AUDIOLOGY JAPAN
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感音性難聴者の聴力レベルとDPOAEレベルの相関
佐藤 利徳大山 健二和田 仁高坂 知節
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1993 年 36 巻 4 号 p. 230-237

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抄録

Distortion product otoacoustic emissions (DPOAE) のレベルの測定値から聴力レベルの推定が可能か否かを明らかにすることを目的として, 末梢聴器障害によると思われる種々の程度の感音性難聴者で各周波数においてDPOAEのレベルを測定し, 対応する周波数での標準純音聴力レベルとの相関を調べた。 その結果, 聴力レベルの変化を追跡し得た例ではこれらの間に明瞭な直線的関係が認められ, 一般に聴力レベルが約50dB以上になるとDPOAEが雑音レベル以下となり観測することができなくなることがわかった。 対象とした感音性難聴者全体で見た場合には, 両者の間には高い相関が見られ, 入力音の周波数をf1, f2とした場合, f2あるいはf1とf2の相乗平均の周波数を聴力検査の周波数と対応させた場合に特に高い相関係数を示した。 しかし, 同一の聴力レベルを示した例であっても測定されたDPOAEレベルには大きなばらつきが見られ, DPOAEレベルの値から聴力レベルを推定することは困難であると結論された。

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© 日本聴覚医学会
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