2023 年 2023 巻 p. 527-550
2022年のスリランカでは,外貨不足がもたらした深刻な経済危機が国民を突き動かし,大規模な抗議活動が長期間継続した。その結果マヒンダ・ラージャパクサ首相とゴタバヤ・ラージャパクサ大統領が政権から去った。その後国会議員による投票でラニル・ウィクレマシンハが大統領に選出されたものの,ラニルの所属する統一国民党(UNP)は国会に1議席しか持たない。実質的にラニルを支えているのは,マヒンダ・ラージャパクサ元首相率いる与党グループである。
経済危機は国民生活に深刻な影響を及ぼした。外貨不足により全土で長時間の停電が頻発し,燃料不足によりガソリンスタンドには長蛇の列ができた。生活に欠かせないガスボンベも不足した。2021年の有機肥料への転換命令の影響を受けて国内の農産物の生産量は減り(『アジア動向年報2022』参照),物価の高騰に拍車をかけた。4月に対外債務のデフォルトが宣言され,9月に国際通貨基金(IMF)と融資に関する実務者合意に達したものの,中国,日本,インドなどの主たる債権国との合意のめどがたたず,資金を年内に得ることはできなかった。
対外関係ではスリランカをめぐってインドと中国の緊張感が高まった。近年中国が,インドに地理的・文化的に近いスリランカ北部・東部地域での活動を活発化させており,インドの警戒が高まった。また中国はスリランカが政治的に混乱するさなかに調査船「遠望5」のハンバントタ港への寄港を求めた。スリランカは2つの大国の狭間で難しい判断を求められた。
2021年末より燃料不足や物価高騰の兆しが見え始め,それに対する政権への批判が年初より活発になった。与党であるスリランカ大衆党(SLPP)の主だったメンバーらが経済情勢を声高に批判し始めた。なかでもスシル・プレマジャヤンタは,閣僚ではなく国務大臣という自身のポストへの不満も重なり,政権の失政を批判した。その後大統領は即座にスシルを罷免したが,主要幹部に対するこのような対応には党内からも厳しすぎるとの声が上がった。与党内からだけでなく,最大野党の統一人民の力(SJB)や人民解放戦線(JVP)もスリランカの中心都市コロンボで大規模な反政府集会を組織した。
しかし,事態を動かしたのは,政党による組織化された反政府集会・デモではなく,極端なモノ不足や長時間の停電に痺れを切らしたコロンボ近郊に住む中流階級の直接行動であった。外貨不足によりセイロン石油公社(CPC)やLITROガス社が十分な量の燃料を継続的に供給できず,ガソリンスタンドやガスシリンダー販売店に長い列ができた。1日に停電が10時間以上続くこともあった。こうした経済的な苦境をもたらした失策に対して,3月上旬からコロンボ郊外でろうそくを持った人々が町に出て静かに反政府の意思を示し始めた。ろうそくの他,カレンダーの裏などに手書きで反政府メッセージを掲げる者もいた。
こぶしを突き上げてスローガンを叫び大人数で練り歩くのではない,静かな意思表明は3月31日に大きく転換する。当初,コロンボ近郊のミリハーナの大統領私邸周辺で穏やかな抗議活動が数時間行われていたが,突如過激化し暴動となった。その理由は判然としないが,反政府活動参加者らを取り締まる口実が必要で政府側が自作自演をしたとの指摘もある。あるいは野党に関係するグループが過激化を煽った可能性もある。暴動では車両などが放火され,45人以上が逮捕された。翌日大統領は非常事態宣言を,その翌日には夜間外出禁止令を発令し,SNSもブロックした。その後,大統領は早期に沈静化するべく首相を除く閣僚らを辞職させた。このなかには弟のバジル・ラージャパクサやマヒンダの息子のナーマル・ラージャパクサも含まれていた。中央銀行総裁も辞表を提出した。
しかしあくまで大統領と首相の辞任を求めるデモ参加者らは納得せず,従来の抗議活動と異なり閣僚らの辞任で幕引きとはならなかった。それどころか各地に分散していたデモ参加者は,コロンボ中心部でインド洋を望む市民の憩いの場であるゴールフェイス・グリーンに集結し,そこを拠点とした。デモ本拠地は「ゴタ・ゴー・ガマ」(ゴタバヤ帰れ村)と命名された。デモ参加者らは経済危機を引き起こした張本人としてゴタバヤ大統領の辞任を求めた。活動はアラガラヤ(Aragalaya;シンハラ語で闘争)と呼ばれ,7月末にデモ参加者の拠点施設が政府によって取り壊されるまで100日以上続いた。
与党内部にも亀裂が生じた。4月初めにはSLPPおよび連立する小政党,スリランカ自由党(SLFP)に属する国会議員が政府の政策に異議を唱え,「独立」グループとして国会では与党席でも野党席でもない場所に座り,政府打倒を積極的に求めない野党の立場をとると宣言した。ただし各自の利害が一致せず団結することはなく,大統領にとって致命傷とはならなかった。
ゴタバヤとマヒンダの亀裂自らの生き残りをかけてゴタバヤ大統領とマヒンダ首相の兄弟の関係性もこじれていった。4月11日には,マヒンダが国民に向けて特別演説を行った。内戦を終わらせた自らの功績を誇示し,内戦の時のように我慢して政権を支持するよう国民に求めた。しかしマヒンダの神通力も効果はなく政府批判はやまなかった。
一方大統領本人は,2019年の大統領選挙で獲得した690万票を根拠に地位にとどまることを宣言した。大統領の辞任は本人の意思以外は弾劾によってのみ可能だが,それには高いハードルを超えなければならず実質的には実現不可能である。そのうえで大統領は,新閣僚として自らと関係が深くマヒンダと関係の浅い者や若手国会議員らを任命し,マヒンダ外しともみられる行動をとったことで,両者の亀裂は決定的になった。
5月には両者の対立が激化した。政府に対する不信任動議が提出され,国会周辺でそれを支持するデモが起きると,警察は催涙ガスを使用しデモ隊と衝突した。それを受けて大統領は5月6日に非常事態宣言を発出するとともに,首相に辞任を求め,新首相任命と全政党政権の樹立を模索した。マヒンダはもともと,大統領から辞任を求められれば応じるものの,自発的には辞任しないと述べていた。しかしこの状況で辞任要求が出されたことに対してマヒンダは,不信任動議の混乱を収めるためのスケープゴートにされたと感じても不自然ではない。
