2013 年 2013 巻 p. 321-346
2011年7月の「クリーンで公正な選挙を求める連合」(Coalition for Clean and Fair Elections:Bersih)によるデモ(Bersih 2.0)を契機としたナジブ・ラザク政権による政治制度改革は,国内治安法(Internal Security Act:ISA)の撤廃や出版法の改正など,政治空間の一部自由化をもたらした。他方で,より徹底的な政治の自由化や透明化を求める都市部中間層や若年層による活発な社会運動が継続し,自由化圧力は依然として高い。野党連合の人民連盟 (Pakatan Rakyat:PR)は,政治的自由や環境保護,長期政権と既得権益の打破による公正な社会への移行を求める都市部中上層の取り込みを進め,安定や開発政策の実績を訴える与党連合の国民戦線(Barisan Nasional:BN)との競争は,熾烈化している。
2020年までの高所得国家入りを目標として経済構造の抜本的な改革を謳った新経済モデル(New Economic Model:NEM)および経済刷新計画(Economic Transformation Programme:ETP)は,経済グループ間の闘争を反映しながらも,漸進的に経済構造の転換を促しつつある。2012年は,高所得,高生産性労働への移行に向けた布石として,法定最低賃金の導入と定年の引き上げが決定した。活発な国内投資や消費に支えられ,経済は安定的な成長を記録したが,政府の選挙対策に起因する財政改革の遅れが不安要因として残る。
外交分野では,アメリカ,中国,ASEAN諸国に加えて,マレーシア企業によるインフラ建設が進む中東諸国との関係強化がみられた。南シナ海問題を抱える東アジアの地域秩序に関しては,中国を孤立させないように配慮しつつも,アメリカとの多面的な協力関係を深化させるバランス外交がみられた。
1667人の逮捕者を出した2011年7月のBersih2.0と,それに続くナジブ首相の支持率低下への対応として始まった政治制度の自由化は,2012年も継続した。ただし,レバノンやフィリピンにおけるマレーシア人によるテロ行為への関与や,集会に参加した一部市民の暴徒化・過激化(後述)に加え,与党内の保守勢力の根強さも手伝い,一連の改革は自由と秩序,革新と保守のバランスを取りながらの漸進的なものとなっている。
4月には,最長2年間にわたり容疑者を裁判なしに拘留する権限を政府に与えた国内治安法(ISA)が撤廃された。ISAは,マラヤ共産党による武装闘争に対応するために1960年に成立し,冷戦終結後も,政権に批判的な活動家や記者,野党党員に適用範囲を広げながら市民の自由を制限してきた。しかし近年では,国内外の世論からの厳しい声もあり,ISAは発動しにくくなり,むしろ抑圧のシンボルとして,高い権利意識を持つ市民の反感を招来していた。政府はISA撤廃を政治制度改革の最重要事項のひとつと位置づけ,これに代わる治安違反(特別措置)法(Security Offences[Special Measures]Act)を制定した。治安違反法は,容疑者の拘留期限を28日とし,さらに同期限について,5年ごとの議会の承認を要するサンセット条項も挿入した。「公共の安全」や「治安違反」といった語の定義の広さや,裁判における証拠の取り扱いの粗雑さなどの問題点は指摘されているものの,同法が容疑者の裁判権を認めている点は,大きな前進といえる。
言論・結社・集会の権利などの政治的自由に関する法律も一部緩和された。まず,1971年に成立した大学生による政党活動を禁ずる大学・大学カレッジ法(University and University College Act:UUCA)が改正された。この背景には,補欠選挙で野党候補者を支持したとして大学に処分された国立大学の学生による裁判で,同法が憲法に定められた言論および表現の自由に違反しているとした2011年10月の控訴院判決がある。政府は違憲判決に対して控訴する一方で,学生運動が活発化していることや,学生の野党支持が広まっていることに鑑みて,UUCA改正に踏み切った。
学生が政党の成員となることを禁止していた従来のUUCAに対し,今回の改正は,学生による党員資格の取得を許可している。ただし,キャンパス内での政党活動の禁止や,政党内役職保持者による学内選挙への立候補の禁止,「学生および大学の利益や福祉」に反すると大学当局がみなす組織への意見表明や参加の禁止も盛り込まれた。なお,「学生および大学の利益や福祉」を害する行為としては,「大学の名誉を傷つける」といった,広い解釈の余地を伴うものも含まれている。改正後のUUCAが,学生による政党活動を許可する一方で,キャンパス内に政党の影響力が及ぶのを阻止することを主眼とし,大学当局に大きな裁量権を与えていることについて,一部学生からは不満の声も上がった。
印刷物の出版および印刷を規律する印刷機・出版物法(Printing Presses and Publications Act:PPPA)も改正された。改正前のPPPAは,1年間有効の印刷および出版許可の付与・剥奪権限を内務省に与えていたが,今回の改正により,1年ごとの許可更新制度は廃止され,1度許可を取得しさえすれば,合理的な理由のない限り出版の権利を剥奪されることはなくなった。また,許可の付与・剥奪に関する大臣の決定は最終的であり,裁判所において問題とされえないとした規定も廃止された。これらの規定はいずれも,マハティール政権下で,経済・教育政策や連邦政府の財政管理に関して世論が紛糾し,国内紙3紙が発行停止処分となった1987年に挿入されたもので,長らく出版業界の自主検閲を引き起こしていた。
