2024 年 2024 巻 p. 97-126
2023年の中国は,経済の低迷や台湾をめぐる安全保障の緊迫化,ウクライナ戦争やガザ紛争など内政,外交の両面で難しい課題に直面した。国内政治は,3月に開催された第14期全国人民代表大会で第3期習近平政権の陣営および各々の役割が徐々に明らかとなった。ただ,災害対応の遅れや相次ぐ高級幹部の汚職摘発など,新陣営にとって波乱の幕開けとなった。
経済では,政府目標の5%以上の成長率を達成したものの,期待どおりのV字回復がみられなかった。不動産市場の低迷が続き,地方財政は一層,悪化した。強まるデフレの傾向は,少子高齢化の問題と相まって,中国経済の「日本化」への懸念を高めた。その一方で,産業高度化は進展し続けた。自動車輸出台数は世界の首位に躍り出て,電気自動車や車載電池のような製造業のみならず,インターネット産業など,非製造業でも積極的な海外進出が始まった。
対外関係では,米国や日本に対する強硬姿勢は依然として変化がない一方で,グローバルサウスと呼ばれる諸国への積極的な外交を展開してきた。中国の仲介によって,サウジアラビアとイランの国交が回復したことを背景に,ウクライナ戦争における「仲介者」としての中国の役割に国際社会の期待が集まっている。また,中国は多国間枠組みのなかでロシアとの緊密な関係性を保持するよう努めるなど,一定の距離を保っている。
長引く米中対立やゼロコロナ政策によって停滞した経済をどのように立て直すのか,第3期習近平政権は厳しい課題に直面している。3月5日から13日にかけて,第14期全国人民代表大会(全人代)第1回会議が開催された。李克強国務院総理(当時)は政府活動報告を行い,2022年および過去5年間の活動内容を回顧するとともに,2023年の活動の重点について説明した。経済分野に関する取り組みとして,内需拡大や産業の高度化,企業の発展促進,外資誘致などの8項目が取り上げられた。米中対立が先鋭化し,米国の対中制裁も強化されるなかで,実質国内総生産の成長率目標は5%前後とやや控えめであった。保守的な経済目標を掲げる一方で,米国からテスラのイーロン・マスクやアップルのティム・クックが3月以降数回にわたり訪中し中国政府関係者と会談しているだけでなく,6月16日にはマイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツも習近平党書記と面会している。米中経済のデカップリングを是正し,リスク低減化を目指す中国政府と米国企業の水面下の動きがみられている。
また,国防や外交については,台湾をめぐる安全保障環境や中国の海洋進出など国際社会からの懸念が高まるなかで,全人代で軍備増強を進める姿勢を示した。特に台湾については「両岸関係の平和的発展と祖国の平和的統一への道を歩む」と強調し,統一を目指す姿勢を改めて示している。国防予算も1兆5537億元となり例年通り増加傾向にある。台湾をめぐる安全保障の問題がより深刻化するなかで,中国政府は国防をとりわけ重視していることがわかる。
全人代では,大方の見方どおり李強が国務院総理に就任することが決まった。副首相経験者から総理を選出するという慣例があるとされていたが,李強は副首相を経験しておらず,この慣例は適用されなかった。また,李強は上海市党委員会書記であった際に新型コロナウイルス感染症対応で失策したとの評価もある。それにもかかわらず国務院総理に就任したということは,習近平からの厚い信頼を得ている証拠であろう。
そして,副総理に就任した4人のなかで政治局常務委員会委員である丁薛祥が筆頭副総理となった。また,その他3人の副首相については,何立峰が経済政策全般や対米貿易関係,張国清が国防や治安,そして劉国中が科学技術分野を担当する見通しが強まっている。何立峰が10月29日と11月6日にそれぞれ党中央財経委員会弁公室主任および党中央金融委員会弁公室主任に就任したことがわかったように,今後副首相それぞれの役割についても次第に明らかになっていくだろう。
党政軍幹部(「トラ」)の取り締まり強化人民解放軍内で幹部の取り締まりが大規模に実施された。7月31日の新華社通信によると,習近平党中央軍事委員会主席は,ロケット軍の司令官と政治委員に海軍副司令官であった王厚斌と西南戦区空軍政治委員であった徐西盛を任命した。これにより,前任の李玉超と徐忠波は解任された。解任理由は定かではないが,後任人事が海軍や空軍といった他の軍種から選ばれていることから,軍種ごとの閉鎖性に起因する不正や汚職からの断絶を目指していたと推察する。12月29日に開催された第14期全国人民代表大会(全人代)常務委員会(常務委)第7回会議では,李玉超を含む9人の軍幹部が全人代代表を解任された。
また,国防部部長の李尚福も8月29日に開催された「中国・アフリカ平和安全保障フォーラム」に出席して以降,消息が途絶えた。李尚福はサイバーや宇宙といった領域を専門とする戦略支援部隊の副司令官を務め,習近平によって国防部部長に抜擢された人物であった。3月12日に開催された第14期全人代第1回会議内の第5回全体会議で選出されたばかりであったが,10月24日の第14期全人代常務委第6回会議では,国防部部長および国務委員のポストからの解任が決定した。同時に,国家中央軍事委員会委員からも解任された。李尚福の前任であった魏鳳和も国防部部長退任以降,動静が途絶えていることから,汚職関連の調査対象となっている可能性が高い。李尚福の後任には,海軍司令官を歴任した董軍が任命されている。
さらに,前年末に外交部部長に任命されたばかりの秦剛も,就任からわずか7カ月後の7月25日に開催された第14期全人代常務委第4回会議で,同部長の職が解かれた。そもそも秦剛は56歳という若さで外交部部長に就任しただけでなく,異例の早さで国務委員となったこともあり,注目を集めていた。しかし国務委員の職も10月24日の第14期全人代常務委第6回会議で剥奪され,消息も不明である。この解任をめぐって,女性問題や健康問題,機密情報の漏洩などの可能性が報道されているが,その理由は依然として明らかになっていない。後任には前任者の王毅が任命されたが,中国共産党の慣例である「68歳定年」をすでに超えていることから過渡的な措置であると考えられる。
汚職の疑いで拘束されている幹部高官は40人以上に上るとされ,習近平政権が反腐敗闘争を宣言した2013年以降最多であったという。また,2024年1月8日に開催された党中央紀律検査委員会全体会議のコミュニケは「反腐敗闘争を引き続き推進し,隠れたリスクを断固一掃する」と明記したことから,今後も「トラ」たたきは継続することが予想される。
法に基づく国家安全保障の取り組み強化習近平政権は治安や国防に関連する法律の修改正を行い,国家安全保障の取り組みをさらに強化した。2023年5月30日,中国共産党第20回全国代表大会後初となる第20期中央国家安全委員会第1回会議が開催された。本会議を主宰した習近平党書記以外に,党中央政治局常務委員の李強,趙楽際,蔡奇が参加しており,同委員会のメンバーであることがわかった。会議では「第20回党大会の決定・手配を貫徹,実施し」,「国家安全保障法治づくりの推進などの取り組みを確実に進めなければならない」と強調された。
その一環として,4月26日,第14期全人代常務委第2回会議において,反スパイ法の改正案が可決し,7月1日からの施行が決定した。改正案は取り締まりの対象として,「国家の秘密や情報」だけでなく,「国家の安全と利益に関わる文書,データ,資料,物品」の窃取や提供へと定義が拡大した。さらに,スパイ行為として,国家機関や重要な情報インフラへのサイバー攻撃などの行為も含めた。
