2021 年 2021 巻 p. 491-514

2020年のネパールは不安定な政局が続いた。与党ネパール共産党(NCP)内の人事などをめぐる派閥争いから,7月に58日の会期を残したまま首相の独断で連邦議会が閉会された。中国による複数回にわたるオリ首相派閥とダハール共同議長派閥,および,第3のネパール派閥との間の仲裁もむなしくNCPは分裂し,12月20日に代表議会(連邦議会下院)が解散した。
経済面は,3月半ばまではインフレ率,国際収支,外貨準備高,投資において改善がみられたものの,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延による世界経済低迷の影響を受け,年間の実質国内総生産(GDP)成長率は2.27%(基本価格ベース)に大幅に低下した。
対外関係については,2019年末から続くインドとの国境問題がより深刻化し,5月にはネパールが係争地を記した新国章を制定する等,両国関係は危機的な状況となった。8月にオリ首相がインドの独立記念日の祝辞をモディ首相に伝えたことを契機に話し合いの道筋がつくられると,10月と11月にインドの外交関係者や軍関係者が来訪し,12月には2日間の日程でギャワリ外務大臣が訪印しハイレベルの協議が行われることになった。しかしながら,国内の政治問題への対応を迫られ,ギャワリ大臣の訪印は2021年に延期された。他方,中国はネパール共産党の分裂回避のために積極的な働きかけを行い,ネパール政治への関心の強さを印象づけた。
2020年1月23日に,3月に任期満了を迎える19人の国民議会議員のうち18議席を争う選挙が実施された。結果は,18議席のうち16議席を与党ネパール共産党(NCP)が,2議席を国家国民党ネパール(RJP-N)が獲得した。ネパール会議派(NC)と社会主義党ネパール(SPN)は議席獲得とはならず,NCは第1州,第2州,バグマティ州,ガンダキ州,第5州(現ルンビニ州),そしてスドゥールパシュチム州で敗れ,改選前より7議席を失った。これにより,59議席のうち,NCPが50議席,NCが6議席,RJP-Nが2議席,SPNが1議席を占めることになった(表1)。

(出所)Nepali Sansar(https://www.nepalisansar.com/government/nepal-national-assembly-election-results-released/).
大統領の指名によって決まる1議席については,9月17日にNCPのバムデブ・ゴウタムが指名された。ゴウタムは,後述するオリ首相とダハール共同議長との和解につながった「9月11日の決議」の立役者である。9月21日,ゴウタムが2017年の選挙で落選していること,落選者を議員に指名することは憲法に違反し民主主義を蝕む恐れがあることを理由に,法律家から指名の無効ならびに閣僚に任命しないよう求める申し立てが行われ,後者を認める仮処分が出された。しかし,11月11日,最高裁判所に設置された憲法裁判所は法律家らの意見を退ける判断を示し,ゴウタムが議員の座に留まるとともに閣僚になる道を開いた。憲法第78条4項では,落選した者が閣僚になることができないと規定しているのに対し,第76条9項では,閣僚は連邦議会の議員から選出されるとある。憲法裁判所は後者に依拠し,選挙で落選しても指名により議員になれば閣僚に就任できると判断したようだ。ゴウタムはNCP副議長であり,党内派閥争いの解決にとっても重要な人物であるため,政治的判断が働いたとの見方がある。
党内で高まるオリ首相への批判2018年5月17日にネパール共産党統一マルクス・レーニン主義(CPN-UML)とネパール共産党毛沢東主義センター(CPN-MC)との統合によって誕生したNCPは,2018年中に実現できなかった下部組織の統合を2019年1月半ばまでに行うことを目標とした。しかし,2019年に入っても,下部組織の統合は幾度となく延期され,同年12月の常任委員会で2020年1月8日の中央委員会にて統合することが決定された。
しかし中央委員会は,23日に予定されていた国民議会選挙の準備を理由に29日に延期された。1月29日から2月5日に開催された中央委員会では,15日以内に下部組織の統合を図ること,3カ月にわたって末端の統合をはかる全国キャンペーンを実施することが決まった。しかし2月11日にオリ首相とダハール共同議長が下部組織の統合について意見交換を行なったものの,進展はなかった。
4月20日に党内の亀裂を世間に印象付ける出来事が起きた。党内での議論を経ずにオリ首相が政党法(The Political Parties Act)の改正と,憲法で定められている憲法評議会での手続きを変更する条項を大統領に承認させたのである。憲法評議会は政府委員会や最高裁判所判事,大使等の要職者を推薦する役割をもっている。当時,同評議会の推薦を必要とする38のポジションが空席になっていた。法改正前は,政党の分離にあたっては院内政党と党の中央委員会双方における40%の支持獲得が必要だったが,改正後はどちらか一方で40%の支持が得られればよいこととなった。現地メディアはこの改正について,ダハール共同議長と軋轢を抱えていたオリ首相が党内で影響力を保持するねらいがあったと報じた。NCPの中央委員会のメンバー445人に占める旧CPN-UMLと旧CPN-MCの割合は60対40であった。連邦議会では174議席中,旧CPN-UMLが121議席,旧CPN-MCが53議席となっている。しかしながら,オリ首相に不満を抱える旧CPN-UMLのマダブ・クマール・ネパール,ジャラ・ナート・カナル,バムデブ・ゴウタムがダハール共同議長に寝返ると首相の立場は危うくなる。分党を容易にすることで,それを避けたいダハール派の動きを抑えるねらいがあったとみられている(The Kathmandu Post,2020年4月20日)。
改正前の憲法評議会は,首相以外に最高裁長官,代表議会議長・副議長,国民議会議長,主要な野党リーダーから構成され,その定足数を4としていた。しかし改正後には3に変更され,野党リーダーや議長の出席なしに成立させることを可能にした。ダハール共同議長に近いとされるサプコタ代表議会議長が憲法評議会を欠席していることへの対抗策とみられる。こうしたオリ首相の独裁的な判断に党内外から批判が噴出し,4月23日に改正は撤回された。