マヒンダは抵抗するも最終的には辞任した。5月9日,支持者を首相官邸(テンプル・ツリー)に集めたマヒンダが,「スリランカ人の福祉のために犠牲を払う準備ができている」「挑戦から逃れることはない」と述べ,首相を辞任するも引退することはないと伝え,対立する大統領には自らの草の根レベルの支持が大きいことをみせつけた。集会後マヒンダ支持者らはゴールフェイス・グリーンの反政府活動参加者らに暴行を加え始めた。しかし,これに反政府活動参加者らが応戦し,コロンボではマヒンダ支持者を乗せてきたバスが燃やされたり,彼らがベイラ湖に投げ込まれたりした。地方でもマヒンダ支持議員などの60の家屋が燃やされた。暴徒に襲われ死亡したSLPP議員もいる。このような混乱が生じた翌日,マヒンダはテンプル・ツリーを去った。
ラニル首相の就任マヒンダ首相辞任後の大統領にとっての問題は,新首相の人選であった。通常は国会の過半数議席を持つ与党から選出するが,マヒンダを辞任させたことで,彼が求心力を維持するSLPPから選ぶことができなかった。議員のなかには,あくまでゴタバヤ大統領が経済危機の責任を取って辞任すべきとの声もあり,同大統領のもとで首相に就任することを拒む者もいた。経済危機への対応には当然ある程度の知識と経験が必要だが,SLPPに属する経験豊富な議員らは4月に「独立」を表明している。54議席を有する最大野党SJBのリーダーであるサジット・プレマダーサにも打診があったが,ゴタバヤ大統領の辞任を強硬に主張し首相就任を拒否した。
最終的に大統領が指名したのは統一国民党(UNP)総裁のラニル・ウィクレマシンハであった。ラニルは申し分ない経験豊富な政治家であるが,UNPは2020年の国会議員選挙で大敗し,現国会では1議席しか持たない。それでも首相に任命されたのは,国会で最大多数の議席を持つSLPPの支持があったからである。
ラニルは西側やインドと良好な関係を構築しており,経済支援を引き出すことができると期待された。ラニルは首相就任にあたり今後の方針を(1)暫定的な複数政党政府を形成する,(2)経済問題に取り組むために一丸となって取り組む,(3)大統領の権限を弱め議会を強化する憲法改正を行う,とした。しかし,短期間で結果を出すのは難しく,そもそも首相が変わったからといって,いきなり燃料が入手できるわけでもない。5月末になっても,食糧危機や物価上昇は収まらなかった。さらに国会の過半数の支持を得たとはいえ,ラニルの後ろ盾はSLPP党首のマヒンダである。そして大統領はゴタバヤのままである。政治的な構造は何も変わっていない。
ゴタバヤとラニルの関係にもすぐに亀裂が生じた。ゴタバヤは大統領を続けるが,当面の国家運営はラニルが仕切り,ゴタバヤは適切な時期に辞任すると暗黙の了解があったとみられる。それにもかかわらずゴタバヤは若者や活動家を統治に関与させることなどを,2人の間で合意がないまま発表するなど,ラニルが疑念を抱かざるを得ない状況が見られるようになった。そして,ゴタバヤが6月6日に行った外国メディアとのインタビューで「任期を全うする」と発言したことが,野党や反政府デモ参加者を焚きつけた。
デモ参加者らが大統領官邸を占拠アラガラヤの活動は7月9日に最高潮に達した。9日というのはアラガラヤにとって節目となっていた。5月9日にはマヒンダ首相が辞任し,6月9日にはバジル・ラージャパクサが議員辞職した。そこで活動家らは7月9日に大規模なデモを行うと呼びかけた。その結果,全国各地から大統領と首相の辞任を求める人々がコロンボに集結した。軍や警察が大統領官邸や大統領府に近づけないよう警備にあたったが,数にまさる反政府活動家らは,大統領官邸およびテンプル・ツリーを占拠した。ただし占拠といっても攻撃性はなく,むしろ物見遊山にやってきたような状態で,プールに飛び込んだり,フィットネスマシンを試したり,ベッドに寝転んだりしていた。大統領と首相は当日に辞任の意向を表明したと伝えられたが,夕刻になって実際には辞めていないことが判明した。怒った人々は首相私邸に火を放ち,ラニルと夫人が収集した貴重な本などが灰となった。翌日には,議会を襲撃する試みも行われた。この時警察官から奪ったT56ライフルも発見されるなど,デモ参加者の暴力的な一面も見られた。
大統領は,辞任することなく7月9日に海軍船でコロンボを離れた。その後の足取りは不明だが,13日に辞任する予定だった大統領はカトナヤケ空港より空軍機でモルディブに出国し,大統領が国内に不在となったため憲法第37条(1)に基づき首相が大統領代行となった。ゴタバヤは14日になってシンガポールからようやくメールで辞表を提出した。大統領代行就任演説でラニルは,政党は主張の違いを脇に置いて困難に立ち向かうときである,と協力を求めた。デモ参加者らには平和的な姿勢を求めると表明したが,アラガラヤの中心的な活動家をファシストと呼び暴力性を強調し,制御不能になる恐れがあると主張した。
ラニル大統領就任大統領は通常,国民の直接選挙によって選出されるが,任期途中で大統領が不在となったため,憲法40条(1)(a)に基づき,7月20日に国会議員による大統領選出投票が行われた。立候補者はSLPP所属のダラス・アラハッペルマ,国民の力(NNP)のアヌラ・クマール・ディサナヤケとSJB党首のサジット・プレマダーサ,およびラニルとされたが,サジットはダラス支持を表明して降りた。すでに述べたようにUNPは国会に1議席,NNPも3議席しかない。分裂しているとはいえ,145議席を有するSLPPはダラス支持を表明した。そのためダラスが過半数の113票を得るだろうと予想されたが,選ばれたのは134票を獲得したラニルであった(ダラス82票,アヌラ・クマール3票)。ダラスは4月以降,SLPPの主流派から距離を取っていたこと,投票の前日にタミル系政党と政治犯の釈放などに関する合意を発表したこと,党議拘束がなかったことから,マヒンダなどSLPP主流派はダラスではなくラニルを支持した模様である。ラニルの大統領任期は2024年11月までである。
