アジア動向年報
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各国・地域の動向
2019年の香港特別行政区 大規模デモと政治危機の発生
倉田 徹(くらた とおる)
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2020 年 2020 巻 p. 131-150

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2019年の香港特別行政区

概 況

2019年の香港では,2月に政府が逃亡犯条例の改正を提案すると,急速に反対の声が広がった。しかし,政府は強硬に改正案の成立を目指し,これによって抵抗運動は社会の幅広い層を巻き込みつつ拡大し,ついに6月9日に「103万人デモ」と称される返還後最大のデモが発生した。それでも政府は改正案審議を進めようとしたため,6月12日には立法会周辺で激しい衝突となり,審議不能に陥って混乱が拡大した。

政府は改正案審議を停止したが,デモ参加者の怒りは収まらず,デモは警察の責任追及や民主化などのさらに難しい要求を掲げて継続された。政府は9月に改正案の撤回に応じたが,他の要求には回答せず,10月以降は実弾発砲による負傷者や衝突の現場での死者を出して衝突がさらに激化した。11月の区議会議員選挙は混乱により一時は実施が危ぶまれたが,結果的に民主派が劇的な勝利を収め,幅広い市民のデモに対する支持が示された。

抗議活動は観光や小売りなどの業界に大きな影響を与え,政府の目玉プロジェクトであるランタオ島西部海域の大規模埋め立て計画も停滞を余儀なくされるなど,米中貿易摩擦の影響下で不透明感の広がる経済に大きな影響を与えた一方,アリババが香港に株式を上場するなど,香港の金融機能が引き続き重要性を保っていることも示された。

逃亡犯条例改正案は,欧米諸国がこれにこぞって反対を表明するなど,国際問題化した。デモの発生後は世界から懸念を持って注目され,とくにアメリカは「香港人権・民主主義法」(香港人権民主法)を成立させるなど,香港への監視を強化する姿勢を示した。これをデモ参加者は歓迎した一方,中国政府は強く反発し,香港は米中間の駆け引きの材料とされる様相を見せた。

域内政治

逃亡犯条例改正の提案と反発の高まり

2019年2月12日,香港政府保安局は,逃亡犯条例の改正を提案した。そのきっかけとなったのは,2018年2月17日,香港人の男が,交際中の女性を旅行先の台湾で殺害し,事件発覚前に香港に逃げ帰った事件であった。1997年に制定された逃亡犯条例では,香港は「香港以外の中華人民共和国」の地に容疑者を引き渡すことができないとされており,中国がその一部と見なしている台湾に犯人を引き渡すことはできない。この問題の解決のためとして,政府は台湾への引き渡しを可能とする改正を提案した。しかし,改正が実現すれば,台湾に加え中国大陸とマカオにも引き渡しが可能となる。このため,とくに,司法の独立性や容疑者の人権保護に疑問のある大陸への引き渡しが問題となった。

提案には幅広い層からの反発が起きた。民主派は当初から反発した。反政府活動を行う民主派や,メディアや学術界に多数存在する民主派に近い人々は引き渡しを脅威視した。民主派団体の連合組織である「民間人権陣線」は,3月31日には最初の逃亡犯条例改正反対デモを実施した。加えて,通常は保守的で政府を支持する財界人からもさまざまな懸念の声が上がった。財界人の政党である自由党の田北俊名誉主席は,財界は賄賂罪による引き渡しを懸念していると述べた。

政府は4月3日に条例案を立法会に提出したが,民主派は激しく抵抗した。改正案は立法会で法案委員会審議に付されたが,議長となった民主派議員が抵抗して審議不能に陥った。5月6日,内務委員会が法案委員会の議長交代を決定したが,民主派は決定の有効性を認めない立場をとり,民主派だけで別途委員会を開催した。こうして法案委員会が2つに分裂する異常事態が生じた。

市民の改正案への関心は高まり,4月28日に民主派が行った2回目の条例改正反対デモは,主催者側発表13万人,警察発表2.28万人と,いずれの数字も2014年の雨傘運動以後で最多の参加者となった。通常は政府を支持する立場の有力な財界系の議員・政党関係者や保守派の学者からも,香港人は香港で裁く域外犯規定の新設など,政府案への代案を主張する声が高まった。ここに至り,5月17日,王志民中央政府駐香港連絡弁公室(中連弁)主任が香港の全国人民代表者大会メンバーや中国人民政治協商会議委員を集め,香港政府の改正案を断固支持すると述べ,5月21日,中央港澳工作協調小組長の韓正副総理が,北京で改正案支持の発言をするなど,中央政府関係者から政府案支持が表明され,親政府派からの異論は収束した。

親政府派の動揺収束を受けて,政府は非常手段の行使を決定した。先述のとおり,立法会の法案委員会は,民主派の抵抗によって分裂状態に陥っていた。そこで,政府は立法会に対し,委員会審議を中止し,6月12日に改正案を直接本会議で審議するよう要求した。民主派はこれに大いに怒り,5月22日,民主派の連合組織「民間人権陣線」は,6月9日に30万人規模のデモを実施すると宣言した。