もっとも,本改正に対しては,出版許可制度そのものの撤廃によるさらなる自由化を求める声も根強い。とはいえ,野党やホワイトカラー,若者を中心に表現の自由への意識が高まっていることや,保守的だった司法が違憲判決に踏み切るようになった近年の変化を考えると,大臣の裁量に基づく許可制度濫用のコストは高い。インターネット・メディアの成長もあいまって,立法・行政権を駆使した国内世論の統制は,過去のものとなりつつある。
このほか,政府やスルタンに対する侮辱,民族間・階級間の敵意助長,先住民族ブミプトラの特別な地位やその他の民族の正当な利益などに関する憲法規定への異議申し立てなどを禁止した扇動法(Sedition Act)の撤廃も,改革の目玉として発表された。現在,政府は,扇動法に代わる国家調和法(National Harmony Act)の立法を目指しているが,民族の権利や利益にかかわる問題だけに,立法は難航している。
選挙制度改革をめぐる対立Bersihによる運動への対応として2011年10月に設置された超党派の「選挙改革のための議会特別委員会」(Parliamentary Select Committee on Electoral Reform:PSC)は,4月,22の提言を含む最終報告書を提出した。これを受けた選挙管理委員会(Election Commission:EC)は,提言のうち,最短選挙活動期間の7日から10日への延長,与野党に公平なメディアへのアクセス,在外マレーシア人やメディア関係者らの在外投票実施に合意した。
他方で,論争を引き起こしていた有権者名簿の管理について,PSCは独立委員会による監視の実施を提案したが,これは受け入れられなかった。有権者名簿については,ECが,住所不明の者や架空の者などを含む疑義のある有権者が約4万人存在すると発表したのに対して,Bersihや野党は,その数を40万人以上としている。さらに,サバ州において,BNの得票拡大を目的として数十万人の不法入国者に市民権が付与されたとされるマハティール政権期の疑惑にも強い関心が寄せられており,有権者名簿の問題は,選挙制度改革をめぐる対立の火種となっている。
この問題に加え,政府と与党が,候補者の代理人を投票所におくことを禁止する選挙違反法案(Election Offences Bill)の成立を進めたことで,選挙制度の透明化を要求してきたグループは,政府による改革の意思が欠如しているとして,Bersih 3.0を組織した。
ストリート・ポリティクスBersihによる3回目の大規模集会となるBersih 3.0は,例年と同様にクアラルンプールの市街地から独立広場にかけての行進として計画された。2011年に成立した平和的集会法(Peaceful Assembly Act)は,市民による集会を許可制から通知制へと転換させた一方で,街頭での集会を禁じている。警察は,Bersihによる街頭での行進と独立広場への立ち入りを禁止する裁判所命令を取得し,独立広場周辺にバリケードを設置した。しかし,アンワル・イブラーヒム野党リーダー,アズミン・アリ人民正義党(Parti Keadilan Rakyat:PKR)副党首らに促され,一部の参加者がバリケードを破ったことから,警察は催涙ガスと放水車を使用し,471人を逮捕した。
これまでのBersihでは,市民に対する警察の暴力に非難が集中し,インターネットで流布する「市民を抑圧する国家」のイメージが政権の支持率低下に寄与していた。しかし,Bersih 3.0は,警察による実力行使が前回にも増して小規模であった一方で,参加者による裁判所の立ち入り禁止命令違反や,器物損壊の実態にも関心が集まった。独立広場周辺の商店主らによる損害賠償を求める裁判や,ストリート・ポリティクスの終わりを求める署名運動も起こり,Bersihへの反感も少なからず表明された。
Bersihの黄色いTシャツとならび,2012年のストリート・ポリティクスの主役となったのが,オーストラリアのライナス(Lynas)社によるパハン州におけるレアアース精製加工工場建設に反対する「緑の集会」(Himpunan Hijau)である。地元住民や市民活動家は,三菱化成を筆頭株主とする日本・マレーシア資本の合弁会社が1982年にペラ州で操業したレアアース精製工場の放射性廃棄物によって,住民に健康被害が出た事例を引き合いに出し,ライナス社による工場建設の阻止を目指した。これに呼応した各地の都市中間層が,緑色のTシャツを着用して,街頭に繰り出したのである。
ライナス社による工場建設については,国際原子力委員会や国内の原子力免許委員会(Atomic Energy Licensing Board:AELB)が,放射性物質の被曝量は安全基準以下とする判断を下していた。さらに,議会特別委員会も,監視委員会の設置,人体への影響の調査,放射性廃棄物の最終処分場設置もしくは国外輸送などの条件を付けながらも,AELBによる一時操業免許付与を是認した。しかし,工場の閉鎖以外の結末を忌避するHimpunan Hijauは議会特別委員会への参加をも拒否し,街頭からの意見表明を続けている。
BersihやHimpunan Hijauによる集会は,大学生をはじめとする若年層を引きつけている。独立記念日の前日の8月30日にBersihリーダーらが組織した1万人規模の集会では,独立前のマレー人左派グループの旗の掲揚や,首相の写真の損壊といったパフォーマンスで,学生らが注目を集めた。野党連合PRは,これらのグループに加え,連邦土地開発公団(Federal Land Development Authority:FELDA)傘下でパーム油を中心とする農産物の販売・流通を担うFELDA Global社の上場に反対するグループ(National Felda Settlers’ Children Association:ANAK)とも緊密な共闘関係を確立し,連邦レベルでの政権交代にむけた原動力としている。