ラージャパクサ一族が去っても,スリランカの政治が大きく変化したとは言い難い。ラニルは,所属政党は異なるものの長年の盟友であるディネシュ・グナワルダナ(人民統一戦線,MEP)を首相に任命したのち,ゴールフェイス・グリーンの参加者たちが自主的に立ち退くと表明した時刻を待たずに,軍や警察に命令し彼らの拠点を強制撤去させた。それだけでなく主だった活動家らが相次いで逮捕された。ラニルが任命したその他の閣僚構成をみても,ゴタバヤ大統領下とさほど代わり映えしない。そして政治家の発言をみても,政治が経済危機を引き起こしたとの反省もない。アラガラヤにとってはラニルもラージャパクサ一族と同列となったに違いない。
10月には国会で憲法改正案が賛成多数で可決された。しかしこれで問題が解決したわけではない。今回の改正案は21次(国会には22次改正案として提出された)であるが,内容的には2020年の20次改正で変更された部分を元に戻し,19次改正憲法を復活させたものである。それにより,二重国籍者には国会議員や大統領候補者資格は付与されなくなる等,バジル・ラージャパクサの政治参加が不可能となった。さらに政治的な影響を受けない,高官の人事などにかかわる独立委員会を復活させた。こうした,前政権が行った憲法改正を無効にする動きは,最近のスリランカでは政権交代のたびにみられる。
憲法改正後,ラニル大統領はアラガラヤの活動が望んだ汚職のない国民のための政治システムの変更ではなく,民族和解や過去の戦争犯罪被害者救済に取り組み始めた。これらは国連や西側諸国が求めていた課題だが,過去の内戦の被害者である行方不明者の家族は,補償や死亡診断書の発行ではなく,なぜ行方不明になったのか真相究明を求めている。一方で民族和解は,政府軍の戦争犯罪を白日の下に晒すことを意味する。これまでの経緯に鑑みても,任期内に問題をすべて解決することは困難である。政権は論点をすり替え,多くの国民が求める政治改革ではない重要課題に取り組むことで欺こうとしているともいえる。
アラガラヤの変遷,穏やかな抗議活動から先鋭的な政治活動に3月から始まった静かな抗議の意思表明とそれに続くアラガラヤは,大統領と首相という2人のラージャパクサを政治の表舞台から退陣させた。これは予想だにしない歴史的な結果であり,民衆のパワーや可能性を示す出来事であった。
一般的にスリランカの労働組合や青年組織は特定の政党に属していることが多いのに対して,アラガラヤはもともとコロンボ郊外に住む中流層を中心に非組織的運動として始まった。経済政策に失敗した政権への抗議であり政治色も薄かった。ミリハーナの暴動後,参加者らは中心地となったゴールフェイス・グリーンにテントを張り寝泊まりし,反政府活動を継続した。参加者の休憩所や食堂,クリニック,スマートフォンの充電施設,図書館なども設置され,運動の本拠地「ゴタ・ゴー・ガマ」はその名の通り村(ガマ)のようになった。家族連れなども訪れ,政治的なデモ本拠地というより祭りのような雰囲気もあった。
非組織的な動きがスリランカでみられたのは今回が初めてではない。2015年の選挙でシリセーナを勝利に導いたのも,政党に属さないNGOや専門職からなる市民社会だった。それらは「3月12日運動」あるいは「レインボー革命」とも呼ばれた。今回のアラガラヤは,2015年の運動を規模も期間も大幅に上回った。
アラガラヤは組織的な動きではなかったが,リーダー的な人々は存在した。そのひとりでラトナプラ県の神父ジーワンサ・ペイリスは,「スリランカ人が人種,宗教,イデオロギーに関係なく,より大きな利益のための闘争で団結したのはこれが初めてだった」と述べた。参加者の年齢も幅広く女性の参加も多かった。
しかしアラガラヤは徐々に政治色が濃くなり,大統領の辞任と政治システムの変更を求めるようになった。この要求は政治家など既得権益層にとって,都合が悪かったことは容易に理解できる。そして政治家だけでなく,コロンボに住む人々もアラガラヤの主張や行動の政治化に違和感を覚えていった。都会に住む人々にとって,地方からやってきた若者らが長期にわたり大騒ぎし社会活動を阻害し秩序を乱すさまは恐怖に映った。特にマヒンダ辞任のきっかけとなった5月9日の騒動や7月9日の大統領官邸占拠・ラニル私邸放火はインパクトが大きかった。
キリスト教の聖職者,弁護士組織,および企業団体はアラガラヤの活動を支援していたが,都市に住む人々がアラガラヤの活動に対する嫌悪感や違和感を持っていることに気づき,活動家らに法と秩序の遵守を訴えた。ラニルは大統領就任直後にアラガラヤ・サイトを早々に撤去したが,それはコロンボのインテリ層や上流階級がアラガラヤを恐れたからかもしれない。
また,アラガラヤは自然発生的な運動であるため,信頼できるリーダーシップを欠いていた。多くのスリランカ国民は,無秩序な活動よりも秩序だった権力を好んだと評する報道もある。とはいえその後,根拠のない告発で大学間学生連合(IUSF)のワサンタ・ムダリゲ,仏教僧のガルウェワ・シリダンマなどリーダー的な存在だった活動家らは国外への渡航を差し止められ,逮捕・拘留された。警察はPTA(テロ防止法)に基づいて彼らを逮捕しており,裁判なしで最大1年の拘留が認められている。人権委員会(HRC)は,「憲法の下で基本的権利を行使しているのだから,テロリストとして不当に扱われるべきではない」とけん制したが,ワサンタは2023年1月まで拘留された。
