AUDIOLOGY JAPAN
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急性中耳炎に併発した感音難聴について
沖津 卓二上田 成久伊藤 薫
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2003 年 46 巻 2 号 p. 103-110

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抄録
感音難聴を併発した急性中耳炎 (20例22耳) および滲出性中耳炎 (8例8耳) 症例について, 主として臨床像および骨導域値について検討した。その結果は以下の通りである。
1. 症例の75%に感冒ないし感冒様症状が先行した。
2. 鼓膜・外耳道に水疱, 出血, びらんなど23.3%に, 鼓膜の著しい膨隆は26.7%に認められた。
3. 眩暈を伴った症例は17.9%であった。
4. 初診ないしは初回検査時の骨導域値, 気導-骨導差, および治癒症例の骨導域値の改善度の平均値は, 各周波数間で有意の差は認められなかった。
5. 平均骨導聴力の予後は比較的良好で, 治癒率は73.9% (17/23耳) であった。
6. 鼓膜切開・排液により骨導域値が著明に回復する症例の骨導域値の上昇は, 貯留液の中耳・内耳への物理的影響によるものと考察した。
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