アジア動向年報
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各国・地域の動向
2024年のモンゴル 新国会と連立政権の発足
湊 邦生(みなと くにお)
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2025 年 2025 巻 p. 77-98

詳細

2024年のモンゴル

概 況

2024年のモンゴルは政治面で新たなスタートの年であった。前年には憲法と選挙法の改正によって国会定数が76から126に拡大し,選挙制度も改定された。本年には新制度下で初となる総選挙が行われ,与党人民党が辛うじて過半数を得たものの,オヨーン=エルデネ首相は民主党と人間党に対し連立を呼びかけた。結果として自身が首相を務める3党連立政権が発足することとなった。ただ,2025年予算をめぐって混乱が生じるなど,新政権と新国会の滑り出しは順調とは言い難い。他方,人民党は首都ウランバートルを含む統一地方選挙では圧勝した。

経済面ではゾド(雪害)による農牧業への打撃が続き,鉱工業生産の伸びも鈍化したことから成長率が低下し,インフレも2桁手前まで拡大した。オヨーン=エルデネ政権は14のメガプロジェクトをはじめとする大規模開発事業を策定して経済拡大を目指しているが,必要な資金や労働力の確保等が課題である。

対外関係では,対外関係省が2024年のハイレベル往来が過去最多となったと発表するほど,要人往来が相次いだ。特にプーチン・ロシア大統領の来訪が世界的な関心事となった。加えて,ルカシェンコ・ベラルーシ大統領の来訪と,オヨーン=エルデネ首相による2度の訪中も注目される。

国内政治

総選挙に向けた各党の動き

モンゴルでは1992年に現行憲法が制定され,国会は一院制76議席と定められてきた。また,選挙制度は比例代表並立制で行われた2012年を除き,単純小選挙区制または中選挙区制による多数代表制が採用されてきた。しかし,人口拡大による国会議員1人当たりの有権者の増加を理由に,2023年に憲法が改正され,議席数が126に増加した。同年に選挙法も改正され,78議席が中選挙区完全連記制で,48議席が拘束名簿式の比例代表制で選出されることになった。さらに選挙区も拡大され,地方はカザフ族が多数を占めるバヤン=ウルギー県を除いて3~4県で選挙区を構成することとなり,首都ウランバートルでも一部の地区で分割されていた選挙区が統合された(『アジア動向年報2024』)。

2024年には新制度下で初となる国会総選挙が行われた。4月26日から28日にかけて総選挙への参加受付が行われ,26の政党と2つの同盟から届け出があった。このうち3党の届け出が選挙法に抵触するとして届け出を却下され,1党が届け出後に不参加を表明した。さらに3党が5月の期限内に立候補者名簿を提出せず,結果として19党2同盟が今回の総選挙に参加することとなった。

参加政党・同盟のうち,与党人民党はオヨーン=エルデネ首相やザンダンシャタル国会議長をはじめ,閣僚や現職議員を各選挙区に配置し,比例代表は若手中心の候補者で臨んだ。一方の野党民主党はガントゥムル党首が比例代表名簿筆頭に記載された一方で,現職国会議員の多くは選挙区に回った。また,選挙区ではエルデネ前党首,ウヌルバヤル副党首に加えバトトルガ前大統領が立候補し,比例代表では前大統領に近いシジル元大統領広報官が立候補するなど,党内各勢力への配慮がみられた。人間党は他党との同盟を結んだ前回とは異なり単独で総選挙に参加し,選挙区・比例代表とも定数に近い数の候補者を擁立した。

他の勢力についてみると,市民の意志・緑の党はバトバータル党首が人民党と民主党以外の政党に大同団結を呼びかけたものの応じる動きはなく,結局は単独参加となった。また,民族民主党と緑の党(市民の意志・緑の党とは異なる)は「国民同盟」を結成し,代表にノムトイバヤル元国会議員が就任した。同元国会議員はかつて人民党に所属していたが,当時のフレルスフ首相と対立して離党し,2020年総選挙では直前に反腐敗庁に拘束され立候補が認められなかったことから(『アジア動向年報2021』),今回の総選挙に復活がかかっていた。

それら以外では市民運動党が定数に近い候補者を擁立したものの,同党を除くほとんどの政党・同盟の候補者数は2桁にとどまり,なかには候補者が1人のみの政党もあった。さらに,比例代表制では6党で候補者が1桁台,4党は候補者を出さなかった。この背景には,比例代表制参加の条件として選挙区選挙で半数以上の立候補者の擁立が改正選挙法で定められたことがある。中小政党にとっては選挙区で39人の候補者を揃えること自体が難しく,それができたとしても,比例代表名簿に回せる候補者の確保には限界があった。加えて,政党間で同盟を結成した場合に議席獲得に必要な得票率が引き上げられることも障害となった。改正選挙法では得票率の閾値が単独政党の場合4%,2党による同盟では5%,3党以上の同盟に対しては7%と定められたのである。比例代表制は本来,中小政党・同盟が議席を得やすい制度だが,現実にはこれらの勢力の参加を阻む実質的な障壁が設けられていた。

選挙戦で二大政党衝突

選挙戦では二大政党の対決姿勢が鮮明となった。人民党からはオヨーン=エルデネ首相が民主化運動指導者のゾリグ殺害事件を引き合いに出して民主党を攻撃した。ゾリグは1998年10月に何者かによって殺害されたが(『アジア動向年報1999』),犯人はいまだに特定されていない。この事件について,オヨーン=エルデネ首相は黒幕が当時首相代行でのちに民主党から大統領に就任したエルベグドルジだと主張した。エルベグドルジは1998年に首相に就任したものの当時の民族民主党,社会民主党,緑の党,宗教者党からなる連立与党によって解任され,首相代行を務めていた(『アジア動向年報1999』)。そして連立与党がエルベグドルジを代行から解任し,後任にゾリグを任命しようとしたことが殺害事件につながったというのである。事件へのエルベグドルジの関与を裏付ける直接的な証拠は不明であるが,首相はメディアを通じて自身の主張を繰り返し展開することで,エルベグドルジや民主党を執拗に攻撃した。一方,民主党は2016年総選挙以来の人民党政権について,民主主義指数や腐敗指数,また報道の自由指数が悪化したことを列挙し,旧社会主義政党の下で民主主義が後退したと主張した。さらに,この8年間で経済も向上しなかったとして,自党への政権交代を訴えた。