そして国家安全部は,国内の活動家のみならず外資系企業などのスパイ行為への警戒を強めている。2月21日に『光明日報』元論説部副主任の董郁玉は,日本大使館員との会食後に拘束され,3月23日にスパイ容疑で起訴された。日本人外交官も一時,身柄を拘束されていた。また,同月25日にはアステラス製薬の中国現地法人の日本人幹部もスパイ容疑で身柄を拘束されていることがわかった。日本政府は中国側に早期解放を求めているものの進展はみられていない。反スパイ法に基づいたスパイ容疑の摘発は国内外の対象を問わず,今後も増加するだろう。
また,6月28日の第14期全人代常務委第3回会議において中国対外関係法が可決した。同法第33条には,「中国の主権,安全保障,発展の利益に危害を加えた行為に対し,相当の措置をとる」と書かれている。これは,米国などによる制裁に対する対抗措置をとるための法的根拠となり得る。このような中国の諸外国に対する法に基づく対抗姿勢は引き続き強化されるだろう。
「台湾の平和的な統一」を強調中国共産党は台湾の総統,立法委員選挙に向けて,国民党を中心とする野党との繋がりを積極的に構築するとともに,「台湾の平和的な統一」を主張し続けた。2月8日から17日にかけて,夏立言国民党副主席一行が訪中し,宋濤中国共産党中央台湾工作弁公室主任や政治局常務委員の王滬寧らと会見を行った。宋,王両名とも,「92共通認識(コンセンサス)」の堅持と「台湾独立」反対が国共両党の政治的基礎であると強調した。3月27日から4月7日にかけて訪中した馬英九前台湾総統も宋濤と会見したが,馬は「92共通認識」を共通の政治的基礎として大切にしなければならないと指摘する一方で,「台湾独立」反対については,「交流を再開し,戦争を避け,平和を図らなければならない」と述べるにとどまった。
5月9,10日には,2023年対台湾工作会議が北京で開かれ,王滬寧が出席し,演説した。その際にも「92共通認識」の堅持は強調されている。一方で,「台湾独立」反対について,王は「『台湾独立』分離活動と外部勢力の干渉に断固反対し,国の主権と領土保全を断固守らなければならない」と言及し,台湾と諸外国との関係が緊密化することへの危惧を示した。このような発言は,台湾総統の蔡英文が台湾と国交のあるグアテマラ訪問前後にニューヨーク(3月29~31日)とカリフォルニア(4月4~6日)にトランジットとして訪問したことが影響している。この訪問後,中国の外交部は台湾駐米台北経済文化代表処代表の蕭美琴と蔡英文が訪問したロナルド・レーガン大統領記念図書館に対して制裁を科したことを明らかにした。台湾をめぐる安全保障を占うとされる台湾の総統,立法委員選挙や米国の大統領選挙を控え,中国大陸側も神経を尖らせていることがうかがえる。
その後も,総統選での野党候補者の一本化をめぐり台湾政局が揺れ動くなかで,宋濤は頻繁に夏立言と会見するとともに(6月8日,8月30日),頼清徳がパラグアイ大統領就任式出席の際に米国に立ち寄るといった民進党と米国の接近には,中国共産党中央台湾弁公室が談話を発表するなど強い警戒感を示した。7月7日に習近平党中央軍事委員会主席が台湾を管轄とする東部戦区を視察し,戦いに勝つ能力の向上を加速させるよう指示し,安全保障への取り組みを強化している。
このように中国共産党が国民党への接近と民進党への警戒を強めるなかで,2024年1月13日に総統選および立法委員選挙が行われた。与党の民進党の頼清徳が得票率約40%で勝利し,引き続き民進党が政権を担うことになった。しかし,立法院で民進党は過半数の議席は獲得できず,少数与党として野党との協力に基づいた政権運営を行うことになる。中国共産党はこのような台湾の内政および諸外国との関係に注視しつつ,引き続き「台湾の平和的な統一」を主張していくことになるだろう。
出遅れた災害対応7月末から8月頭にかけて,台風5号(トクスリ)の影響で北京市や河北省を中心に集中豪雨が発生し,未曾有の洪水や地質災害を引き起こした。8月1日に習近平党書記は洪水対策と救援活動に関する重要指示を出し,「人々の生命と財産の安全,そして社会全体の安定を確保するために全力を挙げる」よう強調した。しかし,5日に張国清国務院副総理が習近平の命を受けて天津市に派遣され,水防や災害救助の取り組みを指導したのみで,政治局常務委員級の指導幹部による現地訪問は行われなかった。胡錦濤政権下の2008年に発生した四川大地震の際には,地震発生2時間後に温家宝国務院総理(当時)が現地に向かっている。これと比較すると,今回の災害対応は出遅れている。習近平が政治局常務委員会議を開催し,水害対策や救援,災害復旧の取り組みの検討を手配したのも8月17日であり,緊急を要する災害対応としては遅いと言わざるを得ない。
また,今回の災害は人災の側面もあったものとみられる。首都第2空港の北京大興国際空港や習近平の肝いりの新都市建設プロジェクトである「雄安新区」を水害から守ることを国務院水利部は厳命しており,本来なら遊水地であったはずの地域を使うことができず,その代わりに別の地域が犠牲となった。実際には,雄安新区には住民がほとんどいないようで,廃墟が立ち並んでいる。ゴーストタウンと化している習近平の肝いりのプロジェクト地域を守るために近隣地域に住む多くの住民が犠牲となった。
習近平が北京市と河北省の被災地を訪れたのは,災害発生から3カ月後の11月上旬であった。黒竜江省尚志市の被災地には9月7日に同省視察の一環として訪れており,復旧復興の取り組みと被災者の生活保障の問題を気にかけている旨言及した。北京市と河北省の被災地を訪問した際には,治水対策の重要性や重点水利施設の建設強化を掲げ,被災地の復旧や再建などに1兆元の国債を増発することを決定した。習近平の肝いりプロジェクトを推し進めながらも,大規模な災害を二度と発生させないよう万全の体制を整えようとする姿勢がみられた。
(内藤)
2023年の名目国内総生産(GDP)は126兆582億元,経済成長率(実質)は5.2%に達しており,政府目標の5%を0.2ポイント上回った。しかし,為替レートの変動によりドル建ての名目GDPの世界シェアは,2021年ピーク時の18.3%から1.4ポイント下がり,16.9%に縮まった(『日本経済新聞』推計,2024年1月17日)。四半期ごとの成長率をみると,1~3月はロックダウン解禁後の混乱もあり,4.5%という低水準からスタートした。コロナの影響がほぼ消えた4~6月は一旦,6.3%へ上昇したものの,7~9月は4.9%,10~12月は5.2%にとどまり,期待されたV字回復はみられなかった。
業種別にみると,第一次産業の付加価値額は前年比4.1%増の8兆9755億元,第二次産業の付加価値額は4.7%増の48兆2589億元であった。一方で,第三次産業の付加価値額は前年比5.8%増の68兆8238億元に達しており,コロナ後,急速に回復するサービス業が経済成長をけん引する形となった。
消費はある程度,回復した。個人消費の指標である社会消費財小売総額は47兆1495億元で,前年比7.2%増加した。うち商品の売上は前年比5.8%増の41兆8605億元,飲食業の収入は5兆2890億元で20.4%の大幅増となった。しかし,消費回復の大部分はコロナ後の反動によるものであった。個人の消費意欲は依然として低く,消費者信頼感指数は年間を通じて100以下で推移していた(後述)。
投資についてみると,固定資産投資は前年比3%増の50兆3036億元にとどまった。インフラ投資,製造業投資およびハイテク投資はそれぞれ5.9%増,6.5%増,10.3%増で比較的好調であった。しかし,低迷が続く不動産業では投資が9.6%も減少し,そのしわ寄せを受けて,民間投資全体は0.4%減となった。
貿易は,世界的に伸び悩んでいるなかで輸出入とも低調であった。輸出は23兆7726億元(前年比0.6%増),輸入は17兆9842億元(同0.3%減)と,いずれも低水準にとどまった。ただ,産業構造の高度化を反映して,輸出の構造は大きく変化した。輸出の上位3品目は,従来のアパレル,家具,家電から,電気自動車(EV,中国語で「電動汽車」もしくは「新能源汽車」),リチウム電池,太陽光発電関連製品に切り替わった。2023年,これら「新三種」(中国語で「新三様」)による輸出額は前年比29.9%増の1兆600億元に達した。特に好調なEV輸出に後押しされ,中国は日本を抜いて世界最大の自動車輸出国になった(後述)。
