アジア動向年報
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2012年のモンゴル 国会総選挙で人民党下野,民主党主導の連立政権誕生
湊 邦生
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2013 年 2013 巻 p. 73-98

詳細

2012年のモンゴル 国会総選挙で人民党下野,民主党主導の連立政権誕生

概況

2012年のモンゴルは政争に明け暮れた。6月の国会選挙に備え,民主党が年初早々から人民党との大連立を解消,対決姿勢を打ち出した一方,中小政党にも「市民の意志・緑の党」の正式発足や,人民革命党と民族民主党の「正義」同盟結成など,合従連衡を模索する動きがみられた。そのようななか,4月には人民革命党党首のエンフバヤル前大統領が逮捕されるという事態が起きたが,これが人民党内の対立を呼んだ末,離党議員を出すに至った。そして国会総選挙の結果,人民党は敗北,民主党は議席を増やしたものの比較第1党にとどまった。このため民主党は第3勢力に躍進した「正義」同盟と,2議席を確保した市民の意志・緑の党と連立を組み,8月にはアルタンホヤグ民主党党首を首相とする政権が誕生した。しかし,野党に転じた人民党の強硬な抵抗戦術,エンフバヤル前大統領の処遇などを巡る連立与党内の対立といった,新政権発足後も政治混乱は収まる気配がない。

経済では2年連続の2桁成長や農牧業の復活,失業者の減少などの好材料がみられる一方,財政・貿易両収支の赤字やインフレは解消される気配がない。タワントルゴイ炭鉱とオヨー・トルゴイ鉱山などの鉱山開発についても,国民への利益配分が先行するなかで事業自体は不安定感を増しており,今後は楽観できない。

対外関係では,総選挙の影響で首相・閣僚・高官レベルでの外国訪問はあまりみられなかったものの,エルベグドルジ大統領が積極的な各国訪問を行った。また,欧州安全保障協力機構への正式加盟,民主主義共同体運営評議会の議長国としての活動に加え,国連総会,非同盟諸国首脳会議への参加など,多国間会合の場を利用した幅広い外交展開がみられた。

国内政治

総選挙に向けた各党の動き

2012年の国内政治は大連立政権の解体で幕を開けた。モンゴルではこれまで国会第1党の人民党と第2党の民主党が連立政権を組んできたが,1月,アルタンホヤグ民主党党首は,同党が国会・地方議会総選挙で人民党との協力を行わないと述べたうえで,このことを理由に政権から離脱すると発表した。

大連立解体後は人民党がバトボルド首相の下で単独政権を運営することとなり,後任閣僚人事案が発表された。これに対し,エルベグドルジ大統領は第一副首相および副大臣の後任を置かないことと,後任の大臣を現職の国会議員以外から選任することを主張し,人事案への反対を表明した。ところが,首相側はそれらの主張にもかかわらず同案を大統領に提出,大統領の承認が得られないまま国会にも上程した。これには民主党の国会議員が反発し,後任人事の審議がストップする事態となった。最終的にはデムベレル国会議長および大統領,首相の間で合意が成立したことにより,1月27日に国会が第一副首相の廃止と現職国会議員を含む5閣僚の就任を承認し,バトボルド改造内閣がようやく発足した。ところが,3月には民主党バトトルガ前道路・運輸・建設・都市計画相と人民党ニャムドルジ法相との間で互いの腐敗を指摘する非難合戦が勃発,両党の対立はさらに激化した。

他の政党に目を転じると,昨年来の懸案であった市民の意志党と緑の党エンフバト派の合流がようやく認められた。これは市民の意志党が「市民の意志・緑の党」に名称を変更,党規を改めたうえで,緑の党エンフバト派が合流する形で実現したものである。名称変更と党規改訂に対しては緑の党合併反対派から抗議声明が出されたものの,政党法に基づいて最高裁が審査を行い,3月に承認が出された。他方,人民革命党と民族民主党は1月に9年間の連合協定に署名し,さらに他党との協力に向けた動きをみせたが,結果として総選挙には両党のみによる「正義」同盟として参加することになった。

各党・同盟が選挙準備を進める一方で,選挙実施に向けた懸念材料になっていたのが,前年に施行された新選挙法に対する憲法裁判所の判断であった。判断いかんでは選挙法が無効となる可能性もあったからである。1月に同法に対する違憲申し立てがなされて以来,憲法裁判所は中法廷にて審査を行い,3月末に同法のうち選挙区で28%以上の得票を得た落選者を比例代表名簿に移す条項が憲法違反に当たるとの判断を下した。国会はこの判断を承認しなかったため,同法は大法廷で再び審査されたが,再び違憲判断が下され,そのまま確定した。

エンフバヤル前大統領の逮捕

4月12日夜,人民革命党党首のエンフバヤル前大統領に対し,反腐敗庁が逮捕を通告した。現場は警察官や支持者,警備員などが入り乱れ,一時騒然となったが,翌13日早朝に同氏は逮捕,身柄を移されることとなった。大統領経験者の逮捕はモンゴルでは初めてのことである。

エンフバヤル前大統領の容疑は,国会議員および大統領時代に国有・公有財産を横領したというものであった。しかし,逮捕の時期が総選挙告示の直前であったことに加え,同氏が2008年7月1日の騒乱事件に関する内部資料を公表していたことから,逮捕の背景に政治的な動機を疑う声も出た。人民革命党関係者や支持者からは即時釈放の要求が出されたほか,前大統領自身も逮捕を不当とし,5月にはハンガーストライキを決行,支持者のなかにも呼応する動きが現れた。

前大統領逮捕の余波は与党にも及んだ。人民党のオラーン国会議員らは,前大統領逮捕に際し,ニャムドルジ法相が必要な手続きをとらず,国会議員の不逮捕特権を侵したとして,罷免決議案をデムベレル国会議長に提出した。これは5月3日の国会本会議で否決されたが,その直前の同月1日に同議員ら4人が人民党の会派から離脱,そのうちオラーン,テルビシダグワ両議員は人民革命党に合流した。このように,前大統領の逮捕はむしろ政局の焦点と化し,後述するように,選挙後においても政治の不安定化要因として横たわることとなる。

