2022 年 2022 巻 p. 51-74
2021年の朝鮮民主主義人民共和国(本章では以下「朝鮮」と略し,南北関係については「北側」とする)では,新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延に対する非常防疫体系の下で防疫事業や国境封鎖が続いた。
国内政治に関しては,朝鮮労働党第8次大会が開催され,最高指導者である金正恩の党における職位の名称が党委員長から党総秘書に変更されたほか,党中央指導機関にも大きな人事異動があった。そして党中央指導機関,軍隊および保安機関での異動は大会後も続いた。一方,金徳勲総理の内閣がその陣営を整え,新たな5カ年計画の遂行を統括することになった。南北関係については,文在寅政権の「終戦宣言」を肯定的に捉えるようなやり取りはあったものの,韓米合同軍事演習の実施などもあり,実質的な改善に向けた進展はみられなかった。
経済は,国境封鎖による貿易の減少が続き,成長に制動をかけた状態になっている。2021年から新たな5カ年計画に入ることになったものの,その数値目標は年内に定められなかった。
対外関係については,アメリカとの関係改善の兆しはなく,バイデン新政権が対話の再開よりも圧力をかける方向に動き出したこともあり,対決姿勢を強めている。
2020年1月24日に,新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延に対処するために中央非常防疫指揮部を中心とする非常防疫体系が組織されるとともに,国境封鎖が実施され,国内では隔離や消毒といった防疫事業が地域単位や職場単位で進められてきた。2021年もこの体制は維持され,最高指導者の金正恩も党第8次大会や党中央委員会全員会議,政治局会議などの場でも防疫事業を強化することを強調した。そして,『労働新聞』,朝鮮中央テレビといった主要メディアはほぼ連日世界の新型コロナウイルス感染症蔓延の状況についての報道を流した。
ただし,学校はすでに2カ月遅れの2020年6月に新学年度に入って正常化しており,2021年2月には大型のレジャー施設のひとつである陽徳温泉文化休養地が営業を再開するなど,人々が集まる場所に関する制限も緩和されている。8月にはそれまで外国人向けに開放されていた文化,体育,娯楽施設,商業・サービス施設299カ所に加え,22カ所の施設が開放された。
世界保健機関南東アジア地域事務所に朝鮮が通知したところでは,2022年1月6日の時点で新型コロナウイルスの感染者はゼロであった。ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR)検査が延べ5万1336人,サンプル数10万3398個について行われ,結果はすべて陰性であったとされている。
また,低所得国に対するワクチンの支援の枠組みであるCOVAXを管理している国連児童基金が2021年9月1日に発表したところでは,中国製ワクチンの提供を朝鮮側が辞退して,より深刻な国に回すべきだと主張したとのことである。
党第8次大会と党指導機関の人事党の最高機関である党大会は2021年1月5~12日に,5年ぶりに開催され,党中央指導機関メンバー250人と各級党組織から選出された代表者4750人が参加した。5日から7日にかけて金正恩は党中央委員会の事業総括報告を行い,2020年までの「国家経済発展5カ年戦略」(2016~2020年)の目標が未達成であったことを認めてその要因を分析するとともに,新たな「国家経済発展5カ年計画」(2021~2025年)の課題を発表した。8日には金正恩の報告に対する討論が行われ,9日も続いた。また9日は,党財政に関する党中央検査委員会の報告,党規約の改正が行われた。この党規約改正では,党大会を5年に1度定期的に開くこと,職制に関して,委員長,副委員長を責任秘書(責任書記),秘書(書記),副秘書(副書記)の3者に変更し,政務局を秘書局(書記局)に,政務処を秘書処(書記処)に改称することや,党中央検閲委員会を廃止してその機能を党中央検査委員会に引き継ぐなどの変更があった。10日の党中央機関選挙では,138人の党中央委員と111人の候補委員が選出され,金正恩は先代の金日成,金正日と同じ党総秘書(党総書記)に選ばれた。また,10日のうちに開催された党中央委員会第8期第1次全員会議にて,党政治局,党秘書局,党中央軍事委員会,党検査委員会が構成され,各部の部長が任命された。11日に,工業部門,農業部門,軽工業部門,教育・保健・文化部門,軍事部門,軍需工業部門などの部門別協議会が開かれて大会決議に相当する「決定書」を審議し,翌12日に,金正恩が「結論」を発表して決定書が採択され,閉会となった。ただし,これまでの大会で『労働新聞』にすぐに掲載された最高指導者による総括報告の全文やそれに対する討論は,今回は公表されず,これまでにない不透明な党大会であった。
党政治局には最高人民会議常任委員会委員長の崔龍海,党中央軍事委員会副委員長の李炳哲,内閣総理の金徳勲,組織担当の党秘書の趙勇元の4人が常務委員に,党秘書兼宣伝煽動部長の朴泰成,人民軍総参謀長の朴正天,党秘書の鄭相学,党秘書兼党勤労団体部長の李日煥,党秘書兼党経済部長の金斗一,党秘書兼党科学教育部長の崔相健,党組織指導部長の金在龍,党軍政指導部長の呉日正,党統一戦線部長の金英哲,第2経済委員長の呉洙容,人民軍総政治局長の権英鎮,国防相の金正官,国家保衛相の鄭京澤,党第1副部長の李英吉の14人が委員に選出された。
