れをつくり,付加価値を高めていくことが目指されている。
マスタープランで挙げられている製造業のうち繊維産業は,高い雇用吸収力を持つ重要な産業である。130万人の雇用者のうち約半数は労働集約的な衣料品生産産業に従事しており,唯一貿易黒字の産業でもある。アジア通貨危機以降,新規投資が進まず,設備の老朽化によって生産性が低下したうえ,安価な中国衣料製品との競合が激化したことで,繊維産業の国際的な競争力が低下している。国内では購買意欲の高まりにより衣料品の小売りも好調であることから,国内外に大きな市場を持つ繊維産業の再生が製造業育成のひとつのカギになると思われる。
インフラ整備のための土地収用法の成立マスタープランの核となるのは,連結性を具体化するためのインフラ整備である。スンダ海峡国家戦略地域の開発におけるスンダ海峡大橋の建設は,天然資源加工とエネルギー備蓄のスマトラと,製造・サービス供給および需要拠点であるジャワをつなぐ重要なインフラの整備である。財・サービス・情報すべてをつなぐために必要なインフラの整備がもっとも急がれている。
そのインフラ整備に不可欠な土地収用法(公共利益に向けた開発のための土地収用に関する法律2012年第2号)が,2年越しの審議を経て12月16日にようやく国会で成立した。この土地収用法では,土地の収用にかかる期間に制限が設けられている。たとえば,国民の意見聴取は60執務日と決められており,仮に土地の所有者が土地を売却したくない場合は,行政裁判所に対して不服申し立てをすることができる。行政裁判所は30執務日以内に判決を出す必要がある。土地所有者がその判決に不服な場合は,14執務日以内に最高裁判所に上告する権利が与えられている。これに対して,最高裁判所は30執務日以内に判決を出さなければならない。公示からはじまり,意見聴取,訴訟,正当な土地所有者から公正な価格で土地を買収するための協議を含めたすべての土地収用手続きは,436執務日のうちに終了させなければならない。土地の所有者に対する補償は現金に限らず,土地の交換,再定住,株式,その他政府と土地所有者との間で合意した形のものでもよいとされる。
この法律の成立によって,ボトルネックとなっていた土地収用が進み,インフラ開発が本格的に始動することが期待されている。しかし,国家開発企画庁によると,2012年1月14日付で公布・施行された土地収用法を実施するための政令の制定には,最低1年間は時間が必要とみられており,法律の施行が即インフラ開発の加速には結びつかないかもしれない。
格付けの引き上げと資本流入12月15日,国際格付け機関フィッチがインドネシアの長期ソブリン格付けを「BB+」から「BBB-」に引き上げたことで,インドネシアの格付けは「投資適格」となった。2012年1月18日には,ムーディーズもインドネシアの格付けを「Ba1」から「Baa3」の「投資適格」へと引き上げた。「投資適格」になることは,外国投資家のインドネシアへの投資戦略に影響を与える。年金基金やファンドは,運用規定のなかで投資適格以上の投資を規定しているところが多い。そのため,これまではインドネシア国債や中銀証書(SBI)をポートフォリオに組み入れたくとも,規定による制限によって組み入れられない場合が多かった。それにもかかわらず,ここ数年の経済の好調さを受けて,多額の外国資本が流入し続けてきた。格付けが投資適格に引き上げられたことで,資本の流入にさらに拍車がかかる可能性がある。
2011年前半は,流入し続ける外国資本に対する警戒感が高まった。2009年から国債やSBIへのポートフォリオ投資が増加し続けたため,外国資本の急激な流出を回避しようと,中銀は2010年に1カ月物SBIを廃止,さらにSBIの保有期間を1カ月以上に定めるなどの対策をとったが,政府部門へのポートフォリオ投資は増加し続けた。そこで,中銀は,5月13日以降,SBIの最低保有期間をそれまでの28日(1カ月)から182日(6カ月)に延長することを決定した。この決定を受けて,2011年第1四半期には44億ドル,第2四半期には30億ドル流入していた政府部門へのポートフォリオ投資が,第3四半期には一転して43億ドルの流出,第4四半期も23億ドルの流出となった。
