2021 年 2021 巻 p. 515-538
2020年は,ラージャパクサ一族の復活が確実になった年であった。8月5日に国会総選挙が行われ,結果は大方の予想どおりゴタバヤ・ラージャパクサ大統領の実兄マヒンダ元大統領が率いるスリランカ大衆党(SLPP)が中心となる選挙連合が勝利した。憲法改正を可能とする全議席の3分の2(150議席)にわずかに足りない145議席を獲得する大勝利だった。2015年の総選挙で106議席を獲得した統一国民党(UNP)はわずか1議席,UNPと袂を分かった統一人民の力(SJB)は54議席を得た。
大統領は,3月に国内のスリランカ人で初となる新型コロナウイルス感染者がみつかるとすぐに,軍や警察を動員して徹底した対策を講じた。そのため感染者数は近隣諸国に比べて低いレベルで推移した。しかし10月に大きなクラスターが複数発生してからは,抑え込みは難しくなった。また,新型コロナウイルスによるイスラム教徒の死者の扱いも政府にとって重要な問題となった。
経済は新型コロナウイルス感染症の世界的拡大の影響を受け,実質国内総生産(GDP)成長率はマイナス3.6%と見込まれる。外貨節約のため前年から行われていた広範囲な輸入制限により貿易収支赤字を削減できたものの,近隣諸国や貿易相手国からは反発を招いた。原材料の輸入制限の影響で主要輸出品である衣類が21%落ち込み,輸出総額は15.6%減少した。海外送金はスリランカ人労働者の帰国により年度前半に落ち込んだが,後半には前年度並みにもち直した。中央銀行によるとインフレ率は許容範囲にあるが,食料品の価格指標は高止まりしている。
対外関係では,スリランカへの影響力を維持・拡大しようとするインド,中国,アメリカの3カ国の間で激しい言葉の応酬がみられた。また前政権時に進められた一部の外国プロジェクトの見直しが行われ,アメリカのミレニアム挑戦公社(MCC)の土地データ整備プロジェクトや日本の中量鉄軌道システム(LRT)プロジェクトが中止された。
2020年のスリランカ政治にとって最も重要だったのは,8月の総選挙である。この選挙で勝利したことにより,ゴタバヤ大統領と現政権の地位は盤石となった。
2019年11月の大統領選挙直後にラニル・ウィクレマシンハ首相が辞任し,マヒンダ元大統領(在任期間2005~2015年)が首相に就任したことで,ラージャパクサ一族による政治が復活したかにみえた。しかし国会での最大多数政党は依然としてUNPであり,ねじれ現象が生じていた。そのためゴタバヤらは大統領選挙の余勢を駆って早期に国会総選挙を行う方針を固めた。憲法第70条(1)は,国会開会から4年半経てば国会を解散できると規定している。その期日を迎えた2020年3月初め,大統領が国会の解散を宣言し,選挙の日程を4月25日と定めた。しかし,3月11日に国内初の新型コロナウイルス感染者が報告されると,集会禁止命令などが発出された。そのため選挙管理委員会(EC)は19日に総選挙の延期を決定した。その後4月にECは投票日を6月20日に変更すると発表したが再度延期され,最終的には8月5日に行われることとなった。
マヒンダが党首を務めるSLPPは,実弟のバジル・ラージャパクサを選挙運動担当者に据え,早期から綿密に準備を始めていた。それに対してUNPは2019年の大統領選挙同様に首相候補をめぐって党内対立が起きた。1月に首相候補をサジット・プレマダーサUNP副代表とすることで一旦は合意されたが,ラニル支持派とサジット支持派が対立し,両派による主導権の奪い合いとなった。分裂を望まないメンバーによる調停が行われたものの,立候補者登録直前の3月上旬にサジット率いるSJBのUNPからの分裂が決定的となった。
ECの方針転換も混乱を招いた。ECは保健省のガイドラインに従い新型コロナウイルスへの徹底的な感染対策をとることに加え,選挙運動の指針として1981年国会選挙法(以下,1981年選挙法)に厳密に依拠するとした。同選挙法に従えば,立候補者は候補者番号をポスターに書き入れることができず,ポスターを貼る場所も限定される。また,選挙集会の告知は直前にしかできず,戸別訪問は支持者のみに許可され,候補者本人やその家族は行えない。したがって,通常の選挙運動がほぼできなくなったのである。
1981年以降に行われた7回の国会議員選挙では,政党とECが事前の話し合いを通じて選挙運動方法を決めており,40年近くにわたり1981年選挙法は空文化していた。しかし,2015年の国会議員選挙以降に発足した現ECは今回,1981年選挙法の厳格な適用を求めた。その理由は定かではないが,新型コロナ対策により,ECと政党が事前協議を開催できなかったことが一因だろう。1981年選挙法は唯一の選挙関連法であるため,新たなルールが設定されない場合,たとえ不合理な規定でも同法に依拠せざるを得なかったのである。
ECのこのような方針はSLPPに有利に働いた。総選挙は比例代表と小選挙区の並立制であり,有権者はまず政党を選び,次に自分の投票したい候補者の番号にチェックをつける。そのため立候補者にとって自分の番号を覚えてもらうことは重要である。しかし,今回は多くの政党が通常の選挙運動を実施できなかった。一方で,SLPPはバジルらが早い段階から末端レベルの組織を強化しており,状況に対応することができた。
SLPPはマニフェストとして,2019年11月大統領選挙時に提示された「生産的な市民,幸せな家族,規律ある社会,繁栄する国」という4つの目標を掲げた「繁栄のためのビジョン」を継続使用した。また今回の選挙運動でSLPPは,SLPPメンバーの多くがかつて属していたスリランカ自由党(SLFP)や小規模政党と選挙連合を形成したものの,主要なタミル政党やムスリム政党とは提携せず,シンハラ人仏教徒にターゲットを絞りより強い主張を展開したことが特徴的である。さらに,前政権がハンバントタ港の運営権を中国企業に長期リースしたことを取り上げ,国の資産を外国に売り渡さないことや,前政権下で合意されたプロジェクトの見直しも強調した(「対外関係」を参照)。