なお,前大統領の裁判は前大統領の体調不良などを理由に当初の予定から延期を繰り返し,開始されたのは選挙後のことであった。1審では起訴事実が一部認められて禁錮4年の刑が言い渡された。2審は1審判決を支持,最高裁では禁錮2年6カ月に減刑されたものの,実刑が確定,収監された。しかし,支持者からは判決への不満や前大統領の釈放を求める主張が止んでいない。

国会総選挙実施,民主党が比較第1党に

以上のような混乱があったものの,国会総選挙は4月に告示された。政党・同盟の受け付けは5月8日に締め切られ,11の政党と2つの同盟が選挙に参加することとなった。前述のとおりエンフバヤル党首が逮捕された人民革命党は,同氏が未決拘留中であることを理由に,党首を比例代表候補として選挙に臨んだものの,選挙中央委員会はこれを認めず,立候補は取り消された。

総選挙は首都議会選挙とともに6月28日に予定どおり実施された。開票作業は投票終了後直ちに開始され,選挙結果は7月5日に確定した(図1)。2大政党のうち人民党は議席数を減らして第2党に転落,逆に議席数を増やした民主党は比較第1党になったものの,過半数を得るには至らなかった。中小政党では,「正義」同盟が2桁の議席を得て第3勢力の座をつかんだ一方,市民の意志・緑の党は議席をひとつ減らす結果となった。全モンゴル労働者党は唯一の議席を失った。

図1  国会総選挙最終結果(2012年7月5日確定)

(出所) 選挙中央委員会ウェブサイト。

ただし,首都の2つの選挙区で当選に必要な得票率28%を得た議員が定数に満たなかったことに加え,ウブルハンガイ県選挙区(定数2)で最多得票を得た人民党2候補が選挙違反の疑いにより当選保留となったため,4議席が未確定となった。さらに,「正義」同盟はエンフバヤル党首ら比例代表候補3人の立候補が選挙中央委員会によって取り消されたことに反発して,選挙中央委員会が認定した比例代表当選者のうち3人が宣誓を拒否したため,議席数が確定しながら議員が決まらないという異例の事態も生じた。

今回の選挙では,2008年総選挙後のような暴動や騒乱が起きることはなかった。とはいえ,電子投票システムを導入したにもかかわらず結果の確定に数日を要し,一部政党からは票の数え直しの要求も出た。さらに在外投票では10万人以上いるといわれる有権者のうち実際に投票したのは3000人を下回るなど,新選挙法の下で初となる総選挙が浮き彫りにした課題は小さくない。

新政権と新国会で相次ぐ混乱

選挙結果を受け,民主党は連立政権の樹立へと動いた。まず「正義」同盟との連立協議を呼びかけると,同盟側もすぐに応じた。協議には市民の意志・緑の党も加わり,7月19日に3勢力が連立政権樹立で合意した。

これに対し,野党となった人民党は欠席戦術で対抗した。人民党は前述のウブルハンガイ県選挙区問題で,同党の2候補に対する当選保留が不当だと主張,第5期(2008~2012年)国会の閉会式を欠席した。人民党の新選出議員は第6期(2012~2016年)国会初会議には出席し,宣誓を行ったものの,新国会議長人事について民主党からの事前協議がなかったことが不当だと主張,その後の本会議からは欠席した。しかし人民党以外の議員は人民党の主張を認めず,国会議長選出を強行,その後も国会出席の条件について人民党と民主党が断続的に協議を続けたが,意見の相違は埋まらず,人民党が欠席したまま常任委員会などの人事が進められた。

人民党は首相任命案の採決が行われた8月9日に審議に復帰,同日にアルタンホヤグ民主党党首が首相に正式に任命された。ところが同月20日,新閣僚の任命案の審議が続くなか,人民党はオラーン国会副議長の蔵相任命案に反発して再び欠席に転じた。人民党抜きで任命案が可決,そのまま新内閣が発足することになった。人民党はその後も欠席戦術を継続した。10月に選挙中央委員会がウブルハンガイ県選挙区での人民党候補の当選取り消しと民主党候補の繰り上げ当選を決定するや,人民党支持者による抗議デモ隊が政府庁舎を封鎖,一部議員は本会議場前で座り込みによる議事妨害に打って出た。その後,当選取り消し自体は11月に下された司法判断で確定したものの,翌12月に民主党との合意により両党間で議席を分割することとなり,1議席の獲得に成功した。

しかし,このような強硬姿勢が人民党の党勢回復をもたらしたとは言い難い。人民党は欠席戦術をとるなかで新国会議長への国会内会派結成の届出を行わなかったため,選挙後5カ月以上も会派としての活動ができなかった。加えて,11月21日に行われた統一地方選挙では地方21県・首都7地区のうち12県5地区で民主党に敗北,同日実施の国会バヤンズルフ選挙区の決選投票では,当選したアルビン人民党候補が12月20日に民主党に移籍するという事態に陥っている。

一方,連立政権内部も一枚岩ではない。人民革命党は連立政権樹立以降もエンフバヤル党首の無罪と国会総選挙への立候補取り消し無効,さらには比例代表選挙での当選を主張しつづけ,最高裁の判決を直前に控えた12月3日には連立政権からの離脱を表明した。しかし,「正義」同盟を組む民族民主党からは離脱に難色を示され,最高裁でエンフバヤル候補の有罪判決が確定して今期国会での当選の可能性が消滅すると,人民革命党は逆に連立政権に残留すると発表した。同盟のもう一方の市民の意志・緑の党についても,政権発足間もない8月末に連立離脱の報道が流れ,オヨーン党首が否定する一幕があった。当時副大臣の人数配分を巡る民主党との不和がささやかれており,これが離脱の憶測を呼んだと推測される。