年前半は,大量の資本の流入もありルピア価値は上昇し続けた。1ドル当たり8985ルピアで始まった為替相場は,8月1日に年初より6%上昇し,1ドル当たり8455ルピアをつけた。その後,年末にかけてルピア価値は下落に転じ,12月20日には1ドル当たり9120ルピアとなった。2011年の財政予算の前提となる為替レートは1ドル当たり9250ルピアであったが,中銀は強いルピアを志向し続けた。8月にはルピア相場の変動を抑えることを目的に大量のルピア買いが実施されたため,外貨準備が1246億ドルから1140億ドルまで一気に8%減少した。その後も中銀はルピア安を阻止するための為替介入を継続的に行った。
中銀は,蔵相令2010年第011号および第143号に基づき,2011年のインフレの目標数値を5%±1%に設定している。2011年1月に7%台であったインフレ率は年間を通じて低下し,7月から5%を切り12月には3.8%と低い水準で安定している。中銀は,インフレ率が低下傾向であることを受けて,世界経済見通しの悪化がインドネシアの実態経済に与える悪影響を軽減するため,11月10日に指標金利である中銀(BI)レートを0.5ポイント引き下げ6%にした。
金融サービス監督庁法の成立10月27日,金融サービス監督庁(OJK)に関する法案が国会で可決された。OJKの設立は1999年の中央銀行法のなかで明記されていたが,政治的な論争が続き法案の可決までに12年を要した。この間,資本市場監督庁(BAPEPAM)に非銀行金融機関の監督機能が移管され,資本市場金融機関監督庁(BAPEPAM-LK)に改組されるなどの動きがあったが,銀行の監督機能は中銀に残ったままであった。OJKは金融サービスに関する規制,監督,検査,取り調べを行う独立機関であり,政府支出と金融サービスを提供する機関からの手数料(課徴金)によって運営される。発足は2013年1月が予定されている。
金融のグローバル化が進むなか,危機時に機動的な政策決定を行うために必要な金融セーフティネット法案がいまだ成立していないため,金融危機時の司令塔となる金融システム安定調整フォーラム(FKSSK)の設置がOJK法のなかで定められた。FKSSKは,大蔵相が調整役となり中銀総裁,預金保険機構理事長,OJK長官をメンバーとする。OJKは中銀と共同して銀行規則の作成を行い,同時に預金保険機構と共同して直接銀行の監査を行う。また,FKSSKの調整の下で,中銀,大蔵省,預金保険機構が協力してシステミック・リスク管理や,金融危機の予防,市場管理を行うことになった。
社会保障制度の整備に向けた動き10月28日,国民社会保障制度(SJSN)に関する法律2004年第40号を実施するために制定が急がれていた社会保障庁(BPJS)法案が国会で成立した。国民すべてに,より効率的な社会保障を提供するために制定されたSJSN法は,原則的な枠組みを定めた基本法であり,実施には具体的な法令の制定が必要である。たとえば,SJSN法を遂行するための国民社会保障評議会(DJSN)を設立する法令の準備や,実施機関として既存の4つの社会保険会社を統合するための法案の整備が必要であった。DJSNは大統領令2008年第44号によって設立されている。社会保険会社の統合は2009年までに行われる予定であったが,3年遅れでようやく法案が可決された。
