2024 年 2024 巻 p. 191-218
2023年のベトナムは,汚職や体制批判への締めつけが続き,経済も停滞するなかで,米国,日本や中国との外交関係格上げを実現したことが注目された。
国内政治は,ベトナム共産党指導部内の序列第2位である国家主席の辞任で幕を開けた。前年末以来,党政治局員2人が辞任したことになるが,年内に党政治局員の補充は行われなかった。2023年は第13期指導部任期の中間年であり,2026年に予定される第14回党大会に向けた準備も始まった。次期指導部人事をめぐる駆け引きも,反汚職闘争と結びついて,すでに活発化しているようである。
経済面では,世界景気の減速による輸出の落ち込みと内需の低迷が足かせとなり,実質国内総生産(GDP)成長率は前年実績も目標も下回る5.05%となった。公共投資の実施促進や利下げなどの対策が講じられ,年後半には輸出も底打ちしたことで成長は緩やかに回復に向かった。外国投資の流入は好調で,半導体などの分野で新たな成長の源泉創出に向けた政策や企業の動きがみられたほか,エネルギー分野では脱炭素化の目標を見据えた中長期計画が策定された。一方,不動産部門は前年から続く停滞から脱却できず,金融機関の不良債権比率は上昇した。
抗米戦争(ベトナム戦争)を終結させたパリ協定締結50周年であった2023年は,日本を含む多くの国々との間で外交関係樹立50周年となり,記念行事やハイレベルの相互訪問が活発に行われた。そのようななかでも注目されたのは,米国との外交関係を中国やロシアなど伝統的友好国との関係と同格の「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げしたことであった。日本との関係も同様に格上げされた一方,中国との間では新たに「未来共有共同体」を構築することが宣言され,各国との間で幅広い分野での協力促進が合意された。
2022年末には汚職絡みで副首相2人が辞任に追い込まれたが,2023年にはさらに国家主席の任期半ばでの辞任という前例のない事態が生じた。一連の主要人事の動きは,2026年に予定される第14回党大会の布石となるものと思われる。
旧正月を5日後に控えた1月17日,第13期党中央委員会臨時会議(第3回)が突如招集された。会議は,グエン・スアン・フック国家主席が党政治局員,党中央委員等の役職を辞し,引退することに同意した。翌18日には第15期第3回臨時国会が招集され,本人の辞職願に基づき国家主席を免職することを決議した。
辞任の理由は,同氏が,2016~2021年期の首相在任中に,多くの閣僚・幹部の違反や過失によって生じた重大な結果について,党と人民に対する政治的責任を自覚したためとされる。ベトナムでは,2022年,新型コロナウイルス感染症絡みの2つの大規模汚職事件の摘発が進み,これに関連して2016~2021年期の大臣2人が刑事訴追を受け,2人の副首相が監督責任をとって辞任した。フック国家主席自身も,2つの事件のひとつであるベトアー社による新型コロナウイルス簡易検査キットの開発・販売にかかる不正事件(以下,ベトアー事件)に夫人が関与していたという噂があった。しかし,2月4日,ヴォー・ティ・アイン・スアン国家主席代行への引継ぎ式でのスピーチで,フック前国家主席は,自分の妻子がベトアー事件に関連して利益を得たことはないと自ら言明した。
後任の国家主席には,3月初めの党中央委員会臨時会議(第4回)と第4回臨時国会で,ヴォー・ヴァン・トゥオン党書記局常任が選出された。トゥオン新国家主席は南部ヴィンロン省出身の1970年生まれで,ホーチミン共産青年同盟(青年団)第一書記として2011年に党中央委員会正規委員となったのち,クアンガイ省党委員会(党委)書記,ホーチミン市党委副書記を歴任し,2016年の第12回党大会で党政治局入りした。第12期,13期を通じて最年少の政治局員である。2021年の第13回党大会後は,「四柱」と称される党指導部のトップ4(党書記長,国家主席,政府首相,国会議長)に次ぐ書記局常任に任命され,汚職防止中央指導委員会副委員長として,同委員長を務めるグエン・フー・チョン党書記長の反汚職闘争を支えてきた。
トゥオン国家主席の後任の書記局常任には,3月6日の党政治局の会合で,チュオン・ティ・マイ党中央組織委員会委員長が任命された。マイ書記局常任も青年団出身で,2021年に初の女性の組織委員会委員長となったが,書記局常任としても女性初となった。その後,組織委員会委員長の新たな任命はなく,同氏が引き続き兼務しているが,これら2つの要職を同一人物が兼務するのも異例である。
その他のおもな人事上の出来事についてみると,2022年末に辞任した副首相2人の後任には,同年12月30日の党中央委員会臨時会議(第2回)での検討を受けて,2023年1月5~9日に開催された第15期第2回臨時国会で,チャン・ホン・ハー資源・環境相とチャン・ルー・クアン・ハイフォン市党委書記の就任が正式に承認された。他方,2022年11月頃から公的な場に姿を現さなくなっていたレ・ヴァン・タイン副首相は,8月,重病のため死去したことが報じられた。2023年末時点でタイン副首相の後任は選出されていない。
党中央委員会は任期を折り返し第14回党大会準備に着手前項で触れた2回の党中央委員会臨時会議のほかに,通常の党中央委員会総会も例年のように2回開催された。
5月15日から3日間にわたり開催された第7回総会(「任期中間会議」)では,第13期指導部の任期前半の活動の点検と党政治局員・書記局員に対する信任投票,および党中央委員1人の辞職承認と元党中央委員1人の党からの除名処分が行われた。第7回総会前には,前年来の高級幹部粛清の波がファム・ミン・チン首相にも及ぶとの観測も流れたが,チン首相の責任追及はなかったようである。
党政治局員・書記局員に対する信任投票は,2015年,2018年に次いで3回目となった。投票は,「高信任」「信任」「低信任」の3段階で行われる。実施に先立ち,2月に「政治システムの指導・管理職に対する信任投票に関する政治局96号規定」が公布され,低信任票が全体の一定割合(2分の1または3分の2)を超えた場合に昇進対象者リストからの除外や解任・転任などの措置が適用されることが明確化されたが,該当者はいなかった模様である。
10月2日から7日間にわたり開催された第8回総会では,2023年と2024年の社会経済情勢および国家予算についての討議や,2012~2020年の社会政策の課題に関する決議,新情勢下の祖国防衛戦略に関する決議など過去の党中央委員会決議の実施状況の総括などが行われた。人事では,現役の党中央委員1人の辞任承認,現・元党中央委員各1人に対する党の役職解任処分が行われたほか,米国との外交関係格上げ実現(「対外関係」の項参照)に功績を上げた党中央対外委員会のレ・ホアイ・チュン委員長が新たに党書記局員に選出された。
委員の辞職や懲戒処分,または死去により,第13期の党中央委員会正規委員の数は,当初の180人から2023年末までに15人減って165人となった。党政治局員も当初の18人から16人になり,第7回,第8回総会では党政治局員の補充についても討議された可能性があるが,実現はしていない。
第8回総会ではまた,第14回党大会準備のための5つの小委員会が設置された。チョン党書記長は,久しくその健康状態が懸念されているが,今回も文献と人事に関する2つの重要な小委員会の委員長を自ら務めることとしている。