経済

農牧業の復活で2桁成長を維持

2012年のモンゴルの実質経済成長率は12.3%と,空前の伸びを示した2011年には劣るものの,2年連続で2桁成長を維持することに成功した(Monthly Bulletin of Statistics, 2012年12月号。以下,2012年の統計数値はすべて暫定値)。

特筆されるのは,前年比21.3%という農牧業の急成長である。牧畜部門では家畜頭数が3年ぶりに4000万頭を回復した。農耕部門でも総作付面積の拡大に伴い,主要産物である穀物と馬鈴薯の収穫高が10年来の豊作であった前年をさらに超えた。この結果,農牧業部門の生産額は2010年のゾド(雪害)発生以前の水準を上回った(Mongolian Statistical Yearbook of 2010)。

ほかの部門でも,主要産業である鉱業採掘部門が8.9%の伸びを示したのに加え,製造業部門が9.7%と2桁に迫る成長をみせた。ここで工業総生産をみると,鉱業採掘部門では石炭生産がマイナス7.7%となったものの,それを補って余りあったのが,原油生産の42.6%もの急増と,同部門で最大の比重を有する金属鉱石生産の6.8%という堅調な伸びであった。製造業部門では,部門内シェア最大の食料品生産が10.5%の増加と2年連続の2桁成長を実現したことで,シェア第2位の繊維製品の生産が19.1%減少した影響を打ち消している。サービス部門では卸売・小売・自動車およびバイク修理が10.3%,運輸・倉庫業が12.8%とそろって2桁成長を達成し,部門全体の拡大に寄与した。

拡大する双子の赤字,インフレは慢性化の気配

経済の急成長が続くなかで,懸念材料も徐々に大きくなっている。まず,財政・貿易赤字は2012年も拡大した。財政収支は2年連続の歳出超過となり,赤字額は1兆1630億トグリグと,前年の7699億トグリグを大幅に上回った。この要因としては,歳出のうち補助金が前年比で33.0%(約5590億トグリグ),給与・賃金が前年比55.7%(4469億8630万トグリグ)それぞれ増加したことがあげられる。2013年度予算は赤字をGDPの2%以内に抑えるように編成されたが,それでも赤字額は3563億トグリグと,2009年以前の水準よりも高い。

一方の貿易赤字は,輸出減と輸入増という両面からの打撃を受け,2011年の17億8090万ドルから,23億5430万ドルに悪化した。輸出についてみると,主要品目のうち石炭の輸出額が前年比で16.9%(3億8169万ドル),銅精鉱が同13.4%(1億2977万ドル)減少したのが響いている。一方,輸入増に対しては燃料輸入の拡大が影響している。2012年のガソリン輸入は前年比35.4%(1億2402万ドル),ディーゼル燃料は同13.8%(9953万ドル)それぞれ増加している。加えて,輸出の中国依存は拡大するばかりである。対中国輸出の輸出全体に占めるシェアは2008年ですでに64.5%であったが,2012年には92.6%にまで達した。

インフレも解決の気配がない。2012年12月時点での消費者物価指数上昇率は前年同期比で14.0%となり,3年連続で2桁台を記録した。背景には,2012年に2度にわたって行われた公務員給与と年金の大幅増額や,「人間開発基金」による国民への現金給付,さらには後述する「エルデネス・タワントルゴイ」社株の国民への交付などによる通貨供給の増加がある。インフレが現金への需要を生み,それがさらなるインフレにつながるという悪循環がモンゴルで定着しつつある。

ただし,失業者数については大幅な減少がみられた。2012年末時点での登録失業者数は3万5800人であり,前年の5万7200人の6割強にまで減少した。これにはウランバートルでの登録失業者数が2012年末で1万2800人と,前年末の2万9300人の半分以下にまで減少したことが貢献している。地方をみても,登録失業者数は全21県中14県で減少を示している。

鉱山開発に暗雲

2012年にはタワントルゴイ炭鉱とオヨー・トルゴイ鉱山の2大鉱山開発にも影が差す出来事が相次いだ。まずタワントルゴイ炭鉱については,前年に事業会社である「エルデネス・タワントルゴイ」社の新規株式公開(IPO)を国外市場で行うことが決定していたが,1月にこれが延期されるとの報道がなされた。その後は延期後の公開時期を巡って複数の情報が流れた末,5月に入ると新たな公開時期が2013年第1四半期になったとの外国報道が伝えられた。加えて,石炭の市場価格が低迷するなかで,年半ばからは同社の経営不安や負債増大を伝える報道も相次いだ。10月に就任したバトソーリ新社長は,翌11月7日付ニュースサイト「news.mn」のインタビューで,厳しい財務状況や炭価下落による収支悪化を認めたうえで,融資調達や石炭の販売契約の見直しで事態の打開を図る意向を明らかにした。

企業経営に影が差す一方で,国民への「エルデネス・タワントルゴイ」社株交付は進められた。2月には国会本会議で第39号決議が可決され,同社株のうち20%以内(1人当たり1072株)を国民に無償交付し,10%を企業に有償譲渡することが決定した。株が不要な国民に対しては政府が100万トグリグで株を買い取ることが決まったが,5月29日時点で約153万人が買い取りを申請,うち大多数が現金買い取りを希望したため,財源が問題となった。そこで政府は企業に対し同社株の再買い取りを募集したところ,6月30日までに1000社余りからの応募があった。再買い取りの条件は,株単価933トグリク,1社当たり購入上限3万6240株で代金は事前払い込みというものであり,各社から212億トグリグの事前払い込みを得て,7月から再買い取りが実施されている。

一方のオヨー・トルゴイ鉱山については,投資契約の内容を巡って論争が勃発した。9月5日,超党派の国会議員グループ24人がアルタンホヤグ首相に対し,2009年に制定されたオヨー・トルゴイ鉱床利用投資に関する第57号国会決議を根拠に,政府所有分の比率を34%から50%以上に増やすことを要求した。またグループは2012年から2016年の政府活動プログラム案の国会審議において,同鉱山の投資契約見直しをプログラムに明記するよう求めた。加えて,グループのガンバータル議員は投資契約締結時の蔵相であったバヤルツォグト議員に対し,契約内容の是非に関する直接討論を申し入れた。