これに対して,選挙運動方法の変更はUNPやSJBなど選挙戦に出遅れた政党や団体には足枷となった。UNPやSJBは,SLPPが勝利すれば独裁政治や汚職が復活すると国民に訴えることしかできなかった。
SLPPの圧勝選挙結果はSLPPの圧勝であった。投票率は71%で,2015年8月の前回総選挙(77%)や2019年大統領選挙(83%)より低いものの,コロナ下で実施されたことを考慮すれば十分高い。選挙連合に加わった政党がSLPPとして獲得した議席のほか,独自に得た議席も含めると150議席を確保できた(表1,2)。選挙対策を担当したバジルは獲得議席数を135議席ほどと事前に予測しており,SLPPにとってはうれしい誤算であった。
(注)有効票:11,598,929,無効票:744,373,総投票数:12,343,302,総有権者数:16,263,885。政党名は以下のとおり。SLPP:スリランカ大衆党,SJB:統一人民の力,ITAK:ランカ・タミル連邦党,JJB:国民の力,AITC:全ランカタミル会議,EPDP:イーラム人民民主党,TMVP:タミル人民解放の虎,SLFP:スリランカ自由党,MNA:ムスリム国民連盟,TMTK:タミル人民の国民連盟,ACMC:全セイロン・ムスリム会議,NC:国民会議,SLMC:スリランカ・ムスリム会議,UNP:統一国民党,OPP:我々の人民の力党。1)SLPPとの選挙連合外で独自に獲得した議席数。
(出所)Election Commission of Sri Lanka(https://elections.gov.lk/web/wp-content/uploads/election-results/parliamentary-elections/Votes_Seats_NL_SBP_02.pdf).
(出所)ニュースファーストウェブサイト(https://election.newsfirst.lk/)。
UNPの全得票数は約25万票で無効票の総数(約74万票)よりも少ない。小選挙区ではラニル総裁を含め全員が落選し,かろうじて比例の1議席のみ獲得した。UNPには小選挙区で落選した候補者を比例復活させないという不文律があり,比例の1議席をラニルと若手のどちらに与えるかをめぐって党内が対立した。結局,議席を誰に割り当てるかは年内に決まらなかった。
UNPから分離したSJBは,SLPPに次ぐ54議席を獲得して最大野党となった。それによりサジットは国会における野党リーダーに指名された。SJBはUNPと同様に都市部およびシンハラ人の支持が強いとみられていた。しかし,当選した54人のうち18人はタミル人とムスリムであり,コロンボ県やキャンディ県など都市部のムスリムの支持が顕著であった。都市在住のムスリムは従来勝ち馬(今回であればSLPP)に乗る投票行動をとるとされていた。しかし今回は,ラージャパクサ政権におけるムスリム抑圧を危惧し,野党に投票したと考えられる。
SLPPが大勝した要因は何だろうか。基本的には2019年11月の大統領選挙でゴタバヤが勝利したのと同じで,2019年4月のイースター・テロを防げなかった前政権への国民の失望感である。またゴタバヤ大統領や現政権による新型コロナウイルス対策への早期かつ厳格な取り組み,そして薬物取り締まりやギャング対策が評価されたことも勝因であろう。
SLPPが圧勝したことで大統領にゴタバヤ,首相に兄マヒンダ,灌漑大臣に兄チャマル,経済復興・貧困撲滅のための大統領タスクフォース議長に弟バジル,そして青年・スポーツ大臣にマヒンダの長男ナーマルなど,ラージャパクサ一族が再び政権の中枢に名を連ねることとなった。2015年1月の大統領選挙では,UNP,SLFP,宗教関係者,また市民団体が反マヒンダで結束し,三選が確実視されていたマヒンダを落選させた。その背景には,ラージャパクサ一族の独裁に対する危機感があった。しかしスリランカ国民はわずか5年後,強いリーダーシップを求めてラージャパクサ一族支配を復活させたのである。
大統領の権限を強化する20次憲法改正近年のスリランカでは政権交代ごとに憲法が改正され,そのたびに大統領の権限に変更が加えられている。マヒンダ大統領の2期目が始まったばかりの2010年,第18次憲法改正で大統領権限が強化された。一方で,シリセーナ/ラニル政権下の2015年の第19次改正では権限が縮小された。そして今回2020年10月に行われた第20次改正では,ほぼ大統領単独の決断で要職者を任免できるようになった。
大統領の人事権が強化されても,有能な人材が適材適所に配置されるならば問題は少ない。しかし軍出身の大統領はすでに,西部州知事,国防省,外務省,農業省,公安省の次官,スリランカ港湾局(SLPA)局長などに,元軍人を起用している。それらの要職に軍関係者を配置することで,自身の支配を強化するねらいがあると考えられる。また軍人支配による強権化の可能性もある。
そして,野党などへの報復も懸念されている。スリランカでは政権交代後,前政権時の要職者や,現与党政治家が絡む事件を捜査した警察関係者などに対する報復的人事や訴訟が多々みられる。これを恐れた犯罪捜査局(CID)のニシャンタ・シルヴァ捜査官は2019年の大統領選挙直後に家族でスイスに亡命した。一方で2020年7月,シャニ・アベセーカラ元CID局長が逮捕された。彼らは,青年ら11人の失踪事件(2008~2009年),『サンデーリーダー』紙の編集者ラサンタ・ウィクレマトゥンガ殺害事件(2009年),ジャーナリストのエクネリゴダ失踪事件(2010年)などについて,当時国防次官だったゴタバヤの関与を調査していた。