国会,改正土地法の成立は2024年に持ち越し国会も,上述の3回の臨時国会のほかに通常の2度の会期を例年通り開催した。
第15期第5回国会は,5月22日~6月10日の第1部と6月19~24日の第2部に分けて,計23日間にわたり開催された。第1部と第2部の間に1週間程度の期間をおいたのは,第1部で行われた討議の内容を法律・決議の最終案に十分に反映させるためであるという。第5回国会は,改正価格法,改正入札法など8本の法律(表1),および「国会・人民評議会が選出・承認した幹部に対する信任投票に関する決議」など17本の決議を成立させた。また,副首相となったハー資源・環境相の後任にハザン省党委のダン・クォク・カイン書記の任命を承認した。
(出所) ベトナム国会ウェブサイト(https://quochoi.vn/)より筆者作成。
第15期第6回国会は,10月23日~11月10日の第1部と11月20~29日の第2部に分けて,計22.5日間にわたり開催された。第6回国会では,改正住宅法や改正不動産事業法など7本の法律(表1)と,「グローバル税源浸食防止規制に基づく法人税の追加適用に関する決議」など9本の決議が成立した。第6回国会は当初9本の法律を成立させる予定であったが,改正土地法と改正信用組織法については会期中に議論が収束せず,採決は2024年初頭に開催される臨時国会に持ち越された。草の根レベルの自警団などを再編して末端の人民委員会の管理下に置くことを定める「基礎レベルの治安秩序維持参加部隊法」は,公安部門の肥大化などへの懸念が指摘されつつも,総議員数の78%の賛成で可決された。
また,第6回国会では,国会が選出・承認した国家幹部に対する信任投票が実施された。党中央委員会の信任投票同様,国会の信任投票も「高信任」「信任」「低信任」の3段階で行われる。主要国家幹部のうち,2023年中に就任したトゥオン国家主席,2人の新任の副首相など5人を除く44人が今回の信任投票の対象となった。即日公表された投票結果によれば,ファン・ヴァン・ザン国防相が総数481票のうち448票と最多の高信任票を得た。反対に低信任票が多かったのは,グエン・キム・ソン教育・訓練相(72票)やフイン・タイン・ダット科学・技術相(71票)などであった。今回の投票結果は,2013年以来国会で行われた4回の信任投票のなかでも,信任度が全体的に非常に高いことが特徴的であった。対象者全員の平均では,高信任票が約7割を占め,低信任票は5%以下であった。
前年来の大規模汚職事件の捜査・裁判が進展反汚職闘争では,主として前年に摘発された複数の大規模汚職事件の捜査・裁判が進んだが,捜査が長期化し,年内に初公判に至らない事案もあった。
総合商社AICがドンナイ省総合病院における医療設備の入札に関して不正を行った事件については,2022年末に第1審の公判が開かれ,2023年初頭に判決が下された。AICのグエン・ティ・タイン・ニャン元会長は,他の容疑者7人とともに逃亡して指名手配を受けているが,裁判は容疑者8人が不在のまま行われ,この8人を含む36人の被告人全員が有罪となった。主犯のニャン元会長には贈賄と入札規定違反の罪で拘禁30年,ドンナイ省元党委書記と元人民委員会主席には収賄罪でそれぞれ拘禁11年と9年の刑が宣告された。指名手配中の8人は弁護士を通じて控訴したが,控訴ができるのは本人のみであるとして却下された。
AICは,クアンニン省とホーチミン市における入札不正事件でも立件されており,このうち前者に関しては10月に第1審の裁判が行われ,ニャン元会長は,依然不在のまま,入札規定違反の罪で拘禁10年に処せられた。
コロナ禍絡みの2つの大規模汚職事件のひとつである,国際商用便が停止されていた期間に運航された帰国者向け特別便の認可にかかる贈収賄事件(以下,特別帰国便事件)については,7月に第1審裁判が開かれた。4月に公表された同事件に関する公安省治安捜査機関の捜査結論では,外務省元次官を含む54人の容疑者を贈収賄,職権濫用など5つの罪名で訴追することが提案され,うち18人は刑法上拘禁20年,終身刑または死刑が適用される「10億ドン(約600万円)以上の収賄」を行ったとされていた。ただし,収賄で得た利益の4分の3以上を自主的に返納し,かつ捜査に積極的に協力した場合などは,刑が軽減されうる。
裁判では,おおむね上記結論に沿った事実認定がなされた。賄賂の総額は約1650億ドン(約10億円)に上るとされ,最高額426億ドン(約2億6000万円)を収賄した元保健省次官や書記官ら4人が終身刑,他の50人も有罪判決を受けた。第1審の被告人54人のうち21人が控訴して行われた12月の第2審では,控訴していない2人を含む17人に対し減刑が認められた。第1審で終身刑判決を受けた4人のうちでは,詐欺・資産横領罪の1人のみ,横領額全額を返納したことなどから,拘禁20年に減刑された。
その他のおもな事件では,ベトアー事件(前述)と不動産大手ヴァンティンファットグループによる社債発行・取引にかかる詐欺・資産横領事件(以下,ヴァンティンファット事件)の捜査結論が公表されたが,公判開始には至らなかった。
8月に公表されたベトアー事件に関する捜査結論では,ベトアーは新型コロナウイルス簡易検査キットを適正価格の3倍以上の価格で販売して1兆2350億ドン(約74億円)に上る不正な利益を得,総額8000億ドン(約48億円)近い賄賂を関係者に支払っていたとされた。同事件の容疑者は100人を超えていたが,捜査結論で訴追が提案されているのは38人のみである。これは,一部の容疑者はすでに別途起訴されていることや,同時期に汚職防止中央指導委員会が示した,「私欲に基づかず」「従属的な立場で」汚職に関与したような場合には刑事責任を問わないという方針に沿って,訴追対象を限定したことの結果であると思われる。
11月に公表されたヴァンティンファット事件の捜査結論によれば,同グループのチュオン・ミー・ラン会長は,サイゴン商業銀行(SCB)にグループ傘下企業に対する巨額の不正融資を行わせ,304兆ドン(約1兆8300億円)を横領した疑いがもたれている。さらにこの事件では,国家銀行の銀行監査部門の元局長らSCBを担当した監査チームのメンバー18人全員が賄賂を受け取って不正を見逃していたとみられる。本件は,横領被害金額や公務員1人に対する贈賄額において過去最高を記録すると予想され,今後の刑事手続きの展開が注目される。
環境活動家や著名知識人の逮捕・収監続く言論・市民活動に対する取締りも引き続き厳しく行われた。国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチが2024年1月に公表した報告書によれば,ベトナムは2023年の最初の10カ月に少なくとも28人の人権活動家に対し長期の拘禁刑を宣告しており,また平和的に自らの公民権や政治的権利を行使したことにより収監されている人は160人以上に上るという。とくに2022年以来顕著な動向として,環境(とくにエネルギー政策)分野の非政府組織(NGO)リーダーや著名知識人の逮捕・収監が相次いでいることが挙げられる。
2023年5月には地場環境NGO「CHANGE」の創立者で元代表のホアン・ティ・ミン・ホンが脱税容疑で逮捕された。CHANGEは積極行動主義志向の団体で,石炭火力発電所の建設に反対する署名活動などを行っていた。9月,ホンは脱税の罪で拘禁3年の判決を受けた。また,クリーンエネルギー政策分野のシンクタンク「VIETSE」代表のゴ・ティ・トー・ニエンも9月に逮捕された。ニエンは同分野の専門家として多くの国際機関や援助機関によるプロジェクトに参加し,政府のエネルギー移行政策策定にも貢献してきた。逮捕容疑は,ベトナム電力グループ(EVN)の事業に関する文書を不正に入手したというものである。両者の逮捕・拘禁に対しては,外国政府や国際NGOなどから懸念の声が上がっている。