現在のインドネシアの社会保障制度は,4つの国営社会保険会社によって運営されている。国営労働者社会保険会社(PT.JAMSOSTEK)は,1992年に設立され,健康保険,労災補償,老齢給付および死亡保障からなる総合的な社会保障制度を担う。10人以上の労働者を雇用し,または労働者に月100万ルピア以上の給与を支払っている雇用主は,JAMSOSTEKに加入する義務がある。国家公務員年金会社(PT.TASPEN)は1963年に設立され,国家公務員を対象とする健康保険,老齢給付,死亡保障および年金を提供する。国営軍人警察官保険会社(PT.ASABRI)は1963年に設立された国軍・警察を対象とする健康保険,老齢給付および死亡保障を提供する機関である。国営健康保険会社(PT.ASKES)は1968年に設立され,公務員,軍人,警察官,年金者,退役軍人,民間労働者およびその家族を対象として健康保険を提供している。
社会保障庁法では,これら4つの国営保険会社を統合し,社会保障庁を2014年1月1日に設置することが定められた。ただし,すべての社会保険会社を一元化するのではなく,ASKESを基本として国民皆保険を管轄する機関と,JAMSOSTEKを基本に労災補償,老齢給付,年金,死亡保障を取り扱う機関がそれぞれ設置されることになっている。後者については,2014年1月に発足するが,運営開始は2015年7月を予定している。新機関は現在の国営会社ではなく大統領直属の非営利団体となる。
(濱田)
インドネシアは,2011年のASEAN議長国として,積極的な外交を展開した。とくに政治・安全保障面では,インドネシア独自のイニシアティブが目立った。たとえば,ASEANは伝統的に域内の政治問題に対して慎重な姿勢で臨むことが多かったが,インドネシアは,ASEAN議長国としてタイとカンボジアの国境紛争という域内問題の解決に向けて積極的に仲介役を果たそうとした。紛争発生直後の2月には,マルティ・ナタレガワ外相がカンボジアとタイをそれぞれ訪問して外交的解決を促すとともに,ニューヨークまで足を伸ばして国連安保理との協議にも臨んでいる。また,インドネシアは停戦監視団を両国に派遣するという提案も行った。5月のASEAN首脳会議では,インドネシアは,タイ,カンボジアとの3者首脳会議および3者外相会議を開催して,紛争の平和的解決に向けた努力を続けた。
インドネシアは,ASEAN加盟国と中国との間で領有権をめぐる争いがある南シナ海問題についても積極的な取り組みをみせた。この問題については,2002年に平和的紛争解決の重要性を確認した「南シナ海の当事国に関する宣言」がASEAN諸国と中国との間で合意されている。この宣言を具体的に実行するためのガイドライン(指針)策定に向けた交渉が2005年から続けられてきたが,協議は難航していた。7月,インドネシアの努力で交渉がまとまり,ASEANと中国は指針の内容に合意した。これを受け,ASEAN内では法的拘束力のある「行動規範」の作成に向けた検討も始められている。
また,ASEANと米英仏ロ中の核保有5カ国との間で,東南アジア非核地帯条約議定書への署名に向けた交渉が2001年以来10年ぶりに再開されたのもインドネシアのイニシアティブによるものである。同条約は,東南アジア諸国による核兵器の開発・保有・使用などを禁止しているが,核兵器の使用と使用の威嚇を禁止することを定めた議定書への署名を核保有国に対して求めている。12月には,1996年に署名した包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准手続きが国会で終わった。ユドヨノ大統領は,「核なき世界」に向けて積極的な外交を展開している。
