AUDIOLOGY JAPAN
Online ISSN : 1883-7301
Print ISSN : 0303-8106
ISSN-L : 0303-8106
「軽度・中等度難聴に対する聴覚リハビリテーション」 「若年発症型両側性感音難聴」
Zona pellucidaドメインの TECTA 遺伝子変異により発症した非症候群性常染色体優性遺伝性難聴家系における聴力像の解析 : 特徴的な皿型オージオグラムの加齢性変化
中西 啓喜夛 淳哉西尾 信哉宇佐美 真一三澤 清
著者情報
キーワード: 純音聴力検査, 難聴, TECTA
ジャーナル フリー

2022 年 65 巻 2 号 p. 145-151

詳細
抄録

要旨: 常染色体優性遺伝性難聴家系において遺伝学的検査をおこない, 本人と母に TECTA 遺伝子多型を同定した。 TECTA 遺伝子多型は zona pellucida ドメインに位置しており皿形のオージオグラムを呈することが多いと報告されている。 本人は皿形のオージオグラムを呈していたが, 母は高音障害型であった。 母の経時的なオージオグラムを解析すると, 54歳時には皿形のオージオグラムを呈しており, 加齢とともに高音域の聴力閾値が上昇して高音障害型となっていた。 一方, 母の中音域の難聴の進行度は0.5dB HL/年とほとんど進行していなかった。 これらのことより, zona pellucida ドメインの TECTA 遺伝子変異でも,加齢とともに高音域の聴力閾値が上昇して高音障害型となる可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2022 日本聴覚医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top