同様に内外に衝撃を与えてきたのが,著名知識人の逮捕・収監である。2022年12月には,シンクタンク「政策・法律・発展研究院」院長のホアン・ゴク・ザオが脱税容疑で逮捕された。次いで2023年2月にはシンクタンク「技術発展研究院」(SENA)元院長のグエン・ソン・ロが逮捕され,7月に民主的権利濫用と職務権限濫用で拘禁5年の判決を受けた。SENAの出版物が国家の利益や組織・個人の正当な利益を侵害する内容を含んでいたことなどが理由とされている。また,11月には法律家で元国会議員のルー・ビン・ニュオンが財産奪取容疑で逮捕された。ニュオンの出身地タイビン省で摘発された砂採掘権絡みの恐喝事件の首謀者とニュオンの間に関係があったという理由による。12月には,これに職務権限を濫用して不当な利益を得た容疑が加わった。ニュオンは第14期(2016~2021年)国会議員で,政府や公安,司法機関などに対する率直な批判で知られる。2021年選挙では立候補しなかったが,その後も国会の請願委員会副委員長を務めていた。
新たな逮捕・収監の一方で,政治判断により減刑などが行われるケースも比較的多かった。6月にオーストラリアのアルバニージー首相が来訪した際には,2人のオーストラリア人死刑囚が死刑を免除され,またオーストラリア越僑のチャウ・ヴァン・カムが刑期を約7年半残して釈放された。9月のバイデン米大統領来訪に際しては,服役中であったジャーナリストのマイ・ファン・ロイとホアハオ教徒の活動家グエン・バク・チュエンが釈放され,また出国が禁止されていた人権派弁護士ヴォー・アン・ドンとカトリック信徒の活動家フイン・ゴク・チュオンが禁止を解かれて家族とともに米国に渡った。
ダクラク省の地方庁舎襲撃事件で9人死亡6月11日の未明,中部高原のダクラク省クークイン県で,少数民族の武装グループが2つの社(農村部の末端行政単位)の人民委員会の庁舎を襲撃する事件が発生し,警官,公務員,住民を含む9人が死亡した。襲撃後,犯人らは逃走したが,後に次々と身柄を拘束された。同月23日,ダクラク省公安局は,この事件に関与した84人を立件することを公表した。年末までに逮捕者は90人を超えた。
少数民族が多く居住する中部高原では,土地や宗教の問題をめぐり住民と当局が対立する事例がしばしば報告されている。2000年代に入って以降は,抗米戦争後に米国に移住した少数民族の過激派が関与したとみられる暴動も発生しており,問題がさらに複雑化してきた。今回の事件についても,6月20日,国連のテロ対策ハイレベル会議に参加していた公安省高官は,「組織的なテロ活動」であると断じ,容疑者のなかには米国に拠点を置く組織のメンバーが含まれており,同組織の指示を受けて地域に潜入し,襲撃を計画したと述べた。
2024年1月に開かれた公判では,「山岳民族支援グループ」(MSG)という在米組織のメンバーが当地の住民をさまざまな手段でそそのかして襲撃計画に参加させたと認定された。5日間の公判の後,最終的に100人に上った被告のうち,10人に終身刑,他の90人に3年6カ月から20年の拘禁刑が宣告された。
(石塚)
2023年の実質GDP成長率は5.05%と,急回復を遂げた前年(8.12%)から大きく低下し,目標の6.5%も下回った。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた2020年と2021年を除き,2011年以降で最低の水準である。ただし四半期毎にみると,成長の減速は前年第4四半期(5.92%)から始まっており,第1四半期は3.41%と落ち込んだが,第2四半期4.25%,第3四半期5.47%,第4四半期6.72%と回復に向かった。1人当たりGDPは前年比160ドル増の4284.5ドルとなった。人口(年平均,推計値)は1億30万人となり,初めて1億人を超えた。
成長率が低下した背景には,世界景気の減速による輸出の落ち込みと内需の低迷がある。産業別でみると,工業・建設の成長率は3.74%と前年(7.87%)から大幅に低下した。とりわけ輸出減速の打撃を受けた製造業の成長率は2011年以降で最低の3.62%となったが,四半期毎では-0.45%,0.46%,5.59%,7.97%と,輸出が底打ちした年後半には上昇に転じた。サービス業の成長率は6.82%と,前年(10.11%)からの減少幅は相対的に小さかった。海外からの来訪者数の急増(前年比3.4倍の1260万人)などを背景に宿泊・飲食が12.24%の高成長を記録した一方,卸売・小売・車両修繕の成長率(8.82%)は前年(10.31%)を下回り,不動産業(0.09%)は停滞が続いた。農林水産業の成長率は3.83%と前年(3.48%)を上回った。年初に中国が国境での新型コロナ検査措置を停止したことなどで,野菜・果実の輸出が前年比65.9%増の56億ドルに達したほか,インドによるバスマティ米以外の白米の輸出禁止などの影響でコメ輸出も830万トン超(前年比17.4%増),48億ドル超(同39.4%増)に達した。成長への寄与度は,農林水産業が8.84%,工業・建設業が28.87%,サービス業が62.29%となった。
GDPを支出別でみると,最終消費の伸び率は3.52%と前年(7.09%)から大幅減となった。雇用情勢の悪化や不動産市場の冷え込みを背景に,財小売・消費サービス売上総額の伸び率は9.6%(価格要因を除くと7.1%)と前年の20%(同15.8%)から低下した。資本形成の伸び率は4.09%であった。公共投資の増加を背景に国家セクター(前年比14.6%増)が投資の伸びをけん引する一方,非国家セクター(同2.7%増)と外国投資セクター(同5.4%増)の投資は停滞した。財・サービス輸出入については,世界景気の減速の影響で輸出(-2.54%),輸入(-4.33%)ともに減少したが,輸出よりも輸入の減少率が大きかった。成長への寄与度は最終消費41.04%,資本形成26.64%.財・サービス貿易収支32.32%となった。
財貿易に注目すると,輸出は3555億ドル(前年比4.4%減)で,2009年以来の前年比での減少となった。このうち国内企業は955億5200万ドル(前年比0.3%減,全体の26.9%),外資企業(原油を含む)は2599億4800万ドル(同5.8%減,73.1%)で,とくに外資企業の輸出の落ち込みが大きかった。輸入は3275億ドル(前年比8.9%減)で,貿易収支は280億ドルの黒字を記録した。
財貿易の国別内訳をみると,中国向けの輸出を除き,主要貿易相手国との貿易額は軒並み減少した。輸出は米国が1位で968億ドル(前年比11.6%減),中国が2位で617億ドル(同6.4%増),輸入は中国が1位で1116億ドル(同5.9%減),韓国が2位で526億ドル(同15.5%減)であった。品目別では,電子製品・コンピューター・部品は573億ドルで前年比3.3%増となったが,電話機・部品(532億ドル,前年比8.3%減),機械設備・工具・その他部品(432億ドル,同5.6%減),繊維・縫製品(332億ドル,同11.6%減),革靴(204億ドル,同14.7%減)などは軒並み減少した。縫製,製靴などの工場は人員削減を迫られ,数千人規模の解雇を行う企業が続出した。