党機関の日常的な業務を行っている党秘書局と各部については,秘書に趙勇元,朴泰成,李炳哲,鄭相学,李日煥,金斗一,崔相健,呉洙容の8人が選出され,各部長に金在龍,呉日正,朴泰徳,金成南,許哲万,金亨植,朴明順,李哲万,李斗成,姜順南,金英哲,金世福,朴正南,崔輝,金勇洙の15人が任命された。各部の担当に関しては,党政治局委員または候補委員を兼任している者に関してのみ1月11日付の『労働新聞』で明らかにされた。党政治局委員である金在龍は党組織指導部長,呉日正は党軍政指導部長,金英哲は党統一戦線部長,党政治局候補委員である朴泰徳は党規律調査部長,許哲万は党幹部部長,金亨植は党法務部長,李哲万は党農業部長,朴明順は党軽工業部長である。彼ら以外の部長については,これまでの経歴や出席する行事などによりその担当を知ることができる。崔輝と金勇洙は留任者であり,それぞれ党青年団体部長と党財政経理部長の職にあることがわかる。新任者のうち,金成南は前職が党国際部第1副部長であるため党国際部長とみられる。李斗成は職業同盟や女性同盟の行事に出席することから党勤労団体部長,姜順南は前職が人民武力省副相であり,民間武力の行事に出席することから党民防部長であることがわかる。一方,ほかの新任者については,残りのポストから,人民軍出身の金世福は党軍需工業部長,前職が江原道党委員長の朴正南は党総務部長であると推測される。
なお,党政治局委員のうち,朴泰成,李日煥,金斗一,崔相健は党政治局委員に選出された際の「公報」でそれぞれ党秘書兼宣伝煽動部長,党秘書兼党勤労団体部長,党秘書兼党経済部長,党秘書兼党科学教育部長として紹介されたにもかかわらず,同じ「公報」で発表された部長の任命名簿に名前がないという奇妙な人事発表となった。うち李日煥については,李斗成が勤労団体部長に任命された時点で部長職を退いたことがわかっている。したがって,残りの3人についても,党政治局委員と党秘書に選出された時点ではそれぞれ部長職にあったが,同日に各部の部長が任命された時点で部長職を退いたものと推定される。
党指導機関の人事異動は党大会後も続き,2月8~11日の党中央委員会第8期第2次全員会議では,外務相の李善権が党政治局委員に,党国際部長の金成南が党政治局候補委員に,そして第2経済委員会委員長であった呉洙英が党秘書兼党経済部長に選出された。解任された者についての発表はなかったが,この時点で金斗日は党秘書の地位を失い,党政治局委員からも外されたものと推定される。また,6月15~18日の党中央委員会第8期第3次全員会議では,党政治局委員に最高人民会議常任委員会副委員長の太亨哲が,候補委員に中央検察所所長の禹相哲が選出された。ここでも解任された者についての発表はなかったが,朴泰成が2月から報道に現れなくなっており,このときに党秘書の地位を失い,党政治局からも外されたものと推定される。
そして,6月29日に党第8期第2次政治局拡大会議が,「一部の責任幹部の職務怠慢行為を重大に取り扱い,全党的に幹部革命の新たな転換をもたらすために」招集され,党政治局の常務委員,委員および候補委員の異動が行われた。「職務怠慢行為」に関する具体的な内容は公表されなかったが,この会議について報道した翌30日の朝鮮中央テレビでは,採決時に党政治局委員で党秘書の崔相健の姿が消え,軍服姿の李炳哲党政治局委員兼党中央軍事委員会副委員長と朴正天党政治局委員兼人民軍総参謀長が2度挙手をしない場面が放映された。これにより崔相健が失脚したことと,李炳哲と朴正天も「職務怠慢行為」に関する批判の対象であり,不満を見せたことが示された。7月8日の初代最高指導者金日成の命日に,金正恩がこれまでの最高指導者の遺体を安置した錦繍山太陽宮殿に詣でた様子を報道した朝鮮中央テレビと同日付の『労働新聞』の写真では,参列者のなかで李炳哲の座席位置が政治局候補委員と同列にあり,政治局常務委員からの降格を示していた。ただし,朴正天の位置は政治局委員にとどまっていることがわかるものであり,特に処分が下されたわけではないと考えられる。朴正天は砲兵指導局長としての経歴が長く,ミサイル開発推進のためには欠かせない人物であるため,最高指導者から遠ざけることができなかったものと推測される。
党指導機関での異動は下半期に入ってからも続き,9月2日の党政治局第8期第3次拡大会議で朴正天は政治局常務委員兼党秘書に格上げされるとともに,党軍需工業部長の兪鎮と人民軍総参謀長の林光日,社会安全相の張正南が党政治局候補委員に選出されたことが公表された。これは朴正天がそれまで李炳哲が務めていた地位,すなわち事実上軍隊で最高司令官である金正恩に次ぐナンバー2に就いたことを示していた。
さらに12月27~31日の党中央委員会第8期第4次全員会議でも党政治局の異動があり,副総理兼国家計画委員会委員長の朴正根が党政治局委員に,社会安全相の李泰燮が候補委員に選出されたことが発表された。解任された者については発表されなかったが,それまで社会安全相であった張正南は政治局候補委員から外れたと推定される。
国家機関,軍事および保安機関の人事内閣総理である金徳勲は2020年8月13日に金正恩から突然任命されてすぐに災害復旧に当たったため,内閣メンバーの陣営を整えるのが遅れていた。2021年1月17日になって,6人の副総理と19人の相が任命された。新たに任命された副総理は,国家計画委員会委員長を兼任する朴正根,農業相を兼任する朱哲奎,前軽工業相の李成学,前建設建材工業相の朴勲,前国家計画委員会副委員長で対外経済を担当していた李成龍,前党経済政策室長の全賢哲であり,元機械工業相の楊承浩は引き続き留任することになった。機械工業部門,農業部門,軽工業部門,建設建材工業部門は2021年からの新たな5カ年計画で重点を置かれる部門である。また,全賢哲は経済システムを担当しており,国家計画を担当する朴正根とともに内閣の経済事業全般を統括しているようである。内閣の構成はこれ以後年末まで大きな変更はなかった。
ただし,内閣の機構に関しては再編などがあった。2021年1月までに日用品工業省が軽工業省に統合され,5月に逓信省が情報産業省に改称し,11月までに電子工業省が情報産業省傘下の電子工業管理局に改編された。また,12月までに軽工業省から食料工業省が分離したことがわかっている。
一方,軍事および保安機関については頻繁な異動が続いている。2021年1月に人民武力省が国防省に改称し,国防相には人民武力相であった金正官がそのまま留任した。しかし金正官は9月に解任され,その職には李英吉が就任した。李英吉は2013年に第5軍団長から総参謀長に異動し,以後,第1副総参謀長兼作戦局長(2016年),総参謀長(2018年),党第1副部長(2019年)を務め,2021年7月27日の全国老兵大会には,職責は不明であるが人民軍の幹部として出席していたことがわかっている。
