アジア動向年報
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各国・地域の動向
2021年のスリランカ コロナ禍と外貨危機に迷走するラージャパクサ政権
荒井 悦代(あらい えつよ)
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2022 年 2022 巻 p. 521-544

詳細

2021年のスリランカ

概 況

ゴタバヤ大統領とその兄マヒンダ首相が率いるラージャパクサ政権は,2020年の国会総選挙で圧勝し,大統領の権限を強める憲法改正を行ったが,2021年にはコロナ禍で迷走し,政府に対する国民の支持は揺らいでいる。

政治では,ゴタバヤ大統領が弟のバジル・ラージャパクサを財務大臣(以下,財相)として入閣させ,重要な組織に軍関係者を任命するなど強固な政権基盤を形成したかに見えた。ところが,大統領は唐突に化学肥料の有機肥料への転換を強行し,コロナ禍の不自由な生活や物価の高騰に苦しむ国民に追い打ちをかけ,国民の信頼が低下した。国際社会からは内戦に関する戦争犯罪・人権侵害の責任者処罰だけでなく,少数派抑圧など幅広い分野における改善を求められた。しかし政府は,批判の多いテロ防止法(PTA)の下で恣意的な長期の拘禁を正当化する規則を制定するなど,態度を硬化させた。政権内部および連立政党との不協和音も目に付き始めた。一方,新型コロナウイルス対策では,年内に対象人口の85%が2回目のワクチン接種を終了した。

経済面では,実質国内総生産(GDP)成長率は約3.7%になる見込みである。燃料の国際価格の上昇に伴い必需品価格が高騰した。深刻な外貨危機に直面しデフォルトが懸念されたが,貿易相手国とのクレジットラインや通貨スワップにより回避した。

対外関係では,中国とは大量のワクチンの供給を受けるなど良好な関係にあったが,中国産の有機肥料の品質をめぐり一転して緊張が高まった。インドとは,共同開発プロジェクトのキャンセル・変更などがあったものの,コンテナ船火災消火活動や外貨危機への協力を通じて関係が強化された。

国内政治

政権内部および連立与党間の不協和音

前政権においては,大統領と首相の意思疎通ができず,イースターテロを防げなかったことが問題視され,政権交代に至ったが,現政権でも上層部に方針の不一致や,マヒンダが党首を務めるスリランカ大衆党(SLPP)と連立政権を組む政党(以下,連立政党)の不満が散見されるようになった。

マヒンダとゴタバヤの弟のバジルは,アメリカとスリランカの二重国籍保持者である。ゴタバヤも二重国籍保持者であったが,大統領選挙に立候補する際に米国籍を放棄した。2015年の第19次改正憲法が,二重国籍者の国会議員選挙および大統領選挙への立候補を認めなかったからである。しかし,2020年の第20次改正憲法では,二重国籍者でも立候補できるようになった。バジルは7月,SLPP議員の1人が辞任したことで比例代表選出議員に就任し,同時に財相に任命された。これで大統領,首相,財相という政権の上層部が兄弟で占められることになった。バジルの入閣は,次の大統領選挙への布石とみられていた。しかし同月,ゴタバヤは,大方の予想とかつての自身の発言に反して次の大統領選挙に立候補すると表明して周囲を驚かせた。

連立政党のなかでも最大のスリランカ自由党(SLFP)は,事前の取り決めどおりに人事や予算の配分が行われないこと,重要事項の決定がSLPPを中心になされることに不満を募らせており,シリセーナ前大統領は,2021年1月,次の選挙では連立に参加しない意向を表明した。

SLPPとほかの連立政党との亀裂を決定的にしたのは,9月に発表された,コロンボ近郊にあるユガダナビ石油火力発電所の政府保有の株式売却契約であった。これによりアメリカのニュー・フォートレス・エネルギー(NFE)社は,コロンボ沖に新しい液化天然ガス(LNG)ターミナルを建設し独占的に開発・運用する権利を取得することになる。政府は,閣議で契約を承認したと発表したが,セイロン電気公社(CEB)の労働組合は「国有資産の売却である」「入札を行っていない」などと契約に反対した。10月末,連立政党の党首で閣僚でもあるウィマル・ウィーラワンサ産業大臣(国民自由戦線),ウダヤ・ガンマンピラ・エネルギー大臣(純粋な遺産党),ヴァスデヴァ・ナーナヤッカラ水供給大臣(民主左翼戦線)らは,閣議に出席していたものの政府保有の株式売却契約についてはほとんど議論されなかったと主張し,最高裁への申し立てという異例の手段をとり,閣議が機能不全状態にあることや政策決定過程が不透明であることを明らかにした。

不満を抱く連立政党に対して11月,大統領が外遊で不在中に行われたSLPP5周年式典でマヒンダ首相は,連立11政党と良好な関係を維持し,彼らを政策決定に関与させるべきだと述べた。連立政党の党首らと個人的に親しいマヒンダ首相が公式の場で発言することで,関係改善の意思があることを示したと思われる。

大統領調査委員会報告書,野党議員の市民権剥奪を勧告

前政権の恣意的捜査や逮捕による政治的犠牲者に関する大統領調査委員会は2020年1月に設置され,シリセーナ/ラニル政権下の警察や反汚職委員会が,マヒンダ大統領政権第2期(2010年1月~2015年1月)での不正・汚職について捜査・逮捕・起訴した案件についての調査を行ってきた。2021年2月に提出された報告は,当時の捜査・調査は恣意的で逮捕・起訴も適切でなかったとし,起訴を取り下げ,起訴した前政権の政治的指導者ら22人に対して市民権剥奪を含む懲罰を科すべきとした。

市民権剥奪の対象は,現野党メンバーだけでなく,シリセーナ/ラニル政権で働いた高位の行政官も含まれるが,それを実施することは裁判所の判決を無効にし,司法関係者や公務員を萎縮させる懸念がある。1980年にSLFPのシリマヴォ・バンダラナイケが市民権を剥奪された際,同情を集め国民の支持を回復した例があったため,政府内部でもこのような厳しい対処には疑問の声もある。そもそも2020年の国会総選挙で225議席中3分の2に近い議席を確保し,大統領,首相,財相を兄弟で固めておきながら,ライバル政党にここまで強い措置を執る必要があるのか,現地の政治評論家などからも疑問が呈されている。