2022年の経済成長率はマイナス8.7%と見込まれ,すべての産業は低調であった。2021年にゴタバヤ大統領によって出された有機肥料への突然の転換命令の影響は2022年の農業生産にも及んだ。生産現場が混乱し,2021年末に化学肥料の輸入を認めたものの手遅れだった。すでに,外貨不足によりさまざまな必須品の輸入さえも困難となっており,化学肥料の入手および農民への配布も間に合わなかった。マハ期(北東モンスーン期9/10月~3/4月),ヤラ期(南西モンスーン期4/5月~8/9月)のコメ生産はそれぞれ対前年比39.6%,30%減,紅茶の生産も通年で16.2%減少した。サービス部門では,観光業も打撃を受けた。2021年末以降,イースター・テロやコロナ禍の影響が薄れて観光客数は戻りつつあった。しかし燃料不足による停電や移動手段がないなどの理由で各国が自国の国民に警告を発したこともあり,観光客の来訪は再び落ち込んだ。2022年後半に来訪客数は前年度並みに回復し,通年の来訪者数は前年の3.7倍の約72万人となったが,コロナ禍前の200万人には遠く及ばない。
深刻な外貨危機に見舞われたため,輸入は182億9100万ドルと対前年比11.4%減となった。特に消費財輸入額が26.9%減と大きく落ち込んだのに対して,世界的な燃料価格高騰の影響もあり,燃料輸入額は30.8%増えた。一方輸出は衣類がけん引し,4.9%増の131億640万ドルとなった。その結果貿易赤字は36.3%減少したものの,海外からの送金額は激減し,大幅に低下した貿易赤字を補填するには至らなかった。
経済危機の様相2021年末からガスボンベ不足や停電,物価高騰の予兆があった。2022年1月から3月にかけて外貨不足によって輸入が困難になりさまざまなモノが品不足となった。特に燃料不足は深刻で購入には数日間も列に並ぶ必要があり,その最中に亡くなる事例も相次いだ。コロンボのスーパーマーケットでは普段は店頭に並ばない薪と竈(かまど)が売られる様子も見られた。燃料不足は,発電や物流にも影響を及ぼした。停電は2回に分けて1日10時間,多い時には13時間となった。物流面では,農作物の運搬が滞り都市の消費者に届かなかった。生産高が減っていたところに追加的な打撃となった。
物価も高騰した。中央銀行は全国消費者物価指数(NCPI)の対前年同期比の12カ月平均をインフレの指標に用い,4~6%を許容範囲としている。それに準拠するなら2021年末まで物価上昇率は許容範囲内にあった。しかし,2022年3月以降は急上昇した。この背景には,3月7日に中央銀行がルピーの対ドル為替レートを15%ほど切り下げた結果,輸入品価格が上昇したことがある。例えばガソリン価格は2022年初に1リットル当たり177ルピーだったものが6月には470ルピーとなった。その後も物価上昇は止まらず2022年9月にNCPIは73.7%となった。その結果,12カ月平均も上限の目安とする6%を大きく超え,年末には約50%となった(図1)。
(出所)Central Bank of Sri Lanka, Monthly Economic Indicators,各月版。
モノ不足や物価高対策として政府は,公務員にリモート勤務や家庭菜園を推奨した。公務員の海外就労も促進され,5年後の復職も認められた。学校も通学の足が奪われた結果,閉鎖されリモート授業となったが,すべての学生がスムースに移行できたとは考えにくい。国会議員は,自宅から国会に行くための燃料がないため,国会議長に宿泊施設を要求した。医療現場での医薬品不足も深刻で基本的な薬品でさえ輸入できなかった。
ラニルが大統領に就任した7月以降,状況は徐々に改善されていった。燃料の1週間当たりの購入量規制が導入され,購入資格がなければ並んでも購入できなくなり,長蛇の列は解消した。輸入のための外貨は増えておらず,根本的な不足は解消されていないはずであるが,政治的混乱により機能不全に陥っていた各省庁間の連携や担当部署の明確化およびQRコードによる管理が始まり購入規制の運用が徹底され,少なくとも長い行列に並ぶ必要はなくなった。また雨季が始まり水力発電が可能となったため,コストの高い石炭火力発電への依存が減り,8月以降の停電は1日2時間半程度に落ち着いた。
ゴタバヤ大統領の経済政策に過失があったことは事実だが,このような危機的状況は一朝一夕にもたらされたものではない。2000年以降の政権が輸出産業の育成・輸出市場の多様化などの問題解決を先送りし,基本的な生活インフラを提供する国有企業の効率化を怠ってきたことも原因としてあげられる。
対外債務返済ができずにデフォルト2022年は66億ドルの債務返済が予定されており,1月に5億ドルの返済を果たした。しかし2月初めの時点で使用可能な外貨は10億ドル未満で,債務返済どころか輸入2~3週間分しかないという危機的状態にあった。年初来,ラニルを含め野党は具体的な数字を示しながら,対策としてすぐにでもIMFに支援を求めるべきだと主張した。しかし当時の中銀総裁アジット・カブラールは,それをかたくなに拒んだ。融資の条件として緊縮財政を求められるのを懸念したためである。
4月初めの内閣辞職にあわせてカブラールも辞任し,ナンダラル・ウィーラシンハに交代した。新総裁は就任直後に政策金利を一気に7ポイント引き上げるなど立て直しを図った。しかし4月12日,財務省が510億ドルの対外債務の返済を一時的に停止する(デフォルト)と発表した。これにより二国間通貨スワップと多国間債務を除く,政府のすべての対外債務の返済を一方的に停止することとなった。その直後に大手格付け会社はスリランカの格付けを軒並み下げている。
IMFとは4月より交渉が始まり,8月末になってスリランカが今後4年間で29億ドルの融資を受ける実務者合意にこぎつけた。しかし融資を受ける条件としてスリランカ政府は返済計画について債権者と交渉しなければならない。主な債権者は中国,日本,インドであった。このうち債権額が最も多いのは中国で,国有企業への融資を含めると対中債務は対外債務全体の約20%,日本への債務は10%ほどとなっている。