作戦指揮を担当する人民軍総参謀長は2021年9月まで朴正天であったが,先に述べたとおり党政治局常務委員兼党秘書に異動し,その職には林光日が就任した。林光日は2016年に第1副総参謀長兼作戦総局長,2020年に総参謀部偵察総局長であった。
軍隊の政治統制を担当する人民軍総政治局長は,2020年10月からしばらく空席であったようであるが,2021年1月に権英進がその職に就いた。権英進については,戦車師団の出身で2006年に少将,2020年に大将に昇級したことのほかは経歴が知られていない。
警察に相当する社会安全省(人民保安省が2020年5月に改称)の相は金正浩から張正南に交代したことが2021年9月7日の党政治局委員の異動に関する報道によって判明した。張正南は2013年に第1軍団長から人民武力部長に異動し,2014年には第5軍団長に就任していたことが知られている。そして,張正南は年末に社会安全相の職を去り,その職には李泰燮が就いたことが,2022年1月1日の報道によって判明した。李泰燮は第7軍団長と第5軍団長を歴任したことが知られている。
国防力強化のための5カ年計画当初,1月の党第8次大会で「国防科学技術発展および武器体系開発5カ年計画」が提示されていたことは明らかになっておらず,9月13日付の『労働新聞』でようやく発表された。党大会開催時の報道では,「国家防衛力」の強化に関して,核技術の高度化,核兵器の小型・軽量化,戦術兵器化をはじめ,大陸間弾道弾の命中率向上のほか,原子力潜水艦の保有,軍事偵察衛星の運営などの国防工業部門および国防科学部門での課題が同大会で示されたことのみが伝えられた。この5カ年計画は上記の課題を段階的に進めるためのものであると思われるが,具体的な内容は公表されていない。
この5カ年計画の一環としてミサイルの発射実験は続けられた。2021年に実施が公表された発射実験は計6回であった。「新型戦術誘導弾」2発(3月25日),「新たに開発された新型長距離巡航ミサイル」(9月11日と12日),「新たに開発された極超音速ミサイル『火星-8』」(同月28日),「新たに開発された地対空ミサイル」(同月30日)の試験発射が行われ,鉄道軌道ミサイル連隊による検閲射撃訓練(同月15日)も実施された。このほか3月21日にも巡航ミサイルが発射されたことが韓米側に捕捉されている。
咸鏡南道での災害復旧咸鏡南道は前年に続いて2021年にも洪水被害を免れることはできなかった。8月5日の朝鮮中央テレビの発表によると,1~2日に特に咸興市,新興郡,楽園郡,栄光郡での豪雨により,1170余世帯が浸水,5000余人が緊急避難,数百ヘクタールの農耕地が浸水あるいは流失,数十カ所で1万6900余メートルの道路と数カ所の橋が破壊,といった大きな被害があった。
この災害に対して,5日に金正恩を委員長とする党中央軍事委員会は,復旧事業のための咸鏡南道党軍事委員会を緊急開催すること,工兵部隊を派遣すること,そして,当地に駐屯する人民軍部隊に対して道党軍事委員会の下で軍民協同の被害復旧事業にあたることに関する指示を出した。また,金正恩は国家の予備の被害復旧用資材を出すとともに,中央機関に対して財政的支援をするよう命令を下達した。
被害復旧事業は10月までにほとんど完了したようであり,同10日には新興郡,洪原郡,咸興市,栄光郡で新設住宅への住民の引っ越しが行われた。
改善が進まない南北関係2021年を通じて南北関係に改善はみられなかった。南側は2018年に中止した韓米合同軍事演習を2019年に再開しており,新型コロナウイルス感染症蔓延の影響で規模や内容を縮小したものの,2021年にも引き続き実施した。
南側では3月8~16日に上半期の韓米連合指揮所訓練が,野外演習なしで,コンピュータシミュレーションにより実施された。これに対して,金正恩の実妹であり朝鮮労働党副部長の金与正は15日に談話を発表し,「3年前の春の日がまた帰ってくるのは難しい」との表現で,訓練の実施を非難するとともに南北対話の再開がいっそう難しくなっているとの認識を示した。
一方で,首脳間の親書のやりとりは続けられており,7月27日に南側の青瓦台が発表したところでは,4月から親書の往来は数回あったとのことであった。また,7月27日にそれまで断絶していた南北間の通信連絡線が復旧し,毎日午前9時と午後5時に南北当局間で定期通話を行うことになったことが同日,韓国統一部により発表された。ただし,8月1日に金与正が談話で,通信連絡線の復旧について,「断絶していたものを物理的に再び連結しただけという以上の意味を付与してはならない」と述べて,北側には対話に踏み出す考えがないことを明らかにした。
そして韓国軍が8月10~13日に韓米合同軍事演習「危機管理参謀訓練」を米軍の参加なしで実施すると,演習開始の10日に金与正は談話でこれらの演習を「背信的な行い」だと非難した。それとともに同10日午後,南北間の定期通話を北側が断ち,再び通信連絡線は不通になった。南側は,北側の非難を無視して,「危機管理参謀訓練」に続いて16~26日に下半期の「韓米連合指揮所訓練」をコンピュータシミュレーションで実施した。
しかし,9月21日に南側の文在寅大統領が以前から主張してきた朝鮮戦争の「終戦宣言」について第76次国連総会で提案すると,北側の態度が軟化した。23日の李泰成外務省副相の談話では,「現時点で朝鮮半島情勢の安定にとってまったく助けにならず,アメリカの敵視政策を隠蔽するための煙幕に誤って利用されることもある」と,「終戦宣言」提案に対して批判的であった。だが,翌24日に金与正が談話で「興味深い提案」だと評価し,方向転換の姿勢を示した。金与正はこの談話で,「双方の相互尊重が保障され,他方に対する偏見と激しい敵視政策,不公平な二重基準からまず撤回されなければならない」と主張しており,「終戦宣言」提案に向けた南側の動きが北側の利益に結びつく可能性に配慮を示した。金与正は続けて25日にも談話を発表し,「すべての火種を取り除くための南朝鮮当局の動きが目に見える実践に現れることを望む」と述べ,間接的な表現で韓米合同軍事演習の中止を要求した。