全国都市部調査失業率の平均値は5.2%で,前年比0.4ポイント下がった。しかし,16~24歳の若年層の失業率は,1月の17.3%から上昇し続け,6月には21.3%を記録した。これは主要国のなかで最も高い数字である。中国政府はその後,同数字の発表を一時停止したが,年明けに在校生のデータを除いた12月の若年層失業率を公表した。調整後の数字は14.9%となっており,ある程度改善したとはいえ,若年層の失業問題が依然として深刻であることに変わりはなかった。
低迷が続く不動産市場中国政府は2020年に不動産企業に対する融資管理の強化を図る,「三つのレッドライン」とよばれる引き締め策を打ち出した。このことを契機に,不動産の市況は悪化の一途をたどっていた。2023年に入り,不動産市場の活性化を図るべく,政府はついに規制緩和に踏み切った。8月に人民銀行と金融管理監督総局は1軒目と2軒目の住宅ローンの最低頭金比率の引き下げを発表した。1軒目については従来の20~30%から20%へ,2軒目は30~80%から一律30%に引き下げることが決定した。そして,8月から9月にかけて北京,上海,広州,深圳という4つの一級都市では,該当する都市での住宅の購入がなければ1軒目の購入とみなす,という1軒目住宅の認定基準を大幅に緩和する決定が発表された。一級都市以外では,9月までに11都市(瀋陽,南京,無錫,武漢,大連,済南,福州,鄭州,蘭州,青島,合肥)において住宅購入制限が全面的に撤廃された。
しかし,不動産市場の低迷状況は一向に改善しなかった。不動産開発投資と商品住宅販売面積(1月から当該月までの合計値で計算)の成長率(前年同期比)はいずれも減少し続けており,12月にはそれぞれ-9.6%と-8.5%の年間最低水準に落ち込んだ。不動産の販売価格についてみると,全国70主要都市のうち,新築商品住宅の価格が前月比下落した都市の数は1月の33都市から12月には62都市へほぼ倍増した。中古住宅にいたっては,年初の57都市から12月には全70都市へ拡大した。ただ,中国政府は不動産バブルが崩壊しないよう,新築住宅の販売価格を制限するなど,さまざまな対策をとっている。よって,2015年2月以来の最大の下げ幅を記録した2023年12月でも,70都市の平均販売価格は前月比わずか0.45%の下落にとどまった。
不動産不況の結果,多くの不動産デベロッパーが債務返済不能の危機的状況に陥った。不動産最大手の恒大集団は,2021年に早くもデフォルトを宣言し,2023年8月に米国で連邦破産法第15条を申請した。2位の碧桂園も,2023年8月に一部の社債の利払いが期日までにできなかった。なお,この2社とも巨額の負債を抱えており,2022年末時点で恒大の負債総額は2兆4000億元,碧桂園は1兆4000億元に上っていた。IMFが財務諸表をもとに,中国不動産企業の負債状況を分析したところ,2023年時点で債務超過,実質債務超過,もしくは経営危機に陥ったデベロッパーは全体の29.7%に上っている,との試算結果を出している。
中国の不動産業界では,全額の前受金を受け取ってから建築に着手するのが一般的である。デベロッパーが経営危機に陥ったため,住宅の建設が滞り,住宅ローンを返済し続けているにもかかわらず入居できない消費者が大量に発生してしまった。そこで,中国政府は2022年7月に「保交楼」(不動産の引き渡し保証)と呼ばれる政策を推進し始めた。これを受けて,人民銀行等は2023年7月までに合計5500億元に上る「保交楼」特別貸付金を投入した。その結果,年末までに「保交楼」関係の350万軒の住宅のうち,76%を占める268万軒が最終的に引き渡されていた。
地方財政の悪化不動産市況の悪化は,中国の地方財政を直撃してしまった。中国では,土地譲渡金収入(統計指標としては「国有土地使用権転売収入」)が地方政府の重要な財源となっている。しかし,不動産市場の低迷により,土地譲渡金収入および関連する地方政府の財政収入(地方一般公共予算収入+地方政府性基金予算収入+地方国有資本経営予算収入)とも減少し始めた。前者は2021年のピーク時の8兆7051億元から,2023年の5兆7996億元に減少し,後者は20兆8186億元から18兆7985億元に減少した。民生証券のデータによると,2023年第3四半期までに,土地譲渡金収入が前年比増加したのは天津,寧夏,江蘇,北京,浙江の5地域だけであった。土地譲渡金収入が減少した地域では,甘粛,新疆,福建,湖北,山東,湖南,安徽,陝西の下げ幅が40%を超えていた。こうした深刻な財政状況のなかで,経済後進地域の多くでは,実質的な財政破綻が発生し,公務員賃金の減給や滞納,公共バスの運営停止など,財政難に由来する問題が多発した。
財政収入の減少と同時に,地方債務は膨らむ一方であった。中国の政府債務のGDPに占める比率は日本や米国など,主要国と比べ高くないものの,地方債務の政府債務に占める割合は突出して高い。IMFの2022年の推計によると,中国の政府債務対GDP比率は2018年の80%から2023年には121%へ急増する見込みである。そのうち,中央政府債務の比率はわずか23%に過ぎない。それに対して,地方政府の直接債務比率は32%,地方政府が資金調達するために創設した「融資平台」と呼ばれる企業の負債比率は53%にも上っている。なお,残りの13%は政府系投資ファンドによる負債である。
地方財政の収支圧力を軽減するために,中央政府は10月以降,2つの対策をとった。まず,20以上の省市による1兆3000億元超の特別再融資債券の発行を認めた。その一方で,中央政府は第4四半期に地方での災害救援と防災活動を目的とする1兆元の特別国債を増発した。今回の特別国債の発行は,1998年のアジア金融危機,2008年のグローバル金融危機,そして2020年のコロナ対策特別国債に続く4回目となり,経済情勢の厳しさを如実に反映している。
中国経済の「日本化」への懸念不動産不況のもうひとつの影響は,消費や投資意欲を大きく抑制し,経済全体のデフレ傾向を強めてしまったことである。中国では,住宅価格が高騰していたため,もとより家計債務の対可処分所得比が高い水準にあった。例えば,2023年上半期,中国の同数字が148.6%であるのに対して米国,日本,EUはそれぞれ113.8%,94.6%,87.9%となっている。その一方で中古不動産価格の下落に伴い,消費者が所有する資産の価値は大きく下がった。高い負債と資産価値の下落があいまって,消費マインドは冷え込んでしまった。2023年の消費者信頼感指数は,1月の91.2から3月に一旦94.9へ上昇したものの,その後90以下で推移し続けており,12月になっても87.6の低水準のままだった。
消費意欲の低下を受けて,企業も投資活動を躊躇するようになった。製造業の新規受注や生産,雇用の状況を示す製造業購買担当者指数(PMI)の数値は,1,2,3,9月を除いて,すべて50より低い水準で推移しており,景況の悪化を示している。中国物流情報センターのデータによると,11月時点で需要不足を訴えた企業の割合は全体の60.6%に達していた。
消費と投資の鈍化を受けて,物価はデフレの兆しをみせるようになった。世界中がハイパーインフレーションに見舞われていたなか,中国の消費者物価指数(CPI)は2023年,わずか0.2%しか上昇せず,変動幅が大きい食品とエネルギー価格を除いたCPIも0.7%の上昇にとどまった。食品価格のうち,豚肉と生鮮野菜はそれぞれ13.6%,2.6%下落した。一方で,生産者物価指数(PPI)は3%下落した。
