Seibutsu Butsuri
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2023 Volume 63 Issue 2 Pages 119

Details

シッティンクドロップ蒸気拡散法 Sitting Drop Vapor Diffusion Crystallization

タンパク質の結晶化方法のひとつ,蒸気拡散により静置(シッティング)したタンパク質溶液のドロップが濃縮され,結晶核形成と結晶成長が促進される.(93ページ)(伊藤ら)

ギャップ結合チャネル Gap junction channel

多細胞生物に存在する,隣接する細胞の細胞質をダイレクトにつないで連絡する導管型の細胞間結合構造.隣接細胞を電気的または化学的にカップリングさせている.(97ページ)(大嶋)

ナノディスク再構成 Nanodisc reconstitution

ナノディスクは膜タンパク質が脂質に埋まり,その周囲がベルトタンパク質(membrane scaffold protein: MSP)で囲まれて粒子状になったもの.可溶化された膜タンパク質が界面活性剤の除去によって再度脂質に埋まることから再構成と呼ぶ.(98ページ)(大嶋)

高速原子間力顕微鏡(高速AFM) High-speed atomic force microscopy

AFMは固体基板に吸着したタンパク質等の観察対象物を先鋭な探針でなぞることにより,試料の表面形状をナノメートル分解能で画像化出来る顕微鏡である.高速AFMではサブ秒(~100 ms/frame)の時間分解能でリアルタイムイメージングが出来ることから,液中におけるタンパク質の構造変化や自己組織化過程などの動態観察に利用されている.(104ページ)(西口ら)

疑似AFM像 Pseudo-AFM image

結晶構造や電子顕微鏡像で解析されたタンパク質の3次元構造の特定の面と,AFMの探針を模したコーン状構造(通常,先端直径1 nm,開き角10°程度を使う)との衝突シミュレーションにより作られる画像.実際の高速AFM像と比較することで,タンパク質の観察面(配向)の特定や,観察している構造の推定に使われる.(105ページ)(西口ら)

Cas酵素 Cas enzyme

原核生物のCRISPR-Cas獲得免疫機構においてはたらくRNA依存性核酸切断酵素.Cas9やCas7-11といった多彩な生化学的特性を示す多様なCas酵素がこれまでに同定されている.(107ページ)(加藤,西増)

ガイドRNA Guide RNA

ガイドRNAは標的核酸と相補的な塩基配列(ガイド配列)をもち,Cas酵素とエフェクター複合体を形成する.(107ページ)(加藤,西増)

Cas13

Cas13はガイドRNAと相補的な1本鎖RNAを切断するRNA依存性RNA切断酵素として機能する.(108ページ)(加藤,西増)

Csx29

ある種の原核生物のゲノムにおいて,Cas7-11の近傍にコードされている機能未知のプロテアーゼ.最近,筆者らはCsx29がCas7-11と複合体を形成し,RNA依存性プロテアーゼとしてはたらくことを明らかにした(Kato et al., Science 2022).(108ページ)(加藤,西増)

イオノフォア Ionophore

特定のイオンの膜透過性を増加させる脂溶性分子で,その多くは抗生物質である.チャネル型とキャリア型の2種があるが,チャネル型(グラミシジンなど)は,脂質二重層膜を貫通する小孔を形成,その小孔を通してイオンを透過させる.(111ページ)(平野ら)

ペインティング法 Painting method

人工膜形成法の一種.刷毛塗り法とも呼ばれる.テフロンシートなどの疎水性素材に開けた小孔に脂質の有機溶媒溶液を塗布する.有機溶媒の排除に伴い,脂質溶液表面に形成された2枚の脂質分子の単分子層が接近し,脂質二重層膜が形成される.(112ページ)(平野ら)

Ct値 Ct value

Ct(Threshold Cycle)とは,PCR検査において陽性判断の基準となる増幅サイクル数の閾値である.標的核酸分子が少ない場合,検出までに多くの増幅反応を必要とするのでCt値は大きくなる.(116ページ)(飯田ら)

 
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