マレーシアにおける集会や行進の増加の背景には,長期政権に対する不満のみならず,タハリール広場からウォール・ストリートまで,世界各地でみられるストリート・ポリティクスの広まりがある。こうして動員される緑や黄色の市民らが,限定的であれ政府の応答を引き出していることは疑いを入れない。他方で,シンボルによって動員される意見表明が一般化するなかで,政府と市民とのコミュニケーションは断絶し,交渉の余地は狭まっていっているようにもみえる。また,一部市民の過激化・暴徒化は保守勢力の反動を招来し,結果として政治的自由化の阻害要因となっている。
政党政治の動き2010年から2度目の異常性行為裁判を受けていたアンワルが,1月に証拠不十分で無罪判決を受けたことで,政治の焦点はリーダーのイメージや道徳の問題から政策へと移るかにみえた。しかし,実際には政党間の政策をめぐる議論は,期待されたほどには活発にならなかった。
その理由のひとつは,与野党双方による選挙を意識したバラマキ型財政政策である。2013年度連邦予算案の上程に合わせて公表されたPRの代替予算案には,既存のブミプトラによる資本所有率30%目標から月収4000リンギ以下の世帯による資本所有率30%目標へのシフトや,通信,メディア,航空などの分野での独占やカルテルの禁止など,与党のそれと対照的な提案が含まれている。他方で,開発の遅れているサバ州,サラワク州における交通インフラ整備,低コスト住宅建設,最低賃金の引き上げ,子ども・高齢者手当などは,後述するナジブ政権の財政政策と類似しており,選挙での支持を当て込んで有権者にみえやすい利益分配を約束する与野党に共通した志向がうかがえる。
また,政党間の議論の焦点が政治と金をめぐる問題に集まったことも,政策論争の妨げになった。2011年に明らかになったナショナル・フィードロット社(National Feedlot Corporation:NFC)による公的資金濫用や背任の疑いを受けて,NFC役員の夫を持つシャハリザット・ザリル女性・家族・コミュニティ開発大臣が辞任に追い込まれた。また,政府調達に関して,大量高速輸送機関(MRT)の延長工事や交通違反自動取締システム(AES)設置,ペナン港民営化プロジェクトが,サイド・モクタールら与党統一マレー国民組織(United Malays National Organization:UMNO)とつながりの深いビジネスマンによって落札されたことで,クローニイズムを非難する声が上がり,野党による格好の攻撃材料となっている。
もっとも,汚職撲滅や贈収賄防止は,政府の行政刷新計画(Government Transformation Programme:GTP)の主要目標のひとつと位置づけられている。ナジブ政権は,この目標に沿って,政府プロジェクトを受注する企業に対する「企業倫理宣言」への署名要請,汚職裁判所の設置などを進めてきた。しかし,ナジブ本人を取り巻く疑惑もくすぶり続けているのが現状である。
2002年,当時防衛大臣だったナジブは,スコルペーヌ型潜水艦2隻をフランスの造船役務局(DCNS)から70億リンギで購入した。その際,ナジブの側近が所有するマレーシアの会社にDCNSから「仲介料」が支払われたとして,人権団体スアラム(Suara Rakyat Malaysia)がフランスの裁判所に訴えた。公判は行われていないが,この問題はナジブの道徳的権威に疑義を突き付けるものとして,オンライン・メディアや野党集会において繰り返し言及されている。
他方で,PR州政府や議員も汚職やクローニイズム疑惑と無縁ではない。PRは,2009年と2012年に,連邦政府に先んじて,スランゴール州,ペナン州で行政評議会委員の資産公開を進めた。しかし,両州での不透明な金の動きも指摘されている。たとえば,スランゴール州では,複数の州政府プロジェクトが公開入札なしに発注されたことや,州政府企業タラム社(Talam Corporation)の負債回収として,負債額を大幅に上回る額の土地買収が,市場価格を上回る価格で行われたことがBN議員によって指摘されている。また,スランゴール州知事秘書でもあるPKR最高情報責任者が,親族の関係企業による州政府事業の受注を後押ししたことや,ペナン州知事による不透明な土地売却も問題とされた。
敵対政党のスキャンダル暴露に注力する一方で,BN,PRともに,政党内に不安定要因を抱えている。汎マレーシア・イスラーム党(Parti Islam Se-Malaysia:PAS)内部には,アンワルに近く,PR協力を重視する世俗グループと,イスラーム法実施を優先するウラマグループの根深い対立があり,総選挙への影響すら懸念されている。若いホワイトカラー層を引きつけ,華人の支持基盤を着実に拡大している民主行動党(Democratic Action Party:DAP)においても,Bersih 3.0に反対したベテランのマレー人上院議員が辞任したことで,多民族政党としての有り様に動揺がみられた。世俗政党DAPとPASのウラマグループとのイスラーム刑法実施をめぐる対立も継続している。さらに,連邦議会掌握後にアンワルを首相に推そうとするDAPとPKRに対して,PASはハディ・アワンPAS党首の首相就任を要求するなど,政権交代を声高に叫ぶわりには,足並みが不揃いな感がある。
内紛に悩むのは,UMNOも同様である。同党からは,最高評議会メンバー1人を含むサバ州の下院議員2人が離党した。また,ナジブ党首が総選挙における党員の妨害工作に対する懲罰の可能性にたびたび言及していることは, UMNO内部の分裂の深さを物語っている。
2012年の実質GDP成長率は,第1四半期から第3四半期にかけて5.1%(対前年同期比,以下同じ),5.6%,5.3%と推移した後,第4四半期には世界経済の改善に伴い6.3%に上昇し,年間を通じた成長率は,2011年の5.1%から5.6%へと上昇した。失業率は3.2%,物価上昇率は1.6%にとどまった。
