抄録
筆者らが作成した日本語版のHearing disability and handicap scale (HDHS) を用い, 騒音性難聴者85名を対象にデータを収集した。 平均聴力レベルと各設問に対するスコアー及び3つの下位尺度のスコアーとの関係について検討すると共に, 聴力障害の自己評価尺度としてのHDHSの信頼性と妥当性, 並びに, その活用法等について考察した。 被験者は, 左右両耳の6分法平均聴力レベルに基づき3つのグループに分けられた。 20項目の設問に対するスコアー, 聴取障害とハンディキャップに関する3つの下位尺度のスコアー及び合計スコアーは, 平均聴力レベルの上昇にしたがっていずれも増大した。 下位尺度に対する信頼性係数αは0.84-0.93と高く尺度の内的整合性が確認された。 また, 因子分析により, あらかじめ想定した下位尺度に概ね一致する4つの因子が抽出された。