そのようななか,人民党選挙運動員による民主党地方幹部の殺害事件が起きた。6月16日に人民党候補のサイハンバヤル国防相の選挙運動員が酒に酔ってウブルハンガイ県サント郡知事・郡民主党委員長と喧嘩になり,相手を殴打して死亡させたのである。事件を受けサイハンバヤル国防相と同じ第1選挙区から立候補していたザンダンシャタル国会議長らが哀悼の意を示すなか,アマルバヤスガラン内閣官房長官は同国防相の選挙運動停止と立候補取り消しの意向を表明した。ところが,本人は謝罪こそしたものの立候補取り消しには応じず,選挙運動も継続すると表明した。その後の第1選挙区についての報道でも,人民党が各地で行った選挙集会で,ザンダンシャタル国会議長らとともにサイハンバヤル国防相が登壇しており,同相の選挙活動はなし崩し的に続けられていた。

総選挙実施,人民党が過半数維持も議席減

投票は6月28日に全国で行われた。終了後ただちに開票が行われ,2日後の6月30日には結果が確定した(図1)。与党人民党は選挙区では全78議席の3分の2近くを押さえた一方,比例代表では全48議席の4割程度を得たのみで,全体での獲得議席は過半数を若干上回ったものの,議席占有率は前回の8割から5割程度に低下した。対照的に,民主党は比例代表で人民党と同程度の議席を得たものの,選挙区では人民党の半数程度の議席獲得にとどまった。第三勢力では人間党が選挙区で2議席,比例代表で6議席を得て改選前の1議席から大きく勢力を伸ばした。市民の意志・緑の党は比例代表で4議席を獲得し,8年ぶりに国会に返り咲いた。また,国民同盟も初めての選挙で複数議席を獲得した。これら以外の政党・同盟は選挙区と比例代表のいずれでも議席を得ることはできなかった。なお,投票率は前回の73.6%から69.4%に落ち込み,過去2番目の低水準となった。

図1 2024年総選挙結果

(注)市民の意志・緑の党,国民同盟は選挙区での獲得議席なし。

(出所)ikon.mn 2024総選挙特設ページ(https://ikon.mn/elections/2024)を基に筆者作成。

今回の総選挙の結果をみると,二大政党のどちらが勝利したとも言い難い。過半数こそ制した人民党であったが,ザンダンシャタル国会議長を筆頭に,現職閣僚でも落選者が相次いだ。特に第1選挙区では同国会議長やサイハンバヤル国防相らが軒並み落選し,定数9の選挙区で当選者は2人にとどまった。先述のサント郡知事殺害事件によって特に第1選挙区の有権者の反発を招き,本来得られた議席を取りこぼした感がある。一方で,民主党は過去2回の総選挙での壊滅的状況から回復したとは言い得るが,獲得した議席は全体の3分の1であり,政権奪還には程遠い結果となった。

他の勢力についてみると,人間党は議席数を増やしたとはいえ,単独で国会議員団(院内会派)を結成できる10議席には及ばなかった。市民の意志・緑の党は議席復活を果たしたが,これは党への支持拡大というわけではないだろう。同党は殺害されたゾリグの妹オヨーンが設立し,党名にも「ゾリグ」(意志)を冠していることから,先述したオヨーン=エルデネ首相によるゾリグ殺害事件への度重なる言及によって同党への注目度が高まったことに助けられた面がある。また,比例代表名簿第2位にモンゴル有数のインフルエンサーを記載したことの効果もあったとみられる。同様に,国民同盟の議席獲得も,ノムトイバヤル元国会議員の知名度による効果が大きいと考えられる。これら以外の政党・同盟は,選挙区では中小政党の候補者乱立,比例代表では得票率の閾値が障害となり,いずれも議席を得ることはできなかった。

なお,この結果を受けて7月には第9次国会(2024~2028年)初回会合が召集され,アマルバヤスガラン内閣官房長官が国会議長に選出された。国会副議長には人民党国会議員団からボルガントヤー労働・社会保障相,民主党国会議員団からプレブドルジ国会議員が就任した。

人民党,民主党,人間党の3党連立政権成立

総選挙後にオヨーン=エルデネ首相はガントゥムル民主党党首,ドルジハンド人間党党首に対し,連立を呼びかけた。これに対し民主党内からは異論も出たが,党の意思決定機関である全国政策委員会が連立入りを承認し,人間党も提案を受け入れたことで7月に3党党首が連立協定を締結した。ガントゥムル民主党党首は重税の緩和,ビジネス環境の健全化,再生エネルギー整備など,モンゴルが直面する諸課題の解決を連立締結の理由として掲げた。一方ドルジハンド人間党党首は,連立政権に参加することで二大政党が果たせなかったエネルギー改革が推進可能になるとアピールしている。

なお,人民党が市民の意志・緑の党と国民同盟に連立政権入りを提案しなかった理由は明らかではない。ただ提案があったとしても,第三勢力結集を目指していた市民の意志・緑の党と,フレルスフ大統領と確執のあるノムトイバヤルが率いる国民同盟が受け入れていたかどうかは疑わしい。