2012年の経済成長を支えたのは,堅調な内需である。総資本形成は19.9%増で,民間による固定資本形成は国内市場向け製造業,通信,不動産,石油・ガスへと向かい,22.0%増,政府による固定資本形成はETPの重点分野でもある運輸,電気・ガス・水道,石油・ガス,コミュニケーションに牽引され,17.1%と大きく伸びた。一次産業と製造業およびサービス業で認可された民間投資162億リンギのうち,国内投資の割合は78%となった。なお,認可された民間投資のうち,サービスセクターは72.4%,製造業への投資は25.2%となり,サービス業に牽引される経済への移行を印象づけた。製造業では,輸送設備,化学製品,石油製品が主な分野となり,従来主流だった電子・電気機器のシェアは下がった。民間消費は,低い失業率と物価上昇率,政府による中下層向けの手当て給付などによって,7.7%の成長となった。また公共セクターによる消費は5%の成長となった。
サプライサイドでは,不動産価格の上昇,政府によるエントリーポイント・プロジェクト(Entry Point Project:EPP)や地方インフラ整備の恩恵を受けた建設業が18.5%の伸びとなった。製造業は4.8%増,サービス業は6.4%増で,なかでも,保険(15.8%),行政サービス(9.6%),コミュニケーション(9.1%),不動産およびビジネスサービス(7.1%),小売り(6.1%)の成長が顕著だった。鉱業は天然ガスに牽引され1.4%,農業はパーム油の価格低迷もあり,0.8%の成長にとどまった。
貿易額は,輸出が0.6%増の7022億リンギ,輸入が5.9%増の6074億リンギで,貿易収支は948億リンギとなった。主な輸出品目は,電子・電気機器および部品(輸出総額の36.5%,以下カッコ内同じ),液化天然ガス(7.9%),パーム油および関連製品(7.6%),石油製品(7.5%),化学製品(6.7%)で,主な輸出相手国は,シンガポール(13.6%),中国(12.6%),日本(11.8%),EU(8.8%),アメリカ(8.7%)だった。主な輸入品目は,電子・電気機器(輸入総額の28.8%),機械および機器・部品 (同8.7%),化学製品(同8.6%)で,輸入額のうち,61.4%が中間材(前年比3.4%減),15.9%が資本財関連品(同20.5%増),消費材は7.5%(同11.6%増)だった。なお,大幅に増加した資本財輸入の主なものは,航空機,乗用車,客車,通信設備などであった。主な輸入相手国は,中国(輸入総額の15.1%),シンガポール(同13.3%),EU(同10.8%),日本(同10.3%),アメリカ(同8.1%)だった。
外国直接投資(FDI)認可額は,291億リンギだった(2011年は366億リンギ)。セクター別割合は製造業が58.2%,サービス業が28%,鉱業が12.8%で,国別では,28億リンギの日本に,サウジアラビア(26億リンギ),シンガポール(22億リンギ),中国(19億リンギ)が続いた。
新経済モデルに向けた動きナジブ政権が命運をかけて2010年に発表した新経済モデル(NEM)に向けた取り組みが,継続している。民間セクターの活性化,労働の質向上,環境および財政の両面で持続可能な成長,下層40%の能力構築などによって,2020年までに高所得国家入りすることを謳ったNEMのロードマップとして制定されたETPは,経済の高度化にとってインパクトのある個別プロジェクトへの支援にくわえ,構造改革も企図している。
プロジェクト・アプローチとしては,戦略的投資案件として39のEPPが発表された。前年までのEPPでは,政府系企業による投資が大半を占めており,分野では石油・ガスへの投資が主流だったが,2012年は民間によるビジネスサービスや医療,農業分野のプロジェクトが多数を占めた。このほか,クアラルンプール再開発として,MRT各線の敷設や運営が,日本,ドイツ,マレーシアの企業によって落札された。
また,アブドゥラ・バダウィ前政権期に策定された地域経済振興政策の下で開設された地域経済回廊の充実も進んでいる。ジョホール州のイスカンダール・マレーシアでは石油精製・加工化学や観光,ペナン州など半島部西海岸地域をカバーする北部回廊経済地域(Northern Corridor Economic Region)では農業や水産業,サバ開発回廊(Sabah Development Corridor)ではエネルギーや農水産業への投資が発表された。このほかにも,半島部東海岸を対象とする東海岸経済地域(East Coast Economic Region)やサラワク再生可能エネルギー回廊(Sarawak Corridor of Renewable Energy)の成長が期待されている。
ETPは個別のプロジェクトの支援だけでなく,競争の促進と自由化,経済格差の縮小,財政改革などの構造改革イニシアティブ(Structural Reform Initiatives:SRIs)も掲げている。2011年に自由化が発表された17のサービスセクターのうち,法律サービス,専門医,歯科医,インターナショナルスクール,私立大学,通信の6分野が自由化された。他方で,経営不振が続く国産車メーカー,プロトンを抱える自動車分野では,外国メーカーからの自由化要請にもかかわらず,国家自動車政策(National Automotive Policy:NAP)の見直しには時間がかかっている。DRBハイコム社の小会社となり,ホンダと業務提携に向けた協議を開始したプロトン社の動向が,NAP見直しの鍵を握っている。
