アジア動向年報
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各国・地域の動向
2021年のモンゴル 国政選挙で与党人民党が相次いで圧勝
湊 邦生(みなと くにお)
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2022 年 2022 巻 p. 75-96

詳細

2021年のモンゴル

概 況

2021年のモンゴルは与党人民党が優位を固める年となった。1月には新型コロナウイルス感染症対策の不手際から市民の抗議活動が勃発し,フレルスフ内閣が総辞職する事態となったが,人民党内に動揺はみられず,むしろ人民革命党との合同によって党勢は拡大した。そして大統領選挙ではフレルスフ元首相が立候補し,他の2候補に対し大差で当選した。人民党は10月の国会補欠選挙でも圧勝を収めた。対照的に,最大野党の民主党は前年からの党内分裂が解消されず,党首の地位や選挙候補者をめぐり内部対立を繰り広げた結果,大統領選挙・国会補選ともに惨敗を喫した。他方,第三勢力では国会に唯一の議席をもつ労働国民党の得票が目立ったが,ウランバートル以外での勢力基盤が弱く,人民党への対抗勢力として民主党に取って代わるには至っていない。

経済面では,オヨーン=エルデネ首相が打ち出した大規模プロジェクトが注目を集めた。首相は就任早々に新型コロナウイルスの影響からの脱却を狙った「健康保護・経済再生10兆トゥグルグ包括計画」を開始すると,7月に開港した新チンギス・ハーン国際空港周辺の都市開発や鉄道建設に着手し,12月には人民党大会で「新再生政策」を発表した。また,オヨー・トルゴイ銅鉱の投資契約をめぐっては投資者のリオ・ティント社およびターコイズ・ヒル社との交渉の末,モンゴル政府の23億ドルの債務免除といった譲歩を勝ち取った。反面,ロシアからの石油輸入停滞による燃料不足や中国国境の一時閉鎖に起因するモノ不足によって,物価上昇が深刻化するなど,経済面での弱点も露わとなった。

対外関係では,2回のロシア副首相の来訪,12月のフレルスフ大統領によるロシア訪問など,2021年に外交樹立100周年を迎えたロシアとの間での往来が目立った。ただし両国間にはウランバートル市内の土地問題やエグ川水力発電所建設問題といった懸案事項があり,解決は翌年以降に持ち越された。

国内政治

新型コロナウイルス対応への抗議デモからフレルスフ内閣総辞職

2021年は新型コロナウイルスの感染が続くなかで始まった。感染防止対策として首都ウランバートルはロックダウンされ,地方との移動を許可制にするなどの措置が取られたが,市内での感染者やクラスター発生は相次いでいた。そして社会には,厳しい規制やそれにもかかわらず市中感染が生じたことへの不満,さらに国境閉鎖で足止めされたモンゴル国民の帰国措置の遅れなどへの批判が広がっていた(『アジア動向年報2021』参照)。

そのようななか,新型コロナウイルス感染症拡大への対応が政治問題化した。1月に国立第1中央病院付属の出産施設で感染した産婦を母子共に隔離先に移送する際,気温がマイナス20度を下回るなかで寝間着とスリッパ姿で屋外を移動させたことが発覚した。これに対してウランバートル市民が抗議と責任者の解任を求めるデモを挙行し,ソドバータル副首相・国家非常事態委員長とムンフサイハン保健相が辞任に追い込まれた。これに対し,フレルスフ首相はバトトルガ大統領がデモを支援,政治問題化していると主張して辞任を表明し,国会が承認したことで,フレルスフ内閣の総辞職が決まった。ただし,バトトルガ大統領はデモとの関係を否定したほか,フレルスフ首相の辞職が大統領選挙への立候補を狙ったものとの見方も流れた。

オヨーン=エルデネ新政権誕生,新型コロナウイルス対策に取り組む

フレルスフ首相辞任の翌日となる1月22日,人民党執行部は全会一致でオヨーン=エルデネ内閣官房長官の新首相候補推薦を決定した。これに対し人民党内反フレルスフ派の目立った動きはなく,27日には国会本会議が首相任命案を承認し,29日には前政権からの再起用8人を含む新内閣が成立した。

オヨーン=エルデネ内閣が最初の課題として掲げたのが,新型コロナウイルス感染症対策,とりわけワクチン接種であった。すでに前政権が各国との間でワクチン供給に関する折衝を進めていたこともあり,2月22日にはモンゴル初となるアストラゼネカ製ワクチンがインドから到着し,翌日には国内での接種が開始された。同じ日には中国シノファーム製ワクチン,ロシア製スプートニクVワクチンの受け入れ,さらに3月にはファイザー製ワクチンの受け入れがそれぞれ始まった。特にファイザー製ワクチンのうち9割程度となる235万回分は,日本政府が国連児童基金(UNICEF)を通じて提供したものであった。これらによってモンゴルでは他国に先がけてワクチン接種が進み,4月には2回目接種,8月には3回目接種も始まった。

しかし,感染の拡大は必ずしも抑えられなかった。むしろ,感染者数は3月末から4月にかけて上昇し,ウランバートルでは4回目のロックダウンが行われた。さらに感染者数は大統領選挙期間をはさんだ5月後半から6月前半にかけて増加した。それが収まった後も,8月から再上昇し,9月初めに1日の感染者数が過去最多を記録した。この背景には,4回目のロックダウン終了後に政府が以後の封鎖的な措置を否定したため,強力な防止措置が取れなかったこと,ワクチン接種が政府の計画ほど進展していないことなどが考えられる。2021年末時点で1日の感染者数は100~200人程度になっているが,オミクロン株の流入による感染再拡大が懸念される。

