学校教育研究
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第1部 これからの学校教育を支える実践知の創造に向けて
ジョン・デューイにおける「探究」と「誠実」に基づく学び
実践知を支える「真正性」を問う
古屋 恵太
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 34 巻 p. 8-

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抄録
 「探究」(inquiry),「反省」ないし「省察」(reflection),「問題解決」(problem-solving),「協同」ないし「協働」(cooperation)など,アメリカの哲学者,教育学者であったジョン・デューイ(John Dewey, 1859-1952)の思想を代表する言葉は,今日の教育界でも,行われるべき教育の象徴として世界的に活用されている。しかしそれが,広く知られた偉人の言葉を単に流用することで,現在推し進めようとしている教育改革の動向を価値づけ,向かうべき自明の方向であるかのように見せかける手段として活用することであってはならないだろう。それでは人類の知的遺産から真に学ぶことにはならないであろうし,その結果として,現在の教育問題と真に対峙することにもならないであろう。そこには現在の教育問題を,現在という文脈に生きる私たちとは異なる文化的・歴史的文脈に生きた「他者」の観点から捉え直すという教育学的営為が欠落しているからである。  こうした問題関心を背景として,本稿はデューイの「探究」(inquiry)論を考察することを目的とする。とりわけ,本稿はデューイの教育思想に「真正性」(authenticity),「真正の学び」(authentic learning)を見いだすことができるかを問う,という課題設定のもとで,その考察を行う。本稿の焦点を「真正性」と「真正の学び」に合わせる理由を次に述べることにしよう。
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