対照的な対応をとったインドと中国スリランカは,デフォルトを回避しようと近隣諸国や中国に支援を働きかけていた。インド,バングラデシュ,パキスタンなど近隣諸国は使途を限定した融資ではあったが素早く対応し,なかでもインドは燃料購入のためのクレジットラインや融資も含めて2022年に累積で約40億ドルを提供した。
それに対して中国は消極的であった。2022年1月にゴタバヤ大統領が中国の王毅外相に資金援助を求めたが,中国にそのような制度はなく,スリランカは投資環境を整え,中国と自由貿易協定(FTA)を結ぶべきであると主張した。スリランカと中国は2017年以降FTA交渉を中断している。4月22日の李克強首相との電話会談でも中国はマヒンダ首相にFTA交渉の再開を求めている。しかしスリランカは,中国とのFTAは中国に一方的に有利になると懸念する。さらに戚振宏(Qi Zhenhong)駐スリランカ中国大使は,「スリランカがIMFに頼りすぎると,中国とスリランカの二国間協力に影響を及ぼす」と警告した。ラニルが大統領就任演説でインドを高く評価した一方で中国には言及しなかったのは象徴的である。結局中国との債務再編は合意に至らず,スリランカは年内にIMFの融資を得ることはできなかった,
国外脱出は増えるも送金は期待薄スリランカにとって海外からの送金は衣類・紅茶輸出に次ぐ重要な外貨獲得手段である。国内の政治的・経済的混乱に見切りをつけた人々が,海外に雇用を求めてこれまでにない規模で出国している。出国者数は2021年の11万8000人から2022年は上半期だけで14万人となった。特に医師や弁護士などの専門職の数が例年よりも増えている。
パスポートの申請も急増した。2021年は38万2000件だった申請数は,2022年は9月までで約70万件に上った。ただし燃料不足でスタッフが出勤できない,発行のための紙が不足しているとの理由により,申請のすべてに対応できたわけではない。
従来は家事手伝いや非熟練労働者が海外労働移民の多数を占め,その多くは通常数年で帰国していた。しかし専門職は渡航先に家族で定住する傾向が強く,本国への送金も少ない。今後の経済への影響が懸念されている。
イギリスのシンクタンク王立国際問題研究所の調査によると,2006年から2019年7月まで中国が実施したスリランカにおけるインフラ建設の累計額は121億ドルに達した。これは,特に2009年の内戦終結後の復興資金を求めるスリランカにとって有益だった。これらのインフラ建設はラージャパクサ一族の出身地である南部やコロンボ周辺に集中していた。
南部で影響力を拡大させた中国に対して,インドは北部や東部での事業に注力している。理由のひとつとしては,この地域はインドに近く,またタミル人が多く居住し文化的な共通点も多いため,インド南部のタミル・ナードゥ(TN)州では,スリランカのタミル人を同胞とみなし,TN州政治家たちもスリランカのタミル人の支援に積極的だからである。インド中央政府はこのようなTN州とスリランカ北部・東部の特殊な関係を無視できない。またインドに近接するこの地域に中国が進出することは後述するように戦略的に受け入れられない。インドがスリランカ北部・東部での事業を重視するのはこのような背景があると思われる。
一方,TN州政府とスリランカは,北部の漁場と漁法をめぐり対立している。その原因はTN州の漁民によるスリランカ海域での密漁である。またインドの漁民が水産資源保護のためスリランカで禁止されている底引き網を使用する漁法も問題だった。これは,2009年に内戦が終結してタミル・イーラム解放の虎(LTTE)が壊滅したのちに同地域で漁業が再開して以降の懸案であった。
このよう問題があるにもかかわらずインド中央政府はTN州および自国の漁民からの反発を懸念し,スリランカ政府からの要請を放置してきた。一方,TN州の政治家らにとって同州の漁民は重要な有権者である。スリランカの漁民もタミル人であるが,優先的に保護すべき対象は自国の漁民であり,スリランカ漁民ではない。
スリランカ政府も積極的に自国の漁民を守るよりもインド中央政府との良好な関係維持を優先にした。スリランカのタミル系の政党もインドとの関係を重視しており,漁民にとって頼りにならない。なぜならタミル政党の関心は,北部における自治権拡大であり,そのためにはインドとの関係を良好に保つことが必要だからである(北・東部における自治権を規定した13次改正憲法はインドの後ろ盾で成立した経緯がある)。したがってスリランカ漁民らの問題はスリランカ政府,地元のタミル政党,インド中央政府にとって取り上げることが躊躇される問題であり放置されたままになっている。
このエアポケット状態となった北部に入り込んできたのが中国だった。2021年初めに北部ジャフナ県の3つの小さな島に中国が太陽光発電プロジェクトを実施(資金提供はアジア開発銀行[ADB] )することになった。しかしインドが安全保障を理由にスリランカ政府に対してプロジェクトの取り消しを求め,スリランカはそれに応じた。それでも中国は2021年末,北部海域においてナマコ養殖や魚の缶詰工場などを建設するなどスリランカ人漁民たちの所得向上を目的としたプロジェクトを実施している。中国大使は2021年末にジャフナを3日間訪問し,ジャフナ図書館やヒンドゥー教寺院を訪れるなど,インドが得意としてきた文化的交流にも努めた。同大使は2022年5月には東部のトリンコマリーを訪問し,関係強化に励んだ。
南アジア諸国には伝統的に反インド感情あるいはインド恐怖症がある。スリランカも例外ではない。中国が実利のあるプロジェクトを実施するならば,従来政府から顧みられてこなかったスリランカの漁民たちは中国を頼り,スリランカにおける中国の存在感はますます高まることになるだろう。