このような不動産不況に端を発する経済全体のデフレ傾向の強まりは,バブル崩壊後の日本経済の展開を連想させ,中国社会では,長期的に中国経済が「日本化」してしまうのでは,との懸念が高まった。少子高齢化が進む人口構造もこのような懸念を助長した。2023年末時点で,中国の人口は14億967万人となっており,前年比208万人減少した。年齢構成についてみると,16~59歳の生産年齢人口の占める比率は,前年の62%から61.3%へ減少したのに対して,60歳以上の高齢者人口の比率は19.8%から21.1%へ上昇した。
ただ,1990年代の日本と比較すると,中国経済は多くの側面において異なる様相を呈しているのも事実である。データが得られる2022年の状況についてみると,1人当たり国民総所得(GNI)は1万2800ドルに達していたものの,依然として高所得国(基準値は1万3800ドル)入りが果たせていない。都市化比率も65.2%で,8割以上の先進国と比べて差が大きい。このように,不動産不況,デフレ,少子高齢化といった課題を抱えながらも,中国経済は1990年代の日本と異なる道を歩む可能性が高い。
とはいえ,目先の厳しい経済情勢に対して景気対策をとり消費者や投資家の自信を取り戻すことが,喫緊の課題となった。これに関して,中国政府は夏に民間企業を支援する政策を連発した。7月19日,民間企業の振興を図るため,「中共中央と国務院による民営経済の発展と拡大の促進に関する意見」を発表した。この政策方針の下で,発展改革委員会や最高裁,財政部,税務総局等はそれぞれ具体的な支援策を発表した。9月に,発展改革委員会の傘下に民間企業を専門に支援する民営経済発展局も創設した。
一方で金融政策としては,人民銀行が3月と9月に預金準備率をそれぞれ0.5ポイント引き下げ,1兆元以上のマネーサプライを増やした。政治局は7月24日の会議で「資本市場を活躍させ,投資家の自信を高める」とする明確な要求を打ち出した。しかし,財政政策に関しては,2008年の金融危機時に実施した4兆元投資の問題点への反省から,前述の「保交楼」特別貸付金と地方防災用の特別国債以外に,これといった対策はとらなかった。全体的に,2023年の景気対策が不十分であったと内外で指摘されている。
世界一の自動車輸出国へマクロ経済のパフォーマンスが低迷する一方,産業高度化は着実に進展し続けている。その象徴的な出来事は,中国の自動車輸出台数が前年比57%増の522万台(中国税関統計)に上り,日本(442万台)を抜いて,世界最大の自動車輸出国になったことである。
自動車輸出が急拡大する最大の要因として考えられるのは,EVの躍進である。全522万台の輸出のうち,EVの輸出台数は前年比57%増の170万台となった。なかでも,バッテリー式電動自動車(BEV)は全体の9割を占めていた。EV輸出増の説明要因として,中国政府による巨額の補助金支援がよく指摘される。しかし,最もウェイトが高い消費者を対象とする補助金の支給は2022年末時点で終了した。2023年の輸出拡大は,むしろ中国メーカーによる長年の研究開発活動の成果として捉えるべきである。例えば,中国EV最大手の比亜迪(BYD)が開発した最新式の「ブレードバッテリー」と呼ばれる車載電池では,電池コストを30%,部材の使用量を40%削減したと同時に,電池の体積利用率を50%向上させた,と報告されている。
中国による怒涛のEV輸出は,新たな貿易摩擦の種となった。中国製BEVの2023年1~8月の対EU輸出台数は前年同期比94%増の33万9000台に上っていた。これを受けて,欧州委員会は10月に反補助金調査を開始した。市場歪曲的な補助金によりEU域内の自動車メーカーが損害を被っていることが確認されれば,中国製品に相殺関税が課されることになる。
なお,中国製自動車の輸出拡大の背景に関して,以下の2点にも留意しておく必要がある。まず,先進諸国による対ロシア制裁が輸出増に寄与していたことである。日本やドイツ企業が現地市場から撤退した結果,2023年,中国による対ロシアの自動車輸出台数は前年比481%増の95万台,対前独立国家共同体(CIS)諸国の輸出台数も135万台(412%増)に達していた。次に,自動車産業の国際化の主流は,輸出よりも現地生産である。日本やドイツのような自動車大国と比べると,中国メーカーの海外進出がまだまだ初期段階にあると指摘しなければならない。
「出海」ブームの発生日本の経験が示すように,産業高度化の進展に伴い,企業の海外進出が活発化する。2023年,中国でも「出海」と呼ばれる海外進出の大きなブームが起きていた。これら「出海」企業の多くは,国際競争力が高い新興産業に集中しており,低賃金の追求よりも,当初から現地市場を開拓することに狙いがあった。
まず製造業に関しては,EVメーカーの海外進出が相次いだ。矢野経済信息諮尋のデータによると,2023年1~8月の中国EV企業による対外直接投資額は224億4000万元に達しており,8月時点ですでに前年の171億9000万元を上回った。進出先の上位5カ国はタイ(2023年1~8月のEV投資全体に占めるシェアは49.5%),ブラジル(20%),アルゼンチン(12.5%),チリ(9%),メキシコ(6.5%)の順となっており,新興市場とりわけラテンアメリカに集中していたことが特徴的である。最大手のBYDは,2023年にタイ(年産15万台),ブラジル(15万台),ウズベキスタン(5万台)での生産拠点建設計画を発表した。
車載電池メーカーによる海外進出も目立っている。同様に矢野経済信息諮尋のデータによると,2023年8月まで,電池メーカーによる対外直接投資残高は3152億元に上っており,2023年1~8月だけで947億元の投資が発表された。電池メーカーによる直接投資の上位5カ国の内訳は,ハンガリー(2023年8月までの投資総額に占めるシェア,19%),米国(17%),ドイツ(13%),モロッコ(13%),インドネシア(13%)となっている。EV完成車と比べて電池メーカーの投資額がより大きく,かつ先進国市場に偏重した布陣になっていることが見て取れる。
非製造業企業については,一部のインターネット企業が現地市場で活躍し始めた。例えば,格安オンラインショッピングモールの拼多多(PDD)傘下のテム(Temu)社は,2022年9月に米国市場に進出した。同社は本来の強みであるソーシャル機能と電子商取引を融合させたビジネスモデルに加えて,1400万ドルの大金をかけて2023年の米スーパーボウル(Super Bowl)でスポット広告を放映するなど,現地での販売促進活動に全力で取り組んだ。その結果,アップルアプリストアの発表によると,2023年の米国上位無料iPhoneアプリ(Top Free iPhone Apps)ランキングにおいて,テムはインスタグラムやグーグル,ユーチューブ等の人気アプリを上回り初めて首位に躍り出た。テムのユーザーによる1日当たりの使用時間は18分でアマゾンの10分を上回った。また,月間利用者数も4億6700万人に上り,アマゾンに次ぐ規模となった。2023年末,テムは北米,欧州,中東,東南アジア,ラテンアメリカの48カ国に拠点を開設しており,主要国をほぼカバーした。
(丁)
中国の偵察気球が米軍機によって追撃された事件や,台湾をめぐる安全保障で米中の歩み寄りがみられないなど,米中関係は依然として緊張関係にある。2月3日に米国防総省報道官は,中国の偵察気球が米国内を飛行中であることを公表した。同日夜に中国の外交部報道官は,「飛行船は民間用である」こと,「不可抗力で米領空に入った」と主張した。王毅党中央外事工作委員会弁公室主任もアントニー・ブリンケン米国務長官との電話会談において偶発的事態であると強調したものの,同月5,6日に計画をしていたブリンケンの訪中は延期となった。同月4日には,米軍が偵察気球を太平洋上の米国領海内で撃墜したことが明らかとなり,中国側の態度は一層硬化した。国防部と外交部がそれぞれ談話と声明を発表し,米国の過剰な反応であると抗議した。5日には,謝鋒外交部副部長が駐中国米国大使館責任者に厳重な申し入れを実施した。