この他,11月の首脳会議で決定したミャンマーの2014年ASEAN議長国就任も,インドネシア政府の後押しによるものである。ミャンマーのASEAN議長国就任については,アメリカなどがミャンマーの人権状況や民主化の停滞を理由に否定的で,ASEAN内部でも意見が分かれていた。そこで,インドネシア政府は,10月にマルティ外相をミャンマーに派遣して,大統領など政府高官だけでなく,民主化指導者アウンサン・スーチーとの会談の機会も持った。マルティ外相は,一連の会談で同国の民主化の進展具合を確認し,ミャンマーのASEAN議長国就任によって民主化がさらに進むとして関係国を説得したのである。
また,アメリカとロシアが初めて正式参加した11月の東アジアサミットでは,インドネシアは,地域の平和,安定と繁栄を実現するための行動規準となる「バリ原則」や防災・災害対応の協力などの合意を取り付けるのに指導力を発揮した。
「首都圏投資促進特別地域」(MPA)構想に関する日本政府との協議2010年12月10日に日本政府とインドネシア政府が協力覚書に署名を行った「首都圏投資促進特別地域」(MPA)構想の第1回運営委員会が,3月17日にジャカルタで開催された。日系企業が多く進出するジャカルタ首都圏は,インドネシア全土の経済関係の意思決定の80%がなされる重要な経済圏である。その地域のインフラ整備は両国にとって不可欠であることから,両国政府が協力してMPAの開発を行うことで一致している。このMPAは,前述のインドネシア経済開発加速・拡大マスタープランの最優先事業のひとつにも位置づけられている。
第1回運営委員会では,マスタープラン調査実施計画の実施が協議され,2012年第2四半期末までにマスタープラン調査が完成・承認される予定である。さらに,国際港湾,ジャカルタ東部の工業団地群の改善,大量輸送機関(MRT),道路,空港および関連インフラ,上下水道システム,廃棄物処理システム,洪水管理システム,電力インフラの9分野17事業のMPA早期実施事業候補案件リストが承認された。2013年末までにこれらの案件を着工するため,両国政府が緊密に協力することが確認された。9月22日には第2回運営委員会が開催され,新たに優先事業15分野が採択されている。
東日本大震災に対する支援3月11日の東日本大震災の被害に対する支援がインドネシアでも広がった。インドネシア政府は,震災直後に救援チームを日本へ派遣し,毛布1万枚と200万ドルの義援金を供与した。国家災害対策庁(BNPB)は,国内の自然災害時の非常食として備蓄している缶詰1.5トンを支援物資として日本に送っている。
6月にはユドヨノ大統領が来日し,被災地の宮城県気仙沼市を訪問した。その際,大統領は,2004年にスマトラ沖大地震・津波を経験した国として防災・災害対応分野での協力を日本に呼び掛けた。ユドヨノ政権は,防災協力を外交の柱のひとつに位置づけており,3月には日本との共催でASEAN地域フォーラム災害救援実動演習を主催している(当初は,日本から自衛隊・国際緊急援助隊など400人が参加予定だったが,東日本大震災のため部隊の派遣は取り止められた)。
また,多くの国内民間団体が義援金を集め被災地に送っている。トヨタのサプライヤー企業の団体が48億ルピア(約4600万円)を,日本への留学経験を持つインドネシア人らによって結成されたインドネシア日本同好会(KAJI)が1億ルピア(約97万円)を集めた。2009年に起きた大地震の被災地である西スマトラ州パダン市でも2億1300万ルピア(約200万円)の義援金が集められるなど,インドネシア各地で支援活動が広がった。
(川村・濱田)
ユドヨノ大統領にとって身内から出た汚職疑惑は頭の痛い問題である。ナザルディンの関与した東南アジア競技大会選手宿舎建設汚職疑惑に対する捜査や公判が進むなかで民主主義者党内からさらに逮捕者が出るようなことがあれば,大統領に対する支持率が急落することもありうる。2014年の議会選・大統領選に向けてすでに走り出している各政党にとって,与党の汚職疑惑は格好の追及材料であり,疑惑がさらに拡大するようであれば政権の求心力が失われる可能性がある。