化学肥料不使用・有機肥料への突然の転換

新型コロナウイルスと同程度あるいはそれ以上に混乱をもたらしたのは,5月11日に大統領が発表した化学肥料から有機肥料への即時転換命令であった。大統領の選挙マニフェストで有機肥料への転換を掲げていたものの,政権発足後具体的な動きはなかった。しかし,このタイミングで化学肥料の輸入を全面的に停止しなければならない強い理由も見当たらない。

農業専門家は,数年の移行期間が必要であることや,他の国の例を挙げ,有機肥料のみを用いる農業の困難さを指摘した。何よりも主食のコメや主要輸出品の紅茶の収量が減少することが危惧された。化学肥料の使用に慣れた農民たちも当然反対した。食料供給不足や価格高騰だけでなく,飢饉さえ招きかねないという反対意見が国内外から寄せられたが,大統領は決意を変えなかった。

国内では有機肥料を商業生産しておらず,入札で決まった中国企業の海大生物社(Seawin Biotech)から購入することになった。スリランカ植物検疫局(NPQS)が輸入予定の有機肥料のサンプルを検査したところ,有害なバクテリアであるエルウィニアが検出されたため,契約をキャンセルするとスリランカ農業局が9月28日に発表した。10月8日,駐コロンボの中国大使館は,NPQSの検査が正確でない可能性を指摘し,再検査を求めた。その後スリランカの裁判所が,信用状を発行したスリランカの人民銀行に代金の支払い停止を命じた。それに対して中国は人民銀行の信用状をブラックリストに載せるなど,両者は対立した。10月末,海大生物社は駐コロンボの中国大使を通じて声明を発表し,中国企業や中国政府のイメージを傷つけたと農業局を批判した。11月には海大生物社が,スリランカの非科学的な検査によって会社の信頼性が傷つき経済的損失を被ったとしてNPQS局長に800万ドルを請求した。表向きはスリランカ政府ではなく農業局あるいはその下部組織であるNPQSを批判しており,スリランカ政府が直接矢面に立つことはなかった。しかし,スリランカはこれに応じざるを得ず(実際の支払いは680万ドル),外貨危機はさらに深刻化した。

新型コロナウイルス対策においても迷走

政府はインドからアストラゼネカ製ワクチン50万回分を入手し,1月下旬,医療従事者やコロンボ市民を皮切りに接種を開始した。しかし4月以降,インドでの感染拡大を受けてワクチン入手が困難となり,2回目の接種が行えなくなった。国内でも感染者が増え,政府はワクチン入手に奔走した。世界保健機関(WHO)が5月にロシアのスプートニクVや中国のシノファーム製ワクチンを認可すると直ちに接種が始まったものの,1回目にアストラゼネカ製ワクチンを接種した医療従事者やコロンボ市民はほかのワクチン接種ができず,政府に不満を募らせた。7月末に国際的なワクチン供給・調達枠組み(COVAXファシリティ)を通じてアストラゼネカ製ワクチンを得た後は,順調に接種が進み,年内に人口の85%が2回の接種を受けた。11月から3回目の接種も開始した。

5月に夜間や週末の外出禁止令(全土)が発出され,その後延長を重ねたが,感染の拡大は止まらず,8月20日に全国的・全面的な外出禁止が発令された。それまで政府は,経済活動の継続を優先して夜間外出禁止や日中の外出制限を設けるなどの対応にとどめていたが,医療関係者や宗教指導者らがより厳しい移動制限を求め,地方都市が政府よりも先に独自にロックダウンを実施する動きもあった。外出禁止は10月1日まで続いた。

また政府は,ムスリムの新型コロナウイルスによる死者の土葬を認めていなかったが(『アジア動向年報 2021』参照),2月10日に国会で首相が火葬の強制を撤回すると発言した。政府が埋葬地に指定したキリノッチ県イラナイティヴ島は北部の離島で,アクセスの悪さから反発されたため,3月に東部バティカロア県のオッダマヴァディでの埋葬を追加的に認めた。

テロ防止法(PTA)やコロナ対策を口実とした人権侵害

2021年は,政府による人権侵害が多発した。対象は,タミル人・イスラーム教徒など少数派に限らず,反政府的な主張を掲げる団体や個人も含まれ,過度な取り締まりや法的手段の恣意的執行も目立った。

2021年1月末,ミシェル・バチェレ国連人権高等弁務官が,2019年11月のゴタバヤ大統領就任以来の人権状況の悪化を詳細にまとめた報告書を提示し,勧告を行った。結論で「説明責任と和解のための国内のイニシアティブは結果を生むことができず,不処罰をより深く定着させ,被害者の不信を悪化させてきた。スリランカは過去について否定的な状態にあり,真実を求める努力は中止され,国の指導者は過去の犯罪の承認を拒否している。これは,現在と未来に直接的な影響を及ぼす」と述べた。そして国連加盟国に以下のような勧告が提示された。すなわち,(1)スリランカの状況を国際刑事裁判所に付託するための措置を講じる,(2)スリランカのすべての当事者が犯した国際犯罪を調査し国内で起訴する,(3)国際犯罪の可能性がある事件の捜査を開始する,(4)重大な人権侵害を犯した当事者に資産凍結や渡航禁止などの的を絞った制裁を適用する,などである。この報告書に基づいて3月に国連人権理事会(UNHRC)が行う投票の結果は,スリランカにとって非常に厳しいものとなることが予想された。

投票までの間,政府は関係各国にスリランカに不利な投票をしないよう働きかけた。2月に首相が新型コロナウイルス感染症によるムスリム死者の埋葬を認めたのも,イスラーム教信者が国民の多数を占める国にアピールするためであった。その一方で,大統領は,西欧諸国が撤廃を求めていたPTAに基づき,「宗教的,人種的,または共同体の不調和」を引き起こした者を,更生のためとして裁判なしに2年間拘留することを可能にする規制を制定した。3月12日の官報発布後まもなく,PTAと市民的および政治的権利に関する国際規約(ICCPR)を根拠に元西部州知事でムスリムのアザト・サリーが逮捕された。