連立協定締結を受けて,オヨーン=エルデネ首相はただちに組閣に着手し,7月に政権を発足させた。新政権では3党の代表者が副首相を務めることとなり,人民党からはアマルサイハン副首相が非常事態問題担当副首相として留任し,民主党からはガントゥムル党首が副首相兼経済・開発相に,人間党からはドルジハンド党首が競争問題担当副首相に就任した。また,アマルバヤスガラン内閣官房長官の国会議長選出を受けて,同長官にはオチラル・デジタル開発・通信相が就いた。首相・副首相含め人民党から13人,民主党から8人,人間党から2人が入閣した。モンゴルでは総選挙後に省庁再編が行われるのが常であるが,今回は省庁間での業務の移動や省名の変更こそあったものの新設や廃止はなく,16省体制が維持された。また無任所相も引き続き3人が任命されたことから,閣僚の人数は副首相が2人から3人に変わったことによって1人増加したのみにとどまった。人民党からは留任したジャブフラン蔵相やバトツェツェグ外相,教育・科学相から異動したエンフ=アムガラン家族・労働・社会保障相など前政権から引き続き閣僚を務める者が多い。連立政権に移行したにもかかわらず,内閣の規模や顔ぶれには意外と変化が生じていない。

2025年予算をめぐる混乱

新たな政権と国会が発足したが運営は必ずしも順調ではなく,とりわけ2025年予算案をめぐって混乱が生じた。9月1日に政府が予算を国会に上程し,10月からの秋期国会で審議が行われた。上程当初の予算案は歳入総額が約34兆トゥグルグ,歳出総額が約36兆トゥグルグとなっており,赤字予算の編成には批判の声もあった。それに対してオヨーン=エルデネ首相はインフラ開発等での大規模投資を予算に盛り込んでいるためと説明し,予算案の承認を求めた。ところが,審議の過程でダワースレン予算常任委員長ら選挙区選出の与党国会議員が選挙区ごとに50億トゥグルグを配分するよう要求した。さらに政府庁舎内の家具や物品購買を名目に歳出が増額され,赤字がさらに拡大することとなった。この間にオヨーン=エルデネ首相は外遊のため審議に加われない期間があり,自党所属議員を十分に制御できない状態であった。歳出膨張に対して経済界等から不満があらわになると,人民党のエンフトゥブシン議員らが予算案に反対を表明し,首相に対し歳出を削減して予算案を再提出するよう要求した。ただ,すでに審議が進んだ段階での反対表明には異論が起きたのに加え,エンフトゥブシン議員が兼職禁止規定にもかかわらずモンゴル商工会議所総裁に留任していたことで批判されていたこともあり,同調する議員は少数であった。結果として予算案は11月に可決されたが,政府は批判に応じて12月に補正予算を上程することを決めた。

ところが,この予算案にフレルスフ大統領が拒否権を行使した。拒否権は予算案全体を対象とするものであった。予算案が可決されたことで,国民からは拒否権行使を期待する声が上がっており,フレルスフ大統領の動きは世論を意識してのことと考えられる。これを受けて政府は予算を再編成する方針を表明し,国会も拒否権を受け入れたことで予算案は廃案となった。その後は新たな予算案の編成と上程が進められ,拒否権受け入れから3週間後の12月12日に国会本会議で可決された。新たな案では歳出が大幅に削減され,赤字予算が解消された。

モンゴルでは法律によって国家予算の国会承認は前年の11月15日までに行われることが定められており,今回の審議の遅れはその期限を大幅に超過する異例の事態であった。このほかにも,新国会発足後に各党内部の対立や不一致が続発しており,予算案をめぐる混乱はそのようなトラブル続きの新国会を象徴する出来事であったといえよう。とはいえ,混乱の末に我田引水的な歳出膨張が阻止されたことも見逃せない。これについては旧来の慣習に染まっていない新人議員が多く当選したことの効果として,国会改革の賜物とする評価もみられる。

統一地方選挙で人民党圧勝

10月には県・首都・郡・地区議会の統一地方選挙が行われた。モンゴルでは自治体首長の直接選挙がなく,議会が候補を選出して上位の自治体ないし政府の承認を経て就任するため,議会選挙の結果が首長人事を左右する。ただし地方選挙については国会総選挙と異なり比例代表制は導入されておらず,今回もすべての選挙で完全小選挙区制ないし中選挙区完全連記制が用いられた。

投票結果は人民党の圧勝であった。首都議会では45議席のうち人民党が40議席を獲得し,他党・同盟は民主党が残る5議席を得ただけであった。首都9地区の議会選でも人民党が8地区で議席の過半数を制しており,西部ソンギノハイルハン地区では議席をすべて独占した。唯一の例外は民主党が勝利したスフバータル地区のみであった。また,人民党は21県の議会選のうち14県で過半数を得た一方,民主党が過半数となったのは7県にとどまった。

人民党圧勝の要因としては,統一地方選挙で大政党に有利な制度が維持されていたことがまず挙げられる。2023年の選挙法改正に際しては国会の選挙制度改革に関心が集中しており,地方議会の選挙制度にまでは議論が及んでいなかった。ただし,民主党・人間党が連立政権入りしたことに対して,あくまで人民党との対決姿勢を求める有権者が失望し,投票を控えたことも要因のひとつとして考えられる。2020年の選挙結果と比較すると,民主党は首都議会で3議席を失ったほか,過半数を得ていた8県の議会のうち,中北部ボルガン県での支配権を人民党に奪われた。人間党は3県でそれぞれ初となる1議席を獲得したものの,本来の支持基盤である首都ウランバートル議会選では改選前の3議席をすべて失った。ただ,民主党・人間党とも現在の執行部の下で初当選した国会議員が多いためか,これまでのところ執行部の責任を問う動きや,国政への影響はみられない。

経 済

ゾド被害が農牧業と経済に打撃,物価上昇率は拡大

2024年のモンゴルの実質国内総生産(GDP)成長率は4.8%と,前年同期から2ポイントあまり低下した。農牧業生産が-28.7%という大幅な生産縮小に見舞われたうえ,鉱工業生産の伸びが10.9%と前年の半分弱に低下し,経済の足を引っ張った。農牧業生産の激減をもたらしたのが,前年から続くゾド(雪害)による被害であった。モンゴルでは2023年冬から大雪による家畜の大量死が相次ぎ,2024年になっても被害は収まらなかった。全国の総家畜頭数は2022年末時点で7112万頭と過去最多を記録したが,2023年末には6468万頭,さらに2024年末には5765万頭にまで減少し,10年前の水準近くまで落ち込んだ。気象機関によれば2024年12月30日時点で11県34郡がゾドの状態にあるとされており,さらなる被害拡大が懸念される。