政府と民主派の正面衝突の日程が定められると,抵抗運動は勢いづいた。5月後半からは,中学・高校・大学などの教師と学生,同窓生などを単位として,ネット上で反対署名運動が展開された。また,さまざまな団体が改正案反対の声明を発した。保守的なキリスト教団体とされる「香港浸信会連会」や,政府寄りで中央政府の影響を強く受けていると見られる事務弁護士団体「香港律師会」が改正案の延期や撤回を求めるなど,保守的で政府寄りと見られる団体も改正案反対を明言するに至り,多くの市民に衝撃をもって受け止められた。6月4日,ビクトリア公園で開催された毎年恒例の天安門事件追悼集会には,主催者側発表で過去最多に並ぶ18万人以上が参加した。「雨傘運動」後に,若者と中高年,本土派と民主派の間で分裂が深刻化していた社会の抵抗運動が,改正案に対する政府の強硬な態度を受けて,にわかに勢いづいた。

巨大デモの発生と逃亡犯条例改正の停止

6月9日,民間人権陣線が呼びかけたデモは,返還後最多の103万人(主催者側発表,警察発表では最高時24万人)を集めた。先頭が午後2時過ぎに出発したデモの最後尾が目的地に到達したのは夜10時過ぎであり,デモ参加者は指定された路線をはみ出して,隣の道路も埋め尽くした。

しかし,これほどの規模のデモに対しても,政府は9日深夜,改正案を予定どおり6月12日から立法会で審議すると改めて表明し,要求を拒否した。さらに,6月11日,梁君彦立法会主席は,短期集中的に審議し,6月20日に採決する日程を提案した。巨大デモを受けてむしろ審議を速めるという提案は,反対派には当然挑発と受け止められた。民主派の呼びかけにより,6月12日,立法会は警察の推計で約4万人といわれる市民によって包囲された。会議は開催不能となり,立法会を包囲した群衆の一部は,警察と衝突した。警察は大量の催涙弾・ゴム弾を用い,重傷者多数を出す激しい衝突となった。この衝突は世界の注目を集めた一方,林鄭月娥行政長官は「組織的暴動の発動」とこの行動を非難した。

この混乱により,立法会は開会不能の状態がその後も続いた。政府内部にも動揺が見られ,6月15日午後,林鄭月娥は記者会見し,改正案審議を一時停止し,少なくとも年内は審議を再開しないことを発表した。

しかし,これで香港市民の不満や怒りは収まらなかった。審議の停止を発表した林鄭月娥の会見で謝罪の言葉がなかったことへの怒りと,15日に最初の抗議の自殺者が出たこともあり,審議停止発表の翌日の6月16日,民間人権陣線が主催したデモはさらに巨大化し,主催者側発表で200万人を集める,香港史上最大の規模に達した。

「5つの要求」:警察不信と民主化要求

「200万人デモ」の際に,民間人権陣線は「5つの要求」を発表した。即ち,①逃亡犯条例改正案の完全撤回,②6月12日の立法会外での衝突を「暴動」と称した政府の見解を撤回すること,③デモ参加者を逮捕・起訴しないこと,④警察の権力濫用の責任追及のための第三者委員会「独立調査委員会」の設置,⑤林鄭月娥行政長官の辞職である。逃亡犯条例改正案反対の運動は,ここに来て警察と政府の対応に対する不満・怒りへと,テーマの面で広がることになった。

また,従来の民間人権陣線のデモに加え,6月21日の若者による警察本部の包囲など,ネットで呼びかけられた主催者不明の行動も行われるようになった。7月1日には「勇武派」と称される若者が立法会に突入し,議事堂内で落書きや破壊などの行為に及んだ。これによって,過激化によるデモの分裂や弱体化を予想する声もあったが,すでに政府が武力鎮圧という暴力を先に使用したと多くの市民が感じるなかで,むしろ「暴動罪」に問われる彼らに同情し,理解を示す世論が今回は強かった。突入した者は立法会本会議場で声明を発表し,5つの要求のうちの林鄭月娥行政長官の辞職を,普通選挙の実施に変更した。こうして,逃亡犯条例改正問題は,体制全体の民主化を求める運動へとエスカレートした。

7月には九龍や新界でも抗議活動が展開されるようになった。こうした各地のデモは,これまで巨大デモを主催してきた民間人権陣線ではなく,個人によって警察に申請され,ネット上での盛り上がりのままに決行された。そして,これらのデモは往々にして,終了後に道路の占拠などを行って,警察と衝突した。それによって,香港各地で催涙弾が発射され,少なからぬ市民がその影響を受け,「警察の暴力」に不満を抱いた。とくに,7月21日には深刻な事態が発生した。同日は民間人権陣線が警察批判のデモを香港島で決行し,一部の参加者は中連弁を包囲して,黒ペンキで中華人民共和国の国章を汚損する行為に及んだ。すると同夜,新界・元朗の鉄道駅に白い服を着た男の集団が押し入り,通行人や列車の乗客を含め,無差別に多数の者に鉄パイプを持って襲いかかり負傷させた。警察は長時間現場に現れず,市民から白服の集団と警察の結託が疑われた。こうして警察の権力濫用の責任追及と民主化の要求がデモの主要なテーマとなったが,政府は9月4日には逃亡犯条例改正案の撤回についに応じたものの,5つのうち残り4つの要求には応じなかった。