6月末,政治的混乱のさなかに中国は,観測船「遠望5」のハンバントタ入港許可を求め,スリランカ側はこれを許可した。本来ならスリランカは海洋状況把握(MDA)に基づきインドに通知する必要があったが,義務を怠った。2014年にスリランカは,中国の潜水艦のコロンボ港寄港をインドに知らせずインドを刺激した。今回もインドはスリランカ政府に対して安全保障上の理由から懸念を表明し,観測船の寄港中止を求めた。スリランカはこれを受け8月5日に中国政府に対して「遠望5」寄港の延期を求めた。スリランカは経済危機を乗り切るためにインドの資金提供を受けていることからインドの要求を受け入れざるを得なかった。しかし中国外務省も「(インドが)スリランカに圧力をかけるために安全保障上の懸念を引き合いに出すのは無意味」と述べ,8月中旬に「遠望5」のハンバントタ入港を認めさせた。
「遠望5」入港にあわせてインドはスリランカに2機のドルニエ偵察機を提供した。2018年の合意に基づくとされているが,この時期にあえて提供したのは中国の動きを意識したものだろう。スリランカを舞台に展開した中国によるインフラ建設は,北・東部にも拡大しただけでなく,インド洋における安全保障上の問題に発展する懸念がある。
本来なら2022年に実施予定であり,2023年3月に行われるはずであった地方自治体選挙は,直前に再度延期となった。理由は与党敗北の可能性が高かったからとみられている。この決定で政府に対する信頼はさらに揺らいだ。
深刻な政治危機を脱したとはいえ,スリランカ経済は依然として脆弱な状態にある。巨額の債務を抱えるスリランカ政府に対して,IMFは財政赤字の削減を求めている。これまでスリランカは支出を減らすことで,目標に近づけていたが,今後は所得税増税や公共料金の引き上げで歳入を増やさざるを得ない。既得権益層からの反発や有権者からの批判を恐れる政治家たちがどれほど真剣に現実に向き合うかが試される。
対外関係の重要課題はインド洋をめぐる問題である。すでにインド洋は覇権をめぐる大国の駆け引きの場となっているが,スリランカは特にインドと中国との間でバランスを維持しなければならない。また国際社会から求められている内戦時の人権問題への対応など,重大な決定を下す局面も訪れるだろう。経済問題を抱えるなか,政府には巧みなかじ取りが求められる。
(地域研究センター)
1月 | |
4日 | ゴタバヤ・ラージャパクサ大統領,スシル・プレマジャヤンタ教育国務大臣を解任。 |
9日 | 大統領,中国の王毅外相に債務返済スケジュールの変更を求める。 |
10日 | ポートシティのマリーナ・プロムナード一般公開。 |
18日 | 中央銀行(以下中銀),5億ドルの国際ソブリン債(ISB)を返済。 |
19日 | 人民解放戦線(JVP),トリンコマリーの石油タンクに関するインドとの合意に反対する抗議活動開始。 |
20日 | 中銀,政策金利を5.0%から5.5%に引き上げ。 |
2月 | |
9日 | 2020年4月にテロ防止法(PTA)に基づき逮捕され,22カ月拘留されていた弁護士のハジーズ・ヒズブラ,釈放。 |
18日 | コロンボ高等裁判所,イースターテロを防げなかった過失の罪で逮捕された元警察長官のプジット・ジャヤスンダラと元国防次官のヘマシリ・フェルナンドに無罪判決。 |
24日 | 政府,ウクライナに住むスリランカ人学生ら70人は無事と発表。 |
25日 | スリランカの人権状況に関する国連人権高等弁務官報告書発表。人権状況の著しい悪化を指摘。 |
3月 | |
2日 | 大統領,5日より絶え間なく電力を供給すると発言。 |
2日 | 連立与党の一部,反政府キャンペーンを開始。 |
3日 | 内閣改造。シンハラ民族の遺産(PHU)のウダヤ・ガマンピラ(エネルギー大臣),国民自由戦線(NFF)のウィマル・ウィーラワンサ(産業大臣),罷免される。 |
3日 | スリランカ,ロシアのウクライナ侵攻に関する国連決議を棄権。 |
4日 | 中銀,政策金利を5.5%から6.5%に引き上げ。 |
5日 | ろうそくを持った人々がコロンボ近郊で政府に対する静かな抗議を始める。 |
7日 | 中銀,対ドル変動幅を1ドル200~203ルピーから最大15%切り下げ。 |
15日 | 統一人民の力(SJB),コロンボ中心部で大規模な反政府集会を開催。 |
16日 | バジル・ラージャパクサ財務大臣,ニューデリーでナレンドラ・モディ印首相と会談。 |
17日 | IMF,スリランカ支援について話し合いを開始する予定と発表。 |
17日 | インド,スリランカに10億ドルの信用枠を拡大。 |
23日 | 大統領主催の全政党会議(APC)開催。 |
23日 | JVP,ヌゲゴダで大規模集会開催。 |
25日 | 統一国民党(UNP),ハイドパークで大規模集会。 |
31日 | コロンボ近郊のミリハーナの大統領私邸周辺で抗議活動が過激化。45人以上が逮捕され,少なくとも50人負傷。 |
4月 | |
1日 | 大統領,非常事態宣言発令。5日に解除。 |
2日 | 午後6時より4日午前6時まで夜間外出禁止令。 |
3日 | 大統領とマヒンダ・ラージャパクサ首相を除く内閣が総辞職。 |
4日 | 中銀総裁のアジット・カブラール辞表を提出。 |
5日 | スリランカ大衆党(SLPP),スリランカ自由党(SLFP),セイロン労働者会議(CWC)議員ら42人,独立グループを宣言。 |
7日 | ナンダラル・ウィーラシンハ博士,中銀総裁に任命。 |
8日 | 中銀,政策金利を6.5%から13.5%に引き上げ。 |
9日 | ゴールフェイス・グリーンのデモ会場が「ゴタ・ゴー・ガマ」(ゴタ帰れ村)と命名される。 |
11日 | 首相,国民に協力を求める特別演説。 |
12日 | 財務省,510億ドルの対外債務の返済を一時的に停止すると発表。 |
13日 | 格付け会社のフィッチ,スリランカの格付けを引き下げ。 |
18日 | 17人の大臣および21人の国務大臣が宣誓するも,首相は宣誓式に欠席。 |
18日 | 大統領,政策の過ちを認める演説。 |
