AUDIOLOGY JAPAN
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抗ムンプスIgM抗体が持続陽性を示した急性感音難聴の1例
内田 真哉松波 達也鈴木 敏弘久 育男
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2003 年 46 巻 1 号 p. 74-80

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抄録

急性感音難聴発症時, ムンプスの臨床症状がなく, 抗ムンプスIgM抗体陽性であった1例について経過を追跡し, IgM抗体の持続陽性を認めた。ムンプス難聴の診断基準 (厚生省特定疾患急性高度難聴研究班) からは, 本例はムンプス難聴準確実例となり, 突発性難聴からは除外される。また, これまでムンプス (不顕性) 難聴発症後IgM抗体が1年以上に渡って持続陽性であったとする報告はない。我々は患者血清から採取したIgM抗体のムンプス特異性を確認する目的で, 抗原吸収試験およびショ糖密度勾配遠心法によるグロブリン分画測定を実施し, ムンプス特異抗原であることを確認した。さらにムンプスIgG avidity を測定し, Avidity が低値を示すことを確認したが, その評価については今後の経過観察, 症例の蓄積が必要と思われた。

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