6月24日に開催された第1回の常任委員会で,オリ首相とダハール共同議長との対立が鮮明になった。会合でダハール共同議長は,自身の保身のために失策が続くオリ政権を強く批判し,首相とNCP議長からの辞任を求めた。首相の5年の任期を半分ずつ分け合うという提案があったにもかかわらず,オリ首相に譲歩したことが誤りだったとも述べた(Online Kabaar,2020年6月25日)。オリ首相は,「政権の不振は党内の協力不足による」と切り返し,ダハール共同議長とオリ首相との対立を引き起こした旧CPN-UMLのネパールを批判した。当初,常任委員会では,コロナ対応,インドとの国境紛争,政府の評価,下部組織の統合,ミレニアム挑戦公社によるネパール・コンパクト,カースト差別に由来するルクムの虐殺事件に端を発した人権問題への取り組みを話し合うはずだった。しかし,これらが議論されることなく非難の応酬で終わった。オリ首相は6月26日の会合を欠席した。
6月30日,ダハール共同議長とネパール,カナル,ゴウタムらの3人と,44人の常任委員のうち30人の委員がオリ首相に首相と議長を退くよう要望した。一方オリ首相は同日,バンダリ大統領と面会し,連邦議会の予算会期の閉会について議論した。7月2日にオリ首相は急遽閣僚会議を招集するとともに,その場で閉会を決定し,即日に大統領に承認を求めた。バンダリ大統領はそれを承認し,7月2日の午後5時をもって代表議会と国民議会は閉会した。オリ首相が自身への不信任決議を回避するねらいがあったとみられている。
7月2日,ダハール共同議長はオリ派閥のリーダーと面会し打開策を模索した。6日と7日,ダハール共同議長とオリ首相は2時間ほど会合をもち,延期されていた常任委員会が8日に開催されることになった。しかしながら,首相の座や党の議長続投の話し合いは平行線をたどり,常任委員会も延期された。常任委員会は,複数回延期を繰り返し9月11日に再開された。同委員会は,8月に組織されたタスクフォースの報告に基づいた特別な決議案を通過させて幕を閉じた。決議では,オリ首相の任期を保障するとともに,ダハール共同議長に対しては,党の会議を招集し実施する権限を認めた。また,派閥に配慮した政府要職の配置についての合意も含まれていた。終了後の会見で,ギャワリ外務大臣は,「党内の論争は終わり,統合が強化された」と述べた(The Hindu,2020年9月11日)。
こうしたなか,党の形勢に影響を与えなかったものの,6月26日にオリ首相に近いとされていたティワリを筆頭に21人が離党し,ネパール共産党統合前の「ネパール共産党統一マルクス・レーニン主義」(CPN-UML)の名前で新党を結成した。同党は8月19日に選挙管理委員会に登録された。
ネパール共産党分裂と議会の解散,2021年春の代表議会選挙へ9月20日から22日にかけて9人の書記局メンバーの会合がもたれ,内閣改造を含んだ政府機能の充実,党内の各派閥への権力の分配,国家女性委員会やムスリム委員会等の要職について話し合われた。オリ首相とダハール共同議長は9月27日以来頻繁に会合をもち,各派閥に配慮した要職の配置について意見を交わした。しかし,10月1日の大使人事,14日の内閣改造は,事前にダハール共同議長に相談なくオリ首相の独断でなされた。内閣改造では,国民議会での任期が切れるカティワダ財務大臣に代わり,オリ首相の腹心であるビシュヌ・ポウデルが指名されたほか,いずれもオリ派閥に属するパルバト・グルン女性・子供・高齢者大臣が通信・情報・技術大臣に,クリシュナ・ゴパール・シュレスタが都市開発大臣に指名された。側近であるアイシュワル・ポカレル国防大臣は,国防大臣から外されたものの副首相の座に留まった。ポカレル大臣の解任は,11月4日に領土問題の話し合いのために来訪を予定していたインドのMM・ナラバン陸軍参謀総長に配慮したものといわれている。ポカレル大臣は,ナラバン陸軍参謀総長の来訪に反対していた。
内閣改造によってダハール共同議長とオリ首相との関係は再び悪化した。ダハール共同議長はオリ首相との面会を拒み膠着状態が続いた。10月28日から30日にかけてオリ首相の側近が代わる代わるダハール共同議長のもとを訪問し状況の打開を目指した。しかし,状況は好転せず,10月31日の電話会談は,怒鳴りあいの口論に発展したという。11月3日にナラヤン・カジNCPスポークスマンは「11月2日にもたれたオリ首相とダハール共同議長の電話会談では,オリ首相より,党内の反発に耐えられないので,友好的に分党しようという提案があった。それに対しダハール共同議長は反対し,すべての問題を党内で議論すべきだとしたが,オリ首相は会議の招集を断った」と取材に対し述べた。11月13日に事務局会議が開催され,ダハール共同議長より19ページにわたる文章が提出された。そこには,「オリ首相が,自ら自己批判を行うことにより,党の結束,憲法,連邦民主共和国の維持に寄与することを望む。政権運営に失敗したのであれば党則に則り3年で首相の座を退くことを求める」旨が記されていた。党内での基盤を失ったオリ首相は,11月21日に国会での支持を模索してか野党NCのデウバ党首と会談した。28日にオリ首相は,38ページにわたる反論を提出するとともにダハール共同議長に文書の撤回を求めたが,党はダハール共同議長の文書を議題として正式に取り扱うことを決定した。12月6日の常任委員会で両者の文書が議題となって以降,オリ首相は党のあらゆる会合を欠席するようになった。
他方で,オリ首相は,国会を閉会したまま「同時代の全国的な政治問題」を議論するために超党派の会議を8日に招集した。超党派の会議はインドとの領土問題を議論するために5月に開催されて以来7カ月ぶりとなる。与党の分裂危機が増すなかで,王党派の国民民主党ネパール(RPP)の支持者らが王政復古とヒンドゥー国家樹立を求めて12月4日にバグマティ州都ヘトウラで,5日にカトマンドゥで,活動を展開したことへの対応とみられている。