さらにゴタバヤ大統領は2020年1月,前政権が行った報復的人事に関する調査委員会を任命した。調査内容は,シリセーナ大統領/ラニル首相政権期の2015年1月15日~2019年11月に,マヒンダ大統領政権(2005~2015年)当時の役人,軍人,警察官,国有企業・公社の役員・職員などが受けた不当な扱いについてである。最終報告書が提出される前からすでに,これらの人々の復権や恩赦などが行われている。11月には資金不正使用で逮捕・起訴された前大統領秘書官のラリト・ウィーラトゥンガ,殺人事件で有罪判決を受けたジャナカ・バンダーラ・タネクーン国会議員の判決取り消し,資金の不正使用で起訴されていたバジルなどに対して起訴取り下げがなされた。
新型コロナウイルス対策と政権への影響政府は新型コロナウイルス感染症拡大防止のために警察や軍を動員して徹底した対策を講じた。政権内部の対立から意思決定に時間を要した前政権とは対照的に,国内感染者発生前の1月26日にはすでに特別タスクフォースが設置された。
3月11日に国内でスリランカ人初の感染者がみつかると,政府は国際空港の到着ターミナルを閉鎖した。17日に大統領は国民に協力を求める演説を行い,食品価格を固定し,金融機関への6カ月間の返済猶予や低利融資を実施するとした。20日には外出禁止令が発出され,違反者の車を没収するなど強い対応をとった。シンハラ・タミル新年(4月中旬)でもコロンボ県などハイリスク地域の外出禁止令を解除せず,人々は親戚回りも許されなかった。感染防止の中心である軍でクラスターが発生したが,感染者数はおおむね低い状態が保たれた。
しかし10月,ガンパハ県ミヌワンゴダの衣類縫製工場およびペリヤゴダの魚市場で大規模なクラスターが発生すると,感染が全土に拡大した。政府は地区ごとの外出禁止令や隔離で対応したものの,10月末に感染者累計数が1万人を超えた後は急拡大し,年末には4万人となった。
一方で,感染症拡大に起因する政治問題も起きた。ひとつは刑務所での暴動である。もともと受刑者には刑務所内の過剰収容や食事面などの待遇に対する不満が鬱積していた。そのようななか,薬物取り締まり強化により刑務所がさらに過密状態になったうえに,刑務所内で感染症が拡大した。受刑者らの不満にコロナ禍がもたらす不安や恐怖が加わったのである。11月29日,コロンボ郊外のマハラ刑務所で感染対策を求める受刑者らが抗議活動を実施した。その際,対立するギャング間の抗争が発生し,これを阻止しようとした刑務官らが発砲したため,受刑者8人が死亡する事態となった。刑務所の過剰収容について政府は恩赦で対応してきたが,裁判の簡素化・迅速化など根本的な対策を求める声が高まった。
もうひとつはムスリムの死者の火葬問題である。ムスリムは宗教上の理由から死者を土葬する。しかし政府は4月の官報で,新型コロナウイルスによる死者はすべて火葬すると公示した。その理由は,スリランカの飲料水の水源が浅く土葬が水源を汚染するということだが科学的根拠はない。新型コロナウイルスによる死者の土葬を禁じているのは世界でもスリランカと中国だけ(現在は許可)である。世界保健機関(WHO)や国連も政府にムスリムの土葬禁止は理不尽と表明した。
国内のムスリム団体は安全な土葬法を提案したが,政府は認めなかった。政府はシンハラ仏教徒の支持を得て成立した経緯があり,ムスリムに妥協する姿勢はみせたくないのだろう。しかし政府は第20次憲法改正にあたり,SLPP内に大統領の権限強化に否定的なメンバーがいたため,野党所属のムスリム議員の協力を得る必要があった。結果的にSJB所属のムスリム議員8人が改正案に賛成票を投じた。今後,政府はムスリム・コミュニティにその対価を払う必要があろう。
このほかにも政府は9月初めに仏教団体が主張してきた牛の屠殺禁止を打ち出した。これは国内で肉加工を担うムスリム・コミュニティとの摩擦を引き起こした。イースター・テロ以降,シンハラ仏教徒とムスリム・コミュニティの間で顕在化した亀裂が現政権下でさらに深まる懸念がある。
後退する内戦後の和解第19次改正憲法第33条(1)(b)では,大統領の義務として「和解の促進と統合」が明記されていた。前政権は,2015年に国連人権理事会でアメリカと共にスリランカ内戦後の北・東部における和解に関する共同決議を提案するなど,積極的な姿勢もみせた。和解に関して実際に大きな進展はみられなかったものの,その後決議の更新がなされ,努力を継続する意思が国際社会でたびたび表明されていた。
しかし第20次改正憲法では,「和解」条項が削除された。元軍人で内戦中に国防次官を務め,武力による内戦終結を強力に押し進めたゴタバヤが大統領になったことで,軍による人権問題への対処を含む和解の後退が懸念された。2020年2月の国連人権理事会でスリランカは,決議への支持を取り下げた。
国際社会に向けてネガティブなメッセージを発しただけではない。毎年11月27日には北・東部の各地で,内戦で命を落とした息子・娘,夫などを悼む日(英雄デー)が執り行われてきた。ところが2020年には各地の裁判所が,新型コロナウイルスへの感染や治安上のリスクがあるとして,開催に禁止命令を発出した。祈りの機会さえ奪われたことで北・東部の人々は政府に対して不信感を強めた。
実質GDP成長率は,農業が-2.4%,工業が-6.9%,サービス業が-1.5%であり,全体としては-3.6%となる見込みである。
輸出は前年比15.6%減だった。主要輸出品である衣類は大手企業の工場で新型コロナウイルス感染クラスターが発生し,下半期に大きく減少した。その一方でマスクやゴム手袋,医療用手袋の輸出が伸びた。輸入は3月のルピー下落を受けて,薬や医療品を除く多岐にわたる分野で制限された。なかでも前年から輸入が制限された車両は,2019年の輸入額8億1600万ドルを下回る2億8290万ドルとなり,輸入・販売業者は大きな打撃を受けた。その他,消費財ではコメ,小麦,砂糖,中間財では衣類製造に必要なハンガーやクリップも輸入制限対象になった。燃料価格の下落もあり輸入額は19.5%減り,貿易収支赤字は60億ドルほどで対前年比25.2%減となった。