この一件により米中間の交流が停止していたものの,6月18,19日に延期されていたブリンケンの訪中が実現したことを契機として,実務レベルでの協議が次々と行われるようになった。ブリンケンは,訪中の際に,秦剛外交部部長(当時)だけでなく,王毅,さらに習近平国家主席とも会見を行った。習近平は「バリ島会談での共通認識を堅持し」,「中米関係の安定」を希望すると強調し,米中の関係改善を目指した。その後,7月6から9日にジャネット・イエレン米財務長官の訪中,同月13日にジャカルタで王毅とブリンケンの外相会談,8月29日のジーナ・レモンド米商務長官の訪中,9月に米中国防当局によるサイバー分野の作業部会の開催など,実務レベルでの交流が積極的に行われている。
このような実務レベルでの交流が積み重ねられるなかで,11月15日に米中首脳会談がサンフランシスコで実現した。両首脳は人工知能(AI)に関する政府間対話や,麻薬取締協力チームの設立などに合意した。また,2022年8月のナンシー・ペロシ米下院議長の訪台以降,中断していた米中軍高官対話を再開するとともに,国防相会談の実現も約束した。その他にも,気候変動の問題に対処するための協力強化やパレスチナ・イスラエルの衝突についても意見交換を行った。
一方で,台湾問題では歩み寄りがみられなかった。習近平は「米国は『台湾独立』を支持しないという態度表明を具体的行動で体現し,台湾武装を停止し,中国の平和統一を指示すべき」と主張した。そして,「中国は最終的に統一される,統一は必然だ」と述べ,いかなる方法であれ,統一そのものは進める意思が習近平にはあることを明確にした。今後,台湾での政局を踏まえ,米中の対立基調は継続するだろう。
積極的に展開される中東外交中国はグローバルサウスとの繋がりを強化するなかで,特に中東地域への外交を積極的に展開している。3月6~10日にサウジアラビアのムサーイド・ビン・ムハンマド・アル・アイバーン国務相兼国家安全保障顧問とイランのアリ・シャムハニ最高安全保障委員会書記は,中国政府の仲介のもと北京で協議を行った。10日には,サウジアラビアとイランが国交回復に合意し,中国を含む3カ国共同声明が発表された。共同声明には,「習近平の積極的なイニシアチブがあった」と明記された。域外国である中国が中東地域にある国家らの国交回復の仲介役を担ったことは,世界の注目を集めた。
このような仲介外交の成果を踏まえ,中国は,イスラエルやパレスチナの和平交渉についても積極的な仲介を行う意向を示した。4月17日に秦剛外交部部長(当時)はイスラエルとパレスチナ双方の外相と電話会談を実施し,和平交渉再開への期待を表明した。その後10月8日にパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラーム原理主義組織ハマスがイスラエルを攻撃したことで武力衝突が発生した際には,外交部報道官が「中国は常に,対話と交渉こそが問題解決の根本的な道であると考えて」おり,「我々は両者に対して,できるだけ早く停戦し,事態のさらなる悪化を避けるよう呼びかける」とコメントしている。
中国は,多国間枠組みにも中東地域を引き入れようと積極的に試みている。7月4日にインドのニューデリーからオンライン方式で開催された第23回上海協力機構(SCO)首脳会議は,イランの加盟を正式に決定した。習近平国家主席は「外部勢力が地域で『新冷戦』をあおり,陣営対抗をつくり出すことを高度に警戒」しなければならないと言及し,SCOの中心的な役割を担うロシアとともに欧米諸国をけん制する姿勢を示した。
また,中国やロシアと関係が良好な国々との関係を一層強化するため,8月23,24日に南アフリカのヨハネスブルクで開催された第15回BRICS+首脳会議では,新たに6カ国(アルゼンチン,エジプト,イラン,エチオピア,サウジアラビア,アラブ首長国連邦(UAE))の加盟を決定した。習近平は「発展途上国のグローバルガバナンスにおける代表性と発言権を高め」ることと,「真の多国間主義を堅持し」,「安全・安定の国際環境を築かなければならない」と強調した。中ロを中心とする枠組みに中東諸国を組み入れることで,欧米諸国との対立が鮮明となった。
多国間枠組みのなかの中ロ関係習近平政権は対米けん制を目的にロシアとの関係を緊密化させながらも,ウクライナ情勢をめぐる国際社会の声にも耳を傾け,中ロ関係が国際社会から孤立しないよう関係を維持することを目指している。3月20~22日に習近平国家主席はモスクワを訪問し,クレムリンでロシアのウラジミール・プーチン大統領と会見した。両国は全面戦略協力パートナー関係を引き続き推進することで一致しながらも,ウクライナ情勢について習近平は「中国は引き続き政治解決を後押しするための建設的役割を果たす」と言及するのみにとどまった。習近平の訪ロ前の2月24日に外交部は「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」と題する12項目を提案していたが,そのなかでも両国の対話や交渉を促す中国の具体的な役割について触れていない。この12項目の提案については,4月26日に行われた習近平とウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領との電話会談にておいても述べられた。ただし諸外国が期待するような「仲介者」としての中国の役割は依然として動きがみられない。
一方で,中ロは両国を中心とする多国間枠組みには積極的な姿勢を示している。4月13日にウズベキスタンで開催された中国,ロシア,パキスタン,イラン4カ国外相第2回非公式会議において中ロ外相は会見を行い,ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は中国が推進するグローバル発展イニシアチブ,グローバル安全保障イニシアチブ,グローバル文明イニシアチブを積極的に支持するとし,さらに「上海協力機構(SCO),BRICSなど多国間枠組みのなかで協調・協力を強化し,世界の多極化と国際関係の民主化を推進する」と言及した。実際に,7月4日にオンライン方式で開催されたSCOや,8月の南アでの第15回BRICS+首脳会議において,欧米諸国への対抗姿勢が強く示された。また,9月19日にはモスクワで中国,ロシア,モンゴル3カ国の安全保障問題ハイレベル代表会合が開催されるなど,北東アジア地域における安全保障分野での連携強化も積極的に推し進めている。翌日には王毅中国共産党中央外事工作委員会弁公室主任とプーチンが会見し,「双方が多国間の戦略協力を強化するよう努める」ことで合意した。
さらに中国は,ロシアが外交活動を積極的に展開できる場を提供している。10月18日に北京で開催された第3回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムに参加するため,プーチンはウクライナ侵攻後初めて中国を訪れた。その前日にプーチンは,ハンガリー,カザフスタン,タジキスタンなどの首脳らと会談している。国際刑事裁判所から国際指名手配を受けているプーチンにとって,中国は各国の首脳陣と対面できる重要な場となった。18日には中ロ首脳会談も行われ,中東とウクライナの問題が中心的に話し合われた。中国は,ロシアとの緊密な関係を過度に強調することは避けつつも,ロシアが国際社会から孤立しないような支援を行っている。また,10月30日にはロシアを含んだ各国の国防相が集まり安全保障対話を行う香山フォーラムが北京で開催された。ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は西側諸国への不満を表明した一方で,中国はさまざまな意見の表出を歓迎しながらも中立的立場を強調した。ロシアを含めた大規模な会議を中国が開催することで,ロシアと諸外国との対話の場を提供しつつ,国際社会における中国の存在感を高めようとする狙いがうかがえる。