激しい衝突と危機の拡大

こうして,デモ参加者と政府の主張が平行線をたどるまま,抗議活動は毎週・毎日のように行われ,衝突も激化した。

8月5日にはネット上でゼネストが呼びかけられ,航空会社職員や管制官なども多数が欠勤したため,香港国際空港を発着する200便以上が欠航を余儀なくされた。8月11日には若い女性が右目を撃たれて眼球破裂の重傷を負った。これに抗議して8月12日からは空港でのデモが再度決行され,同日午後から翌13日の午前6時までの全便欠航を余儀なくされた。13日にはデモ参加者が出発ゲートの入り口を封鎖して乗客の搭乗を拒み,再び400便以上が欠航した。この事態には,大陸の武装警察が深圳に終結するなど,緊張が高まった。

「リーダーのいないデモ」に苦戦した警察は,8月30日,活動家の黄之鋒と周庭,3人の立法会議員,学生会のリーダーなどを,違法集会扇動などのさまざまな容疑で次々と一斉に逮捕した。しかし,逮捕された者はいずれも,5年前の雨傘運動の指導者またはそれ以上のベテランの民主派であり,今回の運動を指導するような存在ではなかった。翌31日には警察が許可を与えなかったにもかかわらずデモが決行され,同夜は地下鉄の太子駅で,デモ参加者と別の乗客の車内でのケンカの通報を受けた警察が,車内でデモ参加者と見られる者を警棒で殴打し,逮捕する場面が展開された。デモ参加者はこの際市民の側に死者が出たことを警察が隠しているとの疑惑を抱き,以後デモ参加者が毎日太子駅を訪れて献花しては,隣接する旺角警察署で警察と衝突する事態が続いた。

建国70周年の国慶節の10月1日,香港では民主派の有力者らが個人名義で呼びかけた無許可デモが決行された。それに加え,至る所で激しい抗議活動が行われ,衝突・破壊行為・放火が行われた。そのなかで,新界・荃湾では抗議活動参加者の高校生に警官が実弾を発射し,この高校生は一時重体に陥った。この状況を受けて,林鄭月娥行政長官は10月4日に行政会議を開催し,「緊急情況規則条例」(緊急法)を発動し,それに基づいてマスクなどで顔を隠してデモなどに参加することを禁ずる「覆面禁止法」を5日午前0時から発効させると決定した。緊急法は1922年,「海員大スト」に直面したイギリス香港政庁が制定した法律である。緊急時および公共の安全に危害がある事態が生じた際には,行政長官が行政会議に諮ったうえで,公共の利益に合うと考えるあらゆる規則を,立法会での審議なしに制定できる。緊急法の発動は,文化大革命の影響を受けた1967年の香港暴動以来,52年ぶりのことであった。

区議会議員選挙,民主派の圧勝

しかし,覆面禁止法で混乱が収束することはなく,11月にはデモはさらに激化した。林鄭月娥行政長官は11月4日に上海で習近平国家主席と,6日には韓正副総理と会談した。習近平は林鄭月娥と香港政府への支持を表明し,韓正は林鄭月娥に対し,「暴力を止め混乱を制止する」ことが「急務」と指示した。4日には警察とデモが衝突した現場近くの立体駐車場で,大学生が一つ下の階に転落し,8日に死亡した。死者を出したことでデモ参加者の怒りは爆発し,11月11日には3日間のストライキと同時に,交通を遮断する呼びかけもなされた。これに呼応して香港島の西湾河で道路を塞ごうと試みていた若者に警察官が実弾を発射し,この若者は一時重体に陥った。11月には中文大学や理工大学などの大学内にも催涙弾が雨あられと撃ち込まれた。理工大学では1000人規模ともされるデモ参加者が警察官に包囲され,11月13日から29日にかけて籠城戦を展開した。その間,九龍半島の中心部では,デモ参加者を支援するとして外から理工大に向かうデモ参加者と警察の間で,一連のデモで最も激しい衝突が発生した。

混乱が続くなか,4年に1度の区議会議員選挙が迫ってきたが,候補者の選挙活動が正常に実施できないなどとして,親政府派からは選挙の延期を求める声も上がり,政府も一時延期を検討した。しかし,デモ参加者も選挙を行うためとして投票日直前に抗議活動を休止したことから,結局11月24日の投票は無事行われた。当日は混乱による投票時間短縮などを恐れ,朝から多くの投票所に長い列ができるという異例の光景が展開された。そして,投票率が71.2%と史上最高を記録するなか,民主派が全体の85%以上の388議席を得る歴史的な大勝利を収めた。民主党は選挙前の37議席から91議席に大躍進し,第1党に躍り出た。他方,117議席を持っていた民主建港協進連盟(民建連)は21議席と惨敗した。新民党は擁立した28人の候補者が全員落選した。18の区のうち,黄大仙など一部の区では民主派候補が全議席を独占し,離島区を除く17の区で民主派が過半数を掌握した。黄大仙は従来,親政府派の堅固な地盤とされてきたが,同区ではデモの衝突が激しく,催涙弾が繰り返し使用されていた。そうした警察の手法が選挙情勢に大きく影響したと見られる。