貿易収支の赤字を補っていたサービス収支のうち観光収入は4月以降ゼロとなり,通年では前年の3分の1以下に落ち込んだ。多くの海外労働者が帰国し,3月から5月の送金額は前年よりも少なかったにもかかわらず,その後もち直し通年では5.8%増となった。とくに12月は歴史的レベルの多額の送金(対前年同月比22.2%増)があった。増加の理由は,労働者が貯蓄をまとめて送金したか,インフォーマルな送金ツールが使用できなくなり公式な送金手続きに移行したためではないかといわれている。後述のように政府要請があったことも一因だろう。
3月上旬から外資によるスリランカ国債売りが始まり,スリランカ・ルピーの下落が始まった。これにより1ドル=181ルピーが4月9日には194ルピーまで下落した。中銀は外貨流出を防ぐべくあらゆる手段を講じた。すでに述べた輸入制限のほか,海外旅行時の換金上限を5000ドルに制限し,国内認可銀行によるスリランカ国際ソブリン債(ISB)の購入中止などを命じた。また海外在住のスリランカ人に対し,スリランカの金融機関への外貨預金を求めた。結果として12月末の外貨準備は57億ドルとなり,輸入の4.3カ月分と危機的な状況は回避できた。
失業率は,直近の10年間4%台にあったが2020年は5.5%に上昇した。男性の失業率は前年の3.3%から4.1%にとどまったが,女性,若者(20~24才),高学歴者(Aレベル以上)に関してはそれぞれ前年の7.4%,19.6%,8.5%から8.5%,25.2%,9.8%へと悪化した。政府は,物価対策としてコメ,タマネギなどの食料品に最大小売価格を設定した。その結果物価指数(NCPI)は政府がインフレの許容範囲とする4~6%をわずかに超える程度に収まった。
中央銀行は,政治的安定に期待して回復基調にある国内経済を後押しするため1月に政策金利を0.5ポイント引き下げた。3月5日の金融政策定例会ではインフレの懸念があるとして現状が維持された。しかし,11日に国内初のスリランカ人新型コロナウイルス感染者が発生すると,経済活動の停滞を防ぐために緊急支援策が講じられた。中銀は16日に臨時会合を開催し,政策金利を0.25ポイント引き下げた。その後も4月上旬に0.25ポイント,5月に0.5ポイント,7月に1.0ポイント引き下げた。法定準備率も4月に5%から4%に,さらに6月に2%に引き下げ,中銀の民間銀行への貸出利率も2003年から15%であったものを4月に10%に,6月には8.5%に引き下げるなど金融緩和措置を矢継ぎ早に講じた。
観光再開政府は年間を通じて観光業の再開を模索した。7月,隣国のモルディブが限定的ながら観光客の受け入れを再び始めると,スリランカも同時期に観光再開のための指針を作成した。しかし8月には感染者数が再び増加し,さらに10月には大きなクラスターが発生したため,早期の観光再開は見送られた。
12月,ウクライナ人観光客を限定的に受け入れた。一行はマヒンダ・ラージャパクサ国際空港(MRIA)にチャーター機で到着し,特定ホテルに滞在した。出発前のPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査や到着後の厳重な感染予防措置などを講じたトラベル・バブルの試みであったが,到着後は予定外の行動などさまざまなトラブルが発生し,観光業再開の難しさが露呈した。その後閉鎖されていたスリランカの空港は,2021年1月21日に再開された。
農業の輸入代替と投資誘致2020年3月以降の厳しい輸入制限は,為替レートの下落やそれに伴う外貨不足に対応した短期的措置であり,決して珍しくない。しかし,コロナ禍の影響や外貨不足が顕在化する以前の2019年12月に発表された香辛料の輸入制限は,国内の農業振興を意図するゴタバヤ大統領の経済政策として長期化しそうである。ゴタバヤの農業振興への熱意は,農業省に4つ,プランテーション省に3つの特命大臣ポストを設置していることにもみてとれる(「政府要人名簿」参照)。
香辛料の再輸出あるいは輸入品を加工してスリランカ産として輸出することも禁止された。スリランカは良質な香辛料を生産するが,海外からの安い製品の流入によって国内の農民は不利益を被っていた。輸入を制限することで外貨を節約し,国内農民を保護するとともに彼らの所得を増やし,再輸出を禁止することでスリランカ香辛料のブランド・ネームを高めようという意図がある。
しかし香辛料の輸入禁止効果が現れる前に混乱が生じた。たとえばターメリック(ウコン)である。ターメリックはカレーを作る際に欠かせない香辛料のひとつであるがコロナ感染拡大予防措置として発出された外出禁止令により,食料品全体の流通が混乱し市場に不足が生じた。さらに,ターメリックは水に混ぜて消毒液としても用いられたため需要が拡大し,価格が跳ね上がった。
このほか政府は,香辛料だけでなくコメやタマネギなどの農産物にも輸入制限を課し,外貨節約と国内生産を推進するよう求めている。これらはターメリックよりも難しい流通管理や増産技術を必要とする。
政府は,農産物だけでなく多くの分野で輸入代替を実現しようとしているが,現在の生産設備や能力・技術では困難であり,外部からの支援が必要である。そのために大統領が外部に求めるのは,「融資ではなく投資」である。6月にEUの大使らと会談した大統領は,「(返済を伴う)融資は選択肢でない。必要なのは新しい投資」であり,とくに農業部門の近代化・高付加価値化が重要だとしている。ただこうした輸入を制限し,投資のみを求める方針に対してドイツやEUなどの先進国からは見直しを求める声が聞かれる。
2020年の外交政策は「インド第一」を原則としていたが,現政権はシンハラ仏教徒の支持を基盤にしており,それは対外政策にも影響を及ぼした。
ゴタバヤ大統領は選挙運動中から外交の基本は「インド第一」であることを明確にしており,就任後初めての訪問先はインドであった。2020年1月上旬にはディネシュ外相が訪印した。2月にはインドの招きを受けて首相が訪印し主に経済問題を議論した。
