アジア動向年報
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各国・地域の動向
2023年の香港特別行政区 コロナ後も続く弾圧と経済回復の遅れ
倉田 徹(くらた とおる)
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2024 年 2024 巻 p. 127-146

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2023年の香港特別行政区

概 況

2023年の香港では,長期にわたった新型コロナウイルス対策の規制が年明けから次々と緩和された。しかし,防疫を理由とした集会制限が撤廃された後も,政治的なデモや集会は厳しく管理され,街頭での大規模な政治活動は事実上再開不能となった。また,立法会や行政長官選挙委員選挙に続き区議会議員選挙の方法も大きく変更されて,民主派は完全に政治から排除された。それによって,政権が主張する「愛国者による香港統治」が徹底されることとなった。しかし,反政府活動が完全に沈静化した状況下でも,政府は言論や芸術活動を通じた政府批判を「ソフトな抵抗」と称し,それに対する警戒を続ける必要があると主張して,強硬姿勢を続けた。学術研究などに対しても法的措置を通じた圧力が加えられた。

低迷していた経済においては,期待されたコロナ規制解除後の回復は弱く,各方面での不調が続いた。なかでも株式や不動産の値下がりが問題となった。その背景には中国経済の不況と,米ドルとのペッグ制をとり,米国の金融政策に追随せざるを得ない香港の金利高などがあり,外部の景気循環に左右されている側面がある。一方,アメリカの対中国・香港制裁など国際関係の悪化に伴う貿易の低迷や,政治問題を嫌った人材や資金の流出,また,香港国家安全維持法(国安法)体制下で生じた政治問題の経済への悪影響も指摘されている。こうした状況の打開策は,主に大陸からの人材移入と,深圳との経済融合を前提とした開発計画に求められ,香港経済は一層大陸への依存を強めた。

対外関係においては,西側諸国とは実務関係回復を模索する動きも見られたものの,人権問題がネックとなっている。このため香港政府は中東や東南アジアといった,非欧米諸国との関係強化を目指した。一方,対日関係においては,福島第一原発の処理水問題で,香港政府は中国政府に同調し,厳しい対応をとった。

域内政治

コロナ対策の規制の撤廃と再開しないデモ

香港では長期にわたり,中国大陸の「ゼロコロナ政策」と軌を一にする厳しい防疫措置がとられていた。しかし,2022年末から2023年初頭にかけて,大陸で防疫措置が急速に撤廃されていくと,香港もそれに続いた。1月8日には,大陸との間で隔離なしでの往来が許されるようになった。当初は1日に往来できる人数に定員枠を設けたが,2月6日には人数制限も撤廃された。1月15日には深圳・広州と香港を結ぶ高速鉄道の運転が再開された。3月1日には,防疫のためのマスク着用令が廃止された。これによって,コロナ対策のためのソーシャルディスタンシング確保に関するすべての措置が廃止された。

しかし,コロナ対策の規制が撤廃された後も,かつてのような大規模なデモ・集会は再開されなかった。防疫を理由に集会を制限する措置が2020年3月に開始されて以来,デモや集会は軒並み警察の許可が出ない状態となっていた。同措置は2022年末に完全撤廃されたが,2020年6月に制定された国安法により,デモ開催には大きな政治的リスクが伴うようになった。親政府派の楊永杰立法会議員は2023年2月11日に地域への公共住宅建設に反対するデモを計画したが,途中で断念した。民主派寄りの団体とされる香港婦女労工協会は3月5日に国際女性デーを記念するデモを計画し,一旦は警察から許可を得たが,直前の3月4日に中止を発表した。ネット上でデモが大きな話題となり,警察を挑発するような書き込みも現れるなか,警察から主催者が責任を負うよう再三の警告がなされていたとされる。集会制限令解除後初のデモは3月26日の,将軍澳地区の埋め立てと廃棄物集積場の建設への反対を主張して行われた。警察はデモ許可の条件として,参加者を番号札で識別し,通行人と厳格に分けることなどを求めた。このため,このデモはかつてのような多数の市民が自発的に参加する大規模なものにはならず,主催者側発表で80人,警察発表で65人のみの参加にとどまった。

4月16日には香港訪問中の夏宝龍中央香港マカオ工作弁公室主任が講話を行い,デモは主張を示す唯一の手段ではない,過去の環境保護や市民生活などの訴えは容易に乗っ取られ,社会の対立を呼んだなどと述べ,デモに対して否定的な見方を示した。天安門事件から34周年にあたる6月4日,追悼集会は開催できず,警察は「社会の安寧を破壊した」嫌疑で,かつて毎年追悼集会が開かれていたビクトリア公園付近でろうそくを所持していた者など,23人を連行した。