オリ首相は12月10日,13日からの憲法評議会を招集した。しかし,13日に憲法評議会開催条件となるサプコタ代表議会議長と野党NCのデウバ党首の出席はかなわなかった。15日に再び招集されたが,サプコタ代表議会議長は再度出席せず,オリ首相は代表議会議長が出席しなくても成立要件を満たすように憲法評議会の定足数を定めた憲法評議会法第6条3項の改正を行う首相令の発令に再度踏み切った。しかし16日に党内外から首相令に対する猛烈な批判を受け,オリ首相は首相令の撤回を表明した。ところが,17日に撤回のための閣議は開かれなかった。首相令撤回の実行性への疑念が増す中で,19日にオリ首相は,ダハール議長と和解のための会合をもった。その席で,ダハール共同議長に対し,11月に提出した19ページの政治的文書の取り下げと引き換えに首相令撤回を実行することをもちかけたが,和解には至らなかった。同日ダハール派は党内でオリ首相の懲戒処分を求めたが,オリ派閥がそれを拒否した。
党内で孤立を深めたオリ首相は12月20日に代表議会の解散を決定し,バンダリ大統領がそれを承認した。そして4月30日および5月10日に代表議会選挙を行うことが発表された。これに抗議し,同日ダハール派の7人の大臣が辞任を発表した。解散の決定については「無責任」という抗議の声が上がったほかに,法律の専門家や市民活動家等から憲法違反の可能性が指摘された。憲法では,5年以内に議会を解散できる条件を「絶対多数獲得政党のない議会」に規定しており,与党が3分の2を占める状態はそれにあたらないとする。
12月21から22日にかけて,議会解散の無効を訴える12以上の申し立てが最高裁判長に提出された。また,カトマンドゥを含む10都市で大規模な抗議活動が展開され,逮捕者も出た。22日にオリ派とダハール派がそれぞれ「正真正銘(authentic)のネパール共産党」を名乗り,個別に中央委員会を開催して党は事実上分裂した。現行法では,党の名称とシンボルを継承し存続させる決定は,中央委員会の40%,党員の40%の支持が必要になる。その手続きに必要な,党の中央委員の名簿を各派閥が作成し選挙管理委員会に提出した。また,ダハール派は,共同議長からオリ首相を外し,ネパールを新たに選出した。他方,オリ派閥の中央委員会では,党のスポークスマンからナラヤン・カジを外し,ギャワリ外務大臣を選出した。一方24日にはダハール派閥に属し,かつてダハール共同議長とともに「人民戦争」を指揮したラム・バハドゥール・タパがオリ派閥に参加することを表明した。
オリ首相は12月25日に内閣改造を行い,議会解散に抗議して辞任した大臣7人の空席を含む15ポストの人事を発表した。ダハール派からオリ派に合流し新たに大臣に就任したトップ・バハドゥール・ラヤマジエネルギー・水資源・灌漑大臣,マニ・タパ水供給大臣が含まれている。ラム・バハドゥール・タパ内務大臣,レク・ラジ・バッタ産業・商業・供給大臣は,ダハール派からオリ派に合流し大臣の座に留まった。
12月26日,7月以来閉会されていた議会を2021年1月1日に再開することが決定された。分党の可否をめぐる選挙管理委員会の判断は2021年に出される。
新型コロナウイルス感染症への対応保健・人口省が12月31日に発表したHealth Sector Response to COVID-19(16 Poush 2072)によれば,同日までの新型コロナウイルス感染者数は26万593人,死者は1856人に達した。性別の内訳は男性が65.1%,女性が34.9%と男性の割合が女性に比べ高かった。また,カトマンドゥ,ラリトプル,バグタプルの3地域が46%を占めた。
新型コロナウイルスへの政府の対応は早かった。1月29日に政府は,中国との主要な交易拠点であるラスワガディ国境を封鎖した(7月6日に解除)。同日,ヒマラヤ航空が2月7日よりカトマンドゥ=中国間の全航空路線の当面の運休を発表した。3月2日には,感染者数の増加がみられた日本,中国,韓国,イタリア,イランの5カ国の国籍保有者に対する到着観光ビザの発給を10日より一時的に停止することを決定した。また政府は3月20日に,22日から31日までの間,感染拡大の予防措置として,ネパール発着のすべての国際線運航の停止を決定した。
しかし3月23日に2例目の感染者が出ると政府は,24日午前6時から31日まで,全土でロックダウン(都市封鎖)を行うことを決定した。3月31日には「Visit Nepalキャンペーン」の一時中止も発表された。ロックダウンは6月10日までに7回の延長が行われた。そして,6月15日よりロックダウン緩和措置の第1段階に移行し,(1)食料品の購入など,基本的生活に必須な外出,(2)電気,通信,ゴミ収集,病院など基本的生活に必須なサービスの提供,(3)緊急な用務および基本的な生活物資の運搬業務が認められることになった。この措置は7月22日まで続いた。
ところが8月に入っても感染が終息せず,8月10日に政府は,17日から予定していた国際線,国内線フライトおよび長距離移動バスの再開について,31日まで延期することを決定した。国際線の一部は9月2日から再開された一方,国内線フライトの運航および長距離移動バスの運行停止が解除されたのは9月21日だった。
地方レベルでは,各郡が行動規制を実施した。カトマンドゥ盆地では,8月20日深夜より,(1)基本的生活に必須な外出,(2)基本的生活に必須なサービスの提供,(3)緊急な用務および基本的な生活物資の運搬業務以外は制限されることになった。9月17日に行動規制の無期限延長が決定された一方で,ホテル・レストランのサービスや一部店舗を除く全店舗の営業が再開し,カトマンドゥ盆地内への車両の通行が許可され,ナンバープレート末尾の数字を用いた盆地内での車両規制の一部緩和が実施された。盆地内の行動規制は,最終的に12月18日より解除された。
政府がネパール暦2077年ジェト(2020年5月)に発表した経済白書(2019/20)によれば,2019/20会計年度の3月半ばまでのマクロ経済指標は,インフレ率,国際収支,外貨準備高,投資において改善がみられた。過去3年間のGDP成長率の平均は7.3%で,本会計年度においても安定的な経済成長が期待されていた。しかし,新型コロナウイルスの蔓延による世界経済の低迷に起因して,2019/20会計年度におけるGDP成長率は,2.27%(基本価格ベース)と推計された。産業別の成長率は第一次産業が2.5%,第二次産業が3.4%,そして第三次産業が2.0%であり,GDPへの寄与率はそれぞれ28.2%,13.7%,58.1%となっている。消費者物価上昇率は,2019/20年度3月半ばまでの平均が6.5%で,前年同時期の4.2%より2.3ポイント上昇した。
