アジア動向年報
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各国・地域の動向
2019年のモンゴル 人民党内の対立収束,フレルスフ首相の権力強化
湊 邦生(みなと くにお)
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2020 年 2020 巻 p. 77-98

詳細

2019年のモンゴル

概 況

2019年は,前年のフレルスフ首相不信任案問題で露呈した人民党・民主党双方の内部対立が尾を引くなかで始まった。このうち,人民党ではフレルスフ首相が大過なく1年を乗り切り,権力強化に成功した一方,首相に対抗する勢力は徐々に勢力を失った。これに対し,民主党は存在感を発揮するのに失敗したばかりか,党所属国会議員の離脱によって国会議員団の成立要件を失う事態となった。また,かねてより議論が進んでいた憲法改正案が紆余曲折の末に成立し,大統領任期の変更などが行われることとなった。

経済面では課題が浮き彫りとなった。物価上昇率は抑えられたものの,最大の生産部門である鉱業の伸び悩みにより経済成長率は低下した。また,経常赤字と対中国輸出依存という以前からの懸案については,ほとんど解決に向けた動きがみられなかった。他方,2019年にはカピタル銀行破たん,マネー・ローンダリングに関する金融活動作業部会(Financial Action Task Force on Money Laundering:FATF)によるモンゴルのグレーリストへの追加といった事件も関心を集めた。

対外関係では,ハルハ河戦争(ノモンハン事件)80周年を機にしたロシアとの関係強化に加え,ロシアを中心とするユーラシア経済統合や中国による一帯一路構想との協調といったユーラシア志向の経済外交,バトトルガ大統領が提唱した北東アジア国際電力網構想のアピールが特徴的であった。このほか,バトトルガ大統領による訪米をはじめとするアメリカとの要人往来も目を引いた。

国内政治

エンフボルド国会議長の解任

2019年は前年末のフレルスフ首相不信任案問題の余波が残るなかで始まった。これは,2018年に明らかとなった中小企業開発基金の不正融資あっせん問題をきっかけに,フレルスフ首相に対してツォグゾルマー教育・文化・科学・スポーツ相とソドバータル道路・運輸開発相,エンフボルド国会議長を含む人民党所属の国会議員が不信任案を提出したものの,反対多数で否決されたものである。その後,不信任案に同調した閣僚については,既に辞任または解任の方向が決まっていたが,後任人事がまとまっていなかった。一方で,エンフボルド国会議長は議長の座を維持していたものの,年末には議長辞職を要求するデモが発生していた。人民党内の対立はフレルスフ首相側に有利に推移していたが,収束の見通しは立たない状態であった(以上,2018年の動向は『アジア動向年報2019』参照)。

2019年に入ってもエンフボルド国会議長への解任要求は止まなかった。そのなかで,人民党のオヨーン=エルデネとアヨールサイハン,民主党バトザンダンとボルドの議員4人が「反人民民主党」,すなわち2大政党である人民党・民主党双方を非難するデモを決行すると,デモは各界の著名人を巻き込んで拡大していった。ただし,スローガンとは裏腹にデモの直接の攻撃対象はエンフボルド国会議長であり,実質的には国会議長解任要求デモの発展形であった。これに加えて,人民党所属国会議員の一部には議長辞職を要求して国会をボイコットする議員すら現れた。この結果,本会議は定数不足となり,開会できない事態に陥った。

そのようななかで,バトトルガ大統領は国会法と国会本会議規程法の修正案を上程した。法案には国会議長の解任提案を容易にする条項が盛り込まれており,この条項を基にエンフボルド国会議長を解任するねらいも窺えた。これに対しエンフボルド国会議長は同修正案の審議入りを容認,修正案は1月半ばに成立した。さらにエンフボルド国会議長は「反人民民主党」デモ主催者とも会見し対話を行ったものの,辞職要求には拒否する姿勢を続けた。

こうした議長の態度を受けて,オヨーン=エルデネ国会議員らはエンフボルド国会議長の解任案を作成し,修正国会法および国会本会議規程法の施行後ただちに上程した。解任案は国会国家機構常任委員会では承認を得られず,本会議には解任不要の提案が送られたが,この提案が反対多数で否決され,結果としてエンフボルド国会議長が議長職を失うこととなった。

これによって,国会議長に加え,先述の辞任・解任となった閣僚の後任人事に焦点が移った。このうち,国会議長にはザンダンシャタル内閣官房長官が立候補し,2月1日の国会本会議で選出された。同日に国会本会議はツォグゾルマー教育・文化・科学・スポーツ相の辞職を承認するとともに,ソドバータル道路・運輸開発相を解任し,翌日にはバータルビレグ国会議員の教育・文化・科学・スポーツ相就任,エンフ=アムガラン国会議員の道路・運輸開発相就任に加え,ザンダンシャタル新国会議長就任で空席となった内閣官房長官へはオヨーン=エルデネ国会議員の就任をそれぞれ承認した。

新閣僚はフレルスフ首相不信任案への賛成者・反対者から1人ずつ任命されており,首相が党内融和を図ったともいえよう。他方,ザンダンシャタル国会議長の就任によって,フレルスフ首相は大統領,首相,国会議長が構成する国家安全評議会に自派の人物を送り込むことに成功した。