国安法関連の大型事件の裁判が審理開始

国安法制定後間もなく逮捕された多数の民主派関係者は長期にわたって拘留され続けていたが,2023年にはようやく大型事件の審理が開始された。

2月6日には,2020年7月に立法会議員選挙の予備選挙を行ったことで,2021年1月に国安法違反に問われて一斉逮捕された民主派47人に対する裁判が開始された。原告側は,予備選挙に参加した民主派の者たちが,国安法の定める政権転覆罪にあたると主張した。その理由として,彼らが立法会で過半数の議席を獲得し,その後政府法案や財政予算案を否決して政府を麻痺させることを企図していたことをあげた。審理は2023年12月5日に終了し,2024年に判決が予定されている。

2021年に廃刊した『蘋果日報』創刊者の黎智英は,2020年8月に国安法が定める外国との結託罪の容疑で逮捕され,後に収監・拘留された。黎智英はイギリス人のティム・オーウェン弁護士を任用しようとしたが,香港政府はこれに執拗に反対した。中央政府は国安法への解釈権を発動し,外国人弁護士の任用には行政長官の許可を必要とするとの決定を2022年末に下した。さらに,国家安全委員会は2023年1月11日,オーウェンに香港入境ビザを発給しないことを決定し,その件をめぐって黎智英側が裁判の中止を求める訴えを起こすなど,審理に入る前の手続きは大いに紛糾した。こうしたことから,審理開始は大幅に遅れた。9月26日には黎智英の拘留が1000日を超え,香港政府は欧米諸国から非難された。裁判はようやく12月18日に開始された。

香港中文大学をめぐる問題

世界的な名門校である香港中文大学は,2019年に多数の学生が抗議活動に参加して警察と衝突したことや,キャンパス内での衝突の最中に段崇智学長が学生の保護に動いたことなどから,強硬な親政府派からの批判に晒されてきたが,2023年にはその経営をめぐってさまざまな政治問題が噴出した。

中文大学理事を務める張宇人ら3人の立法会議員は,同大学の理事会に学外者の比率を高めるなど,大学人事への政治介入を容易にする中文大学条例改正案を提出し,7月21日から立法会で審議された。同案には中文大学の卒業生組織などから強い反発が起き,1000人を超える人々が改正案に反対する署名を行ったが,11月1日立法会で賛成76,棄権3で可決された。

中文大学の経営をめぐっては,政府がさまざまな問題を次々と指摘した。8月11日,廉政公署は段崇智学長の妻が運営している中文大学医学センター内の汚職容疑を調査していると発表した。調査段階で廉政公署がその事実を公表するのは異例のことであった。11月29日には,審計署は会計監査報告書を発表し,香港中文大学に初めて1章を割いて管理の不行き届きを批判した。12月13日には,改組された新しい中文大学理事会が,呉樹培副学長の解雇を決定した。呉樹培は理事会改組に反対する署名活動に参加していた。

学術・文化活動への圧力の継続

先述のとおり,コロナ規制の撤廃後も政治活動は極めて低調であり,抗議運動は完全に抑え込まれて収束している。しかし,李家超行政長官は7月1日の返還26周年記念日のスピーチでも,引き続き言論や文化・芸術による政権批判である「ソフトな抵抗」の力が存在しており,警戒が必要と述べた。

こうした政府の姿勢は,学術・文化活動に対する圧力となっている。2020年の民主派の予備選挙に協力したため,警察の捜索を受けるなどしていた香港民意研究所は,返還前から毎年天安門事件についての年次民意調査を行ってきた。2023年は6月6日にその結果の発表を予定していたが,同研究所は「政府部門の提案」によって,公表を延期するとした。6月20日には,同研究所は香港市民の議員や警察などに対する評価や,香港人または中国人としてのアイデンティティについての調査など,8種類の民意調査の結果を今後非公開とすると発表した。10月27日には,中国系カナダ人で,天安門事件の研究者である中文大学の何暁清准教授が就労ビザの更新を拒否されたことを受け,中文大学は何暁清を即時解雇した。

2023年5月5日,デンマーク人芸術家が製作し,1998年から香港大学に展示され,2021年に大学当局によって撤去されていた天安門事件を記念するモニュメント「国殤の柱」を,警察国家安全部門が政権転覆罪の証拠品として押収した。これに抗議して「国殤の柱」のバナーを製作し,所持していた大学院生は逮捕され,扇動罪で懲役6カ月の判決を受けて服役した。5月14日には,警察から繰り返し批判されてきた尊子による『明報』の風刺漫画が,約40年続いた連載を終了した。

6月6日,律政司は高等法院に対し,2019年の抗議活動の歌「香港に栄光あれ」を人に伝える行為(演奏,出版,展示,インターネットへの掲載等)を禁じる禁令を発出するよう申請した。高等法院は8月1日,この件についてはすでに国安法で刑事罰が定められているため,民事の禁令は出さないという理由により,申請を棄却したが,律政司は12月19日に上訴し,審理は2024年まで続くことになった。また,律政司はGoogleに対し,「香港に栄光あれ」のYouTube動画32本の削除を要求した。もっとも,Googleは削除に応じていない。

