1995 年 5 巻 3 号 p. 192-208
不規則に変動する成分をランダムノイズとする統計的手法に従う時系列データ処理法に対し,カオスの発見以来,確率的成分を有しない非線形ダイナミクスが内在するメカニズムのみから不規則な様相を見せることが明らかにされ,不規則データのモデル化に関して従来と異なるアプローチが要求されるようになってきた.実際,カオティックな時系列データに対して統計モデルよりも非線形なモデルを基礎にした決定論的な方式が優れていることが示されるようになってきた.本稿では,カオスモデルだけではなく実際的な例を通してニューラルネットワークを予測の道具に用いた非線形予測の可能性を議論する.