19日 | 警察,ケーガッラ県ランブッカナで抗議者に催涙ガス使用。1人死亡,10人以上負傷。 |
19日 | 首相,適切な修正を加えた19次改正憲法に基づいた政治運営が必要と述べる。 |
22日 | 首相,中国の李克強首相と会談。 |
28日 | 1000を超える労働組合,大統領と政府に辞任を求める全国的なゼネスト実施。 |
5月 | |
4日 | 政府に対する不信任動議を支持して抗議していた13人の若者,逮捕される。 |
5日 | 全土でゼネスト。 |
6日 | 国会周辺でデモ隊と警察が衝突。警察は催涙ガスを使用。非常事態宣言発出。 |
6日 | 大統領,首相に辞任を要請。 |
8日 | 首相,アヌラーダプラ訪問。 |
9日 | マヒンダ支持者らコロンボに集結し,反政府抗議活動参加者らに暴行。また全国各地でマヒンダ支持者の家が燃やされる。 |
9日 | ポロンナルワ地区選出のSLPP議員アマラケーティリ・アトゥコララ,暴徒によって殺害。 |
9日 | 外出禁止令発令。 |
9日 | マヒンダ,首相を辞任。翌朝公邸を去る。 |
10日 | 軍,暴力的な抗議活動参加者に対する発砲を許可する。 |
11日 | 警察,全国の警察署に違法な車両捜索,暴力,破壊,略奪等の不法行為を制止するために総力を尽くすよう指示するとともに,必要な場合には発砲を許可。 |
12日 | UNP党首ラニル・ウィクレマシンハ,首相に就任。 |
12日 | ハーグの常設人民裁判所,国際的な報道の自由団体の連合によって提出された起訴状に基づき,ラサンタ・ウィクレマトゥンガの殺害に関する公聴会を開始。 |
16日 | ラニル首相,経済状況について声明。 |
21日 | フィッチ,スリランカの格付けを「C」から「制限付きデフォルト」(RD)に格下げ。 |
24日 | ラニル,財務大臣に就任。 |
29日 | 首相,テレビ演説で統治システムの抜本的な変更を提案。 |
29日 | 付加価値税(VAT)を8%から12%に引き上げ。 |
6月 | |
2日 | コロンボ商業高等裁判所,ロシアのアエロフロート機に対して離陸を認めず。 |
6日 | 大統領,任期を全うする,と『ブルームバーグ』のインタビューに答える。 |
7日 | 内閣,稲作用に23万1000トンの肥料輸入を承認。 |
9日 | バジル・ラージャパクサ,国会議員を辞任。 |
10日 | 国連常駐調整官ハナ・シンガー,スリランカの人口の22%が食糧援助を必要としていると報告。 |
18日 | キリノッチ県の給油待ちの行列で軍兵士,空中に発砲。 |
18日 | 教育省,燃料不足を理由にコロンボと郊外の公立学校および島のすべての主要な学校を20日から24日まで閉鎖すると発表。 |
19日 | デモ参加者,テンプル・ツリーから「ゴタ・ゴー・ガマ」まで人間の鎖を作り,大統領と首相の2人に辞任を求める。 |
22日 | アメリカの債券保有者,スリランカをニューヨーク連邦裁判所に訴え。 |
22日 | 首相,国会で「経済は完全に崩壊」と発言。 |
26日 | 教育省,学校閉鎖を1週間延長。 |
7月 | |
6日 | 大統領,ロシアのプーチン大統領と電話会談。燃料輸入のための支援を要請。 |
6日 | ヒルニカ・プレマチャンドラ前国会議員,大統領官邸近くでの抗議行動を理由に逮捕。 |
7日 | 中銀,政策金利を13.5%から14.5%に引き上げ。 |
8日 | 警察長官,夜間外出禁止令を発するものの,翌日解除。 |
9日 | コロンボで大統領と首相の辞任を求める大規模集会開催。大統領官邸,大統領府を占拠。首相私邸,放火される。 |
9日 | 大統領と首相,辞任の意向を表明。大統領,海軍船でコロンボを離れる。 |
12日 | 政府,中国の観測船「遠望5」のハンバントタ入港許可を中国大使館に通知。 |
13日 | 大統領,カトナヤケ空港より軍用機でモルディブに出国。 |
13日 | 抗議デモ参加者ら,首相辞任を求めて首相官邸に押し寄せる。国営テレビ局ルーパバヒニを襲撃し,反政府抗議活動に関するニュースを放送するよう要求。 |
13日 | マヒンダ・ヤーパ・アベイワルダナ国会議長,ゴタバヤ大統領が憲法第37条に基づきラニル首相を大統領代行に任命したと発表。 |
13日 | ラニル大統領代行,全国夜間外出禁止令発出。 |
14日 | ゴタバヤ,シンガポールからメールで辞表を提出。 |
15日 | 国会議長,ゴタバヤ大統領の辞表を受け取る。デモ参加者ら,ラニル大統領代行の辞任を要求。 |
18日 | 政府,臨時官報で全島に非常事態宣言。8月18日まで継続。 |
20日 | 国会議員による大統領選挙。ダラス・アラハッペルマ,アヌラ・クマール・ディサナヤケ,ラニルが立候補。ラニルが選出。 |
20日 | ラニル大統領,首相に人民統一戦線のディネシュ・グナワルダナを任命。 |
22日 | 軍,警察,ゴールフェイス・グリーンの抗議サイトを強制撤去。 |
26日 | アラガラヤ活動家,ダニス・アリ,ドバイに向けた機中で逮捕。 |
8月 | |
3日 | 大統領,政治・経済改革の概要を示す政策声明を発表。政党の団結・全党政府結成を改めて呼びかけ。 |
3日 | 警察,ゴールフェイス・グリーンのデモ参加者に最後通牒。5日の午後5時までに施設をすべて撤去するよう求める。 |
4日 | 司法長官,デモ参加者が10日までゴール・フェイスに留まれることを保証。 |
5日 | 政府,インドの要請をうけ「遠望5」の入港を延期するよう中国に求める。 |
8日 | 政府,除草剤グリホサートの輸入禁止を解除。 |
9日 | 全国的な抗議活動が勃発。 |
11日 | ゴタバヤ前大統領,タイに到着。 |
12日 | 政府,「遠望5」の停泊を許可。 |
15日 | インド,2機のドルニエ偵察機を提供。 |
16日 | 「遠望5」,ハンバントタ港に入港。 |
18日 | 大学間学生連盟(IUSF)のワサンタ・ムダリゲ,PTAを根拠に逮捕。 |