権力を強化するフレルスフ首相

国会議長の座をめぐる争いの一方で,ウランバートルでは前年に辞職したバトボルド首都知事の後任をめぐる衝突も起きた。モンゴルでは県・首都の知事は各自治体住民代表議会の議員から候補を選出し,首相の承認を得て就任することになっている。人民党執行部は新知事としてアマルサイハン首都住民代表会議議長を推薦,議長は1月半ばに開かれた首都住民代表会議で知事に立候補した。ところが,選出されたのは同じ人民党から立候補したムンフチョローン幹部議員であった。執行部の意向に反する選挙結果に対して,フレルスフ首相は2月半ばまで新知事の承認を引き延ばした末にこれを拒否し,再立候補を表明したムンフチョローン議員には,党監査委員会から党員資格停止の処分が下った。ムンフチョローン議員はそれでも再立候補を強行し,2月末の住民代表議会でアマルサイハン議長と再び対決した。すると,今度はアマルサイハン議長が過半数の得票により新知事に選出され,この結果をフレルスフ首相も承認したことで,新知事選出をめぐる対立は終結した。

フレルスフ首相にとって試金石となるはずであったもう1つの課題が,国家大会議第42選挙区の補欠選挙であった。この選挙区では2016年に人民党のガントルガ候補が選出されたが,のちに性的行為強要の疑いが浮上したことで2018年にガントルガ議員は議員辞職願を提出した。その後,国会本会議がこれを承認したことで,2019年の6月30日に補欠選挙が行われることになっていた。民主党からはオヨーンバータル・ヘンティー県知事,人民革命党からはエンフバヤル元大統領の立候補が決まっていた一方で,人民党は選挙参加を決定するも候補者については明確ではなかった。さらには,辞職したガントルガ前議員が再び立候補するという観測が流れ,これに反対するデモが起こる事態となっていた。

ところが,ガントルガ前議員による有罪確定前の辞職願提出と,国会本会議承認による再選挙実施の2つに対し,憲法違反であるとの訴えが一般市民から憲法裁判所に出された。この訴えに対し,憲法裁判所は辞職承認のみ合憲としたものの,再選挙実施,告示日・投票日の確定,選挙支出の限度を定めた国会決定については,違憲であるとして差し止めを命じた。この判決が確定したため,第42選挙区選出の議員が欠員になったにもかかわらず,補欠選挙が実施不可能となった。

これらの動きはすべてフレルスフ首相にとって有利な展開であり,反対勢力の弱体化によってフレルスフ首相の権力は強化された。一方で,もともと人民党よりも民主党の支持が強いとされるウランバートルにおいて,世論調査でのフレルスフ首相に対する評価は上昇した。MEC社による月例世論調査「政治バロメータ」では主な政治家の評価を10点満点でたずねており,フレルスフ首相のポイントは就任から2018年まではほとんど5未満であったものの,2019年には年間を通じて5を下回ることはほとんどなく,6を超えることもあった。

そのようななかで,メディアのフレルスフ首相に対する姿勢も変化している。年初には,フレルスフ首相の指導力に対する疑問や,対立を煽る当事者としての非難に加え,エンフボルド国会議長とともに解任して新たなリーダーを求める論調が目立っていた。しかし,フレルスフ首相の権力が相対的に強まるに伴い,それらの批判は影をひそめるようになった。

埋没する民主党,一部国会議員離脱で国会議員団構成要件失う

人民党の内部対立が収束に向かう一方で,2大政党の1つである民主党は存在感を発揮できなかった。先述のエンフボルド国会議長解任問題では,民主党国会議員団は人民党を利するとの懸念から議長解任に反対し,むしろ国会を解散すべしとして署名集めを開始した。

しかし,解散要求は党内の分裂を加速させた。前年末から民主党国会議員団からの離脱を表明していたバトザンダン,ボルド両議員は,先述したとおり反人民民主党デモを決行し,党の方針を無視してエンフボルド国会議長解任要求の流れに乗った。そればかりか,バトザンダン議員はルーマニアのチャウシェスク元大統領の処刑を引き合いに出し,エンフボルド国会議長の超法規的な処刑を正当化するかのような発言すら行った。これに対して民主党がバトザンダン議員の党籍を剥奪すると,バトザンダン議員は民主党による国会解散要求がエンフボルド国会議長を利するとして反対し,両者の対立はさらに鮮明となった。その結果,エルデネ民主党党首は2月に会見を行い,バトザンダン議員とボルド議員の民主党国会議員団からの離脱を容認した。これにより,議員団は議員不足のため解消されることとなった。民主党からの離脱が正式に認められた両議員は,その後新党「正義市民統一同盟党」を結成,バトザンダン議員が初代党首に就任した。そして同党は,「人民による大規模鉱床の所有」を主張するなど,資源ナショナリズム的なアピールで国民に支持を訴えるようになった。

さらに,3月15日には民主党主導の連立政権下で首相を務めたアルタンホヤグ大統領顧問が独自の政治活動を希望して辞職,民主党とは一線を画す姿勢を明らかにした。アルタンホヤグ氏は民主党内で有力な派閥を率いた実力者であったが,民主党は同氏を党規約違反,さらにはエルデネ党首の解任を企てたとして除名した。続いて,5月29日には民主党員と称する300人以上が離党を表明,代表者らが記者会見を行い,党内会計が不明朗であり,行われるべき選挙が実施されていないとの批判を繰り広げた。これに対して,民主党は離党者と称する人々がそもそも党籍も持っていないとする反論を行った。

党内の不和が収まらないなかで,民主党は引き続き国会解散を求めてスフバータル広場でデモを挙行,5月31日にはフレルスフ首相への不信任案も提出した。一方で,民主党は2018年に策定した新綱領告知のキャンペーンを開始し,党の統一を維持しようとした。党の下部組織である民主党青年連合は3月に行った記者会見のなかで,党改革の成果を強調し,党の主義主張に則った行動を呼びかけた。