バチェレ報告書の勧告は国連人権理事会決議46/1として賛成22票,反対11票,棄権14票で,3月23日に採択された。これに伴い6月に欧州議会は,一般特恵関税付与の条件としてスリランカにPTAの廃止を求める決議を採択した。12月にはアメリカ国務省が,バチェレ報告で名指しされた2人の元軍人に経済制裁を科すと決定した。このように国際社会は強い決議により人権状況の好転を期待する。その一方で強い決議がスリランカの態度の硬化と状況の悪化をもたらし,さらには西欧諸国に背を向け中国との関係を緊密化させるという指摘もある。

新型コロナウイルス感染拡大防止や治安維持を理由とする,政府による人権侵害の対象は多岐に及んでおり,国内からも批判されている。7月6日に警察は,新型コロナウイルス蔓延防止を目的として抗議活動や集会を禁止した。7日および8日に行われたデモ活動の参加者は,この決定に基づき健康ガイドラインに違反したとして逮捕され,検疫センターに隔離された。

2019年4月に発生したイースターテロ事件の捜査も野党議員や少数派抑圧の口実にされている。事件に関し個人的な意見を述べただけで,明らかに無関係なシンハラ人野党政治家や,諜報機関の役割について質問したカトリック教会の広報官が捜査当局から厳しい取り調べを受ける一方で,シリセーナ前大統領とラニル前首相の責任を舌鋒鋭く批判するマルコム・ランジット司教は何も問われない。リシャード・バディユディーン元商工業大臣など影響力のあるムスリム政治家も,犯行グループを幇助したとしてPTAを根拠に逮捕・起訴された(後に証拠不十分で釈放)。イースターテロ捜査に関して事件の背景の解明や主犯格の裁判が進まないなかで捜査が抑圧に用いられることに,事件の被害者らは憤っている。

ムスリムを対象とした「一国一法」タスクフォース任命

国際社会の懸念にもかかわらず,イスラーム教徒への嫌がらせや抑圧は続いた。4月には,内閣がムスリム女性の顔を覆うブルカやニカブの着用禁止を承認した。

10月に大統領は,「一国一法」の概念を研究し,宗教や民族に関係なくすべての国民にひとつの法をもたらすための法案準備を担うタスクフォースを任命した。その任務は以下の3点である。(1)「すべての人に公正な」法律を制定し実施する。(2)国籍,宗教,カーストまたはその他の考慮事項を理由に特別な扱いを誰にも与えない。(3)「一国一法」の概念の下で作成された法律が,国内および国際的に認められた人道的価値観に従っていることを確認する。しかし実態は,主にイスラーム教徒の婚姻関連法見直しやカジ裁判所(イスラーム教の教義に基づいた司法機関)の改革,マドラサ(イスラーム教の教育機関)の閉鎖,ブルカの着用禁止などを検討している。

さらに,大統領が過激なシンハラ・ナショナリズムを掲げるボドゥ・バラ・セーナ(仏教徒の力軍団,BBS)のニャーナサーラ僧をタスクフォースの委員長に任命したことは,驚きであった。ニャーナサーラは2014年6月のアルトゥガマ暴動(『アジア動向年報 2015』)を扇動した。彼はタミル語新聞『ヴィラケサリ』紙に,スリランカがもつべき唯一の法律はシンハラ人の法律であると述べた。タスクフォースにタミル人やキリスト教の代表が加わっていない点も問題視されている。

深刻な海洋災害となったエクスプレス・パール火災

コロンボ沖合に停泊していたシンガポール船籍のコンテナ船エクスプレス・パールで火災が発生し,爆発後に沈没した。船員は,ジュベルアリ港(アラブ首長国連邦[UAE])で積み込まれたコンテナから硝酸が漏れ出ていることに気がついたものの,途中のハマド港(カタール)とハジラ港(インド)では対応できる施設がなく専門家もいないとして対処を拒否され,そのまま次の目的地であるコロンボに向かった。5月19日にコロンボ沖18キロメートル地点に到着し停泊したが,硝酸が他の積荷などと化学反応を起こし20日に発火した。スリランカ海軍,空軍およびインド沿岸警備隊が悪天候のなか消火にあたり一旦消し止めたものの25日に爆発した。水深の深い場所まで曳航し,海洋汚染を最小限にとどめようとしたが,かなわず6月2日に沈没した。焼け落ちた船の破片やコンテナから流出した樹脂ペレットはスリランカ西岸に流れ着いた。漁業省は,パーナドゥラからネゴンボにかけての水域での漁業を禁止した。その後,亀やイルカ,鯨も打ち上げられ,スリランカ史上最悪の海洋災害となった。国内では,エクスプレス・パールの入港を認めた港湾当局に対して批判があがった。

この事件は,地政学的優位性を活かし,コロンボ港拡張やポート・シティ開発を通じてインド洋のハブとなろうとするスリランカに大きな課題を突き付けた。ハブとして機能するためには,多様で質の高い物資やサービスの提供とともに,こうした危険が生じる点についても国民の理解を得る必要があろう。

経 済

許容範囲を超える物価上昇

1月にコロンボ株式市場で全株価指数(ASPI)が6年ぶりに7000超えするなど,経済は好調に見えた。2021年の実質GDP成長率は,農業が2.0%,工業が5.3%,サービス業が3.0%であり,全体としては3.7%となる見込みである。

さまざまな物資の国際価格が高騰したが,物価上昇は政権不支持に直結するため,政府は小売価格の上限を定めて物価高騰を抑えようとした。しかしより高い価格で売りたい業者が倉庫に商品をため込んだため,市場は品不足となった。感染防止を目的とした行動制限下で短時間しか外出できないなか,消費者は商品購入のために距離を保ちながら長い行列に並んだ。政府は,10月に小麦粉,粉ミルク,セメント,LPガスなどの小売価格の上限を撤廃せざるを得なくなり,11月にはダール豆,砂糖などさらに広範な品目が対象となった。それにより物価指数(NCPI)は,政府がインフレの許容範囲とする4~6%を超えた。中央銀行は,2020年に景気を刺激しようと政策金利を5回にわたって引き下げたが,2021年8月にインフレを懸念して0.5ポイント引き上げた。