強硬化する対日姿勢中国の対日政策は,米国の同盟国としての日本や多国間枠組みのなかの日本を念頭に展開された。1月11日に米国ワシントンで開催された日米外相および防衛相による安全保障協議委員会(2+2)では,両国の安全保障環境についての認識のすり合わせを行った。共同発表のなかでは,中国について「自らの利益のために国際秩序を作り変えることを目指している」という点で見解が一致し,このような中国の行動は「同盟および国際社会全体にとっての深刻な懸念」であるとともに「最大の戦略的挑戦である」と言及された。また,中国の台湾との統一をめぐる攻勢が強まるなかで,日米両国も中国への警戒を強めている。これに対し中国の外交部報道官は,「共同声明は冷戦思考に満ち,中国を理不尽に中傷,攻撃している」,「われわれは断固反対する」と対抗姿勢を示した。
このような対抗姿勢は,5月19~21日に広島で開催された先進国7カ国首脳会議(G7サミット)と同時期に中国・中央アジア首脳会議を開催したことからも見て取れる。中国・中央アジア首脳会議では,「西安宣言」を採択し,カラー革命の策動や内政干渉に断固反対するとともに,領土保全と主権が損なわれることを許さないと強調した。一方,日本はG7サミットで中国を念頭にした安全保障分野での連携強化を目指したことから,共同声明のなかでも中国に対する姿勢を重点的に示した。これに対し中国は,談話を発表し,日本側に厳正な申し入れを行った。
さらに中国は,福島第一原子力発電所の事故によって発生した処理水の海洋放出の是非を国際社会に訴えることで,対日圧力を強めた。日本は国際原子力機関(IAEA)が処理水の海洋放出計画について国際安全基準に合致していると結論付けていると主張する一方で,中国国家原子力機構の責任者はIAEAの結論には十分な科学的根拠が欠けていると非難した。中国は,処理水の海洋放出が始まった8月24日に,日本の水産物の輸入を全面禁止すると発表した。これに対し日本の岸田文雄首相は,9月6日にジャカルタで開催された第26回東南アジア諸国連合(ASEAN)+3首脳会議直前に李強国務院総理に日本の立場を直接説明したという。11月16日にサンフランシスコで開催されたAPEC首脳会議に合わせて行われた日中首脳会談においても,日本産食品輸入規制の即時撤廃を改めて求めた。この場では,その他にも台湾海峡の平和と安定の重要性についても話し合われたものの,具体的な解決策は見出されなかった。中国は日本と安定的な関係構築を目指したい一方で,処理水の問題を外交カードとして使いながら,日本の安全保障をめぐる対中強硬姿勢を強くけん制しているものとみられる。
ASEAN諸国への積極的な外交を展開中国はASEAN諸国との関係を強固なものにするべく積極的な姿勢を示す一方で,ASEAN諸国はアメリカをはじめとする欧米諸国との間でバランス外交を展開している。9月5~8日にかけて開催された第26回中国ASEAN首脳会議,第26回ASEAN+3首脳会議,第18回東アジアサミットには3月に国務院総理に就任したばかりの李強が出席し,各国の首脳と会談,会見するなど華々しい外交デビューとなった。李は,第26回中国ASEAN首脳会議において(1)経済成長センターの構築,(2)新興産業分野での協力強化,(3)地域の治安や安定の維持,(4)人文交流の拡大を提案するとともに,「ASEANと中国の協力の成果を高く評価」しており,今後は「ASEAN中国運命共同体の構築を願う」と述べた。この「運命共同体」とは,中国が標榜する国際秩序観を指す表現で,欧米諸国を中心とする同盟関係への批判やけん制を内包しているものである。
一方でASEAN諸国は,8月28日に中国の自然資源部が公開した2023年度版の標準中国地図に対し,強い反発を示した。標準中国地図は,中国とインドの国境係争地であるアルナーチャル・プラデーシュ州を中国領土に組み込んだだけでなく,南シナ海をU字で囲っていた九段線を十段線に引き延ばし台湾の東側を組み入れるなど,中国の主権の主張が盛り込まれた。特に十段線内にマレーシアやインドネシアの排他的経済水域(EEZ)と重なり合う地域が取り込まれていたことから,両国政府は強く反発した。マレーシアのアンワル首相は「対話と協議を通じた平和的かつ合理的方法で管理されなければならない」と言及し,中国を批判した。インドネシアのジョコ大統領は,議長国としての挨拶のなかで「ASEANはいかなる大国の代理人にもならない。ASEANを,互いを破壊しあうライバル関係の土俵にしてはならない」と述べ,対中けん制の姿勢を明確に示した。
その他の国々に関しては,中国との関係を継続させながらも欧米諸国との関係を強化する動きがみられた。中国と南シナ海の領有権を争うフィリピンは,4月11日にアメリカと外務・防衛担当の閣僚級協議(2+2)を開催するなど,関係強化に努めている。5月1日には,フィリピンのフェルディナンド・マルコスJr.大統領がホワイトハウスでアメリカのジョー・バイデン大統領と会見し,日米比および米豪比それぞれ三カ国の協力枠組みを構築することで合意した。これらは,台湾や南シナ海周辺で軍事活動を活発化させている中国をけん制する意味合いがある。実際に,10月22日にフィリピン軍の輸送船と中国海警局が衝突した際には,翌日にアメリカは声明を発表しフィリピン支持の姿勢を明確に示した。また,フィリピン軍は11月21~23日には米軍と,11月25~27日にはオーストラリア軍と南シナ海の合同海洋パトロールを行った。フィリピンは南シナ海問題をめぐって米豪と急速に接近し,対中けん制の姿勢を強めている。
ベトナムも中国に対し,日米とのバランス外交を展開した。12月12,13日に習近平はベトナムのハノイに訪問し,グエン・フー・チョン共産党書記長らと会見した。このような習近平の訪越は,アメリカや日本が中国との対立を背景にベトナムとの関係強化を図ったことへの対抗措置とみられている。中国側はベトナムとの関係をより強固にするべく中越関係を「運命共同体」と位置づけることに拘ったようだが,ベトナム側が難色を示し,「未来を共有する共同体」という表現にとどまったとされている。中越共同声明では,いくつかの分野における協力の方向性は提示された一方で,具体的な取り組みについては言及されていない。中国との経済的な繋がりを維持しつつも安全保障上は日米との連携を深化させようとするベトナムの戦略がうかがえる。
以上のように,中国はASEAN諸国との関係について,対米けん制を背景として中国が標榜する国際秩序観の共有を目指す一方で,領海や領土といった核心的利益に関する事柄については強硬的な姿勢を示している。
(内藤)
国内政治では,3期目習近平政権の礎を盤石にするべく,今後も「トラ」たたきが継続するだろう。過渡的な人事が行われた外交部部長についても,新しい人材の登用が決定するかもしれない。また,2023年12月11,12日に中央経済工作会議が開催され,内需拡大が指示されたことから,ゼロコロナ政策や米中対立を背景に低迷した経済の立て直しに注目が集まるだろう。経済政策を担当する李強を中心とした新陣営の真価が問われる。
経済では,EV等の新興産業を中心に,産業高度化が進展し続けるだろう。中国企業の海外進出もますます活発化していくと思われる。その一方で,不動産市場の低迷や地方財政の悪化,デフレスパイラルの発生など,マクロ経済の面では,依然として多くの懸念材料を抱え続ける。これらの課題の解決には抜本的な構造改革が必要だが,短期的には中国政府による力強い景気対策が実施されるかが,局面打開のカギを握っているといえる。
対外関係では,台湾における民進党政権の継続やアメリカの大統領選挙が控えるなかで,先鋭化する米中関係の緩和は難しい。対米けん制を背景として,グローバルサウス諸国に対するリーダーシップを発揮するべく中国は積極的な外交を展開するだろう。2024年も中国は,ロシアのような価値を共有する国家と協力しながら,SCOやBRICS,中国・中央アジアサミットなどの多国間枠組みで中心的な役割を発揮することになると予想する。ただし,ASEAN諸国の動きにみられるように,グローバルサウス諸国も折々の国際情勢を鑑みながら対中外交を展開すると予想され,中国の思惑通りには進まない可能性もある。
