2018 年 2018 巻 p. 337-364
与党統一マレー人国民組織(UMNO)と野党連合を離れた汎マレーシア・イスラーム党(PAS)接近のきっかけとなったシャリア裁判所(刑事裁判権)法改正案は,UMNO主導で政府法案として成立することを目指した。しかし与党連合の国民戦線(BN)内で合意が得られず実現しなかった。次期総選挙に向け,野党連合の希望連盟(PH)は組織体制固めを進めた。UMNO離反組が結党したマレーシア統一プリブミ党がPHに加入し,マハティール元首相はPH議長に就任したが,首相候補とする決定に人民公正党(PKR)の一部が反対した。PASは,プリブミ党が議席配分の交渉をし,UMNOが協力に前向きな姿勢を見せたが,どちらも実現には至らず,単独で選挙に臨むことになった。
経済面では,実質GDP成長率が5.9%と2014年以来3年ぶりに加速した。外国人労働者の人頭税を雇用者負担にする変更を含めた雇用者必須確約,雇用保険制度など雇用側の負担が増える政策導入が決定した。雇用者の負担増が各業界へ及ぼす影響が懸念される。東海岸鉄道を含めた巨大プロジェクトへの融資,デジタル自由貿易特区(DFTZ)設立,プロトンの株売却など,貿易や直接投資を含め,マレーシアの経済成長への中国の影響力はますます高まりつつある。
2月に発生した金正男殺害事件に端を発し,度重なるミサイル発射実験や核開発に対する抗議から,北朝鮮との関係を見直した。インドネシアとフィリピンとの間に2016年に結ばれた3国協力協定に基づき,スールー海域の安全保障問題への取り組みが具体的に開始されたことで,両国との協力関係が進展した。ロヒンギャ問題については,9月のASEAN外相非公式会合においてミャンマー政府に配慮した議長声明を不十分として不同意を表明し,本問題に対して他のASEAN諸国と異なる立場であることを示した。
ハッド刑導入を実現する試みとして,2015年から繰り返しPASが連邦議会(国会)に議員立法として提出し,PASとUMNOが接近するきっかけとなった(『アジア動向年報2017』参照)シャリア裁判所(刑事裁判権)法改正案(通称RUU355)は,2017年に成立しなかった。ただし,2017年7月12日にクランタン州議会では,2002年シャリア刑事訴訟法(州法)の改正案が可決した。これによりクランタン州内では,イスラーム教徒に対する公開ムチ打ち刑実施が可能となった。
2016年連邦議会の第3会期終了後,ナジブ首相とアザリナ首相府相は,RUU355を政府法案として引き継ぎ,成立を実現させる方針であることを明らかにしていた。野党PASの議員立法であった法案が,ナジブ首相自らが政府法案とすることを明言したことで,2017年内の改正案成立が一気に現実味を帯びた。2017年になるとPASは,RUU355成立のために広く社会の理解,支持を得ることを目的として,大規模集会「355デモ」(Himpunan355)を2月18日に首都クアラルンプールで開催することを決定した。355デモ実施について,UMNO幹部や大臣,警察当局は「PASにもデモを開催する権利がある」とし,開催を容認する姿勢を示した。当初会場として予定していた独立広場はクアラルンプール市役所から許可がおりず,ムルボック広場が会場となった。PASは参加者目標を30万人としたが,デモには約2万人が集まるにとどまった。PASの党首であるアブドゥル・ハディ・アワンのほかに,UMNOの首相府相であるジャミル・キール・バハロムも参加し,それぞれRUU355の意義について参加者に演説を行った。
デモをとおしてPASとUMNOの親密さが明らかとなる一方で,BNを構成する他の政党からはRUU355および「355デモ」実施について厳しい反応が出た。とくに強く反対したのがマレーシア華人協会(MCA)である。MCA党首で運輸相を務めるリオウ・ティオン・ライは「MCAはPASが実施するデモに反対する」と表明した。さらにMCA関係者から出された「RUU355は,国会どころかBNの中で議論されたことはない」というコメントにより,UMNOとそれ以外のBN構成党で温度差があることが改めて露呈した。
PASとUMNOは,連邦議会の2017年第1会期でRUU355を政府法案として提出し,成立させることを目指した。しかし,UMNO以外の大半のBN構成党の反対を翻意させることは困難を極めた。3月28日に開催されたBNの最高評議会でも合意は得られず,翌29日にナジブ首相は「RUU355を政府が上程することを断念する」と発表した。この決定をMCAのリオウ党首は「(ナジブ首相は)BN構成党の(反対の)声を聞き入れ,重く受け止めてくれた」とし,UMNOの独断ではなく,BN構成党内の合意を重んじる結果となったことを高く評価した。
その後RUU355は,これまでどおりPAS党首のハディが議員立法として4月6日に提出した。下院議会議長のパンディカ・アミンは,審議を次会期に見送る決定をし,その日に閉会した。その後の会期では,UMNOがRUU355を政府法案として議会に上程する試みは見られなかった。ただし,議事予定表(order paper)には毎回掲載された。7月24日から始まった第2会期では,RUU355は再び議事予定表の10番目に掲載された。RUU355より前に掲載されていた4つの法案の審議見送りでRUU355の順位は6番目まで上がったが,関税法の審議で時間切れとなり,再び第3会期まで審議は延期となった。10月23日から始まった第3会期も,再び議事予定表に掲載されたが成立しなかった。会期直前には,PASウラマー部長のマーフズ・モハムドが「RUU355は2018年に実施される第14回総選挙の結果を踏まえたうえで改めて検討するべき」と発言していた。
2017年初めは,UMNOが積極的な姿勢を見せたことで政府法案として可決,成立する可能性が高まったと思われたRUU355だったが,BN内部からの強い反対を覆すことはできなかった。結果として2017年もハッド刑実施に向けた法整備は足踏み状態となった。ただし,シャリア裁判所の権限を強化することを検討する特別委員会の設置をマレーシア・イスラーム開発局(JAKIM)が8月に,政府が11月に決定するなど,RUU355成立を後押しする政府や行政の動きが引き続きみられる。一方でPASも,自らが州政権を持つクランタン州議会において,7月12日に2002年シャリア刑事訴訟法(州法)の改正案を可決した。これによりクランタン州内ではイスラーム教徒に対する公開ムチ打ち刑実施が可能となった。野党のPKRからも,「シャリア裁判所の権限強化には反対しない」「委員会を設けて話し合うべき」という見解が示されており,今後の展開が注目される。
RUU355の一連の動きはUMNOとPASの関係性の深化を周囲に印象づけ,次期総選挙で両党が選挙協力を結ぶ可能性を感じさせた。8月にPHがPASと選挙協力関係は結ばないと表明した後(後述),10月11日にUMNOの広報部長のアヌワール・ムサが,PASとの選挙協力構想が浮上しており,交渉についてはUMNO総裁でもあるナジブ首相に一任していると発言した。これにより,UMNOにPASへ選挙協力を提案する準備があることが明らかとなった。それに対し,PASの幹事長のタキユディン・ハッサンは「現時点で,UMNOは協力相手の選択肢ではない」と発言し,UMNOとの選挙協力の可能性を否定した。ただし,PASの前選挙対策委員長のムスタファ・アリは,UMNOと検討のための会合を開くべきだとし,PAS側にもUMNOとの選挙協力を望む声があることが明らかとなった。