民主派寄りの書籍も扱う複数の独立系小規模書店は,政府から頻繁に各種の立ち入り検査などを受けている。9月に店舗前の土地の違法占拠の疑いを指摘された見山書店は12月,繰り返される苦情と立ち入り検査を理由に閉店を決めたと発表した。

価値観への政権の関与も顕著になっている。5月18日には,大陸と香港の関係団体の合同により,初めて「キリスト教の中国化」シンポジウムが開催された。一部の教会では国旗の掲揚が開始されている。11月3日には性的少数者のスポーツ大会である「ゲイ・ゲームズ」が,アジアで初めて香港で開催された。その直前の1日,「普通の香港市民」と称する団体が会見し,ゲイ・ゲームズは同性婚合法化を鼓吹していると批判したうえで,資金源が疑わしく,国家の安全を害する可能性があると主張した。同団体は会見に出席した8人の立法会議員に対し,政府にゲイ・ゲームズの即時取り締まりを求める請願書を渡した。

「ソフトな抵抗」への政府の強硬姿勢に対しては,親政府派の間でも取り締まりをやり過ぎれば香港のソフト・パワーを削ぐとの慎重論が存在しており,しばしば論争が展開された。

区議会議員選挙の方法変更

2021年に習近平国家主席が「愛国者による香港統治」を打ち出して以来,香港の各種の選挙制度は大きく変更されてきた。2021年の立法会議員および行政長官選挙委員の選挙方法変更に続き,2023年には区議会議員選挙の方法が大幅に変更された。

5月2日,政府は区議会議員選挙の方法変更案を発表した。従来の選挙制度では,香港18区が452の小選挙区に分割され,各1人ずつの議員を選出する小選挙区制がとられていた。全479議席のうち,新界の自治組織の幹部に割り当てられる27議席を除く圧倒的多数が普通選挙で選出されることから,区議会議員選挙は香港で最も民主的な選挙とも称されてきた。しかし,今回の変更では,18区それぞれの普通選挙で選出する議席の数は2から8までと設定され,合計で88議席のみとされた。普通選挙で選出される議席は全体の19%弱にまで縮小されたことになる。残りの議席については,176議席を政府が任命した各区の分区委員会・防火委員会・犯罪撲滅委員会といった地区諮問組織のメンバーが選出する枠とし,179議席は2015年までに全廃されていた政府委任枠を復活させて選出するとした。新界の自治組織の幹部には引き続き27議席が割り当てられた。1982年の区議会設置と初の選挙実施以降,選挙制度は微調整を経て徐々に普通選挙の比率が高められてきたが,今回の変更案では普通選挙の比率が史上最低となった。また,普通選挙枠についても,出馬には地区諮問組織メンバーの推薦を受けることや,政府の資格審査を通過することが要件とされた。

選挙方法のみならず,区議会の職権や運営方式についても政府は変更を提案した。従来は区議会議員の互選によって選出された議長(主席)を,今後は議員ではなく,政府公務員である民政事務専員が務めるとした。また,議員が欠席したり,議長から指示された業務に対して怠慢であったり,議場で汚い言葉を使ったり,テーマから離れた発言をしたり,同じ内容を繰り返し発言したりする場合は,民政・青年事務局長が議員に警告・罰金・停職などの罰を与えることができるとした。政府の支出を区議会議員が審理する従来の権限は廃止とされた。

議員の職務状況を監視することは,公職者は選挙の際のみならず,常に監督下に置かれるべきであるという習近平政権の「全過程民主」の主張を反映しているように見える。しかし,この一連の制度変更は民選議員の職権を全面的に縮小する内容となっており,2019年の区議会議員選挙で民主派が圧勝し,政府が劣勢に立たされた事態の再演を防ぐことを主眼とするものであることは疑いない。民主派は当然この変更を批判したが,立法会は7月6日,全会一致で区議会選挙制度や職権,運用方式変更の政府案を可決した。

区議会議員選挙,民主派の排除と史上最低の投票率

新しい選挙制度による区議会議員選挙については,不利な制度の下で民主派が出馬するかどうかが焦点となった。

前回2019年の選挙では,民主派は全体の8割を超える388議席を得て圧勝していた。その大部分は,その後の政府の資格審査で議員資格を剥奪されたり,自主的に辞職したりしてすでに区議会を去っていたが,若干名の議員が残っていた。民主党は2023年9月20日,8人を候補者として擁立すると発表した。しかし,民主党を含む民主派は,10月30日の立候補受付の締切までに政府が指名した地区諮問組織メンバーからの推薦を得られず,誰も出馬できなかった。