一方,2024年の消費者物価指数は前年同期比(以下同じ)で9.0%上昇し,前年を上回った。これは11月に行われた電気料金引き上げによって住居・光熱費が23%上昇したことの影響が大きい。電気料金は政策的に低く抑えられてきたが,電力会社の赤字解消や電力部門の自由競争導入に向けた改革の一環で引き上げられた。さらに教育費の上昇率も18.6%と,前年に続いて2桁の伸びとなった。反面,食料品価格の上昇率は8.9%となり,2年ぶりに1桁台に戻った。また,酒・タバコ,保健医療,レストラン・ホテル,保険・金融,その他の財・サービスでも,前年より上昇幅が縮小した。ただ電力価格は今後も引き上げられる予定であり,その影響により2025年以降のインフレ拡大が懸念される。

大規模プロジェクトの発表と展開

2024年には大規模な国家プロジェクトが打ち出されるとともに,既存のプロジェクトでも進展がみられた。連立政権発足後,オヨーン=エルデネ首相は2024~2028年の政府活動プログラムの一環として14件のメガプロジェクトを発表した。首相の説明によると,それらは国境地点間鉄道建設および貨物ターミナル完成による輸出力強化,東部横断鉄道着工,タワントルゴイ発電所建設,エルデネブレン水力発電所建設による西部地帯電力完全自給化,エグ川水力発電所建設,再生可能エネルギー生産政策推進,ゴビ地帯での送水管および水利施設建設,モンゴル・フランス合同ウラン・原子力発電所計画開始,石炭・コークス化学コンビナート建設による石炭加工および水素製造開始,銅加工コンビナート建設,製鉄所建設による鉄鋼自給化,石油精製工場の完全稼働開始,オヨー・トルゴイ銅鉱での金精製工場建設,国産人工衛星ネットワーク構築となっている。

このうち2024年に進展があったのが,国境地点間鉄道建設と,モンゴル・フランス合同ウラン・原子力発電所計画であった。前者については,モンゴル側ガショーンソハイトと中国側ガンツモドの間の鉄道建設について,両政府間で協定が結ばれた。鉄道は,中国と同じ標準軌とモンゴルの広軌の並列となり,2025年に着工し2027年開業の予定である。また後者については,南部ドルノゴビ県ズーブチ=オボーのウラン鉱山開発について,フランスのオラノ・マイニング社との間で投資契約締結交渉が進められており,並行して国内でも核エネルギー法等の関連法案の改正が行われた。

このほか,首都ウランバートルの大気汚染や煤煙問題を背景に,地下鉄や高速道路の建設計画も進められた。地下鉄については地質調査が行われたのに加え,5月から6月にかけて実施された建設計画コンサルタントの国際入札で韓国企業4社による共同企業体が落札し,7月には首都政庁との間でコンサルタントサービス契約が締結された。10月にはニャムバータル首都知事が建設計画の詳細を発表した。これによると地下鉄は首都中心部を東西方向に貫く路線であり,総延長18キロメートル,14駅が建設され,2025年に起工予定となっている。また,高速道路は首都中心部南側のトール川沿岸と,郊外の環状道路等の建設計画が進められており,2025年には着工が予定されている。

これらのプロジェクトには過去の政権が打ち出し,計画倒れになっていたものが少なくない。オヨーン=エルデネ首相はそのような事業を実現させることで,過去の懸案を一気に解決し自らの能力をアピールする狙いがあるとみられる。ただし,問題は財源と労働力の不足である。すでに2025年予算再編成による歳出の大幅削減で,人工衛星プロジェクトの財源が不透明になるなど,政府の独自財源のみでプロジェクトが実施できる可能性はない。諸外国からの融資調達に関しても,過去に対外債務の返済でたびたび困難を経験したことから慎重な意見がある。また国内外からの投資を誘致するにしても,法整備や外資による鉱業開発への反対派対策といった投資環境の改善が課題となる。労働力不足に対しては,政府が外国人労働者の受け入れ規制緩和で対処しようとしているが,これに労働組合等が反発しており抗議デモが起きたのに加え,中国人労働者の大量流入が起きるとのデマまで発生するなど,世論のアレルギーを誘発する事態となっている。

対外関係

プーチン・ロシア大統領の来訪

2024年の対外関係で最大の出来事は,9月のプーチン・ロシア大統領の来訪であろう。本年は1939年のハルハ河戦争(ノモンハン戦争)から85周年にあたるため,フレルスフ大統領が1月にプーチン大統領と電話会談を行った際に,モンゴルでの戦勝記念行事に招聘していた。モンゴルは国際刑事裁判所(ICC)加盟国であり,ICCによる逮捕状が出たプーチン大統領が入国すれば逮捕義務が生じる。しかし,モンゴルとロシアの関係から,それは現実的ではなかった。

そのようななか,ハルハ河戦争で停戦協定が結ばれたのと同じ9月にプーチン大統領がモンゴルを訪問した。来訪時にはフレルスフ大統領との首脳会談が行われるとともに,両国政府間でウランバートル第3発電所拡張・更新設計,モンゴルへの石油製品や航空燃料の供給,エグ川水力発電所建設に関連した環境保護協力等の協定が締結された。また,会談後の共同記者会見ではプーチン大統領が2025年5月に開催予定の大祖国戦争(独ソ戦)戦勝記念行事にフレルスフ大統領を招聘したことを明らかにした。訪問日程は滞りなく進行し,この間にプーチン大統領を逮捕するような動きは一切なかった。むしろ拘束されたのは,来訪に対する抗議デモの参加者であった。なお,来訪に際してフレルスフ大統領とプーチン大統領の参加の下で戦勝記念行事が催行された形跡はない。

