AUDIOLOGY JAPAN
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小児心因性難聴
両側性と一側性の臨床的検討
工藤 典代佃 朋子神田 敬
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1999 年 42 巻 2 号 p. 137-141

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抄録

過去9年間に経験した小児の心因性難聴67例 (女児53例, 男児14例) のうち, 61例は両側性であり, 6例は一側性難聴を呈していた。 両側性難聴を示す群と一側性を示す群の臨床上の特徴を検討した。 一側性の症例はすべて女児で, しかも発症した学年はすべて小学2年生であった。 発見の契機としては, 両側群は学校健診で発見されることが多いのに対し, 一側性は耳症状を自覚し難聴の訴えも明確であり, 耳鼻科を受診し心因性難聴と診断されることが多かった。 耳への打撲や音響刺激など耳に対する直接的な外因が明らかな例が半数あり, しかも診断がつけば回復する傾向があった。 ただ, 一側性には突発性難聴と診断され薬物療法を受けている例も半数にみられ回復しやすいことを考慮すると, 一側性の心因性難聴の実数はより多いことが予測され, 一側性難聴の診断には十分留意する必要があると考える。

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