AUDIOLOGY JAPAN
Online ISSN : 1883-7301
Print ISSN : 0303-8106
ISSN-L : 0303-8106
原著
入院中のアルツハイマー型認知症 (AD) 患者に対する補聴器適合の試み
能登 霊威中澤 操
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 59 巻 1 号 p. 50-57

詳細
抄録

要旨: 入院中のアルツハイマー型認知症患者9例に対して聴力検査と補聴器適合を行なった。5例は補聴器適合検査の評価基準を満たし且つ退院後の補聴器使用継続に至り (成功例), 4例が同基準に満たないか退院後の使用に結びつかなかった (非成功例)。成功例と非成功例で比較すると年齢, 平均聴力, 補聴試用日数, 日常生活自立度, 長谷川式認知症スケール, 認知症経過年数, 難聴の自覚の有無, 音場語音明瞭度検査では差が無かったが, 外来や病棟での本人以外から見た「疎通評価」と本人の「自己評価」で差が見られた。この二つの項目は, コミュニケーションそのものを評価するものであることから, アルツハイマー型認知症患者の補聴器使用の可否を判断する指標となり得ることが示唆された。

著者関連情報
© 2016 日本聴覚医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top