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論文
木もれびの森の成長と森に対する近隣住民の意識の変化
山本 知紗 倉本 宣
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 25 巻 p. 27-34

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抄録

 神奈川県相模原市に位置する73haの緑地、木もれびの森において、木もれびの森と森に関わる人々の変化を森側の調査と人側の調査の結果を統合することで明らかにし、新たな人と森の関わり方について述べることを目的とし調査を行った。森側の調査より、手入れが行われている区域では手入れが行われていない区域と比較して草本層、亜高木層の植被率が高く、低木層の植被率が低い結果となった。人側の調査のうち聞き取りより、相模原台地上の雑木林において第二次世界大戦以前は伐採、下刈り、落ち葉かきが行われてい たこと、第二次世界大戦以前後になると開墾が行わ れ、残った雑木林では下刈りは行われていたこと、高 度経済成長期には森に人の手が入らなくなったこと、 2000年前後からは伐採や道の整備が行われているこ とが聞かれた。アンケートからは木もれびの森は一部 の近隣住民によって日常的に利用されていること、森 の植生変化に気づいている利用者は少なく、森を残す ために主体的に動くという意識はないことがわかっ た。

 時代とともに森と人との関わりは変わり、森の様子 も変化してきた。利用者のほとんどが近隣住民であり 利用頻度も高い木もれびの森において利用者が森につ いて理解や関わりを深め、管理の一部に参加し、木も れびの森の良好な自然を維持していくことが望ましい と考えられる。

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© 2018 日本野鳥の会 神奈川支部
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