2019/20年度最初の8カ月間の輸出は22.3%増加し,輸入は2.6%減少した。輸出については,ヤシ油,カルダモン,アーユルベーダ医薬品,ハーブ,ジュートが増加する一方で,波板,ワイヤ,既製服,ジュース,銅線などは減少した。輸入については,生ヤシ油,化学肥料,熱間圧延板,生大豆油,機械製品,機械部品が増加したのに対して,軟鋼ビレット,運搬用車両および部品,石油製品,セメントは減少した。同期間の貿易赤字は4.3%減少し,送金は約52億4300万ドルで,前年同時期と比較して1.8%増加した。
主要貿易相手国であるインドと中国への同期間の製品輸出は,それぞれ35.5%増,19.4%減となった。一方でインドと中国からの輸入は,それぞれ7.5%減,5.5%減となった。
新型コロナウイルスの経済への影響世界銀行が10月8日に刊行したSouth Asia Economic Focus, Fall 2020: Beaten or Broken? Informality and COVID-19によれば,2020年のネパールの経済成長率は0.2%と予測されている。新型コロナウイルス感染症拡大に起因するロックダウンが経済活動,とくに観光産業に与えた影響を勘案しての結果だという。そして2020/21年度の経済成長率を,ベースラインシナリオでは0.6%と推計した。期待できる要因として,タマコシ水力発電による電力の安定供給による産業部門の成長や,良好なモンスーンによるGDPの約30%を占める農林業部門での生産向上,個人消費を挙げた。一方で,懸念事項として,国内外の製品需要の低迷,農林業部門での肥料や労働力の不足,投資の低迷が指摘された。新型コロナウイルス感染症が収束せず,十分な経済的救済措置がとられない場合の悲観的なシナリオでは,経済成長率は0.1%に落ちこむとされた。ネパールの企業のおよそ半分を占めるインフォーマル・セクターは,農村家庭よりもロックダウンによる経済活動の制限の影響を受けやすく脆弱である。しかし,有効なワクチンが入手可能になるならば,経済成長率は2%に回復するとも見込まれている。
同報告書は,ネパールを含む南アジアの各国政府に対し,経済回復のための国内外の資金調達,ユニバーサルな社会保障,生産拡大や人的資源・能力開発の支援を推奨した。長期的には,デジタル・プラットフォームへのアクセスやオンライン・プラットフォームの改良等がインフォーマル・セクターに従事する労働者の雇用機会を創出するとしている。
なお7月1日に世界銀行は,ネパールを低所得国から下位中所得国へ格上げした。1人当たりの国民総所得(GNI)が2019年に1090ドルに達し,下位中所得国の基準である1036ドルを超えたことによるものである。
新型コロナウイルス感染症への南アジア地域協力連合(SAARC)域内の連携は早かった。「世界の総人口の約4分の1を占める南アジアでの公衆衛生インフラストラクチャーの脆弱性に起因する大規模な病気の蔓延は破壊的である」という懸念から,インドのモディ首相の呼びかけで,3月15日に5年ぶりにSAARC加盟国の首脳会議がテレビ会議形式で開催され,コロナ対応について意見が交わされた。モディ首相は域内での緊急基金の創設を提案し,1000万ドル(約10億円)の拠出を表明するとともに,共通の調査プラットフォームやポータル・サイト作り,オンライン訓練,インドの医療チーム派遣,検査キットや機材の提供等を提案した。オリ首相は,腎臓移植手術のために入院していたトリブバン大学教育病院を13日に退院したばかりであったが,テレビ会議に参加し,到着時の観光ビザの発給停止,エベレストを含む登山遠征許可の停止と労働許可証の発行の停止を含めた予防手段を発表した。
深刻な領土問題に発展したインドとの関係2019年末から続くインドとネパールの領土問題は,「1997年以来の大きな危機」に発展した。問題は,2019年11月2日にインドが発表した政治地図において,両国の係争地のカラパニがインド領として記載されたことに端を発する。同地区は,1816年のスガウリ条約に基づき,ネパールの領有が主張されていた。同条約ではカリ川を境界に用いたが,カリ川の水源について両国で合意がなされておらず長年係争地になっていた。2019年11月6日のネパール側の抗議を受け,12月19日にインド側は外交ルートを通じて問題の解決を図る準備があることを示したものの2019年内に協議は行われず,2020年にもち越されていた。
2020年5月8日,インドがカラパニ谷の最上部にあるリプレク峠に至る全長80キロメートルの道路を開通させたことを発表した。インドは,1962年の中印国境紛争以降このルートを封鎖していたが,22キロメートルの道路建設に加え,カイラス・マナサロワールに抜けるリプレク・パスを再開した。9日にネパールはプレスリリースを出しインドに抗議したが,インドは「完全にインド領内にある」と主張した。11日にネパール政府は,インドのビナイ・モハン・クワトラ駐ネパール大使を呼び抗議し,対話を通じて解決を図ることが両国で確認された。インドのメディアが「ネパールの抗議は中国の影響によるものだ」と報じたことに対し,India Today TVに出演したギャワリ外務大臣は,「ネパールは他国のいかなる干渉も許さない」と強く否定した。また同大臣は,「インドと中国は(ネパールにとって)ともに良い隣人である」とも述べている(India Today,2020年5月14日)。
5月20日,ネパール政府は1970年代にインドとの間で係争地になったリンピヤドゥラを含んだ新しい政治地図を発表した。ネパールはカラパニとリプレクを自国の政治地図に含めてきたが,リンピヤドゥラについてはインドとの協議後に記載するとしていた。2日後には,国章においてネパールの政治地図を反映させるために憲法の別表3「紋章」の改正案を国会議事日程に登録した。
5月31日,トゥンバハンフェ法務・司法・国会大臣は,地図の改正に伴う憲法改正案を議会に提案した。6月13日の代表議会,18日の国民議会は,インドとの係争地を含む新しい政治地図とそれが描かれている新しい国章を変更するための憲法改正を承認した(図1)。

(注)右がネパールの新国章。左がインドと領有を争っているカラパニ,リプレク,リンピヤドゥラ地域。
(出所)左:The Kathmandu Postなどを基に筆者作成。右:Nepal emblem alternative(CAPTAIN MEDUSA,CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons).
