AUDIOLOGY JAPAN
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総説
異分野連携による内耳基礎研究と難聴治療への展望
日比野 浩
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2022 年 65 巻 4 号 p. 221-229

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抄録

要旨: 内耳研究に携わる医科学者にとって感音難聴の克服は, 大きな挑戦である。 有効な治療法の開発には, 「生きているがゆえに」起こる内耳蝸牛の特有な生命現象の作動原理を, 動物モデルを通じて理解し, その結果に基づき病態を解明することが必要である。 しかし, 蝸牛は骨に囲まれ繊細な管腔臓器であり, 信号も微小である。 この困難な対象に挑むため, 我々は, 実験科学に加え, 時に医工連携を介した技術開発や計算科学を織り交ぜながら, “生きている” 動物の蝸牛にこだわり, 基礎研究を進めてきた。 本稿では, これまで取り組んできた感覚上皮と血管条の生理学的解析, そして蝸牛の薬物動態を計測する独自の技術について概説する。

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© 2022 日本聴覚医学会
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