ただ,これらの動きは目に見える成果を上げることがなかった。国会解散呼び掛けの署名にこそ人民党所属の国会議員やバトトルガ大統領からの賛同を得たものの,解散は実現せず,不信任案は審議された形跡すらない。先述のMEC社による世論調査ではエンフボルド前国会議長に代わり,エルデネ党首が実績に乏しい政治家の筆頭格とされるようになった。民主党の党勢回復への道は険しい。

憲法改正案,曲折の末成立

与野党内の派閥争いとともに,2019年の政治で注目されるのが憲法改正案の成立である。憲法改正は数年来議論が重ねられてきた懸案事項であり,国会での審議に加えて政府による公聴会や公開討論が全国で行われてきた。しかし,これまでの政権は改正案をまとめきれず,現政権まで先送りしてきた。

6月6日にルンデージャンツァン国会国家機構常任委員長が憲法改正案と関連法案を上程した。法案は直ちに審議に付され,翌日には国会本会議で可決されたが,同案に対してバトトルガ大統領が拒否権を発動した。国会はこれを承諾したため憲法改正案の再審議が決まった。審議は民主党所属の国会議員による反対と国会ボイコットにもかかわらず進められたが,7月16日にバトトルガ大統領が独自の改正案を上程した。これを受けて,国会本会議は審議中の憲法改正案にバトトルガ大統領上程の改正案の内容を反映させることを決定し,バトトルガ大統領を会長,フレルスフ首相を副会長とする憲法改正案作業部会を新たに設置し,新たな改正案を協議することとした。

しかし,9月に民主党が憲法改正に関する国民投票を要求し,審議を拒否した。バトトルガ大統領は,これまでの協議で憲法改正に関する自らの提案が全て削除されたとして民主党に同調し,提案の撤回を宣言した。あわせて,国民投票に関する法案を上程,議会制と大統領制の選択および国会総選挙と大統領選挙を同時に実施することの是非を国民投票で問うよう要求した。すると,国会本会議はバトトルガ大統領の提案を拒否した一方,当初提出の憲法改正案の採決に踏み切り,これを可決のうえで,この改正案について国民投票を行うことを決定した。しかし,この決定にバトトルガ大統領が拒否権を行使すると,国会本会議では再可決に必要な3分の2の賛成が集まらず,憲法改正論議はまたもやり直しとなった。

このように二転三転した憲法改正論議が終結したのは11月も半ばに入ってのことであった。審議が長引くなかで,ウランバートルでは国会解散を求めるデモが発生し,民主党は審議への非協力を続けていたが,最終的には民主党所属議員不在の本会議で人民党による憲法改正案が可決され,国民投票も行われないこととなった。バトトルガ大統領はここでも拒否権行使を検討したものの,結局は改正案を受け入れ,同月末にフレルスフ首相,ザンダンシャタル国会議長とともに改正案に署名し,翌2020年5月25日より改正案が施行されることとなった。

新憲法では大統領の任期が従前の4年から6年に変更され,1度のみ認められていた再選が禁止された。また,以前より「重ね着」として批判のあった閣僚と国会議員の兼任については4人まで認めることとなり,裁判官の人事と権利保護を担当する司法総協議会への市民参加なども定められた。このほか,改正案には政党要件の厳格化,国会解散時の本会議での承認の義務化,閣僚人事に関する国会審議の廃止,国家の独立と領土放棄に関して国民投票を実施することの禁止,通常国会の開会日数の下限延長などが盛り込まれた。他方,バトトルガ大統領の改正案に盛り込まれた国会議席数の増員が見送られたほか,国会提出の当初案にあった,司法総協議会が全ての裁判官の任命権を有するとの条項が削除され,最高裁判事を大統領が任命するとの現行憲法の条文が維持されるなど,一部では当初上程された案から内容が後退した。さらに,現行憲法では私有以外の土地と地下および,それらに含まれる資源について国の財産とされていたのが,改正案では国家公共の財産と改められた。あわせて,戦略的価値を有する鉱床の利用に際しては,天然資源が人民の支配下にあるとの原則に従い,その利益の過半を人民に割り当てる旨の条文も追加されている。モンゴルでは鉱業開発が外資主導で進んでいるのに対し,自国の権益拡大や国民への利益配分を求める主張がたびたびなされてきており,改正案はそのような主張に沿ったものとなった。

経 済

堅調な経済成長も,経常赤字と対中国依存続く

2019年の実質GDPは前年比で5.1%の増加となった(Mongolian Statistical Information Database. 以下,2019年の統計数値はすべて予測値に基づく)。ほぼすべての生産部門で生産が拡大したものの,最大の部門である鉱業・砕石の生産のみが前年をわずかに下回ったことで,実質GDP成長率は前年より低下した。そのなかで,前年まで2年連続で拡大していた物価上昇率が縮小したのは,経済にとって好材料である。

貿易面では輸出の柱である石炭の輸出額が2年連続で過去最高を更新しており,輸出総額の3年連続の増加を支えた。反面,燃料や自動車を中心に輸入額も増加した。その結果,2018年に顕著となった経常赤字は,2019年にはほとんど改善されなかった。中央銀行であるモンゴル銀行が公表した国際収支統計によれば,2019年の経常赤字は17億1480万ドルとなり,前年比で7.7%の減少にとどまった。輸出増加に支えられて貿易黒字が2年ぶりに10億ドル台を回復したものの,サービス収支の赤字が依然として大きく,貿易・サービス収支全体の赤字脱却は果たせなかった。また,第一次所得収支の赤字が前年比で20.1%,第二次所得収支の赤字が26.6%それぞれ増加したのも影響した(図1)。

図1  経常収支,貿易・サービス収支の推移

(出所)モンゴル銀行ウェブサイト(http://www.mongolbank.mn/)。

他方,貿易面での中国依存も続いている。政府統計局による統計では,2019年の輸出総額に占める対中国輸出のシェアは89.1%と,前年の93.3%ほどではないとはいえ,依然として極めて高い水準にある。過去10年間で対中輸出のシェアが最低だったのは2016年の79.4%であり,あとは80~90%台で推移している。一方の輸入面では,輸出面ほど深刻ではないにせよ,中国からの輸入が2011年以来シェア最大となっている。中国への依存とそのリスクは積年の懸案事項であるものの,解消される見通しは立ってない(図2)。

図2  対主要国輸出入額の推移

(注)単位:100万ドル。

(出所)Mongolian Statistical Information Database.