国際社会の批判が予期されるにもかかわらず,プーチン大統領を招聘し,来訪が支障なく行われた背景には,まずロシアのエネルギーに対するモンゴルの依存が挙げられる。バトツェツェグ外相がインタビューで述べているように,モンゴルは石油のほとんどと電力の2割以上をロシアからの輸入に依存している。加えて,モンゴルにとってロシアは旧ソ連時代以来100年以上にわたる関係の歴史を有し,現在も通商・教育・軍事・文化等幅広い分野で交流のある国であり,ロシアとの友好関係の維持は外交上最重要課題である。さらに,プーチン大統領はハルハ河戦争80周年,75周年の機会にもモンゴルを訪問している。今回に限り招聘がなかったとすれば,逆にロシアを刺激し両国関係にひびが入る恐れがあった。

とはいえ,これをモンゴルのロシアへの単なる追随とみるのは早計である。先述したとおり今回の訪問では両国間の協力に関するさまざまな合意がなされており,モンゴルからすれば国際的な名を捨てて実を取った形である。また,共同記者会見でフレルスフ大統領は「ロシアが世界の平和,安全,持続可能な開発,人類の福祉のための大事業にリーダーシップを示し,世界の信頼と相互尊重,協力強化に貴重な貢献を行うと全面的に確信」していると発言しており,ウクライナ侵攻を続けるプーチン大統領に対し,一見称賛するような表現を使いながらも,和平実現への期待を示すメッセージを送った。ロシアに追従するかのようなモンゴルの姿勢は,ともすれば「ソ連の16番目の共和国」といわれた社会主義時代の外交を連想させかねないが,実際にはプーチン大統領の来訪を利用し,自国の利益確保と国際的立場の表明につなげたのであった。

要人往来相次ぐ

2024年はプーチン・ロシア大統領の来訪以外にも要人往来が相次いだ。年末の対外関係省の記者発表によれば,大統領級15回,国会議長級3回,首相級8回,外相級8回の往来があり,ハイレベル往来は過去最多となった。

なかでも注目されるのは,6月に行われたルカシェンコ・ベラルーシ大統領の来訪である。フレルスフ大統領との首脳会談では,通商,食糧,農牧業,教育,科学,環境,非常事態等の部門での協力拡大で合意がなされた。加えて,両大統領や関係閣僚らが「友好・協力に関するモンゴル・ベラルーシ間協定」「2024~2026年両国間協力ロードマップ」をはじめとする合意文書に署名した。両国間の協力関係は旧ソ連時代からのものであり,両首脳による共同記者会見の際には,フレルスフ大統領から社会主義時代の地方都市建設に対するベラルーシの貢献に謝意が示された。他方,ルカシェンコ大統領からはロシアの「特別軍事作戦」を理由として両国間の協力に反対する意見がモンゴル国内に存在するとの指摘がなされた。これはバト=ウール元首都知事がスフバータル広場で行った抗議デモ等,来訪に反対する動きを意識しての発言とみられる。

もうひとつ目をひくのが,オヨーン=エルデネ首相が10月と11月に相次いで行った訪中である。首相は10月に上海協力機構(SCO)首脳会談の帰路中国に立ち寄り,劉国躍・中国国家能源投資集団公司董事長と会談し,ガショーンソハイト=ガンツモド国境地点間を直結する鉄道建設工事の促進で合意した。また,戴厚良・中国石油天然気集団有限公司董事長とも会談し,中国からの燃料輸入拡大や油田探索強化について協議した。翌11月の訪中では,李強首相と会談を行い,中国の無償援助によるプロジェクト・プログラムの活発な実施,環境,新エネルギー,グリーン経済,デジタル経済等広範な部門での協力拡大で合意した。加えて,エルデネブレン水力発電所プロジェクト向け融資協定やガショーンソハイト=ガンツモド国境地点間鉄道共同建設等に関する合意文書に相互署名がなされた。さらに,オヨーン=エルデネ首相は第7回中国国際輸入博覧会の開会式に出席して演説したほか,華為技術(ファーウェイ),アリババといった中国大手テック企業を訪問し,デジタル・トランスフォーメーションや人材育成での協力で合意を得た。2024年はモンゴル・中国国交樹立75周年であったが,オヨーン=エルデネ首相の訪中はそのような政治日程にあわせた両国政府の関係強化よりも,経済協力の活発化を狙った面が大きい。

上記以外での大統領・国家元首等の要人往来を挙げると,2月にシュタインマイヤー・ドイツ大統領,6月にトーンルン・ラオス国家主席,7月にワンチュク・ブータン国王,8月にアムヘルト・スイス大統領とピルツ=ムサル・スロベニア大統領,9月に韓正中国国家副主席,ラム・ベトナム国家主席,10月にトカエフ・カザフスタン大統領がそれぞれ来訪した。8月に予定されていた岸田首相の来訪は同月に発生した九州での地震の影響により中止されたが,オヨーン=エルデネ首相との間で電話会談が行われた。他方,フレルスフ大統領は6月にウズベキスタンを訪問し,ミルジヨーエフ大統領らと会談したほか,駐ウズベキスタン大使館の開設記念式典に出席した。また大統領は7月にカザフスタン・アスタナでのSCO首脳会談にオブザーバーとして出席したのに加え,フランスを訪問しマクロン大統領らと会談するとともにパリ五輪開会式に出席した。さらに大統領は9月にニューヨークでの第77回国連総会に出席し,続く10月にはトルクメニスタンを訪問,11月にはアゼルバイジャン・バクーでの国連気候変動枠組条約第29回締約国会議世界リーダーズサミットに出席した。2024年にモンゴルとの間で往来のあった国々はロシア・中国両隣国にはじまり,ユーラシア諸国,ヨーロッパ,東南アジア,南アジア,北アメリカとさまざまであり,2024年はモンゴルのバランス外交の面目躍如というべき年となった。