輸出は,主要輸出品である衣類が対前年比25.7%増え,輸出総額も24.4%増となった。衣類産業の労働者はコロナ禍でも移動制限の対象外とされ,生産を継続することができた。後に述べるように深刻な外貨危機にあるため輸入に厳しい制限を課しているにもかかわらず,輸入額は対前年比28.5%増となった。国際的な価格高騰を受けて燃料輸入額が47.2%増加し,スリランカ経済を圧迫した。その結果,貿易赤字は35.4%増となった。貿易収支赤字を補っていたサービス収支のうち,観光はロシアやウクライナ,インドなど特定の国から観光客を呼び込む取り組みが始まったが,コロナ禍前の2019年と比較してマイナス91.4%となった。海外からの送金は対前年比マイナス22.7%となった。

輸入1カ月分の外貨準備額にまで落ち込んだ外貨危機

2021年のスリランカ経済は,多額の対外債務の返済に直面し深刻な外貨危機に見舞われた。その一因は観光収入の激減だが,主な原因はコロナ禍で債務返済計画に狂いが生じたことにある。スリランカは過去に中国への債務返済が滞り,ハンバントタ港を長期リースせざるを得なかった。これは「債務の罠」に陥った典型例と見なされているが,対中債務は対外債務全体の10%ほどと実は大きくない。2021年のスリランカに危機をもたらしたのは,国際金融市場で調達した国際ソブリン債(ISB)の返済である。国際金融市場での調達は2007年に初めて実施して以降,額も対外債務に占める割合も急増している(図1)。これらの返済は5年あるいは10年後にまとまった金額を支払うことになっていた。スリランカは綱渡り状態ではあっても,返済できる見込みであったが,新型コロナウイルス感染症の流行が始まり,かつ長期化したことで,計画が大幅に乱れてしまったのである。

図1 対外債務の内訳と国際金融市場での借入金総額

(出所)Central Bank of Sri Lanka, Annual Report 各年版より筆者作成。

政府は外貨を少しでも増やそうと,海外からの送金が闇ルートに流れるのを防ぐため正規レートにプレミアを付与したり,イランから輸入した原油の代金を紅茶で支払うなど対策を講じた。車両輸入制限は2020年3月より継続している。しかし輸入削減を通じて外貨準備高を管理する戦略は,輸入の半分以上が中間財と資本財であるスリランカにとって,持続可能な解決策ではない。

通常ならば国際通貨基金(IMF)から融資を得る・返済をリスケジュールするなどの対応がなされる場面であるが,中銀総裁のカブラールは予定どおりの返済に固執し,国民に負担を強いる厳しい融資条件を課すIMFに支援要請しないと繰返し述べている。

その結果,11月末に外貨準備高は15億ドル(輸入約1カ月分)にまで下落した。確かに予定どおりの返済は国の信用維持にとって重要であるが,外貨不足により輸入が滞り国内経済を疲弊させかねない。ムーディーズやフィッチなどの格付け機関からは投資不適合とされており,調達コストの高い国際市場からさえも資金流入が見込めない。スリランカは,インドやバングラデシュなど近隣国から通貨スワップやクレジットラインを得て年末の外貨準備高を31億ドルに回復させ,2021年をようやく乗り切った(図2)。

図2 外貨準備と為替レート

(出所)Central Bank of Sri Lanka, Monthly Indicators 各月版より筆者作成。

生活インフラ供給体制の不安定化

外貨不足や資源価格の高騰,コロナ禍の世界で頻発したコンテナ船の遅れなどの障害がきっかけとなり,ガス,燃料,電気などの生活インフラを提供する国有企業の不透明な経営や経済的脆弱性が露わになった。

ガスシリンダー価格は,国際価格の上昇にもかかわらず長く固定されていたが,10月に市場シェアの80%を占める国営のリトロガス(Litro Gas)のそれが80%以上引き上げられた。値上げ後も輸入物資の遅れのため入手困難は続いた。次に問題となったのはガス爆発だった。前年は50件ほどだった爆発が,2021年は12月上旬の段階で120件と明らかに増加し7人が死亡した。そのため政府はシリンダー販売の一時停止を決定し(数日後に再開),調査委員会を任命したものの爆発の原因はしばらく特定されなかった。消費者個人では対応のしようがないため,爆発を恐れて灯油ストーブや薪・かまど用の鍋を買い求める客が増えた。後に調査委員会は組成変更がガス爆発の原因であると特定し,ガス会社に回収や交換を命じた。爆発の懸念は減じたものの,シリンダー不足は2022年になっても解消されなかった。また,リトロガスは消費者局に通知なしにガスの容量表示をキログラム表示からリットル表示に変更し,実質的な値上げも行っていた。しかし消費者局はそれらに対して適切な手続きをとらなかった。

燃料を輸入し国内に供給するセイロン石油公社(CPC)は,3310億ルピーの損失が発生したことを理由に,6月にガソリン価格を約15%引き上げた。同社は,世界市場で燃料価格が大幅上昇したにもかかわらず,21カ月間国内販売価格を維持した。つまり前政権で導入された,輸入価格に連動した計算式を用いず,売れば売るほど損失が増える状況であった。

価格を引き上げても輸入価格と国内販売価格にはまだギャップがあった。外貨危機が深刻化する11月にエネルギー大臣は,外貨を節約するために原油輸入を行わず,サプガスカンダ製油所を50日操業停止すると述べた。大臣は燃料が十分にあると繰り返し主張した。しかし国民の不安は拭えず,ガソリンスタンドに長蛇の列ができた。12月には国内燃料販売価格がさらに約12%引き上げられた。

政府がガスシリンダー販売の一時停止を決定した翌日,全島で5時間余りにわたる停電が発生した。停電に伴い水道水の供給も止まった。大規模な停電の原因は,前述のNFEとの取り決めに反対するセイロン電気公社(CEB)労働組合の活動によるものなのか,発電所施設の故障あるいは燃料不足なのかは不明である。