同じくSRIsに掲げられる経済格差の縮小として,ブミプトラ中小企業への支援が進められた。NEM発表時,ナジブ首相は優遇政策の基準を民族から所得水準へと転換するという大胆なメッセージを発した。しかし,MRT延長プロジェクトの45%をブミプトラ企業が受注していることに示されるように,公共事業や民営化事業のブミプトラへの割り当ての慣行は継続している。業績のよいブミプトラ中小企業(High-Performing Bumiputera SMEs)を指定し,優先的に政府プロジェクトを割り当てるといった試みもあるものの,2年前に発表された大胆な方針転換は,概して骨抜きにされたといえる。
財政改革の分野では,GDP比54%に上る政府累積債務と4.5%の財政赤字削減が課題とされたが,2013年度予算は歳出が過去最高の2486億リンギ,歳入が2086億リンギとなった。経済成長率は4.5~5.5%と予測され,財政赤字は4.0%まで減少するという見通しが示されている。経済分野では,国内の投資促進措置として,農業を中心としたEPPや国内投資向けファンドの創設,ガス・石油セクターにおける所得税の10%控除などが予定されている。他方で,「国民の福祉向上」という予算のタイトルにも示されるように,2012年度予算では,中下層向けの分配が目立った。月収3000リンギ以下の世帯への500リンギの手当て支給(Bantuan Rakyat 1Malaysia:BR1M)や,月収3000~5万リンギの場合に所得税1%削減,都市部中間層向けの低コスト住宅建設などが目玉となっている。他方で,財政健全化に不可欠とされる燃料および食料の補助金削減や物品サービス税の導入は進まず,選挙に向けた思惑が財政改革イニシアティブを圧倒した。
高所得経済に向けた雇用政策の見直し2011年,SRIsの一環として,労働法の近代化,労働のスキル・質向上,失業保険導入によるセイフティネット拡充を含む「人材開発構造改革イニシアティブ」(Human Capital Development’s Structural Restructuring Initiatives)が策定された。2012年はその具体的な取り組みとして,(1)法定最低賃金の導入,(2)民間セクターの定年引き上げ,(3)社会保障の拡充が目標とされた。
2011年7月,マレーシア労働組合連合(Malaysian Trades Union Congress:MTUC)と経営者連盟(Malaysian Employer’s Federation:MEF)などのビジネス団体および政府からなる賃金諮問委員会(National Wage Advisory Council)が設置され,法定最低賃金制の導入に向けた提言作りがはじまった。委員会では,労働集約的産業における生産性低下やSMEsへの影響を理由として最低賃金制の導入に反対する経営者側と,最低賃金の早期実施を求める労働者側が対立した。交渉の結果,(1)半島部で月額900リンギ(もしくは時給4.33リンギ),サバ・サラワク・ラブアンで同800リンギ(もしくは時給3.85リンギ) の最低賃金が,メイドなどの家庭内労働者や試用期間の者を除くすべての労働者に国籍にかかわらず適用する,(2)最低賃金の実施が困難な経営者は諮問委員会に延期を申請することができるとした内容を盛り込む「2012年最低賃金令」(Minimum Wages Order 2012)が公表され,発効は2013年1月1日と定められた。
半島部の最低賃金900リンギは,MTUCが1990年代末から要求していた額であり,この間の物価上昇を考慮すれば必ずしも十分とはいえない。しかし,33%の労働者の所得が月額700リンギ以下という現状からすれば,少なくとも下層グループにとっては前進といえる。また,金額にかかわらず,法定最低賃金が法制化されたことの意義も大きい。
他方で,具体的な実施方法をめぐっては (1)最低賃金適用後の基本給とは別に手当てやボーナスが支給されうるか,(2)外国人労働者の雇用税や住宅手当を最低賃金から控除しうるかの2点について,諮問委員会における経営者側と労働者側の駆け引きが続いている。民間セクターからの圧力を受けて,政府がSMEsによる最低賃金実施猶予申請に対して柔軟な対応を取っていることで,労働者の不信感が強まりつつあるものの,今後も諮問委員会での協議を軸に新たな雇用政策に関する合意が作られてゆくものとみられる。
民間セクターの定年は,これまで,被用者積立基金(Employees Provident Fund)の積み立て引き出し可能年齢である55歳が慣行とされてきた。9月,政府は,最低定年法(Minimum Retirement Age Act)を制定し,臨時職員や契約職員,非市民,メイドを除く民間セクター被用者の定年を60歳とした。ただし,最低賃金と定年引き上げの導入による人件費増加を危惧した経営者側からの要請もあり,2013年1月に予定されていた実施は延期されている。
社会保障の拡充分野では,老齢者の貧困が問題となっていることに対応し,国内の8民間銀行提供による税金控除の対象となる個人年金スキームが導入された。また,SMEsの強い反対はあるものの,失業保険の導入の検討もはじまった。
周辺国との善隣外交は2012年も継続した。シンガポールとは両国政府系投資企業の合弁によるマレーシア国営マレー鉄道(Keretapi Tanah Melayu Bhd)所有地の共同開発や,イスカンダール・マレーシアにおける製造業分野での協力などが進められた。また,マレーシアが仲介したミンダナオ和平に関する「枠組み合意」が成立したのを受け,ブルネイ,インドネシア,マレーシア,フィリピンからなる東ASEAN成長地域における経済協力が視野に入ってきている。他方で,インドネシアとは,インドネシア人メイドのマレーシアへの派遣をめぐり,調整が続けられた。ジャカルタのマレーシア大使館前でデモが起きるなど,悪化しているといわれる両国の国民感情の改善の必要も,政府間で確認された。