インドとの関係は安全保障面でも強化された。1月と11月にはインドの国家安全保障顧問のアジット・ドヴァルが来訪し,2月には両国海軍が共同訓練を行った。9月にスリランカ東沖で発生したタンカー火災にはスリランカ海軍,インド沿岸警備隊と,偶然近くにいたロシア軍が協力して鎮火した。この事件でスリランカは近隣諸国との協力関係の有効性をあらためて認識した。新型コロナで失職したものの帰国できなくなったスリランカ人労働者などをインドから帰国させる手続きもあり,二国間の往来や連絡も密になった。
「インド第一」の一方で,インドとの関係強化を懸念するシンハラ仏教徒の要求を優先せざるをえないことが,スリランカの対インド政策を複雑にしている。前政権でシリセーナ大統領が中国のコロンボ・ポートシティ・プロジェクトを一時停止したように,現政権も前政権時に締結された「国有資産の売却」につながるプロジェクトの見直しを選挙公約でも述べており,実際に一部がキャンセルとなった。インドと日本がスリランカ港湾局(SLPA)と2019年5月に協力覚書を締結し,合同で行うこととなっていたコロンボ東側ターミナル(ECT)開発事業(スリランカ側51%,インドと日本の合弁企業が49%を所有,償還期間40年,返済利子率は0.1%)も見直し対象となった。インドがECTに関心を示すのは,コロンボ港が取り扱う積荷の約70%がインドへの積み替えであり,高深度の港が少ないインドにとって物流のハブとなっているからである。スリランカにとってもコロンボ港全体の混雑を緩和でき,かつ港湾使用料を得るというメリットがある。
関係機関はECTプロジェクトをSLPA,インドの新興財閥アダニ・グループ,日本企業の合弁投資プロジェクト(うちSLPAの持ち分を51%以上)に変更し,2021年1月に事業再開で合意した。まさにゴタバヤ大統領が求める「融資ではなく投資」に変更されたわけである。これによりスリランカ側の資金面での負担は最小限となった。しかし反対派は政府の思惑に反しプロジェクトへの抗議活動を止めず,2021年2月1日にインド・日本とECTを開発するとした合意は正式に閣議で破棄され,ECT開発はSLPAとスリランカ企業で行うこととなった。
中国にハンバントタ港合意の見直しを求める現政権は「インド第一」を標榜し,政治や安全保障面でインドとの関係構築を進める一方で,中国とは経済面での関係強化を目指している。大統領は就任直後,2017年に結ばれた南部のハンバントタ港をめぐる合意のうち,商業的な部分に関しては問題ないが,港が安全保障上重要なロケーションに位置していることを理由に,その部分の見直しが必要であると述べた。大統領は,インド訪問に次いで2020年1月下旬に訪中の予定であったが,同月に中国側が無期延期を申し入れてきた。スリランカの「インド第一」や大統領のハンバントタ港に関する発言が理由とみられる。その直後に王毅外相が来訪し,「一帯一路」に基づいた経済協力や安全保障,国連での協力などについて協議した。さらに王毅外相は,二国間の関係は戦略的パートナーシップであることから,経済面に限らないと釘を刺した。9月にも中国臨時大使の胡煒がインタビューで同様の発言をしている。
とはいえ中国関係の強化は経済面が先行している。11月,中国のタイヤメーカー山東昊華輪胎(Shandong Haohua Tire)がハンバントタ輸出加工区に初の海外直接投資(FDI)となるタイヤ工場を建設することで合意した。投資額は3億ドルで,直接・間接的に2000人の雇用を生み出し,3年以内の操業を目指すという。
アメリカ,MCC事業を白紙撤回1月にアリス・ウエルズ国務次官補代理(南・中央アジア担当)が来訪し,前年から二国間で懸案となっているミレニアム挑戦公社(MCC)事業について話し合いがもたれた。MCCは4億8000万ドルをかけ道路整備と土地所有者データ整備の2つの事業を行うことを提案していた。しかし後者に関し,データ整備後に外国企業などが土地を安く買いたたくのではないかとの危惧が国有資産保護の観点から表明され交渉は難航した。
10月末のポンペオ国務長官来訪前に,新たに国務次官補代理(南・中央アジア担当)に就任したディーン・トンプソンが「差別的で不透明な方法ではなく,透明で持続可能な経済発展のための選択肢を検討するよう勧める」と述べた。これは事実上,スリランカに対して中国との関係見直しを迫る発言であった。これに対し中国大使館は,「国務長官訪問を利用して中国とスリランカの関係に干渉し,弱い者いじめをすることに強く反対する」と表明した。
中国のこうしたけん制もあってか,大統領とポンペオ国務長官の直接会合において,MCCや前年に話題となった地位協定(SOFA)については取り上げられなかった。会談後の大統領府のプレスリリースは「いかなる状況であれ,対外関係のために国家の独立,主権,領土保全を危うくすることはできない」と明言した。スリランカから肩すかしを食らったポンペオは,外相との記者会見で中国共産党を「捕食者」と呼び,強い表現で中国を批判した。スリランカはアメリカに対し投資や経済協力を求めていたが,アメリカは12月中旬にスリランカに対するMCC事業を止めることを決定した。
日本とのLRTプロジェクトの中止日本とスリランカは2017年,コロンボの深刻な交通渋滞を緩和するため,コロンボ郊外のマーラベと中心地を結ぶ全長16キロメートルのLRT建設で合意した。これは総額22億ドルのプロジェクトで,日本からスリランカへの借款条件は,本体建設費用にかかる利子率が0.1%,償還期間40年,うち据置期間(利子のみ返済)12年であった。これは,過去10年間にスリランカが受けた一般的な融資の返済利子率5~6%,償還期間5年からすると極めて譲許的なものであった。すでに2020年3月には工事を開始したものの,6月に一時的に停止された。しかし9月になり,政府は,コストに見合う効果がないという理由で,取りやめると日本側に公式な通知も相談もなく一方的に決定した。
