2021 年 2021 巻 p. 539-564

2020年のパキスタンは年明け早々から,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の危機に直面した。新型コロナウイルスへの対策は軍が主導し,大方の予想に反して患者の増加を食い止めることに成功したものの,秋以降は急速な感染者増加に転じ,2020年末までに感染者48万人,死者1万人を数えた。
内政では,ハーン政権が重要政策として掲げてきた政治家の汚職追及の結果,取り締まり対象となる野党政治家は野党への迫害であると反発し,むしろハーン首相の背後にいる軍批判へ発展させる形で政権打倒を掲げる運動を開始した。
2019年にスタートしたIMFによる条件付き融資である拡大信用供与措置(Extended Fund Facility:EFF)を受けて,2020年は痛みの伴う構造改革,緊縮財政・金融政策に取り組むはずであった。ところが,コロナ禍を受け,EFFの第3回分供与4億5000万ドル分が一時停止となった一方で,IMFは緊急融資として14億ドルを承認した。IMFの条件から解放されたパキスタンは,タガが外れたように,これまでの緊縮財政・金融政策を180度転換した。前年に3.25ポイントも引き上げた政策金利は,3月から6月までに,一気に6.25ポイント引き下げ,7%となった。
対外関係では,インドとの緊張が続き,アフガニスタンとは和平を契機として関係改善への動きが始まった。フランスのムハンマド風刺画問題はパキスタンでも波紋を広げている。中国は香港への国家安全維持法導入で国際社会の批判を受けたが,パキスタンは中国を支持し,バッタ大量発生による農業被害で支援を受けるなど,関係は安定している。
パキスタンでの新型コロナウイルス防疫策は,陸軍を中心に行われた。ウイルスが蔓延し始めた1月,中国の武漢にはおよそ500人のパキスタン人留学生が滞在していた。日本を含め諸外国は中国にいる自国民を帰国させるための特別機を飛ばしており,パキスタンでもそのような措置を求める声があった。しかしハーン首相はウイルスが国内に持ち込まれるのを避けることを優先し,これら留学生を帰国させないことを決断した。パキスタン航空(PIA)は1月30日,中国本土との往復フライトを2月2日まで一時停止すると発表した。政府当局も追随するかたちで31日,すべての往復フライトの一時停止を発表した。当初は,他の国と同様それほど新型コロナウイルスに対する危機意識がなかったこと,また,春節に帰国した中パ経済回廊(CPEC)事業に従事する中国人労働者の多くがパキスタンに戻ってこられなくなったことなどから,一時停止期間が明けた2月3日には早くもフライトが再開された。しかし24日,PIAは中国との往復フライトを再度一時停止するとした。
26日,イランへのシーア派巡礼の旅からの帰国者に国内で最初の陽性が確認されると,政府はイランとの往復フライトを停止するとともに,カラチを含むシンド州南部,イランとの国境であるバロチスタン州南西部の学校を閉鎖した。3月2日にはアフガニスタンとのチャマン国境が,また16日までには中国との国境を含むすべての国境が閉鎖された。3月13日開催の国家安全保障会議では,ウイルスとの戦いの国家戦略が発表され,国内すべての教育機関の閉鎖を決定した。この時点で確認された感染者は28人とされていた。その後17日付の報道によると,ザファルッラー・ミルザー首相特別補佐官が全国の感染者数を94人と発表した。これに対し,シンド州で150人,ハイバル・パフトゥーンハー(KP)州では15人,バロチスタン州は5人,パンジャーブ州で1人,イスラマバードは2人など,各州から政府発表に反する数字が続々と上がってきた。初期において中央政府は州政府との連携が取れず,実態を掴むことができていなかったのである。
3月19日に,国内で初めて新型コロナウイルスへの感染による2人の死者が確認されると,厳しい措置がとられるようになった。2人はそれぞれサウジアラビアとドバイからの帰国者だったため,21日より,国際線の定期航路が停止された。そして,国内の航空便,鉄道も全面運休となり,州を跨ぐ陸路の移動制限が全土で行われたが,中央と州との連携がとれずに混乱が起きた。とくにパキスタン人民党(PPP)が政権を握るシンド州政府が,中央の正義運動党(PTI)政権と激しく対立した。
こうした中央・州関係の悪化が適切な感染対策に支障をきたすとみた陸軍は,3月27日,自ら主導して国家指揮運用センター(National Command Operation Center:NCOC)を設置した。これは既存の国家調整委員会(ハーン首相が議長を務め,閣僚と陸海空三軍の参謀長が参加)の下に置かれ,アサド・ウマル計画・開発・特別イニシアティブ相が主宰し,実務統括はハムード・ザマン・ハーン陸軍中将が担当した。この体制の下で,連邦政府,州政府,地方自治体,軍,警察,医療機関,運輸機関が有機的に連携して,感染状況などの情報を集約,分析し,対策を立てることが目指された。同時にウマル計画・開発・特別イニシアティブ相は,14日までの全土にわたるロックダウン(都市封鎖)を公式に発表した。ロックダウンは4月30日まで,5月9日までと,再々延長された。
ハーン首相は当初,パキスタンの脆弱な経済,とりわけ貧困層への影響を懸念してロックダウンには慎重で,PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査の拡大により感染者をみつけ出し,感染源・感染経路を特定することで必要最小限の場所だけを閉鎖するスマートロックダウンと称する政策にこだわった。しかし,州政府は独自のロックダウン措置をとりつつあったし,国民もすでにロックダウン行動をとっていた。そういった事実上のロックダウンに押されるかたちで,公式なロックダウンの発表となったが,今さら感は強かった。
NCOCは実際,感染症対策に目覚ましい成果を上げた。イギリスのロンドン・インペリアル・カレッジは,パキスタンの感染者は最悪の場合6月末までに200万人を超えるだろうと予測していた。しかしながら,大方の予測に反して1日当たりの感染者数は6月20日の6825人をピークとして減少に転じた。9月初めまでに,1日の新規感染者数は300人台で安定し,休校となっていた学校や大きな感染源とされた結婚式場の営業再開も可能となった。