カピタル銀行経営破たんとFATFグレーリスト入りの衝撃

2019年の注目される経済事件は,カピタル銀行の経営破たんと,マネー・ローンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)によるモンゴルのグレーリストへの記載であった。4月8日,モンゴルの中央銀行であるモンゴル銀行は,カピタル銀行の業務停止と公的整理開始を発表した。カピタル銀行は民主化直後の1990年に業務を開始した,モンゴルでは老舗の金融機関の1つである。しかし,2014年には社会保障基金からの不適切な資金受け入れの疑惑が持ち上がっており,翌2015年からはウェブサイト上の経営情報公開が不十分との批判が起きるとともに,支払い能力にも疑問が呈せられるようになっていた。公的整理開始時点では,累積損失が3800億トゥグルグに上ったほか,不良債権が2080億トゥグルグと,融資総残高の80%に達すると報じられた。

カピタル銀行の一般の預金者に対しては預金保険が適用されており,大口の預金者への払い戻しも4月中に始まった。しかし,問題となったのが国庫から同銀行への預金であった。フレルバータル蔵相は,カピタル銀行への公的資金の預入金残高が3400億トゥグルグであり,このうち1040億トゥグルグが年金保険基金,1349億トゥグルグが医療保険基金,520億トゥグルグが開発銀行,470億トゥグルグが中小企業開発基金によるものと発表した。このうち,医療保険基金についてはサラントヤー保健相が補償を要求したが,法律上破たんした銀行による補償のうち,政府に対する債務や租税の優先順位は低くなっていることから,資金回収は容易ではない。12月にはチンゾリグ労働・社会保障相とゾリグト社会保障庁長官が記者会見を行い,基金への資金引き揚げが遅れていることを認めている。このような状況のなかで,以前より経営不振が囁かれてきた銀行に公金を預け入れてきたことに対し,疑問が呈せられている。

一方,10月にはFATFがモンゴルを「戦略的欠陥のある地域」に指定,いわゆるグレーリストに記載し,モンゴル国内に衝撃を与えた。この指定によってモンゴルに対する制裁や制限措置は行われないものの,モンゴルは欠陥解消のために作成されたアクションプランの実施を求められるとともに,FATFによる実施状況のモニタリングを受けることとなった。

グレーリスト記載が明らかとなると,オヨー・トルゴイ銅鉱の開発資金調達を不安視する声が上がり,同銅鉱運営会社トーレスCEOが火消しに追われた。また,10月22日に行われた即位礼正殿の儀に参列するため来日したフレルスフ首相は,安倍首相との会談で具体的金融支援を引き出すことができなかった。その原因は,グレーリスト記載にあるとの報道も行われた。また,政府,モンゴル銀行,市中銀行や司法の責任を問う声が相次ぎ,とくにバヤルトサイハン・モンゴル銀行総裁に対しては与党人民党からも責任追及の動きが起こった。その結果,バヤルトサイハン総裁は辞職願を提出し,国会本会議で認められた。

対外関係

ハルハ河戦争(ノモンハン事件)80周年,ロシアとの関係強化

2019年は,モンゴル・ソ連が旧「満洲国」との境界をめぐって「満洲国」・日本と交戦したハルハ河戦争(ノモンハン事件)から80年目にあたる。モンゴルにとっては自国の存立を守り抜いた重要な戦いであり,さまざまな祝賀行事が行われた。また,戦場となったハルハゴル郡では,行政・教育・保健医療などの施設が集中する中心地の再開発に対し,プーチン・ロシア大統領とロシアの国営石油企業ロスネフチ社が援助を行い,9月に完成した。

なかでも,9月初めに政府主催で行われた戦勝80周年祝賀式典は,プーチン大統領も参加する盛大なものとなった。プーチン大統領は式典参加に加えて,バトトルガ大統領と会談を行い,モンゴル・ロシア関係を友好・全面的戦略的パートナーシップに引き上げることで合意し,会談後に関連する条約に相互署名を行った。またプーチン大統領は,フレルスフ首相やザンダンシャタル国会議長とも会談し,モンゴルからの輸出拡大,モンゴル国内の鉄道の設備更新について協議した。

これに先立つ5月には,ゴルジェエフ・ロシア副首相が来訪し,バトトルガ大統領やフレルスフ首相と会談した。会談では,ロシア・モンゴル・中国を結ぶ鉄道とタワントルゴイ炭鉱を結ぶ路線建設,ウランバートル市内発電所の更新工事,家畜保健医療プログラムの実施について協議された。モンゴルからは3月13日から15日にかけてオラーン食糧・農牧業・軽工業相がロシアを訪問,パトルシェフ農相と会談し,貿易不均衡是正とモンゴルからの羊毛,カシミア,皮革などの輸出拡大について協議した。また,8月には恒例となったモンゴル=ロシア合同軍事演習「セレンゲ」が行われた。9月にはバトトルガ大統領がプーチン大統領の来訪終了翌日にウラジオストクを訪問し,同地で開催された第5回東方経済フォーラムに出席した(後述)。12月にはフレルスフ首相が訪ロし,メドベージェフ首相との会談で,ロシア・中国間パイプラインのモンゴル経由計画,ユーラシア経済連合(Eurasian Economic Union:EEU)との統一市場構築構想で合意したほか,メドべージェフ首相からはロシアからモンゴルを経由した新たな鉄道輸送ルートの開発,モンゴル国内の鉄道の設備更新に関する協力可能性についても発言があった。フレルスフ首相は続くプーチン大統領との会談でも,ロシア・中国間パイプラインのモンゴル経由,EEUとの統一市場構築構想への支持を得た。さらに,フレルスフ首相はEEUの執行機関であるユーラシア経済委員会(EEC)のサルキシャン閣僚級会議代表と会談し,モンゴル・EEC間の自由貿易協定締結やそのための作業部会設置について協議した。

