Seibutsu Butsuri
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Yasuo SHINOHARA
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2025 Volume 65 Issue 2 Pages 114-115

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中国四国支部の歴史と今回の支部大会開催に至るまで

東京大学の副学長でいらっしゃった桐野 豊先生が徳島文理大学の学長として赴任され,中国四国地区の大学等に所属する日本生物物理学会の研究者に「一度集まりませんか」と声をかけられたのは2007年のことです.そのミーティングでのご相談の骨子は,2009年に第47回日本生物物理学会年会が徳島で開催される予定になったこと,またこれを機にそれまで開設されていなかった日本生物物理学会中国四国支部(以下,支部)を立ちあげてはどうだろうか,というものでした.このようにして産声をあげた支部の活動が軌道に乗るまでの4年間は桐野先生ご自身が支部長を担当下さり,運営がおおむね軌道に乗った2期目の2年間は私が支部長を仰せつかりました(支部の歴史については現支部長の冨永貴志先生が本誌64巻の1号でうまくまとめておられますのでご参照下さい).

徳島での支部大会の開催は,徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部で活躍されてこられた松木 均先生(現在は研究担当副学長としてご活躍)が2015年に担当されました.2020年から3年間はコロナのため,支部大会もやや不規則になり,オンライン開催を余儀なくされておりましたが,昨年からオンサイトでの開催に戻りました.昨年の支部大会で「そろそろ徳島で開催される順番だけれど,徳島ではどなたにお願いするのが良いだろうか?」という話題になった折に,岡山大学の須藤雄気先生が「徳島大学の篠原さんは「支部長」はやられたけど「支部大会の実行委員長」はまだ担当されておられてないようなのだが」と言われ,私にお鉢が回ってきたと聞いております.須藤先生のサイエンスへの着眼点の鋭さと研究推進のスマートさにはとても感心しているのですが,このような案件への回答の的確さと鋭さには実に憎らしいものがあります(笑).

私どもの研究室では,つい最近まで助教として活躍されてこられた伊藤 剛博士が愛媛大学農学部に転出されたところで,かつ私自身があと2年強で定年退職となりますので,新たな研究者の受け入れは見合わせております.しかし,さすがに教授1人では研究室の運営にいろいろと支障が出ますので,研究室出身の学生で博士後期課程に進学した武川和人さんに教務補佐員になって頂き(大学院は社会人にスイッチしてそのまま継続),研究室運営を支援頂いております.武川さんに「生物物理学会の支部大会の開催を担当する話が舞い込んだのだが,どうしたものだろうか」と相談したところ,「良い経験になるので,ぜひ自分にもやらせてほしい」とのことでしたので,私どもで担当させて頂くことになりました.

第15回中国四国支部大会の概要

徳島大学は,本部機能が集約されている「新蔵(しんくら)キャンパス」,総合科学部,理工学部,生物資源産業学部が設置されている「常三島(じょうさんじま)キャンパス」と,医歯薬学部と大学病院が設置されている「蔵本(くらもと)キャンパス」の3か所で運営されております(図1).松木 均先生が担当された第7回支部大会は常三島キャンパスで開催され,今回の第15回支部大会は,5月25日(土),26(日)の両日,蔵本キャンパスの薬学部棟を会場として開催されました.

図1

徳島大学はJR徳島駅東側の「新蔵キャンパス」,「常三島キャンパス」と,JRで2駅西に位置する「蔵本キャンパス」で運営されており,今回の支部会は蔵本キャンパスでの開催となりました.

他府県からご出席頂く場合には,長距離の移動を余儀なくされることが多いため,中国四国支部大会の初日は昼から開催というのが通例のようでしたので,学会初日は13時開会としました.

演題としては,広島大院総合生命から4件,岡山大院薬,異分野から各1件,立命館大,名城大から各1件,徳島文理大神経科学研(香川キャンパス)から2件,また県内からは徳島文理大薬から3件,徳島大先端酵素から2件,徳島大院医歯薬から3件,徳島大院創成科学から2件の計20演題のエントリーがありました.そこで,初日に12演題の発表,討論を行い(図2),続いて京都大学大学院生命科学研究科の吉村成弘先生にホットトピックス「リン酸化による液-液相分離の制御機構」という演題で特別講演を頂きました.

図2

研究発表の様子

特別講演の後は懇親会です.薬学部1階のホールは学生のロッカーおよび歓談用のスペースとして整備されており,卒業式の祝賀会も開催できるくらいの広さがあります(もともとは薬学部北側の6階建ての研究棟と南側の3階建ての講義実習棟を渡り廊下で繋いでいたエリアで,以前は駐輪場などとして利用されていました.ここに東西の壁と屋根を付けてホール構造にしたもので,決して贅沢な建屋ではないのですが,試験期間中は学生さんたちが試験対策や情報交換等を行う場所として,とても人気があるようです).このホールを懇親会会場として歓談,飲食をして頂きました(図3).なお,今回の支部会では,交流のある製薬会社とバイオベンチャーからご支援を頂いたこともあって,比較的しっかり飲食できる懇親会を行うことができたかと思います.休日にも関わらず,オードブル提供に対応下さいました徳島大学病院11階レストラン「オリーブキッチン」の稲井佳和支配人にも厚くお礼申し上げます.

図3

懇親会の様子

翌日は8演題の発表が行われました.閉会に先立ち,次期支部長の選出を行い,岡山理科大学生命科学部で活躍されておられる松浦宏治先生にお願いすることになりました(図4).

図4

出席者の集合写真

日本生物物理学会の中国四国支部大会は,私のような比較的inertな研究者にも「篠原さんも出て来いよ,一緒にやろうよ」と声をかけて下さり,「良質な刺激を与える」とても魅力的な学術集会であることを再認識しました.このような支部大会の良き雰囲気が将来にわたって続き,生物物理学研究発展の一助となることを切に念じております.

最後になりましたが,今回の支部大会開催に際し,株式会社ジェイ・オー・ファーマ(出雲市),帝國製薬株式会社(東かがわ市),プロテノバ株式会社(東かがわ市),マグミット製薬株式会社(香川県木田郡三木町)の4社からご支援を頂きました.各社のご支援,ご厚情に厚くお礼申し上げます.

 
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