順調に経済成長を続けるインドネシアにとっての懸念材料は世界経済の行方である。欧州経済危機によって世界経済の先行きが不透明ななか,インドネシアは内需に依存するものの,主要輸出国の景気動向の影響が懸念される。懸念材料のひとつは経常収支の黒字幅の減少である。2009年に106億ドルあった経常黒字は,2010年56億ドルに減少し,2011年はさらに21億ドルに減少している。この間,財貿易収支は約300億ドル程度で安定しているものの,サービス収支,所得収支の赤字幅が拡大している。世界経済の悪化による輸出の減少と,現在大量に流入している外国資本の急激な引き揚げが起きれば,インドネシア経済を悪化させる恐れがある。急速な経済悪化の影響を避けるために中銀は2012年に入ってBIレートをさらに0.25%引き下げ5.75%にするなど,実物経済に配慮しているが,今後はより慎重な経済運営が重要となる。
(川村:地域研究センター)
(濱田:開発研究センター研究グループ長)
1月 | |
13日 | マンダラ航空,財務状態の悪化で会社更生を申請。 |
24日 | 大統領,インドとスイス訪問に出発。スイスではダボス会議に出席(〜29日)。 |
25日 | 政府,インド政府と二国間貿易の拡大と経済協力に関する覚書に調印。 |
29日 | 汚職撲滅委員会,中銀副総裁選出に関わる収賄容疑で19人の国会議員を逮捕。 |
31日 | 政府,エジプト政変を受け,在留インドネシア人の避難のためにチャーター機をカイロに派遣。2月1日,ハッサン・ウィラユダ前外相を政府代表として現地に派遣。 |
31日 | 憲法裁,1954年制定の国政調査権法を違憲と判断,新法の制定を国会に要請。 |
2月 | |
4日 | 中銀,BIレートを1年5カ月ぶりに引き上げ。0.25ポイント引き上げて6.75%に。 |
6日 | バンテン州パンデグラン県で,アフマディヤ信徒宅への襲撃事件発生。3人が死亡。11日,事件の責任を問われた同州警察本部長,州公安局長らが更迭される。 |
7日 | 大統領,タイ・カンボジア国境紛争の調停のため外相を両国に派遣。 |
7日 | 大統領,ムバラク・エジプト大統領に民主主義への移行を促す親書を送る。 |
8日 | 中ジャワ州トゥマングン県で,キリスト教会3カ所への襲撃事件発生。2カ所の教会が焼失,9人がけが。 |
11日 | 南ベンクル県知事選挙結果をめぐる裁判で収賄の疑惑があったアルシャディ・サヌシ憲法裁判事が辞任。 |
15日 | 東ジャワ州パスルアン県にあるシーア派イスラーム寄宿学校を暴徒が襲撃。 |
15日 | イギリス・ガーンジー地裁,イギリス金融当局によるスハルト三男フトモ・マンダラ・プトラの銀行口座凍結を不当とする判決。 |
17日 | 大蔵省,輸入映画配給権への関税適用を通達。アメリカ映画などの配給が止まる。 |
22日 | ゴルカル党,闘争民主党などが提出した税務汚職に関する国政調査権行使提案が反対多数で否決される。 |
3月 | |
1日 | 急進的イスラーム主義団体がアフマディヤの解散を求めてジャカルタでデモ。 |
8日 | 国家麻薬庁(BNN),ヌサカンバン麻薬犯刑務所長を所内での麻薬取引容疑で逮捕。 |
11日 | 政府高官の汚職,不正行為を記したアメリカ外交公電がウィキリークスから漏洩。 |
11日 | ボゴール市政府,ヤスミン・キリスト教会の建設認可を取り消し。 |
12日 | 在日本大使館,東日本大震災の発生を受け仙台に現地災害対策本部を設置し,在留インドネシア人の救助活動を開始。東北在住のインドネシア人を国費で一時帰国させる。 |
12日 | 東日本大震災で発生した津波がパプア州ジャヤプラ市に到達,1人が死亡。 |
15日 | 書籍郵便物に仕掛けられた爆弾が国会議員宅など4カ所に送られる。 |