この結果は,暴力・破壊行為や景気悪化などの問題がありつつも,デモを支持する市民が半年を経ても多数を占めていることを示した。衝突の激しさは12月以降減退したが,政府への不信感が極めて高い状態は続いており,政治危機は年末まで解消されなかった。

経 済

2019年の香港経済:苦しい1年

2019年の香港経済は,米中貿易摩擦の影響と見られる中国経済の減速や貿易の低迷に加え,逃亡犯条例改正反対デモによって経済活動に影響が出て,GDPは速報値で実質マイナス1.2%と,リーマン・ショック後の2009年以来のマイナス成長に陥った。9月6日には,数カ月にわたる暴力と衝突の発生によって,「一国二制度」の枠組みの弾力性に疑念が生じたとの理由で,フィッチ・レーティングスが香港の長期債務格付けを「AA+」から「AA」に1段階引き下げた。

ただし,デモの影響の程度は業界によって異なった。最も深刻な影響を受けたのは旅行関連の業界であり,2019年の香港訪問観光客数は延べ5591万人と,前年比14.2%の減少となった。上半期は7.7%増であったが,下半期は42.7%減となっており,11月は前年同期比56%の大幅減となった。同様に,小売りや飲食なども深刻な打撃を受けた。デモ開始後は失業率も上昇傾向となった。

他方,株価ハンセン指数は,前年末の2万5846ポイントから,2019年末は2万8190ポイントへと上昇している。不動産価格も,住宅価格指数はデモ開始後に軽微な下落となったが,11月には再び上昇に転じ,年間で見れば上昇となった。

逃亡犯条例改正反対デモをめぐる経済活動への政治的圧力

逃亡犯条例改正反対デモをめぐり,企業経営者にも政治的圧力が加えられた。中国政府は企業に対し,デモに反対して政府を支持することを求め,企業が対応を迫られた。8月8日には香港の共産党系紙『大公報』が,李沢鉅長江和記実業集団董事局主席,陳啓宗恒隆集団董事長,呉光正九龍倉集団首席顧問などの財界の大物を名指しして,彼らがデモを譴責していないことを批判する記事を掲載した。すると同日以降,四大不動産開発業者(長江実業,新世界発展,新鴻基地産,恒基兆業)をはじめ,企業や大富豪は暴力を非難する声明や全面広告を争って掲載した。8月9日には,空港でのデモを受けて中国民航局がキャセイ航空に対し,違法のデモに参加したり,これを支持したりした者の大陸便への搭乗を止めることや,乗務員リストを民航局に提供することを要求した。中国路線に加え,欧州便などの多くの便が中国上空を飛行する同社はこの圧力に耐えられず,多数の職員を解雇したうえ,8月16日にはルパート・ホッグ最高経営責任者らが辞職した。8月22日には,香港の地下鉄と郊外列車を独占経営する香港鉄路(港鉄)が「暴徒専用列車」を提供したと非難する記事が人民日報に掲載された。売り上げの半分近くを大陸での鉄道や不動産事業で得る港鉄の列車は,これ以後デモ開催予定地の最寄り駅を通過したり,デモの時間帯に運休したりするようになった。

他方,デモ参加者やデモ支持者は,政府寄りの態度をとる企業を攻撃した。港鉄は政府に接近した後,デモ参加者から非難され,連日破壊の対象とされ運休も生じた。9月9日,ジュネーブでの国連人権理事会にレストラングループ「美心集団」創業者の長女伍淑清が出席し,暴力により小売り消費が70%減少したなどと指摘してデモを非難すると,香港では美心集団傘下にある吉野家・元気寿司・スターバックスなどの飲食チェーン店がデモ参加者に破壊されるようになった。企業にはデモを支持することも,反対することも経営リスクとなった。

香港交易所,ロンドン証券取引所の購入に失敗

香港交易所は9月11日,ロンドン証券取引所の全株式を購入することを提案した。現金と新株発行で合計296億ポンド(約3兆9000億円)を支払い,両取引所を合併することを目指した。上場企業の時価総額で世界6位の香港と,7位のロンドンの合併が実現すれば,世界3位となる計算であった。

しかし,ロンドン証券取引所は9月13日,香港交易所からの購入の申し出を拒否する書簡を発出した。ロンドン証券取引所は,13人の董事のうち主席を含む7人が行政長官と財政長官の委任によって選ばれるという,香港交易所の董事会の構造と,その香港政府との関係や,香港が政治問題を抱え,長期的に中国へのゲートウェイの地位を維持できるかについての疑問があることなどを拒否の理由に挙げた。10月8日,香港交易所は買収を断念した。