次期総選挙に向けてUMNOとPAS両党の動向が注目されるなか,10月に選挙協力に前向きな発言をしていたUMNOの広報部長のアヌワールが,「私の理解では,今の段階では,PASとそのような協力はしない(選挙協力はしない)。PASは単独でいこうと考えている」と発言し,次期総選挙におけるPASと選挙協力の可能性を一転否定した。ただしアヌワールは,「(選挙協力は)彼ら(PAS)次第」「ドアは常に開いている(UMNO側はPASとの選挙協力を受け入れる準備が常にあった)」とし,PASの対応次第ではその可能性があったこと,今後もあることを示唆した。PAS側の発言に注目が集まるなか,2018年1月にPAS党首であるハディがUMNOとの選挙協力に言及した。ハディは,RUU355におけるUMNOの協力姿勢に感謝の意を述べるなど,両党間に良好な関係があることを示唆していたが,次期総選挙でUMNOと協力連携はしないと発言している。党首であるハディが可能性を否定したことで,2018年に実施されることとなった第14回総選挙におけるUMNOとPASの選挙協力の可能性は低くなった。
次期総選挙に向けた野党の動き民主行動党(DAP),人民公正党(PKR),国民信託党(Amanah)の3党で構成される野党連合の希望連盟(PH)が2016年11月に開催した代表大会に出席したマハティールが,自身がUMNO離反組と結党したマレーシア統一プリブミ党(以下,プリブミ党)のPH加入の意思を表明し,翌12月にPHとプリブミ党は次期総選挙における統一候補擁立協定を結んだ。プリブミ党とPHの協力関係は,2017年に入るとさらに進展した。2017年3月20日のPH党首会合でプリブミ党のPH加入が正式に認められた。7月13日に行われたPH党首会合では,同性愛の罪で服役中のアンワル・イブラヒムをPHの実質的指導者としながら,マハティールを議長,ワン・アジザを総裁とする人事を発表した。
マハティールは,前年の2016年2月末にUMNOを離党した後,同年3月にはマレーシア救済(Selamatkan Malaysia)運動を展開し,ナジブ首相退陣を要求する市民宣言を発表,集めた「ナジブ首相退陣を求める署名」を直接当時の国王に提出するなど,ナジブ首相への対決姿勢を強めていた。これらの一連のマハティールの活動にDAPのリム・キッシャンやAmanahのモハマド・サブ,PKRのアズミン・アリなどが賛同した。同年9月には,アンワルとマハティールの18年ぶりの対面も実現していた。このように,マハティールがかつての政敵であるPH指導者たちと協力する展開は前年から見られた。2017年に入り,プリブミ党のPHへの正式加入の承認,PH議長就任を経て,マハティールは,PHの中心的存在としてナジブ首相率いるBN体制に改めて挑むこととなった。
総選挙に向け順調に準備を進めているように見えるPHだが,かつての政敵とマハティールの協力関係が常に円満に進んだわけではなかった。12月3,4日に実施されたPHの指導者会合で,次期総選挙でPHが勝利し政権奪取に成功した場合の首相候補をマハティールとし,ワン・アジザを副首相候補とするという決定が発表された。しかし,この決定にPKRの副党首であるティアン・チュアは反対し,本会合での決定を最終決定とすることを拒否した。翌5日にPKRは「マハティールを首相候補とすることにPHは正式な合意に至っていない」と声明を発表した。PKR広報部長のファーミ・ファジルは「PKRの党政務部は(マハティールを首相候補とする)提案がマレーシアにとって最良であるか引き続き議論することを決定した」とし,PHの中でもとくにPKR内にマハティールを首相候補とすることに反発があることが明らかとなった。
プリブミ党内部からも驚きの声が上がった。党青年部長のサイド・サディック・サイド・アブドゥル・ラーマンは,PH青年部が今回の指導者会合の前日に独自の会合を開き,首相候補に関する選挙を実施した結果,PKRの副党首でスランゴール州首相のアズミン・アリが12票を獲得し,11票のマハティールを上回った。サイド・サディックは,今回の決定(マハティールを首相候補とすること)について,なぜ青年部に相談がなかったのか疑問を抱いた,と述べたと報じている。マハティールを首相候補とすることは,マハティール(PH議長),ワン・アジザ(PH総裁),ムヒディン・ヤシン(プリブミ党代表),リム・ガンエン(DAP代表),モハマド・サブ(Amanah代表)のPHのトップ会合で決定され,広くPHの指導者たちの合意の下で決定したことではないとも報じられている。
2018年1月7日に開かれたPH代表大会において,マハティールを首相候補に,ワン・アジザを副首相候補に選出した。それに反対する一部のPKR党員が,大会に欠席した。マハティールは,自分はアンワルが首相となる前の一時的な首相であり,政権奪取が実現すれば現在服役中のアンワルへの恩赦手続きを開始すると発言した。恩赦が認められれば,アンワルが首相となるとも表明した。首相候補として名前が挙がっていたアズミン・アリ自身も「マハティール(を首相候補とすること)はPHにとって最善の選択」と,決定を支持することを明らかにした。
一方で,プリブミ党のPHへの正式加入が決定する少し前の3月8日に,プリブミ党の党首であるムヒディンは,次期総選挙に向けてPASと議席配分の交渉を開始すると発言した。これによりプリブミ党を介してPHとPASが協力関係を結ぶ可能性も出たが,PASとプリブミ党の間の選挙協力交渉は結実せず,4月末にPAS党首のハディが「プリブミ党との選挙協力はない」と発言した。8月29日にはPHが「PASと選挙協力はしない」と正式に表明したことで,PASも含めた野党の大掛かりな選挙協力の可能性は低くなった。その後,PASはUMNOとの選挙協力の可能性も否定したため,単独で総選挙に挑む可能性が高い。
アデナンの死とサラワク政治サラワク州のアデナン州首相が2017年1月11日に急逝した。新州首相には,副州首相のアバン・ジョハリが就任した。アデナン逝去に伴うタンジョン・ダトゥ地区州議会議員の補選は2月18日に実施され,アデナンの妻のジャミラ・アヌが立候補,当選した。野党は対立候補を立てなかった。
アデナンは,英語を第2の州の公用語とし,州の公務員ポストや州財団の奨学金への応募要件を,公的な中等教育修了資格SPM(マレーシア教育資格)以外に,私立の華語中等教育修了資格UEC(United Education Certificate)も認めるなど,連邦政府の方針とは異なる独自の政策を進めた。
アデナンは,1963年のマレーシア協定(MA63)に付属する文書に基づきサラワクが享受していた自治的権限や特別な権利の復権を目指していた。英語の州の公用語としての地位や,独自の教育政策は,これに関連するものである。マラヤ連邦(当時),北ボルネオ(現サバ州),シンガポール(1965年分離独立)と1963年にマレーシアを結成する際に持っていたそれらの権利は,漸次放棄したり,有名無実化したりしていた。アデナンは「連邦憲法下で連邦政府に付与されている権限について(サラワクに移譲せよと)交渉しようとしているのではない。マレーシア協定でサラワク州の権限とされながら,連邦当局に浸食されたものを取り戻す交渉をしようとしているのだ」と語り,自身の政権下での回復を目指した。アバン・ジョハリもアデナンの方針を引き継ぐと明言し,マレーシア協定に関する調査,文書資料収集を目的として法律家などで構成される代表団を,関連資料が保存されているイギリスに派遣した(代表団は調査を終え,すでに帰国)。