23日 | IMF代表団,スリランカに到着。 |
31日 | 13人のSLPP議員,国会で野党席に移動。 |
9月 | |
1日 | IMFと29億ドル融資に関して実務者合意と政府発表 。 |
1日 | VAT,12%から15%に引き上げ。 |
3日 | ゴタバヤ前大統領,帰国。 |
17日 | 大統領,就任後初の外国訪問。イギリスに出発。 |
20日 | 世界食糧計画報告書,スリランカ人口の3分の1以上が深刻な食糧不安に直面と指摘。 |
23日 | 大統領,コロンボのいくつかの地域を高度警戒ゾーン(HSZ)に指定。10月1日に撤回。 |
23日 | リハビリ法案,国会に提出される。 |
26日 | 大統領,日本とフィリピンを訪問。安倍晋三元首相の国葬参列。28日に岸田文雄首相と会談。 |
10月 | |
6日 | 国連人権理事会でスリランカ決議。賛成20,反対7,棄権20で可決。人権侵害の疑いと説明責任の問題に関する証拠収集メカニズムの強化をスリランカに求める。 |
8日 | マヒンダ,5月の首相辞任以来,初めて公の場に登場。 |
10日 | 日本とスリランカ,「低炭素成長パートナーシップのための二国間クレジット制度に関する協力覚書」に署名。 |
12日 | 大統領,ノルウェーのソルヘイム元環境大臣とモルディブのナシード首相を国際気候アドバイザーに任命。 |
13日 | スリランカ,ロシアによるウクライナの一部併合を非難する国連投票を棄権。 |
16日 | 選挙管理委員会,地方議会が任期満了する2023年3月20日の最低2週間前に地方議会選挙を行うと発表。 |
17日 | ドナルド・ルー南・中央アジア担当米国務次官補,来訪。 |
20日 | 最高裁,リハビリ法案は対象を薬物依存などに限定すべきとして,違憲と判断。 |
21日 | 国会で第22次憲法改正法案賛成多数で可決。公式には21次改正憲法として発布。 |
11月 | |
2日 | コロンボで大規模な反政府集会開催。 |
2日 | コロンボ治安裁判所,2019年発生のイースター・テロ裁判から,リシャード・バディユディーン被告を除く決定。 |
4日 | ドバイからの帰国者にサル痘初検出。 |
5日 | 民族和解のためのユニット設置。 |
6日 | 大統領,第27回気候変動枠組条約締約国会議(COP27)参加のためエジプトに出発。 |
7日 | 日本船籍船,スプラトリー(南沙)諸島で漂流中のスリランカ人303人を発見。 |
9日 | コロンボ西国際ターミナル・プロジェクト建設開始。 |
10日 | 最高裁,付加価値税(修正)法案に関して,条件付きで違憲ではないと判断。 |
10日 | 最高裁,IUSFのワサンタ・ムダリゲを治安裁判所に出頭させるよう暫定命令。 |
14日 | 大統領,2023年予算演説。 |
15日 | スリランカ,国連総会でウクライナへのロシアの賠償を求める投票で棄権。 |
19日 | 北部州特別開発ユニット開設。 |
20日 | バジル,スリランカに帰国。 |
22日 | 2023年予算,可決。121人賛成,84人反対。1人が棄権。 |
23日 | 全大学比丘連盟(IUBF)のシリダンマ僧,PTAを根拠に逮捕され,80日間拘留後保釈。 |
12月 | |
4日 | 選挙管理委員会,地方選挙の実施日程は2023年1月9日より前に公表すると発表。 |
7日 | 多くの地域で大気汚染が深刻化。 |
8日 | 民族和解に関する党首会談。 |
13日 | 大統領,全政党会議で,民族問題の解決策を模索する必要があると発言。 |
13日 | ジャフナの空港,3年ぶりに営業再開。 |
14日 | IMF,年末までに融資に関して議論する予定なしと発表。 |
(出所)大統領府ウェブサイト掲載閣僚名簿(https://www.presidentsoffice.gov.lk/index.php/cabinet-ministers/)
大統領府ウェブサイト掲載国務大臣名簿(https://www.presidentsoffice.gov.lk/index.php/state-ministers-2/)
(出所)大統領府ウェブサイト掲載閣僚名簿(https://www.presidentsoffice.gov.lk/index.php/cabinet-ministers/)
大統領府ウェブサイト掲載国務大臣名簿(https://www.presidentsoffice.gov.lk/index.php/state-ministers-2/)
(注)1)暫定値。2)労働力人口は15歳以上。3)基準年は2013年。年平均。
(出所)Central Bank of Sri Lanka,Annual Report 2022,KEY ECONOMIC INDICATORS.
(注)1)改定値。2)暫定値。
(出所)Central Bank of Sri Lanka,Annual Report 2022, Appendix TABLE 9.
(注)1)改定値。2)暫定値。
(出所)Central Bank of Sri Lanka, Annual Report 2022, Appendix TABLE 2.
(注)1)暫定値。
(出所)Central Bank of Sri Lanka,“Press Release-External Sector Performance”各月版より作成。
(注)IMF国際収支マニュアル第6版に基づく。したがって,金融収支の符号は(+)は資本流出,(-)は資本流入。1)改定値。2)暫定値。
(出所)Central Bank of Sri Lanka,Annual Report,各年版。
(注)1)暫定値。2)2021年以降のEUにはイギリスを含まない。
(出所)Central Bank of Sri Lanka,Annual Report 2022, Appendix TABLE83, 84.