粤港澳大湾区規画綱要の発表

2月18日,国務院は広東省珠江デルタ地域9都市と,香港・マカオの両特別行政区を1つの経済圏として統合していく「粤港澳大湾区」構想の規画綱要を公表した。綱要では2つの特区と9都市のうち,広州・深圳・香港・マカオが四大中心となり,香港は引き続き金融・貿易などの従来優位性のある産業の機能を強化し,アジア太平洋の国際的な法律・紛争解決センター,区域の知的財産権の交易センターになるとされた。また,ICカードや切符の相互利用,携帯電話ローミング費用無料化など,交通・通信の利便化による区内都市の融合も盛り込んだ。

香港については,憲法・基本法・中国の歴史・民族文化などの愛国教育の強化にも言及し,香港の学生が大陸で就学すること,香港人が国有企業で働くことを奨励し,大陸の公務員になれるようにすることも検討するとした。

この綱要に対しては,香港が初めて国家規模の規画綱要に組み込まれたことを評価する声と,逆に国家計画に組み込まれ,香港が独自性を失い,中国の一都市へと埋没することを問題視する声があった。林鄭月娥行政長官は,香港政府は積極的に綱要の策定に関わり,全面的に香港政府の意見が取り入れられたと述べ,香港政府が主体的に関与してきたことを強調した。

アリババ,香港に株式を上場

11月26日,アリババが香港交易所に株式を上場した。同社は6月には上場の申請を非公開で提出していたとされ,年内に上場の可能性があると見られたが,その後の逃亡犯条例改正反対デモの激化により,上場が遅れる可能性も8月には報じられていた。上場の背景には,米中対立のなかで,ニューヨークに上場する同社が政治リスク回避のため別の上場先を必要とした可能性が指摘される。9月にはロイターが,トランプ政権がアメリカの証券取引所に上場している中国株の上場廃止を検討していると報じていた。

香港交易所の李小加最高経営責任者は,香港が困難な時にアリババが上場したことは,香港の資本市場が相変わらず強力で,将来性があることの証左であると歓迎を表明し,今後もさらに多くの企業が香港で上場することを期待すると述べた。アリババは上場によって約150億米ドルを調達し,これによって香港は2018年に続いて,IPO調達額世界首位となった。

対外関係

逃亡犯条例改正問題に対する国際社会の対応

逃亡犯条例改正案は,引き渡しの対象に外国人も含んでいたため,欧米の多くの国が反対や懸念を表明した。4月8日にはイギリスのアンドリュー・ヘイン香港総領事が香港政府に懸念を伝えた。The Wall Street Journalは5月17日,改正案は「香港への致命的一撃」になる可能性があるとして反対を明言した。5月24日にはEUメンバー国代表団が,返還後初めて行政長官に直接外交上の申し入れを行い,EUの憂慮を伝え,審議の延期を求めた。5月30日,イギリスのジェレミー・ハント外相とカナダのクリスティア・フリーランド外相は共同声明を発表し,改正案は香港の自由に悪影響を与えると指摘した。

こうした動きに中央政府は反発し,反論した。林鄭月娥行政長官は外国政府が「中央政府と香港特別行政区の関係を破壊し……,さらには大陸の司法・人権制度を意のままに批判し始め,……香港内部の問題ではなく,『一国二制度』や,ひいては基本法の政治体制の側面にまでエスカレートした。この状況の下で,中央政府の香港出先機関や,北京の香港マカオ弁公室が,発言を行わねばならないのは,私は当然のことであると思う」と,中央政府の介入を正当化する根拠として,外国の介入を挙げた。

デモ参加者は逆に外国の介入を求めた。6月26日には,大阪でのG20サミットで,参加国が中国に圧力をかけることを求めるデモが行われた。中国の反対により,サミットでは香港問題は扱われなかったが,サミット参加のために訪日した習近平国家主席に対し,安倍晋三総理大臣は6月27日,引き続き「一国二制度」の下,自由で開かれた香港が繁栄していくことの重要性を指摘した。

アメリカ,香港人権民主法を制定

アメリカ政府の内部では近年,香港の自治に対する懸念が強まっていた。2019年3月21日,アメリカ政府は2019年版の香港政策法報告書を発表した。そのなかでアメリカ国務省は香港の自治が弱まっていることを指摘し,前年までは香港に特別待遇を与えるのに「十分以上(more than sufficient)の自治」があると評していたものを,「十分だが,減退している(sufficient―although diminished)」との表現に改めた。同法はアメリカが香港に十分な自治がないと見なした場合,香港を中国と別個の独立した関税区と見なす待遇をやめるとしている。

一方トランプ大統領は,当初,逃亡犯条例改正反対デモに対して関心のなさを露わにしていた。8月1日には,トランプはデモを暴動(riots)と称したうえで,これは香港と中国の間の問題であり,香港は中国の一部であるから,彼らが自分で解決すべきであり,アドバイスは必要ないと述べた。しかし,衝突の激化で国際世論の懸念が高まると,トランプも態度を改めた。また8月14日にトランプは,習近平が香港問題に人道的に対処するよう求め,19日には,もし中国が香港において暴力的に天安門事件のような事態を起こすならば,貿易交渉は非常に難しくなると中国をけん制した。