景気対策を実施,マクロ経済は安定を維持成長の減速を受け,政府は年初から対策を講じた。1月,政府は01号決議においてマクロ経済の安定化や成長促進のための方針を示した。とりわけ重点が置かれたのは,景気刺激をねらった公共投資の実施の加速であり,遅れが目立っていた高速道路の建設など大規模インフラ案件の実施が急がれた。年末の財政省の報告によれば,年末までの公共投資実施額は580兆ドンと見込まれ,計画比73.5%と前年同時期の実績(67.27%)を上回った。
2020年10月以来となる政策金利の引き下げも行われた。2023年3月から6月までの4回の利下げにより,リファイナンス金利は6.0%から4.5%,ディスカウント金利は4.5%から3.0%へ引き下げられた。金融面では,2020年以降コロナ禍で困難に陥った顧客に対する融資返済期限の変更や金利減免などの措置がとられてきたが,4月の国家銀行02号通知により,企業活動や生計維持などのための融資返済が困難となった顧客を対象に返済期限の延期が認められた。企業や消費者の負担軽減,および需要喚起をねらった財政政策も実施された。6月末,政府は国内で組み立て・生産が行われた自動車などの初回の登録料の50%減免を定めた41号議定,付加価値税(VAT)の10%から8%への引き下げ(一部の財・サービスを除く)を定めた44号議定(いずれも7月1日から12月31日まで適用)を相次ぎ公布した。このうちVATの引き下げについては,第15期第6回国会において,2024年6月末までの延長が決議された。
相次ぐ利下げにもかかわらず,マクロ経済の安定は維持された。消費者物価指数(CPI)の上昇率は年平均3.25%で目標値4.5%を下回った。CPIは前年末比では3.58%増,コアインフレ率(食糧,生鮮食品,エネルギー,国家による価格管理対象の製品を除く)は4.16%であった。電気料金や一部の地方・教育機関における授業料の引き上げ,国際市況を反映した建設資材の高騰やコメ価格の上昇などがインフレ圧力となったが,前年に高騰したガソリン価格の下落などがCPIの上昇を抑制した。対ドル為替レートも安定的に推移し,為替指数は年平均1.86%増,前年末比1.04%増となった。
財政も,景気対策や公務員の最低賃金の引き上げにともなう支出拡大にもかかわらず,債務状況の悪化は回避された。財政省の報告(12月28日まで)によれば,支出総額は前年比10.9%増の1732兆ドン(予算比83.4%),そのうち開発投資支出が33.1%増の580兆ドン(同79.8%)と見込まれている。収入面では,輸出入活動からの収入が前年から25.4%減少し(同89.1%),収入総額は前年比5.4%減の1718兆ドン(同106%)と見積もられている。2024年初の財政省の発表では,年末時点の公的債務残高の対GDP比率は約37%と見込まれ,2021年の国会決議で定められた上限(60%)や警戒水準(55%)を大きく下回った。
停滞が続く不動産部門前年後半から深刻な不振に陥っていた不動産部門に対しては,回復を促すための措置が講じられた。違法な資金調達などの摘発が相次ぎ,社債の発行や取引への規制が強化されたことが低迷のきっかけであったため,3月前半,政府は一部の規制の緩和や一時的適用停止を認める08号議定,不動産市場の健全な発展に関する33号決議を公布した。このうち不動産プロジェクトの実施促進については,これまでの住宅供給が高級物件に偏っていたとの認識から手頃な価格の住宅供給に重点が置かれ,4月の首相338号決定によって低所得者・工業団地労働者向け社会住宅の建設プロジェクトが承認された。
これらの回復促進策にもかかわらず,不動産部門は停滞からの脱却には至らなかった。年内に経営を一時停止した企業は前年比47.4%増,破産手続きを完了した企業は7.7%増にもおよび,全業種の20.7%増,3.1%減を大きく上回った。
不動産業を含む経済の低迷は,金融セクターにも影響を及ぼした。企業の業況悪化に加え,不動産市場が冷え込み不動産を担保とする不良債権の処理が困難となったためである。国家銀行が発表した年末時点の銀行の貸借対照表上の不良債権比率は前年末(2%)を大幅に上回る4.95%となった。上述の融資返済期限延期などの措置が講じられた場合でも債権分類は維持されるため,前年まで不良債権比率は低水準に抑えられてきた。もっぱら懸念の対象は水面下での拡大であったなか,不良債権比率の急上昇が表面化したことは問題の深刻さを印象づけた。
拡大した外国直接投資外資企業を中心とする輸出向け製造業が停滞する一方,新たな外国直接投資の流入は拡大した。12月20日までの登録資本金額は366億ドル(前年比32.1%増)となり,実施資本金額は232億ドル(同3.5%増)で過去最高となった。登録資本金額を投資形態別にみると,新規投資(202億ドル,前年比62.2%増)と出資・株式取得(85億ドル,同65.7%増)が急伸した一方,拡張投資は79億ドルで22.1%減少した。業種別では製造業・加工業(235億ドル),不動産業(47億ドル)が多く,国別ではシンガポール(68億ドル),日本(66億ドル),香港(47億ドル),中国(45億ドル),韓国(44億ドル)の順であった。
一方,外国投資の誘致をめぐる課題も浮上した。5月,チン首相は外国投資の効果の向上に関する14号指示において,投資誘致における競争激化を踏まえた対応の必要性を示した。なかでも焦点となったのが,経済協力開発機構(OECD)の主導によるグローバル税源浸食防止規則への対応である。法人税の最低税率を15%とすることを求める同規則の適用は,ベトナムにとって税収の確保につながる一方,一部の多国籍企業に税負担の増大をもたらし投資誘致に影響を与える可能性も指摘されていた。第15期第6回国会ではグローバル税源浸食防止規制に基づく法人所得税の追加適用に関する107号決議が採択され,2024年初に発効する予定である。2023年,北部では猛暑や発電設備の不具合などのため深刻な電力不足が生じ,外資企業の操業にも支障が出た。電力供給や人材の質をめぐる不安を抱えるなか,ベトナムは外国企業に対して法人税の優遇に代わる投資環境面の魅力を提供していけるかどうかが問われることになる。
新産業創出に向けた動き外需の落ち込みにより電子や縫製といった伝統的製造業が低迷した一方,新たな成長の源泉創出に向けた企業や政策の動きは活発化した。電気自動車(EV)では,ビンファストの海外展開が注目を集めた。米国では3月から前年末に出荷された自社ブランドEVの納品が開始したが,5月には米当局の安全上の警告を受け回収・無償保証(リコール)の発表に至った。同社は7月末のノースカロライナ州におけるEV工場の着工に続き,8月15日には特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じてナスダック・グローバル・セレクト・マーケットに上場し,米国の株式市場への上場を果たした初のベトナム企業となった。市場に流通する株式がきわめて限られたことなどから株価は乱高下し,初日の終値は68.4%上昇の37.06ドル(時価総額850億ドル超に相当),8月下旬には80ドル超に達した後,9月前半には10ドル台まで暴落した。同社は米国以外でも海外生産・販売の計画を次々と発表する一方,国内外を含めたEVの販売実績の乏しさや財務状況には厳しい目も向けられ始めている。国内では,EVのレンタルおよびタクシー業に従事するグリーン・アンド・スマート・モビリティ(GSM)を設立し,自社EVの販売の押し上げにつなげた。ビンファスト以外では,ヒュンダイ・タインコン・ベトナムが国内におけるEVの生産と販売に参入したほか,TMTモーターズも米ゼネラル・モーターズ(GM)が出資する中国の合弁企業との戦略的協力契約に基づき超小型EVの組み立て生産を開始した。