この方向転換は,9月28~29日に開かれた最高人民会議第14期第5次会議の2日目に金正恩が行った施政演説で,通信連絡線の復旧に言及したことにも表れた。そして,10月4日に通信連絡線は復旧した。しかし,文在寅政権は任期末期であったため,「終戦宣言」に向けた具体的な動きを取ることができず,2021年のうちに南北関係が改善することはなかった。
政府は2021年7月,国連に「持続可能な開発目標の進捗状況に関する自発的国家レビュー」(Government of the Democratic People's Republic of Korea, “Democratic People’s Republic of Korea Voluntary National Review on the Implementation of the 2030 Agenda”) を提出した。この報告書には中央統計局による国内総生産(GDP)の金額が示されており,2019年は335億400万ドルであった。それは2015年の274億1200万ドルの1.2倍である。2015~2019年の平均GDP増加率は5.1%とされている。ただし,このドル表示のレートが不明であるため,GDPの金額を直接ほかの国のそれと比較することができない。また,2020年には新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延に対する国境封鎖が実施され,2021年もそれが続いているため,対外貿易の減少にもかかわらず2019年までの高い成長率が維持されているとは考えられない。
食糧に関しては,上記報告書によると穀物生産が2019年の665万トンから2020年は552万トンと大きく減少している。金正恩も2021年6月15~18日の党中央委員会第8期第3次全員会議において,2020年に台風被害によって穀物生産が打撃を受けたことで,2021年の食糧事情が厳しくなっていることを認めた。
ただし,食糧生産の減少が直ちに価格に結びついているわけではないようである。2021年4月14日にマツェゴラ駐朝ロシア大使はタス通信に対して,工業製品や食料品の価格が上がり,売場から輸入品がなくなっているが,基本的な製品に関して供給不足は感じられず,コメは以前と同様1キロ4500ウォンであり,ドルレートもパンデミックが始まった当時の1ドル=8300ウォンから4月14日までには以前のように7000ウォンになったと述べている。
また,マツェゴラ大使は,建設中の消毒施設が4月末に完成すれば,貿易が回復するとの展望を述べている。しかし,そうした施設の完成の発表はなく,最大貿易相手国の中国との貿易をみても,年間を通じて貿易が回復している様子はない。中国の関税統計によると,2021年の対朝鮮貿易は輸出が2億6017万ドルで前年比47.0%減,輸入は5787万ドルで同20.7%増であるが,往復では3億1804万ドルで同41.0%減となり,2020年から続けて落ち込んでいる。
国家予算の動向2021年の国家予算計画は1月17日の最高人民会議第14期第4次会議で報告された。報告によれば,2021年の国家予算収入計画は前年より0.9%増,支出計画は1.1%増とこれまで稀にみるほどの低い増加率で策定された。
項目別の収入計画は,取引収入金(企業の取引税に相当)が0.8%増,国家企業利益金(企業の法人税に相当)が1.1%増であり,この2つで収入総額の83.4%を占める。そして,協同団体利益金(協同農場や協同所有企業の法人税に相当)が0.4%増,減価償却金(生産機関の減価償却相当の積立金)が0.1%増,不動産使用料(主に協同農場の地税に相当)が前年同水準,社会保障料が0.3%増,財産販売・価格偏差収入(企業などの財産の取引税に相当)が0.1%増,その他収入が0.6%増,特殊経済地帯収入(経済特区での税金に相当)が0.2%増とされ,どの項目も低い増加率であった。
項目別の支出計画は,経済部門の投資である人民経済発展資金が前年比0.6%増,うち金属や化学などの基幹工業と農業,軽工業部門に関する投資が同0.9%増,科学技術部門に対する投資が同1.6%増,非生産部門に関する支出である人民福利増進資金は,教育が同3.5%増,保健が同2.5%増,文化芸術が同2.7%増,体育が同1.6%増となった。そして支出の構成に関しては,総額に占める人民福利増進資金の割合が33.9%,国防費は15.9%と発表された。このほかの支出項目には予備費があるが,そのシェアは例年0.2%程度である。したがって,これらの数値から人民経済発展資金は支出総額の50.0%と算出され,前年と大きく変わらない構成の支出計画であったことがわかる。
そして,2021年の国家予算実績は2022年2月6~7日の最高人民会議第14期第6次会議で発表された。予算収入実績は計画の100.2%執行で,前年より1.1%増加した。予算支出実績は計画の99.9%執行であった。これらの数値から2021年の国家予算収支は収入(=支出)計画の0.3%相当の黒字を出したことになる。収入項目に関しては公表されなかったが,収入実績がほぼ計画どおりであったことから,それぞれの項目もほぼ計画に沿っていたと推定される。支出に関しては,人民経済発展資金が計画どおり0.6%増,科学技術に対する投資も計画どおり1.6%増,人民福利増進資金については計画段階での発表がなかったが,実績1.8%増であったと発表され,これも計画どおりであると推定される。支出構成に関しては国防費のみ発表され,計画どおり15.9%であった。以上から,全体としても計画に沿った支出構成であったと推定される。
