抄録
本実験は,ごく短時間視覚提示された情報は,その持続的な感覚痕跡,またはアイコニック・メモリーに対して選択的走査およびこれにひきつづきリハーサルが行なわれることをその前提としたものである。シュパーリング(1960)に準じた,刺激提示後に再生の手掛りを与える手続きの実験で.(a)材料の聴覚的類似性,(b)刺激提示後,再生の手掛りが与えられるまでの時間間隔,および(c)同時提示される音節数の3変数を操作した結果,聴覚的に類似の音節が提示された場合,提示される音節数の増加に伴って再生量の減少および反応時間の増大を,いずれも直線的な凾数関係をもって示し得たが,以上の結果に関しては,上記のアイコニック・メモリーからの継時的な情報走査,およびこれにひきつづいたリハーサルにより,解釈を試みた。