ところが,10月に入ると新規感染者は再び増加した。10月29日には1日の新規感染者は1000人を超え,パキスタン政府は再度ロックダウン実施を余儀なくされた。同日より当面の間,公共の場所におけるマスク着用が義務化された。また政府は,マーケットやレストランなどの営業を22時までに制限し,娯楽施設および公園の18時以降閉鎖を発表したが,1日の感染者数は11月25日に3000人を超えた。そこで,11月26日より2021年1月10日まで教育機関の一斉休校が発表された。12月31日付DAWN紙が報じたところによれば,12月30日に累計死者数が1万47人となり,感染者数47万7240人となった。
ハーン首相による汚職追及ハーン首相は2018年の政権発足以来,汚職取り締まりを主要な政策のひとつに掲げ,これまでナワーズ・シャリーフ元首相をはじめ多数の政治家を摘発・起訴してきた。汚職撲滅は長くパキスタン政治の課題でありながら,政争の具とされるばかりで成果が上がっていなかった。既成の政党にはない清新さを自認するハーン政権にとって,この問題こそ国民に最も強く訴えたい政策だといえよう。
パキスタン・ムスリム連盟ナワーズ派(PML-N)のシャリーフ元首相は2018年7月にロンドンに所有するアパートの取得をめぐる汚職の罪で禁錮10年の判決を,同年9月にはさらにサウジアラビアの製鉄所建設資金をめぐる汚職で禁錮7年の刑を受けて収監されていた。ところがシャリーフは刑務所で体調が悪化したため,2019年11月に4週間の期限つきで治療のための渡英が認められた。しかし4週間後になっても帰国せず,医師の診断書の提出もなかった。そのため,2020年2月26日に政府は彼を逃亡者と宣言した。パキスタンとの間に犯罪人引き渡し条約がないイギリス政府はパキスタン政府からの引き渡し要求に応じていない。またシャリーフ元首相の弟で現PML-N党首のシャハバーズが,8月6日に長男が経営する砂糖工場の排水溝建設に公金を横領した罪で,11月11日には他人名義の口座を開設して資金洗浄した罪で起訴されている。
汚職追及の手はPPPにも及んだ。ザルダリ共同総裁が8月28日に他人名義の口座を開設して資金洗浄した罪で起訴されるなど,複数の汚職で追及を受けている。またザルダリの息子でともに共同総裁を務めるビラーワルも,父と共謀してイスラマバードの土地を不当に安価に入手した罪で10月5日に起訴された。さらに,外国要人から贈られた高級車をザルダリが不正に取得した際にギーラーニー元首相が便宜を図ったとして9月9日に起訴されている。
このように,野党の主要政治家が相次いで摘発,起訴される状況については,野党は魔女狩りであるとか野党への迫害であるとして,ハーン政権批判の材料にしている。しかし罪状が虚偽であるという主張はしていない。
野党結束と与野党対立の行方政権による野党政治家への厳しい汚職追及を背景に,9月20日にイスラマバードで野党11党が会合し,PTI政権打倒を目標とするパキスタン民主運動(PDM)を結成した。11党は,2大政党であるPML-N,PPPのほか,イスラーム・ウラマー党ファズルルラフマン派(JUI-F),アワーミー民族党(ANP),バロチスタン国民党メンガル派(BNP-M),アハレハディース党(JAH),国民党ビゼンジョー派(NP-B),パキスタン・ウラマー党(JUP),パシュトゥン民族党(PMAP),パシュトゥン防衛運動(PTM),そして国民祖国党(QWP)である。10月19日にはカラチで集会を開いていたPML-Nのムハンマド・サフダル(シャリーフ元首相の女婿)がジンナー廟で政治活動をした罪で逮捕された。即日釈放されたものの,カラチでは大きな抗議運動が起こった。

PML-NとPPPの2大政党がこのようにひとつの敵に対抗して団結するのは2008年の選挙後にできた連立政権以来である。この時にはムシャッラフ大統領の弾劾という共通の目的のもとに団結し,連立政権は間もなく解消したものの,その後も両党は結束して議会の力でムシャッラフ大統領を辞任に追い込み軍事政権を終わらせるという未曾有の成果をあげた。今回は,実際に汚職に手を染めている2大政党の政治家がその取り締まりに反発して他の野党を巻き込んで団結し,政権打倒を目指しているようにみえる。現政権が支持を集めた理由のひとつは2大政党政治家たちの腐敗ぶりであるため,同運動がどこまで国民の支持が得られるかはわからない。
PDMの政治家にそのような認識があるのか否かは不明であるが,彼らの批判はハーン政権を支えている軍へも向けられている。PML-Nのシャリーフ元首相は,9月20日の結成会議でロンドンからオンラインで演説し,「私たちの国では,文民政権ができるといつも,戒厳令が敷かれるか,もしくは文民政権より強いもうひとつの政府が並存する(Parallel Government)。私たちの最優先課題は,代表でもなく能力もないのに選ばれた政府を取り除くことだ」と述べて,「(PDM参加政党に期待することとして)もうひとつの政府の並存というパキスタンの根本的な問題を解決する包括的なプラン」を求めた。並存する政府とは,いうまでもなく民主政権の背後にある軍のことを指している。軍の影響力から独立した政治の確立を目標としているというPDMの主張が,単なる権力闘争を覆う表向きのきれいごとではないことを証明するには,今後もこれらの野党がそれぞれの利害を超えて結束し,自らの身を正したうえで正当性を示す必要があるだろう。
法の番人としての司法の動き前年に続き司法は政府や軍の影響下にありながらも独立した動きをみせた。2019年に最高裁は,首相が目指した陸軍参謀長の任期延長を,首相に任命権限はなく必要な手続きも経ていないとし問題視した。この問題は,2020年1月に改正三軍法が成立したことによって決着し,参謀長の任期は3年,最大3年までの延長が認められることとなった。
2020年に入っても,司法が法の番人としての機能を果たしている。最高裁は2020年3月17日,2018年7月に逮捕,起訴されたラフィーク元鉄道相の保釈を決定した。そして保釈の嘆願があったにもかかわらず,汚職審査局(National Accountability Bureau:NAB)が起訴後16カ月にわたって勾留を続けたことについて,最高裁はNABを厳しく批判した。そもそもNABが根拠とする汚職取締法(National Accountability Ordinance)は,1999年にクーデタ後まもないムシャッラフ軍事政権が野党の弱体化をねらい成立させたもので,以後汚職対策に強い効果を発揮してきた。NABは捜査権と起訴権を持つ独立の機関であるため,いわば軍の影響力を反映しうるもうひとつの司法機関である。そのため最高裁は従来からNABの捜査手法に違法性があるなどとして,批判を続けている。最高裁によるNAB批判は,間接的に軍に対する苦言となっているといえよう。野党も政権の汚職取り締まりはNABを利用した野党弾圧であると批判している。