人民党と人民革命党による再統合と大統領選挙に向けた動き

2021年の国内政治で最大の焦点となったのが大統領選挙であった。今回の選挙は2019年の憲法改正によって,大統領の任期がそれまでの4年2期から6年1期のみに改められてから初となる。大統領選挙に立候補者を擁立可能なのは国会に議席を有する政党であり,2021年初時点では与党人民党と,野党民主党,人民革命党,労働国民党の4党に資格があった。

このうち,人民党は5月に開かれた幹部会でフレルスフ前首相を全会一致で候補に指名した。1月に発生した抗議運動と,それに伴う首相辞任が,当時噂されたとおりに大統領選挙の立候補という形をもたらした。

さらに同月には人民革命党との間で,10年半ぶりの再統合も成功させた。人民党と人民革命党は,ともに社会主義時代の独裁政党であった人民革命党の流れを汲み,2010年に人民党への党名改称をめぐって分裂し,エンフバヤル元大統領らが旧党名を掲げて独立した経緯があった(『アジア動向年報2011』参照)。しかし,人民革命党の支持者のなかに再統合を求める声が以前からあった。その両党がこの時期に再統合に至った背景としては,人民革命党が大統領選挙で立候補者擁立を見送る一方,10月に予定されている国会補欠選挙で,人民党がエンフバヤル人民革命党党首の子息バトショガルを立候補させる政治的取引の存在が噂された。ただし,人民革命党所属のガンバータル国会議員は人民党への合流を不服として離党し,民主党国会議員団に合流した。

残る民主党,労働国民党のうち,労働国民党は5月に候補者指名選挙を行い,事業家のエンフバト元国会議員の擁立が決定した。一方,民主党の候補者決定は紛糾した。民主党出身で現職のバトトルガ大統領は就任が憲法改正前だったため,再選不可の規定が適用されるかが議論となった。憲法裁判所は4月16日に現行の大統領選挙法について,現職および元大統領の大統領選挙立候補禁止を明記していないために違憲との判断を下した。国会は違憲判断を承認し大統領職未経験者のみを立候補可能とする条項を追加した同法の改正案を可決,これによりバトトルガ大統領の立候補は不可能となった。バトトルガ大統領は判断に承服せず,国会決定と改正案双方に対して拒否権を発動,さらに同月21日には人民党の解散を命ずる大統領令を発した。しかし,拒否権はどちらも人民党の反対によって覆った。また大統領令はそもそも法的根拠に乏しく,何の影響もなかった。

さらに,バトトルガ大統領に代わる候補擁立には前年来の党内対立が影響した。民主党では党首の地位を主張するエルデネ前国会議員の一派と,2020年総選挙の敗北によるエルデネの辞任を受けて党首代行に就任したと主張するトワーン国会議員の一派とが衝突していた(『アジア動向年報2021』参照)。3月には双方が党首選挙を別々に実施し,対立する2つの党本部が併存することとなった。両派は大統領候補指名でも分裂した。エルデネ派がエルデネ前国会議員の立候補を決定すると,トワーン派がアルタンホヤグ元首相を擁立し,それぞれが立候補を届け出た。全国の選挙管理組織である選挙中央委員会は5月5日にエルデネの立候補のみを受理したが,これに反対する同党国会議員団が抗議のハンストに訴えるなど,エルデネへの一致した支持を期待できる状況ではなかった。

大統領選挙フレルスフ候補大勝,国会補選も人民党が制する

大統領選挙は人民党フレルスフ前首相,民主党エルデネ前国会議員,労働国民党エンフバト元国会議員の間で争われた。6月9日には初回投票が行われ,即日開票の結果フレルスフ前首相が地方と首都双方で他の候補を圧倒し,投票総数の3分の2を上回る得票で圧勝を決めた。次点はエンフバトで主に首都で票を集めた。対照的にエルデネは得票率が6%に止まり,モンゴルでは有効とされる白票の5.9%とほぼ同等という惨敗を喫した。ただ,この結果を受けてもエルデネ派の幹部らは責任を問われず,民主党内の対立収拾の動きも具体化しなかった。

2021年には大統領選挙に加えて,第18選挙区(東部ヘンティー県),第28選挙区(首都ソンギノハイルハン地区の一部)各1議席について,国会補欠選挙も行われた。これはフレルスフ大統領とスミヤバザル首都知事がそれぞれのポストに就任し,国会議員辞職に伴うものであった。9月2日に国会補選立候補者が決定し,主要政党のうち人民党は第16選挙区でヘンティー県知事のイデルバト,第28選挙区ではエンフバヤル元大統領の子息バトショガルを擁立した。民主党はまたも対立する両派がそれぞれ候補者を届け出たが,今回もエルデネ派の届け出が受理され,第16選挙区ではガラムガイバータル元国会議員団長,第28選挙区ではバト=ウール元首都知事の立候補が決まった。労働国民党は第28選挙区でナイダラー元党首を擁立したが,第18選挙区では候補を出さなかった。

補欠選挙の投票は10月10日に行われ,第18選挙区ではイデルバトが有効票の7割以上を獲得,第28選挙区ではバトショガルが過半数を上回る票を得た。逆に民主党は両選挙区とも得票率が2割を下回る惨敗を喫し,バト=ウールの得票はナイダラーにも及ばなかった。ただし有権者の関心は低く,一部の投票地点では投票率が過半数を下回った。このため未投票者を対象とする追加投票が行われたものの投票は少なく,両選挙区とも最終的な投票率が50%未満で選挙結果が確定するという,モンゴルでは異例の事態となった。

