2015 年 58 巻 1 号 p. 46-59
要旨: functional Magnetic Resonance Imaging (fMRI), Positron Emission Tomography (PET), 脳磁図などさまざまな脳機能画像が, 聴覚臨床, 研究の場で用いられているが, 脳磁図は同期した神経活動を 1ms 単位の時間分解能で直接的に計測するという特徴を有している。 聴覚野の活動評価は脳磁図の良い適応であり, 左右半球別の評価が容易にできる。 人工内耳など人工聴覚器装着下での計測が難しいなど, 計測上の制約はあるが, 従来から用いられてきた加算平均法により得られる N100m や ASSR は安定した反応指標で, 難聴に伴う聴覚野の可塑的変化の評価などに有用である。 今後は, 時間-周波数解析やコヒーレンス解析の導入により, 加算平均波形を用いた検討では限界のあった音声処理過程などの解析も可能になり, 新たな知見が得られることが期待される。