類似した歴史的経緯を持つサバ州出身の連邦下院議長パンディカ・アミンが「サバとサラワクは,マラヤ(旧マラヤ連邦)と同等の権利を主張する理由はない(旧マラヤ連邦領域にある州各々と同等で,特別な権利を持っていない)」「マレーシア結成の際の,20項目のメモランダム(サバが求めるべき保障内容20項目について書かれたもの,サラワクは18項目)やコボルド調査団報告書(報告書内でサバおよびサラワクに与えられるべき権利保障内容に言及)に法的拘束力はない」と発言し,サバやサラワクが連邦政府に対して,マレーシア協定に基づく特別な権利を主張することを否定した。このパンディカの発言に,アバン・ジョハリは「私のMA63(マレーシア協定)についての意見は,パンディカとは異なる」と異議を唱え,「実際に起こっていることに基づけば,MA63があまり重要でないと説明することはできない」「MA63は非常に重要な文書だ。サバ,サラワク,そして半島部,各々の領域的権利に関わるものだからだ」と主張した。
アバン・ジョハリは,この問題に関してナジブ首相に直接交渉すると明言していた。2017年12月23日にナジブ首相は州都クチンを訪問し,権限,権利をサラワクに返すという趣旨の発言をした。ただし,その際に「超えてはならないレッドライン(マレーシアからの分離独立)がある」とし,アバン・ジョハリが求めている範囲の権利は認めるが,(そこから発展して)一部ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通して主張されている分離独立は断固として認めないとナジブ首相は改めて警告した。また「サラワクは(マレーシアの構成員として)BN政権を支持しなければならない」と付け加えた。これらのナジブの言動については,サラワク(およびサバ)の特別な権利に関する交渉を,政権維持の政治的おもちゃにしている,と批判が上がった。ナジブ首相のサラワクでの発言が総選挙を目前に控えた支持集めの単なる政治的パフォーマンスに終わるのか,実際に交渉が進展するのかは,アバン・ジョハリの今後の政治手腕にかかっている。
汚職・不正疑惑2015年と2016年の2年連続で,政府系投資ファンドであるワン・マレーシア開発(1 Malaysia Development Berhad: 1MDB)関連の資金洗浄・不正流用問題に対するナジブ首相の責任を追及し,退陣を求めるデモが実施された(『アジア動向年報2016』『アジア動向年報2017』参照)。2017年は1 MDB関連資産の不正流用で購入されたペントハウスの差し押さえ(6月7日)や,アメリカ司法省が5億4000万ドル相当の関連資産の差し押さえをロサンゼルス連邦地裁に提訴する(6月15日)という出来事があった。訴状では1 MDBの不正資金を「マレーシア当局者1(Malaysian Official 1:これはナジブ首相だとアブドゥル・ラーマン・ダーラン首相府相が認めている)の妻(ナジブ首相の妻,ロスマ・マンソール)用の2700万ドル相当の22カラットのピンクダイヤモンドのネックレス購入にロウ(ロウ・テック・ジョー,通称ジョー・ロウ)が使った」と言及されたが,社会からナジブ首相の責任を強く追及する目立った動きはなかった。
一方で,野党指導者の過去の責任を追及する動きが見られた。1 MDB問題についてナジブ首相に批判的な立場を取り,党員資格停止処分が下されたことでUMNOを離党した元副総裁補のシャフィ・アプダルが,農村・地方開発相時代(2008~2015年)に汚職に関与した疑いで2017年10月に逮捕された。シャフィは,UMNO離党後,地元サバ州で「サバ伝統党」(Parti Warisan Sabah)を2016年10月に結成していた。次期総選挙に向け,打倒BN政権をスローガンに地元サバ州で精力的に活動していた矢先の逮捕だった。今回の逮捕は,シャフィが農村・地方開発相時代にサバ州の地方開発プロジェクトのための連邦予算15億リンギを横領した疑いに対するものだった。本事件に関与したとして,シャフィ本人のほかにも,サバ伝統党の副党首であるピーター・アンソニー,シャフィの弟のハミド・アプダル,ハミドの義理の息子,同じくシャフィの弟でラハダトゥ(Lahad Datu)の州議会議員であるユソフ・アプダル(ユソフはUMNO党員)に加え,UMNOのテノムおよびタワウ支部の青年部長たちなども逮捕された。サバ伝統党党首のシャフィの逮捕は,サバ伝統党のイメージを傷つけ不利になるよう与党が仕掛けた,次期総選挙のための政略的行為であると,野党指導者たちは批判したが,反汚職委員会(MACC)やザヒド副首相はそれを否定した。
マハティールも責任追及の矢面に立たされた。2017年1月26日,主要数紙が「バンクヌガラ(中央銀行)の元総裁補佐官であったアブドゥル・ムラド・カリドが,1990年代にバンクヌガラが投機的為替取引によって出した実際の損失額は100億ドルだったと告白した」と報じた。ムラドは,「1990年代の為替取引の損失は90億リンギとバンクヌガラがすでに公表しているが,実際の損失額は公表額よりずっと多い」ことを暴露し,「これだけの巨額な損失にもかかわらず,一切捜査もなく,取引に関与した関係者が罪に問われることもなかった」と批判した。
このムラドの告白を受け,翌27日に開催されたUMNO最高評議会で,ナジブ首相が「この件を政府は深刻に受け止める」と発言し,政府が何かしらの行動をとる可能性を示唆した。バンクヌガラも同日に声明を発表したが,「為替取引に関する損失は25年前に起きたこと」で「(今は)金融システムと経済のレジリエンスと安定性を確実に維持することに専念することが大事だ」と述べるにとどまった。
2月22日に政府は,バンクヌガラの為替取引による巨額損失を調査する特別タスクフォースを設置し,委員長にペトロナス会長のモハマド・シデック・ハッサンを任命した。特別タスクフォースの調査結果(非公開)を受け,6月21日に政府が王立調査委員会(Royal Commission Inquiry: RCI)設置を承認,7月15日には国王の許可を得た。RCIによる調査は8月から開始され,9月に終了した。RCIは当時の首相であるマハティール,元財務相ダイム・ザイヌッディン(1984~1991年),アンワル・イブラヒム(1991~1998年)など計25人を証人として召喚した(ただし当時の司法長官イシャック・タディンは高齢による健康状態の問題で証言者として不適格と判断された)。RCIの最終報告書は10月13日に国王に提出され,11月30日には連邦議会に提出された。
最終報告書では,マハティールとアンワルが315億リンギの分の損失を生み出した取引に関与したとし,背任容疑で警察が捜査するべきと提言した。同日の11月30日にRCIの調査結果をもって,RCI事務官のユーソフ・イスマイルが警察に捜査依頼を提出した。マハティールは,ナジブ首相を1 MDB問題関連で批判,責任を追及し,退陣を求めてきた。今回のバンクヌガラの巨額損失事件にマハティールが関与した疑いが浮上すると,ナジブ首相はマハティールを批判し,両者の関係はますます悪化した。これらの汚職および不正疑惑が,2018年前半に実施される総選挙にどう影響するのか注目される。
2017年の実質GDP成長率は,前年の4.2%から加速して5.9%となり,政府見通し4.0~5.0%(バンクヌガラ4.3~4.8%見通し)を大きく上回った。各四半期では,対前年同期・年率換算で,それぞれ5.6%,5.8%,6.2%,5.9%と推移し,2016年第3四半期から5期連続して加速した。
