抄録
私たちの生活になくてはならない情報通信技術の基盤は,光通信ネットワークによって支えられているが,今後提供される様々な情報通信サービスを実現していくためには,光通信ネットワークの継続的な大容量化が必要不可欠である.しかしながら,従来の単一モードファイバを伝送媒体とした光通信ネットワークの大容量化には限界が見え始めており,その限界を打破する方法として,従来の多重化技術である時間分割多重や波長分割多重,及び多値変調技術に加えて,新たな信号多重化技術である空間分割多重に関する研究開発が活発に行われている.空間分割多重伝送用光ファイバを分類すると,一つのコアの中を伝搬する複数の伝搬モードを利用する多モードファイバと,1本の光ファイバに多数のコアを収容したマルチコアファイバに大別される. また,空間分割多重伝送用光ファイバとしてのマルチコアファイバは,非結合形マルチコアファイバと結合形マルチコアファイバに分類することができる.本稿では,毎秒ペタビット(Pbit/s)からエクサビット(Ebit/s)級の超大容量伝送を可能とする,こうした空間分割多重伝送用光ファイバ技術の研究動向について解説する.