国際的なサプライチェーン再編が進む半導体分野では,外国からの投資誘致や協力促進のための取り組みがみられた。米国や日本とは首脳の往来の機会をとらえ,両国企業を交えた投資や協力についての協議が行われた。7月の政府定例会議決議では,2030年に向けた半導体産業の人材開発プログラムの策定が指示されたのに続き,10月末にはハノイ市のホアラック・ハイテクパークに国家イノベーションセンターが開業した。同センターで開催されたベトナム半導体産業サミットにおいてズン計画・投資相は,ベトナムはグローバルな半導体サプライチェーンにおける信頼あるパートナーかつ重要な結節点となるという方向性を示した。こうした流れを受け,独インフィニオン・テクノロジーズや米シノプシスが設計拠点の開設や人材育成における協力に動いたほか,米アムコー・テクノロジーはバクニン省で先端の組立・検査工場を稼働させた。
ベトナムが研究,開発,応用を促進する人工知能(AI)においても,金融や小売など多くの業種で国内外の企業を交えて導入の動きがいっそう加速した。生成AIの利用が広まるなか,ベトナムに特化した技術開発の取り組みも進んだ。ビングループ傘下のビンビッグデータはベトナム語の大規模言語モデルを構築し,年末にはエンドユーザー向けにベトナム語版ChatGPTであるViGPTを発表した。
デジタル経済をめぐる統計の整備も進んだ。GDPに占めるデジタル経済の比率を2025年までに20%,2030年までに30%とする目標が掲げられるなか,統計総局は2021年の改正統計法に基づき初のデジタル経済規模の計測を試みた。9月に統計総局で開催されたワークショップでは,2022年のGDPに占めるデジタル経済付加価値の割合は12.86%という予備的な計測結果が発表された。
重要計画の策定とエネルギー分野の動き2023年には重要な中長期基本計画が相次いで策定された。年初の第15期第2回臨時国会において,初の長期的な総合開発計画である国家総合基本計画が採択されたのに続き,5月に電力,7月には石油・ガスの備蓄・供給,エネルギーのそれぞれについて,ベトナムが掲げる2050年までの温室効果ガス(GHG)排出量実質ゼロ化実現という目標を見据えた中長期基本計画が出された。
なかでも国内外の注目を集めたのが,長らく策定が待たれていた「2021~2030年国家電力開発基本計画および2050年へのビジョン」(第8次国家電力開発基本計画,以下,PDP8)に関する首相500号決定である。これは,2016年の「2011~2020年国家電力開発基本計画改定版」(改定第7次国家電力開発基本計画)に代わって中長期的な電力開発指針を示す文書である。PDP8では,経済成長に必要な電力の確保とともに,脱炭素化の目標実現に向けた野心的な計画が示された。具体的には,2030年に向けてGHGの排出が比較的少ない液化天然ガス(LNG)火力発電および陸上風力発電の比率を引き上げること,2050年に向けては洋上風力発電や太陽光発電を拡大し,石炭火力発電は廃止すること,そのために国内外から多様な形態の投資の動員,および「公正なエネルギー移行パートナーシップ」(JETP)などの国際的支援の誘致と効率的活用を進めることなどが掲げられた。
計画の実現に向けた取り組みも始動した。LNGの導入に必要となるインフラ整備では,ペトロベトナム傘下のベトナムガス総公司(PVガス)が10月にバリア=ヴンタウ省でベトナム最大のLNG受け入れ基地を竣工した。隣接するドンナイ省で建設中の2つの発電所において同基地から供給されるLNGによる発電が計画されるほか,ビントゥアン省でもLNG受け入れ基地への投資計画が承認された。ただし,いずれも本格的な稼働には時間がかかる見込みである。国際社会からの支援をめぐっては,前年末のJETPの立ち上げに関する政治宣言に続き,8月の首相1009号決定では,投資家の誘致,企業や人々のエネルギー転換への参加,技術移転の促進などに向けたJETP実施計画が示された。さらに,12月の国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)では,JETPの詳細な資金動員計画が発表された。
(藤田)
2023年は,「越米包括的パートナーシップ」樹立10周年であった。この10年間,両国はおおむね順調に各分野での協力関係を深めてきたが,ひとつの懸案はパートナーシップ自体の格上げという問題であった。
ベトナムがこれまで30カ国との間で構築してきたパートナーシップは基本的に「包括的」「戦略的」「包括的戦略的」の3つに分類され,この順で重要性が高くなるとされる。2013年時点でベトナムの「包括的戦略的パートナー」は中国とロシアの2カ国のみであり,日本や韓国,イギリス,ドイツ,タイ,インドネシアなどは「戦略的パートナー」であった。同年,越米のパートナーシップが最も低い「包括的パートナーシップ」となった経緯は明らかではないが,党指導部内に残る米国との関係強化に対する躊躇や,ベトナムの対米接近を警戒する中国への配慮が働いていたと考えられる。その後も米国側が折に触れて関係格上げを提案してきたのに対し,ベトナム側は消極的であった。
2023年も,包括的パートナーシップ10周年を機に関係格上げが実現するのではという観測の一方で,昨今の不透明な国際情勢を受けて,ベトナムは中国を刺激しないよう細心の注意を払っており,このタイミングで関係格上げを打ち出すことは難しいという見方も強かった。そのようななか,3月29日,チョン党書記長とバイデン米大統領の電話会談が行われた。会談では外交関係格上げには言及されなかったようであるが,両首脳は今後も両国の協力関係を促進することで合意し,相互に訪問を招待しあったという。この会談を契機に事態が動き出した。
4月にはブリンケン米国務長官が来訪し,チョン党書記長ら首脳陣と会談した。5月にもチョン党書記長が訪米するという観測もあったがこれは実現せず,その代わりに6月,チュン党中央対外委員会委員長が米首都ワシントンを訪れ,ブリンケン長官らと会談した。7月末,バイデン大統領は,選挙資金集めのイベントで,9月にベトナムを訪問することを明かし,ベトナム首脳が米国を中国やロシアと並ぶ同国の主要パートナーとすることを望んでいると述べた。8月末,ホワイトハウスは,大統領が9月10~11日にベトナムを訪問すると正式に発表した。
9月,来訪したバイデン大統領とチョン党書記長は,越米関係の「包括的戦略的パートナーシップ」への格上げを発表した。米国は,「戦略的パートナー」の段階を飛び越えて,ベトナムにとって,中国,ロシア,インド,そして2022年12月に加わった韓国に次ぐ5番目の「包括的戦略的パートナー」となったのである。この「二段階格上げ」の背景には,昨今の国際社会の分断状況と世界経済の低迷のなかで,ベトナムが,主要パートナーとの協力関係の深化・拡大を通じて自国の安全保障を高め,経済発展を促進する道を探っていることがあると考えられる。とくに,2014年以降,ロシアからの武器輸入が停滞していることや,ロシアが,ウクライナ侵攻開始以来,中国への依存を深めているとみられることは,ベトナムが中ロ以外のパートナーとの関係強化に踏み切る契機となったと考えられる。