2020年の総選挙に続き,人民党と民主党の明暗が分かれた要因としては,上述した人民党の勢力拡大,民主党の内紛に加えて,世代交代の成否が挙げられる。人民党では2018年のフレルスフ首相不信任案をめぐる対立の結果,旧来の政治家の多くが第一線を去っていた。また,同年に就任したオヨーン=エルデネ首相と国会補選で当選したイデルバトは40代前半,バトショガルは30代半ばと,モンゴルにおいても若手の部類に入る。反面,民主党の各候補は民主化運動以来の政治家であり,選挙戦での訴えも当時と同様に一党支配への警戒を全面に出すなど,古色蒼然とした感は否めなかった。

人民党は補選後の12月に党大会を開催し,オヨーン=エルデネ首相が党首に正式に就任して体制を固めた。一方の民主党では11月にトワーン派が特別党大会でツォグトゲレル国会議員を党首に選出するとともに,最高裁に対して新党首の登録を申請した。これに対し,エルデネ派も全国集会を開催してトルガトを党首に選出し,最高裁に対し登録を申請した。しかし,最高裁はトワーン派による申請を却下した一方,エルデネ派の申請については,審議過程でエルデネが申請書類を取り下げていたことを後日発表した。取り下げの理由としては,トルガトが党首登録問題で最高裁の決定を受け入れる姿勢を示しており,これが彼を通じて党内の影響力を維持したいエルデネの意向に反していたことが考えられる。エルデネは最高裁による却下決定を盾に,自らの党首の地位を再度主張するようになった一方,トルガトらは自らに説明なく申請を取り下げたとしてエルデネを批判した。民主党の内部対立はこのように複雑化しており,解決の兆しはみえない。

経 済

コロナ禍からの立ち直り

2020年に新型コロナウイルス感染症のあおりを受けたモンゴル経済は,2021年の実質国内総生産(GDP)が対前年同期比で1.4%増と,2年ぶりにプラス成長に転じた(Mongolian Statistical Information Database.以下,2021年の統計数値はすべて予測値)。最大の生産部門であった農牧業の成長率が-5.5%と落ち込んだものの,2020年を通じて縮小を続けた部門のうち,鉱業・砕石が1.7%と持ち直し,卸売・小売・車両修繕業が9.3%と回復したことで,経済成長を支えた。

2020年に落ち込んだ貿易について,2021年12月までの輸出入月次統計をみると,輸出は6月,7月,12月,輸入は同1月,4月を除き,いずれも前年同月を上回っている(図1)。この結果,2021年通年では輸出が対前年同期比17.9%,輸入が同23.9%の増加となり,輸出は新型コロナウイルス感染症発生前の2019年の同期を上回った。国家統計庁によれば,2021年には銅精鉱の輸出額が前年比63.1%,石炭の輸出額が同30.7%増加しており,主要な鉱物資源の輸出再拡大が輸出全体の回復をもたらしたことが見て取れる。他方,10月には中国内モンゴル自治区エレーン市で新型コロナウイルス感染症が発生し,中国との国境地点が一時閉鎖された。のちに閉鎖は段階的に緩和されたが,これにより12月の石炭輸出が激減したほか,輸入貨物を積んだコンテナが大量に国境地点で足止めされており,今後の影響が懸念される。

図1 輸出入月次統計

(注)輸出入ともFOB価格。

(出所)Mongolian Statistical Information Service(http://www.1212.mn).

経済再生を目指した大規模プロジェクトの開始

2021年にはオヨーン=エルデネ政権が大規模な経済プロジェクトを相次いで打ち出した。まず,首相就任直後となる2月10日には「健康保護・経済再生10兆トゥグルグ包括計画」が発表された。これは各世帯へのウイルス検査実施とともに,2023年までの間に経済・雇用対策を行う計画であり,中小企業への低利融資,若者への有償の職業訓練,ウランバートル市内での住宅建設・供給,戦略的大規模プロジェクト・プログラムへの金融支援,農牧業生産および牧民の収入・生活支援,鉱業以外の輸出生産者への金融支援などが盛り込まれた。続く3月には,個人・企業の事業支援および雇用支援を目的とする総額2兆トゥグルグの低利融資プログラムが発表された。融資提供は9月30日に締め切られ,ジャブフラン蔵相は融資によって12万5000件の雇用が維持されたと成果を強調した。

また,2021年にはウランバートル一極集中を是正すべく,7月に開港した新チンギス・ハーン国際空港の周辺に人口15万人規模の新都市の建設計画も進められた。8月には都市建設総合計画が発表されるとともに,開発計画の図面と模型が公開された。また,同地に経済自由地帯を設置する計画も決定し,9月には同地帯設置に向けた作業部会が設置された。加えて,8月にはロシア=モンゴル=中国を結ぶ鉄道のウランバートル迂回路線であるボグドハン鉄道の建設が始まっており,新都市・新空港はそのルートに位置している。

さらに,オヨーン=エルデネ首相は12月の人民党大会での党首就任演説で「新再生政策」を発表した。これは国境地点,エネルギー,工業,都市・地方,グリーン開発,国家生産性の6つの分野の再生を掲げるものであり,それらの実現のために,国境地点の輸送インフラ整備,発電所建設,鉱物資源加工工場の建設と稼働開始,新都市建設と地方での農牧業支援による食糧の自給化と輸出拡大,植樹推進による砂漠化防止,行政のデジタル化と規制緩和などに取り組むことが示された。新再生政策については同月中の閣議で関連法案が策定され,30日の国会本会議で可決された。