2025年の課題

2025年の国内政治は安定的に推移すると予想される。1月でオヨーン=エルデネ首相は就任4周年を迎えており,民主化以来首相の短期交代が続くモンゴルでは異例の長期政権を実現している。次の国政選挙は2027年の大統領選挙までなく,順調にいけば2028年の国会総選挙までの政権維持も見込まれる。しかしインフレや大気汚染・渋滞等で国民の不満は積もっており,反腐敗闘争(『アジア動向年報2024』)では当事者への処罰をめぐり司法との対立が続くなど,政権に不安要素がないわけではない。現在のところ,人民党内外で首相に対抗可能な勢力は見当たらないが,上記の問題への対応を誤れば,2021年に反政府デモからフレルスフ内閣が総辞職したように,政権が一気に不安定化する恐れもある。

経済面では14メガプロジェクトや首都輸送インフラ整備といった大規模事業の進捗が焦点となる一方で,低下した経済成長の下支えも必要となる。政府は食肉や肉製品等の輸出拡大に努めているが,ゾドによる農牧業への被害が懸念材料である。また2025年は2023年からのモンゴル観光年の最終年となっており,当初目標である外国人観光客年間100万人の達成が課題となる。

対外関係では引き続き積極的な要人往来が続くものと予想される。なかでも,2025年が第二次世界大戦終戦80周年にあたることから,これに関連しての往来が想定される。とりわけ注目すべきは,7月に予定される天皇・皇后の来訪であろう。訪問時期はモンゴル最大の祭典である全国ナーダム開催にあわせるものと想定され,モンゴル側にとっては対日友好関係をアピールする機会になるとともに,日本のモンゴルへの関心を高める効果が期待される。また,フレルスフ大統領がプーチン・ロシア大統領の招聘に応じてモスクワで5月に開催予定の戦勝80周年記念行事に参加するか否かも見逃せない。

(高知大学地域協働学部教授)