いずれにしろ燃料不足問題は続いている。その背景は,CPCがそもそも外貨不足でスムーズな燃料輸入が難しいことに加えて,CEBがCPCに燃料代を支払えていないことがある。コロナ禍の救済策として政府は,消費者に電気料金の支払い猶予を認めており,CEBは2021年9月の段階で440億ルピーを回収できていない。

リトロガス,CPC,CEBは国営企業であり,小売価格を柔軟に変えることができないため十分な収益が得られないだけでなく,労働組合が強く効率化が難しいなど弊害が指摘されてきた。そこに外貨危機やコロナ禍の長期化が襲い,結果的に国民に大幅な値上げと供給不足という苦痛をもたらした。

対外関係

反印感情でプロジェクトが停滞

インドとは,ワクチン提供,エクスプレス・パール火災対応,経済協力など多岐にわたる分野で交流があり,政治家や高官らの往来や電話会談も頻繁にあった。南アジアおよびインド洋における中国の存在感の高まりを意識せざるを得ないインドは,スリランカと良好な関係を構築したい。スリランカ政府も「インド第一」を原則としている。また,インドからの投資も呼び込みたい。しかしスリランカ国内にある反印感情および恐怖心,それを前面に出した労働組合の反対などがインド事業の進展を妨げた。

コロンボ港東コンテナターミナル(ECT)建設・整備については,2019年5月にインドと日本およびスリランカ港湾局(SLPA)の間で協力覚書が交わされ,その後,現政権の下で,SLPAとインド,日本両国企業との間の合弁投資プロジェクトとして事業再開が合意されていた。2021年1月上旬に来訪したインド外相も同プロジェクトの早期開始を求めていた。ところが1月下旬より港湾労働者や仏教僧侶らが,「政府のみがECT開発を行う」としていたゴタバヤの選挙マニフェストを根拠に反対運動を開始した。大統領が労組の説得を試みたものの,港湾労働組合だけでなく全国の広範な労働組合もこれに同調したことから,合意は2月1日の閣議で突然キャンセルされた(『アジア動向年報 2021』参照)。

ECTキャンセルの発表後,スリランカ側はインドに対して西コンテナターミナル(WCT)建設への参画を打診した。ECTとWCTは,中国企業とSLPAが運営するコロンボ国際コンテナターミナル(CICT)を挟んで向かい合っており,WCTはインドの物流のハブとなっているコロンボ港においてECTと同様にインドの拠点としての役割を果たすことができる。しかし,すでに一部が建設されているECTと異なりWCTはほとんどゼロから建設する必要がある。当然コストが大きく,供用開始まで時間がかかる。ゴタバヤの選挙マニフェストでは「WCTは官民で開発する」と記述されており,民間企業の参画に問題はない。交渉の結果3月にインドの新興財閥アダニ・グループが51%の株式,スリランカのジョン・キールズ社が34%およびSLPAは15%を保有し,35年間の建設・運営・譲渡(BOT)方式でWCTを建設することで合意した。

深刻な外貨危機から脱却すべく,バジル財相が11月から12月にかけて国会での予算審議中にもかかわらず,インドを訪問した。結果,4つの合意がなされた。最初の2つは外貨危機の緩和に直接つながる燃料購入,食料・医薬品輸入のクレジットラインであったが,第3はインドから投資を受け入れる環境の整備,第4はトリンコマリーにあるオイルタンクの早期近代化であった。後者の2つはインドからスリランカへの要求ともいえる。

スリランカは海外直接投資(FDI)を渇望しているが,国内にはインドに対して強い敵対心や恐怖心があり,二国間で合意に至った事業が実施されない場合が多々ある。前述のECTのキャンセルもそのひとつである。2013年に合意したサンプール石炭火力発電所建設も,実施されていれば電力の安定供給に寄与したといわれている。スリランカ政府は,第3の項目を満たすため国内世論に配慮しながら,インドによる投資および円滑な経済活動ができる環境を整える必要がある。特に反対が強いのは,シンハラ人が多数居住する地域での事業,国有資産に分類される分野に関わる事業である。

第4のトリンコマリーのオイルタンクの管理や使用についても,過去に合意が履行されてきたとは言い難い。インドは,1987年のインド・スリランカ合意の付属文書に基づき,第二次世界大戦時にイギリスが建設したオイルタンクを,スリランカと共同開発することになっている。2017年には,2003年の取り決めを変更して,インドが15基,両国の合弁会社が84基(うち10基はスリランカ専用)を分担して開発することになった。それを今回の取り決めではランカ・インド石油(LIOC,インド石油の子会社)が14基,CPCが24基,LIOCとCPCの合弁会社(CPCが株式の51%を保有)が61基を管理するとした。

コロンボ港はインドにとって経済安全保障上重要であるが,トリンコマリーのオイルタンクの多くは稼働しておらず経済的な役割は薄い。にもかかわらず,インドが同タンクの開発に固執するのは,中国がハンバントタ港に拠点を得たように,天然の良港であるトリンコマリーにおける自らの足場を固め,存在をアピールする狙いがあると思われる。

経済面でさらに存在感を増す中国

インドとスリランカの関係が,長い歴史のなかで生じた反印感情に影響を受ける一方で,これまで中国との事業に反対する国内勢力は少なく,事業の進展が早かった。そのため中国によるポート・シティの埋め立てが2020年末に終了したものの,スリランカ側の法制度整備の動きが遅く投資の誘致ができずにいた。3月末に行われた中国の習近平国家主席と大統領の電話会談で早期の法制度整備を求められたスリランカ政府は,4月8日にポート・シティ経済委員会法案を国会に提出した。この法案に関しては,野党議員や僧侶などが「委員会はスリランカの法律から免除される権限を与えられており,議会の立法権を弱体化させる」点が違憲であると最高裁に提訴した。また「中国の飛地」になる懸念を表明した。最高裁は5月18日に法案は違憲であると判断したが,政府は問題となる部分を変更して国会に再提出し,法案は同月20日に可決された。