これらの政策は,新型コロナウイルス感染症による経済への影響からの脱却に加え,ウランバートル一極集中,鉱物資源依存といった積年の課題の解決をも目標とするものである。ただし,10兆トゥグルグ包括計画を除く政策は着手されたばかりであり,まだ実施段階にない。これらの政策の成果は,経済再生に加えて政権の安定にも影響を及ぼすものであり注視しておく必要がある。

オヨー・トルゴイ銅鉱問題で投資企業からの大幅譲歩引き出す

経済面でのもうひとつの進展が,モンゴル二大鉱山のひとつであるオヨー・トルゴイ銅鉱の開発に関して,投資企業側にモンゴル側の要望の多くを認めさせたことである。銅鉱への出資者であるターコイズ・ヒル社と親会社のリオ・ティント社は,12月にモンゴル政府に書簡を送付し,モンゴル側の債務23億ドルの免除を提案した。加えて,将来発生が予想されていた債務についても負担の義務がないこと,さらに出資分の配当受取時期の繰り上げを認めた。モンゴル政府はこの提案を受け入れ,国会も12月30日に承認の決議を行った。

オヨー・トルゴイ銅鉱の開発は2011年に締結された投資契約に基づいて行われることとなっていた。この契約ではモンゴル側が34%,開発側のアイヴァンホー・マインズ社(現ターコイズ・ヒル社)が66%の出資を行い,比率に応じた権益と負担が割り当てられるとされていた。ただし,モンゴル側の出資についてはアイヴァンホー・マインズ社が貸し付け,モンゴル側が配当による収入で返済することとなった。2015年には坑内掘り鉱山の開発に関する建設・財務計画について合意が締結されたが,鉱山開発は遅れ,費用も増大していった。これを受けて行われたフィージビリティ・スタディでは,今後モンゴル側の債務が220億ドルに膨張し,債務返済後の配当の受け取り開始時期も2051年になるとされた。

この結果にモンゴル国内の反発が高まるなかで,外資に対する強硬さで知られたオヨーン=エルデネ首相による政権が成立し,モンゴル側の条件見直しを求める姿勢が強まった。他方,鉱山開発を担うオヨー・トルゴイ社は専門家らによる独立委員会を立ち上げ,開発遅延の原因の調査を依頼した。調査結果はリオ・ティント社のプロジェクト管理不行き届きが原因と結論づけており,地質工学的な問題を理由としてきたリオ・ティント社の説明を覆すものであった。これによりモンゴル側は態度を硬化させ,リオ・ティント社による配当支払い前倒しや債務一部免除の提案も受け付けなかった。その結果,開発継続を望んだリオ・ティント社およびターコイズ・ヒル社が,大幅に譲歩することとなった。

ただし,両社の書簡は投資計画や建設・財務計画の具体的な条項に触れてはおらず,これらの見直しが不要になったわけではない。何より,坑内掘り鉱山が稼働しなければ,モンゴル側が期待する利益は得られない。書簡では稼働開始について2023年上半期としているが,独立委員会の結論をみるかぎり,実現には管理体制の再構築などが課題となろう。

再燃したインフレ,背景には貿易の不安定

2021年のモンゴル経済を特徴づけるもうひとつの動きが,2010年代半ば以来のインフレの再燃である。毎月の消費者物価指数の対前年同期比上昇率は2021年に入って徐々に拡大し,11月には2014年12月以来となる2桁の上昇を記録した。2020年1月を基準とした場合,消費者物価指数は14.9%上昇した計算となる(図2)。特に,同じ時期の食料品の価格上昇率は27.3%となった。

図2 消費者物価指数月次統計(2020年1月=100)

(出所)Mongolian Statistical Information Service(http://www.1212.mn/).

物価が上昇した背景としては,輸入の不安定による供給不足が考えられる。9月にはロシアからの燃料輸入が一時停止したために,ウランバートル市内で石油の供給が不安定化し,ハイオクガソリンが販売できなくなるなどの影響がでた。さらに,先述のとおり10月の中国国境地点の一時閉鎖や再開の遅れもあり,2021年末から2022年にかけてモノ不足が続くことが懸念される。

対外関係

100周年を迎えた対ロシア関係の進展

2021年はモンゴルと旧ソビエト連邦を含むロシアとの国交樹立100周年に当たり,さまざまな記念行事に加え,両国間の要人の往来や会合が数多く行われた。

まず,3月には延期になっていたモンゴル・ロシア通商・経済・科学・技術協力政府間委員会代表会合がオンラインで開催され,アマルサイハン副首相とアブラムチェンコ・ロシア副首相らの間で二国間の通商・経済から環境・人道におよぶ広範な分野についての協議が行われた。5月末から6月初頭にかけてはバトツェツェグ外相がロシアを訪問し,ラブロフ外相,アブラムチェンコ副首相と会談を行ったほか,第24回サンクトペテルブルク経済フォーラムに出席した。6月にはサイハンバヤル国防相が第9回モスクワ安全保障会議に出席し,会期中のショイグ・ロシア国防相との会談で国防部門での協力について意見交換を行った。また,10月にはオヴェルチュク・ロシア副首相らが来訪した際,モンゴルとユーラシア経済共同体との自由貿易協定締結に向けた調査の推進で一致した。翌11月に来訪したアブラムチェンコ副首相は,アマルサイハン副首相らとモンゴル・ロシア政府間委員会会合を行い,モンゴルからの農牧業生産物輸出拡大,ロシア=モンゴル=中国間鉄道の輸送量増加等について協議した。同月にはゲラシモフ・ロシア連邦軍参謀総長も来訪し,フレルスフ大統領との間で軍事機材面での関係・協力拡大について意見を交換した。