ムシャッラフ元大統領の死刑判決無効の判断2020年1月13日,ラホール高裁は特別法廷の設置手続きが違法であったという判断を示し,ムシャッラフ元大統領への死刑判決は無効となった。ムシャッラフ元大統領は2007年に非常事態宣言をだして憲法を停止した。これに対して2019年12月,イスラマバード特別法廷が反逆罪で死刑の判決を言い渡した。同判決を不服とした元大統領はラホール高裁に控訴していたのである。特別法廷を設置して起訴手続きを開始したのはナワーズ・シャリーフ前政権であったが,現ハーン政権はこの判決後,上訴していない。ムシャッラフ元大統領はドバイで亡命生活を送っている。
改善しつつも続く治安への懸念2020年もパキスタン国内で発生したテロ件数は減少を続け,前年より36%減の146件,犠牲者は220人であった。パキスタン平和研究所(PIPS)の分析によると,テロ実行犯別では,パキスタン・ターリバーン運動とその派生グループ,ラシュカレ・イスラームあるいはIS(「イスラーム国」)の影響を受けた集団など,イスラーム武装勢力によるものが146件のうち95件を占めており,140人の犠牲を出した。それ以外では,シンドやバロチスタンの民族主義勢力によるものが44件で,前年の57件から減少したものの71人の命が失われた。スンナとシーアの宗派間抗争によるテロは7件で9人が犠牲となったが,前年のおよそ半分に減少している。
テロの発生地をみると,最多はKP州の79件,うち75件は前述のイスラーム武装諸勢力によるもので,31件は北ワジリスタンで起きている。それに次いでバロチスタンでは42件のテロがあり,いずれの地域でも,治安機関を狙った攻撃が最も多くなっており,宗教的というよりむしろ反政府的な動機が推測される。
そのようななか,12月15日に,カラチ市クリフトンの中華料理店前で車両から不審物が見つかった(被害はなし)。さらに同日,カラチ大学付近でレンジャー(準軍組織)の車両に対して手榴弾が投げ付けられる事件が発生した。いずれもシンド革命軍(SRA)が中国人技術者とレンジャーを攻撃した旨の犯行声明を出した。また12月22日夕,カラチのスーパーハイウェイ沿いの中国系自動車メーカーの車両展示場で,オートバイの2人組が中国人の運転する車両に発砲した。負傷者はなかったが,SRAが「中国人技術者を攻撃した」と犯行声明を出した。「一帯一路」で存在感を増しながら,地元経済への裨益が少ないとされる中国の進出に対する反感は依然として一部に根強いように思われる。
(井上)
新型コロナウイルスの蔓延と感染対策のロックダウンを受けて,実質国内総生産(GDP)成長率は,10年ぶりの低水準であった前年度の1.9%からマイナス0.4%へとさらに落ち込んだ。マイナス成長は68年ぶりである。セクター別では,農業部門が前年度比2.7%(前年度0.6%),工業部門がマイナス2.6%(同マイナス2.3%),サービス部門がマイナス0.6%(同3.8%),の伸びであった。とりわけ,ロックダウンによる移動制限の影響を直接受けた輸送・運送業,消費需要や輸出減少の影響を受けた自動車やテキスタイルなどの製造業および流通業は落ち込んだ。ただ,ロックダウンにすべてを帰するには無理がある。たとえば,自動車製造業は前年度比マイナス43.8%と,製造業部門の足を最も引っ張っているが,緊縮政策によるルピー下落や金利の上昇を受けて,すでにコロナ禍以前に前年同期比マイナス35.1%となっていた(図1)。

(出所)State Bank of Pakistan, Annual Report 2020.
農業では,2020年の初めから,サバクトビバッタがシンド州,また従来の移動ルート上になかったパンジャーブ州各地にも襲来し,とりわけ乾季(冬季)作物への甚大な被害,食料価格の高騰が懸念された。1月31日,ハーン首相は緊急事態宣言発令を決定し,軍を動員して虫の駆除が行われた。4月以降は,新型コロナウイルス対策で殺虫剤散布の人手の確保が難しく,国境が閉鎖されたり物流が滞ったりしたために殺虫剤の入手も困難になった。報道ではバッタによる被害が深刻なことが強調されているが,中央銀行発表の統計をみる限り,小麦などの生産量はむしろ増加しており,被害をことさら強調するのは時期尚早であろう。
2019年にIMFによる条件付き融資であるEFFをとりつけ,国際収支危機はかろうじて乗り越えたものの,構造的な問題である経常収支赤字をいかに抑えるか,また輸出をいかに促進するかは大きな課題のままであった。そのようななか,コロナ禍を受けた輸出向け製造業の落ち込みはひどかった。たとえば,輸出のおよそ60%を占めるテキスタイル部門は,その最大の輸出先であるEU諸国やアメリカの需要の落ち込みにより,輸出が大きく減少した。パキスタンにとってEUは,テキスタイルの輸出量の2分の1(離脱したイギリスを除いてもなお3分の1),アメリカは単独で4分の1近くを占める市場である。3月7日,ダーウッド商業・工業・投資に関する首相顧問が,EUが一般特恵関税(GSP)プラスの供与を2022年まで2年延長することを決定したと発表し,EU向けの輸出業者に追い風となるはずであった。しかし,それがまったくくじかれた格好となり,輸出は前年度比7.5%減であった。ただ,新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて,国内製造業やCPEC関連の電力・建設部門の輸入が減ったこと,パキスタンが輸入に依存している国際原油の価格が50%も下落したこともあり,輸入も前年度比19.3%減となった。結果,貿易収支赤字は227億ドルと,前年度より30%削減された。
これまで,伸び悩む輸出と,CPECに関連して急増した輸入による貿易収支赤字を補うかたちで,海外労働者送金が経常収支赤字の改善に貢献してきた。コロナ禍により,中東諸国の出稼ぎ労働者の出戻りや送金の停止が危惧されていたが,予想に反して労働者送金は順調に伸びた結果,前年度比6.4%増の231億ドルとなった。そして経常収支赤字は30億ドルと,前年度より93%削減され大幅に改善した。
IMFによるEFFの条件を満たすべく,新型コロナウイルス発生前は,緊縮財政・金融政策がとられていた。とりわけ金融政策は,元IMFエコノミストであるレザ・バーキルがパキスタン中央銀行(SBP)の総裁に就任するやいなや,2019年7月に政策金利を5年ぶりの高水準である13.25%まで引き上げ,保持する厳しい措置がとられた。このため,短期国債が買われ,外国からのポートフォリオ投資資金が流入するとともに,輸入の減少とあいまって,外貨準備高が増加した。これにより,EFFの条件下で2019年に進行したルピー安に歯止めがかかった。ところが新型コロナウイルスの蔓延により,これらの緊縮財政・金融政策は一気に反転した(後述)。3月以降は,資本流出に歯止めがかからずにルピー安が進行し,結局2019/20年度末で前年度末比3.6%安の1ドル=167.83ルピーとなった。ただ,IMFによるコロナ禍の緊急融資を受けたこともあって,2019/20年度末の外貨準備は39%増の188億ドルとなった。
