2023 Volume 63 Issue 4 Pages 227
in vivo遺伝子治療のための最も有望なプラットフォームの一つ.正二十面体のウイルスカプシドの中に,治療用遺伝子を搭載した一本鎖DNAを内包する.10種類以上の血清型が存在し,2017年以降,米国や欧米を中心にAAV2,AAV5,AAV9を基盤とした遺伝子治療製品が承認された.本邦でも2020年にAAV9を基盤とした脊髄性筋萎縮症治療薬のZolgensma®が承認されている.(202ページ)(丸野,内山)
遠心力場における溶液中での分子の沈降挙動から分子の分散状態を定量的に決定する手法.2000年代以降に開発された数値解析プログラムを用いることで,沈降係数分布,各成分の分子量,拡散係数,分子形状などの情報を取得できる.(202ページ)(丸野,内山)
抗原などの異物が生体内で抗体産生や細胞性免疫といった免疫応答を引き起こす性質のこと.(203ページ)(丸野,内山)
水素原子が結合している非水素原子(炭素原子や酸素原子)の座標をもとに,水素原子との結合長や結合角を理想的な値となるように拘束して精密化を行い,水素原子の座標を決定する手法.通常のタンパク質の構造解析では,水素原子の座標を決定するための十分な精度がないために用いられる.(205ページ)(花園)
X線結晶構造解析がX線と電子の相互作用を利用した手法であるのに対し,中性子結晶構造解析は,中性子と原子核の相互作用を利用したものである.水素原子(重水素原子)の回折能がタンパク質中の他の原子とほぼ同じであるため,水素原子の座標決定には非常に有力な手法である.(205ページ)(花園)
四面体型の分子構造における特定の原子の平面からの乖離を示す尺度.sp2混成軌道の場合,理想的には平面となるが,原子の結合形状が完全な平面からどの程度ずれているかを定量する.ここでは,Ramachandran and Kolaskar(1973)の定義に倣った.(205ページ)(花園)
構成要素各々が化学エネルギーの消費によって平衡状態から遠く離れた状態にある物質の総称.その特徴的なダイナミクスやパターン形成或いは統計力学的性質が,20世紀終盤以降,集中的に研究されている.(207ページ)(平岩)
複数の変数を同時に扱い,それらの変数間の関係性を数学的に解析する手法.例えば,データの特徴を探索したり,相関関係を分析したり,データをクラスタリングしたりするために利用される.(212ページ)(冨田)
画像や音声などのデータから自動的に学習し,予測や判断を行う手法.アルゴリズムがデータからパターンを学び,未知のデータに対して正確な予測を行うことができる.線形判別分析は代表的な機械学習法の一つでもある.(212ページ)(冨田)
機械学習モデルの性能を評価するために用いられる手法.データセットを複数の部分に分割して,それぞれを学習用とテスト用に切り替えて,学習用データを用いてモデルを作成し,テスト用データでそのモデルを評価する.(214ページ)(冨田)
ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction, PCR)を用いて増幅した特定のゲノム領域を次世代シーケンサーで解析する手法.例えば,腸内細菌叢サンプル中の細菌の種類やその割合を決定することができる.(215ページ)(冨田)
植物の茎の頂端に存在する茎頂分裂組織を構成する細胞層.表層から表皮(L1)層,表皮下(L2)層,角質(L3)層の3層構造を形成する.(224ページ)(山岸,中村)
遺伝子組換えやゲノム編集等の操作を行った当代(T0)の植物個体から自殖により得られる次世代の個体.(224ページ)(山岸,中村)