Proceedings of the Annual Meeting of Biomedical Fuzzy Systems Association : BMFSA
Online ISSN : 2433-1449
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ファジィニューラルネットワークとその医療診断への応用
林 陽一
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p. 41-43

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抄録
本論文ではまずパーセプトロンネットワークの一種である分散型単一層パーセプトロンネットワーク(DSPN)の入力層において、各種のあいまいさをもったファジィデータとあいまいさをもたないクリスプデータをレベル集合表現を用いて統一的に表現し、学習・テストデータとして処理するためのファジィニューラルネットワークを示す。また、このファジィニューラルネットワークを不完全な教師信号あるいは主観的に与えられたあいまいな教師信号を用いて学習する方法および出力層の構成を示す。基本的な学習アルゴリズムはポケットアルゴリズムである。次に上記のファジィニューラルネットワークおよびあいまいな教師信号を用いた学習法の医療診断への応用として、肝胆道系疾患の診断を行うファジィニューラルエキスパートシステムを開発した。GOT、GPTなど9種類の血液生化学検査成績と性別だけから一般に識別が困難な4種類の肝胆道系疾患(アルコール性肝障害、肝癌、肝硬変、胆石)の診断を行った。データは大学病院に入院した患者の症例の中から専門医によって確定診断された536症例を用いてあいまいな教師信号を含む学習・テストデータを作成した。上記の内からランダムに選択した373症例を学習データとして用い、163症例をテスト(未学習)データとして用いた。本論文で新たに開発したシステムの診断精度はテストデータに対して77.3%、学習データに対して100%であった。一方、同一のデータに対して判別関数分析を行うと、診断精度はテストデータに対して63.2%、学習データに対して67.0%であった。後者の結果は既往の肝胆道系疾患に対する判別関数分析による診断結果と同様である。以上の結果から本論文で提案しているファジィニューラルネットワークとあいまいな教師信号を用いた学習法はあいまいさを含む各種のデータの識別・診断に非常に有効であることがわかる。
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© 1992 Biomedical Fuzzy Systems Association
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