ECTプロジェクトに次ぐ突然の事業中止発表は,スリランカのイメージに悪影響を与える可能性があると国内でも問題視された。中止の理由として,スリランカの財政的な問題を指摘する声もあるが,マヒンダ首相と中国との関係の強さを指摘し,再び中国に傾倒するのではないかとの憶測も流れた。
2021年の重要課題のひとつは新型コロナウイルス感染症対策である。すでに2021年1月末,インドから送られたワクチンの接種が始まり順調に進んでいる。感染の抑え込みのほか,政府には新型コロナウイルス感染症がもたらす不安や不満を政治問題化させず,コントロールしてゆくことが求められる。
現政権の人権問題に対しては,西欧諸国や国連機関が厳しい目を向けている。西欧諸国は,内戦末期や終結直後の人権問題の解決を求めるが,それはシンハラ人を中心とする軍関係者への処罰を伴い,政権の支持基盤であるシンハラ仏教徒の期待を裏切ることになるため,対処が難しい。
経済面では輸入代替など内向きの政策がとられているが,国内生産を増強し,また高付加価値化するには,対外交易や国外の支援が不可欠である。しかしながら前政権で合意されたプロジェクトの相次ぐ中止は,国際社会でのスリランカの信用性を損ないかねず,ビジネスにもマイナスの影響を及ぼす可能性がある。政府には支持基盤のシンハラ人仏教徒の要求と対外関係のバランスを考慮しつつ,慎重な判断をしてゆくことが求められる。
(地域研究センター)
1月 | |
3日 | ゴタバヤ・ラージャパクサ大統領,国会で政策演説。 |
4日 | 統一国民党(UNP)のランジャン・ラマナヤケ国会議員,銃の不法所持で逮捕。 |
13日 | アメリカの南・中央アジア担当国務次官補代理アリス・ウエルズ,来訪。 |
14日 | 中国の王毅外相,来訪。 |
14日 | ロシアのラブロフ外相,来訪。 |
14日 | 犯罪捜査局(CID),司法への介入容疑でランジャン・ラマナヤケを逮捕。 |
16日 | UNP中央委員会,ラニル・ウィクレマシンハ総裁らが退席し何も決めずに流会。 |
16日 | スリランカ自由党(SLFP)中央委員会,次期国会総選挙でゴタバヤ支持を決定。 |
18日 | インド国家安全保障顧問アジット・ドヴァル,来訪。 |
24日 | コロンボ高等裁判所,2008~2009年の11人誘拐事件で海軍関係者13人保釈。 |
27日 | 中国人観光客,新型コロナウイルス陽性と判明。2月19日退院。 |
29日 | UNP作業部会からサジット・プレマダーサ支持者らが除外される。 |
29日 | 中央銀行(中銀),政策金利を0.5ポイント引き下げ。 |
30日 | 中銀,国債スキャンダルに関する法廷会計報告書を国会に提出。 |
30日 | UNP作業部会,野党リーダーのサジットをUNP選挙連盟のリーダーに選出。 |
2月 | |
1日 | 中国・武漢よりスリランカ人留学生ら34人,マヒンダ・ラージャパクサ国際空港(MRIA)に到着。 |
5日 | イースター・テロを防げなかったとして逮捕されていた元警察長官プジット・ジャヤスンダラと元国防次官ヘーマシリ・フェルナンド,保釈。 |
7日 | マヒンダ・ラージャパクサ首相,インド訪問(~11日)。 |
14日 | アメリカ,内戦末期の人権侵害を理由にシャヴェンドラ・シルヴァ参謀長の入国禁止。 |
14日 | 元駐ロシア大使ウダヤンガ・ウィーラトゥンガ,MiG-27購入時の着服容疑で逮捕。 |
20日 | 大成建設,バンダラナイケ国際空港の新ターミナル工事を受注。 |
23日 | 南部高速道路のマータラ=ハンバントタ間,開通。 |
26日 | ディネシュ・グナワルダナ外相,国連人権理事会に出席し,スリランカが2019年にアメリカと共同で発出した国連決議40/1への支持を取り下げると表明。 |
28日 | UNP作業部会,統一人民の力(SJB)の規定について合意。 |
3月 | |
2日 | 大統領,国会を解散。 |
2日 | SJB初集会開催。正式に発足。 |
9日 | SJB,党のシンボルを電話機とする。 |
10日 | 政府,イタリア,韓国,イランから帰国したスリランカ人に2週間の隔離義務づけ。 |
11日 | 国内2例目(スリランカ人としては初)の新型コロナウイルス感染者を確認。 |
12日 | 国会議員選挙の立候補者登録開始(~19日)。 |
14日 | 保健大臣,集会開催を2週間禁止。 |
15日 | モディ印首相,南アジア地域協力連合(SAARC)諸国に呼びかけ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)基金設立を提案。 |
16日 | 中銀,政策金利を0.25ポイント引き下げ。 |
17日 | 大統領,テレビ演説でCOVID-19対策を発表。国民に協力を呼びかけ。 |
19日 | 選挙管理委員会,国会総選挙の無期限延期を決定。 |
19日 | 海外からの到着便受け入れ一時停止。 |
20日 | 午後6時から23日午前6時まで外出禁止令発令。 |
23日 | 午後2時より再度外出禁止令。 |
23日 | COVID-19基金設立。大統領,寄付を呼びかけ。 |
24日 | 元空軍チーフのロシャン・グナティラケ,西部州知事に就任。 |
25日 | 空港到着ターミナル無期限閉鎖。 |
26日 | 2000年に民間のタミル人8人を殺害した容疑で2015年6月に死刑判決を受けた元軍人スニル・ラトナヤケに大統領特別恩赦。 |
28日 | 国内初の新型コロナウイルスによる死者確認。 |
30日 | COVID-19対策タスクフォース第1回会合開催。物資の供給方法などについて議論。 |
31日 | 選挙管理委員会,大統領府に選挙実施日に関し書簡。翌日には2通目を送付。 |