一方で,コロナ禍前の緊縮金融政策にもかかわらず,消費者物価指数(CPI)は1月には10年ぶりの高水準となり対前年同月比14.6%を記録した。食料価格の高騰が大きく寄与している。主要作物の小麦や砂糖きびが豊作であったにもかかわらず,これらの価格が高騰した背景には,中間業者による買い占めと価格操作が指摘されている。4月5日,バフティアル国家食糧安全保障大臣は,親族がこれらの操作に関与したとの疑いで辞職した。3月以降は,このようなインフレ傾向のなか,新型コロナウイルスによる経済的影響を軽減するため,財政・金融政策ともに緩和せざるをえなかった。ロックダウン措置などにより国内消費が伸び悩み,また石油に起因する燃料価格が下落したことで,ある程度インフレ抑止力になったにもかかわらず,2019/20年度のインフレ率は前年度の6.8%より上がり,10.7%であった。
IMFの融資条件と緊縮財政・金融政策パキスタンが2019年にIMFから支援を受けたEFFは,向こう39カ月にわたる約60億ドルの条件付き融資であり,国際収支危機に陥っていたパキスタンが,なりふり構わない支援要請を行なった結果である。EFFの融資は一括払いでなく,四半期ごとの分割払いであり,毎回IMFの課した条件が達成できているか審査が入り,達成できていれば分割された借入可能な枠(トランシュ)の供与,というかたちがとられている。IMFの要求する水準は厳しいため,どのくらい条件を満たせるかは最初から懐疑的な見方が強かった。後述するように,コロナ禍のためEFFは一時停止となり条件のない緊急融資にとって代わられたために,達成度の判断は難しいが,以前の状況をみるかぎり,実際に,条件をさほど満たすことはできなかったと思われる。それにもかかわらず,これまでにトランシュ供与は行われてきた。
IMFの融資条件は,緊縮財政・金融政策である。具体的には,財政赤字改善のための税収増加,赤字体質の国営企業の民営化,政府の補助金によって低く抑えられている電気・ガス料金の引き上げ,ルピーの切り下げもしくは変動相場制への移行,政策金利の引き上げ,といったことである。
なかでも最も厳しいとされた条件は,2019/20年度の財政赤字をGDPの0.6%に抑えるというものである。2018/19年度の財政赤字は対GDP比9.1%であり,とうてい達成できないだろうといわれていた。パキスタン財政は,軍事費と利子払いで歳出の50%以上を占めるため,財政赤字削減のためには税収の増加が不可欠である。政府は,財政赤字改善のため,売上税や所得税の税率だけでなく,電気・ガス料金も引き上げた。これらにより,2019/20年度上半期の歳入は16%増加した。しかしながら,政府が取り組むべきは,税率の引き上げなどにより納税者からさらに搾り取るといった小手先の政策ではなく,南アジアの水準でも対GDP比税収が最低レベルであることを本気で問題視し,納税者および納税対象ベースを拡大することである。優遇されてきたテキスタイル産業などを対象としたゼロ税率政策は,EFF下で廃止された。産業界からは復活を求める圧力があったが,政府は2020/21年度予算案に盛り込むことはしなかった。もともと産業界の力が弱いパキスタンにおいて,取りやすいところから取るというこれまでの政府の姿勢と変わらず,構造改革の努力の成果とみてよいかどうかを判断するには時期尚早である。財政赤字は結局対GDP比8.1%となったが,後述のとおりコロナ禍による経済的影響への緩和を目指し,多くの財政支出が正当化されたため,財政政策の評価は難しい。
EFF下における,パキスタンの債務水準目標は,対GDP比80.5%である。これはパキスタンがもともと財政健全化のために制定した2005年財政責任・債務制限法が定める60%を超えており,財政赤字目標に比べれば緩い水準である。にもかかわらず,コロナ禍の影響により2019/20年度債務は,対GDP比87.2%となった。
金融政策については,バーキルSBP総裁が徹底した緊縮政策に乗り出した。バーキルはIMFの要職についていたが,2019年5月のEFF合意直前にSBP総裁に就任したことから,就任がIMFの融資条件のひとつだったのではないかともいわれている。彼はEFF合意とほぼ同時に,政策金利を5年ぶりの高水準である13.25%まで一気に引き上げ,その水準を2020年3月まで維持した。
一方で,緊縮政策のコストも目立った。たとえば,政府のSBPからの借り入れが制限され,民間銀行からの借り入れに頼らざるをえなくなった。高い金利水準とあわせて,民間銀行から民間企業への貸し出しが減り,大規模製造業が伸び悩んだ。増税とインフレにより,民間消費も落ち込んだ。前述のとおり,コロナ禍前にすでに落ち込んでいた自動車産業は,増税などにより自動車消費需要が低下し,緊縮政策の影響を直接的に受けた例である。このように緊縮政策は経済成長の足かせともなった。
新型コロナウイルス感染拡大と金融・財政政策新型コロナウイルス感染拡大とそれに伴うロックダウンに対応した政府の金融政策は素早かった。3月17日,SBPは政策金利を0.75ポイント下げ,12.5%とした。これは4年ぶりの引き下げである。同時に,製造業の新規投資支援のため,1000億ルピー規模の短期再融資制度(Temporary Economic Refinance Facility:TERF)を発表した。SBPは24日,政策金利をさらに1.5ポイント引き下げ11%とし,4月16日にはさらに2ポイント減の9%まで引き下げ,矢継ぎ早に緩和政策を実行した。政策金利はその後,5月15日,6月24日にも1ポイントずつ下げられ,7%となった。
3月24日,ハーン首相は,1兆2000億ルピー規模の緊急支援パッケージを発表した。内容は,失業手当(2000億ルピー),低所得者向け現金給付(1世帯当たり1万2000ルピー,総額1500億ルピー),輸出業者向け税金還付(1000億ルピー),中小企業および農業支援(1000億ルピー),ガソリン価格の引き下げ,ガスや電気料金の支払い猶予,などである。これらは3月31日に閣議決定された。