国内メディアは,バイデン大統領が「党書記長の招待に応じて」来訪したことを強調した。共産党書記長は国家元首ではないが,2015年にチョン党書記長が訪米した際も国家元首と同等の待遇を受けた。今回も通常のプロトコルと異なる形をとったのは,米国がベトナムの政治体制を尊重していることを内外に示すジェスチャーでもあった。両首脳による共同声明では,政治・外交,経済・通商・投資,科学・技術,教育・訓練など10分野で両国の協力関係を引き続き深化させることがうたわれた。経済面では,さらなる貿易推進とともに,ベトナムの半導体分野の急速な発展と国際的半導体サプライチェーンにおけるベトナムの地位向上を,人材育成への協力などを通じて米国が支援することとされている。
日本とも外交関係格上げを実現ベトナムと日本は1973年9月21日の外交関係樹立から50周年を迎え,例年に増してさまざまな交流や記念行事が行われた。9月には秋篠宮皇嗣同妃両殿下が来訪し,6日間にわたりハノイ,ダナン,ホイアンで日本と縁のある場所を訪れ,残留日本兵の家族など多くの人々と交流して,両国の友好親善を深めた。
同月上旬,尾辻参議院議長がヴオン・ディン・フエ国会議長の招待でベトナムを公式訪問した。両者の会談で,フエ議長は,両国間の「広範な戦略的パートナーシップ」樹立以来の順調な協力関係の進展に触れ,ベトナムは二国間関係の新たな段階への格上げを支持すると述べた。両国は2009年に「戦略的パートナーシップ」,2014年に「広範な戦略的パートナーシップ」を宣言しているが,上述の3分類でいえば,越日関係は「戦略的パートナーシップ」の段階とされていた。
11月末,トゥオン国家主席が4日間にわたる日本訪問を行った。岸田首相との会談後,両首脳は越日関係を「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げすると発表した。共同声明では,経済安全保障,エネルギー,デジタルトランスフォーメーション,地域・国際問題への対応等を含む幅広い分野における両国間の協力促進が掲げられた。安全保障分野では,日本が同志国を対象に防衛装備品などを供与する「政府安全保障能力強化支援」(OSA)にも言及されている。トゥオン国家主席の訪日に先立って,日本政府はベトナムを2024年度のOSA対象候補に決定しており,以後,具体的な調整が進められているものとみられる。
中国とは「未来共有共同体」構築を宣言ベトナムと中国は,2022年10~11月のチョン党書記長の訪中で緊密な関係をアピールしたものの,2023年に入っても南シナ海における緊張状態は続いた。外務省の度重なる抗議にもかかわらず,ベトナムの排他的経済水域内を中国の海洋調査船が航行したり,中国の海上警備船が「巡視」したりすることは日常的な風景になりつつある。外務省はまた,8月に公表された中国の「2023年版標準地図」が南シナ海における領有権主張をさらに拡大したことに対しても強く抗議した。
一方,南シナ海問題以外の分野での協力関係は平常どおり維持されている。4月と11月には恒例の両国海上警察によるバクボ(トンキン)湾の合同巡視が行われた。7月には,コロナ禍で中断していたバクボ湾海上境界画定交渉作業部会と海洋開発協力作業部会の対面での会合が再開した。ベトナムの中国向け輸出は順調に拡大し,8月には外務省次官が訪中して,中国にベトナムの貿易振興事務所や総領事館を新設する計画などへの中国側の協力を求めた。
ベトナムの米国との関係格上げについては,中国側はこれまでどおり批判的であったが,ベトナムは中国に最大限の配慮を示しつつ自らの意志を貫いたものと思われる。チョン党書記長は,8月末には中国の熊波大使とともに中国国境のランソン省を訪れ,国境ゲート友誼関で記念植樹を行った。また,9月初めには,来訪中の中国共産党中央対外連絡部の劉建超部長とも会見している。越米の関係格上げ宣言を受けて,中国共産党機関紙『環球時報』紙面では,「越米関係格上げは米国の自己利益追求の産物」といった批判が繰り返される一方,中国は越米関係の如何にかかわらず越中関係の強固さを信頼している,という論調もみられた。
しかし,ベトナムはこの中国の「信頼」に行動で応えることを余儀なくされた。中国は以前から,越中関係を「運命共同体」とすることを提案してきたが,ベトナムは中国主導の国際秩序への包摂につながることを警戒し,応じてこなかった。しかしながら,対中関係を「対外政策における最優先事項」と位置づけるベトナムが,米国との関係格上げを行った以上,中国との関係格上げを回避し続けることは困難であったと思われる。12月,6年ぶりに来訪した習近平国家主席は,チョン党書記長とともに両国関係のさらなる格上げを宣言した。ただし,中国側の発表では新しい関係を「運命共同体」としているのに対し,ベトナム側では「未来共有共同体」という異なる文言を用いている。この名称については,最後まで完全な一致が得られなかった(ないしベトナム側が避けた)ことがうかがわれる。
習主席の2日間の滞在中には,政治・外交,国防・安全保障,貿易,インフラ,環境等の各分野を含む36の協力合意文書が双方の党・国家機関等の間で締結された。具体的な協力分野については,習主席の来訪に先立って行われたメディアのインタビューで,熊波大使が,鉄道や道路など両国を結ぶ交通インフラの強化が重視されると述べている。両国は雲南省河口=ハイフォン間の鉄道路線改良プロジェクトについて予備調査を行っているとされ,ベトナムではこれまでなかった大規模な「一帯一路」プロジェクトが今後実現する可能性が注目される。
(石塚)
2023年末から2024年の初めにかけて,チョン党書記長が公の場に姿をみせず,健康不安問題が再燃した。1月半ばに公務に従事する党書記長の姿が確認され,懸念はひとまず収まったが,状況は予断を許さない。次期党大会準備においては党内選挙に関する規則の再検討が行われると予想されるが,権力移行が政治的不安定を招かぬよう,広い支持を得られる制度設計が求められる。また,2024年にも主要な汚職事件の捜査や裁判の進展が見込まれるが,将来的な汚職抑制のためにも,公安・司法部門への信頼を向上させる透明性の高い刑事手続きが望まれる。
経済面ではまず,上向き始めた成長を本格的な軌道に乗せることが肝要である。年末時点では輸出は緩やかな回復をみせるにとどまっていることから,公共投資の実施促進を継続しつつ,民間部門の投資の活性化を図っていくことになるだろう。外需に翻弄されやすい経済構造を是正するため,投資国や企業の多角化を図り,新たな成長の源泉の創出もさらに進めねばならない。量的拡大が優先されてきた公共投資について「質」の観点からの点検を行うとともに,不動産部門や金融セクターの健全な発展のために抜本的な対策を講じていくことも重要である。
2024年に入っても依然不安定な国際環境や緊張が続く南シナ海情勢のもとで,ベトナムの全方位外交には試練が続くと予想される。そのようななかで,2023年には積極的な外交活動で米中双方から協力関係強化へのコミットメントをとりつけることに成功したが,今後はこれらの機会を具体的に経済発展や安全保障の向上につなげるための取り組みが課題になるだろう。また,オーストラリアやインドネシア,シンガポールとも外交関係格上げに向けて協議を行っており,これらの交渉の行方も注目される。
(石塚:新領域研究センター)
(藤田:地域研究センター)
1月 | |
1日 | ベトナム,国連人権理事会の理事国に就任(任期2023~2025年)。 |