(内藤:地域研究センター)
(丁:開発研究センター)
1月 | |
5日 | 中国・フィリピン共同声明を発表。 |
6日 | 習近平国家主席,北京の人民大会堂でトルクメニスタンのセルダル・バルドイムハメドフ大統領と会談。中国・トルクメニスタン共同声明を発表。 |
9日 | 中国共産党中央紀律検査委員会全体会議を開催。 |
20日 | 2023年春節祝賀会を開催。 |
31日 | 中国共産党中央政治局,新たな発展枠組み構築を加速することについて,第20期第2回集団学習を実施。 |
2月 | |
2日 | 秦剛外交部部長(当時),日本の林芳正外相(当時)と電話会談。 |
3日 | 王毅中国共産党中央外事工作委員会弁公室主任,アントニー・ブリンケン米国務長官と電話会談。 |
3日 | 米国防総省報道官,中国の偵察気球が米国内を飛行中であると公表。 |
4日 | 中国の偵察気球を太平洋上の米国領海内で米軍が追撃。 |
5日 | 謝鋒外交部副部長,米軍が中国の偵察気球を追撃したことについて,駐中国米国大使館責任者に厳重な申し入れ。 |
7日 | 新華社,中央党校が「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」と第20回党大会の精神を学習,貫徹する研究討論セミナーを開講,習近平が重要演説実施と報道。 |
8日 | 台湾の夏立言国民党副主席一行,訪中(~17日)。宋濤中国共産党中央台湾工作弁公室主任や王滬寧政治局常務委員らと会見。 |
10日 | 習近平,北京の釣魚台国賓館でカンボジアのフン・セン首相と会見。 |
13日 | 中央1号文書「2023年郷村振興全面推進重点取り組みに関する党中央と国務院の意見」を発表。 |
14日 | 習近平,北京の人民大会堂でイランのイブラヒム・ライシ大統領と会談。 |
16日 | 中国共産党中央政治局常務委員会会議を開催,最近の新型コロナウイルス感染対策状況の報告聴取,習近平が重要演説。 |
21日 | 中国共産党中央政治局会議を開催,国家指導者の人選を検討。 |
21日 | 中国共産党中央政治局で基礎研究を強化することに関する集団学習を実施。 |
22日 | 王毅,モスクワでロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会見。 |
23日 | 第17回日中安全保障対話を実施。 |
23日 | 第13期全国人民代表大会常務委員会(全人代常務委)第39回会議,開催(~24日)。 |
24日 | 中国外交部,「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」と題する12項目の提案を実施。 |
26日 | 中国共産党第20回中央委員会第2回全体会議,開催(~28日)。 |
3月 | |
1日 | 習近平,北京の人民大会堂でベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領と会談。 |
2日 | 秦剛,インドのニューデリーで開催された主要20カ国・地域(G20)外相会合に出席。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会見。 |
5日 | 第14期全国人民代表大会(全人代)第1回会議,開催(~13日)。李克強,政府活動報告。 |
6日 | サウジアラビアのムサーイド・ビン・ムハンマド・アル・アイバーン国務相兼国家安全保障顧問とイランのアリ・シャムハニ最高安全保障委員会書記,中国政府の仲介のもと北京で協議(~10日)。 |
10日 | 中国,サウジアラビア,イラン3カ国共同声明発表。 |
20日 | 習近平,モスクワを訪問(~22日)し,クレムリンでプーチンと会見。 |
21日 | 中ロ,「新時代全面戦略協力パートナー関係深化に関する両国共同声明」に署名。 |
23日 | 『光明日報』元論説部副主任董郁玉,スパイ容疑で起訴。 |
27日 | 馬英九前台湾総統,訪中(~4月7日)。宋濤と会見。 |
28日 | 博鰲アジアフォーラム2023年年次総会,開催(~31日)。 |
4月 | |
2日 | 李強,北京の中南海紫光閣で日本の林芳正外相と会見。 |
6日 | 外交部報道官,台湾の蔡英文総統がトランジットで訪米したことに対し談話発表。 |
6日 | 習近平,北京の人民大会堂でフランスのエマニュエル・マクロン大統領と会談。 |
7日 | 中国とフランス,共同声明を発表。 |
7日 | 習近平,広東省広州市の景勝池,白山の麓にある松園でマクロンと非公式会談。 |
10日 | 第15回日中高級事務レベル海洋協議を東京で開催。 |
10日 | 習近平,広東省視察。 |
13日 | 中国,ロシア,パキスタン,イラン4カ国外相第2回非公式会議をウズベキスタンで開催。中ロ外相会談を実施。 |
14日 | 習近平,北京の人民大会堂でブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領と会談。 |
19日 | 習近平,北京の人民大会堂でガボンのオマール・ボンゴ・オンディンバ大統領と会談。 |
21日 | 習近平,第20期中国中央全面改革深化第1回会議を主宰,重要演説。 |
26日 | 第14期全人代常務委第2回会議,反スパイ法の改正案可決,7月1日から施行。 |
26日 | 習近平,ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領と電話会談。 |
28日 | 中国共産党中央政治局会議開催,現在の経済情勢と経済運営について分析,検討。 |
5月 | |
9日 | 2023年対台湾工作会議,開催(~10日)。王滬寧,出席。 |
10日 | 習近平,河北省雄安新区視察(~12日)。 |
15日 | 習近平,北京の人民大会堂でエリトリアのイサイアス・アフェウェルキ大統領と会談。 |
17日 | 習近平,陝西省西安でカザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領と共同声明に署名。 |
18日 | 習近平,陝西省西安でキルギスのサディル・ジャパロフ大統領と会談,新時代全面戦略パートナー関係樹立。 |
19日 | 中国・中央アジア首脳会議を陝西省西安市で開催。 |
24日 | 習近平,北京の人民大会堂でロシアのミハイル・ミシュスチン首相と会見。 |
30日 | 第20期中央国家安全委員会第1回会議,開催。 |
6月 | |
1日 | 習近平,中国国家版本館と中国歴史研究院で視察,調査研究。 |
2日 | 第10回アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)をシンガポールで開催(~4日)。李尚福国防部部長出席。 |
7日 | 中国,パキスタン,イラン3カ国局長級対テロ安全保障協議初会合を北京で開催。 |
8日 | 習近平,内モンゴル視察。 |
12日 | 習近平,北京の人民大会堂でホンジュラスのシオマラ・カストロ大統領と会談。 |
14日 | 習近平,北京の人民大会堂でパレスチナのマフムード・アッバス大統領と会見。戦略パートナー関係樹立を宣言。 |
16日 | 来訪中のマイクロソフト共同創業者ビル・ゲイツ,習近平と面会。 |
19日 | 習近平,北京の人民大会堂でブリンケンと会見。 |
28日 | 第14期全人代常務委第3回会議,中国対外関係法可決。 |
30日 | 中央政治局会議開催,雄安新区建設支援を審議。 |
7月 | |
4日 | 第23回上海協力機構(SCO)首脳会議開催。イランの加盟を正式に決定。 |
4日 | 習近平,水防,災害援助の取り組みについて重要指示。 |
6日 | ジャネット・イエレン米財務長官,訪中(~9日)。 |