需要面では,民間部門が成長のけん引役となった。民間消費は,賃金の上昇や政府のワン・マレーシア国民支援(BR1M)による所得支援が寄与し7.0%増と堅調な伸びとなった。総固定資本形成のうち,2016年まで4年連続で減速となっていた民間投資は,サービス業と製造業の設備投資拡大により9.3%増と高水準を記録し加速した。政府消費は物品・サービス購入が1年を通して堅調に推移し5.4%増となった。政府投資は0.1%増と,2016年までの3年連続縮小から,わずかながら拡大に転じた。財・サービス輸出は,世界経済回復の影響を受け通年で9.6%増(2016年0.1%増)と大幅な成長となったが,これに対し輸入も11.0%増だったため,純輸出のGDP寄与度はマイナスとなった。
産業別では,農業(7.2%増),鉱業・採石(1.1%増),製造業(6.0%増),建設業(6.7%増),サービス業(6.2%増)で,大半のセクターで成長が加速した。そのうち,前年のマイナス(-5.1%)から7.2%増と,プラスに転じた農業の高水準な成長は,エルニーニョ現象で落ち込んでいたパーム油生産の回復やゴム生産の拡大に起因する。GDPの約5割を占め,堅調な成長を示したサービス業のうち,小売業(9.4%増),情報・通信(8.4%増),不動産(7.4%増)がとくに好調だった。
貿易統計によれば,2017年の輸出は前年比19.4%増の9353億9300万リンギで,輸入は28.1%増の8381億4500万リンギとなり,輸出入ともに大きく伸びた。貿易収支は972億4900万リンギで20年連続の貿易黒字となった。
2017年はインフレが顕著となった。ここ数年2%台で比較的安定していた消費者物価指数(CPI)上昇率は,年平均3.7%となった。四半期ごとにみると,それぞれ4.3%,4.0%,3.8%,3.5%となっており,インフレは緩やかに収まりつつある。インフレ加速の主な原因のひとつは輸送部門である。同部門の価格上昇は通年2桁台で推移しており,全体のインフレ率を押し上げることとなった。これは前年まで下落が進んでいた原油価格の上昇がコスト増として響いたことが大きい。
2016年末から2017年始にかけてリンギ安が進み,アジア通貨危機以降の最安値(対ドルレート)を更新する事態となったが,2017年後半からは徐々にリンギ高傾向となり落ち着きを見せつつある。2017年中は1ドル4リンギ台を推移していた為替相場は,2018年に入り1ドル3リンギ台に回復した。
雇用側の負担増:人頭税・外国人労働者問題・雇用保険2017年には,外国人労働者の人頭税の雇用者負担への変更,雇用保険制度法案の可決などがあった。これらの政策は2018年より施行されるが雇用者側の負担が増えることに対する懸念が高まった。
政府は2016年末,外国人労働者の雇用にかかる課徴金(人頭税)を雇用者負担へ再変更すること(2013年1月に雇用者負担から労働者負担へ変更)を含む「雇用者必須確約」(Employer mandatory commitment: EMC)を2017年1月1日から導入すると発表した。突然の決定に対する反発の声は大きく,結局導入は2018年1月からに延期となった。この決定以前の2016年3月に,政府は外国人労働者の人頭税を大幅に引き上げた。マレーシアは合法および非合法含めて外国人労働者に大きく依存しているため,政府は外国人労働者への依存を軽減する措置を進めている。人頭税の引き上げ,雇用者負担への再変更,さらに2016年3月から続く外国人労働者の新規受け入れ凍結といった政策は,これに基づくものである。
しかし,外国人労働者に代わる労働力を確保することは難しく,労働力不足によって生産に支障をきたすといった影響が出ていた。新規受け入れ凍結による労働者不足の影響は大きく,パームオイル業界や製造業界などから異議が申し立てられた。建設,家具製造,製造,農園分野では2016年5月に凍結が解除されていたが,2017年1月にはザヒド副首相がこれに加え,養鶏,鉱業,観光業,貨物分野が凍結解除で合意と発表した。
新規雇用の代わりに,政府は2016年2月から開始されている不法就労の外国人労働者の合法化(再雇用)プログラムの活用を促した。しかし,この再雇用プログラムでは,雇用者が登録手数料として労働者1人につき1200リンギを負担しなくてはならない。さらに正規の労働ビザを取得するには,登録手数料以外にも(不法就労の)罰金,ビザ代なども支払う必要がある。本プログラムで労働者1人を合法化するためにかかるコストは非常に高額で,雇用者の負担が大きい。
罰金のみで,正規合法化手続きを1年猶予することができるEカード(一時許可証)を取得する方法もあった。しかし,この方法では結局1年後に高額な手数料等を支払って合法化の手続きをしなくてはならないことに変わりはなく,問題を1年先延ばしにするだけで意味がない,という批判も出た。Eカードの手続き期限は2017年6月30日で,Eカードの手続きが間に合わない雇用者たちが申請期間延長を求めたが実現しなかった。Eカード手続き期限の翌日から,移民局は合法化手続きも,Eカード取得手続きも取らなかった不法就労の外国人労働者一斉取り締まりキャンペーンを早速開始し,逮捕者が多く出た。
すでに,外国人労働者の新規受け入れ凍結や,不法の外国人労働者の再雇用プログラムによって雇用者側の負担増の影響は出ている。そのうえ,人頭税の雇用者負担への再変更は,同税率が大幅に引き上げられたことも重なり,雇用者が負担する人件費の大幅増となる。労働力不足や各コストの上昇が与える各業界への影響が懸念される。
2017年3月23日にナジブ首相は,民間セクターの労働者を対象とした雇用保険制度(EIS)に閣議合意したと発表した。EISはナジブ政権がかねてより導入を目指していたもので,作成中の法案は6月の連邦議会に提出し,施行は2018年1月1日,給付金(失業者が再就職までに受給できる求職手当)の支払い開始は2019年1月1日,運用管理機関は社会保障機構(SOCSO)を予定していると説明した。雇用保険導入については,手当により再雇用までの収入源が確保されること,再就職に向けた職業訓練や求職支援などを受けられることから,労働組合は好意的な反応を見せた。一方で雇用者側からは,年々増え続ける負担がEIS導入により更に拡大することを受け入れがたいとする意見が上がった。
EIS法案は連邦議会の第2会期中の8月1日にリチャード・リオット・ジャエム人的資源相が提出したが,その後内容について関係機関との協議が必要と判断し,7日の審議を延期,10日に取り下げた。8月に提出された法案の保険料の拠出率は,雇用者と労働者各々賃金の0.25%,合計0.5%であったが,関係各所との協議の結果,拠出率は両者各0.2%の合計0.4%に修正された。この修正法案は10月24日に再度提出され,同26日の深夜に連邦下院議会を通過した。その後,12月19日に上院でもEIS法案は可決された。人頭税の雇用主負担と,雇用保険は2018年に施行となるが,外国人労働者の新規受け入れ凍結により安価で豊富な労働力を確保することが難しくなってきている現状で,定められた雇用主側の負担に対応しながら,どのように事業を発展させていけるのかが課題となる。
中国の影響力拡大2017年はマレーシアの経済分野における中国の存在感がさらに際立つ1年となった。前年10月31日から11月6日にかけて中国を訪問したナジブ首相と中国の李克強首相立会いの下で事業費用が総額1436億リンギに相当する14のプロジェクトについての覚書(MOU)および契約が交わされた。その中には,マレーシアの東海岸鉄道リンク(ECRL)に関するものが含まれていた。これは首都クアラルンプールと,パハン州,トレンガヌ州,クランタン州の東海岸3州を結ぶ鉄道建設計画で,中国交通建設会社が建設を,中国輸出入銀行が融資をすることが決定した。その後,2017年5月13日にはECRL第2フェーズに関する覚書が取り交わされ,当初ゴンバックまでとしていた鉄道をポートクランまで延伸することが決まった。それにより,プロジェクトの総工費は550億リンギとなり,85%は中国輸出入銀行が低金利(年率3.25%)融資し,15%は財務省子会社Malaysia Rail Link(ECRLの所有・運営・管理担当)がスクーク債を発行し,マレーシアの大手銀行CIMBとRHBが管理する形で拠出することになった。8月9日にECRL着工式典がパハン州の州都クアンタンで開催された。この着工式にはマレーシア側からはナジブ首相が,中国側からは汪洋副首相が出席し,両国関係にとって重要なプロジェクトであることがうかがえる。