4月3日,政府は建設部門への財政支援パッケージを発表した。内容は,建設部門にかかる減免税,住宅売却による資本利得税の免税,ハーン首相肝いりの政策である中低所得者向け住宅プロジェクト(Naya Pakistan Housing Programme:NPHP)にかかる減税である。首相はさらに,7月までに建設部門に投資した分については,「闇経済」からの投資も促す意図で,所得源を問わない,と発表した。ねらいは,ロックダウンによって一時解雇された建設労働者の困窮を救うことだというが,これらの経済効果が貧困層に届くかは疑問である。
コロナ禍の影響が真っ先に表れたのは,CPEC事業の遅延である。CPEC事業では多くの中国人労働者がパキスタンに送り込まれていたが,彼らの移動が制限され,輸入も影響を受けたことで,CPEC事業は一時中断を余儀なくされた。長期的に,「一帯一路」構想に関する投資も落ち込むことが予想される。
最も深刻な問題は,国際収支危機であろう。IMFのEFFの条件に応じた緊縮金融政策によって,ルピー安は一旦歯止めがかかっていた。しかしコロナ禍で脆弱なルピーを避ける投資家心理が高まったためか,3月だけで20億ドルもの外貨が流出し,再度ルピー安に転じた。そしてSBPの金融緩和政策が外貨流出に拍車をかけた。これにより,外貨準備高は国際収支危機が最も深刻化した2019年中旬のレベルに落ち込んだ。このような危機的な状況で,IMFは4月17日,緊急融資(Rapid Finance Instrument:RFI)を承認した。同時に,EFFの第3回目のトランシュは延期された。政府にとっては,EFFが条件とする構造改革を先伸ばしにするよい口実になったかもしれない。また,4月2日には世銀から2億ドルの緊急融資をとりつけた。ルピーはこれら国際ドナーからの支援を受けて4月には安定化した。
出稼ぎ労働者からの海外労働者送金が,例年唯一の経済的な好材料ともいえるパキスタンでは,パンデミックによって,送金が途絶えることが当初懸念された。とりわけ,パキスタンから肉体労働者が多く出稼ぎにでている中東諸国におけるロックダウンや,石油価格の落ち込みによる経済成長の鈍化は,そのまま失職につながるからである。報道では,中東諸国の失業なども報じられているが,海外労働者送金は前年同期比で伸びており,深刻な影響は少なそうである。
(牧野)
インドのモディ政権がジャンムー・カシミール州において非人道的な政策をとっているとして,パキスタンは国際社会の注意を喚起しようとしてきた。特に2019年8月に同州の特別な地位を廃止するというインド政府の政策転換を機に,インドとの関係はさらに難しいものとなっている。パキスタンはインドとの緊張を望まないものの,カシミール問題が焦点となると国内世論に配慮せざるを得ず,7月19日にハーン首相は「カシミール人の自決権を支持」「インド占領下カシミール人の正義のために戦う」などの言葉で,カシミールの人々への連帯とインドのヒンドゥー至上主義への批判を表明した。1947年7月19日,英領下のカシミール藩王国時代に,全ジャンムー・カシミール・ムスリム会議(All Jammu Kashmir Muslim Conference)がパキスタンへの併合を決議したことから,毎年7月19日は「パキスタンへの併合決議の日」(Kashmir's Accession to Pakistan Day)とされる。ハーン首相の他,野党指導者たちもインド側カシミールの人々への連帯と支援を表明している。
8月末,インドが9月開催の第75回国連総会でカシミール問題を議題とさせないために,あらかじめ安全保障理事会の議題から削除するよう国連に要請したと報じられると,パキスタンの国連代表ムニール・アクラムは,そのような主張によってインドは「自分自身を欺いているか,あるいは国民を欺いている」として強く非難した。2019年以降,パキスタンは中国の支援を受けて国連安全保障理事会でカシミール問題解決を3回提起している。
10月26日にイスラマバードで開催されたパキスタン・アフガニスタン貿易投資フォーラムでハーン首相は,パキスタン政府はアフガニスタンの平和と安定のために役割を果たす,今後アフガニスタンにどのような政権ができようと,さらに関係を強化する決意であると述べた。同時に,インドがパキスタンを不安定化させるためにアフガニスタンの国土を利用する可能性があるなどと述べた。またインド側カシミールに触れ,インドは世界最大の民主主義国と称しているが,実態は抑圧と残虐行為を行なっているとインドを非難した。
ポンペオ米国務長官は,8月7日にカーブルで開かれたロヤ・ジルガに際して,現地でクレーシー・パキスタン外相と会談したことをTwitterで明らかにし,「米パ共通の目標に向かって前進しパートナーシップ強化を期待する」と述べている。またポンペオの事務所が発表した声明では,アフガニスタン和平プロセスにおける米パの協力と地域の安定を支援する努力の重要性など,さまざまな問題について議論したとされている。トランプ政権下でパ米関係は悪化し続けてきたが,アフガニスタンの和平に向けた協議が進展することで,あるいはアメリカの政権交代によって,関係が好転するのか,まだ予断を許さない。
そのアフガニスタンとは良好な関係が維持された。9月29日,アフガニスタンのアブドゥッラ国民和解会議議長がイスラマバードを訪問し,クレーシー外相,ハーン首相と会談した。共同での声明には至らなかったものの,それぞれに,パキスタンとアフガニスタンの二国間関係はパラダイムシフトを迎えようとしている,と述べたと報じられている。アブドゥッラ議長は,パキスタンはアフガニスタンの国民と政府と共に立ち,平和で豊かな隣人関係を作る重要な相手であると述べたという。
他方,トルクメニスタン(T),アフガニスタン(A),パキスタン(P),インド(I)が関わるTAPIガスパイプライン・プロジェクトについて,進捗があった。9月19日にTAPIパイプライン会社のCEOが率いるトルクメニスタンの代表団がイスラマバードを訪問し,ナディーム・バーバル石油問題首相特別補佐官と会談した。会談ではプロジェクトの進捗状況を確認し,満足いく評価が得られたという。このパイプラインはトルクメニスタン・アフガニスタン国境からアフガニスタンのヘラートまで建設される。今後,アフガニスタン国内での工事が始まれば,同国への国際的な投資への信頼を高めることが期待されている。パキスタンからは民間企業インターステイト・ガス・システムも参加しており,政府間の外交ばかりでなく,このような民間を交えた実務者間の協力が進むことで,多国間の協力関係が強化されることは地域の安定にとって望ましいことといえよう。
中国への期待と警戒中国は香港への国家安全法導入で国際社会の批判を受けたが,パキスタンは中国を支持した53カ国のひとつであった。中国は3月に早くもパキスタンのサバクトビバッタ被害に専門家チームを派遣し,包括的な支援を提供した。