しかし,グループの活動はこれまでのところ成功していない。所有株比率の変更は外国投資家からの理解を得ていなかった。また政府活動プログラムについても,最終案では鉱山名が記載されず,グループは反発したものの,同案は僅差でそのまま可決された。さらに,グループのガンバータル議員と原案を推すバヤルツォグト議員間の討論は曲折の末,統一地方選直後に開催され,テレビで全国に生中継された。並行して行われたアンケートでは,データを基に契約の利点を説明したバヤルツォグト議員が回答者の57.1%の支持を得た一方,ガンバータル議員への支持は41.3%にとどまった。ただ,ガンバータル議員は討論後の会見で勝利宣言を行うなど,要求を取り下げる気配はない。一方,ガンホヤグ鉱業相も9月の会見で,外国投資家側の了承を得るまで所有分比率引き上げ交渉を続けると発言しており,事態が収束したわけではない。

さらに,水資源の問題も浮上している。9月末,世界銀行が鉱山周辺地域の水資源が不十分と認識しているにもかかわらず,開発プロジェクトに9億ドルの融資を行う予定であると報じられた。この報道をきっかけに,銅生産が本格化した際の水資源の確保や,水資源枯渇への懸念がメディアで論じられるようになった。オヨー・トルゴイ社は水資源に関する問題はないとしており,7月31日付で環境・社会への影響に関する膨大なアセスメントを公表していたが,国際NGOからの酷評に遭うなど,信用を得るには至っていない。

両鉱山とも開発に進展がみられないわけではない。タワントルゴイ炭鉱では10月に西鉱区で土壌剥離を開始,開発が本格化している。オヨー・トルゴイ鉱山では11月5日に内蒙古電力公司(Inner Mongolia Power Corporation)と電力供給契約を締結,12月には銅精錬工場が稼働している。とはいえ,目下直面する水資源や株式所有比率の問題を解決しない限り,両鉱山の開発が円滑に進むとは考え難い。

対外関係

2012年は前年と比べて要人の往来の機会は限られた。そのようななかで,3月にバトボルド首相が訪日したことは特筆されるべきであろう。一方で,エルベグドルジ大統領を中心として,国際会合への積極的な参加や,会合期間を利用した外交展開が行われたのがこの年の対外関係の特徴である。加えて,前年に引き続き,ロシア・中国や主要国以外との関係拡大の動きもみられた。

対ロシア関係

2012年には両国間で要人による直接の往来はみられず,両国の元首級会談も,3月にエルベグドルジ大統領がプーチン大統領の当選に際して電話で祝意を述べたにとどまった。他方,11月には,ロシア国営ロステクノロギー社のチェメゾフ社長が来訪,アルタンホヤグ首相との会談が行われ,両国合弁企業での機器の更新と投資拡大について話し合われた。12月にはアルタンホヤグ首相が上海協力機構第11回首相会議に出席,会期中にメドベージェフ首相と会談を行い,両国合弁企業の利益向上および投資拡大について協力を進めることで一致した。同月にはボルド外相が欧州安全保障協力機構(OSCE)外相理事会の会期中にラブロフ・ロシア外相と会談,経済協力に関して意見を交換した。

以上の会談を受けて,12月にはウランバートルで第16回モンゴル・ロシア通商・経済・科学技術協力政府間協議が開催された。モンゴル側はテルビシダグワ副首相が,ロシア側はドンスコイ天然資源環境大臣が代表をそれぞれ務め,双方の間でロシアからモンゴルへの石油製品の安定供給や,モンゴル国内での石油製品生産に対するロシアの支援,電力エネルギー分野での協力,両国間合弁企業の利益向上,タワントルゴイ炭鉱への鉄道建設,「ドルノド・ウラン」合弁工場の建設開始に関して意見が交わされ,協定書の署名が行われた。ドンスコイ天然資源環境大臣はオヨーン環境・グリーン開発相,ガンホヤグ鉱業相とも会談した。

今後の対ロシア関係では,上記協議で話し合われた分野での両国間協力が具体的にどう進むかが焦点となる。ただし,ウラン開発についてはモンゴル国内世論の反発が予想されるほか,鉄道についてはソ連時代からの合弁協定の見直しについて意見の食い違いがみられるなど,課題は少なくない。

対中国関係

中国との間では要人の往来が相次いだ。1月にはザンダンシャタル外相が訪中,楊潔篪外相と会談を行ったほか,温家宝首相,周永康共産党中央政治局常務委員会委員,陳徳銘商務相らと会談した。5月には陳竺衛生相が来訪し,フレルバータル保健相と会談したのに加え,バトボルド首相との会談の席で,伝染病,伝統医療,応急治療に関する協力計画書の署名が行われた。6月にはエルベグドルジ大統領が上海協力機構第12回会議に出席,会期中に胡錦濤国家主席,李克強副首相と会談を行った。8月には戴秉国国務委員が来訪し,エルベグドルジ大統領,アルタンホヤグ首相,エンフボルド国会議長と会談した。

これらの会談では戦略的パートナーとしてのモンゴル・中国間関係の発展や,両国間の結びつきの強化が繰り返し強調されている。戴秉国国務委員は来訪時の記者会見で,「中国・モンゴル関係は歴史上最良の時期にある」とまで述べている。ただし,懸念材料がないわけではない。4月にモンゴルの石炭の大口購入者である「中国アルミニウム」社が石炭採掘業「サウスゴビ」社株の57.6%を9億2600万ドルで購入することが報じられたが,翌月に可決された「戦略的分野において事業活動を行う企業に対する外国投資を調整する法律」が障害となり,同社は結局9月に購入を辞退すると発表した。モンゴルにおける資源ナショナリズムの高まりが中国との経済関係に悪影響を及ぼす可能性は留意されるべきである。