これらの出来事は,ハルハ河戦争勝利記念という国民的祝賀行事を機に,モンゴルにおけるロシアの存在感をあらためて印象付けるものとなった。ただし,ハルハ河戦争80周年記念行事への注力が,隣接するロシア・中国以外の主要国との関係を重視する第三の隣国政策と矛盾するという指摘もあり,ロシアへの傾斜を過度なものとして疑問視する向きも存在する。

ユーラシア志向の経済外交の展開と北東アジア国際電力網構想のアピール

2019年には前年同様,バトトルガ大統領を中心とする経済重視の外交が目立った。4月にバトトルガ大統領は中国を訪問し,習近平国家主席との会談で中国からモンゴルへの無償供与プロジェクトの短期的成果や,モンゴル西部からの肉輸出禁止の解除といった二国間の課題とともに,ロシア・中国間の天然ガスパイプラインおよび鉄道輸送,税関の業務時間延長などについても協議した。6月にはキルギスを訪問し,首都ビシュケクで行われた上海協力機構(SCO)首脳会議に出席して演説を行い,そのなかでエネルギー部門およびインフラ整備での国際協力の重要性を強調した。さらに9月になると大統領は,先述の第5回東方経済フォーラムに出席し,モンゴルが提唱しているモンゴル・ロシア・中国3カ国経済回廊構想をアピールした。また,会期中に行われた安倍首相との会談で大統領は縫製・紡績業での協力に期待を表明,一方でモディ・インド首相との会談ではインドの支援によりモンゴルで建設中の石油精製工場の進捗状況を説明した。同月にバトトルガ大統領はインドを訪問,コーヴィンド大統領とともに戦略的パートナーシップ強化に関する共同宣言を発表したのに加え,モディ首相との会談では先述の石油精製工場からのパイプライン建設と,インドからの資金提供で合意した。

これらの機会を含め,バトトルガ大統領は自らが提唱する北東アジアにまたがる国際電力網構想のアピールに努めた。これはバトトルガ大統領が2018年に開かれた第4回東方経済フォーラムで提起した構想で,モンゴル・ロシア・中国・韓国・朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)・日本を結ぶ電力網を構築し,モンゴルからは太陽光・風力や石炭による火力発電で生産された電力を安価に供給するというものである。バトトルガ大統領は3月1日にモンゴル,中国,ロシア,日本,韓国からの参加者を招いてウランバートルで開催された「北東アジア電力統一ネットワーク戦略」計画会議に協賛するとともに,北東アジア統一エネルギーネットワーク構想の意義を強調する開会演説を行った。バトトルガ大統領は4月に中国で開催された「一帯一路」国際協力ハイレベルフォーラムや,先述の習主席との会談,6月のSCO首脳会議に合わせて行われたモンゴル・ロシア・中国首脳会議,9月の第5回東方経済フォーラムでも,構想のアピールに努めた。

他方,モンゴル・ロシア・中国首脳会議では,バトトルガ大統領が3カ国経済回廊構想の遅れを認める場面もあった。また,以前より注目されているSCOへの正式加盟については,バトトルガ大統領はSCO首脳会談での演説で,国内に賛否両論あると述べるにとどめている。

その他の動き

以上のユーラシアを中心とした外交以外では,アメリカとの間での要人往来が注目される。6月にはボルトン米大統領補佐官が来訪し,バトトルガ大統領との会談で,米下院に提出されたモンゴルからの縫製品輸出の関税免除を盛り込んだ「第三の隣国法案」の意義を再確認した。またボルトン米大統領補佐官は,フレルスフ首相との会談では拡大全面的パートナーシップの強化について意見交換を行った。7月末から8月初頭にかけてはバトトルガ大統領が訪米し,トランプ大統領との首脳会談ではモンゴルからの羊毛・カシミアの輸出関税免除について協議した。会談終了後の共同宣言では,インド太平洋における民主主義・経済発展の強化,地域安全保障,BUILD法案(開発のための投資のより適正な利用に関する法案)に基づく手段の行使,国境管理強化,反テロ・人身取引,麻薬取引,ハイレベル会談の継続などが盛り込まれた。さらに,両国関係の戦略的パートナーシップ段階到達も宣言された。8月にはエスパー米国防長官が来訪し,エンフボルド国防相と会談を行った。

日本との間では,先述したフレルスフ首相の来日のほか,6月に河野外相が来訪した。河野外相はフレルスフ首相との会談で経済連携協定の成果拡大について意見交換を行うと,ツォグトバータル外相との会談では,経済連携協定,中小企業支援や環境保護に関する二段階融資,ウランバートル新空港の供用開始と運営,特定技能人材などについて意見交換を行った。ただ,バトトルガ大統領との会談では,モンゴルから日本への輸出について,バトトルガ大統領からカシミア以外の伸び悩みを指摘される一幕もあった。