4日 | ドンナイ省での入札不正事件の第1審判決で,総合商社AICのグエン・ティ・タイン・ニャン元会長に拘禁30年。 |
5日 | 第15期第2回臨時国会(~9日)。 |
6日 | バハマと国交樹立。 |
6日 | 政府,2023年の経済・社会発展計画の実施などに関する01号決議。 |
11日 | チン首相,ラオス訪問(~12日)。 |
12日 | フック国家主席,グローバルサウスサミットにオンライン出席(~13日)。 |
13日 | 党書記局,マイ・ティエン・ズン元政府官房長官に警告処分。 |
17日 | 党中央委員会臨時会議(第3回)。フック国家主席の党政治局員等辞任を承認。 |
18日 | 第15期第3回臨時国会。フック国家主席の辞職願を受けて免職決議。 |
27日 | ベトナムにおける戦争終結と平和回復に関するパリ協定締結50周年。 |
30日 | 国の持続可能な発展のためのバイオテクノロジーの発展と応用に関する党政治局36号決議。 |
2月 | |
1日 | トリニダード・トバゴと国交樹立。 |
8日 | チン首相,シンガポールとブルネイ歴訪(~13日)。 |
13日 | 米国のタイ通商代表,来訪(~15日)。 |
28日 | 2030年までの鉄道輸送開発の方向性および2045年までのビジョンに関する党政治局49号結論。 |
3月 | |
1日 | 党中央委員会臨時会議(第4回)。 |
2日 | 第15期第4回臨時国会,トゥオン書記局常任を国家主席に選出。 |
5日 | 政府,社債の発行や取引に対する規制を緩和する08号議定。 |
10日 | 金融機関システム再編指導委員会を設立する首相213号決定。 |
11日 | 政府,不動産市場の健全な発展に関する33号決議。 |
14日 | 主要政策金利の引き下げに関する国家銀行313号決定。15日付で発効。以後,6月までにさらに3回の引き下げを実施。 |
16日 | ベトナム航空の客室乗務員4人,違法薬物を持ち込んだ容疑で逮捕(22日,釈放)。 |
17日 | 東亜銀行のチャン・フオン・ビン元副会長兼頭取に金融機関の融資に関する規定違反で拘禁20年。 |
21日 | 米国企業52社の視察団,来訪(~23日)。 |
28日 | 国家銀行第2監査・監察局のド・ティ・ニャン元局長ら5人,職務権限濫用容疑で逮捕と公安省発表。 |
28日 | 活動家のチュオン・ヴァン・ズンに反国家宣伝罪で拘禁6年。 |
29日 | チョン党書記長,米国のバイデン大統領と電話会談。 |
4月 | |
3日 | オーストラリアのハーレイ総督,来訪(~6日)。 |
3日 | 2021~2030年に低所得者・工業団地労働者向け社会住宅100万戸以上を建設するプロジェクトを承認する首相338号決定。 |
4日 | チン首相,中国の李強首相と電話会談。 |
5日 | チン首相,ラオスで開催の第4回メコン川委員会首脳会議に出席。 |
6日 | 外務省報道官,南シナ海のベトナムの排他的経済水域(EEZ)における中国の海洋調査船「海洋地質4号」の活動に抗議。 |
10日 | トゥオン国家主席,ラオス訪問(~11日)。就任後初の外遊。 |
10日 | 飲料大手タンヒエップファットのチャン・クイ・タイン社長兼会長,詐欺・資産横領容疑で逮捕。 |
12日 | ジャーナリストのグエン・ラン・タンに反国家宣伝罪で拘禁4年,保護観察6年。 |
14日 | 米国のブリンケン国務長官,来訪(~16日)。就任後初。 |
17日 | 2021~2030年の鉄道網基本計画と2050年までのビジョンを実現する政策,方策と財源にかかる計画を承認する首相396号決定。 |
17日 | 政府,個人情報保護に関する13号議定。 |
18日 | フエ国会議長,キューバ,アルゼンチン,ウルグアイ歴訪(~28日)。 |
20日 | チェコのフィアラ首相,来訪(~22日)。 |
5月 | |
3日 | ルクセンブルクのベッテル首相,来訪(~5日)。 |
4日 | トゥオン国家主席,チャールズ3世の戴冠式に参列するため,英国訪問(~6日)。 |
4日 | フィリピンの違法オンラインカジノで強制労働被害にあったベトナム人437人,救出。 |
4日 | 電気料金の引き上げに関する工商省1062号決定。2019年3月以来。 |
5日 | 工商省,ペトロベトナムガスに対し,液化天然ガス(LNG)の輸出入を許可。国内初。 |
10日 | チン首相,インドネシアで開催の第42回ASEAN首脳会議に出席(~11日)。 |
12日 | 活動家のチャン・ヴァン・バンに反国家宣伝罪で拘禁8年。 |
12日 | 環境活動家のグイ・ティ・カイン,刑期を5カ月残して釈放。 |
15日 | 党中央委員会第7回総会(~17日)。 |
15日 | 2021~2030年の国家電力開発基本計画および2050年までのビジョン(第8次国家電力基本計画,PDP8)を承認する首相500号決定。 |
18日 | ビンファスト,米国で販売した最初の999台のEV「VF8」をリコール。 |
19日 | チン首相,主要国首脳会議G7広島サミットのアウトリーチ拡大会合に出席するため,日本訪問(~21日)。 |
21日 | ロシアのメドベージェフ安全保障会議副議長,来訪(~23日)。 |
22日 | 第15期第5回国会(~6月24日)。 |
25日 | 外務省報道官,中国当局に南シナ海のベトナムのEEZ内で活動中の中国の調査船「向陽紅10号」を撤退させるよう要請。 |
26日 | 2030年までにコメの輸出を年400万トンに減らすことを目指す首相583号決定。 |
6月 | |
3日 | オーストラリアのアルバニージー首相,来訪(~4日)。 |
6日 | 電力供給不足の解決を促す首相517号公電。 |
6日 | 音楽教師のダン・ダン・フォックに反国家宣伝罪で拘禁8年,保護観察4年。 |
7日 | 2021~2030年の全国空港システム開発基本計画および2050年までのビジョンを承認する首相648号決定。 |
11日 | ダクラク省クークイン県で,武装グループが社人民委員会庁舎を襲撃。9人死亡。 |
19日 | インド国防省,現役のミサイルコルベット艦1隻をベトナムに供与すると発表。 |
22日 | 韓国の尹錫悦大統領,来訪(~24日)。企業205社からなる訪問団が同行。 |
25日 | チン首相,中国訪問(~28日)。就任後初。 |
29日 | ベトナム海上警察の公的資産横領事件で,元司令官に拘禁16年。 |
7月 | |
1日 | 公務員の最低賃金引き上げ。20.8%増の180万ドンに。 |
3日 | ユーチューバーのファン・ソン・トゥンに反国家宣伝罪で拘禁6年。 |
10日 | オーストラリア越僑のチャウ・ヴァン・カム,刑期を7年半残して釈放。 |
11日 | 権力の監視と幹部工作における汚職防止に関する政治局114号規定。 |
18日 | 2021~2030年の鉱物の探査・採掘・加工・使用基本計画および2050年までのビジョンを承認する首相866号決定。 |
20日 | イエレン米財務長官,来訪(~21日)。 |
20日 | マレーシアのアンワル首相,来訪(~21日)。 |
23日 | トゥオン国家主席,オーストリア,イタリア,バチカン歴訪(~28日)。 |
25日 | ベトナム・イスラエル自由貿易協定(VIFTA),調印。 |
26日 | 技術発展研究院(SENA)元院長のグエン・ソン・ロに民主的権利濫用と職務権限濫用で拘禁5年。 |
28日 | 特別帰国便の認可をめぐる汚職事件で,被告54人に有罪判決(12月27日の控訴審判決で,17人に対し減刑)。 |