7月には,外交関係樹立65周年,中国共産党100周年を記念した1000ルピーコインが発行された。2011年に日本との外交関係樹立60周年を記念したコインに続くものである。そして11月には,SLPAが単独で行うとしていたECTの建設工事を中国港湾工程会社(CHEC)とスリランカ地元企業が行うと発表された。短期間での方針変更には,国際社会だけでなく国内にも戸惑いがみられた。

一方,中国の事業がキャンセルとなった例もある。中国とスリランカは2021年1月に北部のジャフナ半島沖の3つの島における発電事業を実施することで合意した。しかしインドが安全保障上の理由を根拠にこれらの事業に懸念を表明したことから,中国はこの地域での発電事業を取りやめることとなった。

中国による有機肥料の品質をめぐる対応や,ポート・シティ法案の早期承認要求はこれまでなかった強い要求であり,スリランカと中国の関係が新たな局面に入ったようにみえる。これまで中国は,スリランカによる大規模プロジェクト中断や計画の遅れに厳しい懲罰などは行わず鷹揚に対応していた。スリランカはそれに乗じてインドと中国を天秤にかけて少しでも多くの援助や投資を引き出そうとさえしていた。ところが近年,中国は2013年に構築した戦略的パートナーシップを根拠に,スリランカに相応の対応を求めている。

2022年の課題

政府の課題は急落した国民の信頼回復である。少数派抑圧は,多数派シンハラ人の政府支持回復に役立つかもしれないが,国内の分断を増すだけでなく国際社会からの非難を招くことは間違いない。一方野党にとっては,物価上昇によって与党の支持が下落しており,有権者の支持を取り戻す絶好の機会である。次回の国政選挙は2023年11月以降の大統領選挙であり,準備の時間は十分にある。

経済では,前年と同規模の65億ドルの債務返済が予定されている。債務のリストラと外国援助の獲得によってデフォルトは回避可能かもしれないが,長期的には国際収支問題を解決するために輸入を減らし,輸出増加に取り組むしかない。あるいは隣国モルディブのように観光を再開することで短期的に経済を活性化できるが,医療専門家などから強い反対があるだろう。コロナ対策に関しては国民のコンセンサスを丁寧に得る必要がある。

対外関係では,主要な輸出先で来訪観光客数も多く,また人権状況を懸念する西欧諸国,地域の大国インド,経済的役割の大きい中国との間のバランス維持が求められる。政権内で意見の相違があるなかで,優先順位を決めて着実に政策を実施することが重要となる。

(地域研究センター)