5カ年戦略の総括と新たな5カ年計画1月5~12日の党第8次大会では,2016年から2020年までの「国家経済発展5カ年戦略」(5カ年戦略)の施行状況に関する総括と2021年から2025年までの「国家経済開発5カ年計画」(5カ年計画)に関する報告が行われた。前者の5カ年戦略は2016年5月6~9日に開催された党第7次大会で実施に入ることが発表され,その目標が「人民経済全般を活性化し,経済部門間の均衡を確保して,経済を持続的に発展させ得る基盤づくり」にあると説明された。この5カ年戦略の数値目標は公表されず,総括に関する発表でも執行状況を数値で示すことはなかった。しかし,5カ年戦略に関する基本的な資料が国外にリークされたことにより,当初の数値目標が明らかになった。
それによると主な数値目標は,GDPを年平均8%増とし2020年までの5年間で1.6倍にするほか,各部門の年間生産量は電力500kW,石炭3800万トン,鉄鋼120万トン,窒素肥料120万トン,セメント500万トン,穀物800万トン,肉類25万トン,水産物150万トン,織物2億5000万メートルとなり,鉄道貨物輸送は年5500万トンであった。党第8次大会で「未達成」とされたのは各部門の生産がこの数値目標に至らなかったということを意味する。
一方,新たな5カ年計画はその目標が,「自力更生,自給自足」を基本にして,「いかなる外部の影響にも左右されず経済が持続的に発展するよう正常軌道に乗せる」ことであるとされた。そして,具体的な課題としては,金属工業部門と化学工業部門を中心にして基幹工業部門間の連携を強化すること,農業部門の物質的・技術的土台を強固にすること,軽工業部門で原料の国産化の比重を高めることなどが挙げられた。ただし,5カ年戦略との具体的な違いは明確ではなかった。また,数値目標に関しても,平壌市での5万世帯の住宅建設,剣徳地区の2万5000世帯の住宅建設,セメント生産を年間800万トンにすることしか言及がなかった。
単年度計画の策定でも混乱があった。先に述べたように2021年1月17日の最高人民会議では国家予算報告がなされたが,国家予算が採択された後になって金正恩は国家予算の基礎である単年度計画の見直しを要求した。2月8~11日の党第8期第2次全員会議に関する報道では,金正恩が内閣の2021年計画の作成過程を批判したと報じられた。そこでは,とくに,農業部門の生産目標が高すぎること,電力,建設,軽工業部門の生産目標が低すぎることが取り上げられたとのことであった。そして,金正恩の批判に関して内閣の金徳勲総理は,「今年の戦闘目標を党の意図に即して設定できず発展方向性と連動性,牽引性,科学性が欠如した計画数値を提出した」と自己批判したことも報じられた。
見直しに入った2021年計画は,2月25日の内閣全員会議拡大会議までに確定したようである。この会議に関する報道では,朴正根副総理兼国家計画委員会委員長が計画作成過程での「消極的で保身主義的な傾向を発露させた原因」を分析して総括したと発表された。具体的な計画の変更点は明らかにされなかったが,2021年計画は3月3日の最高人民会議常任委員会で承認され,確定した。先に述べたとおり,国家予算が結果的に当初の計画どおりに執行されたことからみて,国家予算編成に大きく影響するほどの変更はなかったようである。
計画執行状況に関しては,上半期で工業総生産額計画が144%執行され,前年同期比25%増であったことが発表された。年間に関する増加率は明らかにされていないものの,工業総生産額計画が145%執行,うち石炭生産計画が101%執行,鉄道貨物輸送計画が103%執行,セメント生産計画が109%執行といった超過達成の数値が示された。
アメリカとの交渉は,2019年10月5日のストックホルムでの実務協議を最後に途絶えたままである。2021年1月20日に就任した民主党のバイデン大統領は4月28日に上下両院合同会議で施政演説を行い,そのなかで「アメリカと世界の安全保障に深刻な脅威を与えるイランと朝鮮の核問題」に対しては,「同盟諸国と緊密に協力して外交と厳しい抑止力を通じてこの両国の脅威に対処していく」と述べた。そして,4月30日にホワイトハウスのサキ報道官が新政権の対朝鮮政策について,「朝鮮半島の完全な非核化」というこれまでの目標を踏襲することを明言し,首脳会談を軸にしたトランプ政権の「グランドバーゲン」や,朝鮮が具体的な行動に出るまでは交渉しないというオバマ政権の「戦略的忍耐」という手法はとらないと述べ,朝鮮との対話を模索する「調整された現実的な接近」(calibrated practical approach)を求めていくと述べた。しかし,対話再開に向けた道筋や新たな提案などの具体策は示されなかった。
6月15~18日の党中央委員会第8期第3次全員会議で金正恩がアメリカとの「対話と対決の準備」に言及したことが発表されると,20日,ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)はABCテレビで「興味深いシグナル」であると発言し,朝鮮側からの交渉開始を求める「明確なシグナル」を待つと語った。しかし,朝鮮側には自分の方から交渉開始をもちかける気はなく,22日に金与正党副部長は談話を発表し,「自ら誤ってもつ期待は自身をさらなる失望に陥れるであろう」と冷ややかな表現で,交渉の可能性を否定した。翌23日には李善権外務相も談話を発表してアメリカとの接触の可能性を否定した。
対話を拒絶されたバイデン政権は圧力を強化する動きをみせるようになった。9月2日に国務省は,すでに実施されている朝鮮への旅行に関するアメリカ人旅券の使用禁止措置の期限を延長すると発表した。また,9月28日に朝鮮で極超音速ミサイルの試験発射が実施されると,バイデン政権はこれに強く反応し,10月1日に対応を協議するための国連安全保障理事会の非公開緊急会合を開いた。しかし,この会合では中国とロシアが強く反発し,話し合いがまとまることはなかった。
