AUDIOLOGY JAPAN
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原著
『きこえについての質問紙2002』の評価点に表れた補聴後の変化
―軽中等度難聴例に関する検討―
鈴木 恵子岡本 牧人鈴木 牧彦佐野 肇原 由紀井上 理絵梅原 幸恵
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2017 年 60 巻 6 号 p. 492-499

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抄録

要旨: 『きこえについての質問紙2002』において評価点は, 素点で得られた結果を6つの下位尺度間で比較するために設定された。本研究では評価点の臨床的な意義を検討する目的で, 軽中等度難聴163例を対象として, 補聴に際して評価点に表れた変化を後方視的に分析した。その結果, 補聴前の評価点分布は概して均等であり下位尺度間で差がなく, ここをベースラインに補聴後の変化を尺度間で比較することの妥当性が示唆された。補聴後, 聞こえにくさ3尺度で対象の8割以上, 心理社会的影響2尺度で過半数において, 評価点が2以下に軽減した。コミュニケーションストラテジーでは変化がなかった。補聴後の評価点分布が下位尺度間で異なった結果は, 補聴器適合だけでは軽減しにくい問題への介入の必要性を示唆する。6つの評価点を結んでプロフィールを描くと, 主観評価の特徴を視覚的に呈示でき, 聴覚リハビリテーションに評価点プロフィールを活用する可能性は大きいと考える。

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© 2017 日本聴覚医学会
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