2024 Volume 64 Issue 6 Pages 324
海岸線や山脈など,フラクタルと呼ばれる複雑な形を測るための概念である.通常の整数次元とは異なり,フラクタル次元は非整数である,例えば,タンパク質の折りたたまれたペプチド鎖は完全に詰まっていないので,フラクタル次元は3以下である.(293ページ)(唐)
マイクロ波誘電緩和測定による水和水の測定で発見された,バルク水よりも集団的な回転緩和運動が速い水.東北大の鈴木らによって2003年ごろから提唱されてきた.アクチンフィラメントなど様々な系で観測されている.(300ページ)(菱田)
–100°C程度まで冷却しても凍結することのない水.水が溶質表面と強く結合することで生じると考えられている.熱測定(DSC)では,水の凍結・融解に伴う潜熱から凍結する水の量を定量できるため,系内のすべての水からこの量を差し引くことで不凍水量を求められる.(300ページ)(菱田)
疎水鎖が水にさらされた時に,その表面で形成されるある種の水和水.疎水鎖とは水素結合などの結合を形成しない一方で,水同士で強い水素結合ネットワークを形成し,ある種の構造化をしていると考えられている.ただし,詳細はまだ不明な部分も多い.(301ページ)(菱田)
標的に対する親和性や分子の安定性を向上させるため,元となる抗体のアミノ酸配列の一部を改変すること.一般的に,計算機支援設計や指向性進化などの手法が用いられる.(309ページ)(松長,津本)
植物細胞に特有の細胞内小器官であり,様々な分化形態をとる.未分化な色素体である原色素体や,光合成を行う葉緑体,デンプンを高蓄積するアミロプラスト,カロテノイドを高蓄積する有色体などの総称.(313ページ)(吉原,小林)
暗所で発芽した被子植物の子葉細胞に発達する色素体.光を浴びることで葉緑体に分化する.内部には管状の膜が格子状に分岐した構造体(プロラメラボディ)が発達する.プロラメラボディは光を受けると層状の膜へと変化し,やがてチラコイド膜となる.(313ページ)(吉原,小林)
水槽に張った水面上に両親媒性分子の単層膜を作成し,移動式の仕切り板を用いて,水面と単分子膜の表面張力の差(表面圧,π)と,単分子膜の1分子あたりの面積(分子占有面積,A)を測定する分析.(318ページ)(村岡)
培地上に固定した宿主細胞がウイルスに感染すると形成する班(プラーク)を数えて,活性なウイルス量を定量する分析.(319ページ)(村岡)
中赤外光は分子の振動エネルギー準位に相当する周波数,波長帯域で表すと2.5~25 μm内の波長を有する光である.中赤外光を用いて分子特有の振動遷移を直接観察することができる.(321ページ)(加藤,前田)