2020年の課題

2020年の最大の焦点は国会総選挙である。すでに述べてきたとおり,人民党はフレルスフ首相が党内対立をほぼ克服したのに対し,民主党の存在感は低下したままである。第三勢力をみても,人民革命党は選挙法の改正によって過去に贈収賄事件で有罪判決を受けた者の立候補が禁止されたため,党首のエンフボルド元大統領が立候補できなくなるという痛手を負った。さらに,正義市民統一同盟党を含む諸派は議席獲得自体が容易ではない。以上を考えれば,これまで総選挙のたびに政権枠組みが変わってきたモンゴルではあるが,政界再編等がなく,2019年末時点の政治状況が続けば,今回は人民党が勝利して政権が維持される可能性が高い。ただし,中小企業開発基金流用をはじめとする腐敗の問題はくすぶり続けている。新たな疑惑が発覚した場合,情勢は変わり得る。また,どのような政権枠組みになったとしても,バトトルガ大統領との良好な関係構築が課題となる。

また,総選挙の年には有権者の支持をねらったバラマキ政策が行われる可能性が高い。それだけに,経済面ではこれまで抑えられてきた物価上昇率の高騰や,財政・経常赤字の拡大が懸念される。また,FATFグレーリストからの脱却も課題となるが,具体的な対策が講じられるには時間を要するものと見込まれる。

対外関係で目立った動きが現れるのは,総選挙が終了して新政権が成立した後となろう。ただし,バトトルガ大統領が現在の外交路線を大きく変える材料は見当たらない。突発的な出来事がないかぎり,ユーラシア志向の経済重視路線は続くものと見込まれる。加えて,SCOへの正式加盟問題のゆくえ,北東アジア電力網構想や経済回廊構想の実現に向けた具体的な動きの有無も注目される。

(高知大学教授)