アメリカ議会は香港政策法の強化版とされる香港人権民主法案を審議しようとしていた。このため,9月8日には,多くの人々が香港のアメリカ総領事館前で集結し,同法案の可決をアメリカ議会に求めるデモを行った。香港での衝突の激化と政治情勢の悪化を受けて,議会は法案審議を加速し,下院が10月15日,上院が11月19日にこれを全会一致で採決すると,トランプ大統領も11月27日に同法案に署名し,法案は成立した。

同法には香港の人権を害する者のアメリカ入国拒否や資産凍結が盛り込まれ,中央政府と香港政府の公務員が制裁対象となる可能性が生じた。また,軍事転用可能な技術の中国への輸出規制と,国連とアメリカによる北朝鮮とイランへの制裁の実施状況をアメリカが調査し,とくに中国が「粤港澳大湾区」構想を使って香港からハイテクに関連する技術を輸入することを監視するとしている。陳茂波財政長官は12月2日の立法会で,香港人権民主法は香港のイノベーションと粤港澳大湾区の発展の急所をついていると述べている。

中国政府は同法に対して強く反発し,12月2日,外交部は香港人権民主法成立への対抗措置を発表した。中国はアメリカ軍艦の香港寄港の拒否と,民主主義や人権に関連するアメリカの5つのNGOを制裁することを宣言した。

2020年の課題

逃亡犯条例改正反対デモは,香港に返還以来最大の政治危機をもたらしてしまった。年末にかけてデモの規模は縮小し,衝突の激しさは緩和されたかに見えるが,デモ参加者が掲げた要求は満たされなかったため,世論調査が示す香港市民の政府に対する不満はまったく解消されていない。年末に香港民意研究所が実施した調査によれば,2020年に政府が処理することが最も必要な問題として挙げられたのは,順に政治体制の問題(18%),警察の問題(14%),「5つの要求」など民意に応える(11%),暴力を止めるなどデモに関する問題(8%)となっており,前年には最多の41%が選んだ「住宅問題」は8%まで下落している。経済・社会の問題は深刻なままであるが,それ以上に現状で香港市民が求めるのは,政治問題の解決である。

当選した新任の区議会議員は2020年1月に就任し,政府に対してさらに強い圧力を加えることになる。支持率が地を這っている状況の林鄭月娥行政長官の辞職なしに,政治の安定を取り戻すことは非常に困難であろう。しかし,後任人事の難航も予想され,中央政府が行政長官の交代を決断するのも容易でない。加えて,秋には立法会議員選挙が予定されているため,政治に関する議論が活発化することが予想される。同選挙まで民主派の勢いが継続するかが焦点となる。

2019年にはリーマン・ショック以来のマイナス成長を記録した経済も厳しい。買い物客や観光客の激減により,旅行・小売り・飲食などの業界を襲った不景気は,今後失業率の上昇など社会問題の深刻化へと展開するであろう。デモの処理をめぐって高まった国際社会の香港に対する疑念や懸念に答えることも重要である。しかし,政治は停滞し,重要プロジェクトや政策の進展は望みにくく,苦難の1年が予想される。

(立教大学法学部教授)