そして12月にはフレルスフ大統領がロシアを訪問し,プーチン大統領と首脳会談を行った。会談後に両首脳は「モンゴル・ロシア外交樹立100周年記念宣言」を発表し,国防・安全保障部門での協力深化,通商・経済・投資・人道・環境保護部門における二国間および多国間での協力拡大などの方針を示した。これらの機会を通じて,モンゴルは軍事面における伝統的協力関係の強化とともに,モンゴルからの輸出拡大を中心とする経済・通商面での関係拡大を目指している。

さらに経済面では,ロシア=モンゴル=中国天然ガスパイプライン建設を中心とする協力も発展した。2021年にはロシア・ガスプロム社がパイプライン建設事業を担う子会社をモンゴルに設立し,3月にはアマルサイハン副首相とガスプロム社がフィージビリティ・スタディの推進で合意した。パイプライン建設については,上述の会談やモンゴル・ロシア間政府委員会,さらには中国を加えた3カ国での協議といった場において,重要性や推進の姿勢が繰り返し強調されている。なお,フィージビリティ・スタディは結果の確定が当初予定の2021年第3四半期から遅れているものの継続しており,2024年には着工の見込みとなっている。このほか,12月に行われたオヨーン=エルデネ首相とミシュスチン・ロシア首相との電話会談では,ウランバートル新空港での燃料供給を行う企業をロスネフチ社と共同で設立することで合意した。

もっとも,対ロシア関係にも懸念材料がある。モンゴルは北部フブスグル湖からバイカル湖に流れるエグ川に水力発電所の建設を計画している。電力の一部をロシアから輸入するモンゴルにとって,ロシア依存からの脱却と電力自給化は長年の希望であるが,ロシアはバイカル湖の生態系への悪影響を理由に,建設に対して難色を示している。また,ロシアはウランバートルの中心であるスフバータル広場に隣接する土地の利用権を保有しており,これがモンゴルの独立と安全保障を阻害するとの批判がある。2021年にはこの面積の拡大や利用期限の大幅延長をロシアが狙っているとの報道がたびたびなされ,フレルスフ大統領やバトツェツェグ外相のロシア要人との会談で,ロシア側に有利な合意がなされるのではないかとの懸念もメディアによって相次いで示された。これらの問題の展開次第では,モンゴル国内のロシアに対する感情が悪化する可能性もある。

要人往来とオンライン外交の展開

2021年も新型コロナウイルス感染症による制約が続いたものの,直接の要人往来は相次いで行われた。7月にはオヨーン=エルデネ首相が日本を訪問し,菅首相との間でモンゴル国内の高速道路や鉄道建設などでの協力について意見交換を行った。オヨーン=エルデネ首相は日本からの帰路に韓国に立ち寄り,金富謙韓国国務総理との間で両国関係の戦略的パートナーシップへの引き上げについて会談した。同月にはバトツェツェグ外相が訪中して王毅外交部長と会談を行い,両国間の通商規模を100億ドルに拡大することで合意した。9月にはフレルスフ大統領が就任後初の外遊として訪米し国連総会に出席するとともに,ドゥダ・ポーランド大統領,フック・ベトナム首相らと会談した。10月にはバトツェツェグ外相がカザフスタン・ヌル=スルタンで行われた第6回アジア信頼醸成措置会議外相会合に出席した際,トカエフ大統領らと会談した。翌11月にはフレルスフ大統領がグラスゴーでの国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)に出席するため訪英し,モンゴル全国での植樹計画をはじめとする温暖化・砂漠化対策をアピールした。

一方で,2021年に注目されるのが,オンラインでの政府間協議の開催や国際会合出席である。先述のロシアをはじめ,イタリア,アゼルバイジャンとの政府間協議,中国との戦略的対話等がオンラインで行われた。また,9月にはウラジオストクで行われた東方経済フォーラムにフレルスフ大統領がオンラインで出席し,演説でモンゴルのワクチン調達への協力に謝意を示すとともに,「トランジット・モンゴル」をキャッチフレーズに,モンゴルがアジアとヨーロッパの結節点を目指すことを掲げた。大統領は同月にタジキスタン首都ドゥシャンベで開催された上海協力機構(SCO)首脳会議もオンラインで出席し,ここでも演説で「トランジット・モンゴル」を掲げ,砂漠化対策での協力参加の意向を示した。加えて,大統領は文韓国大統領ともオンライン会談を行い,両国関係の戦略的パートナーシップへの引き上げが合意された。

新再生政策などの大型経済対策や大規模プロジェクトにより政府支出は増大しており,財源確保が課題となっている。反面,各国との経済関係拡大,「トランジット・モンゴル」などのアピールのためにも,外交の機会を縮小することは得策ではない。これらを考慮すると,今後の新型コロナウイルス感染症の動向にかかわらず,オンライン外交が継続することが予想される。

2022年の課題

2022年は国会任期の中間の年であり,国政選挙の予定はない。しかし,過去にはこのような中間の年に,与党内対立が政権を揺るがす事態が相次いだ。2018年には人民党内の対立からフレルスフ首相が不信任の危機に直面し,2014年にはアルタンホヤグ首相が与党内からの造反で解任された。党内対立を続ける民主党をはじめ,野党側で人民党に対抗し得る勢力が見当たらないだけに,国内政治では人民党内の団結が維持されるかどうかが焦点となろう。特に,旧人民革命党からの合流組と従前からの党員の融和がどこまで図れるかが鍵である。