重要日誌 スリランカ 2021年

1月
5日 インドのS・ジャイシャンカル外相来訪。
5日 ラタナ師,我々の人民の力党の比例代表選出議員として宣誓。
8日 ジャフナ大学構内の戦争記念碑撤去の是非をめぐり学生間で緊張。
12日 国会議員のランジャン・ラマナヤケ,法廷侮辱罪で4年の実刑判決。
13日 バティカロア高裁,2005年のタミル国民連合(TNA)議員ジョセフ・パララジャシンガム殺害に関して,「ピラヤン」ことシバネスアトゥライ・チャンドラカンタンに無罪判決。
14日 カルタラ県ホラナに南アジア最大のタイヤ工場オープン。
16日 ラナカ師,政府はコロンボ港東ターミナル(ECT)に反対する労働組合の扱いに注意すべきと発言。
21日 バンダラナイケ国際空港(BIA),商用飛行を再開。
25日 国連の人権専門家,新型コロナウイルスによる死者の強制的な火葬をやめるよう要請。
27日 国連人権高等弁務官ミシェル・バチェレ,スリランカの人権状況に関する報告書提出。
28日 インドよりアストラゼネカ製コロナワクチン到着。翌日より接種開始。
2月
1日 閣議,2019年5月締結のECT合意を全会一致で破棄。
1日 イースターテロに関する大統領調査委員会報告書,ゴタバヤ・ラージャパクサ大統領に手交される。
5日 賄賂調査委員会,ラヴィ・カルナナヤケ元財相を起訴。
23日 パキスタンのイムラン・カーン首相来訪(~24日)。
25日 新型コロナウイルスによるムスリム死者の埋葬を認める特別官報発布。
3月
6日 名古屋出入国在留管理局でスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん死亡。
12日 テロ防止法(PTA)に基づく「過激主義行為で逮捕された人々を更生させるための規則」に関する官報発布。
13日 大統領,インド首相モディと電話会談。
16日 犯罪捜査局(CID),元西部州知事でムスリムのアザト・サリーを,宗教的争いを扇動したとしてPTA違反で逮捕。
16日 大統領,エジプト大統領と電話。
19日 マヒンダ・ラージャパクサ首相,バングラデシュを公式訪問。
21日 大統領,国連人権理事会での協力を求めるためイスラーム協力機構(OIC)事務局長に架電。首相,バーレーンの副国王に架電。
23日 国連人権理事会(UNHRC),スリランカの人権状況対策に関する決議を賛成22,反対11,棄権14で採択。
29日 大統領,習近平・中国国家主席と電話会談。大統領,中国のUNHRC決議反対票に感謝。習氏,「中国はスリランカと協力して『一帯一路』(BRI)構想を推進する準備ができている」と発言。
4月
1日 スリランカ在住の中国人からシノファーム製コロナワクチン接種開始。
4日 バングラデシュ,インド,ブータンの両国と自国で合同軍事演習(~12日)。
5日 大統領府,パーム油の輸入を即時禁止すると発表。国内のアブラヤシ生産も制限。
7日 法務長官,過激なイスラーム組織11団体の活動を禁止すると発表。
8日 ポート・シティ経済委員会法案,国会に提出される。
12日 政府,中国開発銀行から5億ドル融資契約を締結。
20日 ボアオ・アジア・フォーラムで大統領,独立国家の主権は損なわれるべきでないと主張。融資ではなく投資を求める。
20日 放射性貨物(六フッ化ウラン)を積んだ船,ハンバントタ港に入港。原子力規制評議会,即時退去を求める。
24日 CID,2019年4月のイースターテロを支援・幇助したとしてバディユディーン兄弟をPTA違反で逮捕。
25日 BIAの到着・出発ターミナルを閉鎖。
27日 内閣,ブルカとニカブ着用禁止を承認。
27日 中国外相,スリランカ,バングラデシュ,パキスタン,ネパール,アフガニスタン当局とコロナ対策,貧困緩和,投資などに関してオンライン協議。
27日 中国の国防大臣・魏鳳和,来訪。28日に大統領および首相と会談。
5月
3日 法務長官,イースターテロに関して当時の国防次官ヘマシリ・フェルナンドとプジット・ジャヤスンダラ警察総監を起訴。
4日 ロシアのスプートニクVコロナワクチン到着。6日より接種開始。
7日 WHOによる中国のシノファーム製ワクチン承認を受けて8日より接種開始。
10日 コロナ感染拡大防止センター(NOCPC)のシャヴェンドラ・シルヴァ,州間移動を5月30日まで制限すると発表。
11日 大統領,有機肥料の使用を決定。
12日 午後11時より翌朝午前4時まで夜間外出禁止令。週末は日中も外出禁止。5月31日まで。平日の日中は国民認証番号の末尾によって外出を許可。
15日 法務長官,イースターテロ容疑者5人の取調べが不完全で起訴できないと述べる。
20日 ポート・シティ経済委員会法可決。
20日 コンテナ船エクスプレス・パール,コロンボ沖で火災発生。
23日 バングラデシュ,スリランカに2億ドルの通貨スワップを承認。
24日 移動制限を6月7日まで延長。
25日 エクスプレス・パール,爆発。
27日 特別官報,必須サービス業種を特定。
29日 エクスプレス・パール火災,鎮火。
6月
2日 エクスプレス・パール沈み始める。政府,パーナドゥラからネゴンボまでの漁業を禁止。
2日 移動制限を6月14日まで延長。
2日 大統領,有機肥料の生産に必要な機械の国内生産促進を当局に指示。
8日 警察,ソーシャル・メディアに虚偽の投稿・共有した場合,令状なしに逮捕される可能性があると発表。
9日 駐スリランカ日本大使と大統領会談。スリランカにアストラゼネカ製コロナワクチン提供で合意。
10日 EU議会,スリランカにPTA廃止を求める決議を採択。
11日 ガソリンなど燃料価格引き上げ。
15日 スリランカ共産党,中国共産党の100周年記念式典開催。主要政党党首・閣僚も出席。
23日 ラニル前首相,統一国民党(UNP)の比例代表選出議員として宣誓。
24日 2011年に元国会議員のバーラタ・プレマチャンドラン殺害で2016年に死刑判決を受けたドゥミンダ・シルヴァ,大統領特別恩赦により釈放。
24日 トリンコマリーでスリランカと日米が協力海上即応訓練(CARAT)実施(~30日)。
7月
6日 大統領,岸信夫防衛相とテレビ会議形式で会談。
6日 警察,新型コロナウイルス蔓延防止のため抗議活動や集会を禁止すると発表。
6日 スリランカ・中国外交関係樹立65周年,中国共産党100周年を記念した1000ルピーコイン発行。
7日 社会主義戦線党,エンジニアリング公社の従業員解雇をめぐりデモ。警察,参加者を検疫センターに隔離。
8日 バジル・ラージャパクサ,スリランカ大衆党(SLPP)の比例代表選出議員として宣誓。財相に就任。
8日 教師組合書記長ジョセフ・スターリンら,コテラワラ国防大学(KDU)法案への抗議活動中に逮捕され,9日,検疫センターに隔離。
15日 イースターテロを支援したとして逮捕されたリシャード・バディユディーン宅でメイドとして働いていた16歳の少女,やけどで死亡。
19日 大統領,次期大統領選挙に出馬表明。
19日 格付け会社のムーディーズ,スリランカの格付け(Caa1)の引き下げを検討中と報道。
27日 10億ドルの国際ソブリン債を返済。外貨準備は30億ドルに減少。
31日 日本よりCOVAXを通じて72.8万回分のアストラゼネカ製コロナワクチン到着。
8月
5日 最高裁,基本権訴訟を受け,PTAの更生規則の運用を一時停止。
16日 内閣改造。外相,保健相,教育相,電力相,運輸相などを交代。
20日 午後10時より8月30日午前4時まで全土に外出禁止発令。その後延長を重ね10月1日まで継続。
24日 元財相のマンガラ・サマラヴィーラ(65歳),新型コロナウイルス感染症で死亡。
30日 大統領,必須食料品供給を促すため緊急事態宣言を発出。
30日 パラリンピック男子やり投げF46でディネシュ・プリヤンタ選手,金メダル獲得。男子やり投げF64ではサミタ・デュラン選手が銅メダル獲得。
9月
9日 首相,G20世界宗教フォーラムに参加するためにイタリア訪問。
10日 W・D・ラクシマン教授,中央銀行(中銀)総裁辞任を発表。15日にアジット・カブラールが再任。
14日 EU,過去の紛争に関して説明責任,和解,人権を促進すべきという国連の枠組みを支持しないスリランカ政府の決定に遺憾を表明。
23日 ジャフナ選出の国会議員セルヴァラサ・ガジェンドランら,タミル・イーラム解放の虎(LTTE)メンバーのティリーパンの追悼式典を開催し保健ガイドライン違反で逮捕される。
24日 大統領,国連総会で演説。2050年までにスリランカをカーボンニュートラルな国にすると発言。
28日 植物検疫局,中国から輸入予定の有機肥料に有害なバクテリアが含まれていると指摘。農業局,契約キャンセルを発表。
10月
1日 午前4時より外出禁止令解除。
1日 中銀総裁,マクロ経済と金融システムの安定性確保のための6カ月間のロードマップ発表。
1日 世銀,5億ドルの融資(道路整備)を承認。
2日 日本の海上自衛隊の駆逐艦3隻がコロンボ港に到着。
5日 大統領,資金洗浄に関するパンドラ文書についての報告書を1カ月以内に提出するよう汚職・腐敗調査委員会に命令。
6日 世界最大のコンテナ船エバーエース,コロンボ港に到着。
7日 政府,小麦粉,粉ミルク,セメント,LPガスなどに課せられた価格規制を撤廃。
8日 中国大使館,海大生物社(Seawin Biotech)の有機肥料サンプルに有害なバクテリアは含まれないと反論,再検査を求める。
11日 元選挙管理委員のジーワン・ティアガラージャ,北部州知事に就任。
12日 インド陸軍のマノジ・ナラバネ将軍,来訪(4日間)。
14日 イースターテロ容疑とメイド死亡の件で拘束されていたリシャード・バディユディーン,釈放。
26日 大統領,「一国一法」タスクフォースの長に過激な仏教団体ボドゥ・バラ・セーナ(BBS)のニャーナサーラを任命。
28日 ムーディーズ,スリランカの格付けをCaa2に引き下げ。
28日 中国大使館の経済商業局,スリランカ人民銀行をブラックリストに掲載。
29日 主要閣僚,ニュー・フォートレス・エネルギー(NFE)社へのユガダナビ石油火力発電所株式売却に反対を表明。
31日 大統領,国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で演説。
11月
1日 コロナワクチン3回目接種開始。
2日 SLPP5周年式典で首相,若者や農民・教員らがSLPPから離れてゆくと警告。
3日 必需品17品目の小売価格の上限撤廃。
8日 海大生物社,損害賠償として,植物検疫局の局長に800万ドル要求。
8日 モルディブ大統領,来訪(~9日)。
12日 財相,2022年予算を国会に提出。
15日 エネルギー大臣,サプガスカンダ製油所を50日間閉鎖すると発表。
15日 最高裁,リシャード・バディユディーンの兄弟リヤジを証拠不十分で釈放。
16日 統一人民の力(SJB)のサジット・プレマダーサ,コロンボで開催の大規模集会で新政府形成の準備を呼びかける。
22日 ロシア連邦安全保障会議書記官のニコライ・パトルシェフ来訪。
22日 大統領,肥料政策に変更はないと明言。
23日 マヒンダ・サマラシンハ,国会議員を辞し駐米スリランカ大使に就任すると発表。
24日 新ケラニ橋開通。
27日 インド,スリランカ,モルディブの海上作戦実施(~28日)。
12月
1日 中銀,海外労働者向けの特別為替レートを提供。
2日 コロンボ高裁,アザト・サリーを無罪とし釈放を命じる。
2日 政府,LPガスシリンダーの販売禁止を発表。
3日 保健当局,国内初のオミクロン株感染者を確認したと発表。
3日 全土で停電。一部の地域で断水。
3日 パキスタン・シアルコットの工場でスリランカ人男性,従業員に暴行され死亡。
3日 大統領,インド洋会議(IOC)に出席するためアブダビに出発。
9日 ワサンタ・カランナゴダ元海軍司令官,北西部州知事に就任。
10日 アメリカ国務省,重大な人権違反を理由にスリランカ軍関係者2人に制裁を科すと発表。
13日 閣議,外貨節約のためナイジェリアの大使館など3つの在外公館を閉鎖。
15日 駐スリランカ中国大使,ジャフナ訪問(~17日)。
18日 格付け機関のフィッチ,スリランカのソブリン格付けをCCCからCCに格下げ。
21日 ガス爆発調査委員会,組成の変更が原因と発表。
21日 イランからの原油輸入の未払金を毎月紅茶500万ドル分で支払う合意締結。