CPECをめぐっては,ハーン政権は発足以来中国への従属的な立場に陥ることを警戒しながら,一方でその恩恵を受けようとする姿勢をとっている。新型コロナウイルスの影響で,中国企業関連の建設事業が停滞するなか,新たにカシム港とサヒワール石炭火力発電所建設をめぐって中国企業のコスト水増しなどの不正行為が明らかにされた。パキスタンは今後も,あくまでも対等なパートナーとして中国との関係を維持する努力を続けることとなろう。
ムハンマド風刺画問題への反応フランスの中学校教諭サミュエル・パティが,『シャルリエブド』誌のムハンマド風刺画を生徒に示しながら表現の自由についての授業を行ったことがきっかけで,10月16日にパリ近郊で殺害された。実行犯はチェチェン生まれで,幼少期から家族とフランスで暮らしていたアブドゥラフ・アンゾロフという18歳の青年であった。マクロン仏大統領は21日のパティ氏の追悼式で,フランス国内外で摩擦を抱えても風刺画の掲載を支持するという姿勢を示した。ハーン首相は25日にTwitterでこの大統領の姿勢を,「イスラモフォビアを増長する」として非難した。
さらに,10月26日には上下院で,このマクロン大統領発言を含めた一連の風刺画問題を反イスラーム的として非難し,駐仏パキスタン大使の召還を求める決議を満場一致で採択した。11月15日には,イスラーム保守派団体パキスタン・ラバイク運動(TLP)がラワルピンディで反フランス抗議集会を行った。そのため混乱の拡大を危惧した政府により,イスラマバード首都圏への交通規制や周辺地域の携帯電話サービスの停止が実施され,周辺道路で渋滞が発生するなどの影響が出た。近代的な民主主義社会を目指すハーン首相も,保守的なイスラーム団体も,同様にムハンマド風刺画について批判的な立場を強く打ち出しており,現代イスラーム世界におけるムハンマド偶像化へのタブーの強さが現れている。
(井上)
パキスタンはまだ新型コロナウイルス流行の渦中にあり,その行方が政権への支持を左右するであろうことはいうまでもない。野党が結束してハーン政権を倒そうというPDMは,ナワーズ・シャリーフが国外から指導しており,参加している多数の政党の結束をどこまで保てるかは不明である。軍の政治的影響力への批判を掲げてはいるものの,シャリーフの演説には新味がない。今のところ旧勢力による政権への抵抗という印象を拭えず,またコロナ禍で大人数の集会を開くことへの批判もあり,今後,国民的な支持が得られるような運動に発展させることができるか,先行きはまだ見通せない。
経済では構造改革が引き続き課題である。IMFから14億ドルもの緊急融資を受けることで,EFFは一時停止となった。これにより,政府にとっては,IMFの要求する厳しい条件を満たす財政・金融政策および構造改革を実施しなくて済むような都合のよい口実ができた感は否めない。とはいえ,CPECに絡んだ中国への債務返済は,借り換えによって,なんとか先延ばしにしているような状況である。将来にわたる債務負担の軽減にも,構造改革は不可欠である。コロナ禍がひと段落し,EFF再開となった際に構造改革に本気で取り組むのか注目である。
対外関係ではアフガニスタンの和平の進展が鍵となろう。アフガニスタン情勢次第でアメリカにとってのパキスタンの意味は変わり,アメリカとの関係改善の可能性がある。また,アフガニスタンとパキスタンの関係が改善または停滞するかは,インドのパキスタンへの対立姿勢にも影響する。他方,CPECの進捗も含め,中国との関係が良好なまま進展するかも注目される。
(井上:就実大学教授) (牧野:ニューヨーク海外調査員)
| 1月 | |
| 1日 | 中国との修正自由貿易協定(FTA)発効。 |
| 7日 | 三軍法の改正案(軍トップの任期を3年延長するなど)が下院を通過。8日に上院を通過して同改正法が成立。 |
| 10日 | クエッタのモスクで爆弾が爆発。15人死亡。 |
| 13日 | ラホール高裁がムシャッラフ元大統領の死刑判決無効の判断を示す。 |
| 14日 | 数日間の雪や雨で雪崩や土砂崩れが相次ぎ,政府はアーザード・ジャンムー・カシミール(AJK)で80人以上,バロチスタンで20人以上が犠牲となったと発表。 |
| 19日 | ハーン首相が国連に対し実行支配線(LoC,インドとの事実上の国境線)に軍事監視員を送るよう要請。 |
| 19日 | ウェルズ米国務次官補代理,来訪。中パ経済回廊(CPEC)はパキスタンの債務超過を加速すると批判。 |
| 21日 | ハーン首相,世界経済フォーラム(ダボス)会議出席のためスイス訪問(~23日)。21日,トランプ米大統領と会談。 |
| 23日 | 国際透明性機構が発表した汚職行為指数で,パキスタンは180カ国中120位。 |
| 30日 | パキスタン航空(PIA),新型コロナウイルス水際対策で,中国とのフライト一時停止(~2月2日)。 |
| 31日 | ハーン首相,サバクトビバッタに対処するため,緊急事態宣言発令を決定。 |
| 2月 | |
| 3日 | IMF拡大信用供与措置(EFF)審査チーム,第3回トランシュ4.5億ドル分供与に向けた事務レベル会合のため来訪(~13日)。 |
| 3日 | 首相,マレーシア訪問(~5日)。 |
| 16日 | クレーシー外相が来訪中のグテーレス国連事務総長と会談。インド側カシミールについて共同記者会見。 |
| 18日 | エルドアン・トルコ大統領来訪。 |
| 19日 | マネー・ローンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)による審査。パキスタンはグレイ・リストのまま再審査に持ち越し。 |
| 24日 | PIA,中国とのフライトを再停止(~3月15日)。イランとの国境審査を厳格化。 |
| 26日 | 国内最初の新型コロナウイルス陽性者(イランから帰国したシーア派の聖地巡礼団の1人)が報告される。 |
| 27日 | 首相,カタール訪問。 |
| 3月 | |
| 3日 | 世銀,パンジャーブ州の医療・教育サービス支援のため,2億ドル融資を承認。 |
| 6日 | 中国のサバクトビバッタ制御の専門家チームがカラチで記者会見し,パキスタンへの包括的な緊急支援実施を発表。 |
| 7日 | ダーウッド商業・投資に関する首相顧問,EUが一般特恵関税(GSP)プラスを2年延長することを決定したと発表。 |
| 13日 | 国家安全保障会議開催。新型コロナウイルスとの戦いの国家戦略を発表。全教育機関を閉鎖。当初は4月5日までとされたが,再開は9月15日から段階的に。 |
| 16日 | 政府,すべての国境を2週間閉鎖。 |
| 16日 | アルヴィ大統領,訪中。 |