両国関係は膠着状態が続いていたが,8月15日にオリ首相が,74回目のインド独立記念日ならびに6月の国連安全保障理事会でインドが非常任理事国に選出されたことへの祝意を伝えるためにモディ首相に電話をかけ,話し合いの道が開かれることになった。8月17日に両国のハイレベルの話し合いが第8回ネパール-インド監督メカニズム(Oversight Mechanism:OSM)で行われた。シャンカル・ダス・バイラギ外務長官とインドのビナイ・モハン・クワトラ駐ネパール大使が共同議長を務め,領土問題を審議し,解決を実現させることに合意した。なおOSMは,両国のプロジェクトが計画期限内に完遂されることを監督する目的で2016年9月にネパールの提案で設置されたものである。
10月21日には,外交問題を扱うインド研究分析局のサマンタ・クマール・ゴヤール長官が,11月4日にはMM・ナラバン陸軍参謀総長が,そして11月26日にはハーシュ・バルダン・シュリングラ外務次官が相次いで来訪し,両国の関係改善のために政治家や政府高官らと会合をもった。しかし,領土問題について意見は交わされたものの,会合の公式議題にはならず,開発プロジェクトや二国間関係についてのみ話し合われた。ネパール政府は,2018年に専門家会議(Eminent Persons Group)が提出したものの検討されずに保留されている報告書を取り上げることを要望したが,インド政府から具体的な対応を引き出すことはできなかった。専門家会議は,2016年に,今日の両国の外交関係の基礎となる1950年のインド・ネパール平和友好条約を含む両国の条約や協定を整理することを目的に両国政府によって設置されたもので,両国の専門家によって構成される。2018年に提出された報告書では,インド・ネパール平和友好条約がラナ専制下のネパールによって締結されたこと,インドに有利な不平等条約であることを勘案し,不平等にあたる条項2,5,6,7を修正して再締結することを提言した。
12月22日と23日の日程でギャワリ外務大臣が,インドのスブラマニヤム・ジャイシャンカル外務大臣の招待でニューデリーを訪問することになっていた。しかし,20日にバンダリ大統領が閣議の勧告を受け連邦議会下院の解散を決定し,それに反発した7人の閣僚が辞任するなど,国内政治が混迷を極めるなかで(「国内政治」の項参照),ギャワリ外務大臣はオリ派のスポークスマンに任命され,インド訪問は延期された。領土を含め両国間に存在するさまざまな問題の解決は翌年にもち越されることになった。
ネパールへの関与を強める中国領土問題などを含め両国間にはさまざまな問題がある一方で,中国はネパールへの関与を強めている。2020年でとくに注目されるのは,中国によるNCP内紛の調停である。
2月18日に駐ネパール中国大使館は,中国の独裁的な統治システムがCOVID-19の蔓延を悪化させたという記事を100元紙幣の毛沢東がマスクをする挿絵とともに掲載した『カトマンドゥポスト』紙の記事を猛烈に批判する抗議文を出した。それに対して,「表現の自由および言論・出版の自由のネパールのメディア友愛会」(Nepal’s Media Fraternity and Proponents of A Free Press and Freedom of Expression)とその支持者が,「報道の自由を侵害し外交上の儀礼を破る」として異議を唱えたほか,政府高官や政治指導者も懸念を表明した。
9月,中国による領土侵犯疑惑が報じられた。20日,西ネパールのカルナリ州フムラ地区ラプチャ・リミ村のビシュヌ・バハドゥール・ラマ村議会議長が,定期的な巡回中に中国人民解放軍がネパール領土内に約2キロメートルにわたり建設したと疑われる9棟の建物を発見し,チランジービ・ギリ・フムラ地区最高責任者に報告した。ラマ議長は,建物がある地域に行くことを中国側によって妨げられたという。ニュース・チャンネルWION(World is One News)によるインタビューのなかで,ラマ議長は写真を公開した。23日,定例記者会見でギャワリ外務大臣は,メディアの報道は真実ではないとしながらも,確認のために調査チームを派遣したと述べた。同日,カトマンドゥの中国大使館前では,抗議活動が行われた。11月3日にネパール政府は,中国政府とともに領土侵犯はないと発表した。これに対し,独自に調査団を派遣し領土侵犯を非難していた野党NCは,政府の対応に懸念を表明した。
一方,中国はNCP内の対立を解決するために調停に乗り出した。4月30日,中国の侯艶琪駐ネパール大使はオリ首相と会談し,翌5月1日にはオリ首相と対立していたダハール共同議長ならびにNCPのリーダーのネパールとも面談を行った。関係筋によれば,(1)NCP内の対立の解決,(2)新型コロナウイルス対応への支援,(3)新型コロナウイルス蔓延の責任を中国に求める国際世論に対抗するための中国への支持の3点について話し合われたという。中国にとってネパールは,「ひとつの中国」を支持する国であり,海外直接投資先として関心が高まりつつある国でもある。2019/20年度の中国からネパールへの海外直接投資は8800万ドルで,前年度の約2倍に達した(China Daily,2020年9月9日)。現在中国は,ポカラの国際空港建設,第2フェーズに入ったカトマンドゥのリングロードの拡張工事など,ネパールで大規模案件を抱えている(Kathmandu Post,2020年12月27日)。中国は,与党内の内紛をネパール国内の権力方程式を崩し,安定を損なうものとして懸念していたようである(Kathmandu Post,2020年5月2日)。
オリ首相が不信任決議を回避するために代表議会と国民議会の閉会を決定し,NCP内の対立が深まるなか,侯艶琪は7月3日にバンダリ大統領と面会した。そして5日夜にオリ首相と対立するネパールと,7日朝にはオリ首相のリーダーシップに疑問を投げかけたカナルと相次いで面会した。詳細は公表されていないが,権力闘争の終息と党の結束を求めたものとみられる。
NCPの分裂が決定的になった12月22日の夕方,侯艶琪はバンダリ大統領を訪問した。24日にはダハール共同議長と,25日にはネパールと会談したほか,ダハール共同議長と親しいマハラ前下院議長や議会解散に抗議して辞任したプン前エネルギー大臣と面会するなど,党内の亀裂を修復すべく奔走した。27日には郭業洲中国共産党中央対外連絡部副部長率いる4人の使節団が来訪し,バンダリ大統領やオリ首相と政局について意見を交わした。また翌28日にはダハール共同議長とも面会した。関係者によれば,中国側はNCPの分裂が中国の安全保障に及ぼす悪影響に加えて中国によるネパールへの投資の行方を気にしていたという。