中国とは,4月に欽州工業団地を共同開設したのに続き,5月には,パハン州クアンタンに姉妹団地を設置することが決定した。他方で,南沙諸島(スプラトリー諸島)問題は依然として懸案事項となっている。7月に行われたASEAN外相会議では,紛争解決メカニズムを有し,強い法的拘束力をもつ「南シナ海行動規範」の起草を目指したベトナムやフィリピンに対して,マレーシアは,領有権をめぐる紛争を解決する法的文書としての「行動規範」の策定には難色を示し,国連海洋法条約(UNCLOS)による解決を重視するという立場をとった。「行動規範」の拘束力をできるだけ抑えたい中国に配慮しつつ,多国間枠組みによる解決を目指したものとみられる。
日本・アメリカとの関係環太平洋経済連携協定(TPP)や海洋法秩序の維持をめぐり,アメリカとの良好な関係も続いている。TPPについては,知的所有権や製薬をめぐる意見の相違があるものの,マレーシアによる知的所有権保護の取り組みを評価したアメリカが,スペシャル301条の適用からマレーシアを除外するといった動きもみられた。また,4月に行われたアメリカとフィリピンによる軍事演習にもマレーシアが一部参加しており,南シナ海における両国の共通の利益が確認された。
日本とは,1982年にはじまったルック・イーストポリシーの30周年を記念する事業が行われ,マレーシア日本国際工科院(Malaysia-Japan International Institute of Technology)も設立された。ナジブ首相は,環境マネージメント,省エネ・グリーンテクノロジー,医療,教育,観光分野における協力という観点から,二国間関係の深化を目指している。
低賃金労働に依存した輸出志向型経済と,BNを中心とする民族政党間の交渉と取引の政治という,20世紀マレーシアの安定と成長を支えたシステムが限界を迎えており,イノベーションと高生産性に牽引される経済への転換,および,より多元的で自由な政治の実現が課題であるという点については,議論の余地はない。2008年総選挙とそれに続く社会運動の高まりに直面したナジブは,自らを政治・経済体制の改革者と位置づけ,政治制度と経済構造改革に精力的に取り組んできた。ただし,マハティール政権期にビルトインされた既得権グループや政権内のマレー人保守勢力の影響力は強く,改革は漸進的である。野党勢力は,ナジブによる改革を既存体制の温存とみなし,「変革」(Ubah)をスローガンに,連邦レベルでの政権交代,ECや司法をはじめとする国家機構の改革,民族別の政治の終焉を訴え,都市部中間層や若年層,華人の取り込みを進めている。
苛烈をきわめるであろう2013年総選挙の向こうに,政治経済体制の刷新がありうるのかどうかは,未知数である。まず,「変革」を結節点として集合する野党連合およびそれと共闘する社会運動グループは,一枚岩ではない。PRには,イスラーム法の地位や内閣ポストをめぐる政党間の対立がある。さらに,「政権交代」や「政治の自由化」といった総論レベルでの合意とは裏腹に,ライナス社をはじめとする個別の争点については,意見の相違も目立つ。
また,PRにかぎらず,政党政治全般が,スキャンダル暴露や,リーダーのパーソナリティへの攻撃に終始し,与野党が共通して目標とする高所得経済への転換をもたらしうる政策について,議論が充分に深まっていない。たとえば,最低賃金導入が労働生産性の向上をもたらすような仕組みや,EPPの下で広がる新分野の産業で高い付加価値をもたらすことのできる人材育成プログラムが明らかにされなければ,一連の雇用政策改革や投資促進措置は,単に人件費上昇と政府債務の拡大をもたらして終わるかもしれない。
デモや行進といった実力行使の広まりや,与野党とその支持者の間で分断されたメディアによって,政治空間における言語が討論のためのそれではなく,もっぱら敵対勢力を攻撃するためのそれになっていることも,政策論争を妨げている。BNとPRのいずれが政権を獲得しようと,政治と金をめぐるスキャンダルの淵源となっている政府および政府系企業の役割や,討論の場であるはずの議会やメディアのあり方に切り込まなければ,政治経済体制の刷新は実現しないだろう。
(福岡女子大学講師)
1月 | |
1日 | 競争法(Competition Act)発効。 |
1日 | スルタン・イドリス教育大学で,大学・大学カレッジ法廃止を求める学生デモ。 |
5日 | リー・シンガポール首相,来訪。 |
6日 | 高等裁判所,イギリス在住マレーシア人の在外投票権を求める訴えを棄却。 |
9日 | 高等裁判所,アンワル野党リーダーの異常性行為裁判で無罪判決。 |
9日 | ナジブ首相,南アフリカ訪問。 |
12日 | ペナン州知事・行政評議会委員,資産を公開。 |
14日 | 首相,ナショナル・フィードロット社(NFC)の資産凍結を発表。 |
16日 | ペトロナスとシェル,原油増進回収(EOR)のジョイントベンチャー合意発表。 |
16日 | 政府投資会社カザナ,プロトン社株をDRBハイコム社に売却。 |
18日 | 汚職対策局,閣僚およびその家族の資産公開を提案。 |
20日 | 検察,アンワルの無罪判決を不服として,控訴。 |
27日 | 政府,インドネシアと国境侵犯の漁船の処遇に関する覚書署名。 |
2月 | |
1日 | 原子力免許委員会(AELB),オーストラリアのライナス社に対し,条件付きで一時操業免許の発行を決定。 |
8日 | 首相,インド文化センター建設を発表。 |
9日 | カザナと国営持株会社(PNB),10事業の民営化を発表。 |
14日 | 汎マレーシア・イスラーム党(PAS)ウラマ評議会,アンワルの「イスラエルの安全を守る取り組みを支持する」とする発言の撤回を要求。 |