| 17日 | ハーン首相が新型コロナウイルスとの戦いへの協力を国民に訴えるテレビ演説(22日,30日にも同様のテレビ演説を実施)。 |
| 17日 | パキスタン中央銀行(SBP),政策金利0.75ポイント引き下げ,12.5%に。 |
| 17日 | SBP,1000億ルピー規模の短期再融資制度(TERF)を発表。 |
| 17日 | 最高裁がラフィーク元鉄道相の16カ月ぶりの保釈を決定。 |
| 19日 | 新型コロナウイルスによる国内最初の死者2人が確認される。 |
| 20日 | ハーン首相,国民への新型コロナウイルスに関する経済的救済パッケージを発表。 |
| 21日 | 政府が全国際線航空機のパキスタンへの乗り入れを2週間停止すると発表。 |
| 23日 | パキスタン記念日の軍事パレード中止。バジュワ陸軍参謀長が,軍の医療資源を国民に提供するため全国に軍を展開すると述べる。 |
| 24日 | 首相,新型コロナウイルスに関する1.2兆ルピー規模の緊急支援パッケージを発表。31日閣議決定。 |
| 24日 | SBP,政策金利を1.5ポイント引き下げ11%に。 |
| 26日 | 南アジア地域協力連合(SAARC),ビデオ会議を開催し,新型コロナ対策を議論。 |
| 27日 | 陸軍が国家指揮運用センター(NCOC)を設置。 |
| 31日 | 世銀,送電プロジェクトに7億ドル融資を承認。 |
| 4月 | |
| 1日 | ウマル計画・開発・特別イニシアティブ相,4月14日までのロックダウンを公式発表。その後,4月30日,5月9日まで,と再々延長される。 |
| 1日 | 世銀,新型コロナ対策のため2億ドルの緊急融資を承認。 |
| 3日 | 政府,建設部門への財政支援パッケージを発表。 |
| 6日 | 内閣改造。バフティアル国家食糧安全保障相は5日に辞職。 |
| 6日 | バロチスタン州クエッタで医療従事者が医療用防護服などの供給を求めてデモ行進。 |
| 6日 | IMF,EFF第3回トランシュ供与を承認する第2回審査(4月10日予定)をコロナ禍のため延期すると発表。 |
| 9日 | 「エフサース緊急現金支給プログラム」開始。 |
| 14日 | 1年生から12年生までの子供向けの全国放送教育チャンネルが開始。 |
| 16日 | SBP,政策金利を2ポイント引き下げ9%に。 |
| 17日 | IMF,新型コロナ対策のため14億ドルの緊急融資(RFI)を承認。 |
| 18日 | 宗教指導者と政府が協議。ラマダン期間中のモスクでの感染対策につき20項目の行動プランで合意。 |
| 23日 | 3月から行方不明のバロチスタンのジャーナリスト,サジッド・フサインがスウェーデンで遺体で発見。 |
| 25日 | ラマダン開始。 |
| 5月 | |
| 1日 | 全国で国境を閉鎖。 |
| 7日 | 首相,9日からの段階的ロックダウン解除を発表。 |
| 8日 | イラン国境付近で簡易爆弾が爆発。士官1人,兵士5人死亡。 |
| 11日 | ペシャーワルでリモコン爆弾が爆発。警官2人を含む5人負傷。 |
| 15日 | SBP,政策金利を1ポイント引き下げ8%に。 |
| 19日 | ADB,新型コロナウイルス対策のため3億ドルの緊急融資を承認。 |
| 21日 | 世銀,コロナ禍における医療,教育,女性の経済機会向上などのために5億ドル融資を承認。 |
| 22日 | PIA機がカラチ空港着陸直前に付近の住宅街に墜落。99人死亡。 |
| 24日 | マリ地域での5月の降水のため,ラーワル湖とシムリー湖が満水となる。 |
| 27日 | AJKのLoC付近でインドの無人小型機を撃墜したと軍が発表。 |
| 31日 | 駐インドパキスタン人外交官2人が国外追放される。 |
| 6月 | |
| 2日 | ハーン首相がサバクトビバッタを捕まえて売ることを奨励すると発言。 |
| 3日 | AJKで15日間のロックダウン開始。 |
| 6日 | CPEC最大規模プロジェクトとなるカラチ=ペシャーワル間鉄道の近代化を中パ合意。総額68億ドル。8月5日,国家経済評議会が承認して正式決定。 |
| 10日 | ADB,新型コロナ対策における財政支援のため,5億ドル融資を承認。 |
| 11日 | ハーン首相は新型コロナウイルスの感染源,感染経路,クラスターを特定し,必要最小限の場所のみ閉鎖するスマートロックダウン実施を示唆。 |
| 11日 | シェイフ財務首相顧問,2020年『経済白書』発表。 |
| 12日 | 2020 /21年度予算案が発表される。 |
| 15日 | 駐パ・インド人外交官2人国外追放。5月31日の報復措置。 |
| 15日 | アサド・ウマル計画・開発・特別イニシアティブ相が7月31日までに新型コロナウイルス感染者は100万人を超えると警告。 |
| 19日 | アフガンへの物流を確保するためトーカム,チャマン,グラーム・ハーンの国境を週6日24時間開く。 |
| 20日 | 政府はPCR検査を拡大し,ロックダウンを実施。 |
| 23日 | 世銀,ハイバル・パフトゥンハー(KP)州の医療・教育サービス支援のため,2億ドル融資を承認。 |
| 24日 | SBP,政策金利を1ポイント引き下げ7%に。 |
| 25日 | CPEC事業,AJKのコハラ水力発電プロジェクトを合意。独立系発電単独では最大の24億ドル規模。 |
| 29日 | 世銀,財政構造改革のため,5億ドル融資を承認。 |
| 29日 | パキスタン証券取引所が攻撃される。CPEC事業に反対するバロチスタン解放戦線(BLA)が犯行声明。 |
| 7月 | |
| 1日 | SBP,中国商業銀行から13億ドル分のロールオーバー供与を発表。 |
| 6日 | 汚職審査局(NAB),摘発された政治家の訴訟の進行が遅いとして裁判所に苦言。 |
| 6日 | CPEC事業,AJKのパッタン水力発電プロジェクトを合意。15億ドル規模。 |
| 19日 | 「パキスタンへの併合決議の日」にあたり,ハーン首相がインド側カシミールの人々との連帯を改めて表明。 |
| 28日 | CPECのカラコルムハイウェイ,ターコット=ハヴェリアン区間が公式に開通。 |
| 29日 | 反テロ修正法案,国連安保理修正法案が下院を通過。翌30日,上院を通過し,成立。両法ともFATFの求めに応じたもの。 |
| 31日 | 世銀,サバクトビバッタ大量発生の被害を受けた農家と食料保障のための緊急援助として2億ドル,コロナ禍の教育支援のため,2億ドル融資を承認。 |
| 8月 | |
| 4日 | ハーン首相,係争地であるインド側ジャンムー・カシミールとグジャラート州ジュナガドをパキスタン領に含んだ新しい「政治地図」を発表。 |