重要日誌 香港特別行政区 2019年
   1月
1日民間人権陣線の元旦大デモ,主催者側発表で5500人が参加,警察発表3200人,前年比半減。
9日政府は「国歌条例草案」を発表。国歌を侮辱・改竄などする者に懲役刑も。
31日2018年の年間観光客数の統計発表,2017年より11.4%増加して延べ6515万人。
   2月
12日政府は「逃亡犯条例」を改正して,大陸・台湾・マカオへの容疑者引き渡しを可能にすることを提案。
18日国務院は「粤港澳大湾区規画綱要」を公表,広州・深圳・香港・マカオが四大中心に。香港は金融・貿易などを強化へ。
27日陳茂波財政長官は2019/20年度財政予算案を発表。2018/19年度の財政黒字は前年比6割減の587億香港ドルと予想。
   3月
11日香港地区選出の全国人民代表大会代表・王敏剛が死去。
13日アメリカ政府の2018年度人権報告書で,香港について中国政府が徐々に香港の自治を侵食していると指摘。
21日アメリカ政府は2019年の香港政策法報告書で,香港の自治が弱まったと指摘。
22日台湾・高雄市長の韓国瑜が香港を訪問,林鄭月娥行政長官らと会談。
26日政府は逃亡犯条例改正案の修正を発表。9つの罪状を削除,香港で懲役3年以上に相当する犯罪に引き渡しの対象を絞る。
27日キャセイ航空はLCCの香港エクスプレスの全株式を49億3000万香港ドルで買収すると発表。
31日逃亡犯条例改正に民主派が最初の反対デモ開催。主催者側発表1.2万人,警察発表5200人が参加。
   4月
3日逃亡犯条例改正案の立法会審議が開始。
17日逃亡犯条例の立法会での委員会審議開始,民主派が抵抗し正副主席選出できず。
24日2014年の「雨傘運動」の関係者9人に有罪判決。
28日2回目の逃亡犯条例改正反対デモ,主催者側発表13万人,警察発表で最高時に2.28万人が参加。
   5月
6日逃亡犯条例改正案を審議する立法会の委員会が親政府派と民主派の対立で分裂。
12日逃亡犯条例改正案の親政府派の委員会開催を阻止するため民主派が議場を占拠,衝突が発生し会議は開けず。
16日李柱銘元民主党主席はアメリカでポンペオ国務長官と会談,逃亡犯条例改正に対する反対を訴える。
17日王志民中央政府駐香港連絡弁公室主任,香港の全人代代表・政治協商会議委員を集め,逃亡犯条例改正案支持を要求。
20日李家超保安局長は,逃亡犯条例改正案を委員会審議を経ずに6月12日に直接立法会本会議での審議に付す案を発表。
21日韓正副総理・中央港澳工作協調小組長は逃亡犯条例改正支持を表明。
22日2016年の旺角騒乱で国外逃亡していた本土民主前線の黄台仰・李東昇の難民申請がドイツで認められたと報道される。
24日逃亡犯条例改正に対し,EUメンバー国代表団が林鄭月娥行政長官に対して正式な外交の申し入れを行い,懸念を伝達。
30日李家超保安局長は逃亡犯条例改正案について,引き渡し対象を懲役3年から7年以上とするなどの修正案を発表。
30日イギリスのハント外相とカナダのフリーランド外相は共同声明を発出,逃亡犯条例の改正は香港の自由に悪影響と指摘。
   6月
4日天安門事件追悼集会が開催,18万人以上が参加,2012年・2014年と並び過去最多。警察発表では3.7万人が参加。
9日3回目の逃亡犯条例の改正反対デモに主催者側発表で103万人が参加。返還後最大。警察発表はピーク時に24万人。
12日逃亡犯条例改正に反対する者が立法会を包囲,衝突に発展。警察は催涙弾・ゴム弾などを使用し多数が負傷。
15日林鄭月娥行政長官は逃亡犯条例改正の手続きを停止すると発表。
16日4回目の逃亡犯条例改正反対デモに主催者側発表200万人が参加。警察発表では33.8万人。
21日逃亡犯条例改正に反対する若者が警察本部を包囲。
25日イギリス・ハント外相,警察装備の香港への輸出を停止すると表明。
   7月
1日返還22周年式典,デモを警戒して一般の参観を取りやめ,来賓は国旗掲揚を屋内から中継で観覧。
1日返還記念日デモに主催者側発表55万人,警察発表19万人が参加。
1日逃亡犯条例改正に反対する若者が立法会に突入し一時占拠。
3日1日の立法会突入事件について,『人民日報』は違法行為を非難し林鄭月娥行政長官を支持する記事を掲載。
7日新界・屯門で逃亡犯条例改正に反対するデモ開催,主催者側発表1万人以上,警察発表1800人参加,多数の衝突が発生。
8日九龍半島で逃亡犯条例改正に反対するデモ開催,主催者側発表23万人,警察発表5.6万人が参加。
18日欧州議会は香港政府に逃亡犯条例改正案の撤回と独立調査委員会での調査を求める議案を可決。
21日民間人権陣線が警察を非難するデモを開催,主催者側発表43万人,警察発表13.8万人参加。一部参加者は中連弁を襲撃。
21日香港鉄路元朗駅で白シャツの集団がデモ参加者や市民を無差別に襲撃。
27日元朗で21日の襲撃事件に抗議する無許可のデモが決行され,主催者側発表28.8万人が参加,警察と衝突発生。
   8月
1日アメリカ・トランプ大統領は香港のデモを中国が自ら解決すべきと述べる。
5日ゼネストが決行され,道路占拠や衝突が多発,多くの警察署が包囲される。
7日張暁明香港マカオ弁公室主任・王志民中連弁主任が深圳で座談会を開催,急務は暴力と混乱を止めることと強調。
9日中国民航局がキャセイ航空に,違法デモに参加した乗務員のリスト提供を要求。
12日空港でのデモ拡大により多数の便が欠航となる(~13日)。
15日陳茂波財政長官は所得税還付,公共住宅の家賃免除,幼稚園・小中の新学期手当など総額191億香港ドルの経済対策を発表。
16日キャセイ航空はホッグ最高経営責任者の辞任を発表。
19日アメリカ・トランプ大統領,もし香港で第二の天安門事件が起きれば,米中合意は困難になると発言。
26日G7サミットが閉幕,声明で中英共同声明が定めた香港の自治への支持を表明。
30日香港衆志の黄之鋒・周庭,3人の立法会議員,多数の社会運動指導者が一斉に逮捕される。
31日無許可デモが決行され,警察と激しく衝突。太子駅では地下鉄車内で警察官が乗客を殴打。
   9月
1日空港への交通を遮断するデモが発生,空港への交通が麻痺し,一部の便が欠航。
2日大学生の授業ボイコット集会が中文大学で開催される。
2日香港衆志の周庭が2018年に立法会補欠選挙の出馬を不可とされた問題で,高等法院は周庭の資格取り消しは無効と判決。
2日林鄭月娥行政長官が私的会合で「辞職したい」と発言した音声をロイターが報道。
4日林鄭月娥行政長官はテレビ講話を発表し,逃亡犯条例改正案の撤回を表明。
5日香港交易所のシステムにトラブル発生,先物取引が半日間停止。
6日フィッチ・レーティングスが香港の格付けをAA+からAAに引き下げ。
8日アメリカ総領事館前でアメリカに「香港人権・民主主義法」(香港人権民主法)の成立を求めるデモ。
13日香港交易所からのロンドン証券取引所購入の申し出をロンドンが拒絶。
26日林鄭月娥行政長官が市民との対話集会に臨む。
29日中国の独裁に反対する世界同時デモ,香港では無許可で決行され警察と衝突。
   10月
1日国慶節に合わせ香港各地で無許可デモが決行され,警察と激しく衝突,高校生が実弾で射撃され一時重体に。
4日林鄭月娥行政長官,緊急情況規則条例を発動して覆面禁止法を5日午前0時から発効すると発表。
10日保釣行動委員会の郭紹傑と厳敏華が2018年に靖国神社で南京大虐殺に抗議して紙を焼いた事件,東京地裁が有罪判決。
15日アメリカ議会下院は香港人権民主法案を全会一致で可決。
16日林鄭月娥行政長官が施政方針演説を発表。ローン規制緩和などを提案。
29日政府選挙主任は黄之鋒香港衆志秘書長を区議選に立候補させない決定。
  11月
4日習近平国家主席が上海で林鄭月娥行政長官と会談,中央政府の高度の信任を伝え,香港政府のデモへの対応を評価。
8日4日にデモ参加者と警察の衝突現場付近で立体駐車場から転落した学生が死去。
11日ゼネストが呼びかけられ各地で激しい衝突,中文大学で籠城戦が展開される。
13日激しい衝突が続く中文大学が学期打ち切りを決定。
14日習近平国家主席,ブラジルでのBRICS会議で,香港の暴力を止め混乱を制止することが最も緊急の任務と発言。
14日上水駅付近の衝突現場でレンガが頭に当たった男性が死亡。
17日理工大学を警察が包囲し,デモ参加者は籠城戦を展開。
18日高等法院は覆面禁止法を基本法違反とする判決。
19日アメリカ議会上院は香港人権民主法案を全会一致で可決。
24日区議会議員選挙が実施される。投票率は過去最高の71.2%,民主派が85%以上の議席を得る圧勝。
27日アメリカ・トランプ大統領が署名して香港人権民主法が成立。
  12月
2日中国外交部はアメリカの香港人権民主法成立への対抗措置を発表,米軍艦の寄港を拒否,5つのNGOを制裁。
8日民間人権陣線は世界人権デーデモを開催,主催者側発表80万人,警察発表18.3万人参加。
16日林鄭月娥行政長官は習近平国家主席・李克強総理に対して北京で職務報告。習近平は香港政府の法に基づく施政と香港警察の厳正な法執行を支持すると述べる。
19日警察はデモ参加者をネット募金で支援していた団体「星火同盟」の4人をマネー・ローンダリング罪で逮捕。