参考資料 スリランカ 2021年

① 国家機構図(2021年12月末現在)

(出所)内閣府ウェブサイト掲載大臣名簿(http://www.cabinetoffice.gov.lk/cab/index-.php?option=com_content&view=article&id=25&Itemid=23&lang=en)。

内閣府ウェブサイト掲載特定問題担当大臣名簿(http://www.cabinetoffice.gov.lk/cab/index.php?option=com_content&view=article&id=41&Itemid=74&lang=en)。

各省庁の役割,特定問題の詳細および各省庁の所管する機関・依拠する法律については,以下の内閣府サイトで確認できる(http://www.cabinetoffice.gov.lk/cab/index.php?op-tion=com_content&view=article&id=54&Itemid=93&lang=en)。

② 政府要人名簿(2021年12月末現在)
② 政府要人名簿(2021年12月末現在)(続き)

(出所)内閣府ウェブサイト掲載大臣名簿(http://www.cabinetoffice.gov.lk/cab/index.php?option=com_content&view=article&id=25&Itemid=23&lang=en)。

内閣府ウェブサイト掲載特定問題担当大臣名簿(http://www.cabinetoffice.gov.lk/cab/index.php?option=com_content&view=article&id=41&Itemid=74&lang=en)。

各省庁の役割,特定問題の詳細および各省庁の所管する機関・依拠する法律については,以下の内閣府サイトで確認できる(http://www.cabinetoffice.gov.lk/cab/index.php?option=com_content&view=article&id=54&Itemid=93&lang=en)。

主要統計 スリランカ 2021年

1 基礎統計

(注)1)改定値。2)暫定値。3)労働力人口は15歳以上。4)2015年11月より基準年が2013年に変更された。年末の対前年比。5)2021年は4四半期の平均。

(出所)Central Bank of Sri Lanka,Annual Report 2021,KEY ECONOMIC INDICATORS.

2 支出別国民総生産(名目価格)

(注)1)改定値。2)暫定値。

(出所)Central Bank of Sri Lanka,Annual Report 2021, Appendix TABLE 9.

3 産業別国内総生産(実質:2010年価格)

(注)1)改定値。2)暫定値。

(出所)Department of Census and Statistics, National Accounts Estimates of Sri Lanka-Provisional Estimates for the Year 2021. Table 3: A10.

4 輸出・輸入分類

(注)1)暫定値。

(出所)Central Bank of Sri Lanka,“Press Release-External Sector Performance”各月版より作成。

5 国際収支

(注)IMF国際収支マニュアル第6版に基づく。金融収支の符号は(+)は資本流出,(-)は資本流入。1) 改定値。2)暫定値。

(出所)Central Bank of Sri Lanka,Annual Report 各年版。

6 国別貿易

(注)1)暫定値。2)2021年のEUはイギリスを含まない。

(出所)Central Bank of Sri Lanka,Annual Report 2021, Appendix TABLE83, 84.

 
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