普通選挙の議席が大きく減らされ,民主派が排除された選挙は盛り上がりを欠いたが,政府は「愛国者による香港統治」の完成と位置づけるこの選挙を重視し,大規模なキャンペーンを行って投票を呼びかけた。しかし,12月10日の選挙では,投票率は27.54%と史上最低を記録した。

行政長官や立法会はおろか,大きな権限のない草の根の区議会からも民主派が徹底して排除されたことは,政府が民主派の根絶を意図していることを如実に示した。返還前から中国政府はイギリスなどの圧力の下で,ある程度西洋型民主主義の要素を取り入れた選挙制度を香港に導入し,部分的な民主化も進めてきたが,そうした時代は完全に終わりを告げた。代わって,現在の中国共産党政権がその優越性を主張する,一元的な中国式の政治制度が導入された。しかし,過去30年以上香港市民の多数派が支持してきた民主派を排除した後,政治の質を維持できるかどうかは大いに問われることになろう。

経 済

コロナ禍後も続く経済の苦境

2023年の香港経済は,「ゼロコロナ政策」の終了に伴う行動制限の緩和と,大陸および海外との往来制限の撤廃によって,当初は回復が期待されていた。しかし,回復は力強さを欠き,政府は国内総生産(GDP)成長率予測の下方修正を繰り返した。2023年の実質GDP成長率は3.2%(速報値)にとどまった。

なかでも深刻な低迷に陥ったのは株式市場であった。コロナ後の回復を期待して,株価ハンセン指数は1月末には一旦2万2000ポイント台を回復したが,その後は下げに転じ,年末には1万7047.39ポイントと,前年末の1万9781.41ポイントを大きく下回る水準に沈んだ。株安のなかで市場には沈滞ムードが漂った。2023年の香港取引所での新規株式公開(IPO)による資金調達額は前年比55%減の463億香港ドルにとどまり,インドに次ぐ世界6位に転落した。取引高も低迷した。中国政府が大陸の企業に上海・深圳などの大陸での上場を勧奨する一方,香港を含む境外での上場を制限したことが影響したと考えられる。

不動産価格についても,住宅販売価格指数は2022年12月の335.9から,2023年12月には313.4に下落した。大陸の不動産不況の影響に加え,香港の中産階級や金融業界等の外国人材の流出に伴い,高級不動産の実需が低迷したことも指摘される。

貿易も前年に続いて低迷し,輸出は2023年9月まで17カ月連続で前年割れとなった。特に欧米向けの輸出が不調であり,米国の対中国・香港制裁など,国際関係悪化の影響を受けているとも分析されている。

政府財政も悪化している。2022年度の財政赤字は1350億香港ドルに達した。地価の低迷により,公有地売却収入や,土地取引に伴う印紙税収入が大きく減少した。

労働人口減少への対応策

厳しい防疫措置や国安法を嫌った香港市民の海外移住や,外国の人材の転出により,労働人口の減少が問題化した。その対策として政府は,高額所得者や国際的名門大学卒業者などを対象に,香港での職の有無にかかわらず幅広く香港への居住権を付与する「高度人材通行証スキーム」(高才通)を打ち出し,その申請が2022年12月28日から受付開始となった。政府の発表によれば,2023年12月末までの間に5万612件の申請が受理された。

しかし,高才通は申請のハードルを低く設定したため,香港への旅行が便利になるという程度の気持ちで申請した者も多いとされ,人材獲得にどこまで有効かは疑問視もされている。また,2018年にゲノム編集嬰児を誕生させた事件に関連して大陸で懲役刑を受けた元受刑者・賀建奎も高才通の申請が認められていたことが報道によって発覚し,政府の審査体制が問題視された。2023年2月21日,政府は賀建奎への許可を取り消し,後日申請要件に犯罪歴の申告を加えた。

高才通のほか,既存の各種人材受け入れスキームについても要件を引き下げるなどして人材獲得を図っているが,いずれも申請者の9割以上が大陸住民であり,国際人材の獲得は難題となっている。香港総商会が6月6日に発表した調査結果によると,調査対象企業の74%が人材不足に直面しており,7割の企業が海外への移民流出が人材難の原因のひとつと述べている。

建設作業員やバス運転手などの業界でも人手不足が深刻化しており,6月13日,政府は外部労働力の移入拡大を発表した。建設業・運輸業等について2万人を上限に受け入れ,大陸の労働者については大陸から通勤することも初めて認めた。これは政府の労働政策の大転換と位置づけられている。

北部都会区開発構想

2021年に政府が提起した北部都会区開発構想に関連し,2023年5月18日に発展局は「新田科技城」開発計画の大綱を打ち出した。総面積627ヘクタールの開発計画のうち,300ヘクタールがイノベーションの用地として提供される。新田科技城は深圳と隣接しており,事前登録によって深圳と香港の技術者が自由に両地を往来できるようにすることも検討されている。一方,開発には大規模な湿地や養魚池の埋め立てが必要とされ,環境問題も指摘される。

