Seibutsu Butsuri
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2022 Volume 62 Issue 2 Pages 143

Details

励起比 Excitation ratio

光化学系Iと光化学系IIにおけるクロロフィルの励起の割合が直線的電子伝達,循環的電子伝達に重要な影響を与える.この光エネルギーによる光化学系Iと光化学系IIの励起の割合を励起比と呼ぶ.(106ページ)(清水,戸谷)

マーカス理論 Marcus theory

電子移動の際の電子の動きに核の動きが追随できないという仮定のもと,電子波動関数に関係する項(電子因子)と溶媒の運動も含む原子核の運動に関係する項(核因子)の積で電子移動速度が定義されるとした理論.(117ページ)(佐藤ら)

メタダイナミクス法 Metadynamic method

限られた計算時間で効率的なサンプリングを実現するための計算技法の一種.自由エネルギー地形の谷を人工的なポテンシャルでかさ増しすることで,地形上の様々な箇所のサンプルリングの実現を目的とする.(121ページ)(渡邉)

量子コヒーレンス Quantum coherence

量子状態の位相情報を保持している状態.一般的に,コヒーレンス時間が長いほど量子センシングの感度が高い.(122ページ)(外間)

アップコンバージョンナノ粒子 Upconversion nanoparticles

励起に利用する光の波長よりも短い波長で発光するナノ粒子.ランタノイドをドープしたものが一般的であり,生体イメージング,医療,太陽光発電,フォトニクスと幅広い分野に利用されている.(122ページ)(外間)

プラズモン Plasmon

金属自由電子の集団的な振動の量子.金や銀などの金属に特定の条件で光を照射すると,フォトンとプラズモンが結合し,金属表面に高強度な局在光場を生成できる.光センサーや超解像光学顕微鏡に応用されている.(128ページ)(馬越)

プラズモンカップラ Plasmon coupler

フォトンとプラズモンを結合させるための構造.例えば,金属表面に数百ナノメートル幅の溝を設けると,カップラとして機能し,溝に光を照射することによってプラズモンを励起できる.(129ページ)(馬越)

アバランシェフォトダイオード Avalanche photodiode

半導体中で電圧印加し電子を加速させると,半導体原子に衝突し,さらに電子・ホールが生成される.これを繰り返し,電子数を雪崩(アバランシェ)の如く増幅することによって,極めて高い感度を実現する光検出器.(129ページ)(馬越)

ナノスケールマルチモーダル計測 Nanoscale multimodal measurements

様々な計測法を統合して分析できる計測技術.その中でも,特に計測空間のスケールがナノオーダーのもの.(130ページ)(馬越)

誘導放出制御顕微鏡法 Stimulated emission depletion (STED) microscopy

超解像顕微鏡法の一種.励起光とともに中空形状の誘導放出制御光を試料に照射し,励起光の集光スポット辺縁部を誘導放出過程により発光させる.誘導放出光成分を光学的に分離し,中央の自然放出光(蛍光)のみを抽出すると,実効的な集光スポットを小さくできるため,超解像効果が得られる.(132ページ)(大友ら)

Gene Ontologyエンリッチメント解析 Gene Ontology enrichment analysis

大規模遺伝子解析で取得された遺伝子集団が,集団として持つ特徴を明らかにするために行われる解析.解析者の生物学的知識に頼らずに,客観的に遺伝子集団が持つ特徴を明らかにすることができる.単に「GO解析」とも呼ばれる.(135ページ)(守屋)

サルコメア Sarcomere

骨格筋や心筋(横紋筋)の収縮単位で,アクチンフィラメントとミオシンフィラメントが交互に櫛状に入り込んだ構造をもち,両フィラメントが滑り運動することにより収縮する.(137ページ)(平塚,新田)

レプリカ対称性破れ Replica symmetry breaking

ランダムな相互作用を持つ系の理論上のコピー(レプリカ)は,熱平衡でオリジナルと同じ構造を取ると期待されるが(レプリカ対称性),実際には,自由エネルギー地形の多数の極小に対応した多数の異なる構造が現れて対称性は破れる.スピングラスを例としてParisiが理論を定式化し,2021年ノーベル物理学賞の受賞理由となった.(141ページ)(笹井)

 
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