対日関係

2012年はモンゴルが日本と国交を樹立してちょうど40周年にあたる。これを記念して,モンゴルでは日本の伝統芸能・文化の紹介をはじめ,さまざまな行事が開催された。また,日本・モンゴル間の友好親善に貢献したとして国家賞作曲家N.ジャンツァンノロブ氏に対して旭日小綬章が授与されたほか,個人・組織への外務大臣表彰・在外公館長表彰が行われた。

要人の往来も相次いだ。1月には齋藤内閣官房副長官が来訪したのに加え,同時期に一川防衛相が来訪,防衛相会談を行った。3月にはバトボルド首相が訪日し,野田首相と公式首脳会談を行った。バトボルド首相は玄葉外相らとも会談を行ったほか,モンゴルへの円借款および無償資金協力に関する交換公文に署名,14日には大阪でモンゴル総領事館の開設式典に出席した。4月にはバヤンムンフ食糧・農牧業・軽工業大臣が訪日,仲野農林水産大臣政務官らと会談,9月末にはボルド外相が訪日,10月2日に玄葉外相との会談が行われた。加えて,9月には国連総会会期中にエルベグドルジ大統領と野田首相との首脳会談が実施され,12月にはOSCE外相理事会に際し,ボルド外相と榛葉外務副大臣が会談した。

これらの機会で中心的な話題となったのは,両国間の経済関係の促進であった。3月のバトボルド首相訪日の際には,野田首相との会談後に行われた共同記者発表で,両国が経済連携協定(EPA)の締結に向けた交渉を開始することが明らかにされた。また期間中にモンゴル開発銀行と三井住友銀行,またエルデネス・タワントルゴイ社と三井物産との間で,それぞれ協力了解覚書の署名が交わされている。また,10月の会談ではタワントルゴイ炭鉱への日本の投資拡大についてモンゴル側が支援を行うことで両外相が一致した。

EPAの締結に向けては,6月に第1回交渉がウランバートルで,12月に第2回交渉が東京でそれぞれ開催されている。EPA締結が実現すれば,両国間の経済関係が拡大することが見込まれる。

対米関係

2012年はモンゴル・アメリカ間の国交樹立25周年に加え,アメリカ国際開発庁(USAID)のモンゴルでの活動開始20周年でもあった。そのUSAIDは5月にドイツ国際協力公社(GIZ)と共同で,ウランバートル市内の学校を対象とする暖房施設や校舎の断熱強化のプロジェクトを開始した。経済面では,同じく5月にアメリカ輸出入銀行とモンゴル開発銀行との間で了解覚書の署名が行われた。輸出入銀行側は鉱業に加えて鉄道,道路,エネルギー,住宅,環境,加工業の分野での協力に関心を示しているといわれており,今後これらの面での協力が見込まれる。

7月にはクリントン国務長官が来訪した。これはモンゴルが議長国を務める民主主義共同体の運営評議会第4回会合および国際女性リーダーシップフォーラムに参加するために訪れたものであり,クリントン国務長官は会期中にエルベグドルジ大統領とバトボルド首相と会談を行ったほか,演説でモンゴルの民主主義システムを称賛した。

翌8月には,初開催以来10周年を迎える国際軍事演習「ハーン・クエスト」が実施された。これは2003年以降毎年行われているものであり,今回もモンゴル,アメリカをはじめ,日本を含む計11カ国から1000人以上が参加した。また,同月には退任したアドルトン前大使に代わりキャンベル新大使が着任した。

しかし,上記を除けば2012年にモンゴル・アメリカ間で要人の往来などの動きはなく,対米関係については動きの乏しい1年となった。一方,この年には後述するようにモンゴルと朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮),イランなどとの交流もみられており,アメリカ政府がこのような動きをどう捉えているのかが注目される。

対ヨーロッパ関係

対ヨーロッパ関係においてもっとも注目されるのは,モンゴルのOSCE正式加盟である。モンゴルは従前よりOSCEの協力国の地位を有していたが,前年に正式加盟の意向を示していた。加盟は11月21日付で認められ,12月のOSCE外相理事会から正式メンバーとして参加することとなった。ヨーロッパ各国とのさらなる関係拡大が期待される。

これ以外の動きをみると,エルベグドルジ大統領が3月末に訪独し,ガウク大統領,メルケル首相らと会談した。そして,大統領は7月末にロンドン五輪開会式に出席すべく訪英し,女王エリザベス2世,アンドリュー王子,ヘイグ外相らと会談したほか,モンゴル・イギリスビジネスフォーラム開会式に出席した。さらに,10月にはノルウェー,スウェーデンを歴訪,ノルウェー訪問では国王ハーラル5世,ストルテンベルグ首相,アイデ外相らと会談,スウェーデンでは国王カール5世らと会談したほか,モンゴル・スウェーデンビジネスフォーラムに出席した。

また,10月末にはボルド外相がオーストリア,ドイツ,スイスを歴訪,オーストリアではシュピンドルエッガー副首相と会談,ドイツではヴェスターヴェレ外相らと会談,スイスではブルクハルター外相らと会談したのに加え,国連ジュネーブ事務局を訪問し,トカエフ欧州本部長らとの会談を行った。

対韓国,北朝鮮関係

対韓国関係では,新旧の外相による訪問が特筆される。5月にはザンダンシャタル外相が訪韓し,韓国ビザの交付条件緩和の合意書に署名した。これにより,モンゴルの通常旅券所持者が手数料なしで韓国のマルチビザを取得可能になるなどの措置が実現した。政権交代後の11月にはボルド外相が訪韓し,金星煥外交通商部長官らと会談を行い,この席で両国間の環境協力や,モンゴル国民の韓国ビザ取得のさらなる条件緩和について話し合われた。このほか,3月にはモンゴル航空と大韓航空との間で合意覚書の署名が行われ,モンゴル航空のサービス水準向上およびスカイチームへの加入に対して大韓航空が支援を行うことが定められた。

一方,北朝鮮との関係をみると,8月にエルベグドルジ大統領が非同盟諸国首脳会議に出席した際,金永南最高人民会議常任委員会委員長との会談を行っている。11月には崔泰福最高人民会議議長が来訪し,エンフボルド国会議長,ボルド外相と会談したほか,ダルハンを訪問した。続いて同月末にテムージン法相が訪朝し,李明洙人民保安部長,金永南最高人民会議常任委員会委員長との会談が行われた。

