Seibutsu Butsuri
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2025 Volume 65 Issue 2 Pages 113

Details

超解像蛍光顕微鏡技術 Super-resolution fluorescence microscopy

通常の光学顕微鏡では分離して観察することができない微小な対象を分離解像することができる光学顕微鏡技術.Xiaowei Zhuangらが開発したSTORMイメージングの他,STED法などが有名.数多くの原理が提唱,実用化されている.2014年ノーベル化学賞の対象となった技術.(102ページ)

ゲノム編集技術 Genome editing technology

特定のゲノムのDNA配列を特異的に改変することが可能な技術の総称.具体的なツールとしてジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN),TALEs(TALENとも呼ばれる),CRISPR-Casといった人工ヌクレアーゼタンパク質を元にしたものが有名.この技術の開発により,遺伝子のノックアウトのみならず配列の相同組換えを伴う改変を組織や細胞特異的に行うことが容易となった.(102ページ)

ジンクフィンガー Zinc finger

Vol. 65 No. 1の用語解説参照.(102ページ)

TALEs TAL effector

Vol. 65 No. 1の用語解説参照.(102ページ)

CRISPR CRISPR protein

Vol. 65 No. 1の用語解説参照.(103ページ)

トランスポゾン(可動遺伝子) Transposon

ゲノム上の位置を転移することのできる塩基配列のこと.動く遺伝子,転移因子とも呼ばれる.ゲノムのDNA配列を変化させることで突然変異の原因となり得る.多様性を増幅することで生物の進化を促進してきたと考えられている.遺伝学や分子生物学における遺伝子導入法や変異導入法としても応用されている.(103ページ)

遺伝子水平伝播 Horizontal gene transfer

母細胞から娘細胞への遺伝ではなく,個体間や他種生物間において遺伝子が取り込まれることにより起こる遺伝のこと.実際,ヒトのゲノムにも長い年月をかけてウイルスの遺伝子が取り込まれていることが知られている.生物の進化に影響を与えていると考えられている.(103ページ)

パンスペルミア説 Panspermia

地球生命体の起源は地球外から来たとする生命起源論の一つ.隕石に宇宙生命体が付着して地球へ飛来し,地球に定着したなどの説が提唱されている.信仰としてのパンスペルミア説は紀元前のエジプト古王国まで遡るが,アレニウスプロットでよく知られるアレニウス(ノーベル化学賞1903年)が20世紀初頭に現代科学のなかで提唱している.(104ページ)

FRET(フェルスター共鳴エネルギー移動) Förster resonance energy transfer

概ね10 nm以内に近接した2個の発色団の間で双極子―双極子相互作用により一方の励起エネルギーが他方に無輻射的に移動する現象のこと.(104ページ)

大規模言語モデル Large language model

Vol. 65 No. 1の用語解説参照.(106ページ)

ガルバーニ Luigi Galvani

イタリア・ボローニャ出身の研究者.皮を剥いだ蛙の筋肉を銅の鉤にかけて庭の鉄柵に吊るしたところ,風に吹かれて蛙の筋肉がピクピクと震えるのを発見.生物の中に蓄えられる電気の力によって筋肉の運動が起こるとする「動物電気説」を提唱し,1791年に論文を発表.この論文を読んで触発されたアレッサンドロ・ボルタが様々な実験を行い,二つの異なる金属(銅と鉄)が蛙の筋肉を通して接触することで電気が発生することを突き止め1799年にボルタの電池を発明.ここから電池の歴史が始まる.電圧の単位である「ボルト」がボルタに由来することは有名.一方,コイルを貫流する電流に応じて指針が回転し電流量を示す検流計はガルバノメータとも呼ばれ「ガルバノ」はガルバーニに由来するものの知る人は少ない.ガルバノメータの指針の先にミラーを取り付けた装置は「ガルバノミラー」と呼ばれレーザー走査顕微鏡などで頻用されている.生命現象の発見から様々な物理的発見やそれに基づく装置開発につながった好例である.(110ページ)

 
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