重要日誌 モンゴル 2024年

   1月
4日国税庁,チミドスレン新長官就任。
15日オヨーン=エルデネ首相,ダボスでの世界経済フォーラム出席(~19日)。
15日ジャブフラン蔵相,訪日。新駐日大使就任披露レセプションに神田財務官らと出席。
17日秋期国会閉会。
19日アマルトゥブシン対外関係副大臣,ウガンダ・カンパラでの第19回非同盟諸国首脳会議に出席(~20日)。
22日ボロルチョローン食糧・農牧業・軽工業相,ベラルーシ訪問(~24日)。
24日首都バヤンズルフ地区第26ホロー内でガス運搬車が事故により爆発。7人死亡,41人重軽傷,車両36台および建築物3軒が火災被害。
25日オチラル・デジタル開発・通信相,訪米(~2月1日)。スターリンク社等訪問。
   2月
1日モンゴル経済フォーラム,ウランバートルで開催(~2日)。地域開発がテーマ。
6日オベルチュク・ロシア副首相来訪。フレルスフ大統領らと会談。
7日最高裁判所,バトドゥル・ウランバートル鉄道輸送調整副室長の収賄事件で被告側上告棄却。禁錮10年判決確定。
7日シュタインマイヤー・ドイツ大統領,来訪(~8日)。フレルスフ大統領らと会談。
12日オチラル・デジタル開発・通信相,アラブ首長国連邦・ドバイでの世界政府サミット出席(~14日)。
16日バトツェツェグ外相,ミュンヘン安全保障会議出席(~18日)。会期中にブリンケン米国務長官と会談。
21日モンゴル・米国防省年次協議会,ワシントンD.C.で開催(~23日)。
23日アジア政党国際会議,ウランバートルで開催(~26日)。
27日ザンダンシャタル国会議長,キルギス訪問(~29日)。ジャパロフ大統領らと会談。
28日サイハンバヤル国防相,訪日(~3月2日)。木原防衛相と会談。
   3月
3日第13回モンゴル・ロシア軍事機器協力作業部会会合,サンクトペテルブルグで開催(~8日)。
5日ザンダンシャタル国会議長,ハンガリー訪問(~9日)。シュヨク大統領らと会談。
5日第6回モンゴル・日本外交・防衛・安全保障当局間協議,ウランバートルで開催。
8日モンゴル人エルデネバルスレンが国際刑事裁判所(ICC)判事就任。
10日朴明浩・朝鮮民主主義人民共和国外務事務次官来訪。バトツェツェグ外相と会談。
14日ウランバートル・地域開発フォーラム,ウランバートルで開催(~15日)。
14日アレイニク・ベラルーシ外相,来訪(~17日)。フレルスフ大統領らと会談。
15日春期国会開会。
15日モンゴル銀行金融政策委員会,政策金利を1ポイント引き下げ12%に設定。
16日スントーン・ラオス国会副議長,来訪。ムンフバータル国会副議長と会談。
21日キャンベル米国務副長官,来訪(~22日)。オヨーン=エルデネ首相らと会談。
23日ムンフバータル国会副議長,ジュネーブでの第148回列国議会同盟会議出席(~27日)。
29日オヨーン=エルデネ首相訪韓(~4月1日)。韓悳洙国務総理らと会談。
   4月
1日中国とのザミーン=ウード国境地点,業務時間を24時間化。
2日バトボルド道路・運輸開発省政務次官,安路生中国国家鉄路局副局長,ガショーンソハイト=ガンツモド間鉄道国際共同建設に関するモンゴル・中国政府間協定に署名。
4日首都公共輸送ロープウェイ建設プロジェクト起工式開催。
15日薬価上昇の原因・状況監査臨時委員会,公聴会開催(~17日)。エンフボルド元保健相,サランゲレル元保健相ら召致。
15日ツーリズム・ウィーク2024,ウランバートルで開催(~23日)。
22日バトツェツェグ外相,タイ・バンコクでの第80回国連アジア太平洋経済社会委員会会合出席(~26日)。
23日シャキエフ・キルギス国会議長,来訪(~25日)。フレルスフ大統領らと会談。
25日潘基文元国連事務総長,来訪。ウランバートルでの第2回トランスアルタイ持続可能性対話出席。
25日キャメロン英外相,来訪。フレルスフ大統領らと会談。
26日国会総選挙参加政党・同盟受付開始(~28日)。
   5月
1日バトツェツェグ外相,クレバ・ウクライナ外相と電話会談。
2日選挙中央委員会,総選挙参加政党・同盟に証書交付(~3日)。
6日オヨーン=エルデネ首相,オルホン県トゥメンジャルガル新知事任命。
9日ソブリン・ウェルス・ファンド貯蓄基金口座開設記念式典,挙行。
11日モンゴル・EU国交樹立35周年記念式典,ウランバートルで開催。
13日モンゴル銀行金融政策委員会,政策金利を1ポイント引き下げ11%に設定。
14日総選挙立候補者受付(~20日)。
14日国防省と日本の防衛省,「ザム2024」能力構築支援事業開始(~6月4日)。
18日第2回首都人民党委員会,委員長にニャムバータル首都知事選出。
21日緑色バス問題公聴会,開催(~22日)。
21日ティヤゥ砂漠化対処条約事務局長,来訪。フレルスフ大統領と会談。
22日モンゴル・ウズベキスタン政府間協定,締結。
23日ザンダンシャタル国会議長,東京での第29回日経フォーラム「アジアの未来」出席(~24日)。会期中に岸田首相らと会談。
29日第48回アジアおよび太平洋の共同的経済社会開発のためのコロンボ・プラン,ウランバートルで開催(~31日)。
31日憲法裁大法廷,バヤスガラン新裁判長選任。
31日アレイニク・ベラルーシ外相,来訪。バトツェツェグ外相と会談。
   6月
1日ルカシェンコ・ベラルーシ大統領,来訪(~4日)。フレルスフ大統領らと会談。
5日春期国会閉会。
6日第9回ウランバートル対話国際会議,ウランバートルで開催(~7日)。
10日国会総選挙立候補者発表,選挙活動期間開始(~26日)。
11日トーンルン・ラオス国家主席,来訪(~12日)。フレルスフ大統領らと会談。
11日バトツェツェグ外相,サイドフ・ウズベキスタン外相と電話会談。
16日サイハンバヤル国防相の選挙運動員,ウブルハンガイ県サント郡知事を殺害。
20日国会総選挙在外モンゴル国民投票実施(~23日)。
23日フレルスフ大統領,ウズベキスタン訪問(~26日)。ミルジヨーエフ大統領らと会談。
28日国会総選挙投票日。
30日国会総選挙結果確定。
   7月
2日新国会初回本会議開会。アマルバヤスガラン国会議長選出。
3日フレルスフ大統領,カザフスタン・アスタナでの上海協力機構(SCO)首脳会談出席(~4日)。会期中にトカエフ・カザフスタン大統領らと会談。
3日モンゴル・インド合同軍事演習「ノマディック・エレファント」,インド・メガラヤ州シロンで実施(~16日)。
5日国会本会議,オヨーン=エルデネ首相,ボルガントヤー国会副議長,プレブドルジ国会副議長選出。
8日第14回モンゴル経済フォーラム,ウランバートルで開催(~9日)。
8日ワンチュク・ブータン国王,来訪(~15日)。フレルスフ大統領らと会談。
10日第2次オヨーン=エルデネ内閣発足。
10日屈冬玉国連食糧農業機関事務局長,来訪。ザンダンシャタル大統領官房長官らと会談。
21日バトツェツェグ外相,訪米(~23日)。ブリンケン国務長官らと会談。
26日フレルスフ大統領,フランス訪問(~31日)。パリ五輪開会式出席,マクロン大統領らと会談。
27日国際軍事演習「ハーン・クエスト2024」開催(~8月8日)。
   8月
1日ブリンケン米国務長官来訪。フレルスフ大統領らと会談。
2日アムヘルト・スイス大統領,来訪(~4日)。フレルスフ大統領らと会談。
2日第6回北東アジア市長フォーラム,ウランバートルで開催。
3日マナロ・フィリピン外相,来訪(~6日)。バトツェツェグ外相らと会談。
7日バトツェツェグ内閣官房副長官就任(バトツェツェグ外相とは別人)。
8日ニャムバータル首都知事,首都政庁全組織のヤールマグへの移転完了発表。
12日コズロフ・ロシア天然資源・環境相,来訪。オヨーン=エルデネ首相らと会談。
13日岸田首相,オヨーン=エルデネ首相と電話会談。
15日臨時国会開会。
18日モンゴル・ロシア合同軍事演習「セレンゲ2024」開催(~26日)。
18日第8回アジア政党国際会議女性グループ会合,ウランバートルで開催。
20日ピルツ=ムサル・スロベニア大統領,来訪(~24日)。フレルスフ大統領らと会談。
22日世界女性フォーラム,ウランバートルで開催(~23日)。
25日バドル・オマーン外相来訪(~26日)。フレルスフ大統領らと会談。
27日統一地方選挙立候補受付開始(~9月2日)。
30日臨時国会閉会。
   9月
2日プーチン・ロシア大統領,来訪(~3日)。フレルスフ大統領らと会談。
6日韓正中国国家副主席,来訪(~8日)。フレルスフ大統領らと会談。
13日モンゴル銀行金融政策委員会,政策金利を1ポイント引き下げ10%に。
16日オトゴンバータル真正党党首,記者会見中のナランバヤル教育相に卵を投げる。
18日フィッチ・レーティングス,モンゴルの長期格付けをB+,見通しを安定的に引き上げ。
21日フレルスフ大統領,第79回国連総会出席(~26日)。
27日バトツェツェグ外相,ニューヨークでのG77外相会合出席。
30日ラム・ベトナム国家主席,来訪(~10月1日)。フレルスフ大統領らと会談。
  10月
1日秋期国会開会。
2日モンゴリア・マイニング・ウィーク,ウランバートルで開催(~5日)。
4日S&Pグローバル・レーティング社,モンゴルの債務格付けをB+,見通しをポジティブに引き上げ。
4日岡村・国際通貨基金(IMF)副専務理事,来訪。オヨーン=エルデネ首相と会談。
4日フレルスフ大統領,トルクメニスタン訪問(~13日)。最高指導者ベルディムハメドフらと会談。
7日パッソ欧州復興開発銀行総裁,来訪(~9日)。フレルスフ大統領らと会談。
7日アル=バハル・アラブ経済社会開発基金事務局長代理,来訪(~8日)。フレルスフ大統領らと会談。
11日統一地方選挙投票日。
13日フレルスフ大統領,トルクメニスタン・アシハバードでのマグトィムグルィ・フラギ生誕300周年記念国際フォーラム出席。
15日オヨーン=エルデネ首相,パキスタン・イスラマバードでのSCO首脳会議出席(~16日)。会期中にミシュスチン・ロシア首相らと会談。
18日オヨーン=エルデネ首相,訪中。劉国躍国家能源投資集団董事長らと会談。
19日統一地方選挙追加投票実施。
26日地域開発全国大会,ウランバートルで開催。
28日トカエフ・カザフスタン大統領来訪(~29日)。フレルスフ大統領らと会談。
  11月
1日潘基文元国連事務総長,来訪(~2日)。
4日オヨーン=エルデネ首相,訪中。李強総理らと会談。
8日国会本会議,2025年予算案可決。
8日ホブド県ミャンガト郡住民ら,ハルザン・ブレグテイ鉱山開発抗議デモ挙行。
8日モンゴリア・マイニング2024,ウランバートルで開催(~10日)。
9日フレルスフ大統領,アゼルバイジャン訪問。バクーでの国連気候変動枠組条約第29回締約国会議世界リーダーズサミット出席(~13日)。会期中にアリエフ・アゼルバイジャン大統領らと会談。
13日デルゲルサイハン国家登録庁長官,飲酒による暴力事件により辞職。
18日ムーディーズ,モンゴルの債務格付けをB2に引き上げ。
20日フレルスフ大統領,2025年予算案に対し拒否権行使。
22日国会本会議,2025年予算案に対するフレルスフ大統領の拒否権受け入れ。
28日モンゴル商工会議所,第22回総会開催。トゥル=オド新総裁選出。
  12月
1日オヨーン=エルデネ首相,サウジアラビア,アラブ首長国連邦歴訪(~9日)。サウジアラビア・リヤドでの砂漠化対処条約第16回締約国会議出席,会期中にムハンマド・サウジアラビア皇太子らと会談。
11日最高裁,開発問題公判判決言い渡し。
12日国会本会議,2025年予算修正案可決。
13日モンゴル銀行,政策金利を10%に据え置き,内貨準備率および外貨準備率をそれぞれ1ポイント引き上げ,11~16%に設定。
18日閣議,環境汚染緩和国家委員会設置決定。
20日臨時閣議開催。ソブリン・ウェルス・ファンドを「チンギス基金」と改名。
20日アマルサイハン副首相,ロシア訪問。オベルチュク副首相らと会談。
21日ウズベキスタンへの家畜生体の空輸開始。
30日ウランバートル=アメリカ・ダラス間直行便試験飛行成功。