4月 | |
4日 | 中銀,前月に続き政策金利を0.25ポイント引き下げ。 |
9日 | スリランカ・ルピー,一時1ドル=194ルピーに下落。 |
12日 | 新型コロナウイルスによる死者の火葬を義務付ける官報発出。 |
14日 | CID,リシャード・バディユディーン議員の弟のリヤージを2019年のイースター・テロ関連で逮捕。 |
20日 | 選挙管理委員会,6月20日に総選挙を行うと発表。 |
21日 | セントアンソニー教会で2019年のイースター・テロ犠牲者を追悼。 |
23日 | コロンボ近郊ヴェリサラの海軍キャンプで29人が新型コロナウイルス陽性と判明。1人目の発見は22日。 |
29日 | 大統領,新型コロナウイルス感染症は突発的な急増があるものの全体としてみると「コントロール下にある」と発言。 |
30日 | 首相,元議員らを5月4日に首相公邸(テンプルツリー)に招集すると発表。 |
5月 | |
1日 | 大統領,国会の再開はないと明言。 |
2日 | 教育省,学校のデング熱対策を指示。 |
4日 | 首相,元議員らと話し合い。SJB,UNP,人民解放戦線(JVP)などは不参加。 |
6日 | 中銀,前月に続き政策金利を0.5ポイント引き下げ。 |
8日 | アメリカ国籍放棄者リストに大統領の名前掲載。 |
11日 | 外出禁止令下のコロンボ,ガンパハ,カルタラ,プッタラム県で政府機関・民間企業が始動。 |
12日 | 中銀,欧州委員会がスリランカを資金洗浄高リスク国から除外と発表。 |
13日 | 大統領,習近平中国国家主席と電話会談。 |
23日 | 大統領,モディ印首相と電話会談。 |
26日 | セイロン労働者会議(CWC)総裁のアルムガム・トンダマン死去(56歳)。 |
26日 | 全土で外出禁止令緩和。 |
30日 | 再び全土で外出禁止令。 |
6月 | |
2日 | 最高裁,国会解散と選挙実施に関する基本権訴訟を棄却。 |
3日 | 治安維持のための大統領特別タスクフォース設立の官報発出。 |
10日 | 選挙管理委員会,総選挙を8月5日に行うと発表。 |
13日 | 大統領府,外出禁止時間を午後12時から午前4時までに短縮。 |
19日 | タミル・イーラム解放の虎(LTTE)元メンバーのカルナことV・ムラリタラン,自分はコロナウイルスよりも多くを一晩で殺し,危険な人物と発言。 |
25日 | 大統領,パキスタン首相と電話会談。 |
25日 | アメリカのミレニアム挑戦公社(MCC)に関する専門家委員会,最終報告書を大統領に手交。 |
28日 | 大統領府,外出禁止令完全解除を発表。 |
7月 | |
1日 | 世界銀行,スリランカを上位中所得国から下位中所得国に分類変更。 |
2日 | 港湾労働者組合,コロンボ港東ターミナル(ECT)開発事業へのインドの参入に反対してスト開始。 |
3日 | 大統領,ECT開発に関する調査委員会を任命。 |
8日 | 中銀,政策金利を1.0ポイント引き下げ。 |
12日 | ポロンナルワ県のコロナ感染者療養施設で感染クラスター発生。 |
14日 | クルネーガラで「13世紀のシンハラ人王にまつわる遺跡」が破壊される。 |
16日 | UNP,選挙マニフェスト発表。 |
20日 | SJB,選挙マニフェスト発表。 |
28日 | UNP作業部会,SJBから総選挙に立候補した54人を除名すると発表。 |
31日 | 元CID局長のシャニ・アベセーカラ,証拠隠滅・ねつ造で逮捕される。 |
8月 | |
2日 | 選挙活動最終日。 |
5日 | 総選挙投票日。 |
6日 | スリランカ大衆党(SLPP),225議席中145議席を獲得する地滑り的勝利。UNPは比例の1議席のみ獲得。 |
6日 | モディ印首相,マヒンダに祝意。 |
8日 | 中国大使代理,首相に祝意。 |
9日 | マヒンダ,首相就任。 |
12日 | 閣僚28人,副大臣ら40人,キャンディで就任宣言。 |
16日 | 小規模穀物開発・輸出担当大臣,ターメリックの輸入制限の一時的解除を発表。 |
17日 | 全土で7時間停電。 |
18日 | バティカロア高裁,ピリヤンことシヴァネサトゥライ・チャンドラカンタンの国会出席を許可。 |
20日 | 第9次国会,開会。 |
28日 | 暫定予算(VOA),国会を通過。 |
30日 | エスパー米国防長官より大統領に架電。 |
9月 | |
3日 | パナマ船籍のタンカー・ニューダイヤモンド,スリランカの東海岸で火災。一旦鎮火したものの7日に再燃。9日に鎮火。 |
7日 | 首相,牛の屠殺を禁止する法律を審議すると語る。 |
8日 | SLPP所属で2015年大統領選挙活動中の殺人で逮捕されたプレマル・ジャヤセーカラ死刑囚,国会で議員として宣誓。SJBは退場して抗議。 |
14日 | ルワン・ウィジェワルダナ,無記名投票でUNP副リーダーに選出。 |
14日 | 大統領,2030年までに70%を再生可能エネルギーにすると発言。 |
22日 | 政府,第20次憲法改正案を国会に提出。野党議員,プラカードを掲げて抗議。 |
24日 | 政府,日本政府とコロンボで実施予定であった中量軌道交通(LRT)プロジェクトに関する契約の破棄を発表。 |
26日 | 首相,モディ印首相とオンライン会議。 |
28日 | 格付け会社のムーディーズ,スリランカをB2からCAA1に2段階引き下げ。 |
10月 | |
2日 | 警察,リシャード議員の弟リヤージを証拠不十分で釈放と発表。 |
4日 | ガンパハ県ミヌワンゴダの衣類工場に勤務する従業員,新型コロナウイルスへの感染確認。 |
5日 | 前大統領のシリセーナ,2019年4月のイースター・テロの責任は国防次官と警察長官にあると調査委員会で証言。 |
8日 | 元中国外相の楊潔篪来訪。大統領と会談し,「一帯一路」協力強化で合意。 |