中国はインドとネパールの関係についても敏感に反応した。11月26日に国境問題をめぐりインドのシュリングラ外務次官が来訪すると,29日に魏鳳和国務委員兼国防相がネパールに派遣された。中国側は,11月に行われたネパールとインドの領土問題の話し合い進展の裏に10月26日のポンペオ米国務長官とエスパー国防長官のインド訪問が影響していると考え,インドの動きを警戒したようだ。アメリカとインドはインド太平洋地域で影響力を拡大する中国への懸念を背景に,安全保障面での連携を強めている。ネパールに親中政権を維持したい中国の思惑が透けてみえる。
解散・代表議会選挙の発表後に,大規模な抗議活動がカトマンドゥをはじめとする主要都市で展開されるなど不安定な状況が続いている。したがって2021年も与党NPCの内紛解決が大きな課題であり,大きく2つの点が注目される。(1)議会解散の合法性を問い,その無効を求めた12以上の申し立てをめぐる最高裁判所の判断,(2)正当なNCPとしてオリ派閥とダハール・ネパール派閥のどちらを承認するのかに関する選挙管理委員会の判断の行方である。2020年1月23日に実施された国民議会議員選挙では分裂前のNCPが圧勝し,安定的な政治を望む人々の声が反映されただけに,人々の期待を裏切らない展開を期待したい。
経済においてはコロナ禍で低迷した経済の回復が課題である。世銀が想定する悲観的なシナリオを回避するためには,国内外の資金調達,ユニバーサルな社会保障,生産拡大や人的資源・能力開発などの支援に力を入れる必要があろう。
外交においては,2019年末から続くインドとネパールの領土問題の解決が注目される。加えて,ネパール国内の政治的な不安定化が,軍事協力においてアメリカとの連携を強めるインド,両国と対立する中国の地政学的戦略に与える影響も注視すべきであろう。「ネパール国内の政治的対立はインドを利する」と囁かれる一方で,「インドは,ネパール政治の不安定さが中国にネパール政治への関与の余地を与えることを警戒している」という分析もある。また,2017年に署名されたアメリカの開発援助ミレニアム挑戦公社による5年間の補助事業は,中国を支持するNCP議員の反対があり議会の承認を得ることができないまま前年から事実上停止している。NCPの内紛問題は国内政治だけでなく外交にも影響を及ぼしているため,早期の解決が望まれる。
(福岡県立大学准教授)
| 1月 | |
| 12日 | 第3州議会,賛成多数によりバグマティを州名に,州都をヘトウラに決定。 |
| 13日 | 政府統計局,LGBTI(レズビアン,ゲイ,バイセクシャル,トランスジェンダー,およびインターセックス)の正確な数の捕捉を意図して,人口調査の選択肢に第3の性を含むことを決定。 |
| 13日 | 権力濫用調査委員会の報告書によれば,昨年度の汚職総額は40億ルピーで814人が告訴された。 |
| 16日 | 中山展宏外務大臣政務官,2日間の日程で来訪。バンダリ大統領,オリ首相,ギャワリ外務大臣,バッタライ文化・観光・民間航空大臣を表敬訪問。 |
| 17日 | 国際通貨基金の専門チーム,来訪。2019/20年度のネパールの経済成長を6%程度と予測。政府に対し,成長の基礎を固め経済リスクを回避するよう推奨。 |
| 23日 | 国民議会議員選挙,実施。争われた18議席のうち16議席を与党ネパール共産党(NCP)が,2議席をマデシ系の国家国民党ネパール(RJP-N)が獲得。ネパール会議派(NC)と社会主義党ネパール(SPN)は議席獲得ならず。 |
| 26日 | アグニ・プラサド・サプコタ,代表議会議長に選出。 |
| 26日 | オリ首相,第71回インド共和国記念日にインドを「最大の友人」と呼び,モディ首相に祝意を伝える。 |
| 29日 | 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の影響を受け,中国に接するラスワガディ国境を閉鎖。 |
| 29日 | 1月5日に延期が決定されたNCPの中央委員会,開催(~2月5日)。 |
| 29日 | ヒマラヤ航空,新型コロナウイルス流行の影響を受け,カトマンドゥと中国を結ぶ全航空路線の運休を発表。 |
| 2月 | |
| 5日 | 権力濫用調査委員会,バルワタールの公有地をめぐる詐欺事件で前大臣,現職議員,政府高官を含む175人を起訴。 |
| 11日 | オリ首相とダハールNCP共同議長,保留になっていた党下部組織の統合について意見交換。進展はみられず。 |
| 12日 | 野党NCの支持者ら,バルワタールの公有地をめぐる詐欺事件でマダブ・クマール・ネパール元首相とバブラム・バッタライ元首相を権力濫用調査委員会が起訴するよう最高裁判所に請願。 |
| 13日 | NCP,第25回人民戦争記念日を祝う。オリ首相は前年に続き参加せず。 |
| 17日 | 前代表議会副議長シバ・マヤ・トゥンバハンフェ,SPNのウペンドラ・ヤダブの閣僚辞任に伴い2019年12月24日以降空席になっていた法務・司法・国会大臣に就任。 |
| 18日 | 中国大使館,中国の独裁的な統治システムが新型コロナウイルスの蔓延を悪化させたとした『カトマンドゥポスト』紙を批判。抗議文を発表。 |
| 20日 | ゴクール・プラサド・バスコタ通信・情報・技術大臣,汚職を報じられ辞任。 |
| 23日 | カティワダ財務大臣,貧困線以下におかれている国民に対し無償で生命保険を提供する予定があると発表。 |
| 23日 | NCP,首相を国民議会議員から選出できるよう憲法改正を進めるためのタスクフォースを組織。 |
| 3月 | |
| 2日 | ネパール民間航空局,政府に対し日本,中国,韓国,イタリア,イランの5カ国の国籍保有者に対する到着時の観光ビザの発給停止を推奨。翌3日に政府は3月10日より一時的に停止する措置を決定。 |
| 3日 | インド政府,コロナ患者の増加に伴いアセトアミノフェンを含む26種類の薬のネパールへの輸出を制限。 |
| 4日 | 政府,2日夜に行われたトリブバン大学教育病院でのオリ首相の腎臓移植手術の成功を発表。 |