10月30日,発展局は北部都会区行動綱要を発表した。綱要では北部都会区内に専門サービスと物流,IT,大陸との越境貿易,エコ・ツーリズムの4区域を設け,2027年までに開発用地の接収を始めるとしている。甯漢豪発展局長は,政府は今後5年間に全香港で700ヘクタールの土地の接収を予定しており,その大部分は北部都会区関連であると述べた。50万戸の住宅を建設するとしているが,全体の開発コストの試算は発表されていない。

対外関係

欧米との関係:人権問題での対立と実務関係の模索

国安法制定以来続いている,欧米諸国による香港の人権問題の批判と,それへの香港政府の反発という構図は,2023年も変わらなかった。

国安法の制定後,多数の民主派活動家が海外に事実上亡命の形で移住したが,そうした人々への強硬姿勢も欧米との摩擦の種となった。3月6日には国連経済・社会・文化的権利委員会が香港の国際人権規約実施状況について意見を発表し,司法の独立と労組組織の権利,学術の自由の保障,密告電話を受け付ける警察国安法ホットライン廃止を要求した。香港政府は反論し,不満と反対を表明した。5月11日,アメリカの中国に関する議会行政府委員会は報告書で国安法を批判し,そのなかで初めて香港の裁判官に対する制裁を提言した。7月3日,警察国家安全部門は,国安法違反容疑で元立法会議員の郭栄鏗,許智峯,羅冠聡ら8人を指名手配した。これを受けて10日,イギリス政府は渡航情報を更新し,国安法の域外適用を警告した。12月3日には,保釈中の民主活動家・周庭が,カナダに事実上亡命することを公表し,同29日には国家分裂罪で服役した香港独立運動の元学生活動家である鍾翰林が,イギリスへの亡命を表明した。

一方,経済等をめぐる実務関係を再構築しようとする動きも見られた。1月12日,イギリス外務省は国会に2022年上半期の香港報告書を提出した。ジェームズ・クレバリー外相は序文で中国政府が香港のさまざまな自由を侵食していると批判しつつも,李家超新行政長官とできるだけ建設的な協力をすると記した。香港政府の行動が1984年の中英共同声明に違反していると書くことも避けた。5月25日に発表した2022年度下半期の香港報告書では,新たに「経済と貨幣制度」の章を設け,香港はいまだ国際金融センターであるとの評価を記した。5月8日には,イギリスのドミニク・ジョンソン投資担当閣外相が香港を訪問した。イギリスの大臣の香港訪問は2018年以来のことであった。

しかし,政治面での関係の悪化は,実務関係構築にも影響を与えている。李家超行政長官はアメリカの制裁対象とされ,入国を禁じられている。このため,李家超は11月16日にサンフランシスコで開催されたAPEC首脳会議を,日程が合わないとの理由で欠席し,陳茂波財政長官が代理で出席した。カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事はAPECを前に訪中し,10月25日には習近平国家主席と会談したが,最初の訪問地であった香港では政府関係者との会談を行っていない。これには,知事が制裁対象者との接触を避けたためとの観測もある。

西側諸国以外との関係構築の模索

人権弾圧を理由にアメリカなどからの制裁対象となっている李家超行政長官は,就任後いまだ西側諸国を訪問できていない。香港政府はその代替として,西側諸国以外との関係構築を模索している。2月4日から11日にかけて,李家超行政長官はサウジアラビアとアラブ首長国連邦を相次いで訪問した。サウジアラビアでは投資大臣や,国有石油会社サウジアラムコのCEOらと会談し,ITや金融での協力を議論するとともに,同社の香港上場を促した。政府は粉嶺にある香港ゴルフクラブの土地を一部収用し,将来的に公共住宅を建設する計画であったが,6月5日にはその土地の用途指定を住宅用地から未決定に変更した。これはゴルフ場用地を収用して公共住宅建設にあてることに財界の反発が強いことに加え,特に同ゴルフ場でサウジアラムコ杯が開催されることに配慮し,計画を変更するための手続きとも見られている。また,7月23日から29日にかけて,李家超行政長官はシンガポール,インドネシア,マレーシアを歴訪した。

11月6日から8日にかけて,第2回国際金融リーダー投資サミットが開催され,7日には中国の何立峰副総理がリモートで参加し講話を行った。何立峰は,香港が国際化された特色を維持することや,国際金融領域での地位を引き上げ,各国・地域とさらに開放的で密接な交流協力を深化することを中央政府は支持すると述べた。何立峰はさらに,香港に「友人圏」を拡大するよう促し,ASEANや中東等の市場を開拓することを促した。しかし,「一帯一路」に属する中東や東南アジアとのビジネスは,従来香港が得意としてきた欧米と中国の接点における業務とは異質のものであり,香港が優位性を発揮できるかどうか疑う声もある。