中国,ロシアとの友好関係の維持2020年1月末からの国境封鎖措置により,平壌にある在外公館や国際機関の事務所の活動も大きく制限された。2021年4月1日に駐朝ロシア大使館が発表したところによると,平壌に残っている外交使節の人員は290人未満であり,すでにイギリス,ベネズエラ,ブラジル,ドイツ,イタリア,ナイジェリア,パキスタン,ポーランド,チェコ,スウェーデン,スイス,フランスの大使館あるいは代表部は閉鎖され,すべての国際人道機関の駐在員も帰還しており,業務に当たっているのは9人の大使(ベトナム,ラオス,パレスチナ,中国,インドネシア,ロシア,キューバ,シリア,インド)と4人の代理大使であった。
特に伝統的友好国である中国とロシアの大使館では,中止されていた記念行事が徐々に開催されるようになった。中国大使館では6月21日に習近平の訪朝2周年を記念した写真展示会,30日に中国共産党創立100周年を記念した写真展示・記録映画上映会が開催され,ロシア大使館では,8月3日に金正日のロシア訪問20周年とシベリア極東地域訪問10周年を記念した写真展示会が開催された。中国の李進軍大使は6月21日の『労働新聞』に寄稿文を掲載し,また,12月22日に崔龍海最高人民会議常任委員会委員長と会談するなど,友好関係を確認した。ロシアのマツェゴラ大使も8月3日に大使館で尹正浩対外経済相と任天日外務省副相と会談し,11月18日に外務省で再び任天日外務省副相と,12月18日に金正奎外務省ヨーロッパ1局長と相次いで会談するなど友好関係を確認した。
2022年の党の方針は,2021年12月27~31日の党中央委員会第8期第4次全員会議に関する報道で示された。その報道によると,金正恩が「結論」で挙げた2022年の基本課題は「5カ年計画遂行に確固たる保証を与え,国家の発展と人民の生活ではっきりした変革を成し遂げて,祖国の歴史に栄光に輝く1ページを記すこと」であった。そして,経済部門では現行の生産を活性化することと生産の整備・補強をより力強く推し進めることで経済を成長軌道に乗せ,人民に安定して向上した生活を提供することに総集中するべきだと述べ,基幹工業部門,衣食住問題,文化分野,国防部門などに言及した。また,前年に引き続き非常防疫活動を「国家活動の第1順位,最重大事」に位置づけた。「結論」とは別に金正恩は「朝鮮式社会主義農村発展の偉大な新時代を開いていこう」と題する報告を行い,農村の発展に関する「中長期的戦略」を示した。
しかし,新たな5カ年計画の数値目標に関しては2年目に入ってもまったく発表がないままである。これは国境封鎖の継続により成長に制動がかかっていることで経済の先の見通しが難しくなっていることを示しているようである。2022年の国家予算計画でも予算収入は0.8%増と前年の計画値よりも低く策定されている。
「結論」では対外関係や対南関係に言及したとされるが,具体的な内容は公表されず,和解や対話に向けた方針や政策には触れられなかったようである。実際,2022年初めにはバイデン政権が朝鮮国籍の個人6人に制裁を科すなど,対決姿勢をみせており,韓国政府にも北側に厳しい態度をとるよう要求する可能性が高い。朝米関係も南北関係も当面関係改善に向けた動きは難しいとみられる。その一方でさまざまなミサイルなどの兵器開発が進み,それを可視化する動きが続くであろう。ただし,核実験の再開は,伝統的友好国である中国やロシアとの関係を損ねる恐れがあり,控えるのではないかと思われる。
(地域研究センター)
1月 | |
1日 | 金正恩,錦繍山太陽宮殿を訪問。 |
1日 | 全人民に対する金正恩書簡発表。 |
5日 | 党第8次大会(~12日)。金正恩,事業総括報告と結論を発表し,党総秘書に選出。 |
14日 | 朝鮮中央テレビ,甕津兎種畜場改築を報道。 |
14日 | 党第8次大会記念閲兵式。 |
17日 | 最高人民会議第14期第4次会議,5カ年計画と国家予算を討議。 |
23日 | 『労働新聞』,平壌電子医療器具工場改築竣工を報道。 |
2月 | |
8日 | 党中央委員会第8期第2次全員会議(~11日),金正恩が報告を行い,金徳勲総理が自己批判,部門別協議会も開催。 |
14日 | 山林復旧戦闘・国土管理総動員事業情況総括会議。 |
16日 | 金正恩,錦繍山太陽宮殿を訪問。 |
16日 | 『労働新聞』,国家科学院恩情豚工場新築を報道。 |
24日 | 金正恩,党中央軍事委員会第8期第1次拡大会議を指導。 |
24日 | 党中央軍事委員会委員長命令第0021号,人民軍主要指揮成員が昇級。 |
25日 | 内閣全員会議拡大会議。 |
27日 | 『労働新聞』,恩情茶飲料工場竣工を報道。 |
3月 | |
1日 | 『労働新聞』,新浦魚類缶詰工場改築竣工,平安南道養老院竣工を報道。 |
2日 | 慈江道芸術劇場竣工。 |
3日 | 最高人民会議常任委員会第14期第13次全員会議,社会保険・社会保障法,輸入物資消毒法を採択,「2021年人民経済発展計画」「東海岸地区国土建設総計画」を承認。 |
3日 | 第1次市・郡党責任秘書講習会(~6日)。4日に金正恩が結論を発表。 |
12日 | 『労働新聞』,農業研究院稲研究所温泉研究分所竣工を報道。 |
15日 | 金与正党副部長談話,南側での軍事演習(8~16日の前半期連合指揮所訓練)の実施を非難。 |
19日 | 『労働新聞』,海州大慶加工事業所の改築,操業開始を報道。 |
19日 | 外務省,マレーシアとの国交断絶を宣言。 |
23日 | 平壌市1万世帯住宅建設着工式,金正恩が演説。 |
25日 | 国防科学院,新型戦術誘導弾試験発射。 |
26日 | 『労働新聞』,金正恩の普通門周辺での江岸地区護岸段々式住宅区建設構想発表と現地での指導を報道。 |
4月 | |
1日 | 『労働新聞』,金正恩の2度目の江岸住宅区建設現場訪問を報道。 |
5日 | 体育省,東京での第32回オリンピック競技の不参加を発表。 |
6日 | 第6次党細胞秘書大会(~8日)。8日に金正恩が結論を発表。 |
11日 | 内閣全員会議拡大会議。 |
13日 | 民防衛革命事跡館開館。 |
14日 | 李龍南駐中国大使,習近平国家主席に信任状奉呈。 |
27日 | 金日成・金正日主義青年同盟第10次大会(~29日)。28日に名称を「社会主義愛国青年同盟」に変更。29日に金正恩の書簡発表。 |