中国が投資するマレーシアの巨大プロジェクトには,クアンタンのマレーシア・中国工業団地(MCKIP)建設およびそれに伴うクアンタン港拡張工事,マラッカ海峡に大規模な港湾を建設するマラッカ・ゲートウェイや,ジョホールのロボット未来都市プロジェクトなどがある。これらの巨大プロジェクトに中国は次々と投資し,影響力の大きさを示してきた。2017年5月13日には新たに,事業総額310億リンギ相当のプロジェクトに関するMOUが結ばれた。前日の5月12日にはマレーシア政府が,中国電子商取引大手アリババ・グループおよび杭州市と2地域間における越境電子商取引促進のためのMOUに調印した。アリババ・グループとマレーシア政府はこのMOU以外にも,3月に世界初となるデジタル自由貿易特区(DFTZ)を共同でクアラルンプールに設立している。アリババ・グループ会長のジャック・マーが,このDFTZの一部として,世界電子貿易プラットフォーム初となる電子商取引拠点(e-hub)を設立し,若手ベンチャー起業家の海外進出を支援すると発表した。
中国は今やマレーシアにとって貿易相手国としても直接投資送出国としても最大の相手国のひとつとなった。2017年は対中国輸出が前年比で28%増,輸入が16%増となった。一方,対内直接投資における中国の投資額は75億リンギで,前年比17%増だった。中国の影響は直接投資や貿易だけにとどまらず,近年ではマレーシア企業の株買収でもひときわ目立つものとなっている。2017年は,マレーシアの国営自動車会社であるプロトン・ホールディングスの親会社DRBハイコムが,保有しているプロトン株の49.9%を中国の吉利ホールディングス(傘下に中国自動車大手の吉利汽車がある)に売却したことが大きな話題となった。プロトンは当時のマハティール首相の「国産車構想」により設立した企業で,三菱自動車工業と三菱商事がそれぞれ出資していた。2004年には三菱自動車が,2005年には三菱商事が,保有していた株式をすべて売却して以降は,カザナ・ナショナルやペトロナスなどマレーシア企業が株主となってきた。
現在の親会社であるDRBハイコムが,近年経営不振が続いたプロトンの株式を海外提携先に売却することを検討していることが2016年に明らかになっていた。2017年5月14日に売却に合意,9月29日には,吉利への株式売却(売却額4億6030万リンギ)完了と,プロトン傘下で製造などをつかさどる事業会社PONSB(Perusahaan Otomobil Nasional Sdn Bhd)のCEOに吉利側が選出した中国人(中国国籍)の李春榮が就任することを発表した。
マレーシア政府や企業が中国と連携して進める事業は年々増え,マレーシアの経済成長への中国の影響力はますます高まりつつあるが,懸念材料がないわけではない。2015年12月末に大規模な不動産開発計画「バンダール・マレーシア」を扱う1 MDB関連会社の株式60%が,中国国営の鉄道建設会社の中国中鉄を中心とした企業連合とマレーシアのイスカンダール・ウォーターフロント・ホールディングスに総額74億1000万リンギで売却され,これらの企業が主導で開発が進められることとなった。ところが2017年5月17日にナジブ首相は中国中鉄に支払い不履行があったとし「バンダール・マレーシア」計画の再入札を発表した。再入札の有力候補として中国不動産最大手の大連万達グループ(ワンダ・グループ)が挙がったが,その後7月に参画を断念すると発表した。「バンダール・マレーシア」の再入札には日本企業を含め数社が名乗りを上げている。
2月にマレーシアで発生した金正男殺害事件,度重なるミサイル発射実験や核開発に対する抗議から,北朝鮮との関係が再考された。北朝鮮の故金正日の長男で,金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄である金正男は,2月13日にクアラルンプール国際空港第2ターミナルからマカオへ出国しようとしていたところ,背後から液体のようなものを顔に塗られ病院に搬送された後,死亡した。金正男が所持していたパスポートに明記された名前は「キム・チョル」になっており,北朝鮮側は死亡したのはパスポートのとおり北朝鮮外交官の「キム・チョル」で,金正男ではないと一貫して主張し続けた。
その後,北朝鮮側の事件に対する強硬な対応により両国関係は緊張状態となった。3月4日にマレーシア外務省は,警察による捜査を批判し謝罪しなかったとして(在マレーシア)北朝鮮大使を「ペルソナ・ノン・グラータ」(好ましからざる人物)に指定し48時間以内の出国を命じた。翌5日には今度は北朝鮮側が(在北朝鮮)マレーシア大使を「ペルソナ・ノン・グラータ」に指定し48時間以内の出国を命じた。また,マレーシア人が北朝鮮からの出国を禁止されたのに対し,北朝鮮国籍者のマレーシアからの出国禁止がナジブ首相によって指示されるなど,両国による対抗措置の応酬が続き,両国関係は一時緊迫の一途をたどった。
さらに,これまで北朝鮮国籍者はビザなしでマレーシア入国が可能だったが,その措置の停止を3月6日にマレーシアは発表した。その後,サラワク州で不法就労していた北朝鮮国籍者が摘発され国外退去処分となるなど,北朝鮮国籍者のマレーシア入国,滞在に対する制限の厳格化が進んだ。結局3月30日には金正男の遺体が北京経由で北朝鮮に返され,同時にマレーシア人に対する(北朝鮮からの)出国禁止も解除され,全員マレーシアに帰国した。
金正男殺害事件をきっかけに一気にぎくしゃくした両国関係であったが,3月上旬の段階でナジブ首相は「北朝鮮との国交を断絶するつもりはない」と発言していた。北朝鮮との関係の見直しは,北朝鮮のミサイル発射実験の頻発と核開発によって一層進んだ。マレーシアは,2月12日の北朝鮮による弾道ミサイル発射に対し,ASEAN外相の共同声明をとおして2月14日に「重大な懸念」を表明した。ASEANの外相非公式会合(2月21日)やASEAN外相会合(8月5日)の声明でも繰り返し北朝鮮に「重大な懸念」が表明された。その後,9月28日にマレーシア外務省は「マレーシア国民の北朝鮮への渡航禁止」を発表した。渡航禁止の理由は,北朝鮮のミサイル発射実験による朝鮮半島の緊迫化とされた。10月の連邦議会でナジブ首相が「北朝鮮との国交について再考する」と発言し,外交,政治,経済といったあらゆる繋がりを断つことも含めて,北朝鮮との関係見直しを検討していると明らかにした。この背景には,トランプ米大統領とナジブ首相が9月12日にアメリカのホワイトハウスで行った首脳会合で,北朝鮮による弾道ミサイルや核実験を,アジア太平洋地域の平和安全保障における脅威と捉えると確認したことがある。ナジブ首相は,平壌のマレーシア大使館を閉鎖し,在北京の大使館に業務を移管することを検討しており,さらにマレーシアに駐在する北朝鮮外交官を全員北朝鮮に帰国させることも視野に入れていると述べた。
