バイオインテグレーション学会誌
Online ISSN : 2186-2923
全部床義歯の機能評価法を応用した全部床義歯およびインプラントオーバーデンチャー装着者の治療結果を簡便に評価しうる“リンゴを用いた義歯の機能・患者満足度評価法”の構築と有用性の検討
ジャーナル オープンアクセス

2018 年 8 巻 1 号 p. 61-67

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抄録
近年,ライフステージに応じた口腔機能管理の重要性が問われている.特に無歯顎者の「噛めない」「食べられない」と言った“食”に関する問題は切実である.このような問題に対し,口腔機能,とりわけ咀嚼機能の回復は義歯治療(有床義歯補綴治療)が主体をなすことが一般的と言え,それを担う多くの職種の中でも歯科が果たす役割は大きい.義歯治療の成否は患者の“食”の問題を大きく左右する.そのため義歯には“安定した咀嚼”を行いうる機能が具備されていなければならないのは当然である.しかし“安定した咀嚼”を客観的・定量的に評価する確立された手法は存在していない.義歯治療による機能回復の程度や様相を知ること,言わば義歯装着者の咀嚼機能評価は,義歯の挙動変化を示す“不安定に対する評価”に,食への“安定に対する評価”である咀嚼能力をも評価されるべきであり,さらには実際に使用する患者の意見をも反映した患者満足度も含めた評価が望まれる.しかし従来の義歯装着者の咀嚼機能評価は咀嚼“能力”に主眼が置かれ,咀嚼“機能”を十分に評価することは困難であった.これまで著者らは,臨床の現場で全部床義歯治療における“不安定に対する評価”に重点を置いた義歯の機能時・満足度の評価や,被検食品を用いた咀嚼の評価を行っており,“安定した咀嚼”を得るために奮闘してきた.今回,これら義歯の機能評価法と咀嚼機能評価法とを統合し,新たにThe Apple Scale として体系化したため,その概要について報告するとともに,インプラントオーバーデンチャー装着者の治療結果評価への適用を試みたところ興味ある知見が得られたため報告する.
© 2018 一般社団法人バイオインテグレーション学会
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