AUDIOLOGY JAPAN
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原著
難聴遺伝子の保因者診断を行った一例
竹内 万彦石永 一坂井田 寛宇佐美 真一
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2012 年 55 巻 4 号 p. 236-241

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抄録

難聴遺伝子の保因者診断を行った一例を経験したので報告する。難聴を持つ35歳男性が難聴遺伝子の検索を希望し来院した。父親には軽度の難聴を認めたが, 母親, 親戚, 同胞には難聴者はいない。標準純音聴力検査では中等度の両側感音難聴を示した。難聴遺伝子検査では, GJB2遺伝子にG45E (ヘテロ) およびY136X (ヘテロ) を認めた。しばらくして, 発端者の妻 (35歳) が来院した。彼女は聴力正常で家族にも難聴者はいなかった。生まれてくる子が難聴になる可能性を知りたいという希望であった。オージオグラムはほぼ正常であったが, 遺伝子検査の結果, GJB2遺伝子の176-191del 16bpのヘテロ接合変異が検出された。子供が難聴となる再発率は, 25-50%と考えられた。保因者診断は, 臨床遺伝専門医と連携し, 遺伝学的検査・診断に関するガイドラインに従って進める必要がある。

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© 2012 日本聴覚医学会
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