福島第一原発処理水問題をめぐる強硬対応

福島第一原発事故の処理水海洋放出問題に対しては,中国政府が極めて強硬な姿勢をとり,国際社会と協働して日本を激しく非難することを試みた。香港政府もこれと軌を一にするような強硬な態度を示した。

李家超行政長官は7月11日,排出を開始した場合,香港は日本の食品に対する輸入規制を拡大すると表明し,翌12日には謝展寰環境・生態局長が,排出後に福島ほか10都県からの水産物輸入を禁止すると発表した。8月24日,実際に処理水海洋放出が始まり,香港政府は10都県からの水産物輸入を禁止した。

禁輸対象の10都県は,福島,宮城,栃木,茨城,群馬,埼玉,千葉,東京,長野,新潟である。これは明らかに,中国政府が行っている同10都県からの食品の禁輸に合わせた措置であり,中国政府に倣って対応することで,香港政府は政治的に安全な形をとったといえる。しかし,10都県からの水産物輸入禁止措置は,内陸県4県と,日本海側から新潟のみを含むなど,明らかに科学的根拠が薄弱である。本件は,政治を重視し,合理性を欠く政策措置が,外国企業にとってビジネスリスクとなる可能性があることを示す事例となったと言える。他方香港では,中国政府が行っている日本の水産物の全面輸入禁止は実施していない。香港の日本食レストランや輸入業者が苦しむと考えられる厳しい措置は回避した形となっており,経済への一定の配慮も窺える。

2024年の課題

2024年の最大の政治課題は香港基本法23条立法問題である。同基本法23条が香港の義務として定める治安立法に対しては,香港市民や国際社会からの反発が大きく,返還後26年以上制定できていない。しかし,李家超行政長官は2023年の施政方針演説で,2024年に制定すると明言した。反対運動が完全に取り締まられている現状では,立法は確実に実現すると考えられる。23条立法では,国安法が定めていない反乱,反乱扇動,国家機密窃取,外国団体の香港での政治活動,香港の政治団体が外国の政治団体と関係を持つことが主に取り締まりの対象として定められることになると想定される。すでに民主派の政治活動は国安法体制下で大規模に弾圧されているが,特に国家機密窃取罪については,かねてからメディアや学術界などの懸念が強く,どういった条文になるかが注目される。

経済の回復は引き続き難題である。2024年度予算でどのような景気対策措置がとられるかが鍵となるであろう。経済界からは不動産価格の回復のため,減税などを求める声が大きい。しかし,現在の不況の背景には国際関係の悪化があるとも言われている。国際金融センターとしての魅力を高めるために,経済活動の自由を政治的に保障し,投資家を安心させることも重要である。

23条立法はスパイや外国組織の取り締まりであるため,外国政府や企業にとって脅威となり,国際関係にとっても大きなリスクになり得る。条文の内容や執行の方法によっては,特に西側諸国との関係がさらに悪化する可能性がある。

(立教大学法学部教授)