19日 | リシャード・バディユディーン国会議員,2019年選挙において資金を不正使用した件で逮捕。 |
22日 | 第20次憲法改正案,国会で審議。156対65の賛成多数で通過。 |
22日 | アメリカの南・中央アジア担当国務次官補代理ディーン・トンプソン,スリランカに中国かアメリカかの選択を迫る。 |
23日 | ガンパハ県ペリヤゴダ魚市場で複数の新型コロナウイルス感染者を確認。 |
27日 | ポンペオ米国務長官来訪。大統領および外相と会談。 |
28日 | 国会議長,第20次憲法改正に署名。 |
29日 | 西部州に外出禁止令発令。西部州からの移動も制限。 |
30日 | 国内のコロナ感染者1万人超え。 |
30日 | 新中国大使,戚振宏着任。 |
11月 | |
3日 | 大統領,新型コロナで死亡したムスリムの葬儀に関する調査委員会を任命。 |
6日 | 政府,コメ30万トン買い上げを発表。 |
9日 | 大統領,新型コロナにより死亡したムスリムのための埋葬地探しを命令。 |
12日 | 国連常駐調整官ハナー・シンガー,新型コロナで死亡したムスリムの火葬強制に関して首相に書簡。 |
17日 | 首相,国会で予算演説。 |
17日 | 前漁業・水産資源担当大臣のディリプ・ウェダアラチ,新型コロナウイルス感染クラスターとなった魚市場の安全性を示すため記者会見で生の魚を食す。 |
18日 | 大統領,就任1周年演説。 |
19日 | 新任の中国大使戚振宏,大統領と会談。スリランカへの継続的な支援を強調。大統領は融資より投資を求めると強調。 |
19日 | スリランカ投資局長官,山東昊華輪胎およびハンバントタ港開発管理会社,ハンバントタ工業地区にタイヤ工場建設で合意し署名。 |
23日 | プジット前警察長官の代理を務めていたC・D・ウィクレマラトネ,35代警察長官に任命される。 |
23日 | 大統領,公安省を新設。自身も新設のテクノロジー省大臣を兼任。 |
23日 | コロナ感染者2万人超え。 |
27日 | 来訪中のインド国家安全保障顧問アジット・ドヴァル,首相と会談。28日に大統領と会談。 |
29日 | コロンボ郊外のマハラ刑務所で暴動。囚人8人死亡。刑務官を含む71人負傷。 |
12月 | |
3日 | 大統領,選挙管理委員会,警察委員会,ソーシャル・サービス委員会委員を任命。 |
8日 | 2015年1月~2019年11月の政治的報復調査委員会,報告書を大統領に手交。 |
9日 | コロナ感染者3万人超え。 |
10日 | 国会で予算通過。 |
14日 | モルディブ外務省,新型コロナにより死亡したムスリムに埋葬地を提供するとSNSで発信。 |
15日 | 最高裁で小火災発生。 |
15日 | 統計局,第2四半期の対前年比経済成長率はマイナス16.3%と発表。 |
16日 | アメリカ,スリランカへのMCC支援を行わないと決定。 |
18日 | 西部州から他州に向かう車両で新型コロナウイルスの迅速抗原検査(RAT)をランダムに実施。 |
26日 | コロナ感染者4万人超え。 |
28日 | MRIAにウクライナからの観光客185人到着。観光客の到着は9カ月ぶり。 |
29日 | マーワネッラの仏教施設で投石。 |
30日 | ウクライナ人観光客3人が新型コロナウイルス陽性と判明。 |
(出所)内閣府ウェブサイト掲載大臣名簿(http://www.cabinetoffice.gov.lk/cab/index.php?option=com_content&view=article&id=25&Itemid=23&lang=en)。
内閣府ウェブサイト掲載特定問題担当大臣名簿(http://www.cabinetoffice.gov.lk/cab/index.php?option=com_content&view=article&id=41&Itemid=74&lang=en)。
各省庁の役割,特定問題の詳細および各省庁の所管する機関・依拠する法律について以下に詳しい。The Gazette of the Democratic Socialist Republic of Sri Lanka(http://www.cabinetoffice.gov.lk/cab/images/Downloads/functions_2020-10-06_E.pdf).
(注)1)暫定値。2)労働力人口は15歳以上。3)2015年11月より基準年が2013年に変更された。年末の対前年比。4)2020年は4四半期の平均。
(出所)Central Bank of Sri Lanka,Annual Report 2020,KEY ECONOMIC INDICATORS.
(注)1)改定値。2)暫定値。
(出所)Central Bank of Sri Lanka,Annual Report 2020, Appendix TABLE 9.
(注)1)改定値。2)暫定値。
(出所)Department of Census and Statistics, National Accounts Estimates of Sri Lanka-Provisional Estimates for the Year 2020. Table 3: A10.
(注)1)暫定値。
(出所)Central Bank of Sri Lanka,“Press Release-External Sector Performance" 各月版より作成。
(注)IMF国際収支マニュアル第6版に基づく。金融収支の符号は(+)は資本流出,(-)は資本流入。
1) 改定値。2)暫定値。
(出所)Central Bank of Sri Lanka,Annual Report 各年版。
(注)1)暫定値。
(出所)Central Bank of Sri Lanka,Annual Report 2020, Appendix TABLE82, 83.