| 11日 | バスコタ元大臣の建設中の自宅で即席爆発装置が爆発。容疑者としてチャンド派マオイストのメンバーを逮捕。 |
| 13日 | オリ首相,トリブバン大学教育病院を退院。 |
| 15日 | 南アジア地域協力連合(SAARC),新型コロナウイルスに協力して対処することに合意。 |
| 20日 | 政府,3月22日から31日までの間,ネパール発着のすべての国際線フライトの運航停止を決定。 |
| 23日 | 政府,3月24日午前6時から3月31日までの間,全土でロックダウン(都市封鎖)を行うことを決定。 |
| 29日 | 政府,ロックダウンを4月8日まで,国際線の運航停止措置を4月15日まで延長することを決定。 |
| 31日 | 政府,「Visit Nepalキャンペーン」の中止を決定。 |
| 4月 | |
| 6日 | 政府,ロックダウンを4月15日まで延長することを決定。その後,4月14日,26日,5月6日,17日にロックダウンの再延長が決定された。 |
| 10日 | オリ首相,両国でのロックダウンを受け,インドのモディ首相と国境に滞留している両国民の安全保障について電話会談。 |
| 10日 | 欧州の9カ国に滞在するネパール大使,1カ月分の給与をコロナ対策に寄付することを発表。 |
| 12日 | 携帯電話事業者NCell,最高裁判所が決定した未払いの譲渡所得税の残額を全納。 |
| 13日 | オリ首相,ネパール暦の新年2077年のメッセージ内でコロナが終息するまで給与を受け取らない旨を発表。 |
| 20日 | オリ首相,党内での十分な議論を経ず,政党法と憲法評議会法の改正を大統領に承認させる。党内外の批判を受け,4月23日に撤回。 |
| 22日 | RJP-Nと社会主義党ネパールが合流して「人民の社会党」(People’s Socialist Party)を設立。 |
| 27日 | バンダリ大統領,電話で習近平中国国家主席と会談。コロナ対応への協力や両国の戦略的パートナーシップについて意見交換。 |
| 30日 | 中国の侯艶琪駐ネパール大使,オリ首相と面談。翌5月1日にダハール共同議長,NCPのリーダーで前首相のネパールと面談。 |
| 5月 | |
| 2日 | NCP,常任委員会を開催。 |
| 7日 | スイス大使,ダカール保健・人口大臣に3万個のPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査キットを寄贈。 |
| 9日 | NCP,インドが開通させたカラパニ谷の最上部にあるリプレク峠に至る全長80kmの道路の一部がネパールの領内を侵犯するとして抗議文を発表。11日にギャワリ外務大臣がインドのビナイ・モハン・クワトラ・駐ネパール大使を呼び抗議。インドは,外交ルートを通じた対話を行うことを表明。 |
| 11日 | 中国,4万個のPCR検査キットを保健・人口省に寄贈。 |
| 18日 | 政府,インドとの係争地を含んだ新しい政治地図を決定。 |
| 20日 | クマリ・アリヤル土地・協同組合・貧困撲滅大臣,新しい政治地図を公開。 |
| 20日 | アヌラグ・スリバスタバ・インド外務省スポークスマン,新しい政治地図公開の数時間後に「この単独発表は歴史的な事実根拠に基づかない」と反論。 |
| 22日 | トゥンバハンフェ法務・司法・国会大臣,国章においてネパールの政治地図を反映させるために憲法の別表3「紋章」を改正する法案を議会議事日程に登録。 |
| 26日 | 政府,コロナによる失業危機を受けて,労働銀行設立の準備を開始。産業・商業・供給省役員は,銀行が民間部門と組んで200万人の雇用創出が可能になると述べる。 |
| 30日 | 政府,ロックダウンの6月14日までの延長,6月30日までの全国際線および国内線フライトの運航停止を決定。 |
| 6月 | |
| 9日 | NCPのゴパール・バッタライ国民議会議員,5月23日に上位カースト女性と恋愛関係にあった下位カースト男性を含む計6人が殺害されたルクムの虐殺事件を受けて,カースト差別に基づく大量殺人防止への政府取り組みの検討を議会で提案。 |
| 10日 | 政府,6月15日以降にロックダウン緩和の第1段階に移ることを決定。 |
| 13日 | 代表議会(下院),インドとの係争地など地政学的に重要な地域を含む新しい政治地図更新のための憲法改正案を承認。数時間後にインド政府は「歴史上の事実と根拠に基づかず正当性を証明できない」と抗議。 |
| 14日 | 国民議会(上院),憲法改正を審議することを承認。 |
| 18日 | 国民議会,新しい政治地図と国章の刷新のための憲法改正案を承認。 |
| 26日 | NCP党員21人,党を離脱しネパール共産党統一マルクス・レーニン主義(CPN-UML)を再び結党。 |
| 27日 | 政府,インドとパキスタンの農作物に壊滅的な被害をもたらしてきたサバクトビバッタがネパール領内で確認されたと発表。 |
| 29日 | 政府,ロックダウン緩和措置の第1段階を7月22日まで延長することを決定。国際線および国内線フライトの運航停止についても7月22日まで延長することを決定。 |
| 7月 | |
| 1日 | 世界銀行,1人当たりの国民総所得(GNI)が2019年に1090ドルに達し,下位中所得国の基準である1036ドルを超えたため,ネパールを低所得国から下位中所所得国へ格上げ。 |
| 2日 | バンダリ大統領,予算会期の閉会を承認。 |
| 20日 | 政府,8月17日から国内線および国際線フライトの運航再開を決定。 |
| 22日 | 3月24日から継続していたロックダウンの解除を発表。 |
| 8月 | |
| 6日 | 新型コロナウイルス感染者数の増加を受けて,カトマンドゥ盆地内でネパール暦の偶数と奇数を使った車両の通行規制を実施。 |
| 10日 | 政府,8月17日から予定していた国際線,国内線フライトおよび長距離移動バスの再開を8月31日まで延期することを決定。 |
| 15日 | オリ首相,第74回独立記念日に対してインドのモディ首相に祝意を伝える。 |
| 17日 | 政府,インドとの領土問題の協議をネパール-インド監督メカニズムで開始。 |
| 18日 | 郡当局,20日午前0時から26日までのカトマンドゥ盆地内での行動規制を発表。 |
| 9月 | |
