Seibutsu Butsuri
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2024 Volume 64 Issue 3 Pages 166-167

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はじめに

2022年秋の日本生物物理学会第60回年会の函館での開催を経て,北海道内での生物物理分野の研究者の連携や結束が深まった北海道支部では,その後も着実に活動が続けられています.その最近の活動についてご報告させていただくとともに,支部活動の歴史と今後の活動の在り方についても少し触れさせていただきたいと思います.生物物理学会の支部の活動をさらに盛り上げていくきっかけの一つになれば幸いです.

北海道支部-東北支部合同例会開催

コロナ禍で北海道支部例会の対面開催が困難になった2020年度から継続し,4回目となる東北支部とのオンラインでの合同例会を2024年3月28日に開催いたしました.支部例会は支部活動の最も重要な行事であり各研究室の研究成果を身近に知る良い機会となっています.本年度は,16件の一般口頭講演に加え,2023年度末で北海道大学を退職されました出村誠先生から「生物物理学的SDGs」と題した特別講演がありました.北海道支部・東北支部それぞれから生物物理らしい幅広い講演がありましたので誌面をお借りして紹介させていただきます(登壇者のみ記載).

「不凍蛋白質活性メカニズム解析のための,中性子・X線結晶構造解析」 一木佑太(北大院生命)

「マウス母乳の成分解析における1H-NMR利用法の検討」 阿部潤(北大理)

「アミロイド触媒を模倣したβシート蛋白質の触媒活性評価」 杉山晴哉(山形大工)

「強化学習による薬剤最大耐量の効率的な推定法の開発」 高見亮佑(北大電子研)

「ラマン顕微鏡を用いた細胞内超硫黄分子のラベルフリー検出」 古賀圭祐(東北大院薬)

「光駆動ナトリウムポンプロドプシンのゲート開口に至る多段階構造変化の解明」 菊川峰志(北大院先端生命)

「大気中微粒子の構成物質が引き起こすリン脂質ベシクルの動的挙動」 福田萌(山形大工)

「麻疹ウイルスV蛋白質がtype I IFN経路を阻害するメカニズムの考察」 合田菜々花(北大院生命)

「AQP4過剰発現CHO細胞を用いた凍結保存における脱水の影響の検討」 松尾菫(北大工学院)

「空間画像相関分光法(SICS)を用いた迅速な粒子数測定手法の確立」 濱田悠太(北大院生命)

「ラマン分光法と機械学習を用いた老化細胞のラベルフリー検出」 小玉裕子(東北大薬)

「薬剤スクリーニング迅速化のための多目的最適化」 野永竣太(北大電子研)

「がん細胞において圧縮ストレスによって誘導されるNEAT1発現」 安藤奈緒美(北大院生命)

「in vitro実験によるクロモキネシンKidの1分子観察」 古崎夏希(東北大理)

「蛍光色素をつけたポリアデニル酸のナノ秒MDメカニクス」 鈴木誠(東北大名誉教授)

「好冷菌Hymenobacter nivisの光依存的な生物応答に対するプロテオロドプシンの寄与」 塚本卓(北大先端生命)

参加者約70名が集まる盛会となり,会の最後には記念写真撮影が行われました(写真).また,学生の優秀な発表を表彰する発表賞が,小玉裕子さんと古崎夏希さんに贈られました.

写真

支部合同例会参加者による集合写真


2024年度の夏の学校は札幌で

本号に掲載の北海道大学の武井梓穂さんからの「若手の会だより」に詳しく掲載されておりますが,2024年度の第64回生物物理若手の会の夏の学校は北海道で開催されます.支部の若手の学生が中心となり,精力的に準備を進めており,全国から多くの講師を招き,学生や若手研究者が涼しい北海道でも熱い4日間を過ごすものと期待しております.

ご承知のとおり,北海道は夏の学校の定番の開催地の一つであり,私の記憶に残る限りでも,2009,2012,2016,2024年と生物物理学会年会よりも頻繁に開催されてきました.これらはいずれも,豊かな自然にかこまれた赤い屋根がシンボルの支笏湖ユースホステルで開催され,素晴らしい経験をした思い出をお持ちの方も多いのではないでしょうか?この会場は,新型コロナウイルスの感染拡大による宿泊者の減少により,残念ながら2021年に閉館され,今回の会場選びでは,学生を中心としたスタッフの皆さんが大変苦労したと聞いております.

今回会場に選ばれた定山渓温泉は札幌を代表する大変人気のある観光地の一つですが,コロナ禍以降の国内外での観光ブームもあり,会場費なども高騰しており運営面でも困難が多いようです.近年は,生物物理に興味を持つ学部学生も含めた非常に多くの方が参加され,運営や予算の規模も非常に大きな会になっているとのことで,本来は学会が担うべき学部生などの啓蒙活動を担っているという側面もあるように思います.是非とも成功へ向けて応援いただければ幸いです.

学会支部会活動の未来は?

このように現在も積極的な活動を進めている北海道支部ですが,長い歴史の中では本州から離れた地区という特性から,早くから最も活動が盛んな支部の一つだったと自負しています.手もとに残る資料では,1988年度には北海道大学の故引地邦男先生が支部長として支部会活動が行われていたことが判ります.当時からの支部会活動として,勿論ですが対面で開催されていました「支部例会」や国内外の研究者を招聘して行われる「支部講演会」,また北海道地区の生命科学系学会の支部や研究会で企画する「合同シンポジウム」などが継続されてきました.しかし,その時々の北海道地区の生物物理関連の研究室の構成や支部の運営方針により,活動が非常に活発になる時と少し停滞気味になることがあったように思います.特に北海道地区は生物物理関係の研究室の絶対数が多いとは言えず,一人の教員や研究者の異動であっても支部の活動に大きな影響を与えます.また,非常に広い地域に研究室が点在しているため,支部例会や講演会の開催などでも,旅費支援を行うなど様々な工夫がなされました.このような背景から,北海道で生物物理学会の年会がある前後には交流も深まり,特に活動が大きく盛り上がった傾向があるように思います.

その意味ではやはりコロナ禍を経て,状況は大きく変わりました.かつては,本州で開催される様々な研究分野の数多くのセミナーや講習会などを羨ましく思っていましたが,オンラインでも参加可能な機会が激増しました.そのためか,コロナ禍直前の2019年度には14件も開催された支部講演会は,年に1,2件程度を数えるまでに減りました.支部例会も一時期は北海道支部のみでも3日間にしなくては演題が納まりきらないのではないかという時期があったのに比べると,少し寂しい状況です.気楽に参加できる機会が増えたことは素直に喜ばなくてはいけないとはわかっているのですが,学生が居室でディスプレイに向かってじっと講演を聞いているのを頻繁に見る機会が多くなり,若いころ講演後の懇親会(時には野外でのジンギスカン)で知り合った先生や友人と長い付き合いになった思い出も多い私としては,少し複雑な気分になります.

先日,生物物理の各支部の支部長や関係者でオンライン会議(こういった点はやはりオンラインの素晴らしい点です!)を開催し,支部活動について意見を交換する機会がありました.私自身は驚いたのですが,地方に比べ本州地区の支部の活動が以前より非常に活発になっていることを感じました.対面で日本語でも口頭などで発表できる機会として支部での研究発表会への参加者が増え,盛り上がりを見せているという背景とのことでした.これからの地方の支部活動の在り方,もう一度考える時期に来ていると感じています.

 
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