2011 年 54 巻 4 号 p. 263-269
乳幼児期に存在する難聴に対して原因診断を行うことは, 児の将来の状況を予見し, 必要な対策を考える上で重要な情報をもたらす。その一方でしばしば難聴自体の臨床症状はそれぞれ類似しており, お互いを区別することは困難であることも少なくない。本稿では, 難聴の原因を, 1) 遺伝的因子を原因とする難聴と 2) 環境因子その他を原因とする難聴に大別し, こうした疾患群の特徴を概説, それらの原因診断の意義と問題点について解説した。とりわけこうした疾患をその臨床徴候から鑑別を進め, 根底にある原因を推測することは臨床的には重要な意義を持つと考える。