| 20日 | 西ネパールのカルナリ州フムラ地区ビシュヌ・バハドゥール・ラマ村議会議長,中国人民解放軍がネパール領内に9棟の建物を建設している可能性を指摘。 |
| 23日 | 中国による領土侵犯の可能性についての報道を受け,ネパール政府の調査チームが現地に到着。国境にあるNo.11の柱が追跡可能でないと報告。若者らがカトマンドゥの中国大使館前で抗議デモを実施。 |
| 23日 | 中国大使館,建物は中国領内にあることを再度確認するよう政府に要請。 |
| 10月 | |
| 6日 | 第5州議会,ルンビニを州名に,州都をダンに決定。 |
| 14日 | オリ首相,ダハール共同議長に相談なく内閣を改造。 |
| 21日 | インドのサマンタ・クマール・ゴヤール研究分析局長官,来訪。 |
| 28日 | オリ首相の側近,和解を模索するため交代でダハール共同議長を訪問(~30日)。 |
| 31日 | オリ首相,ダハール共同議長と電話で会談。 |
| 11月 | |
| 3日 | ネパール政府,中国政府とともにフムラ地区での中国の国境侵犯はないと発表。独自に調査を行ったNCは,NCPを批判。 |
| 4日 | インドのMM・ナラバン陸軍参謀総長,来訪。 |
| 26日 | インドのハーシュ・バルダン・シュリングラ外務次官,来訪。 |
| 29日 | 中国の魏鳳和国務委員兼国防相,来訪。 |
| 12月 | |
| 5日 | 王党派の国民民主党ネパール(RPP)の支持者,王政復古とヒンドゥー国家樹立を求めカトマンドゥでデモ行進。 |
| 8日 | ネパール政府と中国政府,両国にまたがる世界最高峰エベレストの標高について,新たな測量に基づくとこれまでより86cm高いと発表。 |
| 10日 | オリ首相,13日からの憲法評議会を招集。 |
| 13日 | 憲法評議会開催の条件となるサプコタ議長,野党デウバNC党首が欠席。 |
| 15日 | 憲法評議会を再度開催。サプコタ議長が欠席。オリ首相は,議長が参加していなくても開催可能なように憲法評議会の定足数を定めた憲法評議会法第6条3項の改正を行う首相令を発令。 |
| 19日 | オリ首相,和解のためにダハールNCP共同議長と面会。和解に至らず。 |
| 20日 | バンダリ大統領,代表議会を解散。4月30日および5月10日の選挙を決定。 |
| 20日 | NCPのダハール派閥の7人の大臣,議会解散の決定に抗議して辞任を発表。 |
| 20日 | 議会解散への抗議活動,カトマンドゥ,ポカラ,ブトワル,ネパールガンジで展開。 |
| 21日 | 議会解散の無効を訴える12以上の申し立てが最高裁判長に提出。 |
| 21日 | 抗議活動,カトマンドゥを含む10都市で展開。活動家が逮捕される。 |
| 22日 | 中国の侯艶琪駐ネパール大使,バンダリ大統領と会談。 |
| 22日 | オリ派とダハール派がそれぞれ「正真正銘(authentic)のネパール共産党」を名乗り,個別に中央委員会を開催し事実上分裂。 |
| 24日 | 中国の侯艶琪駐ネパール大使,ダハール共同議長と対談。 |
| 25日 | 侯艶琪駐ネパール大使,ネパール,ダハールの両者と親しい前下院議長のマハラとプン前エネルギー大臣と対談。 |
| 25日 | オリ首相,新大臣を発表。 |
| 25日 | NCPのダハール派閥とネパール派閥支持者,議会解散に対する抗議活動をカトマンドゥで実施。 |
| 26日 | オリ首相,バンダリ大統領に対し2021年1月1日に国民議会の冬季会期を開催するように推奨。 |
| 27日 | 郭業洲中国共産党中央対外連絡部副部長率いる4人の使節団,来訪。バンダリ大統領,オリ首相と政局について意見交換。翌28日にはダハール共同議長と面談。 |
| 29日 | NCPダハール派,下院を解散する政府の方針に反対し抗議活動を実施。ほかの団体も含め約1万人が首都を行進。 |
| 31日 | インドのビナイ・モハン・クワトラ駐ネパール大使,ヒラデシュ・トリパティ健康・人口大臣と面会。新型コロナウイルスワクチンの調達と供給における協力を確約。 |


(注)*は女性。氏名の後のカッコ内は所属政党。NCP:ネパール共産党。
(出所)ネパール政府ウェブサイト(2020年12月31日取得。https://www.opmcm.gov.np/en/cabinet/)。

(注)1)推計値。
(出所)Government of Nepal, Ministry of Finance, Economic Survey 2019/20, Macroeconomic Indicators, 同 Annex 4.2 National Consumer Price Inflation.

(注)1)在庫変動が残留して引き出されるので統計上の誤差/エラーが含まれる。2019/20年度の推計による。
(出所)Government of Nepal, Ministry of Finance, Economic Survey 2019/20, Annex 1.6: GDP by Expenditure Method.

(注)1)推定値。
(出所)Government of Nepal, Ministry of Finance, Economic Survey 2019/20, Annex 1.5: Gross Value Added by Industrial Classification (At base year prices of 2000/01).

(出所)Government of Nepal, Ministry of Finance, Economic Survey 2019/20, Annex 6.1: Status of Foreign Trade (Rs in ten Million).

(出所)Government of Nepal, Ministry of Finance, Economic Survey 2019/20, Table 6.11: Balance of Payment Summary (Rs in ten Million).

(注)1)実際の予算額。2)修正した推計値。3)推計値。
(出所)Government of Nepal, Ministry of Finance, 29 May 2019, Budget Speech of Fiscal Year 2019/20, Budget Summary Annex-1.