これらの会談以外には,モンゴルが日本と北朝鮮との間の協議の場を提供したことが注目される。3月には北朝鮮・宋日昊日朝交渉担当大使と拓殖大学・眞鍋貞樹教授がウランバートルで会談したことが報じられており,11月には日朝政府間協議がウランバートルで開催されている。モンゴルは北朝鮮との間に社会主義時代以来の関係があり,今後そのような関係に基づいて,日朝交渉をはじめ東アジアの安全保障問題に関与していくことも予想される。

その他

2月にはパーニー・ラオス国会議長が来訪してエルベグドルジ大統領やバトボルド首相,デンベレル国会議長,バダムジョナイ食糧・農牧業・軽工業相と会談した。この訪問によって,モンゴルがラオスで土地を借り上げて米作を行うことが可能となった。11月にはエルベグドルジ大統領が,アジア欧州会合(ASEM)首脳会議に出席すべく,ラオスを訪問した。

また,4月にはエルベグドルジ大統領がキルギスを訪問し,アタンバエフ大統領らと会談した。9月にはユドヨノ・インドネシア大統領が来訪,エルベグドルジ大統領らと会談しており,10月にはカー豪外相が来訪,エルベグドルジ大統領との会談や外相会談が行われた。

これら以外で注目されるのは,エルベグドルジ大統領の非同盟諸国首脳会議への出席である。会議は8月末から9月初頭にかけてテヘランで行われ,エルベグドルジ大統領は会期中に潘基文国連事務総長,金永南北朝鮮最高人民会議常任委員会委員長らと会談を行った。加えてエルベグドルジ大統領は会議終了後にイラン最高指導者ハメネイ師,アフマディネジャド大統領らと会談を行ったほか,外国元首としては初めて同国の核施設を訪問したと世界に報道された。訪問の事実は後にモンゴル大統領府からも発表されたが,日付などは明らかにされていない。イランの核開発に対しては,欧米を中心とする世界各国が厳しい批判を重ねており,そのようななかでの施設訪問が諸外国にどう受け止められているのかが懸念される。

2013年の課題

2013年の最大の注目事は大統領選挙である。本稿執筆時点で各党・同盟の立候補予定者は明らかになっていないが,民主党と人民党からの候補の争いが軸となることは疑いない。民主党および旧民主連合政権下で実施された過去の大統領選挙では,いずれも旧人民革命党(現人民党)の候補が勝利しているが,今回は民主党が統一地方選挙での勝利の余勢を駆って,大統領選も制するという可能性は小さくない。両党以外では国会に議席を有する「正義」同盟と市民の意志・緑の党にも大統領選挙に立候補者を擁立する権利があり,彼らの選択も焦点となる。

経済では支出抑制による財政赤字の削減,輸出拡大による貿易赤字の削減,インフレの抑制,2大鉱山開発の推進が引き続き課題となる。とくに2大鉱山開発については,事業そのものの進展が問われる。これまでは鉱山開発よりも事前収入の分配が先行してきたが,開発自体が進まないのでは本末転倒である。今後は事業の進展について,具体的な成果が求められるが,すでにみたように両鉱山とも今後解決すべき課題が山積している。

対外関係は大規模選挙が一段落することで活発化が予想されるが,そこで留意すべきは,多方面外交と隣国を含む大国との関係のバランスである。2012年には北朝鮮,イラン外交で独自性を示したモンゴルだが,同種の外交を今後も展開する場合,国際社会,なかでも欧米諸国との関係とどう両立を図るかが課題となる。

ただし,上述のいずれの課題も,国内政治の安定が解決の前提となる。大統領選挙に加え,エンフバヤル前大統領の処遇など,政争の火種は多い。しかし,そのなかでも混乱を回避する道を見いだすことが,各党の責務である。

(立命館大学助教)