重要日誌 香港特別行政区 2023年

   1月
8日 大陸と香港の間で隔離なしの往来が再開。
12日 英国外務省は国会に2022年上半期香港報告書を提出。
15日 深圳・広州と香港を結ぶ高速鉄道の運転が再開。
26日 アメリカのバイデン大統領は米国に居留権がない香港人を強制送還しない待遇を24カ月延長する大統領令に署名。
30日 金融管理局は2022年の投資実績を発表,史上最悪の2024億香港ドルの損失。
   2月
5日 李家超行政長官,サウジアラビアを訪問し投資大臣と会談。
6日 香港と大陸の往来人数制限を撤廃。
6日 民主派予備選挙関係者の香港国家安全維持法(国安法)違反裁判の審理開始。
14日 有線電視は6月に有料放送を停止することを発表。
21日 政府は香港政府の高度人材通行証スキームで香港居留を認められた大陸のゲノム編集嬰児事件の元受刑者・賀建奎への許可を取り消し。
22日 陳茂波財政長官は財政予算案を発表。
   3月
1日 アメリカの中国に関する議会行政府委員会は香港政府に対して民主派予備選挙関係者の47人を即刻釈放するよう要求。
1日 防疫のためのマスク着用令が廃止され,すべてのソーシャルディスタンシング確保の措置が廃止。
2日 警察,集会制限令解除後初めて民主派の友好団体の香港婦女労工協会によるデモ実施を許可。
3日 方国珊西貢区議会議員が台湾により入境ビザを拒否。
4日 香港婦女労工協会が予定していた5日のデモの中止を決定。
6日 国連経済・社会・文化的権利委員会が香港の国際人権規約実施状況について意見を発表,司法の独立と労組組織の権利・学術の自由の保障,国安法ホットライン廃止を要求。
12日 李慧琼民主建港協進連盟(民建連)主席が全国人民代表大会常務委員に選出。
16日 中国共産党中央委員会と国務院は党と国家機構の改革方案を発表,党中央弁事機構の中央香港マカオ工作弁公室を設置。
17日 政府は行政長官顧問団の設置を発表,国内外の財界人が多数参加。
26日 将軍澳の埋め立てと廃棄物集積場の建設反対を主張する集会制限令解除後初のデモが開催。主催者側発表で80人,警察発表で65人参加。
   4月
11日 杜淦堃大律師公会主席が北京を訪問。
12日 国安法違反で起訴されている黎智英が,国家安全委員会によってイギリス人弁護士の任用を拒否されていると主張し,その差し止めを求めて高等法院に提訴。
13日 夏宝龍中央香港マカオ工作弁公室主任が香港を訪問(~18日)。16日に初めての立法会訪問。
17日 周守仁カトリック香港教区主教が北京を訪問。
26日 メーデーのデモ実施を申請していた民主派労組関係者が申請を取り下げ。
   5月
1日 最低賃金が時給37.5香港ドルから40香港ドルに引き上げ。
2日 政府は区議会議員選挙制度の変更案を発表。普通選挙は全議席の2割以下に縮減し,政府公務員の民政事務専員が区議会主席を務める。業績が悪い議員には処罰の制度を設ける。
5日 警察国家安全部門は香港大学が保管していた天安門事件に関するモニュメント「国殤の柱」を押収。
8日 英国ビジネス・貿易省のドミニク・ジョンソン投資担当閣外相が香港を訪問。
10日 立法会は法律執業者条例改正案を可決し,外国の弁護士が国家の安全に関連する案件に関与することを制限。
11日 アメリカの中国に関する議会行政府委員会は報告書で香港の国安法を批判し,香港の裁判官に対する制裁を提言。
14日 尊子による『明報』連載の風刺漫画が掲載停止。
16日 政府は人材輸入ビザを申請できる業種のリストを13項目から51項目に拡大。
18日 発展局は新田科技城開発計画の大綱を発表。
18日 立法会で議員と行政長官との初の双方向質疑会を開催。
23日 大陸で差別的接客を行ったと非難されたキャセイ航空のキャビンアテンダント3人を同社が解雇。
25日 英国政府は2022年度下半期の香港報告書を発表,新たに「経済と貨幣制度」の章を設け,香港はいまだ国際金融センターであると評価。
27日 公民党が解散を決議。
30日 政府は行政長官政策組専門家グループ56人の委任を発表。
   6月
2日 ショッピングモールで通り魔事件,2人刺殺。
4日 天安門事件34周年,追悼集会は開催できず,警察は社会の安寧を破壊した嫌疑で23人を連行。
5日 政府は公共住宅建設を予定されていた香港ゴルフクラブの土地用途を未決定に変更する申請を都市計画委員会に提出。
6日 律政司は高等法院に対し,2019年の抗議活動の歌「香港に栄光あれ」を禁じる禁令の発出を申請。Googleに対して「香港に栄光あれ」の32のYouTube動画の削除を要求。
13日 政府は建設業・運輸業等に2万人を上限として外部労働力の移入拡大を発表。
13日 欧州議会は李家超行政長官の制裁を求める議案を可決。
15日 日本留学中の書き込みで扇動罪に問われた香港人学生が起訴。
24日 香港人初の最高法院首席大法官を務めた楊鉄樑が死去,93歳。
   7月
1日 返還26周年式典開催。
3日 警察国家安全部門は国安法違反容疑で元立法会議員の郭栄鏗,許智峯,羅冠聡ら8人を指名手配。
6日 立法会は区議会議員選挙方法変更案を可決。
10日 英国政府は渡航情報を更新し国安法の域外適用を警告。
11日 カナダ政府は香港市民に対するビザ緩和措置を発表。
23日 李家超行政長官は東南アジア歴訪に出発(~29日)。
23日 国務院は劉光源外交部駐香港特派員を中央政府駐香港連絡弁公室副主任に異動させる人事を発表。
28日 高等法院は律政司が求めた「香港に栄光あれ」の禁令発出を認めない判決。
   8月
7日 律政司は「香港に栄光あれ」の禁令発出を求めて高等法院上訴廷に上訴申請。
9日 アメリカのバイデン大統領は中国・香港・マカオの半導体,量子情報技術,人工知能などの領域に投資することを禁止する大統領令に署名。
11日 廉政公署は中文大学医学センターの汚職容疑を捜査していると発表。
18日 欧州委員会が香港についての年次報告を発表,高度の自治と自由の侵食が続いていると指摘。
24日 福島第一原発の処理水海洋放出が始まり,香港政府は10都県からの水産物輸入を禁止。
   9月
7日 香港観測史上最大の大雨を記録。24時間雨量は600ミリを突破。
13日 「一帯一路」サミットが開催,香港マカオ担当の丁薛祥国務院副総理がリモート参加。
14日 ナイト・バイブス香港キャンペーンの開幕式が行われる。
18日 無免許の仮想通貨交換業者「JPEX」による詐欺事件で,警察は6人を逮捕。
19日 郭俊峯が入境処長に就任。
19日 カナダのフレーザー研究所が経済自由度ランキングを発表,香港が調査史上初めて2位に転落。
20日 民主党は区議会議員選挙に候補者8人を擁立すると決定。
25日 民建連主席に陳克勤立法会議員を選出。
  10月
1日 国慶節の花火イベントが5年ぶり開催。
4日 重点企業パートナーシップ協定締結式開催,香港政府が誘致した20社が参加。
8日 セーター・タウィーシン・タイ首相が香港を訪問。
22日 アメリカ・カリフォルニア州のニューソン知事が訪中の最初に香港訪問。
25日 李家超行政長官が施政方針演説,不動産価格抑制策の緩和や株取引の活性化策などを提案。
27日 中文大学は天安門事件の研究者であるカナダ系中国人・何暁清准教授を解雇。
30日 区議会議員選挙の立候補受付締切,民主派は必要な推薦を集められず出馬ゼロに。
30日 発展局が北部都会区行動綱要を発表。
  11月
1日 中文大学理事会改組法案が可決。
2日 アメリカの超党派の連邦議会議員5人が香港制裁法案を議会に提出。
3日 性的少数者のスポーツ祭典「ゲイ・ゲームズ」が香港で開幕。アジア初の開催。
3日 日本留学中のネット書き込みで煽動罪に問われた香港人学生に懲役2カ月の判決。
6日 第2回国際金融リーダーサミットが開幕。
13日 李山カトリック北京教区主教が香港を訪問。
16日 アメリカでのAPEC首脳会議に陳茂波財政長官が出席。
29日 審計署は会計監査報告書を発表,香港中文大学に初めて1章を割き批判。
  12月
3日 保釈中の民主活動家・周庭がカナダに事実上亡命することを公表。
6日 ムーディーズが香港の格付けを中国に合わせて引き下げ。
10日 区議会議員選挙実施,投票率は史上最低の27.54%。
13日 中文大学理事会は呉樹培副学長の解雇を決定。
15日 アメリカ議会上院は2023年国防授権法案を可決。香港を敵対勢力と明記。
18日 黎智英の国安法違反容疑の裁判が開始。
18日 李家超行政長官は北京で習近平国家主席らに年次報告を行う。
19日 香港政府は新たな投資移民制度を発表。
29日 国家分裂罪で服役した香港独立運動の元学生活動家・鍾翰林がイギリスへの亡命を表明。