北朝鮮に対する一連のナジブ首相の言動には,対米関係やトランプ米大統領との関係の大きな影響がうかがえる。ナジブ首相は首相就任時からアメリカとの外交関係を非常に重視している。2017年は9月にナジブ首相がトランプ大統領から直接招かれホワイトハウスを訪問し会談を行った。そのほか,5月にはアニファ外相が他のASEANの外相とともにティラーソン国務長官(当時)とワシントンで会談,ティラーソンが8月にマレーシアを訪問した際は,ナジブ首相とザヒド副首相とそれぞれ面会した。一連の外交は,アメリカとの良好な関係を印象づけたが,12月にトランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と正式に承認するとした際には,ナジブ首相はアメリカの決定に強く反対するとの声明をイスラーム協力機構(OIC)の緊急会合で表明し,12月22日にプトラジャヤで行われた抗議集会にもザヒド副首相らとともに参加した。
ASEAN関係:マラウィ危機およびロヒンギャ問題への対応ASEAN諸国との関係については,インドネシアおよびフィリピンと3国が直面する「イスラーム過激派の脅威に常にさらされているスールー海域の安全をいかに守るか」という共通の問題への取り組みを進めた。3カ国の国防相や外相など関係者が,スールー海域の保安に関する会合を2016年にインドネシアのジョグジャカルタやバリなどで複数回実施したあと,2016年7月14日にジャカルタにおいて3国の防衛相が「三国協力協定」(TCA)に合意していた。
IS(「イスラーム国」)に忠誠を誓ったフィリピンのイスラーム武装勢力マウテとフィリピン国軍の間で2017年5月23日にミンダナオ島マラウィで始まった戦闘は,翌24日にドゥテルテ大統領が戒厳令を出すに至り,その後も激しさを増していった。イスラーム武装勢力側の戦闘員としてマラウィに渡ったインドネシア人やマレーシア人の存在が明らかになり,マラウィ危機はマレーシアやインドネシアにとっても単なる隣国の問題ではなかった。マラウィ危機により,スールー海域およびその周辺地域の安全保障問題は2017年に入りますます重要性が高まった。6月19日には3国合同の海上パトロールを,北カリマンタン州タラカン市沖で開始した。10月12日にはスールー海上空のパトロール開始式典がマレーシアのスバン空港で開催された。上空パトロールは各月1国が担当するローテーション形式で,第1回目をマレーシアが11月8日に実施した。
深刻化するミャンマー・ヤカイン(ラカイン)州の「ロヒンギャ問題」へのマレーシアの対応は,「内政不干渉」の原則に則る他のASEAN加盟国とはやや異なったものとなった。ナジブ首相は,大規模デモに参加し,アウンサンスーチーを名指しで批判するなど,この問題に関するミャンマー政府批判を2016年から展開していた。2017年に入るとナジブ首相は,1月にクアラルンプールで開催されたOIC外相理事会の臨時会合において,ロヒンギャへの人道支援に1000万リンギを拠出すると表明した。このほかにも,バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプに医療従事者を派遣,350万リンギを拠出してキャンプ内に病院建設を決めるなど,ロヒンギャに対する支援を積極的に実施した。
ASEANでは,9月22日に国連総会に合わせてニューヨークで開催したASEAN外相の非公式会合の議長声明を「実態を誤って伝えている」(misrepresentation of the reality of the situation)とし,不同意を表明した。この声明には,8月25日にアラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)が治安部隊等に対して大規模な襲撃を再び起こしたことから,この問題における人道的状況への懸念が内容として盛り込まれた。アニファ・アマン外相は「8月25日にARSAがミャンマー治安部隊に対して行った襲撃をマレーシアは非難するが,それに対するミャンマー当局の掃討作戦は不相応だ。掃討作戦で多くの市民が命を落とし,40万人のロヒンギャが難民となった」とミャンマー当局の対応を非難した。さらには,ミャンマー政府に配慮したことで声明が「甚大な被害を被っているコミュニティとしてロヒンギャを言及していない」ことを不服とした。10月のASEAN国防相会議においてもヒシャムディン国防相がロヒンギャ問題を「深刻な人道危機」とし,ASEANとして見過ごすことはできないと主張した。ロヒンギャ問題については「内政不干渉」としないマレーシアの立場を引き続き主張した。
2018年は8月までに第14回総選挙(連邦議会下院議員およびサラワクを除く州議会議員)が実施される(5月9日投票日)。2018年に入り与野党各陣営それぞれ候補者調整および選出の最終調整に入っている。過去2回の総選挙で苦戦を強いられてきたBNは,政権維持に必要な議席数を確保できるかが焦点となる。ここ数年1 MDBの巨額の資金不正使用への関与が疑われているナジブ首相や,野党連合PHを率いるマハティール元首相を,マレーシア国民がどのように評価するのか,また,BN体制維持の鍵となるサバ州とサラワク州では,シャフィ・アプダルの逮捕や,アバン・ジョハリ州首相の率いるサラワクBNへの評価が選挙結果にどのように反映されるかが注目される。経済では,人頭税の雇用者側負担,雇用保険制度が2018年より施行開始され,更には最低賃金の値上げが予定されている。雇用側の負担増が各業界に与える影響が懸念される。外交面では,中国との関係の緊密化がASEAN関係や,マレーシア経済に更なる影響を与える可能性が高い。
(東京外国語大学特別研究員)
1月 | |
1日 | 連邦土地開発公社(FELDA,フェルダ)の新会長にジョホールバル選挙区連邦下院議員シャリル・サマド就任。 |
11日 | サラワク州首相アデナン・サテム,心臓発作で急逝。 |
11日 | 外国人労働者の雇用にかかる課徴金(人頭税)を雇用者負担とすることを含む「雇用者必須確約」(Employer Mandatory Commitment:EMC)適用を2018年に延期(当初の予定では2017年1月1日より適用)することに内閣合意。 |
12日 | アデナン・サラワク州首相の葬儀にナジブ首相やブルネイのスルタンら参列。 |
13日 | サラワク州首相,後任にアバン・ジョハリ・オペン就任。 |
14日 | マレーシア統一プリブミ党結党大会開催。 |
17日 | アフマド・ザヒド・ハミディ副首相,養鶏,鉱業,観光業,貨物分野で外国人労働者新規受け入れ凍結解除で合意と発表。 |
19日 | マレーシアでデング熱に感染した日本人死亡。 |
19日 | ナジブ首相,クアラルンプールで開かれたイスラーム協力機構(OIC)外相理事会の臨時会合でロヒンギャへの人道支援に1000万リンギを拠出と発表。 |
2月 | |
4日 | アフマド・サヒド・ハミディ副首相(兼内務相),ロヒンギャ300人を合法的に就労させるプロジェクトへの着手を発表。 |
13日 | 北朝鮮の金正恩労働党委員長の異母兄の金正男,クアラルンプール国際空港第2ターミナルで殺害。 |
14日 | 金正男殺害の容疑でベトナム人のドアン・ティ・フォン逮捕。 |
16日 | 金正男殺害の容疑でインドネシア人のシティ・アイシャ逮捕。 |
17日 | 金正男殺害に関わったとして北朝鮮国籍のリ・ジョンチョル逮捕。 |
18日 | アデナン元サラワク州首相逝去によるタンジョン・ダトゥ(Tanjong Datu)地区州議会議員補選で,アデナンの妻ジャミラ・アヌ当選。 |