参考資料 モンゴル 2024年

① 国家機構図(2024年12月末現在)

(注)1)国家元首。政党の推薦を受け国民の直接選挙で選出,任期6年。大統領資格は50歳以上,選挙前5年以上継続して国内に居住したモンゴル国籍の者。2)国家最高機関。定員126人。任期4年。議員資格25歳以上。首相以下の閣僚を選出。定例年2回,1回75日以上。3)最高裁長官は最高裁の提案で大統領が任命。検事総長は国家大会議との協議を経て大統領が任命。4)任期4年。5)アイマグ(県),首都の知事は地方議会の提案で首相が任命。ソム(郡),地区などの首長は上部アイマグ,首都知事が任命,任期4年。6)憲法裁判所判事は,大統領と最高裁判所が推薦し,国会が任命。

② 政府・国会要人名簿(2024年12月末現在)

主要統計 モンゴル 2024年

1 基礎統計

(注)1)暫定値。2)各年12月時点の対前年同期比。消費者物価指数の基準年は2021年まで2015年,2022年より2020年。3)モンゴル銀行各年12月31日公表値。

(出所)人口,消費者物価上昇率,失業率:Mongolian Statistical Information Service (https://www.1212.mn)。為替レート:モンゴル銀行ウェブサイト(https://www.mongolbank.mn/)。

2 支出別国内総生産(名目価格)

(注)1)暫定値。2)貴重品の取得マイナス処分を含む。

(出所)Mongolian Statistical Information Service (https://www.1212.mn).

3 産業別国内総生産(実質:2015年価格)

(注)1)暫定値。

(出所)表2に同じ。

4 家畜頭数

(注)1)暫定値。

(出所)表2に同じ。

5 国際収支

(注)IMF国際収支マニュアル第6版に基づく。したがって,金融収支の符号は(-)は資本流入,(+)は資本流出を意味する。1)暫定値。

(出所)モンゴル銀行ウェブサイト(https://www.mongolbank.mn/)。

6 主要国別貿易構成比(2024年)1)

(注)1)暫定値。

(出所)National Statistics Office of Mongolia, Socio-Economic situation of Mongolia, preliminary results of 2024.

7 主要輸出品

(注)1)暫定値。

(出所)表2に同じ。

8 主要輸入品

(注)1)暫定値。

(出所)表2に同じ。

 
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