重要日誌 モンゴル 2019年
   1月
8日反腐敗庁,ドルリグジャブ元法相・元検事総長を逮捕。
12日オラーン食糧・農牧業・軽工業相,就任。
18日ソンギノハイルハン地区で豚熱発生。
22日ソミヤーバザル鉱業・重工業相,ダボスでの世界経済フォーラム出席(~24日)。
29日国会本会議,エンフボルド国会議長を解任。
   2月
1日国会本会議,ザンダンシャタル内閣官房長官を国会議長に選出。ツォグゾルマー教育・文化・科学・スポーツ相の辞職承認,ソドバータル道路・運輸開発相を解任。
2日国会本会議,オヨーン=エルデネ国会議員の内閣官房長官就任,バータルビレグ国会議員の教育・文化・科学・スポーツ相就任,エンフ=アムガラン国会議員の道路・運輸開発相就任を承認し,閉会。
10日ソミヤーバザル鉱業・重工業相,ニューデリーでの「ペトロテック」石油・天然ガス国際会議に出席(~12日)。
15日ツォグトバータル外相,ミュンヘン安全保障会議出席(~17日)。
20日ツォグトバータル外相,ウィーンでの第18回欧州安全保障協力機構(OSCE)国会議員冬期会合に出席。
25日投資家向けワンストップサービス「インベスト・イン・モンゴリア」開設。
25日第4回モンゴル・中国外務省間戦略的対話,北京で開催。
26日首都住民代表会議,アマルサイハン議長を首都知事に選出。
28日首都住民代表会議,ダグワ議員を議長に選出。
28日ソミヤーバザル鉱業・重工業相,訪英(~3月2日)。ファイアヘッド国際貿易副大臣と会談。
   3月
1日エクスポート・モンゴリア2019,ウランバートルで開催。
3日ソミヤーバザル鉱業・重工業相,カナダ・トロントでのカナダ探鉱者開発者協会主催国際鉱業展示会に出席(~5日)。
10日フレルスフ首相,南スーダン訪問。イッガ副大統領と会談。
12日ザンダンシャタル国会議長,スイス訪問(~15日)。グシェッティ下院議長と会談。
13日オラーン食糧・農牧業・軽工業相,ロシア訪問(~15日)。パトルシェフ農相と会談。
18日臨時国会開会。
21日大手鉱業会社エルデネト社およびモンロスツヴェトメト社の国有化決定。
22日国会本会議,ガンバト少将の参謀本部長任命を承認。
22日第3回モンゴリア・ゴールド会議,ウランバートルで開催。
26日李洛淵韓国国務総理,来訪(~27日)。バトトルガ大統領らと会談。
27日臨時国会閉会。
27日エンフ=アムガラン検察庁長官,解任。
27日ゾリグ最高裁判所長官,辞職。
29日ツォグトバータル外相,訪中(~4月2日)。王毅外交部長らと会談。
   4月
5日春期国会開会。
5日検察庁長官にジャルガルサイハン氏任命。
5日民主党,民主化運動30周年・党創設29周年記念大会開催。
8日モンゴル銀行,カピタル銀行の公的整理を発表。
10日モンゴリア・マイニング2019,ウランバートルで開催(~12日)。
15日第1回モンゴル・中国外務省間政策協議,ウランバートルで開催。
17日チンゾリグ労働・社会保障相,訪日。山下法相と会談。
17日バトツェツェグ対外関係副大臣,アシハバードでのOSCEハイレベル会議に出席。
18日モンゴル・北朝鮮外務省間協議開催。
22日第1回モンゴル・ロシア工業部門協力会合,モスクワで開催。
23日エンフボルド国防相,第8回モスクワ国際安全保障会議に出席。会期中にショイグ・ロシア国防相と会談。
24日バトトルガ大統領,訪中(~28日)。習近平主席らと会談。
24日第5回モンゴル・日本外交・防衛・安全保障当局間協議,東京で開催。
24日モンゴル・米通商協議,第1回モンゴル・米領事級協議,ワシントンで開催。
27日民主党,アルタンホヤグ元首相を除名。
29日ツォグトバータル外相,ベラルーシ・ミンスクでの第2回OSCE議員会議シルクロード支援グループ国際会合に出席(~30日)。
   5月
2日国会本会議,エンフジャルガル反腐敗庁長官解任とダシダワー新長官の任命,ニャムドルジ反腐敗庁副長官解任とバトサイハン副長官任命を承認。
9日バトトルガ大統領,バトスレン最高裁長官を任命。
10日朴明国北朝鮮副外相,来訪。バトツェツェグ対外関係副大臣と会談。
15日ウランバートル市内での原炭使用禁止措置施行。
17日バトフー元国会副議長・民主党副党首,政府宮殿で急逝。
20日ツォグトバータル外相,チェコ訪問(~21日)。ハビシュ首相らと会談。
22日反腐敗庁,サイハンビレグ元首相,ゾルジャルガル元モンゴル銀行総裁,ボロル元蔵相,エルデネバト元国会議員を逮捕。
23日タワントルゴイ=ズーンバヤン間鉄道建設起工。
27日憲法裁判所,ガントルガ前国会議員辞職に伴う補欠選挙実施を差し止める判決。
27日ツォグトバータル外相,バンコクでの第75回国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)に議長として出席(~31日)。
29日ゴルジェエフ・ロシア副首相,来訪。バトトルガ大統領らと会談。
30日第22回モンゴル・ロシア政府間協議,ウランバートルで開催。
30日ザンダンシャタル国会議長,訪日。大島衆議院議長と会談。
   6月
3日オラーン食料・農牧業・軽工業相,訪中。鍾山商務部長らと会談。
5日第6回北東アジア安全保障問題ウランバートル対話イニシアチブ,ウランバートルで開催(~6日)。
5日トランジット・モンゴリア2019,ウランバートルで開催。
6日新党「正義市民統一連盟党」創立大会挙行。バトザンダン国会議員が党首就任。
6日ツォグトバータル外相,シンガポール訪問(~8日)。ヘン副首相兼財務相らと会談。
7日エンフトゥブシン副首相,第23回サンクトペテルブルク国際経済フォーラムに出席。
13日バトトルガ大統領,キルギス・ビシュケクでの上海協力機構首脳会議出席(~14日)。
14日モンゴル・ロシア・中国首脳会談,ビシュケクで開催。
14日ハーン・クエスト2019開催(~28日)。
15日河野外相,来訪(~17日)。バトトルガ大統領らと会談。
20日シーヤールトー・ハンガリー外相,来訪。バトトルガ大統領らと会談。
22日第4回モンゴル・ロシア・中国観光相会談,中国内モンゴル自治区オラーンツァブで開催(~25日)。
23日グシェッティ・スイス国民議会議長,来訪(~26日)。バトトルガ大統領らと会談。
27日布小林中国内モンゴル自治区主席,来訪。フレルスフ首相らと会談。
27日ウチューピン・ベラルーシ工業相,来訪(~28日)。ツォグトバータル外相らと会談。
28日ウランバートル経済フォーラム2019開催。
28日第19回モンゴル・EU合同委員会,ウランバートルで開催。
30日ボルトン米大統領補佐官来訪(~7月1日)。バトトルガ大統領らと会談。
   7月
1日タワントルゴイ炭鉱=ガショーンソハイト国境地点間8.2kmの舗装道開通。
5日春期国会閉会。同日臨時国会開会。
5日ウランバートル新空港完成式典挙行。
5日モンゴル初となるウランバートル新空港=ウランバートル間33.2km高速道路開通。
10日王岐山中国副主席,来訪(~12日)。バトトルガ大統領らと会談。
10日ラム・ベトナム公安相,来訪(~12日)。バトトルガ大統領と会談。
29日「パシフィック・エンジェル2019」国際人道支援演習開催(~8月5日)。
29日シェフトプ・トルコ国会議長,来訪(~31日)。バトトルガ大統領らと会談。
30日バトトルガ大統領,訪米(~8月3日)。トランプ大統領らと会談。
   8月
6日ツェレンバト環境・観光相,訪中。雒樹剛中国文化観光部長と会談。
8日フォミン・ロシア国防次官・上級大将,来訪。バトトルガ大統領らと会談。
8日エスパー米国防長官,来訪。エンフボルド国防相と会談。
12日ツェレンバト環境・観光相,サウス・ゴビ・コール・トランス社の鉱物利用特許取り消しを発表。
15日モンゴル・ロシア合同軍事演習「セレンゲ=2019」開催(~27日)。
17日ジャパン・フェスティバル2019,ウランバートルで開催(~18日)。
17日ボアオ・アジア・フォーラム・ウランバートル会議開催(~21日)。
24日トソンツェンゲル=オリアスタイ間114.2km舗装道供用開始。
   9月
2日プーチン・ロシア大統領来訪(~3日)。バトトルガ大統領らと会談。
3日ハルハ河戦争(ノモンハン事件)戦勝80周年記念式典挙行。
4日バトトルガ大統領,ウラジオストクでの第5回東方経済フォーラム出席(~6日)。
5日第9回コール・モンゴリア2019,ウランバートルで開催(~6日)。
6日エンフトゥブシン副首相,訪中。白瑪赤林全人代常任委員会副委員長と会談。
9日「ゴビの狼=2019」国際軍事演習,ドルノゴビ県で開催(~25日)。
10日反腐敗庁,ドルジハンド自動車道路運輸政策実施調整局長を逮捕。
12日最高裁,正義市民統一同盟党を政党登録。
19日バトトルガ大統領,インド訪問(~23日)。コーヴィンド大統領らと会談。
20日ソミヤーバザル鉱業・重工業相,訪日(~21日)。大島衆議院議長らと会談。
24日反腐敗庁,エルデネス・モンゴル社エルデネビレグ筆頭副社長を拘束。
24日ツォグトバータル外相,第74回国連総会一般討論出席(~30日)。会期中にトランプ米大統領らと会談。
27日ICTエキスポ2019,ディスカバー・モンゴリア2019,ウランバートルで開催(~29日)。
30日臨時国会閉会。
30日ガンバト参謀本部長,辞意表明。
30日クベラ・チェコ上院議長,来訪(~10月2日)。バトトルガ大統領らと会談。
  10月
1日秋期国会開会。
1日ツォグトバータル外相,ロシア・ソチでの第16回ヴァルダイ国際討論クラブ出席(~3日)。
2日反腐敗庁,ガンバト元道路・運輸開発相を逮捕。
4日ガンゾリグ参謀本部長就任。
8日プラダン・インド石油・天然ガス相,来訪。ドルノゴビ県アルタンシレー郡で建設中の石油精製工場のインフラ完成引渡式出席。
9日エキスポ・モンゴリア2019,ウランバートルで開催。
9日国営モンゴル鉄道新最高経営責任者にバトスフ副社長が就任。
11日フレルスフ首相,カザフスタン訪問(~12日)。マミン首相らと会談。
18日マネー・ローンダリングに関する金融活動作業部会(FATF),モンゴルを「戦略的欠陥のある地域」に指定。
21日フレルスフ首相,訪日(~23日)。安倍首相らと会談。
21日エンフボルド国防相,訪中。魏鳳和国防部長と会談。
24日ツェレンバト環境・観光相,大阪でのツーリズムEXPOジャパンに出席。
28日エクスポート・モンゴリア2019,ウランバートルで開催(~30日)。
29日外国人登録庁および警察庁,電子詐欺容疑で中国国民758人を検挙,拘束。
30日モンゴル経済フォーラム2019,ウランバートルで開催。
  11月
7日駐上海モンゴル国総領事館開設。
8日国会本会議,ロシア大使,国連大使ら大使6人の交代を承認。
13日2020年度予算,国会本会議で可決成立。
14日国会本会議,憲法改正案可決。
15日ソンギノ=ヒャルガス湖間135.7km舗装道路開通。
18日首都行政初級裁判所,オヨー・トルゴイ銅鉱投資契約締結に関する首相命令を無効とする判決。
18日トソンツェンゲル=ソンギノ間167km舗装道,供用開始。
20日国会本会議,オヨー・トルゴイ銅鉱契約改正に関する決定を可決。
20日国会本会議,バヤルトサイハン・モンゴル銀行総裁の辞職承認。
21日憲法裁判所,オドバヤル憲法裁判所長官の長官辞職承認。判事としては留任。
21日国会本会議,モンゴル銀行総裁にルハグワスレン副総裁を任命。
26日憲法改正案署名式挙行。
  12月
2日バータルビレグ教育・文化・科学・スポーツ相,訪中。陳宝生教育部長らと会談。
3日フレルスフ首相,ロシア訪問(~6日)。プーチン大統領らと会談。
4日エンフボルド国防相,訪日。河野防衛相と会談。
5日ツォグトバータル外相,スロバキア・ブラチスロヴァでのOSCE閣僚級会合に出席(~6日)。
18日インベスト・イン・モンゴリア,東京で開催(~22日)。