参考資料 香港特別行政区 2023年

① 香港特別行政区政府機構図(2023年12月末現在)

(注) 1)二重線で囲んだものは,中央政府およびその出先機関。

2)3司長および15局長は,行政会議の官職議員である。

3)3司長15局長のほか,廉政専員(廉政公署長官),審計署署長,警務処処長(警察長官),入境事務処処長,海関(税関)関長は,行政長官が指名し,国務院が任命する。

(出所)「香港特別行政区政府機構図」(https://www.gov.hk/tc/about/govdirectory/govchart/)。

香港特別行政区司法機構(https://www.judiciary.hk/zh/publications/judfactsheet.html)。

② 香港政府高官名簿(2023年12月末現在)

*女性。

③ 司法機構・立法会

(注) 1)2022年12月18日の補欠選挙で選出。

*女性。

④ その他

*女性。

主要統計 香港特別行政区 2023年

1 基礎統計

(注) 人口は年央,2019年までの失業率は季節調整値,為替レートは年平均値。

(出所) 香港特別行政区政府統計處『香港統計月刊』各年1月,4月版および政府統計處ウェブサイト。

2 支出別区内総生産(名目価格)

(注) 2022,2023年は暫定値。

(出所) 表1に同じ。

3 産業別区内総生産(実質:2020年価格)

(注) 2022,2023年は暫定値。

(出所) 表1に同じ。

4 国・地域別貿易

(出所) 香港特別行政区政府統計處『香港統計月刊』2024年2月版。

5 国際収支

(注) 2022,2023年は暫定値。IMF国際収支マニュアル第6版に基づく。したがって,金融収支の符号については(-)は資本流入,(+)は資本流出を意味する。

(出所) 表1に同じ。

6 政府財政

(注) 財政年度は4月1日~3月31日。

(出所) 表4に同じ。

 
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