| 7日 | クレーシー外相がカーブルでポンペオ米国務長官とアフガニスタン和平へのパキスタンの役割について会談。 |
| 9日 | ハーン首相,地球温暖化への対策として大規模な植樹キャンペーンを開始。 |
| 11日 | 国連人権委員会でパキスタンは中国の「香港国家安全維持法」を支持(他52カ国)。 |
| 13日 | ペシャーワル=ハヤタバード間でバス専用路線(BRT)が開通。 |
| 19日 | パンジャーブ州とKP州の危機管理当局,インド側の放水によるサトレジ川とアルチ・ダムでの洪水の可能性を警告。 |
| 28日 | 全国的に降雨が続いた結果タルベラダムとマングラダムが満水となる。 |
| 9月 | |
| 7日 | KP州モホマンドの大理石鉱山で崩落事故。18人死亡。 |
| 15日 | 学校が段階的に再開。 |
| 18日 | バーバル首相特別補佐官(石油問題)がトルクメニスタン代表団と会談。TAPIガスパイプラインの進捗について満足と確認。 |
| 20日 | 野党11党,パキスタン民主運動(PDM)を結成。 |
| 24日 | PIA,国際線に関する新しい標準運用要領を発表。 |
| 24日 | 世銀,KP州の水力発電と再生可能エネルギー支援のため,4.5億ドル融資を承認。 |
| 29日 | アフガニスタンのアブドゥッラ国民和解会議議長がイスラマバードを訪問。 |
| 10月 | |
| 19日 | カラチでパキスタンムスリム連盟ナワーズ派(PML-N)のムハンマド・サフダル(シャリーフ元首相の女婿)がジンナー廟で政治活動をした罪で逮捕(即日釈放)。PDMによる逮捕への抗議運動が起こる。 |
| 22日 | 世銀,パンジャーブ州公共セクターの電子化支援のため,3億ドル融資を承認。 |
| 25日 | ハーン首相,マクロン仏大統領のイスラーム風刺画掲載支持発言はイスラーム嫌悪を増長すると非難。26日には上下院が非難決議を採択。 |
| 25日 | PDMがクエッタで集会を開催。 |
| 25日 | パキスタン初の都市大量輸送網メトロオレンジライン,ラホールで操業開始。 |
| 26日 | ハーン首相がパキスタン・アフガニスタン貿易投資フォーラムで,アフガニスタンの平和と安定のために役割を果たすと演説。 |
| 27日 | KP州ディールのホワイト・マスジッドで,マドラサ(モスク付属の宗教学校)の7年生の授業中時限装置の爆弾が爆発し,生徒8人が死亡,120人が負傷。 |
| 30日 | PDMがムルターンで集会を開催。 |
| 11月 | |
| 1日 | ギルギットを訪問中のハーン首相がギルギット・バルティスタンに暫定的に州の地位を与えると表明。日程は示さず。 |
| 19日 | 首相,アフガニスタン訪問。 |
| 19日 | イスラーム強硬派パキスタン・ラバイク運動(TLP)の指導者,リズビー師が死亡。 |
| 22日 | PDMがペシャーワルで集会を開催。 |
| 26日 | 新型コロナウイルス第2波を受け,全教育機関が再閉鎖される。 |
| 27日 | ADB,貿易政策と競争力強化のため3億ドル融資を承認。 |
| 30日 | ラホール郊外のナロワールでバスが爆発事故。13人死亡。 |
| 12月 | |
| 1日 | ファイサル・スルタン首相特別補佐官が記者会見で,2021年第1四半期に新型コロナウイルスワクチンを調達できる見込みと発表。 |
| 2日 | ラーワルピンディで路肩爆弾が爆発,1人死亡。 |
| 8日 | 世銀,シンド州の自然災害に脆弱な地域支援のため,2億ドル支援を承認。 |
| 15日 | カラチの中華料理店前の車両に不審物。またカラチ大学でレンジャーの車両へ手榴弾が投擲され,シンド革命軍が犯行声明。 |
| 22日 | カラチの中国系自動車メーカー展示場で中国人の車両に対する発砲事件,シンド革命軍が犯行声明。 |
| 24日 | テロ法廷,ジャマーアト・ダワー(JuD,ムンバイテロを実行したラシュカレ・タイバのチャリティ部門)指導者かつムンバイテロの首謀者とされるハーフィズ・サイードに対して,テロへの資金援助の罪で15年6カ月の懲役判決。 |
| 27日 | パキスタン人民党(PPP)がベーナジール・ブットーの命日のラリー実施。イスラーム・ウラマー党ファズルルラフマン派(JUI-F)のファズルルラフマン党首は不参加。 |
| 30日 | パキスタンで初めて新型コロナウイルスのイギリス型変異株確認。 |



(注)1)PTI(Pakistan Tehreek-i-Insaf)パキスタン正義運動党
2)BAP(Balochistan Awami Party)バロチスタン人民党
3)PML-Q(Pakistan Muslim League Quaid-e-Azam)パキスタン・ムスリム連盟カーイデ・アーザム派
4)MQM(Muttahida Qaumi Movement)統一民族運動
5)GDA(Grand Democratic Alliance)民主大連合
6)AML(Awami Muslim League)人民ムスリム連盟
7)PPP(Pakistan People's Party)パキスタン人民党
8)PML-N(Pakistan Muslim League Nawaz)パキスタン・ムスリム連盟ナワーズ派

(注)1)会計年度は7月1日~翌年6月30日。以下,同。人口,労働力人口は毎年6月30日現在の数値,その他は各年度平均値。2)暫定値。
(出所)Government of Pakistan, Finance Division, Economic Survey 2019-20; State Bank of Pakistan, Annual Report Statistical Supplement, Statistical Bulletin, 各号。

(注)1)修正値。2)暫定値。
(出所)Government of Pakistan, Finance Division, Economic Survey 2019-20.

(注)1)修正値。2)暫定値。
(出所)表2に同じ。

(注)1)再輸出/輸入を除く。
(出所)State Bank of Pakistan, Statistical Bulletin, 各号。関税統計ベース。

(注)1)暫定値。
(出所)State Bank of Pakistan, Statistical Bulletin, 各号。 銀行統計ベース。

(注)1)暫定値。
(出所)State Bank of Pakistan, Statistical Bulletin, 各号。