7日 | 習近平,台湾を管轄する東部戦区を視察。 |
10日 | 習近平,北京の人民大会堂でソロモン諸島のマナセ・ソガバレ首相と会見。共同声明発表。 |
11日 | 中国中央改革全面深化委員会第2回会議,開催。 |
13日 | 王毅,インドネシアのジャカルタでASEAN・日中韓外相会合に出席。 |
18日 | 習近平,北京の人民大会堂でアルジェリアのアブデルマジド・テブン大統領と会談。 |
18日 | 李強,北京の人民大会堂でジョン・ケリー米大統領気候問題担当特使と会見。 |
20日 | 中央財経委員会第2回会議,開催。 |
24日 | 政治局会議開催,経済情勢と経済運営について検討。 |
25日 | 第14期全人代常務委第4回会議,秦剛を外交部部長から解任することを決定。後任に王毅を任命。 |
25日 | 習近平,四川省視察(~27日)。 |
26日 | 李強,上海自由貿易試験区視察(~27日)。 |
28日 | 習近平,四川省成都で第31回夏季ワールドユニバーシティゲームズの開会式に出席。ブルンジ,ガイアナ,ジョージア,およびモーリタニア首脳らと会見。 |
31日 | 新華社通信,習近平が王厚斌と徐西盛をロケット軍の司令官に任命したと報道。前任の李玉超と徐忠波は解任。 |
8月 | |
1日 | 台風5号の影響で北京市や河北省を中心に集中豪雨が発生したことに対し,習近平,洪水対策と救援活動に関する重要指示。 |
4日 | 外交部報道官,イタリアが「一帯一路」共同建設に関する協力文書の延長見送りを検討していることに関し,一部勢力が妨害していると言及。 |
5日 | 張国清国務院副総理,習近平の命を受けて天津市に派遣。 |
17日 | 習近平,政治局常務委員会会議を開催。災害復旧の取り組みを検討。 |
22日 | 習近平,南アフリカのプレトリアで同国のシリル・ラマポーザ大統領と会談。中国と南アフリカ共同声明発表。 |
23日 | 第15回BRICS+首脳会議,南アフリカのヨハネスブルクで開催。 |
28日 | 第14期全人代常務委第5回会議,開催。 |
29日 | ジーナ・レモンド米商務長官,訪中。 |
9月 | |
1日 | 習近平,北京の人民大会堂でベナンのパトリス・タロン大統領と会談。両国の戦略パートナー関係樹立を宣言。 |
5日 | 第26回中国ASEAN首脳会議,第26回ASEAN+3首脳会議,第18回東アジアサミットをインドネシアのジャカルタで開催(~8日)。 |
6日 | 習近平,黒竜江省視察(~8日)。 |
13日 | 習近平,北京の人民大会堂でベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領と会談。全天候戦略パートナー関係宣言,共同声明発表。 |
19日 | 中国,ロシア,モンゴルの安全保障問題ハイレベル代表会合をモスクワで開催。 |
20日 | 習近平,浙江省視察(~21日)。 |
20日 | 王毅,ロシアのサンクトペテルブルクでプーチンと会見。 |
23日 | 江蘇省杭州市で第19回アジア競技大会,開催(~10月8日)。 |
27日 | WTOルールとWTO改革について政治局集団学習会,実施。 |
10月 | |
7日 | 李強,浙江省で調査研究(~9日)。 |
10日 | 習近平,江西省視察(~13日)。 |
16日 | 李強,北京の人民大会堂でハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相と会談。「一帯一路」協力文書を調印。 |
17日 | 第3回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムを北京で開催(~18日)。 |
17日 | 習近平,北京の人民大会堂でカザフスタン,インドネシア,ウズベキスタン,パプアニューギニア,ハンガリー,エチオピアの首脳と会見。中国とチリは共同声明発表。 |
18日 | 中ロ首脳会談を北京で実施。 |
19日 | 習近平,北京の人民大会堂でエジプト,パキスタン,カンボジア,タイの首脳と会見。 |
20日 | 第14期全人代常務委第6回会議,開催(~24日)。 |
22日 | フィリピン軍の輸送船,中国海警局と衝突。 |
24日 | 第14期全人代常務委第6回会議,李尚福を国防部部長および国務委員から解任,秦剛を国務委員から解任決定。 |
26日 | 李克強,上海で急死。 |
27日 | 政治局会議,開催。 |
29日 | 何立峰副首相,中国共産党中央財経委員会弁公室主任に就任。 |
30日 | 香山フォーラムを北京で開催。 |
11月 | |
3日 | 習近平,北京の人民大会堂でギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相と会見。 |
6日 | 何立峰副首相,中国共産党中央金融委員会弁公室主任に就任。 |
6日 | 習近平,北京の人民大会堂でオーストラリア,セルビア,キューバの首脳らと会見。 |
7日 | 中国中央全面改革深化委員会第3回会議,開催。 |
10日 | 習近平,北京と河北の洪水被災地の復旧状況を視察。 |
15日 | サンフランシスコで米中首脳会談,開催。 |
16日 | APEC首脳会談をサンフランシスコで開催。日中首脳会談を実施。 |
20日 | 中央金融委員会,開催。 |
22日 | 習近平,北京の人民大会堂でウルグアイのルイス・ラカジェポー大統領と会談。 |
27日 | 中央政治局会議,開催。 |
29日 | 習近平,武装警察部隊海警部隊海警総隊東海海区指導部を視察。 |
12月 | |
4日 | 習近平,北京の釣魚台国賓館でルカシェンコと会見。 |
6日 | 中央経済工作会議を開催(~12日)。 |
7日 | 習近平,北京の釣魚台国賓館でシャルル・ミシェル欧州理事会議長およびウァズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長と会見。 |
8日 | 中央政治局会議,開催。2024年の経済運営について分析,検討。中央紀律検査委員会,国家監察委員会の活動聴取。 |
12日 | 習近平,ベトナムのハノイでグエン・フー・チョン共産党書記長らと会見(~13日)。 |
14日 | 習近平,広西チワン族自治区を視察(~15日)。 |
18日 | 甘粛省で地震発生。習近平,生存者捜索救助を指示。 |
19日 | 中央農村工作会議,開催(~20日)。 |
23日 | 李強,甘粛省,青海省の震災地訪問。 |
25日 | 第14期全人代常務委第7回会議,開催(~29日)。李玉超を含む9人の軍幹部を全人代代表から解任決定(29日)。 |
(注) 1)2023年のデータはすべて速報値。2)2017~2021年は,各地の就業サービス機関に失業登録を行った人数に基づく数値。2022,2023年は,都市部の年間平均調査失業率。
(出所) 『中国統計年鑑 』(各年),国家統計局「中華人民共和国国民経済和社会発展統計公報」(2022,2023年),為替レートは中国外貨取引センターウェブサイト(https://www.chinamoney.com.cn/chinese/bkccpr)。
(出所) 『中国統計年鑑2023』。
(注) 1)2023年のデータはすべて速報値。
(出所) 表1に同じ。
(注) 1)2023年のデータはすべて速報値。
(出所) 表1に同じ。
(出所) 海関(税関)総署『12月輸出入商品主要国別(地域)総額表』(各年),海関総署ウェブサイト(http://www.customs.gov.cn)。
(注) IMF国際収支マニュアル第6版に基づく。ただし,金融収支の符号については(-)は資本流出,(+)は資本流入を意味する。1)その他投資には,金融デリバティブを含まない。
(出所) 『中国統計年鑑』(各年版)。
(出所) 『中国統計年鑑 2023』,中国財政部「2023年財政収支情況」。