17日 | パハン州住民,ライナス社のレアアース精製加工工場建設への一時免許に対する司法審査請求。 |
20日 | インラック・タイ首相,来訪。 |
22日 | 選挙管理委員会,ジャーナリストの在外投票許可を発表。 |
22日 | ライナス社のレアアース工場に対する独立の監視機構設置。 |
24日 | 控訴院,扇動法を違憲とする訴えを棄却。 |
26日 | 各地でライナス社に反対するHimpunan Hijauによるデモ発生。 |
27日 | 首相,汚職対策局による閣僚の資産公開文書へのアクセスを認めると発表。 |
3月 | |
5日 | PAS,クダ州知事を監視する委員会の設置を発表。 |
8日 | 公務員給与,7~13%引き上げ。 |
11日 | NFC疑惑のシャハリザット女性・家族・コミュニティ開発相,辞任を発表。 |
12日 | 政府,インドと刑事事項に関する協定締結。 |
13日 | 中央銀行,香港の中央銀行と,債券取引・決済システムを試験稼働開始。 |
16日 | 政府,ライナス社のレアアース工場に関する超党派の議会特別委員会設置を決定。 |
21日 | 中央銀行,即時グロス決済の対象に人民元を追加。 |
22日 | 首相,1Malaysiaバイオマス代替エネルギー戦略発表。 |
23日 | ペトロナス,アメリカによる制裁にあわせ,イランからの原油輸入停止。 |
25日 | 華語学校関係者,華語学校の教員不足を不満とする集会開催。 |
28日 | 首相および4閣僚,ミャンマー訪問。 |
4月 | |
1日 | 首相,中国訪問。温家宝首相と欽州工業団地竣工式に参加。 |
2日 | 子どもの権利条約選択議定書批准。 |
3日 | 下院,選挙改革のための議会特別委員会の最終報告書を可決。 |
5日 | AELB,ライナス社への一時操業免許を停止。 |
12日 | キャメロン英首相,来訪。 |
12日 | 「クリーンで公正な選挙を求める連合」(Bersih),40万人分の疑わしい有権者登録があると主張。 |
16日 | 高等教育基金公社(PTPTN)の奨学金制度廃止を求める学生による独立広場座り込み。 |
18日 | ナザルバエフ・カザフスタン大統領,来訪。 |
20日 | 下院,国内治安法廃止,治安違反(特別措置)法案,大学・大学カレッジ法改正法案,印刷機・印刷物法改正法案可決。 |
27日 | 裁判所,Bersih3.0に先立ち,独立広場への立ち入り禁止命令。 |
28日 | 自由で公正な選挙を求めるBersih 3.0開催。 |
29日 | 国際貿易産業大臣,オマーン訪問。 |
30日 | 首相,最低賃金発表。 |
5月 | |
1日 | PAS党首,野党が連邦政府を構成した場合,イスラームは国教ではなく,「生き方」となると談。 |
1日 | アメリカ,スペシャル301条の適用からマレーシアを除外。 |
6日 | 首相,欽州工業団地の姉妹団地をクアンタンに建設することを発表。 |
7日 | 副首相,オマーン訪問。 |
8日 | 首相,FELDA居住者への一時金1万5000リンギ配布を発表。 |
9日 | 選挙違反法案,政党代理人による投票所への立ち入りを禁じた規定への反対を受けて,上院への上程前に撤回。 |
9日 | ペナン州議会,地方政府選挙法案可決。 |
10日 | 首相,イスラーム金融を資金源とする,業績のよいブミプトラ中小企業向けの市場化基金設置。 |
20日 | 首相,アメリカ訪問。ビジネスリーダーとの会談。 |
22日 | マレーシア・オーストラリアFTA署名。 |
22日 | アンワル野党リーダーら,平和集会法違反で有罪判決。 |
22日 | 政府,Bersih3.0のリーダーらを,平和集会法違反および公有財産損壊で起訴。 |
29日 | スランゴール州宗教局,「アッラー:自由と愛」のマレー語訳を押収。 |
30日 | マケイン米上院議員ら来訪。 |
30日 | 野党連合人民連盟(PR),30%のブミプトラ割当を廃止し,所得4000リンギ以下の世帯を対象とする割当へのシフトを提案。 |
31日 | 汚職対策局,シャハリザット前女性・家族・コミュニティ開発相のNFCへ関与を否定。 |
6月 | |
1日 | マレーシア日本国際工科院(MJIIT)開設。 |
3日 | インドネシア人メイド渡航再開。 |
4日 | 保健省,自殺防止計画を発表。 |
6日 | 政府,放送局による政見放送の時間を与野党で平等にすると発表。 |
8日 | アハマドザヒド防衛相,パネッタ米国防長官と会談。 |
9日 | 失業保険導入に関する政労使協議開始。 |
12日 | 人的資源相,失業保険導入延期を発表。 |
12日 | 副首相,韓国訪問。ICT,再生可能エネルギー分野での協力について協議。 |
15日 | 政府,中国とクアンタン工業団地建設について合意。 |
19日 | 下院,ライナス社への一時操業免許交付を認める議会特別委員会報告書を承認。 |
27日 | コンデ・ギニア大統領,来訪。 |
28日 | FELDA Global Ventures上場。年内では世界で2番目に大きい新規公開。 |
7月 | |
2日 | 副首相,インドネシア訪問。 |
3日 | 首相,10億リンギの国内投資戦略基金設置。 |
10日 | 首相特使,モルシ・エジプト大統領と会談。 |
11日 | 首相,扇動法廃止と国家調和法立法を約束。 |
12日 | 中小企業マスタープラン発表。 |
13日 | サイド・モクタールのシーポート社,ペナン港民営化事業受注。 |
16日 | 最低賃金令,官報に掲載。 |
19日 | 個人年金スキーム発表。 |
19日 | スランゴール州における浄水供給に関する内閣委員会設置。 |
24日 | 高等裁判所,Bersih 2.0を非合法組織とした内務省決定を無効化。 |