18日 | 汎マレーシア・イスラーム党(PAS),シャリーア裁判所法(刑事裁判権)改正案(RUU355)成立を目指す大規模集会「355デモ」(Himpunan 355)を首都クアラルンプールで開催。 |
3月 | |
1日 | 金正男殺害の実行犯とされる女性2人起訴。 |
3日 | 金正男殺害容疑で逮捕された北朝鮮国籍のリ・ジョンチョル,証拠不十分で釈放,家族とともに国外退去処分。 |
4日 | 北朝鮮の姜哲(カンチョル)駐マレーシア大使,「ペルソナ・ノン・グラータ」(好ましからざる人物)で国外退去(6日に出国)。 |
5日 | モハマド・ニザン・モハマド駐北朝鮮大使,「ペルソナ・ノン・グラータ」で北朝鮮から48時間以内の退去通告(2月22日にすでにマレーシアに帰国)。 |
6日 | 北朝鮮人のマレーシア滞在ビザ免除撤回。 |
14日 | ザヒド副首相,サラワク州で不法就労の北朝鮮人労働者約50人の国外退去処分発表。 |
20日 | 野党連合の希望連盟(Pakatan Harapan:PH)の党首会合,マレーシア統一プリブミ統一党のPH加入で合意と表明。 |
21日 | 2017年補正予算案,連邦議会に上程。 |
22日 | デジタル自由貿易特区(DFTZ),クアラルンプールに発足。 |
23日 | ナジブ首相,民間セクターの労働者対象の雇用保険制度導入(2018年施行)表明。 |
29日 | 2016年6月28日にスランゴール州のナイトクラブ「モビダ」(Movida)で発生したIS(「イスラーム国」)関連の爆発テロ事件の容疑者2人に禁錮25年の実刑判決。 |
30日 | 金正男の遺体,北朝鮮へ送還。 |
4月 | |
1日 | ナジブ首相,インド訪問(~6日)。インドのモディ首相と二国間首脳会談。 |
1日 | 新連邦裁判所(最高裁判所)長官にラウス・シャリフ就任。 |
10日 | PAS役員選挙立候補届け出締め切り。対立候補出ず,ハディ・アワン党首再選。 |
12日 | ヒシャムディン・フセイン国防相,首相府特任相(兼任)に任命。 |
13日 | 皇太子殿下,来訪(~16日)。マラヤ大学訪問や国王のムハンマド5世に謁見など。 |
18日 | サラワク州で北朝鮮人不法滞在者296人(期限切れの就労ビザ117人,期限切れの観光ビザ183人)国外退去処分。 |
23日 | ナジブ首相,インド系マレーシア人コミュニティのエンパワーメントを目指す「インド系マレーシア人青書」(Malaysian Indian Blueprint)発表。 |
24日 | クランタン州スルタンのムハンマド5世,国王即位式。 |
27日 | ナジブ首相,ASEAN首脳会議および関連会合出席のためフィリピン首都マニラ訪問。 |
5月 | |
4日 | アニファ・アマン外相,アメリカ国務長官レックス・ティラーソンとの会談に出席するためにASEAN加盟10カ国外相とアメリカのワシントン訪問。 |
7日 | ナジブ首相,サバ,サラワク,ラブアンへの貨物船を対象としたカボタージュ規制を6月1日から撤廃と発表。 |
12日 | ナジブ首相,中国訪問。習近平国家主席と会談(13日)。北京で開催される「一帯一路」国際フォーラム出席(14~15日)。 |
12日 | マレーシア政府,アリババ・グループおよび杭州市と,2地域間における越境電子商取引促進のための覚書調印。 |
24日 | マレーシア企業DRBハイコム,傘下のプロトン・ホールディングスの保有株の49.9%を中国の吉利ホールディングスに売却で合意と発表。 |
6月 | |
3日 | ヒシャムディン国防相,シンガポールで開催されたアジア安全保障会議出席。稲田明美防衛相(当時)と会談(4日)。 |
7日 | アメリカ司法省,ワン・マレーシア開発(1 MDB)の不正流用資金で購入した疑いのあるロンドンのペントハウスを差し押さえ。 |
8日 | 2013年にサバ州で発生した自称「スールー王国軍」による侵入事案で,控訴裁判所,コタキナバル高等裁判所による終身刑判決を覆し,フィリピン人9人に死刑判決。 |
12日 | サラワク州政府,サラワク州観光局のマレーシア政府観光局からの脱退表明。 |
15日 | アメリカ司法省,不正流用の疑いがある1 MDB関連資産5億4000万ドル相当差し押さえをロサンゼルス連邦地裁に提訴。 |
19日 | 北カリマンタン州(ボルネオ島)タラカン市沖でマレーシア,インドネシア,フィリピンの3カ国合同海上パトロール開始。 |
22日 | 児童性犯罪の特別裁判所開設。 |
22日 | フィリピンのマニラでマレーシア,インドネシア,フィリピンの3カ国によるテロ対策会議開催。 |
7月 | |
12日 | クランタン州議会,2002年シャリア刑事訴訟法(州法)の改正案可決。 |
13日 | PH,構成党の党首会合を開催,人民行動党(PKR)の事実上のリーダーであるアンワル・イブラヒムを連合の実質的指導者,マハティール元首相を議長,ワン・アジザを総裁とする人事発表。 |
15日 | 国王,1990年代におけるバンクヌガラ(中央銀行)の為替取引による巨額損失に関する王立調査委員会(RCI)の設置を許可,委員を任命。 |
17日 | 大量高速輸送システム(MRT)1号線全面開通。 |
8月 | |
1日 | 1 MDB,インターナショナル・ペトロリアム・インベストメント(IPIC)への社債の利払い(2回分割)のうち,1回目が期限の7月末までに実施できずと発表。 |
5日 | アニファ外相,マニラで開催されたASEAN外相会議に出席。中国の王毅外相と会談(6日)。 |
8日 | アメリカ国務長官レックス・ティラーソン,マレーシア来訪。ナジブ首相と会談。翌日(9日)にザヒド副首相とも面会。 |
9日 | パハン州都クアンタンで東海岸鉄道リンク(ECRL)着工式典開催。 |
11日 | 1 MDB,7月末が支払期限だったIPICへの1回目の社債利払い(計6億2875万ドル)の一部(3億5000万ドル)返済。 |
15日 | 反汚職委員会(MACC),フェルダの子会社フェルダ・インベストメント(FIC)のホテル買収に関する汚職容疑でフェルダ前会長モハマド・イサ・アブドゥル・サマド逮捕。 |
22日 | RHBバンクとAmバンク,合併交渉の中止発表。 |
30日 | クアラルンプールのチュラス地区の捜査で,フィリピンの過激派組織アブサヤフの関連グループLucky 9 Kidnap for Ransom中心人物,アブ・アスリーことハジャール・アブドゥル・ムビンを含む8人逮捕。 |
30日 | 1 MDB,期限の7月末に実施できなかったIPICへの社債利払い(計2回のうちの1回目)の残額返済発表。 |
9月 | |
1日 | 観光税導入開始。1泊,1室につき10リンギ。外国人のみ対象。 |
5日 | カリド警察長官,定年のため退任。新警察長官にモハマド・フジ・ハルン。 |
11日 | 前国王のクダ州スルタン,アブドゥル・ハリム・ムアザム・シャー逝去。 |
12日 | ナジブ首相訪米,ドナルド・トランプ大統領とホワイトハウスで会談。 |
14日 | ナジブ首相訪英,テリーザ・メイ英首相とロンドンで会談。 |
14日 | クアラルンプールの私立宗教学校で火事,23人(生徒21人と教員2人)死亡。 |
17日 | 元スランゴール州首相のムハマド・タイブ,PKRからの離党,統一マレー人国民組織(UMNO)への復帰を発表。 |
19日 | 三菱東京UFJ銀行,保有するCIMBグループの株式4億1250株,総額25億5700万リンギ(CIMBグループ株式総額の4.6%)売却。 |
23日 | アニファ外相,ミャンマーのヤカイン(ラカイン)州で発生している問題(ロヒンギャ問題)への言及を不服としてASEAN外相の非公式会合の議長声明への不同意を表明。 |