重要日誌 モンゴル 2012年
  1月
2日 江田参議院日本・モンゴル友好促進議員連盟会長,来訪(~6日)。エルベグドルジ大統領らと会談。
5日 民主党アルタンホヤグ党首,連立政権離脱を発表。
5日 国会,市民的および政治的権利に関する国際規約の第二選択議定書を批准。
8日 N. エンフボルド副議長ら国会議員団,東京での第20回アジア太平洋議員フォーラムに出席(~12日)。
9日 齋藤内閣官房副長官,来訪(~11日)。
9日 一川防衛相,来訪(~12日)。エルベグドルジ大統領らと会談。
11日 ザンダンシャタル外相,訪中(~15日)。温家宝首相らと会談。
11日 民主党,連立政権離脱を正式決定。
12日 民主党出身の6閣僚,辞職願を提出。
13日 第15回世界冬の都市市長会議,ウランバートルで開催(~15日)。
16日 「エルデネス・タワントルゴイ」社株の新規株式公開(IPO)時期を延期。
17日 バトボルド首相,辞任した閣僚の後任人事を発表。
17日 パナマと国交樹立。
19日 ブータンと国交樹立。
20日 国会,6閣僚の辞任を承認。
23日 バトボルド首相,デムベレル国会議長に後任閣僚人事を上程。
27日 国会,第一副首相の廃止と5閣僚の就任を承認。
31日 閣議,テンゲル外務副大臣ら5副大臣を任命。
  2月
1日 日モ国交樹立40周年記念共同記者会見,外交・貿易省で実施。
3日 エルベグドルジ大統領,ドルノゴビ・ゴビスンベル両県視察(~4日)。
9日 国際会議「コール・モンゴリア2012」(Coal Mongolia-2012),ウランバートルで開催(~10日)。
9日 展示会「メード・イン・モンゴリア2012」,ウランバートルで開催(~13日)。
16日 国会,第39号決議(「エルデネス・タワントルゴイ」社株式の交付)可決。
16日 秋期国会閉会。
25日 パーニー・ラオス国会議長,来訪(~29日)。エルベグドルジ大統領らと会談。
  3月
1日 第4回東アジアウランバートルフォーラム開催(~2日)。
1日 ジェプツンダンバ・ホトクト9世(ボグド9世)転生ラマ,ウランバートルで死去。
5日 臨時国会開会。
5日 モンゴル経済フォーラム,ウランバートルで開催(~6日)。
7日 臨時国会,2012年度補正予算可決。公務員給与・年金を2月1日に遡及して増額。
7日 エルベグドルジ大統領,プーチン・ロシア大統領と電話会談。
9日 臨時国会閉会。
11日 バトボルド首相,訪日(~15日)。野田首相らと会談。
12日 最高裁,市民の意志党の「市民の意志・緑の党」への改称と党規変更を承認。
14日 大阪にモンゴル総領事館開設。
17日 北朝鮮の宋日昊大使と眞鍋貞樹拓殖大学教授,ウランバートルで接触(~18日)。
26日 モンゴル航空,大韓航空との合意覚書に署名。
28日 憲法裁判所中法廷,選挙法の一部を違憲と判断。
28日 博覧会「マインテック2012」,ウランバートルで開催(~30日)。
28日 エルベグドルジ大統領,訪独(~4月1日)。
  4月
3日 エルベグドルジ大統領,キルギス訪問(~6日)。アタンバエフ大統領らと会談。
5日 春期国会開会。
10日 バヤンムンフ食糧・農牧業・軽工業大臣,訪日(~11日)。仲野農林水産大臣政務官らと会談。
13日 エンフバヤル前大統領,横領の容疑で反腐敗庁に逮捕。
16日 オラーン国会議員ら,ニャムドルジ法相の罷免決議案を提出。
19日 国会本会議,憲法裁判所による選挙法違憲判断を承認せず。
19日 ドルジ・ブータン元首相,来訪。エルベグドルジ大統領と会談。
26日 国会総選挙公示。
  5月
1日 オラーン国会議員ら4人,人民党会派離脱を表明。
1日 公務員給与および年金,再増額。
1日 モンゴル開発銀行,アメリカ輸出入銀行と貿易促進に関する了解覚書に署名。
2日 陳竺中国衛生相,来訪(~4日)。バトボルド首相らと会談。
3日 国会本会議,ニャムドルジ法相の罷免案を否決。
4日 拘置中のエンフバヤル前大統領,ハンガーストライキ開始。
4日 アメリカ国際開発庁,ドイツ国際開発公社と共同でウランバートル市内の学校暖房施設修繕プロジェクト開始。
8日 国会総選挙への出場政党・同盟受け付け締め切り。
9日 国際フォーラム「マイニング・モンゴリア90」,ウランバートルで開催(~10日)。
14日 エンフバヤル前大統領,保釈。
17日 国会,「戦略的分野において事業活動を行う企業に対する外国投資を調整する法律」を可決。
22日 第4回アジア欧州会合(ASEM)環境大臣会議,ウランバートルで開催(~23日)。
23日 春期国会,総選挙により一時休会。
31日 ザンダンシャタル外相,訪韓(~6月1日)。
  6月
3日 欧州安全保障協力機構(OSCE)ザニエル事務総長,来訪(~6日)。バトボルド首相らと会談。
4日 日本・モンゴル経済連携協定(EPA)交渉第1回会合,ウランバートルで開催(~7日)。
6日 エルベグドルジ大統領,北京での上海協力機構第12回会議に出席(~7日)。会期中に胡錦濤中国国家主席らと会談。
6日 国会総選挙立候補者登録期間終了。選挙中央委,エンフバヤル前大統領らの立候補取り消しを決定。
6日 オハー・ホダグ=ガショーン・ソハイ国境間鉄道建設着工。
10日 国会総選挙比例代表部分の在外投票実施。
25日 政府,国民に交付した「エルデネス・タワントルゴイ」社株の買い取り開始。
25日 閣議,全国民に「エルデネスMGL」社優先株の交付を決定。
28日 国会総選挙,首都議会選挙実施。
  7月
4日 首都議会選挙最終結果確定。各党の獲得議席数は民主党26,人民党14,「正義」同盟4,市民の意志・緑の党1。
5日 国会総選挙最終結果確定,選挙中央委よりエルベグドルジ大統領に報告。
5日 第5期国会終了,最終本会議開催。
6日 第6期国会初会議召集,「正義」同盟3議員を除く69議員が宣誓。
8日 国際女性リーダーシップフォーラム,ウランバートルで開催(~9日)。
9日 クリントン米国務長官,来訪(~10日)。エルベグドルジ大統領らと会談。
9日 民主主義共同体運営評議会第4回会合,ウランバートルで開催(~10日)。
9日 「エルデネス・タワントルゴイ」社株再買い取り開始。
18日 ウランバートル第5発電所建設契約落札者,双日らのコンソーシアムに決定。
19日 民主党,「正義」同盟,市民の意志・緑の党,連立政権樹立で合意。
20日 第6期国会,初会議開会。