参考資料 モンゴル 2019年
①  国家機構図(2019年12月末現在)

(注)1)国家元首。政党の推薦を受け国民の直接選挙で選出,任期4年。大統領資格は45歳以上,選挙前5 年以上継続して国内に居住したモンゴル国籍の者。2)国家最高機関。定員76人。任期4 年。議員資格25歳以上。首相以下の閣僚を選出。定例年2回,1回75日以上。3)最高裁長官,検事総長は国家大会議議決を経て大統領が任命。4)任期4年。5)アイマグ(県),首都の知事は地方議会の提案で首相が任命。ソム(郡),地区などの首長は上部アイマグ,首都知事が任命,任期4年。6)憲法裁判所判事は,大統領と最高裁判所が推薦し,国会が任命。

②  政府・国会要人名簿(2019年12月末現在)

主要統計 モンゴル 2019年
1  基礎統計

(注)1)暫定値。2)各年12月時点の対前年同月比。3)モンゴル銀行12月31日公表値。

(出所) Monthly Statistical Bulletin,2016年12月号,Socio-economic Situation of Mongolia,2017年12月号,2019年12月号,モンゴル銀行ウェブサイト( http://www.mongolbank.mn/)。

2  支出別国内総生産(名目価格)

(出所)Mongolian Statistical Information Database(http://www.1212.mn)。

3  産業別国内総生産(実質:2010年価格)

(注)1)暫定値。

(出所)表2に同じ。

4  家畜頭数

(注)1)暫定値。

(出所)Mongolian Statistical Information Database(http://www.1212.mn),Socio-economic Situation of Mongolia, 2019年12月号。

5  国際収支

(注)1)暫定値。

(出所)モンゴル銀行ウェブサイト(http://www.mongolbank.mn/)。

6  主要国別貿易構成比(2019年)1)

(注)1)暫定値。

(出所)Mongolian Statistical Information Database(http://www.1212.mn).

7  主要輸出品

(注)1)暫定値。

(出所)Mongolian Statistical Information Database(http://www.1212.mn).

8  主要輸入品

(注)1)暫定値。

(出所)表7に同じ。

 
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