経済面ではインフレ抑制が喫緊の課題となる。2022年1月に入って中国エレーン国境地点が再開され,滞留していた貨物の受け入れが進んだことで,モンゴルが輸入に頼る生活必需品や建築資材の供給が改善することが期待される。ただ,石油価格の高騰が依然続いている点は懸念材料である。これに加えて,2022年にはオヨーン=エルデネ政権による経済政策の成否も問われることとなろう。

対外関係ではフレルスフ大統領が就任2年目を迎え,どのような外交路線を示すかが注目される。特に外交樹立50周年を迎える日本との間では祝賀・記念行事等が多く行われることが予想されるが,問題は経済連携協定(EPA)締結後も伸び悩むモンゴルの対日輸出の拡大など,具体的な進展があるかどうかである。

現時点でオヨーン=エルデネ首相をはじめとする人民党の体制は盤石といえる。しかし,新型コロナウイルス感染症対策,あるいは経済政策での失敗が露わになった場合はこの限りではなく,党内の不安定化や世論の反発が起こる事態も想定できる。2022年は政権および与党にとって,具体的な成果が求められる年となる。

(高知大学地域協働学部教授)

重要日誌 モンゴル 2021年

1月
1日 アジア・太平洋貿易協定(APTA)発効。
5日 在韓モンゴル国民,モンゴル大使館前で帰国を求めるデモ挙行。
11日 ウランバートルのロックダウン解除。
12日 フブスグル県ハンフ郡で連続地震発生,マグニチュード最大6.5。
14日 労働国民党大会オンライン開催,新党首にドルジハンド国会議員を選出。
15日 最高裁判所,エルデネバト前首相への有罪判決破棄。首都検察局に再捜査命令。
18日 EU,モンゴルをマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策が不十分な国のリストから削除。
19日 国立第1中央病院ウルグー出産施設で新型コロナウイルスに感染した産後間もない母子を薄着のまま屋外を移動させ,搬送車に乗せ強制隔離。
20日 前日の新型コロナウイルス感染者への対応を受け,スフバータル広場で国家非常事態委員会辞任要求デモ発生。
21日 フレルスフ内閣総辞職。
27日 国会本会議,オヨーン=エルデネ内閣官房長官の首相任命案承認。
28日 バトトルガ大統領,フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長とオンライン会談。
29日 オヨーン=エルデネ内閣成立。秋期国会閉会。
2月
4日 バトツェツェグ外相,ラブロフ・ロシア外相,チャブシュオール・トルコ外相と電話会談。
8日 スフバータル広場で男性が新型コロナウイルス感染症防止規制に抗議の焼身自殺。
10日 オヨーン=エルデネ首相,「健康保護・経済再生10兆トゥグルグ包括計画」発表。
11日 ウランバートルでロックダウン実施(~23日)。
22日 新型コロナウイルスワクチン,航空便でウランバートルに初めて到着。
23日 新型コロナウイルスワクチン接種開始。
24日 バトツェツェグ外相,王中国外交部長と電話会談。
24日 第5回モンゴル・アゼルバイジャン政府間協議,第1回モンゴル・アゼルバイジャン外務省間協議,オンライン開催。
24日 トリニダード・トバゴと国交樹立。
3月
1日 ウランバートルと地方との道路封鎖解除。
1日 人民党創設100周年記念式典,人民党・人民革命党共催。
1日 第1回モンゴル・アメリカ航空技術合同作業部会会合開催。
3日 エルデネバト国会議員の勾留解除。議員活動可能に。
8日 バトツェツェグ外相,国連アジア太平洋経済社会委員会,ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関共催アジア・太平洋地域会合に出席。
9日 個人・企業事業支援・雇用支援融資発表。
15日 春期国会開会。
17日 ムーディーズ社モンゴル信用格付,B3ネガティブからB3安定的に上昇。
17日 モンゴル・ロシア通商・経済・科学・技術協力政府間委員会代表会合,オンライン開催。
24日 モンゴル銀行金融政策委員会,政策金利6%に据え置き。
28日 民主党トワーン派,エルデネ派,党首選挙をそれぞれ実施。
4月
2日 バトトルガ大統領,プーチン・ロシア大統領と電話会談。
3日 民主党トワーン派,臨時党大会開催。
7日 オヨーン=エルデネ首相,李中国首相と電話会談。
10日 ウランバートルでロックダウン実施(~5月8日)。
12日 モンゴル政府とリオ・ティント社,オヨー・トルゴイ銅鉱投資条件交渉開始。
16日 憲法裁判所,大統領選挙法に対し違憲判断。
20日 オヨーン=エルデネ首相,ボアオ・アジア・フォーラムにオンライン出席。
20日 バトツェツェグ外相,ブリンケン米国務長官と電話会談。
29日 人民党,人民革命党,両党統合を定めた協力協定締結。
29日 ルンデージャンツァン国会議長上級顧問,旭日大綬章受章。
29日 ガンバータル国会議員,人民革命党離党。
5月
3日 フブスグル県ハンフ郡で連続地震発生,マグニチュード最大6.3。
14日 最高裁,民主化運動指導者ゾリグ氏殺害事件でチムゲー受刑者,ソドノムダルジャー受刑者の有罪判決破棄。
16日 人民革命党,党大集会開催。
20日 「Invest in Mongolia-東京2021フォーラム」オンライン開催。
28日 最高裁,人民革命党の政党登録削除。
29日 国会,COVID-19パンデミック防止,対策,社会・経済影響緩和法改正案可決。同法適用期限を12月31日まで延長。
30日 バトツェツェグ外相,ロシア訪問(~6月3日)。ラブロフ外相らと会談,第24回サンクトペテルブルク経済フォーラム出席。
30日 バトトルガ大統領,ソウルでの「グリーン成長とグローバルゴールズ2030のためのパートナーシップサミット」出席。
6月
1日 国境封鎖措置一部解除。
9日 大統領選挙実施。
21日 フィッチ・レーティングス,モンゴルのドル建て長期国債格付け(B安定的)を維持。
22日 サイハンバヤル国防相,第9回モスクワ安全保障会議出席(~23日)。会期中にショイグ・ロシア国防相と会談。
23日 モンゴル銀行金融政策委員会,政策金利6%に据え置き。
23日 バトツェツェグ外相,「一帯一路」アジア太平洋地域国際協力ハイレベル会議(オンライン)に出席。
23日 第3回モンゴル・イタリア政府間合同委員会,オンライン開催。
25日 フレルスフ大統領就任。
25日 EPA締結5周年記念モンゴル・日本オンラインフォーラム・展示会開催(~7月5日)。
7月
2日 臨時閣議,全国ナーダム中止決定。
4日 新チンギス・ハーン国際空港開港。
