AUDIOLOGY JAPAN
Online ISSN : 1883-7301
Print ISSN : 0303-8106
ISSN-L : 0303-8106
人工中耳と耳掛け型補聴器による騒音下語音明瞭度の比較
佐伯 忠彦暁 清文柳原 尚明
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 34 巻 3 号 p. 158-164

詳細
抄録

人工中耳とフィッティングした耳掛け型補聴器の聴覚について, 騒音下と非騒音下で語音明瞭度あるいは了解度検査を行い比較検討した。 対象は人工中耳植え込み患者5名である。 語音にはTY-89語音検査表の単音節語音と成人用2音節単語, 騒音にはマルチトーカーノイズを使用し聴覚評価には語音明瞭度と了解度を用いた。
単音節語音では, 非騒音下において, 人工中耳群, 補聴器群で語音明瞭度は各々平均93.2%, 90.8%と有意差はなかった。 一方, 65dB SPLの騒音下では, 各々平均59.2%, 45.2%, と有意差を認めた (P<0.01)。 騒音音圧を変化させても人工中耳群と補聴器群の語音明瞭度は有意差をもって低下した (P<0.01, 0.001)。 2音節単語による語音了解度においても同じ検査条件下で単音節語音の場合とほぼ同様の結果を得た。 以上より, 騒音下における人工中耳の語音明瞭度あるいは了解度は耳掛け型補聴器のそれに比べて優れていることが分かった。

著者関連情報
© 日本聴覚医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top