15日 | 北スラウェシ州マナドで,20カ国2000人が参加する第2回ASEAN地域フォーラム災害救援実動演習が始まる(~19日)。 |
17日 | 日本・インドネシア両国政府によるジャカルタ首都圏投資促進特別地域(MPA)に関する第1回運営委員会,ジャカルタで開催。 |
17日 | 元日本留学生らによって東日本大震災の犠牲者・被災民に対する祈りの会がジャカルタで開催される。 |
23日 | 汚職裁,バクティアル・チャムシャ元社会相に対して職権乱用などで禁錮1年8カ月の実刑判決。 |
24日 | 南ジャカルタ地裁,収賄・公金流用罪でススノ元国家警察庁刑事局長に対して禁錮3年6カ月の実刑判決。 |
25日 | 汚職撲滅委員会,ハリ・サバルノ元内相を消防車調達事業の汚職容疑で逮捕。 |
29日 | 大統領,リビア情勢について声明を発表。国連安保理決議に対して懸念を表明するとともに,即時停戦と平和的解決を求める。 |
4月 | |
5日 | 外国公認会計事務所の活動を制限する公認会計士法が国会で可決成立。 |
5日 | 西ジャワ州ボゴール県でアフマディヤ信徒宅への襲撃事件発生。2カ月で3度目。 |
6日 | 大蔵省,卸電力事業による地熱発電所の開発促進のため国営電力会社PLNによる買電に政府が保証書を発行することを決定。 |
11日 | 国会本会議中にタブレット端末で猥褻映像を見ていた福祉正義党・アリフィント議員が辞職を表明。 |
15日 | 西ジャワ州チレボン警察署内にあるモスクで自爆テロ事件が発生,28人がけが。 |
17日 | サウジアラビア政府,死刑囚を除く服役中のインドネシア人労働者316人を放免。 |
20日 | 政府,東京電力と東北電力に液化天然ガス100万トンの追加供給を決定。 |
21日 | 汚職撲滅委員会,東南アジア競技大会選手宿舎建設をめぐる収賄容疑で青年・スポーツ担当国務相府次官を逮捕。 |
25日 | 蔵相,44歳の中堅官僚アグン・クスワンドノを抜擢して関税総局長に任命。 |
27日 | 東ジャカルタ地裁,アチェの武装テロ訓練施設への関与でアブドゥラー・スナタに禁錮10年の実刑判決。 |
5月 | |
1日 | 政府,3月16日からソマリアの海賊の人質になっていたニッケル鉱石貨物船のインドネシア人船員20人の解放に成功。 |
4日 | サウジアラビアから不法滞在のインドネシア人出稼ぎ労働者2349人が帰国。 |
7日 | ジャカルタで第18回ASEAN首脳会議,開催(〜8日)。 |
10日 | 大統領,国連から第1回防災世界チャンピオンに選出される。 |
13日 | 中銀,中銀証書(SBI)投資の条件として6カ月以上の保有を義務づけ。 |
18日 | 政府,韓国との二国間官民合同会議をバリで開催。19日には,総額20億ドルの投資と共同事務局の設置で合意。 |
20日 | インドネシア,国連総会で国連人権委員会の委員に選出される。 |
20日 | 最高裁,猥褻物陳列罪で有罪となった元プレイボーイ誌編集長エルウィン・アルナダに対する再審裁判で,逆転無罪の判決。 |
23日 | 与党6党の代表が,今後の連立のあり方に関する合意文書に署名。 |
25日 | ジャカルタで非同盟運動50周年を記念した外相会合開催。 |
27日 | 大統領,インドネシア経済開発加速・拡大マスタープラン(MP3EI)を発表。 |
6月 | |
8日 | ジャカルタ汚職裁,中銀副総裁選出汚職事件でパスカ・スゼッタ元国家開発企画担当国務相に禁錮2年6カ月の実刑判決。 |
8日 | オーストラリア,インドネシア国内の食肉処理場が家畜取扱基準を遵守していないとして生体牛の輸出を禁止。 |
16日 | 大統領,来日(〜18日)。東日本大震災の被災地・宮城県気仙沼市を訪問。 |
16日 | 南ジャカルタ地裁,アチェの武装テロ訓練施設を首謀したとしてアブバカル・バアシルに禁錮15年の実刑判決。 |