5日 モンゴル初の高速道路となるチンギス・ハーン国際空港連絡道路供用開始。
6日 ザミーン=ウード国境地点ゾリゴー税関長ら幹部更迭。
7日 国会本会議,2021年予算法改正案および補正予算案可決。
8日 春期国会閉会。
9日 フレルスフ大統領,プーチン・ロシア大統領と電話会談。
15日 ウランバートル=ダルハン間道路一部供用開始。
16日 フレルスフ大統領,習中国主席と電話会談。
19日 最高裁,バヤルツォグト元蔵相の実刑判決破棄。検察に再捜査命令。
21日 オヨーン=エルデネ首相,訪日(~25日)。菅首相らと会談。
23日 シャーマン米国務副長官来訪(~25日)。ザンダンシャタル国会議長らと会談。
26日 魏中国国防部長来訪。ザンダンシャタル国会議長らと会談。
27日 オヨーン=エルデネ首相,訪韓。金首相らと会談。
27日 バトツェツェグ外相,訪中。王外交部長らと会談。
29日 シーヤールト・ハンガリー外相来訪。バトツェツェグ外相らと会談。
8月
2日 S&P,モンゴルの債務格付けB,評価「安定的」を維持。
2日 モンゴル・韓国航空協議,インチョンで開催(~3日)。
3日 バトツェツェグ外相,ハーヴィスト・フィンランド外相とオンライン会談。
5日 フレルスフ大統領,エンフサイハン元首相恩赦。
13日 アフガニスタン駐留モンゴル国連平和維持軍(PKF)部隊撤収完了。
14日 ドルノゴビ県ザミーン=ウード郡に経済自由地帯開設。
23日 ボグドハン鉄道着工。
9月
2日 フレルスフ大統領,ウラジオストクでの東方経済フォーラムにオンライン出席(~4日)。
2日 バトツェツェグ外相,第15回国連貿易開発会議(UNCTAD)総会での内陸低開発国閣僚級会合にオンライン出席。
6日 ザンダンシャタル国会議長,オーストリア訪問。ウィーンでの第5回世界議会議長会議出席。会期中に欧州安全保障協力機構シュミット事務局長らと会談。
7日 新型コロナウイルスの1日の感染者数が最多を記録(3963人)。
7日 モンゴル・中国通商・経済・科学・技術協力政府間委員会代表会合,オンライン開催。
10日 フレルスフ大統領,文韓国大統領とオンライン会談。
14日 「ハンガイ-21」国際災害対策訓練,アルハンガイ県で実施(~23日)。
16日 アマルサイハン副首相,タジキスタン・ドゥシャンベでの上海協力機構(SCO)首脳会議出席(~17日)。会期中に王中国外交部長らと会談。
16日 モンゴル銀行金融政策委員会,政策金利6%に据え置き。
17日 フレルスフ大統領,SCO首脳会議でオンライン演説。
17日 ザンダンシャタル国会議長,訪米(~20日)。
20日 ガショーンソハイト国境地点でコンテナターミナル完成,供用開始。
20日 フレルスフ大統領,第76回国連総会出席(~23日)。会期中にグテーレス国連事務総長らと会談。
20日 アマルサイハン副首相,トルコ訪問。
22日 「モンゴリア・マイニング2021」,ウランバートルで開催(~24日)。
22日 モンゴル・ロシア軍事演習「セレンゲ-2021」実施(~10月5日)。
24日 タウィンベフ・エネルギー相,第76回国連総会ハイレベル・エネルギー対話オンライン出席。
10月
1日 秋期国会開会。
1日 ザミーン=ウード火力発電所稼働開始。
1日 バトツェツェグ外相,ラブロフ・ロシア外相と電話会談。
4日 フレルスフ大統領提唱「樹木10億本」国民運動開始。
10日 国会第18,28選挙区補欠選挙実施。
10日 バトツェツェグ外相,カザフスタン・アルマトイでの第6回アジア信頼醸成措置会議外相会合出席(~15日)。
16日 国会第18,28選挙区補欠選挙追加投票実施。
18日 民主党国会議員団,ガンバト団長の解任発表。
18日 反腐敗庁,エルデネス・モンゴル社ハヤンヒャルワー社長を収賄容疑で逮捕。
19日 中国エレーン国境地点,市内での新型コロナウイルス感染者判明のため閉鎖。ザミーン=ウード国境地点との自動車輸送停止。
21日 オヴェルチュク・ロシア副首相来訪(~22日)。オヨーン=エルデネ首相らと会談。
21日 バトツェツェグ外相,ジャバロフ・アゼルバイジャン経済相とオンライン会談。
22日 国会本会議,核拡散防止条約批准承認。
26日 「モンゴル観光フォーラム2021」,ウランバートルで開催。
29日 バトツェツェグ外相,ラピド・イスラエル外相と電話会談。
11月
1日 フレルスフ大統領,英グラスゴーでの国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)出席(~2日)。会期中にジョンソン首相,岸田首相らと会談。
3日 モンゴル・日本議員連盟バトバヤル元会長,旭日小綬章受章。
4日 モンゴル銀行,ハーン銀行大株主の澤田ホールディングス社株の公開買い付けについて許可を与えた事実なしとの声明文発表。
5日 民主党トワーン派,特別党大会開催。
5日 モンゴル・ロシア両国文化省ら,国交樹立100周年記念行事共催。
8日 バトツェツェグ外相,カタール訪問(~9日)。ハリド首相らと会談。
12日 国会本会議,2022年予算可決。
15日 モンゴル・トルコ政府間協議,アンカラで開催(~16日)。
26日 アブラムチェンコ・ロシア副首相来訪(~27日)。フレルスフ大統領らと会談。
30日 ゲラシモフ・ロシア連邦軍参謀総長来訪。フレルスフ大統領らと会談。
12月
1日 韓国MBC,在留中のモンゴル人女子中学生に対する暴力事件報道。
5日 民主党エルデネ派,第1回全国集会開催(~6日)。
5日 スフバータル地区民事初級裁判所,ツェデンバル元首相の粛清被害認定,名誉回復。
6日 第30回人民党大会開催(~7日)。
6日 第4回モンゴル・ユーラシア経済共同体作業部会会合オンライン開催。
13日 リオ・ティント社スタウスホルムCEO,ターコイズ・ヒル社ティボウ社長,オヨーン=エルデネ首相にモンゴル側の債務免除等提案の書簡送付。
15日 フレルスフ大統領,ロシア訪問(~17日)。プーチン大統領らと会談。
16日 チンゲルテイ地区刑法初級裁,バト=ウール元首都知事に職権濫用により禁錮4年の判決。
16日 モンゴル銀行金融政策委員会,政策金利6%据え置き。レポ金利6.5%に引き上げ。
20日 最高裁,民主党トワーン派によるツォグトゲレル党首登録申請を却下。
23日 第6回モンゴル・中国戦略的対話,オンライン開催。
23日 バトツェツェグ外相,林外相とオンライン会談。
25日 首都政庁,ヤールマグ新庁舎への移転開始。
30日 国会,COVID-19パンデミック防止,対策,社会・経済影響緩和法改正案可決。同法適用期限を2022年6月30日まで延長。新再生政策制定法案可決。