24日 モンゴル人民党幹部会開催(~25日),エンフトゥブシン党首ら新執行部選出。
27日 エルベグドルジ大統領,ロンドン五輪開会式出席(~31日)。滞在中,女王エリザベス2世らと会談。
  8月
7日 首都知事にE.バト=ウール氏就任。
9日 国会,アルタンホヤグ民主党党首を首相に任命。
12日 国際軍事演習「ハーン・クエスト2012」実施(~23日)。
16日 国会,新政権の省庁構成案を承認。
17日 国会,新閣僚のうち民主党所属者について承認。
20日 国会,「正義」同盟および市民の意志・緑の党からの新閣僚を承認。
21日 第6期国会初会議終了。
22日 戴秉国中国国務委員,来訪(~25日)。エルベグドルジ大統領らと会談。
27日 ウランバートル市で自動車登録番号に基づく市内自動車走行制限開始。
29日 臨時国会開会。
30日 エルベグドルジ大統領,テヘランでの非同盟諸国首脳会議に出席(~31日)。
30日 鉱業投資家フォーラム「ディスカバー・モンゴリア2012」,ウランバートルで開催(~31日)。
  9月
1日 エルベグドルジ大統領,イラン訪問(~4日)。最高指導者ハメネイ師らと会談。
4日 大統領府,エルベグドルジ大統領がイランの核施設を訪問と発表。
4日 エルベグドルジ大統領,トルコ訪問。
5日 超党派国会議員24人,アルタンホヤグ首相に対しオヨー・トルゴイ鉱山に関する第57号決議の修正要求を提出。
5日 ユドヨノ・インドネシア大統領,来訪(~7日)。エルベグドルジ大統領らと会談。
10日 中国からの低利借款により購入したトラクター8000台の交付式挙行。
14日 国会,モンゴル銀行総裁にN. ゾルジャルガル氏を任命。
17日 国会,追加補正予算可決。
18日 国会,2012~2016年の政府活動プログラム案を可決。
18日 臨時国会閉会。
20日 エルベグドルジ大統領,国連総会出席(~28日)。潘基文国連事務総長らと会談。
25日 エルベグドルジ大統領,野田首相と会談。
30日 ボルド外相,訪日(~10月3日)。玄葉外相らと会談。
  10月
1日 秋期国会開会。
1日 タワントルゴイ炭鉱西鉱区の開発開始。
1日 カー豪外相,来訪(~4日)。エルベグドルジ大統領らと会談。
4日 ダ=シルバ国際連合食糧農業機関(FAO)事務総長,来訪。エルベグドルジ大統領らと会談。
6日 エルベグドルジ大統領,ノルウェー訪問(~9日)。国王ハーラル5世らと会談。
8日 日モ国交樹立40周年記念外務大臣表彰・在外公館長表彰第1回授与式,在モンゴル日本大使館で開催。
9日 エルベグドルジ大統領,スウェーデン訪問(~11日)。国王カール5世らと会談。
11日 エルデネス・タワントルゴイ社新社長にYa. バトソーリ氏が就任。
14日 ウランバートル市内のレーニン像,首都知事令により撤去。
16日 選挙中央委,ウブルハンガイ県人民党2候補の当選取り消しと民主党2候補の繰り上げ当選を決定。
18日 人民党員・支持者・所属国会議員,選挙中央委の決定に対する抗議行動挙行。
22日 子ども手当の交付,全国で開始。
22日 ボルド外相,オーストリア訪問。シュピンドルエッガー副首相と会談。
23日 ボルド外相,訪独。ヴェスターヴェレ外相らと会談。
24日 ボルド外相,スイス訪問(~26日)。ブルクハルター外相らと会談。国連ジュネーブ事務局でトカエフ欧州本部長らと会談。
26日 ジャマイカと国交樹立。
  11月
5日 エルベグドルジ大統領,ヴィエンチャン(ラオス)でのASEM首脳会議に出席(~6日)。
8日 国会,2013年度予算案可決。
8日 国会,フレルスフ議員の辞職願承認。
14日 金澤防衛事務次官,来訪(~16日)。バト=エルデネ国防相らと会談。
14日 ガンホヤグ外務副大臣,モスクワでの上海協力機構副大臣級会議に出席。
14日 チンギス・ハーン生誕850年祭,挙行。
15日 日朝政府間協議,ウランバートルで開催(~16日)。ボルド外相,日朝両国代表団とそれぞれ会談。
18日 崔泰福北朝鮮最高人民会議議長,来訪(~22日)。エルベグドルジ大統領らと会談。
21日 統一地方選挙,国会決選投票実施。
21日 モンゴル,OSCEに正式加盟。
23日 バヤルツォグト国会副議長,ガンバータル国会議員,オヨー・トルゴイ鉱山投資契約に関しテレビ公開討論。
26日 ボルド外相,訪韓(~27日)。金星煥外交通商部長官らと会談。
26日 テムージン法相,訪朝(~29日)。金永南最高人民会議常任委員会委員長らと会談。
28日 国際債券市場で15億㌦のドル建て「チンギス」国債販売開始。
  12月
1日 統一地方選挙の再選挙実施。
5日 アルタンホヤグ首相,ビシュケク(キルギス)での上海協力機構第11回首相会議に出席。会期中にメドベージェフ・ロシア首相らと会談。
6日 ボルド外相,ダブリンでのOSCE外相理事会に出席(~7日)。
7日 ボルド外相,榛葉外務副大臣と会談。
11日 日本・モンゴルEPA交渉第2回会合,東京で開催(~14日)。
13日 国会の未確定2議席および人民党比例代表繰り上げ当選者が決定。
13日 民主党・人民党,ウブルハンガイ県選挙区の当選者について合意。
17日 日モ国交樹立40周年記念外務大臣表彰・在外公館長表彰第2回授与式,在モンゴル日本大使館で開催。
18日 日本政府,国家賞作曲家N. ジャンツァンノロブ氏に旭日小綬章授与。
19日 第16回モンゴル・ロシア通商・経済・科学技術協力政府間協議,ウランバートルで開催(~21日)。
21日 人民党,国会内会派を公式に結成。
25日 「エルデネス・オヨー・トルゴイ」社社長にTs. セドワンチグ前国会議員任命。
27日 オヨー・トルゴイ銅精錬工場,稼働開始。
28日 「正義」同盟比例代表獲得議席の1議席で当選者が確定,同党選出議員全員確定。

参考資料 モンゴル 2012年
①  国家機構図(2012年12月末現在)
②  政府要人名簿(2012年12月末現在)
③  2012年経済成果(抄訳)(国家統計局発表)
③  2012年経済成果(抄訳)(国家統計局発表)(続き)

主要統計 モンゴル 2012年
1  基礎統計
2  主要経済指標
3  作物収穫高
4  家畜頭数
5  主要輸出品
6  主要輸入品
7  主要国別貿易構成比(2012年)1)
8  主要工業生産状況
 
© 2013 日本貿易振興機構 アジア経済研究所
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