18日 | サウジアラビアで女性雇用主殺害のインドネシア人家政婦に対する死刑が執行される。外相は,事前通告がなかったとしてサウジアラビア政府に強く抗議。 |
20日 | ジャカルタ汚職裁,中銀副総裁選出汚職事件で2人の開発統一党議員に禁錮1年3カ月の実刑判決。22日には闘争民主党議員4人に禁錮1年5カ月の実刑判決。 |
21日 | 憲法裁法改正案が国会で可決成立。憲法裁の越権判決や積極的立法を禁ずる。 |
24日 | 最高検,ユスリル・マヘンドラ元法務・人権相を同省法人登記システム調達汚職事件の容疑者に指定し,国外出国を禁止。 |
30日 | 汚職撲滅委員会,民主主義者党のムハマド・ナザルディンを東南アジア競技大会選手宿舎建設汚職疑惑の容疑者に指定。 |
7月 | |
6日 | 開発統一党の党首選で,スルヤダルマ・アリが再選される。 |
8日 | インドネシア証券取引所の株価指数IHSG,史上初の終値4000ポイント超え。 |
13日 | サウジアラビアで死刑判決を受けたインドネシア人家政婦が釈放され帰国。政府が保釈金46億ルピアを支払う。 |
15日 | 経済担当調整相,2009年鉱物・石炭法に基づき2014年からすべての未精製鉱物資源の輸出を禁止すると言明。 |
18日 | 国家オンブズマン,キリスト教会建設認可を取り消したボゴール市の決定を取り消すよう勧告。 |
26日 | ゴルカル党幹部のスルヤ・パロら,新たに民主国民党(Nasdem)を結成。 |
27日 | 最高裁,大蔵省租税総局汚職事件の被告ガユス・タンブナンに対して禁錮12年,罰金5億ルピアの実刑判決。 |
27日 | パプア高検,西パプア州議会の全議員44人を予算流用汚職疑惑で容疑者に指定。 |
28日 | セラン地裁,2月のアフマディヤ信徒宅襲撃事件の被告12人に対して禁錮3~6カ月の実刑判決。 |
8月 | |
1日 | 政府,サウジアラビアへの労働者派遣を停止。サウジ政府はインドネシア人家政婦へのビザ発給を7月1日から停止。 |
7日 | 東南アジア競技大会選手宿舎建設汚職事件の容疑者で国外逃亡中のナザルディン,南米コロンビアで警察当局により拘束される。 |
11日 | 1月にパキスタン当局が拘束した2002年バリ島爆弾テロ事件の首謀者の1人ウマール・パテック,インドネシアに送還。 |
16日 | 大統領,独立記念日演説を行う。また,2012年度予算案を国会に提出。 |
24日 | イギリス・ガーンジー高裁,スハルト三男フトモ・マンダラ・プトラの資金源が明確にされるまで銀行口座を凍結すると判決。 |
9月 | |
6日 | 政府投資会社PIP,ニューモント・ヌサ・トゥンガラ社の株式7%を取得。 |
11日 | アンボンでイスラーム教徒の死亡事件をきっかけに,イスラーム教徒とキリスト教徒との間で暴動が発生,6人が死亡。 |
14日 | オランダのデン・ハーグ裁判所,1947年12月の西ジャワ州カラワン県ラワグデ村虐殺事件の被害者に対してオランダ政府に賠償金の支払いを命じる判決。12月10日,オランダ政府が事件について正式に謝罪。 |
15日 | パプア州ティミカのアメリカ系鉱山会社フリーポート社の労組が,賃上げを要求してストライキを開始。 |
19日 | ジャカルタ特別州知事,首都モノレール計画の中止を決定。 |
20日 | 国会で総選挙実施機関法改正案が可決成立。 |
22日 | 日本・インドネシア政府の首都圏投資促進特別地域第2回運営委員会,開催。 |
25日 | 中ジャワ州ソロ市のキリスト教会で自爆テロ事件が発生,実行犯死亡。 |
26日 | 外相,国連総会に出席し,パレスチナ自治政府の国連加盟申請を全面的に支持。 |
27日 | 大統領,スルタン・ハムンクブウォノ10世ジョグジャカルタ特別州知事と会談し,同州の地位に関する法案の審議未了のため知事任期を1年間延長することで合意。 |