参考資料 モンゴル 2021年

① 国家機構図(2021年12月末現在)

(注)1)国家元首。政党の推薦を受け国民の直接選挙で選出,任期6年。大統領資格は50歳以上,選挙前5年以上継続して国内に居住したモンゴル国籍の者。2)国家最高機関。定員76人。任期4年。議員資格25歳以上。首相以下の閣僚を選出。定例年2回,1回75日以上。3)最高裁長官は最高裁の提案で大統領が任命。検事総長は国家大会議との協議を経て大統領が任命。4)任期4年。5)アイマグ(県),首都の知事は地方議会の提案で首相が任命。ソム(郡),地区などの首長は上部アイマグ,首都知事が任命,任期4年。6)憲法裁判所判事は,大統領と最高裁判所が推薦し,国会が任命。

② 政府・国会要人名簿(2021年12月末現在)

(注)カッコ内は出身組織である。ただしモンゴルでは官・民の間の移動が珍しくないため,ここでは直近の所属先を示している。

主要統計 モンゴル 2021年

1 基礎統計

(注)1)暫定値。 2)各年12月時点の対前年同月比。 3)モンゴル銀行12月31日公表値。

(出所)Mongolian Statistical Information Service(https://www.1212.mn),Socio-economic Situation of Mongolia, 2021年12月号,モンゴル銀行ウェブサイト(https://www.mongolbank.mn/)。

2 支出別国内総生産(名目価格)

(注)1)暫定値。

(出所)Mongolian Statistical Information Service(https://www.1212.mn).

3 産業別国内総生産(実質:2015年価格)

(注)1)暫定値。

(出所)表2に同じ。

4 家畜頭数

(注)1)暫定値。

(出所)Mongolian Statistical Information Service(https://www.1212.mn),Socio-economic Situation of Mongolia, 2021年12月号。

5 国際収支

(注)資本移転等収支と金融収支の符号は(+)は資本流出,(-)は資本流入を意味する。1)暫定値。

(出所)モンゴル銀行ウェブサイト(https://www.mongolbank.mn/)。

6 主要国別貿易構成比(2021年)1)

(注)詳細なデータが未発表のため簡易版。1)暫定値。

(出所)Socio-economic Situation of Mongolia, 2021年12月号。

7 主要輸出品

(注)詳細なデータが未発表のため簡易版。1)暫定値。

(出所)Mongolian Statistical Information Service(http://www.1212.mn).

8 主要輸入品

(注)1)暫定値。

(出所)表7に同じ。

 
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