26日 | 女性裁判官4人昇格人事(高等裁判所裁判官1人→連邦裁判所(最高裁判所),控訴裁判所裁判官3人→高等裁判所)。 |
28日 | マレーシア人,北朝鮮への渡航禁止。 |
28日 | 9月14日に発生したクアラルンプールの私立宗教学校の火災事件(23人死亡),逮捕された少年のうち,2人を殺人罪で,6人を危険ドラッグの罪で起訴。 |
10月 | |
2日 | 金正男殺害の実行犯とされる女2人に対する初公判,スランゴール州シャーアラムの高等裁判所で開始。容疑者側は罪状(殺人罪)を殺意はなかったとして否認。 |
10日 | クアラルンプール中心部バンダール・マレーシアのMRT建設現場で第二次世界大戦中の不発弾爆発,バングラデシュ人作業員3人死亡。 |
12日 | スールー海上空の3国(マレーシア,インドネシア,フィリピン)合同警備(Trilateral Air Patrol,TAP)開始式典,スバン空軍基地で開催。 |
13日 | バンクヌガラの為替取引による巨額損失に関するRCI,国王に調査報告書提出。 |
14日 | PHがクアラルンプール近郊のプタリン・ジャヤで大規模デモ実施。 |
16日 | カタールのシェイク・タミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長,来訪。ナジブ首相と会談。 |
17日 | マレーシア航空最高経営責任者(CEO)ピーター・ベリュー,退任発表。 |
19日 | 反汚職委員会,地方開発プロジェクトにまつわる横領容疑で,サバ伝統党(Parti Warisan Sabah)党首シャフィ・アプダル逮捕。 |
21日 | ペナン島タンジョン・ブンガの住宅建設工事現場で崖崩れが発生し作業員11人が生き埋めとなる。 |
25日 | ヒシャムディン・フセイン国防相,フィリピンのクラーク経済特区訪問。ASEAN国防相会議に出席,アメリカのマティス国防長官と会談。 |
27日 | 2018年国家予算案上程。 |
29日 | ヒシャムディン国防相,イエメンのハーディ政権を支持するアラブ連合の会議出席のためサウジアラビアのリヤド訪問。 |
11月 | |
1日 | ナジブ首相,サウジアラビアの石油鉱物資源相カリド・アブドゥルアジズ・アルファリフとクダ州で面会。 |
2日 | イギリスのチャールズ皇太子とカミラ皇太子妃来訪(~8日)。 |
9日 | ナジブ首相,APEC首脳会議(10~11日)出席のためベトナムのダナン訪問。 |
12日 | ナジブ首相,第31回ASEAN首脳会議(13~14日)のためフィリピンのマニラ訪問。安倍晋三首相と首脳会談。 |
20日 | 通信・マルチメディア省,サイバー犯罪に対する捜査権,起訴権を持つサイバー犯罪特別委員会の新設発表。 |
21日 | インドネシアのジョコ・ウィドド大統領,サラワク州の州都クチン来訪。第13回世界イスラーム経済フォーラム出席,第12回マレーシア・インドネシア二国間年次会合でナジブ首相と会談,共同声明発表。 |
29日 | 2018年国家予算案,連邦議会下院通過。 |
30日 | バンクヌガラの為替取引による巨額損失のRCI調査報告書,連邦議会に提出。 |
30日 | バンクヌガラの為替取引による巨額損失に関するRCI調査結果を受け警察に捜査依頼提出。 |
12月 | |
12日 | ナジブ首相とアニファ外相,トランプ米大統領の「エルサレムをイスラエルの首都と承認する」宣言を受け開催されるOICの緊急首脳会議(13日)出席のため,トルコのイスタンブール訪問。 |
13日 | ナジブ首相,OICの緊急会合で,アメリカのエルサレムをイスラエルの首都として承認する決定を非難,拒否すると声明。 |
15日 | ナジブ首相,バーレーン訪問。ハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファ国王に謁見など(~17日)。 |
17日 | ナジブ首相,スリランカ訪問(~19日)。マイトリパーラ・シリセーナ大統領と会談。ラニル・ウィクレマシンハ首相表敬訪問。 |
19日 | ナジブ首相,モルジブ訪問(~20日)。アブドッラ・ヤーミン・アブドゥル・ガユーム大統領と会談。 |
22日 | アメリカによるエルサレムのイスラエルの首都承認に対する抗議集会(“Solidarity to Save Jerusalem” rally)プトラジャヤで開催。ナジブ首相やザヒド副首相,マハティール元首相など野党党員も参加。 |
(注)*連邦元首,州元首に関わる訴訟を取り扱う。
(注)②,③の[ ]内は所属政党。略称は以下のとおり。DAP(Democratic Action Party):民主行動党,Gerakan (Parti Gerakan Rakyat Malaysia):マレーシア人民運動党,MCA (Malaysian Chinese Association):マレーシア華人協会,MIC (Malaysian Indian Congress):マレーシア・インド人会議,PAS (Parti Islam Se-Malaysia):汎マレーシア・イスラーム党,PPP (Parti Progresif Penduduk Malaysia):マレーシア人民進歩党,PBB (Parti Pesaka Bumiputra Bersatu):統一ブミプトラ伝統党,PBRS(Parti Bersatu Rakyat Sabah):サバ人民統一党,PBS(Parti Bersatu Sabah):サバ統一党,PKR(Parti Keadilan Rakyat):人民公正党,PRS(Parti Rakyat Sarawak):サラワク人民党,SPDP(Sarawak Progressive Democratic Party):サラワク進歩民主党,SUPP(Sarawak United People’s Party):サラワク統一人民党,UMNO(United Malays National Organization):統一マレー国民組織,UPKO(United Pasokmomogun Kadazandusun Murut Organization):パソモモグン・カダザンドゥスン・ムルット統一組織。
(注)1)推計値。
(出所)Ministry of Finance, Malaysia, Economic Report, 各年版,経済計画局ウェブサイト,統計局ウェブサイト。
(注)1)修正推計値。2)+は資産の取り崩しを意味する。
(出所)Ministry of Finance, Malaysia, Economic Report, 各年版。
(出所)Bank Negara Malaysia, Monthly Statistical Bulletin, 2018年1月号。
(注)1)購入者価格表示。
(出所)Bank Negara Malaysia, Monthly Statistical Bulletin, 2018年1月号。
(注)1)推計値。
(出所)Bank Negara Malaysia, Monthly Statistical Bulletin, 2018年1月号。
(注)1)EU という項目に含まれている国は,イギリス,ドイツ,オランダ,フランス,イタリア,ベルギー,ルクセンブルグ,デンマーク,アイルランド,ギリシャ,スペイン,ポルトガル,オーストリア,フィンランド,スウェーデン,その他(詳細なし)。
(出所)Bank Negara Malaysia, Monthly Statistical Bulletin, 2018年1月号。