10月 | |
3日 | 中銀,輸出外貨の国内流入のための規定を発表(2012年1月2日施行)。 |
7日 | スハルト時代の国家官房長官ムルディオノが死去。 |
11日 | 諜報法案,司法委員会法改正案が国会で可決成立。司法委員会の権限強化される。 |
11日 | 中銀,BIレートを0.25ポイント引き下げ6.5%に。 |
19日 | 大統領,内閣改造を実施。 |
19日 | パプア住民大会が西パプア国の独立を宣言。警察が参加者を強制排除,6人が死亡,活動家6人を国家反逆罪で逮捕。 |
25日 | 金融取引報告分析センター長にムハマッド・ユスフ検事が就任。 |
27日 | 金融サービス監督庁(OJK)法案が国会で可決成立。 |
28日 | 社会保障庁(BPJS)法案,2012年度予算案が国会で可決成立。 |
11月 | |
2日 | サマリンダ汚職裁,県予算不正流用疑惑のあるクタイ・カルタヌガラ県議会議員14人全員を無罪と判断。 |
10日 | 中銀,BIレートを0.5ポイント引き下げ6%に。 |
17日 | バリで第19回ASEAN首脳会議,開催(〜19日)。バリ第3宣言を採択。 |
18日 | 大統領,オバマ米大統領と会談。アメリカからのF16戦闘機24機の供与などで合意。 |
18日 | パプア州でフリーポート社社員が射殺される事件が発生。2009年7月以降の死者12人,2011年10月だけで6人死亡。 |
19日 | バリで第6回東アジアサミットが開催され,米ロ両国首脳が初の正式参加。 |
24日 | バタム市で最低賃金引き上げを求める労働者のデモが暴徒化。 |
25日 | 11日からジャカルタとパレンバンで開催された第26回東南アジア競技大会が閉幕。メダル獲得数が参加国中1位に。 |
26日 | 東カリマンタン州クタイ・カルタヌガラ県のマハカム川に架かる橋が崩落。 |
28日 | 汚職裁,日本からの中古鉄道車両輸入汚職事件の裁判で,スミノ・エコ・サプトロ元運輸省鉄道総局長に禁錮3年の実刑判決。 |
30日 | 政府,籐原材料の輸出を2012年1月1日から禁止すると発表。 |
12月 | |
1日 | 政府,マレーシアへの家政婦労働者派遣禁止措置を2年ぶりに解除。 |
2日 | 国会,次期汚職撲滅委員会委員4人を選出。6日に新委員長にアブラハム・サマドを選出。 |
7日 | 金融取引報告分析センター, 20~30歳代の若手公務員が所有する多数の銀行口座から,不正蓄財の形跡があると発表。 |
7日 | 中銀副総裁選出汚職事件の贈賄側容疑者で国外逃亡中のヌヌン・ヌルバエティ,バンコクでタイ警察当局によって拘束される。 |
10日 | 汚職撲滅委員会,ワオデ・ヌルハヤティ国民信託党議員を収賄事件容疑者に指定。 |
14日 | ランプン州ムスジ県で,土地紛争から住民と警察が衝突,9人が死亡。 |
14日 | フリーポート社と同社労組,3カ月間のストライキの末,賃金交渉に合意。 |
15日 | フィッチ,インドネシアの長期ソブリン格付けを投資適格「BBB-」に引き上げ。 |
16日 | 土地収用法が国会で可決成立。 |
16日 | 2014年総選挙に向けた法務人権省への政党登録審査,14新党のうち民主国民党のみが認可。 |
23日 | 会計検査院,国会の要請で行ったセンチュリー銀行疑惑の調査の結果,不正行為の証拠はなかったとの報告書を提出。 |
24日 | 西ヌサトゥンガラ州ビマ県で,県知事の金採掘許可に反対する住民と警察が衝突,3人が死亡,30人がけが。 |
28日 | 外相,2007年以来となるミャンマーとの2カ国協力合同委員会に出席し,同国の政治改革を支援すると発言。 |
29日 | 東ジャワ州マドゥラでスンニ派住民がシーア派住民宅に放火する事件が発生。 |