参考資料 香港特別行政区 2019年
①  香港特別行政区政府機構図(2019年12月末現在)

(注)1)二重線で囲んだものは,中央政府およびその出先機関。

   2)3司長および13局長は,行政会議の官職議員である。

   3)3司長13局長のほか,廉政専員(廉政公署長官),審計署署長,警務処処長(警察長官),入境事務処処長,海関(税関)関長は,行政長官が指名し,国務院が任命する。

(出所)「香港特別行政区政府機構図」(http://www.gov.hk/tc/about/govdirectory/govchart/)。

    香港特別行政区司法機構(https://www.judiciary.hk/zh/publications/judfactsheet.html)。

②  香港政府高官名簿(2019年12月末現在)

*女性。

③  司法機構・立法会

(注)1)当選後裁判で議員資格を剥奪され,係争中。2)当選後裁判で議員資格剥奪が確定。

*女性。

④  その他

(注)王敏剛は2019年3月11日死去。

*女性。

主要統計 香港特別行政区 2019年
1  基礎統計

(注)人口は年央,失業率は季節末調整値,為替レートは年平均値。

(出所)香港特別行政区政府統計處『香港統計月刊』各年1月,4月版。

2  支出別区内総生産(名目価格)

(注)2018,2019年は暫定値。

(出所)表1に同じ。

3  産業別区内総生産(実質価格)

(注)2018,2019年は暫定値。

(出所)表1に同じ。

4  国・地域別貿易

(出所)表1に同じ。

5  国際収支

(注)2018,2019年は暫定値。

(出所)表1に同じ。

6  政府財政

(注)財政年度は 4月1日~3月31日。

(出所)表1に同じ。

 
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