29日 | 『朝鮮新報』朝鮮語版ウェブサイト,24日付最高人民会議常任委員会政令第602号「茂山輸出加工区を設置することについて」の採択を報道。 |
30日 | 最高人民会議常任委員会第14期第14次全員会議,革命事跡事業法,ソフトウェア保護法,商品識別保護管理法を採択,環境保護法,建設法を修正。 |
5月 | |
2日 | 金与正党副部長,談話で南側での脱北者による対北ビラ撒布を非難,「相応の行動」を検討すると警告。 |
5日 | 金正恩,人民軍大連合部隊軍人家族芸術組公演を観覧。 |
18日 | 東来江貯水池から洪建島までの水路開通。 |
19日 | 咸鏡南道人民病院開院。 |
22日 | 『労働新聞』,咸興キムチ工場竣工を報道。 |
25日 | 職業総同盟第8次大会(~26日)。25日に金正恩の書簡伝達。 |
6月 | |
4日 | 党政治局会議第8次第1期会議。 |
7日 | 金正恩,党中央委員会と道党責任幹部の協議会を招集。 |
11日 | 党中央軍事委員会第8期第2次拡大会議。 |
15日 | 党中央委員会第8期第3次全員会議(~18日),金正恩報告が行われ,16~17日に部門別分科協議会。 |
20日 | 女性同盟第7次大会(~21日),金正恩書簡伝達。 |
21日 | 『労働新聞』,中国共産党創立100周年に際して李進軍駐朝中国大使の寄稿文掲載。 |
22日 | 金与正党副部長談話,20日のサリバン米大統領補佐官による金正恩の「対話と対決の準備」への言及を「興味あるシグナル」であると発言したことを批判,「自ら誤ってもつ期待は自信をさらなる失望に陥れるであろう」と警告。 |
23日 | 李善権外務相,アメリカとの接触は考えていないと談話を発表。 |
27日 | 咸鏡北道山林科学研究所竣工。 |
29日 | 金正恩,党第8期第2次政治局拡大会議を指導。 |
7月 | |
8日 | 金正恩,錦繍山太陽宮殿を訪問。 |
11日 | 金正恩,国家表彰を授与された中央芸術団体創作家・芸術人たちを祝賀。 |
24日 | 人民軍第1次指揮官・政治活動家講習会(~27日)。25日に金正恩,結論を発表。 |
26日 | 『労働新聞』,咸興化学工業大学化学実験館と咸興医学大学体育館の竣工を報道。 |
26日 | 朝鮮中央通信,12日から猛暑が持続して全国の大部分の地域で日照りの被害を受け始めたと発表。 |
27日 | 金正恩,祖国解放戦争参戦烈士墓を訪問。 |
27日 | 南北の通信連絡線,423日ぶりに回復。 |
27日 | 第7次全国老兵大会,金正恩演説。 |
28日 | 金正恩,友誼塔を訪問。 |
8月 | |
1日 | 金与正党副部長談話,通信連絡線の回復に関して「断絶していたものを物理的に再び連結しただけという以上の意味を付与してはならない」,アメリカとの合同軍事演習の実施について「注視」すると言明。 |
3日 | 尹正浩対外経済相と任天日外務省副相,それぞれマツェゴラ駐朝ロシア大使と会談。 |
5日 | 朝鮮中央テレビ,1~2日の咸鏡南道での暴雨による被害を報道。 |
5日 | 水害被害復旧事業のための咸鏡南道党軍事委員会拡大会議。 |
10日 | 金与正党副部長談話,南側での10~13日の「危機管理参謀訓練」と16~26日の「連合指揮所訓練」の実施を非難。 |
10日 | 南北の通信連絡線,再び不通。 |
11日 | 朝鮮中央通信,北青豚工場竣工を報道。 |
14日 | 『労働新聞』,黄海北道での獣医薬品生産基地操業開始を報道。 |
21日 | 『労働新聞』,金正恩の普通江江岸住宅区建設事業現地指導を報道。 |
24日 | 最高人民会議常任委員会第14期第16次全員会議,道路交通法,山林法を修正。 |
30日 | 金正恩,「厳しい部門」に志願進出する青年たちと会見。 |
9月 | |
2日 | 党政治局第8期第3次拡大会議,金正恩司会。 |
7日 | 明川地区炭鉱連合企業所石城炭鉱竣工。 |
8日 | 金正恩,共和国創建73周年慶祝行事に参加する労力革新者,勤労者を祝賀。 |
9日 | 共和国創建73周年慶祝民間および安全武力閲兵式。 |
9日 | 金正恩,錦繍山太陽宮殿を訪問。 |
12日 | 11日付最高人民会議常任委員会政令第690号発表,普通江江岸住宅区の行政区域名称を平壌市中区域瓊楼洞と命名。 |
12日 | 『労働新聞』,江界市望美亭地区での登山道新設を報道。 |
12日 | 咸鏡南道軍事委員会拡大会議,水害被害復旧に関する8月の事業を総括。 |
13日 | 朝鮮中央通信,国防科学院が11日と12日に新たに開発した新型長距離巡航ミサイルの試験発射に成功したと発表。 |
13日 | 『労働新聞』,江界市曲河地区での新たな橋の建設を報道。 |
15日 | 中部山岳地帯で鉄道軌道ミサイル連隊の検閲射撃訓練。 |
15日 | 金与正党副部長談話,南側で文在寅大統領が潜水艦発射弾道ミサイルの発射実験に立ち会って「北の挑発に対する抑止力」と述べたことを,「不適切な失言」として遺憾の意を表明。 |
20日 | 朝鮮中央通信,張昌河国防科学院長の論文「南朝鮮の拙い水中発射弾道ミサイル」を発表。 |
23日 | 厚昌鉱山4号発電所竣工。 |
23日 | 李泰成外務省副相談話,21日に南側の文在寅大統領が第76次国連総会で「終戦宣言」を提案したことについて,「現時点で朝鮮半島情勢の安定にまったく助けにならない」と批判。 |
24日 | 『労働新聞』,国家科学院(恩情地区)党委員会によるヤギ牧場の建設を報道。 |
24日 | 金与正党副部長談話,「終戦宣言」提案について,「双方の相互尊重が保障され,他方に対する偏見と激しい敵視政策,不公平な二重基準からまず撤回されなければならない」との条件を主張。 |
25日 | 金与正党副部長談話,南側の「終戦宣言」提案に関して,「すべての火種を取り除くための南朝鮮当局の動きが目に見える実践に現れることを望む」と言明。 |
28日 | 国防科学院,慈江道龍林郡都陽里で新たに開発された極超音速ミサイル「火星-8」試験発射。 |
28日 | 最高人民会議第14期第5次会議(~29日),市・郡発展法,青年教育保障法を採択,人民経済計画法を修正。29日に金正恩施政演説。 |
