日本ベントス研究会連絡誌
Online ISSN : 1883-888X
ISSN-L : 0289-4548
ムラサキイガイ幼貝の出現について
梶原 武
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1980 年 1980 巻 19-20 号 p. 31-36

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抄録

東京湾は典型的な高度開発水域であり、海岸線の大部分は埋立てられて、コンクリート護岸や港湾施設が連続している。このような海岸岸壁の潮間帯には、ムラサキイガイを主体とした付着生物帯、すなわちムラサキイガイ床が形成されている。さらに湾内の海中人工構造物上の付着生物においてもムラサキイガイが優占している。潮間帯のムラサキイガイ床においては、ムラサキイガイの寿命は2年以下で、その現在量の大部分を当才~1才貝が占めている(梶原他,1978)。したがって、毎年大量の幼貝が付着しなくては、本種の繁栄を支えることはできないと考えられる。 ムラサキイガイ幼貝の付着に関しては多くの報告があるが、日本においては幼貝の発育段階別に出現状態を調査した報告はない。本報告では、現在筆者が東京港で行っている幼貝の出現調査の資料を中心にして表題について概説する。

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