28日 | 統一マレー国民組織(UMNO)最高評議会メンバーのラジム,副住宅・地方政府相を辞任。 |
30日 | 1 Malaysia Development社,金融・貿易センタートゥン・ラザク・センター開所発表。 |
8月 | |
2日 | ラフィジ人民正義党(PKR)戦略ディレクター,NFC社の内部文書を漏洩したとして逮捕,有罪判決。 |
4日 | 政府,石油のロイヤルティに関する特別委員会の設置発表。 |
9日 | 公務員に半月分のボーナス給付。 |
11日 | 政府,サバ州不法移民への市民権付与に関する王立調査委員会設置を発表。 |
13日 | 汚職対策局の独立委員会,閣僚および州知事の親族による政府調達入札禁止を提案。 |
14日 | ウェブサイトの所有者と示された者を実際の所有者とする証拠法114A条改正への反対運動。 |
15日 | 首相,証拠法見直しを閣議で命令。 |
17日 | 国内治安法拘留者12人釈放。 |
27日 | ノルウェーと水産養殖に関する協力に署名。 |
30日 | Bersihリーダーらによる独立記念日前日の集会。 |
31日 | 南タイで,マレーシア国旗の掲揚。 |
9月 | |
3日 | 環境裁判所設置。 |
4日 | ボルキア・ブルネイ国王,来訪。 |
5日 | AELB,ライナス社に2年間の一時操業免許付与を決定。 |
6日 | 中央銀行,政策金利3%維持。 |
9日 | シンガポール労働法改正。18歳以上のマレーシア人に労働許可。ただし,サバ・サラワクの先住民族は35歳以上。 |
10日 | 政府,Langat 2浄水場の一般競争入札開始を発表。 |
10日 | 控訴院,ライナス社の一時操業免許無効化を求める住民の訴えを棄却。 |
12日 | 交通違反自動取締システム(AES)稼働。 |
14日 | 独シーメンスなど5社,スンガイブロー・カジャンMRT(大量高速輸送機関)落札。 |
16日 | PR,石油のロイヤルティ引き上げなどを含む「サラワク宣言」発表。 |
19日 | 結社登録官,外国からの資金提供について人権団体スアラムを捜査。 |
21日 | 映画「イノセンス・オブ・ムスリム」に対する抗議集会。 |
21日 | 副首相,訪中。南シナ海における地域的行動規範の実施を要請。 |
26日 | PRの代替予算案発表。 |
28日 | 2013年度予算上程。 |
29日 | マレー人民運動党(グラカン)党大会開催。 |
29日 | 砂糖の補助金,1kgにつき20セン削減。 |
10月 | |
6日 | 首相,補助金削減スキームの作成発表。 |
6日 | 政府,タイと国境をまたぐ犯罪取締の協力のための覚書署名。 |
7日 | マレーシアの仲介によるミンダナオ和平に関する「枠組み合意」締結。 |
8日 | スラポン・タイ外相,来訪。 |
10日 | ルックイースト・ポリシーに関するセミナー開催。 |
10日 | 政府,スリランカと石油・ガス分野での協力推進のための覚書に署名。 |
12日 | 政府,パーム油の輸出税を23%から4.5~8.5%に引き下げ。 |
19日 | UMNO,与党連合国民戦線(BN)候補者への妨害活動をした党員に対する懲戒のガイドラインを制定。 |
20日 | マレーシア華人協会(MCA),党大会開催。 |
21日 | 法相と法務長官,麻薬犯罪者に対する死刑制度廃止を提案。 |
22日 | 孟建柱中国公安相,来訪。越境犯罪について協議。 |
22日 | 三菱重工,スンガイブロー・カジャンMRTの鉄道敷設工事受注。 |
25日 | PKR,製材業者からサバ州知事への政治献金疑惑について,中央銀行に報告。 |
26日 | バトゥ・ケイヴズ近隣のコンドミニアム建設に反対する集会。 |
28日 | マレーシア人2人,テロ活動への関与のため,レバノンで逮捕。 |
29日 | プロトン,ホンダと提携協議入り。 |
11月 | |
1日 | ペナン州議会,議員の党籍変更を禁止。 |
2日 | スランゴール州宗教局,非合法組織アル・アルカムの活動に関わったとされる15人を拘留,起訴。 |
3日 | PRによる集会(People’s uprising assembly)開催。 |
4日 | 首相,ASEMサミット出席のためラオス訪問。 |
5日 | 政府,EUとFTA交渉開始で合意。 |
8日 | 人的資源相,60歳定年の実施延期を発表。 |
8日 | 高等裁判所,ライナス社への一時操業免許無効化を求める住人の訴えを棄却。 |
8日 | 中央銀行,政策金利を据置。 |
15日 | PAS党大会開催。 |
15日 | 法律・医療・私立大学・通信など6分野の自由化を発表。 |
18日 | ASEAN人権宣言に署名。 |
21日 | カー・オーストラリア外相,マレーシアによる選挙には介入しないと明言。 |
25日 | Himpunan Hijau,ライナス社に反対する行進。 |
27日 | UMNO党大会開催。 |
30日 | ライナス社,操業開始。 |
12月 | |
2日 | 人民進歩党(PPP),党大会開催。 |
3日 | 空軍,フランスからユーロコプター2機購入。 |
7日 | ペトロナス,カナダ石油会社プログレス社を買収。 |
9日 | マレーシア・インド人会議(MIC),党大会開催。 |
12日 | クランタン州政府,男女別のヘアサロンサービス提供に関する政令の実施を延期。 |
15日 | 民主行動党(DAP),党大会開催。 |
18日 | インドネシア大統領,来訪。メイド問題,投資・貿易協力について協議。 |
19日 | AESによる違反者の公判の凍結。 |
20日 | 首相,インド訪問。シン・インド首相と会談。インド・ASEAN首脳会議に参加。 |
21日 | ナジブBN党首,BN候補者に対する汚職対策局のチェックを義務付け。 |