1990 年 33 巻 3 号 p. 220-224
1955年にRainvilleが発表した骨導雑音法は, 被検査耳のみを用いるため対側の聴力低下が問題とならない。 また, 現在広く用いられている骨導聴力検査法で行われているように, プラトーを求めたり, 計算でマスキングレベルを求めたりする必要がない。 我々は検査手順をより簡便にし, 測定範囲を広くするため, 骨導雑音法原法に工夫を加え, 新しい変法を考案した。 本法と原法の異なる点は, 以下の3点である。 (1) 骨導雑音には, ホワイトノイズではなく, 実効マスキングレベルで較正されたバンドノイズを用いる。 (2) 気導音聴取用には, 耳載せイヤホンではなく, 挿入イヤホンを用いる。 (3) 骨導雑音で遮蔽する気導音のレベルは, 域値ではなく (域値+n) dBとする。 今回は, 本法を臨床応用するにあたり必要と思われる3種の基礎的実験を行い, 臨床応用に際し留意すべき点について確認した。