28日 | ビンファスト,米ノースカロライナ州でEV工場の建設に着工。 |
8月 | |
2日 | ハノイ市のイエンビエン駅で同駅と中国の石家荘市を結ぶ貨物列車の開通式。 |
4日 | フエ国会議長,インドネシア,イラン歴訪(~10日)。 |
8日 | 南スーダンでの国連アビエ暫定治安部隊(UNISFA)に参加する184人の出発式。 |
15日 | ビンファスト,ナスダック・グローバル・セレクト・マーケットに上場。 |
20日 | カザフスタンのトカエフ大統領,来訪(~22日)。 |
22日 | レ・ヴァン・タイン副首相,重病のため死去。61歳。 |
25日 | 国家銀行,ASEAN域内決済連結性協力の覚書に正式に調印。 |
27日 | シンガポールのリー・シェンロン首相,来訪(~29日)。 |
28日 | ハノイ市街路樹価格水増し事件で,同市人民委員会のグエン・ドゥク・チュン元主席に職務権限濫用罪で拘禁1年6カ月。 |
31日 | 公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)の実施計画を承認する首相1009号決定。 |
9月 | |
5日 | チン首相,インドネシアで開催の第43回ASEAN首脳会議に出席(~7日)。 |
6日 | チョン党書記長,ハノイでカンボジア人民党のフン・セン党首,ラオス人民革命党のトーンルン書記長と会談。 |
6日 | ホーチミン市のサイゴンハイテクパークで,電子・半導体センター(ESC)開設。 |
8日 | 活動家でホアハオ教徒のグエン・バク・チュエン,刑期を5年近く残して釈放。 |
9日 | The New York Times紙,ベトナムが3月にロシアから武器購入契約締結と報道。 |
10日 | バイデン米大統領,来訪(~11日)。 |
10日 | ジャーナリストのマイ・ファン・ロイ,刑期を18カ月残して釈放。 |
12日 | ハノイ市タインスアン区クオンディン街区のミニアパートで火災。56人が死亡。 |
15日 | クリーンエネルギー政策分野のシンクタンク「VIETSE」代表のゴ・ティ・トー・ニエン,機関・組織の資料占奪容疑で逮捕。 |
16日 | チン首相,中国,米国,ブラジル歴訪(~26日)。中国・南寧で開催の第20回中国・ASEAN博覧会等に出席。 |
20日 | 秋篠宮皇嗣同妃両殿下,来訪(~25日)。 |
21日 | トンガと国交樹立。 |
25日 | 外務省報道官,中国が南シナ海のホアンサ諸島に船舶自動識別ステーションを新設した行為をベトナムの主権侵害と批判。 |
28日 | 環境NGO「CHANGE」元代表のホアン・ティ・ミン・ホンに脱税で拘禁3年。 |
10月 | |
2日 | 党中央委員会第8回総会(~8日)。 |
3日 | 南北高速鉄道プロジェクトおよび国家重要鉄道プロジェクト建設実現指導委員会の設立に関する首相1143号決定。 |
10日 | 企業家の育成と役割向上に関する党政治局41号決議。 |
11日 | 半導体製造の米アムコー・テクノロジー,バクニン省で半導体工場の竣工式。 |
17日 | トゥオン国家主席,第3回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムに出席のため北京訪問(~20日)。 |
18日 | チン首相,サウジアラビア訪問(~20日)。ASEAN・湾岸協力理事会(GCC)首脳会議に出席。 |
20日 | チョン党書記長,フランスのマクロン大統領と電話会談。 |
23日 | 第15期第6回国会(~11月29日)。 |
25日 | 財政省と欧州投資銀行,JETP実施目標達成のための財政支援に関する覚書締結。 |
26日 | クアンニン省での入札不正事件の裁判で,AICのニャン元会長に拘禁10年。 |
26日 | 外務省報道官,ミャンマーの違法カジノで強制労働被害にあったベトナム人61人(後に166人確認)らが救出されたと報告。 |
27日 | 捜査・検察・司法活動における権力の監視,反汚職・濫費闘争に関する政治局132号規定。 |
29日 | ベトナム半導体ネットワーク,発足。 |
11月 | |
1日 | オランダのルッテ首相,来訪(~2日)。ハイテク企業・組織約30社が同行。 |
1日 | モンゴルのフレルスフ大統領,来訪(~5日)。 |
7日 | 米半導体大手インテル,ベトナムでの投資拡大計画を中止とロイター報道。 |
7日 | 米財務省,ベトナムを為替操作の監視対象国に再指定する報告書公表。 |
8日 | 2030年までの労働生産性向上に関する国家プログラムを承認する首相1305号決定。 |
8日 | 電気料金の引き上げに関する工商省2941号決定。 |
11日 | ハノイ市ドンアイン県のスマートシティプロジェクト,起工式。 |
14日 | トゥオン国家主席,APECリーダーズウイーク出席のため,米国訪問(~17日)。 |
14日 | 国会請願委員会副委員長のルー・ビン・ニュオン元国会議員,財産奪取容疑で逮捕。 |
27日 | トゥオン国家主席,日本訪問(~30日)。国家主席に就任後初。 |
29日 | チン首相,トルコとアラブ首長国連邦訪問(~12月3日)。ドバイで開催の世界気候行動サミットに参加。 |
29日 | 国有4大銀行および複数の民間銀行,預金金利を0.1~0.4%引き下げ(~30日)。 |
12月 | |
1日 | 中国の王毅外相,来訪(~2日)。 |
4日 | カンボジア・ラオス・ベトナムの第1回国会首脳会議,ラオスで開催(~6日)。 |
6日 | ベラルーシのゴロフチェンコ首相,来訪(~9日)。 |
7日 | フエ国会議長,タイ訪問(~10日)。 |
11日 | カンボジアのフン・マナエト首相,来訪(~12日)。 |
12日 | 中国の習近平国家主席,来訪(~13日)。 |
14日 | カンボジア・ラオス・ベトナムの国境交差点で第1回国境友好国防交流会開催。 |
15日 | チン首相,日ASEAN特別首脳会議(17日)出席のため訪日(~18日)。 |
20日 | 党中央検査委員会,チャン・トゥアン・アイン党中央経済委員会委員長らに対し,工商省における違反などを理由に処分を提言。 |
21日 | 工商省のド・タン・ハイ次官,スエンベト石油から収賄の疑いで逮捕。 |
22日 | ベトナム造船工業総公司(SBIC)への対処に関する政府220号決議。 |
23日 | ローマ教皇庁,ザレフスキ大司教を初の在ベトナム駐在代表に任命と発表。 |
25日 | 政府監査院,工商省が多くの太陽光発電案件を違法に承認したと指摘。 |
(出所) ベトナム国会ウェブサイト(https://quochoi.vn/)より。
(注) 1)暫定値。ただし,消費者物価上昇率は前年末比,2022年は確定値。
(出所) 統計総局ウェブサイト(www.gso.gov.vn)。
(注) 1)暫定値。
(出所) 表1に同じ。
(注) 1)基本価格表示。2)暫定値。
(出所) 表1に同じ。
(注) 1)基本価格表示。2)暫定値。
(出所) 表1に同じ。
(注) 1)暫定値。2)2019年はイギリスを含む値。
(出所) 表1に同じ。
(注) IMF国際収支マニュアル第6版に基づく。ただし,金融収支の符号については(-)は資本流出,(+)は資本流入を意味する。1)9月時点の暫定値。
(出所) ADB, Key Indicators for Asia and the Pacific 2023.