30日 | 国防科学院,新たに開発した反航空ミサイルを試験発射。 |
10月 | |
3日 | 白頭山ミネラルウォーター工場竣工。 |
4日 | 南北の通信連絡線,55日ぶりに復旧。 |
5日 | 恵山キムチ工場竣工。 |
10日 | 『労働新聞』,大城区域林興洞での住宅建設を報道。 |
10日 | 党創建76周年記念講演会,金正恩演説。 |
10日 | 咸鏡南道新興郡,洪原郡,咸興市,栄光郡で新設住宅引っ越し行事。 |
11日 | 国防発展展覧会「自衛-2021」開幕(~22日)。11日に金正恩記念演説。 |
19日 | 国防科学院,新型潜水艦発射弾道弾試験発射。 |
20日 | 『労働新聞』,順川市ヤギ牧場新設を報道。 |
20日 | 平安北道少年団野営所竣工。 |
20日 | 正方山ホテル竣工。 |
20日 | 三池淵郡鯉明水洞・新茂成洞・5号ムルドン洞・胞胎洞・普西里・通新里・白三里・中興里・興溪水里・小白山里で新設住宅引っ越し行事(~27日)。 |
22日 | 黄海北道獣医防疫所獣医薬品生産基地竣工。 |
24日 | 農業研究院果樹学研究所沙里院研究分所竣工。 |
24日 | 広浦アヒル工場宣徳種禽職場コクチョウ舎竣工。 |
25日 | 桧倉郡の中国人民志願軍烈士陵に金正恩の花輪進呈。 |
26日 | 内閣全員会議拡大会議。 |
31日 | 平安北道品質分析所竣工。 |
11月 | |
1日 | 平原郡ナムドン里で700余世帯住宅建設,引っ越し行事。 |
6日 | 人民軍各級機械化部隊管下砲兵区分隊砲射撃競技。 |
6日 | 『労働新聞』,江界市公貴洞地区での200世帯住宅建設を報道。 |
9日 | 平安北道山林科学研究所改築,竣工。 |
12日 | 『労働新聞』,江界高麗薬加工工場改築を報道。 |
13日 | 朝鮮中央テレビ,鴨緑江総合食料工場現代化工事完工を報道。 |
15日 | 金正恩,三池淵市を訪問。 |
18日 | 第5次三大革命先駆者大会,18日に金正恩書簡伝達。22日付『労働新聞』,閉幕を報道。 |
18日 | 任天日外務省副相,マツェゴラ駐朝ロシア大使と会談。 |
20日 | 『労働新聞』,黄海南道獣医防疫所の新設を報道。 |
23日 | 軍民龍川豚工場現代化工事竣工。 |
24日 | 亀城鶏工場現代化工事竣工。 |
25日 | 平安北道基礎食品工場竣工。 |
26日 | 天星=城山川自然流式排水坑竣工。 |
28日 | 新義州鶏工場現代化工事竣工。 |
12月 | |
1日 | 党政治局第8期第5次全員会議,金正恩は農業部門と建設部門での成果に言及。 |
1日 | 『労働新聞』,白馬獣医生物薬研究所の改築を報道。 |
3日 | 平安北道8月糊加工工場竣工。 |
4日 | 人民軍第8次軍事教育活動家大会(~5日)。5日に金正恩,結論を発表。 |
5日 | 平安北道で乳牛牧場竣工。 |
7日 | 朝鮮中央テレビ,平安北道美術創作社改築を報道。 |
8日 | 清津市で鏡城犬肉家竣工。 |
9日 | 『労働新聞』,開城市開豊区域海坪里と板門区域新興里で百数十世帯の住宅新設を報道。 |
12日 | 煕川タイル工場竣工。 |
14日 | 最高人民会議常任委員会第14期第18次全員会議,沿海および江河川運輸法,建設設計法,財産執行法を採択。 |
20日 | 海州市学習帳工場竣工。 |
21日 | 沙里院体育館竣工。 |
21日 | 海州青年野外劇場竣工。 |
22日 | 崔龍海最高人民会議常任委員会委員長,李進軍駐朝中国大使と会見。 |
22日 | 黄海北道品質分析所竣工。 |
22日 | 黄海南道保健酸素供給所竣工。 |
23日 | 嶺南船修理工場で建造された1万2000トン級貨物船「長寿山」号出航。 |
26日 | 沙里院革命事跡踏査宿営所竣工。 |
27日 | 党中央委員会第8期第4次全員会議(~31日)。金正恩が報告。 |
30日 | 剣徳地区の端川市クムゴル1~3洞,大興2洞,白金山洞,探査洞で新設された住宅への入居集会(~31日)。 |
(出所)各年度国家予算報告による。
(出所)各年度国家予算報告による。
(出所)『朝鮮新報』日本語版2019年2月22日,FAO平壌代表部2015年6月15日発表,朝鮮社会科学院の李基成教授インタビュー(『週刊東洋経済』第64905号[2013年10月12日号],同第6628号[2015年11月14日号],『週刊東洋経済』ウェブサイト2018年3月1日),2018年および2019年は国連の“DPR Korea Needs and Priorites” 2019年版および2020年版,2020年は Government of the Democratic People’s Republic of Korea, “Democratic People’s Republic of Korea Voluntary National Review on the Implementation of the 2030 Agenda”。
(出所) 2010年は「対外投資合作国別(地区)指南――朝鮮(2017年)」(中国商務部)に掲載された朝鮮対外経済省の数値。2013年は,『朝鮮民主主義人民共和国投資案内』(朝鮮対外経済投資協力委員会,2014年)。2011年,2016年と2017年は社会科学院経済研究所の李基成教授インタビュー(『週刊東洋経済』第6490号[2013年10月12日],『日本経済新聞』2018年10月12日)。2014年は社会科学院の李基成教授が2016年8月に在日朝鮮人研究者に伝えたもの。2019年はGovernment of the Democratic People’s Republic of Korea, “Democratic People’s Republic of Korea Voluntary National Review on the Implementation of the 2030 Agenda”。
(出所)中国海関統計。
(出所)ロシア外国貿易統計。